律子「私だってさみしいんですッ!」(73)

律子「あーもうっ!本当にイライラする!」

小鳥「ちょっと飲みすぎよ?あんまりお酒に慣れてないんだからほどほどに…」

律子「今日だけで2度も単純なミスしちゃったんですよ!これが飲まないでいられるかって話ですよ!」

小鳥「誰にでも失敗はあるじゃない、今日はたまたまそんな日だったって事よ」

律子「いつもならする様なミスじゃないです…それなのに2回も…」

小鳥「でもねぇ…」

律子「だから今日は気分転換に飲むんです!明日は久しぶりの休みですし!」

小鳥「…」

律子「こんな日に一人でいたらイライラが余計に増しそうですから!」

小鳥「…」

律子「さぁさぁ!小鳥さんも飲んでください、グラス空いてるんですから!」

小鳥「律子さん?」

律子「ほらほら!何飲みます?次もお湯割りでいいですか?」

小鳥「律子さん」

律子「それとも日本酒にしますか?ほら!良いのが入ってるみたいですよ?」

小鳥「律子さん!」

律子「ど、どうしたんですか小鳥さん…いきなり大きな声出して」

小鳥「今日の律子さん、おかしいですよ?」

律子「それは…仕事でミスしてイライラしてるからで…」

小鳥「いいえ…例えミスをしてしまったとしても、いつもの律子さんならお酒に頼るような事はしません」

律子「た、たまにはそういう時だってあります!」

小鳥「ありません」

律子「あります!今日はそういう日なんです!」

小鳥「ありません!」

律子「うっ…」

小鳥「何年の付き合いだと思ってるんですか?」

律子「…」

小鳥「何か…何か他に理由があるんじゃないですか?」

律子「そんなものありませんよ…」

小鳥「本当に?」

律子「ありません…」

小鳥「はぁ…」

律子「なんでため息つくんですか…?」

小鳥「なんというか…相変わらず変に頑固なところがあるなってね」

律子「別に私は頑固なんかじゃ!」

小鳥「それじゃあイライラしてる本当の理由、教えてくれるわよね?」

律子「それは…」

小鳥「…」

律子「…」

小鳥「…」

律子「…」

小鳥「プロデューサーさんの事、なのね?」

律子「え…?」

小鳥「そうなんでしょ?」

律子「いや、そういうわけじゃ…」

小鳥「律子ちゃん!」

律子「!?…いきなりちゃん付けで呼ばないでくださいって!

小鳥「あら!前はこうやって呼んでたじゃない?」

律子「恥ずかしいじゃないですか!それに…もうちゃん付けされるような歳でもありません!」

小鳥「いーえ、まだまだ律子ちゃんな歳です!それで?やっぱりイライラの原因はプロデューサーさんなんですか?」

律子「はい…」

小鳥「そっか…」

律子「…」

小鳥「最近、連絡とってないの?」

律子「はい…連絡はほとんどとれてません」

すまん書きだめしてないのに、勢いで立てちゃったんだ…

小鳥「プロデューサーさんも忙しいのよ、最近は海外にまで出張してるし」

律子「それでも…前は一日に一回はメールをくれていたんですよ?」

小鳥「だからね律子ちゃん…」

律子「ここのところは電話で声を聞くことなんてなくなりました…」

小鳥「…」

律子「依存…ですかね?プロデューサーさんの声が聞こえなくなって」

律子「メールすらも減ってきて…」

小鳥「律子ちゃん…」

律子「そんな中で一日一日が過ぎていくと、なんだかモヤモヤしてくるんです」

律子「悔しいことだけ思い出して」

律子「悲しいことだけ思い出す、そんな毎日になって行っちゃってるんです」

小鳥「…」

律子「わけもないのに…喚きたいことなんてないのに」

律子「ただ喚きたくなって…」

律子「考えるほどに嫌なイメージしか出なくなって…」

小鳥「…」

律子「今日、もし仮に私が死んでしまったとしても…プロデューサーは悲しんでくれないんじゃないかって」

小鳥「律子ちゃん!いくらなんでも…」

律子「わかってます、わかってるんです…」

律子「でも考えちゃうんだから仕方ないじゃないですか…」

小鳥「律子ちゃん…」

律子「はい…」

小鳥「これで顔、拭いて?」

律子「え…?」

小鳥「せっかくの可愛い顔が、そんなんじゃ台無しよ?」

律子「すいません…」

小鳥「謝ることじゃないわ、とにかく律子ちゃん…落ち着いて私の話を聞いてくれない?」

律子「…」

小鳥「不安にならないでって…なんだか他人事に聞こえるかもしれないけど」

小鳥「今は慌てたりとか、変な考えになったりしちゃダメだと思うの」

律子「でも…」

小鳥「こんなに可愛い女の子を不安にさせるプロデューサーさんが悪いのよ」

律子「…」

小鳥「この様子じゃ、律子ちゃんが他の男の人の所に行っちゃったりしてね?」

律子「そんな!私はプロデューサー以外の男性と付き合ったりだなんて!」

小鳥「律子ちゃんと付き合いたいと思ってる男の人はたくさんいると思うけどな?」

小鳥「プロデューサーさんの代わりを狙ってる男の人たちが」

律子「もうっ!からかわないでください!」

小鳥「ごめんなさい、あまりにも律子ちゃんの反応が可愛いから!」

律子「小鳥さん!」

小鳥「ふふっ…それで、話を少し戻すけど」

小鳥「そんなイライラが募って、今日爆発しちゃったのかしら?」

律子「追い打ちがあったっていうのが本当のところですかね…」

小鳥「追い打ち?」

律子「プロデューサーの今回の出張は千早のアメリカでのレコーディングの付き添いじゃないですか」

小鳥「えぇ、一ヶ月缶詰状態らしいわね」

律子「今日、春香の携帯に千早から連絡があったんです…」

小鳥「千早ちゃんから」

律子「その場にいたのは春香と私だけで、二人共千早と話したんですけど」

律子「プロデューサーもいたみたいで、春香はそのあとプロデューサーと話してて」

小鳥「それなら、その時プロデューサーと話せばよかったじゃない?」

律子「春香も気を使って私に代わろうとしたんですけど…断っちゃいました」

小鳥「え?なんで?」

律子「私…ふと思っちゃったんです」

小鳥「…」

律子「プロデューサーと会いたくて、声が聞きたくて」

律子「立場上は一番近いはずの私がそれをできないのに…千早はそれができてるんだって」

小鳥「それは、仕事だから…」

律子「わかってます、わかってはいるんですけど…」

律子「嫉妬ですかね…お恥ずかしい」

小鳥「…」

律子「あぁ、私が恋人なのになって…」

律子「そう思って…」

小鳥「恥ずかしくなんてないわよ」

律子「…」

小鳥「好きな相手がいる人なら、そう思って当然なの」

律子「…」

小鳥「…」

律子「初めて、本気で好きになったんです」

小鳥「うん…」

律子「でも、そういうのってプロデューサーからしたら重く感じるんじゃないかって」

小鳥「律子ちゃんに電話しないのはうっとおしいからだって?」

律子「…」

小鳥「プロデューサーさんはそんな人なの?」

律子「いえ…そう言う意味じゃないんですが…」

小鳥「ちょっと意地悪なことを言っちゃったわね」

律子「…」

小鳥「じゃあ、ちょっとだけ話題を変えましょ?」

律子「は、はい」

小鳥「律子ちゃんは、プロデューサーさんのどんなところが好きなの?」

律子「どんなところ…ですか?」

小鳥「そう」

律子「たくさんありますよ、頼りになるところとか…」

律子「いつも笑顔なところとか、でも時々見せる真剣な顔とか」

小鳥「…」

律子「あと…あと…」

小鳥「うんうん」

律子「ふざけたりするけど憎めないところとか…」

律子「デスクで寝ちゃった私に毛布をかけてくれるとことか」

律子「ミートソース食べて、口にケチャップつけたまま営業行こうとするうっかりしたところとか…」

律子「アイドルみんなのことを本当に思っていることとか」

小鳥「うん」

律子「優しすぎるところとか…」

小鳥「うんうん」

律子「私のことを本当に大切にしてくれるところとか…」

律子「あと…あと…」

小鳥「うん」

律子「あと…あとぉ…」

小鳥「…」

律子「うぅっ…」

小鳥「…」

律子「どうしましょう小鳥さんっ…」

小鳥「うん」

律子「私プロデューサーの…全部が好きですっ…」

小鳥「そっかっ…」

律子「だからそんなプロデューサー…負担になりたくないから!」

律子「優しいプロデューサーだからっ、仕事だからっ…しょうがないのに!」

小鳥「…」

律子「電話が来なくたって仕方ないのに…」

律子「千早と一緒にいたって仕方ないのに…」

小鳥「うん…」

律子「でも私…どうしたら良いんですかっ…!」

律子「私だってさみしいんですッ!」

小鳥「…」

律子「うぅ…私何言ってんだろぉ…」

小鳥「良いのよ律子ちゃん、それで良いの」

律子「でもぉ…」

小鳥「律子ちゃんは凄く大人だと思うわ?仕事にも熱心で男になんて負けてない」

小鳥「でもね?」

律子「…」

小鳥「あなたはプロデューサーである前にまだまだ女の子なの」

律子「私は…そんな…」

小鳥「今まで恋愛する暇すらもなかったあなたが、やっと見つけた初恋の人」

小鳥「それがプロデューサーさんでしょう?」

律子「でもっ…」

小鳥「デモもストもないの!嫉妬?良いじゃないの当然よそのくらい」

小鳥「海外にいる恋人を想う事の何がいけないの?」

律子「私はさみしいです…でもそんなのプロデューサーにとっては迷惑かもしれなくて…」

小鳥「それをプロデューサーさんが言ったわけじゃないんでしょう?」

律子「それは…はい…」

小鳥「律子ちゃん、あなたがさっき言ってたんじゃない」

小鳥「プロデューサーさんはそんな人じゃないって」

律子「…」

小鳥「でも、やっぱり気になっちゃうか…」

律子「…」

小鳥「それじゃあ、今電話してみましょうか」

律子「えぇ…そんな、時差があるし…今仕事中だったら…」

小鳥「大丈夫!プロデューサーさんなら出てくれるから!」

律子「うぅ…」

小鳥「…」

律子「…」

小鳥「ふぅ…」

律子「…」

小鳥「よしっ!ここは小鳥お姉さんに任せなさい!」

律子「任せなさいって…」

小鳥「今からお姉さんが律子ちゃんに魔法をかけてあげます」

律子「ま、魔法ですか?」

小鳥「そう!勇気が出る魔法」

律子「そんな、私子供じゃないんですから…」

小鳥「良いから!私の言うとおりにやってみて!」

律子「はぁ…」

小鳥「まず目を閉じます」

律子「目を閉じる…」

小鳥「ちゃんと閉じた?そしたらプロデューサーさんの顔を浮かべて」

律子「プロデューサー…」

小鳥「はい!律子ちゃんはもう私の魔法にかかってしまいました!」

律子「え?これだけなんですか?」

小鳥「そうよ!これだけ!」

律子「私まだ勇気ありまs…」

小鳥「でも…もっと聞きたくなっちゃったでしょ?」

律子「え?」

小鳥「プロデューサーさんの声」

律子「あっ…」

小鳥「…」

律子「はい…」

小鳥「それじゃああとは簡単!」

律子「…」

小鳥「…」

律子「プロデューサー…」

律子「ふぅ…」

律子「…」


ピッ…

「トゥルルルルル…」


律子「あっ…ぷ、プロデューサー殿ですか!」

小鳥(ふふっ…ワンコール目か)

律子「すいません!い、いきなり電話してしまって!ご迷惑じゃ…」

律子「いえ!私は大丈夫です…仕事なら終わってますから」

律子「仕事の話じゃありませんって!プライベートなことです!」

律子「えっと…」

律子「あの…」

律子「違います!酔ってますけど酔ってません!」

律子「だから…その…」

律子「その…」

律子「あなたの声が…聞きたかったんです」

律子「え…プロデューサーも…ですか?」

律子「でもそれなら…電話してくれたって良いのに…」

律子「仕事終わりで眠いだろうと思って?」

律子「酷いですよプロデューサー!私寝ないで待っていたんですからね!」

律子「それにメールも…」

律子「え?私から帰ってきてない?」

律子「うそっ…」

律子「す、すいません…送信できてなかったみたいです…」

律子「明日から…電話していいか、ですか?」

律子「はい…楽しみに待ってます」

律子「でも、本音を言うと…早く会いたいです」

律子「はい…はい…」

小鳥(やっぱりね?)

小鳥(こんなにお互いを想い合ってるのに何をしてるんだか…)

小鳥(プロデューサーさんは時差を考えて律子ちゃんのために)

小鳥(律子ちゃんはプロデューサーの負担にならないために電話をしなかった)

小鳥(恋人だっていうのにお互いに気を使いすぎなのよね?)

小鳥(メールに至っては律子ちゃんの勘違い…)

小鳥(まったく人騒がせなんだから!)

小鳥(…)

小鳥(でも…)

律子「はい!約束ですからね!楽しみにしてますから!」

小鳥(まぁいいか)

律子「そんな…照れちゃいますよ…」

小鳥(こんなに幸せそうなら女の子の顔が見れたんですもの!)


おわり

終わりです


こんな時間なのに支援保守してくれて感謝、サンクス
めちゃくちゃな文で申し訳ないけどとりあえず

りっちゃんは可愛い

途中まで昔のchibiって曲をイメージしながら書いてたんだが
重すぎるかと思って後半からは変えてみた
いい曲だから暇なときにでも聞いてみてね

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