レイ「綾波レイ解体新書」 シンジ「えっ」 (118)
前スレ:マリ「アスカ解体新書?」 シンジ「うん」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1385/13856/1385615871.html)
マリ「アスカ解体新書?」 シンジ「うん」 の続編にあたります
前作はSSちゃんねる様でまとめられているようです、ありがとうございます
●注意
解体新書シリーズはエヴァンゲリオンANIMA及び、公式設定ではないエヴァ2の設定を多く引用、改変し独自設定を行っております
よって、デアゴスティーニ・ジャパン発行のエヴァンゲリオン・クロニクルの解説と異なる点が多々あります
エヴァ独特の難解な単語があります
アスカ解体新書の続編ですので、アスカが既にシンジにデレています
●前作で分かりにくかった点の簡単な説明
解体新書シリーズはメタ世界線のシンジとマリが神の視点で掛け合いをしながら、“お話”の解説をしていくという形式です(モデルはモバマスSSのPと小島嬢のやりとり)
メタ世界線はエヴァANIMAとは異なった、EOE(旧劇場版)からの分岐後四年がたった世界です
“お話”自体は、メタ世界線のシンジの体験記に近いものです
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391263519
学校屋上、昼休み
トウジ「しっかし、久しぶりに三人で昼飯やな! せんせは最近付き合いわるかったからのう」
シンジ「アスカ、今日はネルフ本部に缶詰だからね。こんな時ぐらいしかアスカは離れてくれないから」
ケンスケ「ノロケかよ。これは、根掘り葉掘り聞き出さにゃいけませんなぁ」
シンジ「はは、そう来ると思ったよ。……お手柔らかに」
ケンスケ「まずは、そうだな……最近の惣流との関係について詳しく!」
トウジ「おおう、ええのう!」
シンジ「関係ねえ、付き合う前とあまり変わらないかな」
ケンスケ「……変わらない? 付き合うっていう言葉の意味はそんなもんじゃないだろ!」
トウジ「なんか、こう……お互いを意識しだしてから、違うもんもなんかないんか?」
シンジ「ボディタッチは増えたかな。こう、お互いに寄りかかる感じ?」
シンジ「リビングで特に何もしなくても、どこかしら、体は触れ合ってる気がする」
シンジ「アスカ、やっぱりクォーターだから少し体温が高いみたいでさ、それが何だか生きてるって感じがして」
シンジ「そんなアスカのエネルギーを僕がもらってるみたいで嬉しいんだ」
シンジ「後、アスカはやっぱりいたずら好きでさ」
シンジ「いきなり後ろに回りこんで、耳を甘咬みしてくるし」
シンジ「料理中に、腰に手を回してきたりとかは毎日だよ」
トウジ「……で、せんせからは?」
シンジ「忙しい時はされるがままかな」
シンジ「僕からアクションを起こすことは少ないけど」
シンジ「寝る前だとか、どこかに出かける時とかは僕の方から動いて、アスカの我儘を聞いてあげてるかな」
トウジ、ケンスケ「「イヤーンな感じ!!!」」
ケンスケ「シンジ、しーね!しーね!」
トウジ「せんせは既にわし等の届かないところまで行ってしまったんやのぅ……」
シンジ「大袈裟だよ。ただ、毎日アスカの我儘を聞いてるだけじゃないか」
ケンスケ「あら奥様聞きました? ただの我儘ですって!?」
トウジ「ほんまや! まったく、けったいな話やな! どう考えても惣流が甘えとるだけやろ!」
トウジ「あんなに幸せオーラを出してるちゅーのに!」
シンジ「二人共、キモいよ……」
トウジ、ケンスケ「「キィィィイイイイイ!!」」
レイ「……幸せオーラ?」
シンジ「あ、綾波!?」
シンジ「何時からそこに居たの?」
レイ「さっきから」
ケンスケ「さっきからっていうと、シンジと惣流のイチャバナを最初からかよ」
トウジ「綾波。お前、胸焼けせえへんかったか?」
レイ「……? よく、分からないわ」
トウジ「さよか……」
レイ「それより、碇君。これ」スッ
『綾波解体新書』
シンジ「」ガタッ
ケンスケ「ん? その黒い表紙……綾波のプロマイド!?」
トウジ「綾波、何でそんなもんをシンジに……」
シンジ「(これは、ヤバイ気がする!)」
シンジ「トウジ、ケンスケまたね! 綾波ちょっと来て!」
トウジ、ケンスケ「「イヤーンな感じ!!!」」
レイ「碇君?」
シンジ「いいから! 下の音楽準備室に行くよ」
レイ「分かったわ」ドタドタ
音楽準備室
シンジ「これ、誰から」ピラピラ
レイ「碇司令よ」
シンジ「(父さん……。ナニ考えてるのさ!?)」
シンジ「(しかも、認可印にE計画担当責任者……これってリツコさんだよね)」
シンジ「綾波、これ読んだの?」
シンジ「ええ」
シンジ「ちなみに、感想は」
レイ「……心がむず痒い感じ」モジモジ
シンジ「!!!」
シンジ「(透き通るような綾波の白い肌に少し紅が指した)」ドキドキ
シンジ「(って、僕は何をドキドキしてるのさ!?)」
レイ「碇君?」ウワメズカイ
シンジ「うっ」
シンジ「……」
シンジ「綾波。父さんとリツコさんには『分かった』って伝えておいて」
レイ「ええ」
レイ「碇君は?」
シンジ「僕は加持さんを問い詰めてみる」
↑ ミスです 修正します
シンジ「(透き通るような綾波の白い肌に少し紅がさした)」ドキドキ
シンジ「(って、僕は何をドキドキしてるのさ!?)」
レイ「碇君?」ウワメズカイ
シンジ「うっ」
シンジ「……」
シンジ「綾波。父さんとリツコさんには『分かった』って伝えておいて」
レイ「ええ」
レイ「碇君は?」
シンジ「僕は加持さんを問い詰めてみる」
ざーんこくーな てんしのようにー しょおねんよ しんわになーれ
シンジ「こんにちは。碇シンジです」
マリ「真希波・マリ・イラストリアだにゃ」
マリ「で、わんこ君。今日は何をするのかね?」
シンジ「……僕が頑張って床下に隠していた『綾波解体新書』」
シンジ「これの解説をしていきたいと思います」
シンジ「というか、僕のプライベート空間を勝手に侵食しないでよ!」
マリ「まぁまぁ、よいではないか。姫には黙っておくからさ」
シンジ「……ほんと、頼むよ」
マリ「まずは前回のおさらいからだね」
シンジ「時系列は母さんの命日の翌日。僕とアスカが結ばれた次の日からですね」
マリ「補足しておくと、今の姫の精神状態はすんごく安定してるよ」
マリ「どれぐらいかというと、エヴァとわんこ君ならわんこ君を取るぐらいかにゃ」
シンジ「碇シンジは惣流・アスカ・ラングレーにとって初めて、エヴァのパイロットとしてのフィルターを通さずに接してくれる人間ですからね」
シンジ「確かに、アスカは安定しています。ですが」
マリ「その均衡はとても危ういもの……そして、真の恋敵(ライバル)として登場するレイちゃん!」
マリ「わんこ君の腕前が試されますなぁ~」
ジオフロント
スイカ畑
シンジ「加持さん! 綾波の件、どういうつもりなんですか!」
シンジ「『綾波解体新書』に加持さんの協力があったのは分かってますからね!」
加持「まぁまぁ、落ち着いたらどうだ? 碇シンジ君」
シンジ「僕は落ち着いてます! それより加持さん説明してください!」
加持「分かった、分かった。ちゃんと説明する。約束するよ」
加持「(ここは司令を悪者にしてしまおう……)」
加持「俺もしがない公務員だということさ」ハァ
加持「シンジ君には本当に悪かったと思っている」
加持「ただ、君のお父さんのたっての希望には逆らえない」
加持「まことに、すまない」ペコリ
シンジ「……」
シンジ「そんな、頭を下げるなんて……ズルいですよ加持さん」
加持「(乗り切った)」
シンジ「僕はどうしたらいいんですか」
シンジ「綾波には悪いし、アスカを……裏切るようなことは出来ません」
加持「……男の顔をするようになったな、シンジ君」
加持「だが、一つだけ付け加えさせてもらうよ」
加持「碇司令のオーダーは二人のお姫様を同時に幸せにすることだ」
加持「俺はね、シンジ君。君を自分の死んだ弟のようだと思っている」
加持「だから、アスカも君に任せられた」
加持「俺の見込んだ男だ。俺がアスカ解体新書で教えたことは、君の血肉となっているはずさ」フッ
シンジ「……」
シンジ「分かりました。やって、みます」
加持「分からないことがあれば何でも聞いてくれればいい」
シンジ「はい」
加持「……レイちゃんは特殊だがとても飲み込みが早い、良い子だよ」
加持「アスカ共々、大切にしてやるんだぞ」
シンジ「はい、ありがとうございました」
加持「いいって事さ」
加持「(やりましたよ、碇司令)」
シンジ「今思えば、加持さんは下衆の極みですね」
マリ「開口一番に謝って出鼻を挫いて、それからゲンドウ君を使って同情心を煽って、で相手を嫌味なく褒める……策士だにゃ」
シンジ「諜報のプロですから、中学生を言いくるめるなんて楽なもんですよ」
シンジ「当然、僕が綾波ことを憎からず想っている事も見透かしている訳ですからね」
シンジ「観察眼……僕が加持さんから一番よく言われたのがコレですね」
シンジ「極端に言えば、会話の内容なんてどうでもいいんですよ」
シンジ「相手が想定している、聞きたい答えや反応を正しく相手に返してあげることです」
シンジ「人間、相手に相談している時は大体、自分の中で結論が出来ています」
シンジ「それを、追認してあげて、安心させてあげることがポイントなわけです」
マリ「(そういえば、このわんこ君も相当だった)」
↑ミスです、やりなおします
シンジ「今思えば、加持さんは下衆の極みですね」
マリ「開口一番に謝って出鼻を挫いて、それからゲンドウ君を使って同情心を煽って、で相手を嫌味なく褒める……策士だにゃ」
シンジ「諜報のプロですから、中学生を言いくるめるなんて楽なもんですよ」
シンジ「当然、僕が綾波のことを憎からず想っている事も見透かしている訳ですからね」
シンジ「観察眼……僕が加持さんから一番よく言われたのがコレですね」
シンジ「極端に言えば、会話の内容なんてどうでもいいんですよ」
シンジ「相手が想定している、聞きたい答えや反応を正しく相手に返してあげることです」
シンジ「人間、相手に相談している時は大体、自分の中で結論が出来ています」
シンジ「それを、追認してあげて、安心させてあげることがポイントなわけです」
マリ「(そういえば、このわんこ君も相当だった)」
ちょっちコンビニへ…
モバマスじゃなくてアイマスですね…
ちひろ様お許し下さい!(ガチャガチャ)
マリ「で、今のレイちゃんからわんこ君への好感度はどれくらいなのかにゃ?」
シンジ「その前に、綾波の今の精神状態について話さなければなりません」
シンジ「ところで、真希波。綾波って今何歳だと思う?」
マリ「何歳って、姫たちと同じ15歳でしょ?」
シンジ「違います」
シンジ「『今の綾波』の年齢は5歳なんですよ」
マリ「!?」
シンジ「2010年。それが、『今の綾波』の誕生日なんです」
シンジ「詰め込み式の教育や肉体への投薬などで、僕たちと同じ年代まで頭と体は成長していますが」
シンジ「心は……どうでしょうか?」
マリ「アスカ解体新書でわんこ君が、『綾波はこの時期では恋愛とかに意識が向かないんですよ』と言ったのも、そういう事?」
シンジ「ええ、いくつか理由がありますが、これに関係しています」
シンジ「物語当初の綾波は精神的にまだ未成熟で、社会との関わり方が僕やアスカより下手です」
シンジ「零号機の実験で何故か一番最初に救助に行った父さんに対して、心を開いていたのも……」
マリ「レイちゃんもまた、大人の人からの愛情に飢えていた……と」
シンジ「ええ。僕やアスカとはまた違った形ですが」
シンジ「で、話を戻して今の綾波の僕に対する好感度ですが……35ぐらいですかね」
マリ「高いんだか低いんだか……微妙だにゃ」
シンジ「ちなみに、父さんの次に僕です。ですが、綾波の場合、一度心を許すと80ぐらいまで一気にいけます」
シンジ「綾波は社会経験が少ないので……極端に言えば、一緒に過ごして、優しく接してあげれば勝手に好感度はジワジワ上がるんですね」
マリ「ふむふむ……で、レイちゃんはまだわんこ君を異性として意識してるわけじゃないよね?」
シンジ「はい。通常なら綾波と数年一緒に過ごして、彼女の心の成長を待たなくてはなりません」
マリ「通常ならという事は!」
シンジ「当然、今回は非常な手段で行きたいと思います」
シンジ「そして、そのキーパーソンはアスカなんです」
眠すぎる…
今日はここまでです
イラストリアスじゃなかった?
あと
>シンジ「(しかも、認可印にE計画担当責任者……これってリツコさんだよね)」
>シンジ「綾波、これ読んだの?」
>シンジ「ええ」
になってるよ
乙
>>27
あー、エヴァオタとしてはアカンミスですね…
すみません
>>11
修正
ざーんこくーな てんしのようにー しょおねんよ しんわになーれ
シンジ「こんにちは。碇シンジです」
マリ「真希波・マリ・イラストリアスだにゃ」
マリ「で、わんこ君。今日は何をするのかね?」
シンジ「……僕が頑張って床下に隠していた『綾波解体新書』」
シンジ「これの解説をしていきたいと思います」
シンジ「というか、僕のプライベート空間を勝手に侵食しないでよ!」
マリ「まぁまぁ、よいではないか。姫には黙っておくからさ」
シンジ「……ほんと、頼むよ」
>>7
修正、シンジがオカマ化しとる…エヴァ2の冬月とのコミュかな?
https://www.youtube.com/watch?v=r26VFYHj1dY
音楽準備室
シンジ「これ、誰から」ピラピラ
レイ「碇司令よ」
シンジ「(父さん……。ナニ考えてるのさ!?)」
シンジ「(しかも、認可印にE計画担当責任者……これってリツコさんだよね)」
シンジ「綾波、これ読んだの?」
レイ「ええ」
シンジ「ちなみに、感想は」
レイ「……心がむず痒い感じ」モジモジ
シンジ「!!!」
再開しますー
アスカ「何でよ! 何であたしを置いていくのよ! シンジィ!!!」ガシャッン!
ミサト「落ち着きなさいアスカ!」
アスカ「黙れミサト! アンタ、シンジに何かあったらただじゃおかないから……」ギロリ
レイ「……」
シンジ「時間は進んで僕がディラックの海に沈んだ回ですね」
マリ「で、屋外でのブリーフィングで、虚数空間に消えた初号機の映像を見て姫が暴れていると」
シンジ「そうですね。では続けましょう」
アスカ「ふざけんな! こんな、N2爆雷の集中運用なんてしたらシンジが無事なわけないじゃない!」
リツコ「アスカ! 何度も説明させないで頂戴! 初号機の確保。これが、最優先なのよ!!」
アスカ「だから、それは初号機であって、シンジの命じゃないでしょうが!」
ミサト「アスカ!」
レイ「……」
リツコ「この作戦は既に碇司令の裁可済みです! いかなる変更も認めません!」
アスカ「このッ!」ガタッ
レイ「待って」
アスカ「何よ、冷血オンナ」
レイ「あなたが暴れても碇君は戻ってこないわ」
ミサト「レイ、そんな火に油を注ぐようなことを……」
アスカ「何ですって! ハン! アンタには分からないか……」
アスカ「あたしはね」
アスカ「シンジが好き。だから、シンジを失うのが何よりも怖い」
アスカ「ただ、それだけよ!」ダッ
ミサト「アスカ……」
チルドレン更衣室
レイ「怖い……? 不安なの?」
アスカ「ええ。あたしはシンジを失うことが何よりも不安」
アスカ「シンジはあたしの恩人。あたしを助けてくれた。あたしはその借りを一生かけて返す義務がある」
レイ「だから、碇君が好きなの?」
アスカ「違うわ。これはあたしが一方的にあいつに思ってること」
アスカ「好きっていう感情はそれとはまた別なのよ」
レイ「よく分からない」
アスカ「……あんたって思ったより幼稚なのね」
アスカ「冷血女ってよりガキ……ガキレイね」
レイ「ガキ? あなたも私と同じ学年のはず」
アスカ「はぁ…」
アスカ「呆れた。こんな奴にちょっと警戒しちゃったのが馬鹿みたい」
アスカ「質問をするわ」
アスカ「……あんたにとってシンジは何なの? 同級生? 同僚? 友達?」
レイ「何を」
アスカ「いいから。あんたさ、シンジの事、好き?」
レイ「……分からない」
アスカ「それは、どういう意味で分からないってわけ?」
アスカ「……」
アスカ「質問を変えるわ」
アスカ「あんた、シンジの横に一緒に居るのは嫌?」
レイ「嫌じゃないわ」
アスカ「そう」
アスカ「なら、想像してみなさい。学校の遠足。あんたはシンジの横でずっと手を握って、木陰で休憩してる」
レイ「……」
アスカ「その時の気持ちは? 体の変化は?」
レイ「……」
レイ「……ぽかぽかする」
アスカ「ふーん、で、何処が」
レイ「胸の奥」
アスカ「へぇ」
レイ「この感覚は何?」
アスカ「自分で考えなさい」
アスカ「敵に塩を送るのはここまで」
アスカ「ただ、まあ……その気持ち、大切にしなさいよ」
レイ「……ええ」
アスカ「あーーもーー!! あたしのバカ! ガキレイにこんな話をしても仕方がないじゃない!」
レイ「???」
アスカ「もう、いい! エヴァのところに行くわよ!」
レイ「分かったわ」
マリ「」
マリ「この、心に残る、サラサラしたモノ。これは何にゃ!」
シンジ「またたびの粉とか?」
マリ「わんこ君、毒舌ぅー!」
マリ「汚されちゃったにゃ……。私の純粋な気持ち」
シンジ「マリは居酒屋にいる酔っ払いのオッサンだろ。何を今更」
マリ「……酷いにゃ」
マリ「それにしても、萌え萌えでしたなー」
シンジ「ですね。母性が見え隠れするアスカ。自分自身を見つめる綾波」
シンジ「ヱヴァQのラストパートを彷彿とさせますね」
マリ「まぁ、わんこ君に攻略された姫がデレデレなのは置いといて」
マリ「で、このぽかぽかですよ、お兄さん!」
マリ「ぽかぽか、ぽかぽかって何だ!」
シンジ「恋煩いとは少し違います」
シンジ「この時の綾波の気持ちはどちらかと言えば親愛のほうが強いです」
シンジ「それを綾波自身もアスカもいまいちよく分かってないんですよね」
シンジ「なので、これから畳み掛けていきます」
シンジ「愛情と親愛の情の区別がつかない間に一気に愛情の方に固定化させます」
シンジ「アスカ解体新書のちょっとした応用ですね」
マリ「解体新書便利すぎだろ……」
使徒戦後
ネルフ病院
レイ「(特に誰かに命令されたわけはなく、自然と足が碇君の病室に向かっていた)」
レイ「(使徒を切り裂いて出てくるエヴァ初号機)」
レイ「(その姿を見て、私は碇君の身を案じていた)」
レイ「(状況は、第五使徒戦の時に近い)」
レイ「(あの時も……入院した碇君の病室に行った)」
レイ「(ただ、あの時は…碇君に使徒戦のスケジュールを伝えるよう、命令があったから)」
レイ「(でも、今は違う)」
レイ「私は、自分の意志でここに居る」
レイ「碇君。寝ているのね」
シンジ「……ぐぅ…すぅ」
レイ「無事でよかった」
レイ「掛け布団が落ちてる…」
レイ「服を着ていないから……風邪をひくわ」バサッ
レイ「……」
レイ「……下半身だけでいいのかな」
シンジ「あれ、ここは……知ってる天井だ」
レイ「起きたのね、碇君」
シンジ「うん。あれ、綾波その……何で僕と手をつないでるの」
レイ「ぽかぽかするから」
シンジ「ぽかぽか?」
シンジ「(どちらかと言えば、綾波の手のほうがひんやりしていて、冷たい)」
シンジ「(でも、嫌じゃやない)」
シンジ「綾波、寒かったりする?」
レイ「いいえ」
レイ「むしろ、温かいわ」
アスカ「」|д゚)チラッ
レイ「惣流さんも、碇君起きたから」
アスカ「(出遅れた! 仕方がないわね)」
アスカ「(しかも、ガキレイ……ちゃっかりシンジの手を握ってる)」
アスカ「(ズルい)」
アスカ「(生還したシンジが最初に見た顔がガキレイだなんて……)」
アスカ「あんたにだけ、シンジを独占させないわ」ドスドス
アスカ「シンジ、手を貸しなさい」
アスカ「空いてるほうの手は左手ね。あたしをマグマの中から、死の淵から引き上げてくれた手」ギュッ
レイ「……」
レイ「右手……。初めて握った方の碇君の手」ギュッ
アスカ「はぁ!? それ初耳なんだけど! どういう事よ? シンジ!」
シンジ「ええっ! いや、第五使徒戦の後、綾波を救出した時にね! ね、綾波!」
レイ「今思えば、あの時の碇君の手も温かかった気がする……」
アスカ「なっ! ふ、ふーん? ま、でもただ手を握っただけだろうし?」
アスカ「あたしとシンジの仲はこんなもんじゃないんだからね!」
マリ「両手に花だねー。それプラスで膝の上か背中に猫はいかが?」ポヨンポヨン
シンジ「マリは露骨過ぎて……」
マリ「畜生! でーもぉ? 三歩進んで二歩下がれば一歩は進んでるんだよね!」パフパフ
シンジ「エヴァANIMAで分かると思うけど、成長したアスカの胸は真希波よりも大きいんだけど?」
マリ「」
シンジ「(でも、真希波のほうが柔らかい…かも)」
マリ「(ほほ~う)」
シンジ「(!?)」
投下完了
続きは夜に20時頃に始めます
>>42
修正
? レイ「(特に誰かに命令されたわけはなく、自然と足が碇君の病室に向かっていた)」
◯ レイ「(特に誰かに命令されたわけでもなく、自然と足が碇君の病室に向かっていた)」
教室
ヒカリ「碇君とアスカの関係?」
レイ「ええ、教えてほしい」
ヒカリ「(ある日の放課後、帰宅しようとした私を綾波さんが呼び止めた)」
ヒカリ「(何かの相談かと思って、学級委員長としては相談に乗らなくちゃと思った私)」
ヒカリ「(でも、これはちょっと予想外)」
レイ「惣流さんは、碇君の手を私に見せつけるように絡めて、二人の仲はこんなものじゃないと言っていたわ」
ヒカリ「そこ! 詳しく!」
レイ「(使徒戦に関することはオブラートに包んで説明した)」
レイ「(それでも、洞木さんには十分だったみたい)」
ヒカリ「つまり、アスカと碇君の仲は手を握ったりハグしたりとか、そんな健全な段階じゃないのよ!」
ヒカリ「もっと、生々しいところまで来てる! これは相田が撮った写真なんだけど」スッ
レイ「場所は、屋上?」
ヒカリ「ええ、そして二人は唇を重ねてるわよね。それも、相手の鼻の穴を塞ぐような勢いで!」
レイ「心肺蘇生?」
ヒカリ「違うわ」
レイ「求愛行動?」
ヒカリ「そうね」
ヒカリ「(そんな学術的な言い方! 不潔よ!)」
レイ「求愛行動なら、この後に交尾に入るはず」
ヒカリ「ええ、ええ! そうね! でも、人間の場合は少し違うわ!!」
レイ「続けて」
ヒカリ「人間の場合は愛の深さを確かめるためにやるのよ」ハァハァ
ヒカリ「碇君の顔は見えないけど、このアスカの顔! 上気して完全に幸せオーラを放出してるじゃない!」
レイ「幸せオーラ?」
ヒカリ「溶けて無くなりたい。身も心も碇君と一つにキャー!!!」
レイ「(身も心も…一つに、融け合う……)」
レイ「……私も碇君と一つになりたい」
ヒカリ「!?」
レイ「洞木さん……どうすれば、碇君と一つになれる?」
ヒカリ「……綾波さん。帰りに私の家に来ない?」(迫真)
ヒカリ「少女漫画とか雑誌……全部貸してあげる」ハァハァ
ヒカリ「そして、実践した経験を後から私に話して!」
レイ「分かったわ」
ヒカリ「(アスカ、ごめん! でも、アスカが碇君との夜のゴニョゴニョをちっとも教えてくれないのがいけないのよ!)」
マリ「ヒカリちゃんェ……」
シンジ「不潔、不潔! とか過度に言ちゃう人に限ってむっつりなのは人の世の常ですね」
シンジ「委員長的には、トウジが綾波のことが好きなのかも……っていう疑惑の解消と」
シンジ「思春期な好奇心の解消……一挙両得で損はないわけです」
マリ「私は姫を売ったりはしないよ!」
シンジ「その姫の王子様に現在進行形で、粉かけてるじゃないか」
マリ「おや~? このわんこ。自分で自分の事を白馬の王子様って言ってるにゃ~」ニャフフ
シンジ「くっ」
シンジ「そして、綾波の体にも変化が起こります」
教室
利根川先生「それでですね。セカンドインパクト前の利根川はですね~」
レイ「(おかしい)」
レイ「(洞木さんから借りた本を数日掛けて、何冊か読んでから……体の調子が変な感じ)」
レイ「(お腹の奥が締め付けられるような……)」
レイ「あっ」フラッ
ガタンッ!
シンジ「綾波!」
ヒカリ「綾波さん! 大丈夫!」
ヒカリ「(顔色が悪い。貧血?)」
シンジ「綾波! 取り敢えず保健室に行こう。立てる?」
レイ「……」フルフル
アスカ「一大事ね。ネルフに連絡するわ」
シンジ「うん」
ヒカリ「(もしかし、綾波さん……?)」
↑ミス
ヒカリ「(顔色が悪い。貧血?)」
シンジ「綾波! 取り敢えず保健室に行こう。立てる?」
レイ「……」フルフル
アスカ「一大事ね。ネルフに連絡するわ」
シンジ「うん」
ヒカリ「(もしかして、綾波さん……?)」
リツコの研究室
リツコ「驚いたわ」
リツコ「貴方の肉体の構造上、起こりえる可能性は限りなく低かったから」
レイ「……」
リツコ「幸い、出血は微量だったわ」
リツコ「初潮よ。その知識はあるわね?」
レイ「はい」
リツコ「まったく、アスカの影響かしら」
レイ「……」
レイ「赤木博士。これは好ましく無い事なのですか」
リツコ「……いいえ」
リツコ「むしろ、喜ぶべきことだと思うわ」
リツコ「生理用品はこちらで用意します」
リツコ「それと、レイ。お肉は無理でも、大豆とか……良質なタンパク質は普段の食生活から摂るようにしなさい」
リツコ「新しい、ミネラル系のサプリメントも出しておくから」
レイ「はい」
リツコ「どれじゃ、もういいわよ」
レイ「ありがとうございました」
プシュー ←ドアが閉まる音
リツコ「……」カチッ
リツコ「ふぅ…」( ´ー`)y-~~
リツコ「母さん」
リツコ「あの子がね。前に進もうとしてる」
リツコ「これでいいのよね?」
マリ「お赤飯ってあまり好きじゃないかなー」
シンジ「言うまでもなく、綾波の正体は第二使徒リリスです」
シンジ「リリスの魂を人間(リリン)の肉体で支える……それがどれだけ無茶なことか」
マリ「旧劇場版では体が限界を向かえていたよね。これは、薬を処方していた赤木博士が拘束されていたからかニャ?」
シンジ「直接的な理由はそうですね。ただ、父さんにとって、綾波の三体目の肉体を長期に維持する必要は無かった」
シンジ「どうせ、補完計画が発動すれば魂は一つになりますからね」
シンジ「それと同様に、リリスとしての綾波なら生殖機能は必要なかったはずです」
マリ「……レイちゃんは人間(リリン)として生きる事を望み始めた?」
シンジ「『私には代わりが居るもの』」
シンジ「しかし、『次の綾波レイ』には『ぽかぽかする気持ち』は基本的に引き継がれないですから」
シンジ「それを無意識に自覚し始めたという事です」ニヤリ
シンジ「そして、ここからが本当の出発点です」
命の洗濯をしてきますー
乙
ミサト家
ミサト「(朝ごはんを作るシンジ君。その後ろ姿をため息混じりに熱のこもった目で見つめるアスカ)」
ミサト「(そして独り身の私)」
ミサト「(このストロベリーな空間を壊すのは可愛そうだけど)」
ミサト「(これも、減棒撤回の為。ごめんねっ二人共!)」
ミサト「あー、思い出したぁー↑」
アスカ「何よ? こんな朝っぱらから、わざとらしいわね」
ミサト「ギク」
ミサト「おっほん、今日もアスカ、ネルフだから。学校行かなくてもいいわ」
アスカ「はぁ!? 何で最近ずーっとあたしだけネルフで実験なのよ!」
シンジ「アスカ、はい鰯の煮付け。骨まで食べられるから」
アスカ「ありがとシンジ!」
アスカ「っていうか何であたしなのよ! ガキレイでいいじゃない!」
ミサト「ガキ? まあいいわ。理由は簡単よ」
ミサト「エヴァ弐号機は正式量産タイプ。これからの後続のエヴァの為になるデータの収集にはアスカ、貴方の協力が必要不可欠なのよ」
アスカ「……」
アスカ「シンジ、あんたも学校休みなさい」
ミサト「だーめよ! シンちゃんには特に実験はないし、貴方たちには基本的に学校に行ってもらいたいわ」
アスカ「あっそ」ジトッ
シンジ「アスカ、仕方がないよ。僕たちは学生なんだし」
アスカ「分かってるわよ……」
アスカ「その変わり……」ノッシノッシ
シンジ「アスカ?」
ダキッ
アスカ「シンジ成分を溜め込んどく……」カァァ
シンジ「シンジ成分って……もうっ」ヨシヨシ
アスカ「ん」
ミサト「」ピキピキ
ミサト「……ネルフまで一緒に行くわよ、アスカ」
アスカ「行ってらっしゃいのキぃスぅ…」
シンジ「はいはい」チュッ
ミサト「」アゼン
学校
昼休み
シンジ「綾波、お昼一緒にどう?」
レイ「ええ、構わないわ」
ケンスケ「惣流がおらんと思ったら、ここぞとばかりに綾波とランチ……イヤーンな感じ!」
トウジ「ホンマや! 男児たるもの、浮気はアカンでシンジ!」ニヤニヤ
ヒカリ「鈴原ー! 相田ー! そんな事言わないの!」
シンジ「ははは……」
レイ「碇君、行きましょう」ムスッ
シンジ「う、うん……」
ヒカリ「(綾波さん? 少し怒ってる?)」
屋上
シンジ「はい、お弁当。お肉は入ってないから」
レイ「ありがとう」
レイ「……」モグモグ
シンジ「……」モグモグ
レイ「美味しいわ」
シンジ「味噌汁もあるから」
レイ「頂きます」
シンジ「熱いから気をつけて」
レイ「ええ」
レイ「……」ゴクゴク
レイ「……美味しい」
マリ「食育っていうより、餌付けかにゃ?」
シンジ「はい。意外にも綾波の舌は肥えているので、ちゃんと出汁を効かせた料理が効果的ですね」
マリ「え、もしかして、レイちゃん美食家!?」
シンジ「父さんにフランス料理を始め、第三新東京都市の有名屋台ラーメン店とか……結構良い物を食べてるんですよ」
シンジ「綾波といえば、固形食とか栄養食、錠剤っといったイメージですが」
シンジ「ネルフ食堂で普通にカレーとか食べますからね」
シンジ「味覚はかなり発達しています」
マリ「結構意外だね、そりゃ」
シンジ「劇場版Qでエヴァの中に引きこもっている真希波よりよっぽど健康的ですよ」
マリ「わんこ君、辛辣!」
シンジ「綾波……完食してくれたんだ」
レイ「碇君、料理が上手だから」
シンジ「はは、そう言ってくれると作りがいがあるよ」
レイ「……料理は楽しい?」
シンジ「そうだね。ミサトさんもアスカも褒めてくれるし」テレッ
レイ「そう」ムカッ
シンジ「綾波?」
レイ「葛城三佐や惣流さんは料理を作らないの?」
シンジ「う、うん……。二人共やればできると思うんだけどね。少し不器用だからさ」
レイ「……そう」
レイ「料理……ご馳走してあげる」
シンジ「ほんと! でも、綾波? 料理できる?」
レイ「……出来る、わ」
シンジ「……今、言い淀んだよね」
レイ「出来ます」
シンジ「無理、してない?」
レイ「してないわ」
シンジ「本当に?」
レイ「……」
シンジ「今日の晩御飯、一緒に作る? ミサトさん達は今日も遅くなるだろうから」
レイ「……お願いします」ペコリ
シンジ「いいってそんな……気にしないで」
レイ「でも……」
シンジ「学校終わった後、一緒に買い物に行こう」
シンジ「綾波の好みも知りたいし」
レイ「ええ」
再開発地区のスーパー
シンジ「この前綾波の家に来た時、調理器具があまり無かったなと思ってさ」
シンジ「卓上電気コンロがあるのは知ってるから、ついでに最低限フライパンと小さめの鍋を買っておこう」
シンジ「レトルト食品でもいいから温かいものを食べないと」
レイ「うん…」
シンジ「晩御飯のリクエストはある?」
レイ「お肉が入ってない物がいい」
シンジ「スパゲッティが安いから、和風スパゲッティにしようか」
レイ「タンパク質」
シンジ「えっ?」
レイ「赤木博士が初潮が来たからタンパク質やミネラルを摂りなさいって」
シンジ「しょ、初潮!? あ、綾波そういうのはあまりおおっぴらに、特に男の人には言っちゃ駄目だよ!」
レイ「? 碇君には知ってほしいと思って」
シンジ「!?」
レイ「……食材。選ぶんでしょ」
シンジ「(綾波の独特の会話のペースが怖い)」
マリ「レイちゃんに話のペースを握られてにゃい?」
シンジ「仕方がないです。なんたって、綾波に関する事ってよく分からないじゃないですか」
シンジ「アスカに関しては、ベタな幸せを夢見る乙女ですから、ある程度想定できます」
シンジ「綾波は違います。情報が少なすぎて予測が出来ないんです」
マリ「じゃあ、どんな感じでレイちゃんに接すればいいのかね?」
シンジ「綾波のクールで近寄りがたい雰囲気は容姿が原因です」
シンジ「実際の彼女は知識に偏りがある人見知りなだけな女の子ですよ」
マリ「確かに、お湯を沸かして火傷したり、お味噌汁に感動したり……知識に偏りというか、経験不足?」
シンジ「ええ。はじめてのおつかいに出てくる子どもたちを見るようですよね」
シンジ「でも、逆に全てを包み込むような母性もある」
シンジ「この両面性。これに世の男たちはヤられるんですよ」
シンジ「それに、何も知らない綾波を自分色に染めたい……そう思う人も多いでしょ。父さんとか」
マリ「源氏物語かよ……まさか、それがゲンドウ君が失敗した綾波レイ解体新書!?」
マリ「自分の奥さんの幼少期と瓜二つの女の子を自分で育てる……ゲンドウ君はやっぱり変態だったか」
シンジ「その癖、自分の手に余るからと廃墟同然の場所に住まわせるんですからね。どんだけかと」
シンジ「父さんをディスるのはこれくらいにして、綾波の攻略を続けましょう」
マリ「生産性もないしね」
シンジ「これから、料理を作っていくわけですが……綾波は初めての経験に結構感銘を受けるタイプです」
シンジ「当然、父さんやリツコさんと料理をしたことはありませんし、家庭科の授業もまともに受けていません」
マリ「紅茶の葉っぱの分量も分からなかったぐらいだしねー」
シンジ「初めての料理、しかも共同作業。ここぞとばかりにボディータッチも増やしていきましょう」
シンジ「現在の好感度は40程度なので拒否されることはありませんから」
綾波ハウス
シンジ「綾波、左手はこんな感じで」
レイ「こう?」
シンジ「違うよ! 猫の手みたいに丸めて」サワッ
レイ「あっ…」
レイ「(碇君から手を…)」
シンジ「ホウレン草の根っこをまず、切って……って」
シンジ「綾波、ちゃんと聞いてる?」
レイ「ええ…」
シンジ「じゃあ、食べよう」
レイ「……頂きます」
レイ「……」モグモグ
シンジ「どう?」
レイ「美味しいわ」パクパク
シンジ「本当! 嬉しいな。綾波と一緒に出来立てのご飯を食べてみたかったんだ」
シンジ「何時も綾波、栄養ブロックとかだったろ? だからさ、日頃から温かい物を食べたほうがいいと思って」
レイ「……」
レイ「碇君は」
シンジ「うん?」
レイ「碇君は何故、私にそこまでしてくれるの」
レイ「洞木さんから借りた本には、パートナーが居る男性は他の女性に近づかないって書いてあったわ」
レイ「貴方の今のパートナーが惣流さんだということは分かるわ。それなのに……」
レイ「『綾波解体新書』があったから?」
レイ「だから、私に優しくしてくれるの?」
シンジ「綾波……」
レイ「……私、理解したの」
シンジ「何を?」
レイ「惣流さんが言った『怖い』っていう意味」
レイ「私の心の中に碇君がいつの間にか住んでしまった」
レイ「私は碇君を失うのが怖い」
レイ「……いいえ、碇君が居なくなって……また、元の寂しい世界に戻るのが怖い」
レイ「私は寂しいという感情にも気がついてしまった」
レイ「もう、元には戻れない、戻りたくない」
レイ「寂しいのはもう嫌なの……」
シンジ「……」
レイ「碇君」
シンジ「うん?」
レイ「私、宇宙人なの」
シンジ「へ?」
レイ「しかも、私、クローンなの」
レイ「碇君には知っておいて欲しかった……好きだから」
レイ「それでも、私に優しくしてくれる?」
シンジ「綾波、冗談じゃ、無いよね?」
レイ「応えて、碇君」
シンジ「え、つまり綾波は宇宙人のクローンなの?」
レイ「宇宙人でクローンよ」
シンジ「そのニュアンスの違いは?」
レイ「……言えないわ」
レイ「言ったら、エヴァとのシンクロに、支障をきたす恐れがあるもの」
シンジ「(どれだけ、大事なんだ)」
シンジ「(でも……)」
シンジ「綾波が宇宙人でもクローンでもどうでもいいじゃないか」
レイ「!?」
シンジ「綾波……」ギュッ
レイ「碇君、手、少し痛い……」
シンジ「女の子の手だよ、綾波」
シンジ「君は間違いなく女の子だ」
シンジ「綾波が宇宙人でクローンでもさ、何か不都合があるの?」
レイ「……分からない」
シンジ「分からないなら、いいじゃない」
レイ「えっ……」
ダキッ
レイ「あっ……」
シンジ「僕は綾波を愛おしく思う」
シンジ「綾波が何者であろうと」
シンジ「僕は綾波の側に居たい、側に居て欲しい」
シンジ「僕は、アスカが好きだ」
シンジ「それは、事実だけど」
シンジ「けど、綾波も僕の心の中に既に居るんだ」
レイ「欲張りな人ね」
シンジ「そうだね」
シンジ「だけどこれが、僕の素直な気持ちだと思う」
シンジ「僕は綾波」
シンジ「君を失いたくないんだ」
シンジ「屑ですね」
マリ「というか、わんこ君にここまでエゴが有ったことに驚きだにゃ」
シンジ「碇シンジには優柔不断な部分」
シンジ「そして変に頑固なところがあります」
マリ「ふむ?」
シンジ「例えば、3号機の暴走の時は決して自分の手で戦おうとはしなかった」
シンジ「一度決めたことには梃子でも動かないんですよ、実は」
シンジ「ぶちゃければ、今回の考察の最大の障壁は、攻略する側の碇シンジの性格だったんです」
シンジ「そして、今回の件。加持さんが碇シンジを説得出来た時点で、実は綾波の攻略はほぼ約束されていました」
マリ「『綾波解体新書』はわんこ君をその気にさせるためのダミーだったのかー」
マリ「レイちゃんは何もしなくても、補完計画の最終局面で、ゲンドウ君よりわんこ君を選んでるもんなぁ」
シンジ「綾波が重視するのは心のつながり、絆……精神面です」
シンジ「惣流アスカが、キスとか同棲とか現世の社会的な……物理的、肉体的な形に拘るのとは根本的に違うんですよ」
シンジ「エヴァの世界では心≒精神≒魂が形而上生物学で証明されていますから」
シンジ「記憶の観念も現実の世界とは違います」
シンジ「旧劇場版で、三人目の綾波が碇シンジを覚えていたのはその記憶が魂レベルで刻まれていたからです」
マリ「どちらにしても、姫やレイちゃんにとってわんこ君は特別な存在だった、と」
シンジ「『一人にしないで』『寂しい』」
マリ「わんこ君じゃないと、それを埋められない姫とレイちゃん」
シンジ「綾波、アスカ、ミサトさん……誰でも良かった」
シンジ「その癖、特定の相手と深い関係になるのが怖い碇シンジ」
マリ「葛城三佐(当時)の同床のお誘いも拒否したもんね」
シンジ「碇シンジの行動は捨て犬を命がけで助けて、懐かれた後に放置するようなものですからね」
シンジ「そりゃ、アンチも増えるは海外の嫌いな主人公第一位にもなりますよ」ハハッ
マリ「ガキシンジってのも、そういう事なのかにゃ?」
シンジ「少なくとも、ヤマアラシのままでは大人になれないっと事じゃないですか?」
シンジ「ヤマアラシだからこその八方美人は結局、他人に見透かされます」
シンジ「恨まれたり、嫌いになられたりするのが怖くて……逃げまわっても何も残らないでしょ」
マリ「私は逃げてもいいと思うけどね」
マリ「ただ、逃げた後、再スタートする時に、その経験でもって、スタート地点を上積みする事が条件だけど」
シンジ「それは、戦略的撤退じゃないの?」
マリ「後からならどうとでも考えられるにゃ」
マリ「人間、万事上手くいく人なんていないよ」
マリ「一度やり直して、もっといいものを作ろうという気概も私は評価するにゃ」
シンジ「三歩進んで二歩下がる?」
マリ「次のスタートは一歩、よりゴールに近づいてる……その行程を楽しめるかどうかが人生の面白さじゃないかにゃ?」
シンジ「……君らしいや」
ミサト家 リビング
アスカ「で、何でここにガキレイがいるのよ」
レイ「……」
ミサト「碇司令の命令よ」
ミサト「本日から、シンジ君、アスカ、レイには三人で私の家の隣で共同生活をしてもらいます」
アスカ「はぁ!?」
シンジ「父さん、まさかそこまでするなんて……」
アスカ「! シンジあんた、何でこうなったか知ってるんじゃないでしょうね!」
シンジ「し、知らないよ……」
レイ「……」
レイ「碇司令は貴方を碇君のパートナーとして正式に認めていないということよ」
アスカ「……成る程ね」
アスカ「自分の息のかかった娘に息子を任せたい……とんだ、子煩悩!」
アスカ「で、シンジもそれを認めたと」ギロ
レイ「碇君は、私の事も大切だと言ってくれたわ」
レイ「貴方だけ特別なわけじゃない」
アスカ「いい度胸ね……」ピキピキ
アスカ「で、碇司令が問答無用であたしとシンジをひっぺ剥がすわけじゃないところを見ると……」
アスカ「あたしにもチャンスは有るわけか」
ミサト「こういうのは何だけど、アスカ。貴方、意外に冷静ね」
アスカ「まあね」
アスカ「あたしにはシンジの心を一度は完全に手に入れたっていう自信がある」
アスカ「アホボケカス変態バカシンジが何を吹き込まれたかは知らないけどさ」
アスカ「ガキレイに付け込まれた……それはあたしの落ち度」
アスカ「自分の不始末だからね」
アスカ「それにあんたとは決着は付けなくちゃと思ってたし」
レイ「そう……」
レイ「碇君。私、碇君ともっとぽかぽかしたい」
アスカ「シンジ。あんたがあたしのモノにならないなら、他に何もいらないわ」
シンジ「二人共……」
ミサト「ふふ、シンちゃん? 世界でも数人しかいないエヴァパイロット二人から熱い告白を受けるなんて幸せ者ね!」
ミサト「プハァ! お酒が進むわ!」
シンジ「茶化さないで下さい」
シンジ「……それに、ミサトさんが減棒撤回の為に色々と父さんに手を貸したのは分かってますからね!」
ミサト「ギク」
シンジ「図星ですか。失望しました。ミサトさんの家の子を辞めます」
ミサト「カマをかけたわね……」
ミサト「それに家の子を辞めるって……?」
シンジ「僕たちは隣に引っ越すんでしょ? それならもう、ミサトさんの世話をする必要はないじゃないですか」
アスカ「じゃあね、ミサト! まぁ、目の上のたんこぶがいなくなるってんなら、三人で共同生活も悪く無いわ」
レイ「葛城三佐。碇君の料理を毎日食べられるので、いらなくなったサプリメントあげます」
ミサト「いらないわよ! 結局、私の一人負けじゃない!」
アスカと綾波の人との関わり方、価値観の違いを意識しながら書いたつもり
惣流アスカが綾波をガキっていうのはアスカ自身の裏返し
劇場版破の絆創膏のエピソードと同じで、シンジとの絆の深さでは負けているという自覚があります
そして、綾波からシンジを奪ったという負い目もあったり
逆に綾波はそんなの気にしてないんです
乙乙乙にゃん、にゃん
蛇足というかオマケ
次回マリ編のためにそれらしい設定をでっち上げてみた
エヴァANIMAの一部ネタバレあり
ループ? いいえ、平行世界介入です
司令室
冬月「シナリオ通りか」
加持「サードチルドレンの成長……。そこまで織り込み済みでしたか」
ゲンドウ「ああ。奴は俺の息子だからな」ニヤリ
冬月「レイがこんなに表情豊かに笑うとは思わなかったよ」
ゲンドウ「だが、レイの肉体が限界に近いのには変わりはない」
ゲンドウ「保って二年だ。その前に手を打つ必要がある」
加持「司令、それは……」
冬月「実質的な人類補完計画の破棄か」
冬月「碇、本当にこれでいいんだな?」
ゲンドウ「完全に破棄するわけではありませんよ、冬月先生」
ゲンドウ「ただ、大幅な修正を加える。いや、世界を偽る。そういう事です」
冬月「どちらにしても、ゼーレとの本部決戦は避けられそうにないな」
マリ「で、その後三人はどうなったんだっけ」
シンジ「アスカと綾波の間には友情が芽生えました」
シンジ「僕を使徒戦で失いたくない。それだけで二人は戦友になれたんです」
シンジ「結果、綾波は第16使徒戦で自爆までしたわけですから」
マリ「……ごめん」
シンジ「いや、謝らないで。綾波とは望めば何時でも逢えるんだから」
アスカ「シンジ、ってここにいた」
アスカ「……行くわよ。ネルフへ、レイに会いに」
シンジ「うん。それじゃ、真希波、行こうか」
マリ「あいよ」
セントラルドグマ最深部・リリスの間・臨時司令室
マリ「やっぱり、白くて大きいなー」
マリ「エヴァンゲリオン・REI」
マリ「全てが終わった後に人間(リリン)に残された、唯一のエヴァンゲリオンか……」
リツコ「珍しいじゃない。マリがここに来るなんて」
マリ「まあね。私にはレイちゃんと直接面識は無いけど、あの二人との付き合いでね」
リツコ「そう」
ミサト「二人は?」
マリ「エントリープラグに向かったよ」
リツコ「……ここまで設備を整えるのに四年」
リツコ「人類が次のステップに進むためにエヴァは必要だった」
リツコ「第二使徒リリス。私たちの母たる存在すら利用する罪」
リツコ「当事者ながら、そのおぞましさには恐怖を覚えるわ」
リツコ「エヴァンゲリオン・REI。いえ、リリスは神様に近い存在」
マリ「まぁ、みんなの始祖であり創造主だもんね」
リツコ「シンジ君とアスカはリリスを通して色々な世界を視ることが出来る」
リツコ「それが、解体新書シリーズの本質なのよ」
リツコ「世界の数だけ、そこに綾波シリーズが存在する」
リツコ「いわば、綾波シリーズは個々の世界へ通じるインターフェイス」
リツコ「彼女たちにこの世界のリリスから間接的にアクセスすることで、二人はこの世界に迫る危機を予知でき、介入できる」
リツコ「リリスに、レイに認められた神子……適格者にしか出来ない事なのよ」
ミサト「その為に、あの子たちにヒトであることを辞めさせてしまった」
ミサト「それが、私の罪……保護者失格は今更か」
エヴァンゲリオン・REI プラグ内
アスカ「このニオイ。いつもよりあの娘の気配がする
シンジ「うん、間違いない。今日はより深く、綾波の中に僕たちは入ろうとしている」
アスカ「……ふふ、結局、レイの勝ち逃げみたいな感じだったからね」
アスカ「あたしは第16使徒との戦いの時、何も出来なかった」
アスカ「悔しいけど、あたしはあんたの身より、自分の命を反射的に優先したのよ……」
シンジ「……タンデムシンクロ開始、アスカ集中して」
アスカ「ええ……」
シンジ・アスカ「「エヴァンゲリオン・REI起動!」」
精神世界
アスカ「久しぶりね、レイ」
シンジ「対話ができるプラグ深度まで中々下げてくれなかったから、会いたかったよ」
レイ「碇君、惣流さん。私も会いたかった」
レイ「ごめんなさい。私に会うために、二人には人であることを捨ててもらわなければならなかった」
アスカ「今更ね。ここから動けないあんたより数段マシよ」
シンジ「ここはL結界濃度が高いからね。どちらにしても綾波に会うためにはリリンの体は邪魔だったんだ」
アスカ「あたしもシンジもそれぞれ、結界空間を突破する為にエヴァと統合したからね」
シンジ「今のアスカのネルフにおける正式名称は、アスカエヴァ統合体・サリエルη(エータ)」
アスカ「で、シンジがシンジエヴァ統合体・アルマロスζ(ゼータ)」
アスカ「こんなご大層なコードまで付けて、上の連中は気が気じゃないでしょうよ」
シンジ「今は加持さんが火消しをしてくれてるけど、僕たちがフォースインパクトを起こすんじゃないかっている懸念は根強い」
アスカ「バカバカしい。もうそんなレベルの話じゃないってのに」
レイ「不安なのよ」
レイ「この世界は裏死海文書の戒律から逸脱した儀典の世界」
レイ「どのような反動が起こっても可笑しくないから」
アスカ「その為にあたし達は他の世界を監視してる。そうでしょ」
シンジ「そして、時には介入する。グレゴ―ル『見張るもの』として」
レイ「他の世界で起こったインパクトがこの世界に及ぼす影響を最小限にするため……」
レイ「……嫌なことをリフレインしても仕方がないわ」
レイ「既にゼーレ残党が特異点に介入を開始したわ」
シンジ「分かった、急ごう」
レイ「気をつけて。向こうの世界では既にこちらの存在に気がついてるわ」
シンジ「綾波シリーズから情報が漏れた?」
レイ「ええ。多分、向こうの世界の貴方のお父さんよ」
アスカ「あたしはどうすれば良い?」
レイ「使徒に擬態して、あちらの貴方に接触して」
アスカ「地味ねぇ。了解」
シンジ「それじゃ、行くよ」
エヴァQ世界線
ヴンダー艦橋
シンジ「(この世界は既にサードインパクトが発生済みなのか)」
サクラ「よっと。検体、BM-03、拘引しました」
ミサト「了解。拘束を解いて」
サクラ「了解しました」
ミサト「下がっていいわ」
ミサト「碇シンジ君……でいいのよね……?」
シンジ「ええ。貴方達が良く知っている碇シンジだと思います」
シンジ「ところで、エヴァに乗った後からの記憶がアヤフヤなんです」
シンジ「説明して下さい、ミサトさん」ニコッ
終わり
次回予告
エヴァQ世界の自分に乗り移ったメタ世界の碇シンジ
だが、既にこの世界は死の淵に立たされていた
死んだ筈の友人との再開
不審な行動をする猫娘にとった彼の意外な行動とは
次回「真希波・マリ・イラストリアス解体新書withサクラ」
ふらいみーとぅーざむーん
次回作公開日、シン・エヴァが終わったら
乙
ってかなり先じゃん
>>113
マリはまだ謎が多いから、掘り下げにくいんだ
今更だけど解体新書っていうタイトルがグロっぽくて嫌厭されているような……
基本LASスキーなので、綾波解体新書って名前の割にはアスカとのイチャラブが多いのは仕様です
というか、レイちゃんは書いてて動かしにくいんだよね……難しい
ここまで、読んでいただいた方々には感謝です
ありがとうございました
このSSまとめへのコメント
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