える「折木さん!私、気になります!」 奉太郎「どうした、千反田」(96)

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「この前、トゲアリトゲナシトゲトゲという名前の虫がいるという話を聞いたんですが
この虫って結局とげがあるんですか? ないんですか? わたし気になってしまって……」

奉太郎「やれやれ、そういう雑学系の話は、データベースを自称してる里志に聞いてほしいんだがな。
でも、その虫だったら図鑑で見たことがあるな」

える「本当ですか? それで結局どっちなんですか?」

奉太郎「まあ聞け。
ハムシと呼ばれる種類の虫の中にとげが生えたトゲハムシというのがいて
俗にトゲトゲと呼ばれてるんだ。

しかしある時とげがないトゲトゲが発見されてトゲナシトゲトゲと名付けられたんだ。

だが、その後で、トゲナシトゲトゲの中にとげがある種類が発見されて
トゲアリトゲナシトゲトゲと呼ばれるようになったんだとさ。
つまり、この虫にはとげはあるってわけだ」

える「えーっと。とげがあるトゲナシトゲトゲっていわゆる普通のトゲトゲなのでは?」

奉太郎「俺だって、そう突っ込みたいが、あくまでもトゲナシトゲトゲという種別の虫の中に
とげがある種類が発見されたんだ。普通のトゲトゲとどう違うのかは、知らんけどな」

える「なるほど! よく分かりました!
普段はなまけものの折木さんでもたまには役に立つんですね!」

奉太郎「……とりあえず、お前の言葉にはとげがあるようだな」

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「血液型占いってありますよね、ああいうのって信憑性あるんでしょうか」

奉太郎「あれって、昭和初期に日本のどっかの学者が唱えた説が元になっていたと思うが
ただ、科学的な根拠が薄弱だし、おれは信じていないな。
まあ話のネタにはなるから、別に信じる奴を非難する気もないが」

える「そうですか? でもTVの特集なんかで血液型別に子供をグループごとに分けたら
同じような行動をとる子供が多かったっていうのを見たことありますし。

統計学的な観点でそういう結果が出ているのであれば
まだ解明されてないだけで血液型が人格に与える影響もあるかもしれませんよ?」

奉太郎「統計学ってことはそう言う傾向があるってだけで、当てはまらない人間だって
たくさんいることになるからなぁ
それに、途中で血液型が変わった人間が性格は変わらなかったって、言っていたのを聞いたことがあるしな」

える「血液型が変わった人間? そんな人いるんですか?」

奉太郎「歌舞伎役者の十二代目市川團十郎は61才の時に血液型がA型からO型に変わったそうだ。

白血病の治療で骨髄移植を受けたんだが、骨髄移植を受けると、
移植したドナーの細胞によって血液を造り出すようになるから、ドナーの血液型に変わることになるんだ。

妹から骨髄移植を受けた結果、本来のA型から妹の血液型であるO型に変わったけど、インタビューか何かで、「血液型は変わっても、性格は変わっていないと思います」と答えてたな。

まあ、そんなわけであんまり信じてないが、占いがどうかしたのか?」

える「いえ、相性を占ってみたくてですね。だから、その」

奉太郎「相性? 誰と誰との?」

える「内緒です!」

奉太郎(何だったんだ?)

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「よく、ありがちな展開とかありがちな台詞回しのことをベタベタって言うじゃないですか。
あれって何でベタベタっていうんでしょう?」

奉太郎「……そうだな、たとえばハードボイルド小説とかだと
よく主人公はトレンチコートを着た私立探偵だったりするだろ?」

える「ありますね、そういうこと」

奉太郎「それで大抵の場合、そういう主人公はコーヒーにうるさかったりするんだ」

える「まさにベタベタです」

奉太郎「まあな、それでまずいコーヒーとかを飲んだ時にかなりの確率で
「やれやれ泥水みたいなコーヒーだぜ」とかいったりする」

える「……」

奉太郎「で、そういう使い古された表現のことを文学的な比喩として「手あかにまみれた表現」と形容することがある。
つまり「手あかにまみれた表現」→「手あかにまみれてベタベタの表現」→「ベタベタ」
というわけだ。」

える「なるほど! ありがとうございます折木さん! 流石です!
私、胸のつかえが取れました! 」

奉太郎「なに、今全部適当に考えた」

える「!!!」

……

麻耶花「奉太郎? 今、ちーちゃんがショックを受けた顔で廊下を走って行ったけど?」

奉太郎「ああ、いいんだ。
あいつは時に人は自分に嘘をつくこともあるということを、社会に出る前に学ぶべきだ」

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「あの……私の胸って、同世代の女子と比べて大きい方でしょうか?
それとも小さい方でしょうか? 
私、気になってしまって……折木さんの意見を聞きたいのですが」

奉太郎「ふうむ、しかしさすがの俺も実際に見て、さわって、揉んでみないと何とも言えないな」

える「そうですか。では実際に見て、さわって、揉んで見ていただけないでしょうか?」

奉太郎(ガタッ)

奉太郎「お、俺はやらなくていい事はやらない、疲れる事は避けられるものならしたくない、という省エネ主義の持ち主なんだが・・・。
千反田に頼まれたのでは、仕方ない。こ、断れない、な」

える「では、よろしくお願いします」

奉太郎「お、おう」

える「…………あの折木さん?」

奉太郎「何だ?」

える「私、こういうこと初めてなので、…………優しくしてくださいね?」

奉太郎「わ、わかった」

える「……」

奉太郎(千反田が、顔を赤らめながらセーラー服の上をたくし上げてる……。)

える「……」

奉太郎(白い肌と、可愛いおへそが見えて……)

える「……」

奉太郎(もう少し! もう少しでブラジャーの色と二つのふくらみのすそ野が……)

(ガラッ)
麻耶花「遅れてごめーん」

里志「お待たせー」

える(サッ、コソコソ)(麻耶花さんたちも来てしまいましたし、別の機会にしましょう)

奉太郎「……」

麻耶花「何よ、折木。ちょっと遅刻したぐらいでそんな不機嫌そうににらまないでよ」

里志「そうだよ。自分だってたまに遅れるんだからさ」

える(あれ、もしかして折木さん残念がってます?)(ニコニコ)

折木(……別に)

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「男の人って
「うっすらと汗で下着が透けて見えてる体操着とブルマをはいてる女の子」と
「ぴちっとしたスクール水着を着て、おしりのくいこみを直している女の子」
どちらにグッとくるものなのでしょうか? 私、気になります!」

奉太郎「ううむ、さすがの俺も実際に目の前で着替えて両方見せてもらわないと判断が付かないな」

える「そうですか。では実際に目の前で着替えますので、見ていてもらえないでしょうか?」

奉太郎(ガタッ)

奉太郎「お、俺はやらなくていい事はやらない、疲れる事は避けられるものならしたくない、という省エネ主義の持ち主なんだが・・・。
千反田に頼まれたのでは、仕方ない。こ、断れない、な」

える「では、よろしくお願いします」

奉太郎「お、おう(なぜ、体操着と水着を準備良く持っているのかということはあえて考えないことにしよう)」

える「……」

奉太郎(千反田が、顔を赤らめながらブルマをはくために、スカートをたくしあげてる)

える「……」

奉太郎(すらりとした美脚と、太ももをさらしながらブルマーに足をとおして……)

える「……」

奉太郎(もう少し! もう少し下のアングルからなら下着の色が……)

(ガラッ)
里志「やあ! 奉太郎!」

麻耶花「遅れてごめーん」

える(サッ、コソコソ)(麻耶花さんたちも来てしまいましたし、また今度にしましょう)

奉太郎「……」

麻耶花「何よ、折木。ちょっと遅刻したぐらいでそんな不機嫌そうににらまないでよ」

里志「そうだよ。そんな顔赤くして怒ることないだろ」

える(あれえ、もしかして折木さん残念がってます?)(ニコニコ)

折木(……なあ、この前の事といい、もしかしてお前、校舎の窓から里志たちが来るの見えてたんじゃないのか?
里志たちが来るタイミングわかっていて俺の事からかってたんじゃないか?)

える(何のことでしょう?)(ニコニコ)

折木(この前嘘ついたのを根に持って仕返しか?)

える(何のことですか?) (ニコニコ)

える「折木さん! 私、気になります!」 

奉太郎「どうした、千反田」

える「よく「人生お金じゃない」とかっていうじゃないですか?
あれってお金持ちの人が言う時と、貧乏な人が言う時、どちらが説得力あるんでしょうかね?」

奉太郎「よし、千反田。まず目をつぶれ」

える「つぶりました!」

奉太郎「じゃあ、いかにもお金持ちっぽい男を想像してみろ。

革張りのソファーに腰かけて、高級ワインをグラスの中で転がしながら
豪華な家具に囲まれて暮らしているような奴だ」

える「想像しました!」

奉太郎「そいつが、人生の真理を語ってやるとでも言いたげな上から目線で一言
「…いやぁ、人生お金じゃありませんよ」
どうだ? 説得力あるか?」

える「……全くありませんね、食べるものにも困るくらい貧窮した状況に追い込んで
同じセリフが吐けるか、試してやりたいです」

奉太郎「よし、それじゃあ、今度は貧乏そうな男を想像してみろ。
毎日の食べるものにも困っていそうなみすぼらしい男だ」

える「想像しました!」

奉太郎「そいつが、疲れ切った顔に力ない笑みを浮かべて一言
「…いやぁ、人生お金じゃありませんよ」どうだ? 説得力あるか?」

える「……これも説得力ありませんね。
目の前にわざとお金がたくさん入った財布を落として、
警察に届けるか、ネコババするか観察してみたいです」

奉太郎「それじゃあ今度はお金持ちだけど、
周りに寄って来るやつはみんな金目当てで、人間関係に恵まれない男を想像してくれ」

える「想像しました!」

奉太郎「そいつが、友人に恵まれて、恋人もいるほかの人間を見て一言
「…人生お金じゃありませんよねえ」 どうだ? 説得力あるかな? 」

える「まあ、実際お金もっていても幸せじゃないということを体感してますからね。
あるんじゃないでしょうか」

奉太郎「それじゃあ、貧乏だけれど
友人もいて、優しい家族にも囲まれて、にぎやかな毎日を送っている男を想像してくれ」

える「想像しました!」

奉太郎「そいつが「人生お金じゃありませんよ」といったらどうかな?
説得力あるか?」

える「まあ、実際貧乏でも、幸せそうに暮らしてますからね。説得力はありますね」

奉太郎「というわけだ。
つまり、「人生金じゃない」という発言に説得力を持たせるのは、
金を持っているかどうかじゃなく、そいつが金に依存しているかいないかによってくるというわけだな。

「人間、顔じゃない」とか「人生、恋愛だけじゃない」でも同じことが言えそうだな。」

える「なるほど! よくわかりました。折木さんもたまには質問にまともな答えを返してくれるということが」

奉太郎「最近、お前の言葉にきついものを感じるんだが……」

える「折木さん! 今、折木さん、笑っていました!」

奉太郎「え?」

える「どうして笑っていたんですか? 私、気になります!」

奉太郎「笑っていたか? いやまあ別に大したことじゃないんだ。
入須先輩って知っているだろ? 映画の件で頼みごとしてきた先輩だよ。

……まあ、あの時、言いように利用されたことについて少し文句を言ったことがあったんだが
そしたら、お詫びをさせてほしいって食事に誘われたんだ。 それも郊外にある高級レストランでな」

える「なるほど、つまり折木さんは、自分を手玉に取った年上の美人の先輩が
お詫びとして食事に誘ってきたので、
自分が優位な立場に立ったうえで、二人きりで会えることに、いやらしい期待をしてにやにやしていたというわけですね」

奉太郎「いやいや、それはいくらなんでも邪推だろ」

える「では、違うと言い張れますか! 違うのなら今すぐその会食を断ってきてください! 
私の前で!」

奉太郎「できるか!」

える「やっぱりいやらしいことを考えていたのですね」(ゲシゲシ)

奉太郎「考えてない。というかなぜ俺の足をけるんだ? 」

える「私、気に障ります!」

奉太郎「そんなこと高らかに宣言されても」

える「ああ、折木さん。先日は入須先輩とお食事でしたよね? どうでしたか?」

奉太郎「いや、それが、なぜか普段はすいているレストランが、
行ってみたら急に予約でいっぱいになっていて。結局キャンセルになってしまった」

える「それは残念でしたね」

奉太郎「ちなみに看板には「本日、千反田家御一行様により貸切」と書いてあったんだが」

える「ああ、先日、法事で親戚が集まることになっていたので
良い場所はないかと父に聞かれて、私がその店を薦めたんです。偶然って怖いですね!」

奉太郎「ち、千反田。お、お前……」

える「何か?」

奉太郎「……いや何でもない」

える「折木さん! 私、気になります!」

奉太郎「どうした、千反田」

える「サンタクロースって本当にいるのでしょうかね?」

奉太郎(……いくら千反田が多少天然入っているとはいえ、サンタの存在をいまだに信じているとは思えん。
つまりこれは、おれが何か気の利いた返事が返せるかを試す、思考実験というか
ゲームみたいなものか)

奉太郎(さて、何と返すかな。いない、なんて回答は当たり前すぎて面白くない。
……いると答えるとして、だ。

サンタクロースのモデルであり、語源でもある聖人セントニコラスは実在した、とか
8歳の女の子に同じことを聞かれたアメリカの新聞記者みたいに、いないなんてことは誰も証明できないなんて答えも芸がないな。

日本には国際サンタクロース協会公認のサンタ「パラダイス山元」がいるらしいが、
そんな答えは期待してないだろうな)

奉太郎「……サンタというのは、その人のことを大切に思っている人の姿で現れるんだ。
だから、誰にも気づかれないんだよ」

える「なんと、そうなのですね! ロマンチックな答えです!

……でも私、クリスマスプレゼントを去年は父に買っていただいたのですが、
あれがサンタだったとしたら、その間本物の父はどこにいたのでしょう?」

奉太郎「……もっ、もちろんサンタに拉致されて、眠らされていたんだろう。たぶん。
そしてクリスマスが終わった後で、娘にプレゼントを買って一緒にクリスマスを祝ったという
偽の記憶を刷り込まれて、解放されたんだ。きっと」

える「なるほど! メン・イン・ブラックみたいです!
しかし、そうだとすると、プレゼントの会計記録などは……」

奉太郎「当然、サンタが事前にプレゼントを購入する分の金額を、世の父親たちが支出したことにしたんだろ。
銀行通帳の給与の振込額なども操作して、つじつまを合わせているんだ」

える「……ちょっと待ってください。
そうだとすると
世界中の子供たちのプレゼントを購入するだけの資金力、
また世界中の子供たちが欲しいものさえ知るほどの諜報能力をもち
世界中のお父さんたちの銀行通帳記録さえも操作して
あまつさえ、その人の親しい人間に変装してみせるサンタっていったい何者なんです?」

奉太郎「……当然、個人ではありえない。
世界レベルの規模のキリスト教系の国際秘密組織とでも考えるのが妥当だな」

える「ええっ! じゃあサンタという呼称も! もしかして」

奉太郎「ああ、S.A.N.T.A.
スペシャル・アソシエーション・オブ・ナショナル・タクティカル・アーミー、
国際戦略軍事の為の特別組織とでも考えるのが妥当だな」

える「そう考えると、サンタの服が赤いのもなんだか恐ろしげですね」

奉太郎「おそらくプレゼントを買う資金は
その諜報能力によって得た情報を売って、手に入れているんだろう。

当然世界中のスパイ組織を敵に回すこともあるだろうから、サンタの服が赤いのは敵の返り血だろうな。
そしてその中でもエリート中のエリートがコードネーム、クローズ(爪)と呼ばれ
実行部隊としてプレゼントを配って回っているんだろう」

える「サンタ(S.A.N.T.A.)クローズというわけですか」

奉太郎「……って、良い話でまとめるつもりだったのが、千反田が突っ込んでくるから
オカルティックな陰謀論ネタになっちまったよ」

える「ふふ、すみません。サンタの質問からそこまで話を広げてくれるとは思いませんでした。
それで「サンタというのは、その人のことを大切に思っている人の姿で現れる」ということでしたが、
ちなみに去年の折木さんのサンタはどなただったんです?」

奉太郎「…うちの姉はその時は仕事で家にいなかったし、誰もいなかったな」

える「…………では、次のクリスマスの時、私が折木さんのサンタになってもよろしいですか?」

奉太郎(?……?
え、おれが言った「サンタというのは、その人のことを大切に思っている人の姿で現れる」という言葉を踏まえて判断すると、千反田は、つまり)

奉太郎「千反田、それはお前がおれの事を大s」

(ガラッ)
麻耶花「こんちわー」

里志「やあ、奉太郎に千反田さん」

奉太郎「……なあ、おまえらたまには空気読んで登場してくれないか?」

麻耶花「はあ? 普段、省エネ主義を標榜してる自分本位の考えのあんたに
そんなこと言われたくないわよ」

里志「奉太郎。僕、気になるんだけど」

奉太郎「千反田じゃなく、お前がおれにそのセリフを言うのか。
珍しいな、何だ?」

里志「いやさあ、この間ネットの掲示板でこんな書き込みがあってさ。

「女は星の数ほどいる。しかし星には手が届かない」っていうやつなんだけど。

まあ、気の利いた言葉ではあるけど、実際の所正しいと思うかい?
奉太郎としてはどう思う?」

奉太郎「そうだな、その喩えにのっとっていうなら
手が届かないから、言葉というロケットに自分の気持ちを乗せて相手に向かって飛ばすんじゃないかな」

里志「ロケットか。
なるほど、自己保身とかフられるかも知れない不安という重力を振り切って
勇気を燃料に、はるかかなたの遠くの星相手に飛ばすわけだね」

奉太郎「まあ、お前は、飛ばしている途中で、他の星の重力に惹かれて、そっちに着陸したりしてな」

里志「そりゃ、他の女の子に目移りするってことかい?
それをいうなら奉太郎なんて目的の星にたどり着いても
やっぱりしばらく暮らしてるうちに自分が住み慣れた星の方が良いって思い始めて
元いた星に引き返しちゃうんじゃないかな」

奉太郎「なるほど、恋愛のために相手に合わせて生活するのが面倒になって
自分の時間が大事に思えてくるってのは、あるかもしれないな」

里志「……って、僕たちさっきからものすごく痛々しい会話してないか?」

奉太郎「……うむ、おれも今気が付いた。中二病入っているというか恥ずかしいというか。
まあ、他の奴、特に女子とかに聞かれなくてよかった」

(ガラッ)
える「こんにちは。折木さん」

麻耶花「……福ちゃん。ちょっと話があるから廊下に来てくれる?」

里志「??? わかった、今いく」

える(ニコニコ)

奉太郎「……? なんだ、千反田、何か面白いことでもあったのか?」

える「いえいえ。
ところで折木さんは好きな女の子が出来たら、どんなロケットを飛ばすのですか?」

奉太郎(き! 聞かれていただと!)

奉太郎「いや、あの、あれは、軽い冗談で言ったみただけというか……。
ん、里志、戻ってきたのか。伊原は何て言ってたんだ?」

里志「いや、それが目に涙浮かべて
「遠くの星なんて探さなくても、すぐ近くにだって綺麗な星はあるんだよ!」って
力説されて……」

奉太郎「なんだ、そりゃ。わけわからん」

える「折木さん……そこは察するところです」

える「折木さん! 私、気になります!」

奉太郎「どうした、千反田」

える「折木さんは私の事……どう思います?」

奉太郎「なっ!……あの、いやええとだな。

そうだな、おれは、千反田のこと可愛いと思うし、
今まで時間を一緒に過ごしてきて、
豪農の娘として周囲の人の立場を大事にするお前の考え方とか、尊敬できるし
だから、お前の事は、嫌いじゃないというか、結構好きというか」

える「……あの、折木さん。
私、今日、髪型を少し変えてみたのでその感想を聞いてみたかっただけなのですが」

奉太郎「えっ!?」

える「でも、折木さんは、私のことをそんな風に思ってくださってたんですね。
……初めて知りました」

奉太郎「ち、千反田。なぜ、そんなすぐ近くに座るんだ」

える「いけませんか?」

奉太郎「いや、いけなくはないが」

える「じゃあ、いいですね? 」

奉太郎(……千反田の顔がこんなに近くに)

える「折木さん、さっき言いかけたことですが、確か私のことを好きだと」

奉太郎「……」

える「でももう一度、折木さんからちゃんと気持ちを聞きたいんですが」

奉太郎「も、もう一度?」

える「言葉で無理なら態度で示していただけませんか?
こんなふうに」

奉太郎(ち、千反田が、体に抱きついて背中に手を回して)

える「ちなみに、今日は福部さんも麻耶花さんも委員会の仕事や漫研があるとかで
しばらく来ないそうですよ?」

奉太郎「……千反田」

える「ふふ、やっと私も素直に伝えられました」

奉太郎「?」

える「私、折木さんの事、気になります」

おしまい

こんな書いている本人もどこへ向かおうとしているのか、分からなくなるSSに付き合ってくれてありがとう。

千反田えるの「私、気になります!」というセリフをお題にして
小話を繰り広げる感じのSSを書こうとしたんだけど、
最初は雑学ものにするつもりが、ネタがそんなに出てこなかったので、適当にまとめたら、こんな感じになった。

少しでも楽しんでくれた人がいれば幸いです。
さよなら。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月17日 (金) 21:42:23   ID: 7k4aygwb

とても面白かった

2 :  SS好きの774さん   2016年04月12日 (火) 03:58:11   ID: sw__4h_n

多少のブラックえるたそに目を瞑れば軽快なラブコメ

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom