ミレイ「ラブアターック!!!」ルルーシュ「はいはい」(172)

学園

ミレイ『ルルーシュの帽子を私に届けた部は部費を10倍にしまーす!!!全力でもぎ取りなさい!!!』

ルルーシュ「会長め!!余計なことを!!!」

ロロ「兄さん、こっち!!咲世子と入れ替わらなきゃ!!」

ルルーシュ(会長が俺の帽子に懸賞金をつけたことで、ほぼ全生徒が俺の帽子を奪いに来るな……)

女生徒「ルルーシュくんの帽子ゲット!!」バッ

ルルーシュ「返してくれ」キュィィィン

女生徒「……はい」

ルルーシュ(このままでは大混乱を招くし、下手をすれば怪我人が出る可能性もある……。俺が逃げ回るより、誰かに渡したほうがいいか)

ルルーシュ(シャーリー……。いや、シャーリーが手にして水泳部の部費が10倍になれば、他の部活から逆恨みされかねない……。ならば)

ロロ「兄さんの帽子ゲット」

ルルーシュ「返せ」

ロロ「ご、ごめんなさい。でも、僕なら一番角が立たなくていいと思うんだ。兄さんの帽子を渡すなんて選択肢はないし」

ルルーシュ「そうか……。なるほどな。角が立たない相手に渡せばいいのか……」

中庭

ミレイ「さぁ、リヴァル!!ルルーシュを探すのよ!!」

リヴァル「……会長!!すいません!!!」バッ

ミレイ「おっと、あぶない」サッ

リヴァル「……」

ミレイ「あ!!いたいた!!」

リヴァル「ルルーシュ……」

ルルーシュ「会長。見つけましたよ」

ミレイ「え?」

リヴァル「どういう意味だよ?」

ルルーシュ「俺の帽子が欲しいのでしょう?」

ミレイ「お……?」

リヴァル「なんだとぉ!?ルルーシュ!!!」

ルルーシュ(これでいい。卒業する会長が手にすれば、周囲の人間も最後の思い出と納得する。そして生徒会メンバーの俺なら部費の件も有耶無耶にできる。完璧だ)

ミレイ「えーと……いいの?」

ルルーシュ「いいですよ。どうぞ」

ミレイ「……」

リヴァル「ルルーシュぅぅぅ!!!おれのきもちしってるくせにぃぃ!!!!」

ルルーシュ「なら、奪えばいいだろ。お前の隣りにいるんだから」

リヴァル「それもそうだな……。会長!!!」バッ

ミレイ「ルルーシュ、このイベントの主旨は分かってる?」サッ

リヴァル「……」

ルルーシュ「意中の相手から帽子を奪って被れば強制的にカップル成立でしょう?分かっていますよ」

ミレイ「そ、そう。なら、いいんだけど……」

ルルーシュ「どうぞ」

ミレイ「……わ、罠よ!!」

ルルーシュ「え?」

ミレイ「その帽子は偽者とか……そういうの……よっ!たぶん」

ルルーシュ(ちぃ……まさか、俺の考えを察したのか……!!無駄に勘のいい人だ……!!)

ミレイ「ルルーシュ。申し出は嬉しいけど、本物が欲しいの。私は」

ルルーシュ「本物ですよ。爆発したりはしません」

ミレイ「……」

ルルーシュ「ほら。つべこべ言わずに受け取ってください」

ミレイ「じゃ、じゃぁ……」

ルルーシュ(勝ったな……)

ミレイ「ま、まって!シャーリーは!?」

ルルーシュ「シャーリー?」

ミレイ「それはシャーリーに渡すべきじゃないの……?」

ルルーシュ「シャーリーに渡すことはできません。これは会長に渡すと決めたんですから」

ミレイ「ど、どうして?」

ルルーシュ「それが最良の選択だと判断しただけです」

ミレイ「ホントに?」

ルルーシュ「本当です」

ミレイ「うーん……どうしようかなぁ……」オロオロ

ルルーシュ(何を迷っているんだ……)

リヴァル「かいちょー!!!」バッ!!!

ミレイ「でもなぁ……私が貰っていいのかなぁ……」サッ

リヴァル「……」

ルルーシュ「会長、早くしてください。他の生徒も来てしまう」

ミレイ「あ、うん……」

ルルーシュ「これで―――」

アーニャ「ラブアタック」ドンッ

ルルーシュ「ぐぁ!?」

ミレイ「アーニャ!?」

アーニャ「ルルーシュの帽子、掴まえた。記録」パシャ

ルルーシュ「ア、アーニャ……!!何故、お前が……!!」

アーニャ「私もルルーシュに興味があるから」

ミレイ「……!!」

アーニャ「バイバイ」

ルルーシュ「ま、まて―――」

ミレイ「ちょーっとまった!!」

アーニャ「なに?」

ミレイ「それはもう私の物だから、返して」

アーニャ「……そうなの?」

ミレイ「そうよ」

アーニャ「わかった。はい」

ミレイ「え?」

アーニャ「……バイバイ」

ルルーシュ「よかった。これで丸く収まったな」

ミレイ「ま、まって!!まって!!」

アーニャ「なに?」

ミレイ「どうしてすぐに諦めるの!?ここは「私が先にとったんだからー!!」とか「なら私から奪って見なさい!!」とかそういう流れになるでしょ!?」

アーニャ「返してって言うから返したのに……どうして、怒られなきゃいけないの……」

ミレイ「あ、いや……。なんかあっさり返されたから……驚いて……。ほ、欲しかったら、どうぞ、アーニャ」

アーニャ「ありがとう」

ミレイ「あ……遠慮しないんだ……」

アーニャ「ルルーシュ、こっち」

ルルーシュ「ま、待て。アーニャ」

アーニャ「さっきから上級生が変な目で私を見てくるから、守って」

ルルーシュ「ジノに頼めばいいんじゃないのか?」

アーニャ「ジノは向こう」

ジノ「ほーら、おいでー、うさぎちゃんたちー」

女生徒「「きゃー!!!まってー!!!」」

ルルーシュ「なるほど……」

アーニャ「喉かわいた」

ルルーシュ「あ、ああ。何か買ってやる」

ルルーシュ(予定とは違うが、これでもいいか……)

ミレイ「……」

ルルーシュ「何がいいんだ?」

アーニャ「これ」

ルルーシュ「ほら」

アーニャ「ありがとう」

ルルーシュ(これでよかったのか……。よくわからないが……)

「ルルーシュくん……あっちの趣味があるのかなぁ……」

「えー、割とショックなんだけど……」

「てことは、弟のロロくんとも……」

「きゃー」

ルルーシュ「……アーニャ」

アーニャ「なに?」

ルルーシュ「やはり……帽子を返してくれ……」

アーニャ「いいけど」

ルルーシュ「悪いな」

アーニャ「ジュース奢ってくれたから」

アーニャ「……」

ルルーシュ(俺にそんな趣味があると思われるのは心外だ……。やはり、ここは会長に渡すほかない……!!!)

アーニャ「ルルーシュ」

ルルーシュ「なんだ?」

アーニャ「その帽子、どうするの?」

ルルーシュ「やはり会長に渡してくる。そのほうがいい」

アーニャ「ふぅん」

ルルーシュ「それじゃあな」

アーニャ「……」パシャ

ルルーシュ(早く会長を探さないと……!!まだ中庭に居てくれれば助かるが……)

アーニャ「……」

ルルーシュ「……」チラッ

アーニャ「……はぁ」

ルルーシュ「……アーニャ、どうした?何かあるのか?」

アーニャ「え?別に」

てす

生徒会室

ミレイ(あーあ……。やっぱり少しもったいなかったかなぁ……)

リヴァル「会長。コーヒーでもどうですか?」

ミレイ「ありがとう」

リヴァル「せいっ!!」

ミレイ「よっと」サッ

リヴァル「……」

ミレイ「……うん。美味しい」

リヴァル「それはどうも……」

ミレイ「はぁ……」

ルルーシュ「会長。ここに居たんですか」

ミレイ「あ、ルルーシュ。やっほー」

アーニャ「……」

ミレイ「カップルでどうしたの?ここじゃなくて誰もいない教室のほうがムードが出ていいんじゃない?」

ルルーシュ「アーニャはあまり他の生徒が来るような場所が嫌みたいです。色んな男子生徒に帽子を狙われているらしくて」

ミレイ「そういえばそんなこと言ってたわね。そんなに狙われてるの?」

アーニャ「うん。しかもみんな鼻息が荒い。キモい」

ミレイ「アーニャは可愛いもんね」

リヴァル「何か危うさがあるな」

ルルーシュ「俺もそんな奴らにアーニャを渡そうとは思わない。だからここに連れて来た」

リヴァル「ここなら滅多に生徒は来ないからな」

ルルーシュ「アーニャもここなら安心だと言っていたしな。飲食もできる」

ミレイ「なら、私は外に出ていようか?」

ルルーシュ「どうぞ、会長」

ミレイ「え……」

ルルーシュ「帽子です。アーニャはいらないと言っていました」

ミレイ「……」

アーニャ「別にいらない」

ミレイ「でも……悪いし……」

ルルーシュ「悪いも何も本人がいいと言っているんですから、受け取ってください」

ミレイ「えー、でもぉ……」モジモジ

ルルーシュ「ほら、会長。遠慮は要りません」

ミレイ「い、いいの?」

アーニャ「あげる」

ミレイ「……」

ルルーシュ「さぁ。会長?」

リヴァル「……」

ミレイ「ねえ、ルルーシュ。一つだけ訊かせてくれない?」

ルルーシュ「なんですか?」

ミレイ「どうして私に渡すのが最良の選択なの?それって……つまり……」

ルルーシュ「会長が俺の帽子に懸賞金をつけるからですよ」

ミレイ「……え?」

ルルーシュ「俺が会長に渡せば角が立たないでしょう。部費のことは特に」

ミレイ「ああ……そういうこと……」

リヴァル「おい、ルルーシュ。どういうことだ?」

ルルーシュ「どうした、リヴァル?」

リヴァル「どうしたこうしたのあるか!!!お前、会長の気持ちも―――」

ミレイ「あー、リヴァル。いいわよ。気にしないで」

リヴァル「でも……」

ミレイ「分かったわ。ルルーシュ。貴方の考えは」

ルルーシュ(ん?分かってなかったのか……)

ミレイ「では、私はその帽子は全力で拒否する!!!」

ルルーシュ「なんだと!?」

ミレイ「さぁ、ルルーシュ。どうする?」

ルルーシュ「どうするって、俺は貴方に渡したいんですが」

ミレイ「それなら私を全力で追い詰めてみなさい!!」

ルルーシュ「な荷を言っているんですか」

ミレイ「私を捕まえられるかしら、ルルーシュ?よーい、ドンっ!!」

ルルーシュ「ま、待ってください!!!」

リヴァル「……」

>>44
リヴァル「どうしたこうしたのあるか!!!お前、会長の気持ちも―――」

リヴァル「どうしたもこうしたもあるか!!!お前、会長の気持ちも―――」

ミレイ「うふふふ、スキップスキップ」

ルルーシュ「ちょっと待ってくれ……そんな……どうして……はぁ……はぁ……」

ミレイ「ほーら、私はここよー」

ルルーシュ「はぁ……はぁ……」

ミレイ(ルルーシュには悪いけど、そういうつもりで渡されても困るのよねぇ。それぐらいならシャーリーに渡して欲しいし)

ルルーシュ(このままでは追いつけない……ならば……)

ルルーシュ「―――ロロ。聞こえるか」

ロロ『どうしたの、兄さん?』

ルルーシュ「会長を捕らえる。挟み撃ちにするぞ」

ロロ『……分かった。待ってて』

ルルーシュ「頼むぞ」

ルルーシュ(よし。これでいい。会長、貴方の負けですよ。あとは合流ポイントまで会長を誘導すれば……)

ミレイ(む。ルルーシュが如何わしいことを考えてる。誰か応援を呼んだわね。どうせロロあたりでしょうけど)

ルルーシュ「はぁ……はぁ……行くぞ……会長!!」ダダッ

ミレイ「ここまでおいでー、ルルーシュー」

ミレイ「らんらーん」

ルルーシュ「はぁ……はぁ……がぁ……」

ミレイ(うーん……。ルルーシュのやつ、一定の距離から詰めて来ようとしないわね……)

ルルーシュ(もう少しだ……くくく……)

ミレイ「……そういうことね。はいはい」

ルルーシュ(なんだ、足を止めたぞ……)

ミレイ「なら、こっちだ!!」ダダダッ

ルルーシュ「くっ!!どうして貴方はそう俺の都合を狂わすのが上手いんだ!!!」

ミレイ「とうっ!!」

ルルーシュ「ロロ!!合流地点を変更する!!……ん?ロロ!!聞こえていないのか!?」

ヴィレッタ『ロロなら腹が痛いといってトイレに篭ったが?』

ルルーシュ「薬を飲ませろ!!」

ヴィレッタ『分かった』

ルルーシュ(ロロの役立たずめ……!!!)

ミレイ「ルルーシュの考えなんてすぐにわかるんだから」

ルルーシュ「はぁ……ごほっ……ごほっ……。くそ……どこに隠れた……」キョロキョロ

ルルーシュ「ヴィレッタ、ミレイ会長の居場所を伝えろ」

ヴィレッタ『……モニター……から、では……その……位置を、特定……できないな……』

ルルーシュ「そんなことがあるか!!!いいから、伝えろ!!」

ヴィレッタ『悪い、ルルーシュ。通信装置に不具合が……やめろ、さよ―――』

ルルーシュ「お、おい!!おい!!!切れてしまったか……」

ルルーシュ(何故、こんなときに……!!)

ルルーシュ「ええい!!くそっ!!」

ミレイ「こっちよん」

ルルーシュ「ちぃ!!待ってください!!!」

ミレイ「さぁ、掴まえてごらん」

ルルーシュ「絶対に掴まえて見せる……!!」

ミレイ「うふふふ」

アーニャ「記録……」パシャ

リヴァル「……くそ……ルルーシュのやろう……!!」

中庭

ミレイ「あら、またここに戻ってきちゃったかぁ」

ルルーシュ「はぁ……はぁ……ひぃ……ふぅ……」

ミレイ「ルルーシュ、大丈夫?」

ルルーシュ「はぁ……だ、ぃ……じょうぶ……では、あり、ません……ね……」

ミレイ「ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎちゃったわね。休憩にしましょ」

ルルーシュ「はぁ……はぁ……たすかり、ます……」

ミレイ(今のうちにシャーリーを呼ばなきゃ……)

ルルーシュ(今のうちに会長の帽子を……ではなく、俺の帽子を会長に……被らせれば……)

ミレイ「もしもし?シャーリー?今、どこー?」

ルルーシュ「……っ」

ルルーシュ(ダメだ……体が動かない……。休まなければ……)

ミレイ「そうそう。中庭まで来てくれない?今ならルルーシュも居るし。え?ホントだって」

ルルーシュ「はぁ……はぁ……」

ミレイ「今のルルーシュはグロッキーだから、簡単に帽子も奪えるわよ」

ミレイ「はい、お水」

ルルーシュ「どうも……」

ミレイ「そんなんじゃ、恋人ができたとき大変よ?色々と」

ルルーシュ「色々って何がですか?」

ミレイ「だって、ほら、買い物に付き合わされたり、今すぐきてーとか言われたら飛んでいかなきゃいけないし」

ルルーシュ「なるほど……確かにスタミナはいりますね……」

ミレイ「でしょ?体力はつけておいたほうがいいと思うのよね」

ルルーシュ「分かりました……。そうします……」

ミレイ「うん。そうしてあげて」

ルルーシュ「……そういえば、ロイド伯爵とは卒業したら結婚するんですか?」

ミレイ「ん?ああ、もう断ろうかなって思ってる」

ルルーシュ「どうして?」

ミレイ「いやぁ、よくよく聞けばあの人、私じゃなくて学園のガニメデが目当てだってみたいなの。だから、別に無理に結婚もしなくていいかなって」

ルルーシュ「そうですか。またご破算とは……。いつもそうですね」

ミレイ「まぁね。縁談潰しミレイとでも呼んでくれていいわよ?」

ルルーシュ「自分の縁談を潰しているだけでしょう。その異名は少し可笑しいですよ」

ミレイ「やっぱり?」

ルルーシュ「しかし、いいんですか?アッシュフォードの名をこのままにしておけないから、ロイド伯爵とは」

ミレイ「うん。でも、まぁ、いいんじゃないかな。いつかはそういうことをしないといけない。ただ、それは今じゃない。そう思うの」

ルルーシュ「……」バッ!!

ミレイ「おっと」サッ

ルルーシュ「ちぃ……」

ミレイ「甘い甘い」

ルルーシュ「昔から貴方のことは苦手でしたよ」

ミレイ「嬉しいこといってくれるわね」

ルルーシュ「ここまで俺の調子を狂わせる人は中々いませんからね」

ミレイ「そうなの?シャーリーとはアーニャは平気なんだ」

ルルーシュ「アーニャは何を考えているか分からないところもありますが、貴方よりは汲みやすい」

ミレイ「そっかぁ。私、ルルーシュを困らせるのが上手だったんだ。ふふっ」

ルルーシュ「また変なことを考えていませんか?」

ミレイ「別にぃ」

ルルーシュ「全く……」

ミレイ「私といると、疲れる?」

ルルーシュ「ええ、とても」

ミレイ「そう……」

シャーリー「あー!!いたー!!!」

ルルーシュ「シャーリー……」

ミレイ「来た来た」

シャーリー「ルル、みんなが血眼になって探してるよ。こんなとこにいたら危ないって」

ルルーシュ「そうか……。会長を追うことに夢中になっていて忘れていた」

ミレイ「なら、シャーリーが帽子を奪ってあげなきゃ、ほらほら」

シャーリー「えぇ!?な、なんでそうなるんですかぁ!?」

ミレイ「そのために呼んだんだから」

シャーリー「で、でもぉ……」

ルルーシュ「会長、言いましたよね。俺は貴方に帽子を渡すと」

シャーリー「え……ルルって……」

ミレイ「違う違う。部の連中が帽子を奪って私に渡すことでクラブの予算編成に偏りがでるから、ルルーシュ自身が私に渡したがってるだけ」

シャーリー「あぁ」

ルルーシュ「シャーリーも水泳部だ。故に渡せない」

ミレイ「シャーリーが帽子を渡すわけないでしょ」

ルルーシュ「そうなのか?」

シャーリー「え……えっと……」

ミレイ「ね?」

シャーリー「わ、渡すに決まってるでしょ!?」

ミレイ「……」

ルルーシュ「やはりな」

シャーリー「わ、私が必死になってるのは予算10倍のためなんだからねっ!!」

ミレイ「(シャーリー、素直になりなさいって)」

シャーリー「(でも、こんなところではっきりいえませんよぉ)」

ルルーシュ「さて、これで明確になったか。今のシャーリーは俺の敵だ」

ミレイ「ルルーシュ、待ちなさいって。シャーリーは照れているだけ。帽子を奪えば独占欲丸出しで誰にも触れさせないようにするから」

ルルーシュ「それを信じるほど、俺はお人好しではないんですよ」

ミレイ「もう!シャーリーが余計な意地をはるから!!」

シャーリー「だって……だって……」

ルルーシュ「さぁ、会長。俺の帽子を簒奪してもらいましょうか!!!」

ミレイ「シャーリー!!奪え!!!」

シャーリー「う、うぉぉ!!」ダダッ

ルルーシュ「シャーリーには渡せない!!!」サッ

シャーリー「ていっ!!」ギュッ

ルルーシュ「なぁ……!?」

ミレイ「ナイスっ、シャーリー」

ルルーシュ「くっ……!!そんな馬鹿な……!!」グググッ

シャーリー「ふぬぅぅ……」

ルルーシュ「やめろ、シャーリー……今は諦めてくれ……」グググッ

シャーリー「やだぁ……あきらめないぃ……」

ルルーシュ「そんなに予算が大事か!?水泳部なんて水着が新調できる程度だろう!!!」

シャーリー「ト、トレーニング機器とかも新調するんですぅ……!!!」

ルルーシュ「やはり予算10倍しか目に入っていないんだな……シャーリー……」

シャーリー「……」ギュゥゥ

ルルーシュ「会長!!聞いての通りだ!!!シャーリーは金の亡者に過ぎない!!」

シャーリー「そんなぁ……」ウルウル

ミレイ「はぁ……」

ルルーシュ「このままではシャーリーが他のクラブに逆恨みをされる可能性もある!!潔く俺の帽子を奪ってください!!」

ミレイ「うーん……でもなぁ……。シャーリー、もう奪ったら?もうそれだけ密着してるんだし」

シャーリー「でも、ここで奪ったら私は金の亡者にされちゃいますけど……」

ミレイ「私に渡さなきゃいいでしょ?」

シャーリー「おお。それもそうですね」

ルルーシュ「シャーリー、俺の帽子を奪えば軽蔑するぞ」

シャーリー「だめです、かいちょう!!うばえません!!!」

ミレイ「ルルーシュ!!こら!!シャーリーを困らせない!!」

ルルーシュ「この状況で簡単に帽子を奪えるのは会長だけでしょう。早く奪ってくださいよ」

ミレイ「確かにそうだけど……」

シャーリー「あ、そーだ。会長が奪って、私に渡すってどうですか?」

ミレイ「その手があったか」

ルルーシュ「それに何の意味がある?」

ミレイ「よーし、まずは……うばうっ!!」バッ

ルルーシュ「あ……」

シャーリー「会長、お願いします」

ミレイ「……」

シャーリー「会長?」

ミレイ「……」プルプル

シャーリー「かいちょー?どうしたんですかー?」

ミレイ「……や、やっぱり、シャーリーが自分の力で奪わないとね。こういうのは……」スッ

シャーリー「どうして帽子を返すんですかぁ!?」

ミレイ「他力本願はダメよ、シャーリー!!自分の手で掴み取ってこそでしょ!!!ガーッツ!!!」

ミレイ「と、いうわけで。あとは若い者でどーぞ」

シャーリー「若い者って!!」

ルルーシュ(ええい……くそ……このまま逃げられてたまるか……!!!)

シャーリー「会長の裏切りものー!!エッチなオヤジー!!!」

ミレイ「だれがオヤジですってぇ!?」

ルルーシュ「今だっ!!」バッ!!

シャーリー「わ!?ルル!!待ちなさい!!」

ルルーシュ「捕まえられるものなら捕まえて―――」

シャーリー「もう。勝手に動かないでよね」ギュッ

ルルーシュ(スザクぐらい身体能力があれば……。このような窮地も……)

ルルーシュ(そうだ。咲世子は今、変装してスタンバイしているはずだ。何とか入れ替わることができれば、簡単に会長に帽子を渡せる)

シャーリー「……」ギュゥゥ

ルルーシュ「―――もしもし、咲世子さん?」

咲世子『ただいま、篠崎咲世子は電話に出ることができません。発信音の後に電話をお切りください、ルルーシュ様。ぴー』

ルルーシュ(ば、馬鹿な……。地下室にいる者たちが全滅しているじゃないか……!!!何があったんだ……!?)

ミレイ(やっぱり、ルルーシュとシャーリーが一番お似合いだもんねぇ……。二人じゃないと何となく収まりも悪いし……)

リヴァル「会長。こんなところにいたんですね」

ミレイ「やぁ、リヴァルくん。どうかしたのかね?」

リヴァル「どうかしたかじゃないですよ。ルルーシュの帽子はどうしたんですか?」

ミレイ「今頃シャーリーが奪ってるんじゃない

>>75
投下ミス

ミレイ(やっぱり、ルルーシュとシャーリーが一番お似合いだもんねぇ……。二人じゃないと何となく収まりも悪いし……)

リヴァル「会長。こんなところにいたんですね」

ミレイ「やぁ、リヴァルくん。どうかしたのかね?」

リヴァル「どうかしたかじゃないですよ。ルルーシュの帽子はどうしたんですか?」

ミレイ「今頃シャーリーが奪ってるんじゃない?」

リヴァル「そうか……。なら!!!」バッ!!!

ミレイ「おっと」サッ

リヴァル「やれ!!!」

ミレイ「お?」

アーニャ「ラブアタック」

ミレイ「よっと。―――なになに?新しいダンスかなにか?」

リヴァル「会長……」

アーニャ「帽子、どうして渡そうとしないの?」

ミレイ「そう簡単に渡したら面白くないでしょ?」

リヴァル「そうですか……やっぱり……会長は……」

ルルーシュ「……シャーリー、いつまでこうしているつもりだ?」

シャーリー「さぁ……いつまででしょう?」

ルルーシュ「離れるつもりはないのか?」

シャーリー「離したらルルがどっか行っちゃう気がする」

ルルーシュ「行くに決まっているだろ」

シャーリー「じゃあ、ヤダ」ギュゥゥ

ルルーシュ「あのな……」

アーニャ「ルルーシュ」

リヴァル「……」

ルルーシュ「リヴァル、アーニャ。丁度よかった。シャーリーを引き剥がすのを手伝ってくれないか?」

リヴァル「分かった。シャーリー、ルルーシュから離れてくれないか?」

シャーリー「え?でも……」

リヴァル「頼む」

シャーリー「う、うん……」

ルルーシュ(なんだ……様子がおかしいな……)

リヴァル「ルルーシュ……。俺はお前の帽子を奪う!!!」

ルルーシュ「……なんだと?」

シャーリー「えぇぇぇぇぇ!?!!?」

アーニャ「記録」パシャ

リヴァル「俺がお前の帽子を奪って……会長に渡す!!!」

ルルーシュ「何故そんなことをする?」

リヴァル「だって、お前じゃ会長を捕まえられないだろ。会長も自分じゃ帽子を取ろうとしないしな」

ルルーシュ「リヴァル……」

リヴァル「なら、俺が会長のために一肌脱ぐしかないだろ?」

ルルーシュ「そうか。協力してくれるならありがたい。では、一思いに奪ってくれ」

リヴァル「ただし、俺がお前の帽子を奪ったら、全力で殴らせろよ……」

ルルーシュ「な、なに?」

シャーリー「リヴァル……」

リヴァル「協力してやるんだ……それぐらいいいだろう……ルルーシュ……?」

ルルーシュ「お、おい……リヴァル……何を言って……」

リヴァル「おらぁぁぁぁ!!!!」

ルルーシュ「本気か!?」

リヴァル「本気じゃなきゃこんなことするかぁぁぁ!!!」

ルルーシュ「くっ―――」

シャーリー「ダメ!!やめて!!」

リヴァル「どけよ、シャーリー!!これが俺のやり方なんだ!!」

シャーリー「リヴァル!!暴力はダメだって!!」

ルルーシュ「まて、シャーリー。どいてくれ」

シャーリー「で、でも……」

リヴァル「ルルーシュ……」

ルルーシュ「リヴァル。やり方が違うな。間違っているぞ。どうしてここまで来て全てを投げ出している」

リヴァル「もう無理なんだよ……どう足掻いても……。俺じゃあ、お前に勝てないんだよ!!!」

ルルーシュ「そこまで本気になれるなら、もう一度……」

リヴァル「俺が諦めるにはこれしかないんだぁ!!!ルルーシュ!!!」

ルルーシュ「リヴァル!!」

ジノ「待て、待て」パシッ

リヴァル「な……!!」

ジノ「素人が下手に殴るとどっちも怪我をすることになる」

ルルーシュ「ジノか……」

アーニャ「ジノ。帽子は?」

ジノ「走ってる途中で失くした。まぁ、もう随分遊んだからいらないけど」

リヴァル「はなせよ!!ジノ!!」

ジノ「先輩の頼みでもそれはできないな。これでも軍人だから」

リヴァル「くっ……」

ジノ「原因は女ですか、ルルーシュ先輩?」

ルルーシュ「……そういうことになるか」

リヴァル「……」

ジノ「カッコイイじゃないか。でも、流石に暴力はなぁ……。アーニャもどうして静観してたんだ?」

アーニャ「頑張っているところを会長に見せたいから、記録して欲しいってリヴァルに言われたから」

リヴァル「アーニャ……それ秘密っていっただろ……」

ジノ「なるほど。ミレイのためか。ミレイもモテるなぁ」

リヴァル「ふんっ」

ルルーシュ「リヴァル。会長はロイド伯爵との婚約は破棄する意向らしい。今からなら間に合うぞ」

リヴァル「ルルーシュ……分かってないのか……」

ルルーシュ「俺と会長を結ばせようとしているのは分かる。しかし、それでお前が諦められるかどうかは疑問だな」

ジノ「ルルーシュ先輩、それは違いますよ」

ルルーシュ「なに?」

ジノ「ミレイは貴方のことを―――」

リヴァル「分かってないならいい。……悪かったな」

ルルーシュ「リヴァル、おい……」

シャーリー「ルル?」

ルルーシュ「なんだ?」

シャーリー「鈍感すぎぃ!!」

ルルーシュ「……は?」

アーニャ「ルルーシュ。わたしもわからないから、大丈夫」

シャーリー「ルル、会長のところに行ってきたほうがいいよ」

ルルーシュ「どうしてだ?」

シャーリー「いや、どうしてもなにも……」

ジノ「シャーリーはいいのか?」

シャーリー「べ、別に私は……」

アーニャ「ルルーシュ。誰にも帽子渡さないなら、私に頂戴」

ジノ「私が貰ってやろうか?」

アーニャ「ジノには言ってない」

ルルーシュ「元より俺は会長に渡すつもりだ」

シャーリー「でも、それはクラブ間のごたごたを避けるためでしょ?」

ルルーシュ「ああ。そうだが?」

シャーリー「はぁ……」

ルルーシュ「なんだ?」

ジノ「これはミレイにも本気になってもらわないとダメかもな」

アーニャ「……」

生徒会室

ミレイ(今頃、ルルーシュとシャーリー、キスぐらいはしてるかしら……ふふっ)

咲世子「ミレイ様。こちらに居られましたか」

ミレイ「咲世子さん。どうかした?」

咲世子「ルルーシュ様はまだ貴方のことを探しておられますよ」

ミレイ「え?もう、シャーリーったら何をやってるんだか」

咲世子「ミレイ様はここで何を?」

ミレイ「私は見ての通り、コーヒーを飲んでたの。優雅でしょ?」

咲世子「……宜しいのですか?」

ミレイ「何のこと?」

咲世子「ミレイ様。もう卒業されるのですよ?」

ミレイ「だから?」

咲世子「最後ぐらい、いいのではないですか?」

ミレイ「最後だから綺麗なまま思い出にしたいんじゃない」

咲世子「ミレイ様……」

ミレイ「モラトリアム人間だからね、私は」

咲世子「故に成長はしないと」

ミレイ「ううん。成長はする。だけど、ここを卒業してからの話」

咲世子「……」

ミレイ「卒業するまでは生徒会長のミレイ・アッシュフォードじゃないとね」

咲世子「そうですか。なら、私はもう何も言いません」

ミレイ「ごめんね、咲世子さん」

咲世子「失礼いたします」

ミレイ「……」

ミレイ(何やってるんだろうね……私……)

ジノ『あー、あー、マイクテスト、マイクテストー』

ミレイ「え?」

ジノ『ルルーシュ・ランペルージの帽子が紛失しましたぁー。今がチャンスだ。みんなー、部費のためにがんばれー』

アーニャ『ラブアタック』

ミレイ「紛失……?」

廊下

ルルーシュ「おのれ……ジノ……!!勝手に俺の帽子を……!!」

「ルルーシュの帽子をみつけろー!!!」

「うおぉぉぉぉ!!!」

「ルルーシュくんの帽子ぃぃぃぃ!!!!」

ルルーシュ(案の定、大混乱だ……!!)

アーニャ「効果覿面」

ジノ「これなら、ミレイも探すだろう。本人じゃなくて帽子を探すんだから」

ルルーシュ「ジノ!!帽子をどこにやった!?」

ジノ「だから、紛失したんですよ。先輩」

ルルーシュ「嘘をつくな!!」

ジノ「嘘じゃないですって」

アーニャ「ルルーシュ」

ルルーシュ「な、なんだ?」

アーニャ「私が帽子を見つけたら、どうする?」

ルルーシュ「俺に渡してくれると助かる」

アーニャ「わかった」テテテッ

ルルーシュ「アーニャは場所を知っているんじゃないのか?」

ジノ「いーえ。知りませんよ」

ルルーシュ(ギアスを使うか……?いや、こんな下らないことでは使えない……)

ジノ「さてと、私も自分の帽子を探しましょうか」

ルルーシュ「ちぃ……!!誰よりも先に俺の帽子を見つけなくては……!!」

咲世子「帽子……帽子……」タタタタッ

ルルーシュ「咲世子!!!何をしている!!!」

咲世子「ルルーシュ様……」

ルルーシュ「お前、今まで何をしていた!?」

咲世子「お腹が痛くて……」

ルルーシュ「ロロやヴィレッタは地下室にいるのか?」

咲世子「はい。ただ、通信機はまだ不具合を起こしています」

ルルーシュ(一度、地下室に行くか……。ジノがどこに捨てたのか分かるかもしれない……)

中庭

「こっちにはないぞー!!!」

「ルルーシュくんの匂いをたどればー!!」

「くん……くん……」

ミレイ(なんか、勢いで出てきちゃったけど……)

シャーリー「もー!!どこにあるのー?!」ガサガサ

ミレイ「シャーリー、貴方傍に居たんじゃないの?」

シャーリー「ジノが持って行っちゃったんですよぉ」

ミレイ「そうなの……」

シャーリー「この広い学園を探すのなんてむーりー」

ミレイ「そうね」

シャーリー「会長も真剣に探す!!」

ミレイ「え?そ、そうか。よーし!!探してシャーリーにプレゼントするわよ!!!」

シャーリー「私は会長にプレゼントします!!」

ミレイ「な、なんでよ!?」

シャーリー「会長、なら自分で見つけたら自分のモノにしてください!!」

ミレイ「シャーリー……?」

シャーリー「じゃないと、フェアじゃないですから」

ミレイ「もしかして……」

シャーリー「負けませんからね、会長」

ミレイ「でも……私は……」

シャーリー「ガーッツ!!」

ミレイ「……!?」ビクッ

シャーリー「元気でました?会長直伝のガッツの魔法です」

ミレイ「……うん。でたっ」

シャーリー「よーし!!さがすぞー!!ルルの帽子!!!」

ミレイ「私だって負けないんだから!!!」

シャーリー「うぉぉぉ!!!」ガサガサガサ

ミレイ(シャーリー……ごめん……)

ミレイ(それでも私は……)

地下室

ルルーシュ「ロロ、ヴィレッタ。いる―――」

ロロ「うぅ……ぅ……」

ヴィレッタ「……」

ルルーシュ「ロロ!!どうした!?」

ロロ「お腹が……いたいよぉ……兄さん……」

ルルーシュ「ヴィレッタ!!薬を飲ませろと言っただろう!?」

ヴィレッタ「……」

ルルーシュ「ヴィレッタ?おい?」

ヴィレッタ「……」

ロロ「兄さん……だめだ……ヴィレッタはもう……」

ルルーシュ「なにがあったんだ?!」

ロロ「咲世子が……ヴィレッタを喋れなく……した……んだ……」

ルルーシュ「喋れなくだと!?」

ヴィレッタ(喋れば扇が殺される……扇が……)ウルウル

ルルーシュ(咲世子め……なんてことをしてくれたんだ……!!!)

ロロ「兄さん……咲世子は……咲世子は……」

ルルーシュ「どうした?」

ロロ「うぅ……」ガクッ

ルルーシュ「ロロ!!ロロ!!!―――おのれ、咲世子!!こんなことをして何をするつもりなんだ……!!!」

ヴィレッタ「……」

ルルーシュ「ヴィレッタ。本当に喋れないのか?」

ヴィレッタ「……」コクッ

ルルーシュ(盗聴器もあると考えたほうがいいな。通信機の不具合はその所為か……)

ヴィレッタ「……」ウルウル

ルルーシュ(そうだ……。筆談なら……)カキカキ

ルルーシュ「……」サッ

ヴィレッタ「……」コクッ

ルルーシュ(頼むぞ)

ロロ「お腹が……いたい……いたいよぉ……にいさん……」

中庭

ミレイ「ふぅー、ないわね」

シャーリー「ですね……」

咲世子「ミレイ様」

ミレイ「咲世子さん。どうかした?」

咲世子「生徒会室にお忘れ物があるようです」

ミレイ「生徒会室に?」

咲世子「ルルーシュ様の帽子は私が捜索しておきますので」

ミレイ「そ、そう?なら、あとはよろしく」

咲世子「はい」

ミレイ(忘れものって何かしら……)

シャーリー「……?」

咲世子「さて、帽子を探しませんと」

シャーリー「はいっ」

咲世子(申し訳ありません、シャーリーさん……)

生徒会室

ルルーシュ(ヴィレッタの解析によれば、ジノはここに立ち寄っている。恐らくはここに……)

ルルーシュ「……」ガチャ

リヴァル「よう。ルルーシュ」

ルルーシュ「リヴァル……!?」

リヴァル「先に見つけておいたぜ。お前の帽子」

ルルーシュ「そうか。助かった」

リヴァル「これを今からクラブの連中に高値で売る。きっとあいつら言い値で買ってくれるよな」

ルルーシュ「リヴァル、なんのつもりだ?先ほどの続きがしたいのか?」

リヴァル「ルルーシュ。嫌なら俺から取り返してみろよ」

ルルーシュ「会長に渡してはくれないのか?」

リヴァル「ああ。気が変わった」

ルルーシュ「あのな、リヴァル」

リヴァル「お前が俺から奪うことに意味があるんだよ、ルルーシュ」

ルルーシュ「何がしたいんだ、リヴァル」

リヴァル「まだ分からないのかよ……」

ルルーシュ「分からないな」

リヴァル「本当に分からないのか?」

ルルーシュ「どうした?」

リヴァル「俺は会長のことが好きだ」

ルルーシュ「知っている」

リヴァル「でも、会長はお前のことが好きなんだ」

ルルーシュ「……」

リヴァル「だから、俺はお前と会長をくっつけたい。でも、簡単にくっつけたくはないんだ。やっぱり悔しいからな」

ルルーシュ「それで、お前から帽子を取り返せというのか?」

リヴァル「ああ。そうだよ」

ルルーシュ「その帽子はどの道、会長の手に渡る。結果は一緒だ」

リヴァル「違う」

ルルーシュ「……」

リヴァル「お前から渡されるのと、誰かが奪ったものを譲りうけるのは、全然違うだろ」

ルルーシュ「リヴァル……」

リヴァル「別に無理に取り返そうとしなくてもいい。それがルルーシュの答えだからな」

ルルーシュ「……」

リヴァル「どうするんだ、ルルーシュ?」

ルルーシュ「部の予算に大きな偏りが出るし、生徒相手に商売をするお前も止めないといけないな」

リヴァル「それでいい。会長のためじゃないっていうなら、俺は遠慮なくお前を殴れる」

ルルーシュ「何故だ?」

リヴァル「そんな奴のことを会長が惚れてるからに決まってるだろ!!!」

ルルーシュ「……!!」

リヴァル「よけるなよな……」

ルルーシュ「殴られたら痛いんだから、避けるに決まっているだろ」

リヴァル「この!!!」

ルルーシュ(どうする……素直に殴られておいたほうがいいのか……)

リヴァル「おらぁ!!!」

ルルーシュ「くっ……!!」

リヴァル「会長のことなんとも思ってないのかよ!!!」

ルルーシュ「そんなわけないだろう」

リヴァル「ならどうして応えてやらないんだよ!!」

ルルーシュ「知らなかったからだ」

リヴァル「この鈍感野郎!!!」

ルルーシュ「お前はどうなんだ?」

リヴァル「なに……?」

ルルーシュ「貴様も会長に何も伝えていないじゃないか」

リヴァル「それは……お前がいるから……」

ルルーシュ「お前はただ今の関係を崩すことが怖かったんだろ?」

リヴァル「てめぇ!!」

ルルーシュ「俺を殴ってもお前にとってはなんの解決にもならない。そんなことも分からないのか?」

リヴァル「ルルーシュ……!!」

ルルーシュ「リヴァル。戦う相手は自分だろ。俺ではないはずだ」

リヴァル「……」

ルルーシュ「帽子、返してくれるか?」

リヴァル「……なぁ、ルルーシュ。一つだけ、いいか?」

ルルーシュ「どうした?」

リヴァル「俺が振られたら……慰めてくれるか……?」

ルルーシュ「俺でよければ」

リヴァル「本当だな?」

ルルーシュ「親友の頼みだ。断れない」

リヴァル「……じゃあ、行ってくる」

ルルーシュ「ああ」

リヴァル「ほらよ」

ルルーシュ「確かに受け取った」

リヴァル「よし。リヴァル・カルデモンド、男を見せてくる」

ルルーシュ「ふっ。玉砕してこい」

リヴァル「うるせぇ!!」

ルルーシュ「……」

リヴァル「よっし!!」

ミレイ「……」

リヴァル「あ……」

ミレイ「えっと……みちゃった。ごめん」

リヴァル「俺、会長のことずっと好きでした」

ミレイ「知ってる」

リヴァル「付き合ってください」

ミレイ「うーん……ゴメン」

リヴァル「……ですよね」

ミレイ「あ、でも。キープしておいてあげてもいいけど?」

リヴァル「マジで!?」

ミレイ「それでもよければ」

リヴァル「……会長。卒業、おめでとうございます」

ミレイ「ありがとう、リヴァル」

リヴァル「それじゃあ……」

ルルーシュ「あとは……」

ミレイ「ルルーシュっ」

ルルーシュ「会長……。リヴァルに会いませんでしたか?」

ミレイ「すぐそこで会った」

ルルーシュ「何か言われませんでしたか?」

ミレイ「好きって言われた。すごく今更だけど」

ルルーシュ「なんて答えたんですか?」

ミレイ「君にはもっといい女がいるはずだ!!私なんかで満足するな!!喝っ!!って」

ルルーシュ「ふっ。そうですか」

ミレイ「……その帽子、どうするの?」

ルルーシュ「勿論、会長にお渡しします」

ミレイ「……ありがとう」

ルルーシュ「それでは……」

ミレイ「待ってよ。これ、帽子を奪ったら強制的にカップル成立しちゃうんだけどなぁ」

ルルーシュ「それがなにか?」

ミレイ「つまり、今の私とルルーシュは恋人になるわけ」

ルルーシュ「そうですね」

ミレイ「甲斐性を見せてみなさい、ルルーシュ」

ルルーシュ「どのように?」

ミレイ「彼女の我侭を許せないと話にならないでしょ?」

ルルーシュ「なるほど」

ミレイ「まずは私の隣に来なさい」

ルルーシュ「はいはい」

ミレイ「これぐらいはルルーシュでも余裕か」

ルルーシュ「これで終わりですか?」

ミレイ「えーと……。私と見つめなさい」

ルルーシュ「こうですか?」

ミレイ「う、うん……」プイッ

ルルーシュ「会長が目を背けてどうするんですか?」

ミレイ「いや……なんか、恥ずかしくなってきたから……」

ルルーシュ「これで我侭は終わりですか?」

ミレイ「うーんと……。なら、だ、抱きしめなさい……」

ルルーシュ「え?」

ミレイ「で、できないなら、いいんだけど……」

ルルーシュ「こうですか?」ギュッ

ミレイ「おぉ……!!」

ルルーシュ「……」

ミレイ「……」

ルルーシュ「それから?」

ミレイ「それから……」

ルルーシュ「それから……?」

ミレイ「キ……」

ルルーシュ「……?」

ミレイ「はい!!おしまい!!」ドンッ!

ルルーシュ「な……!?会長、いきなり突き飛ばさないでください。危ないですから」

ミレイ「いい練習になったでしょ?」

ルルーシュ「練習?」

ミレイ「はい、帽子。返すから。渡すべき人に渡すように。会長命令」

ルルーシュ「会長……」

ミレイ「ほら、行った行った」

ルルーシュ「会長?」

ミレイ「……なに?」

ルルーシュ「卒業、おめでとうございます」

ミレイ「ありがと」

ルルーシュ「それでは」

ミレイ「……」

ルルーシュ「……」スタスタ

ミレイ「―――ルルーシュ」

ミレイ「……行っちゃったか」

ミレイ「ま、いっか。十分、楽しかったし。最後に抱きしめてもらえたし。うん。満足、満足」

中庭

シャーリー「ないなぁ……どこだろう……」ガサガサ

ゴォォォ!!!!

シャーリー「なに!?」

モルドレッド『ルルーシュの帽子……探す……』

シャーリー「ア、アーニャ!?」

ジノ「おいおい。いなくなったと思ったら……」

スザク「ジノ!!一体、何があったんだ!!」

ジノ「スザクまで来たか」

スザク「アーニャがモルドレッドを持ち出すから緊急事態でも起こったのかと……」

ジノ「いや……」

モルドレッド『草の根燃やし尽くして……ルルーシュの帽子を……』

スザク「アーニャ!!何をやっているんだ!?」

モルドレッド『スザク……。ルルーシュの帽子、探さないと。会長が欲しがってるみたいだし』

スザク「な、なんのことを言っているんだ……?」

ジノ「あのなぁ……」

モルドレッド『ルルーシュに渡せば、ミレイのところに行くし』

スザク「何があったんだい?」

ジノ「それが……」

ルルーシュ「お探しの物はこれかな?」

シャーリー「あー!!ルル!!見つけたの!?」

ルルーシュ「自力でな」

モルドレッド『ルルーシュ。なんだ、見つけたの』

ルルーシュ「スザク。色々と問題じゃないのか、これは?」

スザク「分かっている。すぐに連れて帰るよ」

ルルーシュ「頼むぞ」

スザク「アーニャ。モルドレッドは持って帰るんだ」

モルドレッド『うん』

スザク「ジノ、悪いけど、アーニャと一緒に戻ってほしい。何があったのか調査して報告するように言われているから」

ジノ「総督にか。それなら仕方ないな」

「よし!!今だ!!!ルルーシュの帽子をうばえー!!!!」

「うぉぉぉぉ!!!!」

ルルーシュ「……!!」

スザク「なんだ!?」

シャーリー「わぁぁ!?ちょっと!!ストップ!!ストーップ!!!」

ルルーシュ「スザク!!詳しいことは俺が説明する!!この場を切り抜けるために力をかしてくれ!!」

スザク「分かった!!こっちにくるんだ!!」グイッ

ルルーシュ「うわっ?!ま、まて!!シャーリーも一緒に頼む!!」

スザク「シャーリーも?なら、二人を脇に抱えよう。そのほうが逃げやすい」

ルルーシュ「なに!?どうしてそうな―――」

スザク「よいしょっと」

ルルーシュ「お、おい!!スザク!!」

スザク「シャーリー!!君もだ!!」グイッ

シャーリー「え?えぇ!?」

スザク「よっと。―――よし!!この場を離脱する!!」ダダダッ

屋上

スザク「―――なるほど。事情は概ね理解したよ」

ルルーシュ「そうか」

スザク「でも、会長もおかしなイベントを考えるんだね」

シャーリー「それはきっと、会長自身が気持ちに一区切りつけたかったからだと思う」

スザク「このイベントで?」

シャーリー「うん」

ルルーシュ「会長だけではないだろうな。何人かそう思っていただろう」

ルルーシュ(恐らく。生徒会メンバーでそれができていないのは、俺だけだろうな……)

スザク「そうか。会長も考えなしにイベントを企画しているわけじゃないんだ」

シャーリー「いや、でも、結構思いつきでやってると思うけど」

ルルーシュ「そうだな」

スザク「ありがとう、ルルーシュ。それじゃあ、僕も戻るよ」

ルルーシュ「ああ。アーニャには厳重注意を頼むぞ」

スザク「言って、聞いてくれればいいんだけどね」

ルルーシュ「……」

シャーリー「……あ。ルル。えっと」

ルルーシュ「シャーリー……帽子だが……」

シャーリー「あ、うん……折角だし……」

ミレイ『はーい!!しゅーりょー!!!今、意中の帽子を持っている人たちはめでたく恋人でーす!!!』

ルルーシュ「……終わったな」

シャーリー「そうだね」

ルルーシュ「戻るか。後始末も残っているからな」

シャーリー「ねえ、ルル。会長に何か言われた?」

ルルーシュ「何かって?」

シャーリー「生徒会室とかでなんかあったんじゃないのー?」

ルルーシュ「何もないよ」

シャーリー「本当かなぁ?ルルはすぐ嘘つくから、信じられないなぁ」

ルルーシュ「嘘はつかない。言わないだけだ」

シャーリー「そーいうの屁理屈っていうんだよ。知ってる?」

放送室

ミレイ「私のために最後まで付き合ってくれてありがとー!!!みんなのことだーいすき!!!」

ミレイ「……ふぅ」

咲世子「ミレイ様」

ミレイ「咲世子さん」

咲世子「お気持ちは伝えられたのですか?」

ミレイ「うん。卒業できた」

咲世子「……」

ミレイ「ごめん。ちょっと、出て行って……」

咲世子「ミレイ様……あの……」

ミレイ「今、何か優しくされると……困るから……」

咲世子「分かりました。それでは」

ミレイ「うん……」

ミレイ「やっと、卒業できた……」

ミレイ「ルルーシュ……私、ずっと好きだったよ……気付いてた?」

地下室

咲世子「……!!」ビクッ

ルルーシュ「咲世子……。説明、してくれるな?」

ヴィレッタ(扇を殺すな……)ウルウル

ロロ「おなか……いたいよ……にいさん……」

ルルーシュ「この惨状はなんだ?」

咲世子「あ、えっと……それはミレイ様のためを思って……」

ルルーシュ「ヴィレッタを脅したのもか?」

咲世子「申し訳ありません」

ルルーシュ「ロロには何をした?」

咲世子「軽いボディブローを……」

ルルーシュ「軽い……?」

咲世子「……強烈なボディブローを……」

ルルーシュ「咲世子……。相応の罰があることは覚悟の上なんだろうな?」

咲世子「は、はい……も、もちろんです……」

翌日 校門前

ミレイ「さてと……。新居のほうへ行きますか」

咲世子「ミレイ様」

ミレイ「咲世子さん。お見送りはいいって……」

咲世子「いえ。ルルーシュ様から伝言がございます」

ミレイ「伝言?」

咲世子「また遊びにきてくれと」

ミレイ「……それだけ?」

咲世子「残念ながら」

ミレイ「ふふ……。そう。ありがとう、咲世子さん。わざわざそれだけを伝えにきてくれて」

咲世子「これが罰ですので……」

ミレイ「罰?」

咲世子「なんでもありません。ミレイ様、何かあればすぐに駆けつけますので。いつでも呼んでください」

ミレイ「うん。あ、そーだ。ルルーシュに伝えて欲しいことがあるんだけどぉ、いい?」

咲世子「はい、勿論です」

生徒会室

アーニャ「見て」

シャーリー「なに?うわぁ……アーニャのブログにリヴァルのかっこいい映像が……」

リヴァル「おい!!アーニャ!?今朝から周囲に変な目で見られると思ったら、アーニャのブログの所為かよ?!」

アーニャ「ダメだった?」

リヴァル「怖いんだよ!!ルルーシュの隠れ親衛隊とかにめちゃくちゃ睨まれてさぁ!!!」

ルルーシュ「自業自得だな。俺を殴りつけようとするからだ」

リヴァル「なんだとぉ!!!」

ルルーシュ「ただ評判を落としただけだったな。リヴァル」

リヴァル「うるせぇ!!!―――さっさと、なぐさめろぉ……」

ルルーシュ「昨晩、散々お前の愚痴を聞いてやっただろうが」

シャーリー「へえ、そうなんだ」

ルルーシュ「おかげで寝不足だ。責任をとれ」

リヴァル「なんだよぉ。慰めるって約束だろぉ?」

咲世子「―――ルルーシュ様。ミレイ様から伝言を預かってきました」

ルルーシュ「そうですか」

リヴァル「会長から伝言!?」

シャーリー「なんですか?」

咲世子「ルルーシュよ、お前にこれだけは言っておこう。ラブアターック!!!と。―――以上です」

ルルーシュ「はいはい。難解な伝言だ」

シャーリー「どういう意味?」

リヴァル「あれかな、ルルーシュからもっと積極的になれってことかな?」

アーニャ「ラブアタック」ドゴォ

ルルーシュ「アーニャ。体当たりの技名ではないぞ」

シャーリー「確かにルルにはそういうのないもんね?……私にもないかも」

咲世子「ミレイ様にもありませんでした」

リヴァル「俺にもなかったかもなぁ……」

ルルーシュ(全員になかったものかもしれないな。会長、貴方の託けはしっかりと守りますよ)

ルルーシュ「な、シャーリー?」

シャーリー「え?なにが?」
                  FIN

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