承太郎「ごめん無理だわ」(113)
オラァッ!!
バシィッ!
承太郎「ぐっ!」
DIO「ザ・ワールドは最強のスタンドだ。時間を止めずともスタープラチナより上なのだ!」
承太郎「オラオラオラオラアッ!!」
DIO「ラッシュの速さ比べか!」
ガンガンガンガン
ガンガンガンガン
DIO「やはりザ・ワールドの方がパワー精密さともに上だ」
承太郎(……どうすんだよこれ)
DIO「時は動き出す!」
承太郎「オラオラオラオラオラアッ!!!」
シュンッ ザクッ!
承太郎「ぐっ…… ううう!」
ドグオオオン!!!
DIO「止まった時の中にいられるのは、このDIOだけだ」
DIO「さて、あとはポルナレフか…… 逃げたとも思えないが、どこへ行ったんだ」
承太郎(やれやれだぜ…)
承太郎(ちょっと休んでいよう)
承太郎(どうする… このナイフ攻撃をもう一度食らったら逃げ切れないし)
承太郎(ここは死んだフリでどうにかやり過ごすとして)
承太郎(どうにかしてヤツの頭を吹っ飛ばさねば……)
承太郎(……無理っぽいな)
クルリ
DIO「やっぱり念には念を入れておくとするか」
DIO「死んだフリをしているだけかもしれん」
DIO「ジョースターの血統には完全にトドメをさしておこう」
バキボキ
承太郎(野郎…! 朝まで死んだフリをするつもりが…!!)
DIO「とどめだ承太郎!!」
カッ!!
ポルナレフ「くたばりやがれ! DIOッ!」
承太郎(やった!)
承太郎(なんてこった… わずか1レスの間にポルナレフがやられちまった)
承太郎(しかもDIOはポルナレフに先にトドメをさす気でいやがる!)
DIO「これで最後の一人…… ん?」
ポルナレフ「……」
ポルナレフ(DIOは承太郎にトドメを指そうとする途中だった……)
ポルナレフ(ヤツの性格からして、念のため承太郎には一刻も早くトドメをsあしたいはず!)
ポルナレフ(さぁ、俺はもうさっきの反撃で死んでいるぜ!)
承太郎(ポルナレフ……! まさかあの野郎ッ!)
ポルナレフ(俺に構ってる場合じゃねぇ! とっとと承太郎のところへむかうんだDIO!)
DIO「なんだ、ポルナレフはもう死んだのか…?」
DIO「そういえば、ヴァニラ・アイスとの戦闘でだいぶ負傷したはずだ」
承太郎(そうだっけ……?)
ポルナレフ(やっべぇ、自分のこととはいえ忘れてたぜ……)
承太郎(ちょっと手当てしただけで元通り動き回ったりしてたしな)
ポルナレフ(でもまぁ、イギーも前足なくしたわりに元気そうだったから、まぁいいだろ)
DIO「まぁポルナレフなら生きててもいいか。先に承太郎を始末しよう」
承太郎(なん… だと……)
ポルナレフ(うおおおお! やったぜ!)
ピクッ
DIO「ん…?」
ポルナレフ「」ギクッ
DIO「気のせいか…? 今ポルナレフの死体が動いたようだが」
ポルナレフ(しまった、つい気が緩んじまったぜ……)
承太郎(おい迷ってる場合じゃあねーだろDIO! ポルナレフが生きてるんだぞ!)
DIO「……なんだか、さっき承太郎が止まった時間の中で動いたときの事を思い出すな」
ポルナレフ(オイなんだよそれ!? もうDIOの能力破っちゃったのかよ!)
DIO「縁起が悪い。やっぱりポルナレフから先に始末しておこう」
承太郎(ううむ……)
承太郎(ここでポルナレフを助けるのはたやすい。俺が起き上がればいいだけだ)
承太郎(しかも、ハッキリ言ってけっこうのんびりできたから、体力も回復したぜ)
承太郎(だが……)
ポルナレフ(やっべぇぇえええ!! DIOがコッチにむかって来てるぜ!)
ポルナレフ(どうにかして承太郎の方に興味をそらさなくちゃ俺まで殺されるぜ!)
承太郎(助けないとダメかな…… やっぱり)
DIO「さよならだ、ポルナレフ」
ポルナレフ(フヒョオオオオ!!!!)
承太郎(仕方ねぇ…)ムクッ
承太郎「待ちやがれDIO!! おれは生きているぜ!」
ポルナレフ(ナイス承太郎! つーか生きてたのかよ!)
DIO「なんだと… やはりジョースターの血統か…」
承太郎(う~ん…… 立ったはいいけど、どうすりゃいいんだよ……)
承太郎(このまま戦っても勝ち目はないし、絶対にげきれない…… ならあれしかないか)
承太郎「なぁ、DIO…… ひとつ提案があるんだが」
DIO「どうした? お前の遺言になるのだ。聞いてやろうではないか」
承太郎「考えてみたんだが、引き分けにしないか?」
DIO「ふざけるな! 今更引き分けなど!」
承太郎「実は俺の母親がスタンド能力を暴走させていてな… 体に過剰な負担がかかっている状態なんだ」
承太郎「お前を殺せば治ると思っていたが、それを解除してくれれば、俺たちはもう戦わなくていい」
ポルナレフ(え…)
DIO「だがこのDIOにとって、ジョースターの血統は放っておけんのだ」
承太郎「そのジョースターの力を利用させてやるぜ… 俺とじじいに肉の芽を植えな」
DIO「……」
承太郎「お前の望みは何だ? 大方、世界征服か何かだろう? 昼間でも動ける部下は必要だと思うぞ」
DIO(ジョースターを部下に…)
DIO(最後にどんな反撃をしてくるかわからんヤツらだ。いっそ管理した方がいいかもしれんな)
花京院「ハッ! ……ここは?」
承太郎「よぅ花京院。気がついたか」
ジョセフ「ここはスピードワゴン財団の病院じゃ」
花京院「二人とも、まさか……」
ポルナレフ「俺もいるぜ! お前より一足先に眼がさめたんだ」
花京院「いや、それより… 承太郎とジョースターさんの額についているのは……」
承太郎「肉の芽だ」
花京院「するとDIOは!?」
DIO「いるよ」
花京院「ど、どうしてお前がここに!? ジョースターさん、戦うのではなかったのですか!?」
DIO「そのジョースターと承太郎の頼みでこのDIOがついてきたのではないか……」
承太郎「まずは日本に連れて行って、俺の母親を治させる」
花京院「できるのか… DIO本人といえど……」
DIO「確信はないが、できることはやってみるさ」
DIO「母親は大事にしないとな」
承太郎(コイツ、母親の話をしたら幾分か態度が変わったような……)
承太郎(なにかトラウマでもあるのか?)
ジョセフ「本当にもういいのか?」
ホリィ「ええ、体が軽いわ! もう何も怖くないわ!」
ジョセフ「ハハハ、変な冗談はよせ」
DIO「やってみれば意外と簡単だったな」
ホリィ「あなたがDIO……」
DIO「ああ、首から下はジョナサン・ジョースターだがね」
ホリィ「日本へ来るのは初めてでしょう? ゆっくりしていってください」
DIO「お言葉に甘えさせてもらうとしよう。少し家の中を見物していいか?」
——夜——
DIO「日本人は草の上にマットをしいて寝るのか…… よくわからん連中だな」
承太郎「これは畳というんだ」
DIO「まぁいい。ともかく棺以外で寝るのは久しぶりだな」
ジョセフ「慣れると快適だぞ。それよりDIO、これからのことだが……」
DIO「……」クカー
承太郎「さすが肝っ玉が座っているぜ……」
ジョセフ「わしらも寝よう。話はあとじゃ」
——数日後——
DIO「さて、充分休暇をとったし、そろそろエジプトに帰るとするか」
ホリィ「もうしばらくいてもいいのよ」
DIO「そうはいきません。やらねばならないことがあるのです」
承太郎「そのことなんだがな、DIO」
ジョセフ「お前の目的だった世界征服なんだが… 本当にやるのか?」
DIO「何を怖じ気づいている? 俺たち三人なら不可能などない!」
承太郎「不可能というかだな… やめておいた方がいいぞ」
DIO「どういうことだ?」
承太郎「お前が寝ている100年の間に、世の中もずいぶん変わったのだ」
DIO「それなら知っているぞ。わたしはアメリカを旅してきたこともあるのだ」
DIO「だが心配するな。所詮相手は人間なのだ。我々の敵では…」
ジョセフ「紫外線照射装置ッ!」ズビー
DIO「痛い痛いいたいやめて!」
承太郎「……わかったか?」
DIO「こ、こんな作った光で……」
ジョセフ「紫外線照射装置ッ!」ズビー
DIO「やめていたい」
ホリィ「パパ! DIOさんをいじめちゃいけません!」
DIO「人口の太陽光線ということか…… だ、だがわたしは組織の首領ではないか」
DIO「自ら赴くことなどなくとも、厳重に館の警備をかためておけばだな……」
承太郎「人口の太陽といえば、もう一つあるんだぜ」
ジョセフ「ああ、こんなオモチャなどかわいいものよ」
承太郎「いいかDIO、スタンド使いに警備させていようとも」
ジョセフ「館ごと吹っ飛ばされたら吸血鬼のお前は一巻の終わりだ」
DIO「そんな能力があるのか……」
承太郎「世界を相手に戦うとなると、うるさいのがな……」
ジョセフ「ここじゃ何だ。日が暮れたら図書館に行こう」
——図書館——
——『平和を考える』コーナー——
承太郎「あったぞ。英語版なら読めるだろう」
DIO「はだしのゲン……?」
ジョセフ「お前が寝ている間の出来事がかいてあるぞ」
DIO「コミックで歴史を描くのか…… アメリカにはなかったスタイルだな」
・
・
・
DIO「……なぁ、ジョースター…… もう一度念を押しておきたい」
ジョセフ「言っておくが、ピカは実在するぞ」
DIO「し、しかし…… 一度亜空間にでも退避して凌げば……」
承太郎「一発や二発じゃあねぇ。この地球上に数万発はあるぜ」
DIO「それでこの時代の者は全員正気をたもっていられるのか…… どういうことだ」
承太郎「考えてみればゾッとする話だが、生まれた頃からその状況なんでな」
DIO「……お前たち、ひょっとしてもう常に『征服されている』状態なんじゃあないのか?」
ジョセフ「なかなか鋭いことを言うのぅ」
プッチ(DIOがどうやら今度は日本に行っているらしい)
プッチ(旅行を兼ねて、手紙の差し出し元の住所を訪れてみたはいいが……)
プッチ(これか? 『空条』の文字が一致している… この家のようだ)
ピンポーン
ガラッ
承太郎「神父さんかい? 勧誘ならお断りだぜ」
プッチ「この手紙の男に会いに来たんだ。いるんだろう?」
ジョセフ「DIO~! お前の友人という神父さんが来ているぞ」
DIO「ああ、プッチか…… よく来たな」
プッチ「心配したぞ、DIO! 仲間のスタンド使いを探すのは順調かい?」
DIO「ああ、あれか… もういいんだ……」
プッチ「どうして!? 天国に行くんじゃあなかったのか!?」
DIO「この空条の屋敷に寝泊まりして、食事はスピードワゴン財団が輸血用の血液を送ってくれる」
DIO「時々、吸血鬼の研究用資料を提供して小遣いも稼げる」
DIO「その金で昼間からゲームにインターネット、夜は散歩」
プッチ「そんな自堕落な生活をしていたらいけないよ! ここを出よう!」
DIO「やめろ! ここだけがわたしにとって天国なのだ!!」
ジョセフ「肉の芽ももう取っちゃったし、好きなだけいていいぞ」
おわり
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