ミカサ「星降る夜に」(62)
ーーー夜
カチャカチャ...
アルミン「えーっと...ここは?」
アルミン「こうかな?」カチャカチャ...
ガチャ...ギィィ...
アルミン「!」ビクッ!
エレン「アルミンここに居たのか?」
アルミン「なんだエレンか...びっくりしたよ」ホッ
エレン「夜遅くに技巧室勝手に使ってると教官に走らされるぞ。バレないうちに行こうぜ」
アルミン「もう少しだから...」カチャカチャ...
エレン「?...なんだよそれ?」
アルミン「これかい?これは...よし!...できた!!」
アルミン「天体望遠鏡さ」ニコッ
エレン「天体望遠鏡?」
アルミン「そう。星を見る望遠鏡のことだよ。」
エレン「星なんか夜空を見上げりゃあ見えるだろ?」
アルミン「これで見ると星の形やひょっとすると普段見えないような星も見えるかもしれないんだ!」
エレン「それはすげぇな!...でもかもしれないってのは?」
アルミン「実は...僕もまだ見たことないんだよね。今、できたばかりだから」アハハ..
エレン「じゃあ早速見て見ようぜ!今夜はよく晴れてる。いい星空だ」
アルミン「ああ。」
エレン「なんか...こういうのガキの頃以来でワクワクするな」ハハハ
アルミン「そうだね。僕もだよ」ニコニコ
ーーーー
ーーー
ーー
アルミン「倍率を調整して...あっ!」
エレン「どうだ?見えるか?」
アルミン「これ見てみてよ!」ハヤクハヤク!
エレン「......おおっ!すっげぇ!!星ってこんなのなんだな!!」
エレン「アルミンすげぇよこれ!よくこんなの作れたな?」
アルミン「いやぁ// 以前に書庫で読んだ本に設計図が小さく載っていたんだけどその時は特に気にしていなかったんだ。」
アルミン「この前街に行った時に古い望遠鏡が幾つかガラクタ市に売っててね。
それで思いついたんだ。作ってみようってね。」
エレン「がわに年期が入ってんのはそれでか」ハハハ
エレン「でもやっぱりすごいな。アルミンは」
アルミン「誉めてもなんにも出ないよ//」
アルミン「そうだ!ミカサにも見せてあげようよ。」
エレン「そうだな。後で知れてもふて腐れるのが目に見えてるしな。」ハハハ
アルミン「そうじゃないだろエレン。ミカサのびっくりする顔見たくないかい?」
エレン「まぁな。」
アルミン「星に関する書籍を探してみるよ。星の見方を調べてみる。それから三人で星を見に行こう!」
エレン「おう。そうしよう」
アルミン「じゃあミカサにも伝えておいてね。今日はもう戻ろう。」
エレン「しかし、その長い望遠鏡はどこにしまうんだよ?」
アルミン「ああ...これかい?ここをこうすると...」カチャカチャ...
アルミン「こんなに短くなるんだよ。」フフッ
エレン「こいつは便利がいいな」ハハハ
ーーーー
ーーー
ーー
ーーー翌朝
アルミン「ふぁぁ...」
(...昨日は興奮し過ぎてあまり眠れなかったなぁ)
エレン「ふぁぁ...?アルミンもか?」ハハハ
アルミン「なんだよ、エレンもかい?」ハハハ
ミカサ「二人して何を笑ってるの?」
アルミン「おはようミカサ」
エレン「おお。いるならいるって言えよ。実はなミカサ...」ズイッ
ミカサ「?」
ミカサ「エレン顔が近い//」
エレン「はあ?何言ってんだよ?いいから耳貸せって」
ミカサ「...///」
エレン「天体望遠鏡で星を見るぞ。」ヒソヒソ
ミカサ「?...それは何?」
エレン「アルミンが作ったんだ。今夜三人で行こうぜ」ヒソヒソ
エレン「まぁとにかく見てのお楽しみだ。すげぇんだからな。」ニッ
アルミン「期待は裏切らないよ。」ニコニコ
ミカサ「わかった。楽しみにしている」ニコッ
サシャ「おはようございます!...おや?三人揃って朝からなんの相談ですか?...怪しいですねぇ。」ジー。
エレン「なんでもねぇって。立ち聞きすんなよ。趣味悪りぃぞ」
サシャ「エレンは口が悪いです。」
アルミン「まぁまぁ...二人とも...」アハハ...
ミカサ「サシャ。」ジー。
サシャ「!!」ビクッ
サシャ「...あっ!朝食が私を呼んでいます!失礼します!」ダッ
エレン「あいつはまったく...」
ミカサ「サシャは勘がいい。兵舎から抜け出す時は注意しておく。」
アルミン「懸命だね」アハハ...
エレン「じゃあ今夜だからな」
ミカサ「うん」
ーーーー
ーーー
ーー
ーーーーその夜
ーーー兵舎の近くの林の中
エレン「遅い。」
アルミン「なかなか同室のみんなが寝付かないんじゃない?」
アルミン「あっ!ランプの明かりがこっちに来るよ」
エレン「ようやく来たか。」
エレン「遅いぞ!いったいどれだけ...!!?」
アルミン「あれ?...」
ミカサ「ごめん。...エレン、アルミン...結局こうなった...。」ヤレヤレ...
ユミル「なんだ?本当にアルミンも居たのかよ?てっきりミカサはエレンと...」
ミカサ「///」
クリスタ「ユミル!それ以上は言わなくていいから!」
サシャ「おかしいですねぇ?私の予想と大きく違いました」
ユミル「二人でなんかこっそり食べる...ってやつか?それは部屋で却下したろうが」マッタク...
エレン「お前らいったいどういう事だよ?」
ユミル「サシャがミカサの行動に感付いてな。
優等生様が夜中に兵舎脱け出して何すんのか興味が湧いただけだ」ニヤニヤ
クリスタ「こっそり後をつけて行く予定だったんだけど...」
サシャ「ミカサの方が先に気づいてしまいました」アハハ...
エレン「お前らなぁ...」
アルミン「クリスタまで何をやってるんだよ」
クリスタ「ごめんねアルミン...邪魔みたいだから戻るね...」
アルミン「いや...あのさ、そういう事が言いたかったわけじゃ...」アセアセ
ユミル「!...クリスタまでってなんだよ?私たちは当たり前だとでも言いたいのか?ああ?」
アルミン「いや...そ、そういうわけじゃ...」アタフタ
サシャ「ちょっと!私までまとめないでくださいよー!」
ユミル「うるせぇ。芋はひっこんでろ」
サシャ「ついに...芋のみに...。」ガクッ
ミカサ「どうしようエレン...」オロオロ
エレン「はぁ...なんか面倒な事になったな...」
エレン「考えるのも面倒だ。全員で...えっと...なんだったかな?...アルミン」
アルミン「え?...ああ...天体観測だよ」ウンウン
エレン「おお!それだ!行こうぜ」
ユミル「なんだ?面白そうだからついて行くかクリスタ?」
クリスタ「本当にいいのかなぁ...」
サシャ「それって食べれますか?」
アルミン「食べ物じゃないんだよ」アハハ...
ミカサ「エレン...」
エレン「人数が増えただけだ。気にすんなよ。あんまりな」
ミカサ「うん。わかった」
...ガサッ......
ミカサ「!!...誰?」
エレン「どうした?」
ミカサ「あそこの藪の中。誰かいる。」
ユミル「あ?...誰かいんのか?出てきやがれッ!!」
...ヤベェ...ガサッ
オイ!オスナッテ!...ガサッガサッ...
ドタッ...
ユミル「なんだ?ジャンさんに、バカか...」
ジャン「コニー!てめぇが押すからバレちまったじゃねぇかッ!!」
コニー「バカ野郎!後ろに下がるか前に進むかはっきりしねぇからじゃねぇかッ!!」
ザッザッザッ...
エレン「...で?お前らは何やってんだ?」
コニー「俺はたまたま便所の帰りにジャンに出会っちまってここにつれてこられただけだ。」
ジャン「うるせぇ!死に急ぎ野郎!大体てめぇはこんな夜中に何をやってんだ?」
エレン「なに!?質問してんのはこっちだ!」
クリスタ「ちょっと待ってよ。二人とも落ち着いて...」
ユミル「はーん...まぁ大体わかるんだけどなー。」ニヤニヤ...チラッ
ミカサ「...」ハァー
ユミル「私が言っていいか?ここに来た理由を。的確に...なぁ?ジャンさん」ニヤニヤ
ジャン「...。」
アルミン「まぁまぁ。せっかくだからさ...二人とも一緒においでよ。」
エレン「おい!アルミン!これ以上人数増やしてどうすんだよ。」
アルミン「まぁいいじゃないか。だってここまで大人数なんだから二人くらい増えても問題は無いよ。」
エレン「...そうか。」
サシャ「コニーも行きましょう!面白い物が見れるらしいですよ!」
コニー「おお!そうなのか?...眠気もどっかいっちまったし...行ってみるか」
ジャン「...俺は帰るぜ。こんなの教官にバレでもしたら走らされるのが目に見えてるしな。」
コニー「そうか。残念だな。じゃあさっそく行こうぜ!」ワクワク
ユミル「バカは切り換えが早いな。まったく...」
アルミン「ジャンは本当に行かないのかい?」チラッ
ミカサ「...」
ジャン「...じゃあな。教官には黙っといてやるよ。」クルッ...スタスタ
ユミル「あ~あ。無理してんの見え見えなんだけどなぁ」ニヤニヤ
アルミン「...」トントン
ミカサ「?」
アルミン「...」ヒソヒソ
ミカサ「私が?」
アルミン「...」ウンウン
ミカサ「...待って。ジャンも...一緒に行こう。」
ジャン「!」ピタッ...
コニー「お?ジャン、帰るんじゃなかったのか?」
サシャ「コニーは少し黙っててください」
ユミル「ククッ...駄目だ。みてらんねぇ」ケラケラ
エレン「なんだよ?ジャン置いて行くぞ。来るならさっさと来いよ」スタスタ...
ミカサ「あれでよかったの?」ヒソヒソ
アルミン「上出来だよ」ヒソヒソ
ジャン「...」クルッ...スタスタ...
コニー「なんだ?あいつは素直じゃねぇなぁ。なぁ?」
サシャ「コニーみたいに単純に出来てないんですよ。ジャンは」
コニー「おお、そうか......誰が単純だ!この野郎ッ!!」
サシャ「おっと!コニーには捕まりませんよー!」ウッヒャー!
マテー!コノヤロウ!
アッハッハッ...タンジュンコニー!
ドタバタ...
ユミル「楽しそうでいいな...バカは」
クリスタ「ねぇユミル。...ジャンってやっぱりミカサのこと...」
ユミル「なんか面白くなりそうだろ?」ニヤリ
ーーーー
ーーー
ーー
アルミン「ここなら星空が見渡せるだろう」
エレン「ここはいいな。いつ来ても」
ミカサ「二人とも、前にも来たことがあるの?」
エレン「たまにな。初めて来たのはここに入りたての頃にライナーとベルトルトと一緒だった」
アルミン「立体機動の適性判断でエレンが悩んでた時だよ」
エレン「ばかやろう///...思いだしちまったじゃねぇか...」
アルミン「ごめんごめん」アハハ
ミカサ「そう。あの時に...なんだかそれも遠くに感じる。」
アルミン「あれからもう二年だからね。毎日、後をかえりみる暇なんか無いくらい訓練に打ち込んで来たから」
エレン「でも...あと一年で調査兵団に行けるんだ。頑張らなきゃな」
アルミン「そうだね」チラッ
ミカサ「...」
アルミン「...エレンそろそろあれを準備しなきゃ」
エレン「おお、そうだったな」
アルミン「固定用の脚まで担いでくるとなかなか重いもんだね」ガサゴソ
ミカサ「その袋の中に入ってるの?」
アルミン「そうだよ」
アルミン「ちょっと待ってて...これを伸ばして...ひねると...」
ミカサ「長い望遠鏡?」
アルミン「見た目はね」フフフ
エレン「アルミン、脚組み立てたぞ」
アルミン「じゃあ固定して...」
アルミン「あとは...倍率を...」コノレンズデクミアワセヨウ。
アルミン「よし!...さぁ覗いて見てよミカサ」
アルミン「あの星に合わせてあるからね」ニコニコ
ミカサ「...」ジー
ミカサ「!!」
ミカサ「なんでこんなに色鮮やかに見えるの?これがあの星なの?」
アルミン「そうだよ」フフフ
エレン「どうだ!すげぇだろ?」ハハハ
ミカサ「驚いた。こんなに星が大きく近くに見えるなんて」
ユミル「おーい...お前ら置いていくんじゃねぇーよ」
クリスタ「やっと着いたみたいね」
ジャン「チッ...」
アルミン「ごめんね。気持ちが先走っちゃって///」
ユミル「なんだ?もう始まってんのか?ミカサが覗き込んでるそれは何だ?」
エレン「て...天体望遠鏡だ。」
ユミル「エレン。お前は覚えてから言葉使えよ」
エレン「うるせぇな//...それよりサシャとコニーはどうしたんだよ?」
ユミル「バカと芋は途中で燃料切れだ。後から来るんじゃねぇか?」
クリスタ「二人ともはしゃいでたからね」アハハ...
ジャン「なぁ?ミカサ...何が見えるんだ?」
ミカサ「.........星」ジー
ジャン「...そ、そうか」
ミカサ「後で見るといい。とても素敵な光景が広がっている。」ジー
ジャン「ああ//...そうさせてもらう。」
ユミル「プッ...速攻でフラれてんな」ケラケラ
クリスタ「そうかな?いつもよりミカサは穏やかにみえるけど?」
ユミル「こいつらと一緒だからだろ?優等生やってんのも疲れんじゃねぇか?」
クリスタ「幼馴染みか...。なんかいいね。ユミルはいるの?幼馴染みとか」
ユミル「私は......いねぇよ。そんなもん」
クリスタ「...そっか。」
(なんか悪いこと聞いちゃったかも)
ユミル「お前がいてくれれば私はそれだけでいいんだよ」ボソッ...
クリスタ「ん?ユミル今なにか言った?」
ユミル「なんも。」
でわ、続き。
ツカツカ...
ミカサ「クリスタとユミルも見るといい。アルミンの作ったあれはとても凄い。」フフン
ユミル「なんでお前が自慢気なんだよ」
クリスタ「フフ...じゃあお言葉にあまえて」ニコニコ
ジャン「お、俺の順番まだ...だよな?」
ミカサ「ジャン。女子が先と決まっている。後にして。」
ジャン「だよな!わかってるって!」
ユミル「ジャンさんも果敢に攻めるなぁ...」
クリスタ「ユミル!すごいよ!星の形が見えるの!」ジー
ユミル「ああ。そりゃよかったな」
アルミン「クリスタ。ちょっといいかい?」
クリスタ「なに?」
アルミン「こうやって...倍率を変えて」
カチャカチャ...
アルミン「月もなかなかいいよ」フフフ
アルミン「方向を合わせて...はい。覗いて観てよ」ニコニコ
クリスタ「うん」ドキドキ
クリスタ「!!...これは何?月..なの?」
アルミン「驚いたかい?」フフフ
アルミン「月の表面の陰が見えるだろう?普段見る皿の様な蒼白い月も実はあんな風に凹凸があるものなんだ。僕らはこんなことも知らずに月を見上げて生きているんだよ。」
アルミン「この世界には僕らの知らない事がまだ沢山あるから。僕はこの目で確かめたいんだ。」
クリスタ「アルミンって凄いね」
アルミン「え?」
クリスタ「私はそんな風に考えられないよ。今、月を見たときも少し怖いって思ったから。」
クリスタ「知らないうちは気にならない事もね、知ってしまうと大きな存在になることもあるでしょう?」
クリスタ「だから...上手く言えないけど...」
アルミン「そうだね。でも、僕は知って後悔するより知らずに生きていることが怖いんだ。生まれた意味を持たないようでね」
クリスタ「アルミン..。私もアルミンみたいに強く生きれるかな?」
アルミン「僕は強くはないよ。エレンやミカサが一緒に居てくれるから...だから前に向かって生きようと思えるんだ」
アルミン「クリスタにも仲間がいるじゃないか。僕だってその...///つもりだけど?」
クリスタ「そうだね。私も強く生きなきゃ。」ニコッ
アルミン「そうだよ。」ニコニコ
「はいはい。邪魔するよ。」
アルミン「うわっ」ビクッ!!
ユミル「アルミンさんよー私の天使といい感じになってるとこ悪いんだけどよー。」ガシッ
アルミン「うわっ!やめてよユミル!僕はただ、話をしていただけで...」
ユミル「口説こうたってそうはいかねぇからな!」ワシャワシャ
アルミン「ちょっと!髪がくしゃくしゃになっちゃうよ」
クリスタ「やめてよユミル!アルミンと話をしてただけでしょ!アルミンは何も悪くないんだから!!」
ユミル「こいつだってどうだか。男なんざ下心無しにとは言えねぇはずだが?」
ジャン「お前ら何やってんだ!?痴話喧嘩なら昼間にやれよ」
アルミン「ジャン!助けてよ!ユミルが勘違いをして僕を...もうやめてってば!」
ユミル「うるさい。クリスタに手を出す奴は私が許さん」グリグリ
ミカサ「何をしているの?」
ユミル「こいつがクリスタに手出そうとしてたからお仕置きしてんだが?」アタマグリグリ
アルミン「痛い痛い!誤解だって言ってるだろう!」
アルミン「ミカサ助け......なくていい。」ボソ
ユミル「ああ?なんか言ったか?」
パシッ ブンッ!
ユミル「うおっ!?いきなり女の手を掴むんじゃねぇよ!」
アルミン「やめろって言ってるだろ!」
ユミル「はっ。凄んでも全然恐くねぇよ。お前」ケラケラ
ミカサ「それ以上アルミンに危害を加えるなら、私にもそれなりの大義ができる。」
クリスタ「ちょっとユミル!!せっかくの皆の穏やかな雰囲気が台無しでしょう!」
ユミル「おいおい。クリスタまで...あーあーわかりましたよ。おとなしくしてりゃいいんだろ。私は。」ヘイヘイ...
クリスタ「ちょっとユミルどこいくの?」
ユミル「バカと芋の様子見てくる。」
ガサガサッ
サシャ「だから...芋は...やめてください...よう」ハァハァ...
ユミル「!!..びっくりするだろ!どこから出て来てんだよ!」
コニー「てめぇ..サシャ...待ちやがれ...誰が...狩人は森で迷わない...だ。すげぇ遠回りしてたじゃねぇか...」ゼェゼェ...
ユミル「...。本当にバカだな。」
ーーーー
ーーー
ーー
サシャ「もう!ジャン!早く代わってくださいよ!」
コニー「後がつまってんだ!」
ジャン「あのな...。今、ようやく俺の番なんだ」
ジャン「お前らは勝手に道に迷った挙げ句に人の順番で急かしやがって...ワーワーギャーギャーうるせぇんだよッ!!」
ナンダト!!スキデマヨッタワケジャネェゾ!!
ソウデスヨ!!ダイタイソンナニサイショハノリキジャナカッタジャナイデスカ!!
グッ...ソレトコレトハカンケイネェダロウガ!!
ギャーギャーワーワー
エレン「あいつら...何で騒いでんだ?」マッタク
ミカサ「おそらく順番待ちが苦手なので取り合いしている。」
エレン「ガキかよ...。」ハァ...
エレン「ミカサ」
ミカサ「はい」ビクッ
エレン「月も出てるし少し歩くか。あっち行こうぜ」
ミカサ「//...うん」
ーーー
ーー
ミカサ「エレン」
エレン「なんだよ?」
ミカサ「懐かしいね。」
エレン「...。ああ。ガキの頃よく星空眺めてみたな。」
ミカサ「カルラおばさんから早く寝なさいってよく怒られたね。」
エレン「ミカサまで風邪引いたらどうするんだ...ってな。」
ミカサ「夜に飲む温かいミルクはとても美味しかったのを覚えてる。」
エレン「...。」
ミカサ「...ごめん」シュン...
エレン「...謝る事かよ」
ミカサ「でも、またこんな事ができるなんて...。エレン...次はいつできると思う?」
エレン「は?なんだそりゃ?いつできるって...訓練所からでも見れるだろ?」
ミカサ「...。」
ミカサ「...そうね」
ミカサ「...また見れるよね?」
エレン「なんだよ?どうしたんだよ急に?」
ミカサ「私は怖い。もう、今こうやって過ごす時間が訪れる事は無いのだと思うと...とても不安になることがある」
エレン「それがどうした。」
ミカサ「え?」
エレン「当たり前だ。そんなこと誰でも不安に感じてる。それでも生きていくんだろ?」
エレン「俺は諦めたりしない。奴らを全員ぶっ潰して、安心して人が生きていける様にする。壁の外側でも内側でもだ。」
ミカサ「...。うん」
ミカサ「ねぇエレン。お願いだから...」
エレン「?」
「おーい!!」
ミカサ「!」
エレン「!...どうした!?アルミン?」
アルミン「..大変だ!!エレン!ミカサ!!大変なんだよ!!」ハァハァ..
エレン「お、落ち着け!どうしたんだよ!?」
ミカサ「何かあったの!?」
アルミン「とにかく来てくれないか!クリスタとユミルが!...」
ーーー
ーー
ジャン「...どうした...まだか...アルミンは!」ガシッ..グググ..
ユミル「ジャンさん!!...つべこべ言ってねぇでコニーの脚をしっかり持ってろよ!!」
コニー「やべぇ...手が痺れてきやがった...」グググ...
サシャ「コニー...絶対に離しては駄目です」アハハ...ハァハァ
クリスタ「...もう...いいよ。ここのままじゃコニーまで...」ウル..グスッ
コニー「おいおい...俺様がこんな事も出来ないひ弱な野郎に見えんのかよ...」
ユミル「おい...芋女。私はいいからクリスタを引き上げに行け」
サシャ「...何言ってるんですか!?そんなことできるわけないじゃないですか!」
ユミル「聞け!...ここのままじゃいずれ谷底だ。私を捨ててクリスタの方に加勢に行け。」
サシャ「嫌です!」
ユミル「バカ野郎!言うこと聞けよ!!とっととクリスタを助けに行け!!」
サシャ「諦めません...こうなってしまった元の原因は...私にも責任がありますから...」
ユミル「責任どうこうじゃねぇんだよッ!!」
サシャ「...仲間を見捨てるなんて...私には出来ませんから」エヘヘ...ンググ..ハァ
ユミル「...。」チッ
ユミル「本当の馬鹿だな。お前...」
ーーー
ーー
ダッダッダッダッ
アルミン「コニーとサシャが望遠鏡を転がしちゃって...それで慌ててクリスタがそれを拾いに行こうと...」ハァハァ...
アルミン「崖で足を滑らしてそれをユミルが助けに行ったんだけど...」ハァハァ...
エレン「やべぇ事になってるのは大体わかったよ」
アルミン「ミカサは?」ハァ..ハァ
エレン「あいつならとっくに行っちまった。相変わらず足速ぇな...」
ーーー
ーー
コニー「もうだめだ!!やばいぞ!!」...グググ...
クリスタ「いいよ。コニー。もう...いいから」
ジャン「てめぇコニー!!さっきのは嘘かよッ!!もう少しがんばれッ!!」
ユミル「離すなよ!!離したら私がお前を殺す!!」
サシャ「ユミル!動かないでくださいよ!!落ちますからッ!!」
ミカサ「大丈夫!?」
サシャ「!!..ミカサぁぁ助けてください!!」
ユミル「ミカサか!?」
ユミル「サシャはいいから、ジャンの方を引き上げてくれッ!!」
ミカサ「わかった」ダッ
ミカサ「ジャン。一気にコニーごと引き上げる。タイミングを合わせて。」ガシッ
ジャン「わかった!...おい!コニー!!最後の力を振り絞っとけよ!!」
コニー「なんでもいいから早くしてくれッ!!」
ジャンミカサ「せーの...」
ググググ...
ジャン「もう...少しだ..」
ググググ...
コニー「早く...してくれ...」ンググ...
ミカサ「クリスタ手を伸ばして」
クリスタ「んん...」
ガシッ...グイッ!
ユミル「やった!クリスタが上がった!!」ハハハ
ズルッ...
サシャ「あの......もう...限界です...」フラッ
ユミル「!!」
ジャン「コニーもう少しだ.....あ?...やべぇぞ!!サシャが!!」
コニー「待て待て!俺を引き上げてからに...」
ミカサ「くっ」
(駄目だ。コニーを離せない)
クリスタ「ユミル!!サシャッ!!」
ダッダッダッダッ...ガシッ!!
エレン「危ねぇ!!」グググ...
アルミン「大丈夫か!?二人とも」ングググググ...
エレン「誰か手伝ってくれッ!!サシャが意外と重いんだよ!」
アルミン「ユミル!さあ手を伸ばして!」
ユミル「...悪りぃな」ガシッ
ーーー
ーー
エレン「全員無事か?」ハァ...ハァ...
アルミン「みたいだね...」ゼェゼェ...
ユミル「ったく...バカどものせいで
とんだ目に遭っちまったじゃねぇかよ...」ジロッ
コニー「だから...わざとじゃ無いって言ってるだろ!」
サシャ「そうですよ!あれはコニーが望遠鏡の方向を無理やり向けようとするからその結果ですね...」
コニー「あっ!サシャてめぇまた俺に罪を擦り付けようとしてねぇか!?」
ユミル「お前ら本当にそこの崖から落ちろ!」
クリスタ「もうユミルそんなこと言わないの」
ジャン「エレン!大体てめぇはなんで後から来てんだよッ!!もう少し遅かったら」
エレン「はあ?間に合ったからいいだろ別に。日頃から訓練で手を抜いてるから人ひとり引き上げられねぇんだろうが!!」
ジャン「てめぇ....もう一回言ってみろッ!!」
アルミン「もう!止めなよ!二人とも!少しは落ち着いて!!」
ガシッ
ジャン「誰だよ!!うるせぇな!肩を掴むんじゃねぇ離せよ!」
ミカサ「...。」ジィーー
ジャン「...あ」
クリスタ「?...!!」
クリスタ「みんな見て!!空が!!」
コニー「は?マジかよ...」
サシャ「え?えぇー!!」
ユミル「ほう...」
ジャン「これは...」
エレン「どうなってんだ?星が降ってくる!?」
ミカサ「......綺麗」
アルミン「......凄いぞ!流星群だッ!!まさかこの目で見られるなんて...」
サシャ「は!コニー!!願い事!願い事ですよ!
これだけ流れてれば願い事もかなう筈です!」
コニー「おお!そうか!」
ユミル「大した馬鹿だ...」
クリスタ「ユミル...綺麗ね」ニコッ
ユミル「...ああ」
ユミル「...」
(お前を死なせたりはしない...絶対に...)
クリスタ「どうしたの?どこか痛いの?」
ユミル「//...どうもしねぇよ」
(...馬鹿だな。私も...)
ジャン「凄いな...こんなに流れ星だらけの夜空は初めてだ」ポカーン
エレン「シガンシナでもこんなの見たことねぇ...」ポカーン
アルミン「本にも詳しくは書いてなかったけど、とても長い周期で起こる現象らしい。」
エレン「どれ位だ?」
アルミン「数年、もしくは数十年の周期らしいよ。誰も観察して記録に残した人がいないんだけどね。星空どころじゃないからね。」
ジャン「まぁ、次に見る頃には皆おっさんになってるって事だな」
アルミン「そうだね。」ハハハ
エレン「ミカサ!俺たちは運がいい...おい?どうした?具合でも悪いのか?」
ミカサ「...」
アルミン「あ!...エレン。今はミカサをそっとしておこう」
エレン「だって眼を瞑って手を口元で組んだまま動かないぜ?」ホラ
アルミン「いいからいいから」ニコニコ
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーー
ミカサ「......。」グスッ...グスッ..
アルミン「...きっとそういう星の下に生まれついたんだよ...エレンは」
ミカサ「......。」グスッ..
アルミン「...。」
ミカサ「...私はただ」
ミカサ「そばにいるだけでいいのに」
ミカサ「...それだけなのに...」
ツカツカツカ...
「なぁお前ら」
「腹へっただろ?」
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