友「お前な。いくら姉のことが好きでもな……」

弟「おっと勘違いするなよ。姉弟としてだ」

友「そうじゃなかったら友達やめてるわ」

弟「薄情な奴め」

女「弟ー？ 今日なんか予定ある？」

弟「あ、ごめん。今日は」

女「あー、分かった。おっけー」

弟「？」

友「毎日だからな。そりゃ分かるわ」

女「あ、弟。ちょうど良かった」

弟「どうかした？」

女「先生が呼んでたよ。職員室来いって」

弟「えー、姉ちゃんを待たせたくないけどなー」

女「すぐ来いって」

先輩「弟、今日部活ねえしボーリング行くけど来るか？」

弟「すいませ……」

先輩「分かった。皆まで言うな。分かったから」

弟「は、はあ」

先輩「花はねえが、飴やるよ」

先生「それで、どうだ？ 経過は？」

弟「はは、大丈夫ですよ。ちょっと疲れてただけだったので」

先生「それならいいが」

弟「もうこの通りピンピンしてますから」

先生「あまり無理はするなよ」

弟「えーと、あとネギを買って……」

弟「今日は荷物少なくて楽だな」

中学の同級生「あれ、弟？ こんなとこでなにしてんだ？」

弟「あ、久しぶり。中学卒業以来かな？」

中「お前こないだの同窓会も来なかったしなー」

弟「あはは、ごめん。ちょっと都合が悪くてね」

中「お前、自炊してんの？」

弟「今日はね。姉ちゃんにたまには自分で作れって言われたから」

中「うげー。めんどくさそうだな」

弟「そういう男はなんでスーパーなんかに？」

中「いや、これから集まって遊ぶんだけど……弟もくるか？」

弟「いやいや、晩御飯つくんないと」

中「まあまあ、途中で帰ってもいいからさ」

弟「もう、押すなって」

中「弟連れてきたぞー。スーパーで会った」

中2「おわっ、久しぶりじゃん！」

中3「なんか雰囲気変わったなー。ちゃんと食ってんのか？」

弟「腹つつくなよー」

中2「今飲み物出すから。お茶でいい？」

弟「なにしてたの？」

中3「何もしてねえよ。ただ集まってだらだら」

中2「昔話で盛り上がってた」

中「じじいかお前は」

中3「弟といや姉ちゃんがいたよな。全然話したことないけど、美人だったよな」

中2「ば、ばか。こいつに姉ちゃんの話は……！」

弟「うんいるよ。スレンダーでモデル体型で目が大きくて髪がサラサラまつ毛も弄らなくても整ってるし鼻も高くて細長く伸びた指がキレイで白い肌はスベスベ唇はプルんと柔らかく太ももは程よく肉付き引き締まったお尻でーー」

中「分かった！ もういいから！」

中2「え、ええ……？」

中3「そういえばシスコンだったなお前」

弟「普通だと思うけどな」

中「あー、久しぶりに話せて面白かったわ」

弟「そうだね。って、晩ご飯作るんだった！ ごめん、これで！」

中3「おー、またな」

中2「……おいおい」

弟「ただいま、姉ちゃん」

姉「……」

弟「ごめん！ すぐ作るから！」

弟「……もういい」ﾌﾟｲｯ

弟「拗ねないでよ！ 今日は姉ちゃんの好きなハンバーグ作るから！」

翌日

弟「昨日姉ちゃんがさ」

友「またかよ」

弟「夕飯遅くなったので怒っちゃって」

友「……」

弟「聞いてる？」

友「……あー、聞いてるよ」

弟「もー機嫌取るの大変でさ。口も聞いてくれなくて」

女「あ、弟。今日は空いてる？」

友「空いてないよ」

弟「あ、うん。ごめん空いてない」

女「そっかぁ」

女友「何の話ー？」

女「今日、弟とデートでもしようかって話」

弟「えっ」

女友「なになに、付き合ってんのー？」

弟「そんなんじゃないよー」

女「そういえばさ、自炊してんだって？」

弟「なんで知ってるの」

女「友君に聞いちゃった！ ねえねえ私が晩ご飯作りにーー」

弟「だめ」

女「え？」

弟「あ、ごめん。うち、散らかってるからさ」

女友「女、察しなさい。年頃の男子なんだからアレな本が山になって」

弟「い、いや違うからっ」

女「ふーん」ﾆﾔﾆﾔ

女「家、片付いたら遊びに行くから言ってね」

弟「……」

女「あ、弟。今帰り？」

弟「え、ああ。うん」

女「声に覇気がないぞー。元気だしてっ」ﾊﾞﾝｯ

弟「いった、たたくなよ」

女「そんなことより、や・く・そ・く忘れちゃ嫌だからね！」

弟「約束？」

女「家がどうたらこうたらってやつ」

弟「ただいまー」

弟「姉ちゃんただいまー」

弟「姉ちゃん姉ちゃん今帰ったよ」

弟「おかえり」

弟「おかえりー」

弟「なんかさ、クラスメイトの女が家に来たいって言うんだよ」

弟「姉ちゃんだって困るよね」

弟「そんなことないんじゃない？ 別にいいよ」

弟「本当に？ でもちょっと呼びたくないなー」

弟「どうして？」

弟「だって姉ちゃんを見たらびっくりしちゃうかも」

弟「姉ちゃんご飯出来たよ」

弟「今日はハンバーグ！ 姉ちゃん好きだよね」

弟「ハンバーグだよ」

弟「ハンバーグ」

弟「ありがとう。ハンバーグ大好きっ」

姉「……」

弟「姉ちゃん食べた後すぐに横になったら身体に悪いよ」

弟「んー」

弟「ほら、起きて」

弟「よいしょ」

弟「だるいー」

弟「シャキッとしなきゃ。外ではかっこいいのに家でだらけちゃだめだよ」

翌日

弟「いってきまーす」

女「あ、弟」

弟「えっ、なんでここに」

女「一緒に学校行こうかなって。家に誰かいるの？」

弟「ううん、別に。独り言だよ」

友「なんだ、お前ら一緒に登校したのか？」

女「うん。えへへー」

女友「うっわ、リア充爆発しろ」

弟「そんなんじゃないって」

友「いいじゃんいいじゃん」

友「弟、部活行こうぜー」

弟「おー」

女「弟、今日部活かー。先帰ってるね」

弟「いや、待ってて。部活終わったら一緒に帰ろ」

女「え、いいの？」

友「あー、リア充爆発しろ」

弟「お待たせ」

女「待ってないよー。色々用意してたから」

弟「用意って？」

女「弟の家を片付けるための」

弟「はあ？」

女「だってまだ、あの女片付いてないでしょ」

女「まだ家にあるんでしょ？」

弟「……」

女「あの女の死体。だから、家に呼べないんだよね？」

女「私が片付けてあげるよ」

弟「もう、片付けた」

女「うそ。うそうそうそ」

女「どーして嘘つくかな」

弟「嘘なんか」

女「明後日。家に遊びに行ってもいい？」

弟「なにしに来るんだよ」

女「ふふ、ごほーびあげようかなってね」

女「自慢のお姉さんを殺した弟に」ﾍﾟﾛｯ

女「だから今日中に片付けてねー」

弟「ただいまー」

弟「おかえりなさい」

弟「いやーなんか疲れたよ」

弟「なにかあったの？」

弟「今日さ。クラスメイトの女が姉ちゃんのこと聞いてくるんだよ」

弟「片付いたかって。姉ちゃんを片付けるなんて変なこと言うんだ」

弟「家に来たいとか言ってたのはいいけどさ」

弟「姉ちゃんをどうにかしようなんて頭おかしいよね」

弟「いやーほんとに」

弟「ほんとーに」

「キッモ」