伊織「弟と喧嘩した?」 やよい「うん…」 (36)


やよい「うーん、ここじゃなかったっけ…」ゴソゴソ

長介「ただいまー…姉ちゃんってなにやってんの…?」

やよい「あ、おかえり。ねぇ長介、ハサミ持ってない?前は確かここにしまってあった」

長介「何俺の机漁ってるんだよ!!」バッ

やよい「わっ、ちょ、どうしたの?」

長介「どうしたのじゃないよ! 勝手に机の中身見るなよ!」

やよい「ど、どうして? 前は普通に…」

長介「うるさい! どっかいけ!」ドンッ

やよい「きゃあ! ちょっと長介!叩くことないでしょ!」



やよい「って感じで…」

伊織「ふーん…」

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やよい「なんで長介怒ってたのかな…」

伊織「机の引き出しを勝手に見たからかしら。でも以前までは何も言われなかったのよね?」

やよい「うん。長介も私のところからよく持ってくし」

伊織「じゃあ益々わからないわね…。まったく、相変わらず姉を困らせる弟なんだから」

やよい「あの時私もカッとなっちゃって大声だしちゃったけど、よく考えてみたら私が…」

伊織「やよいは何も悪く無いわよ! 悪いのはいきなりキレた長介よ」

やよい「うーん、そうかなぁ」


やよい「でも、どうして勝手にみちゃダメだったのかな」

伊織「確かに謎ね。勝手に見られちゃ困るものがあったとか?」

やよい「見られちゃ困るものってなに?」

伊織「そうねぇ…家族にも見せられないものって一体…」

やよい「うぅ、そんなものへそくりぐらいしか思いつかないよぉ…。でも長介がそんなにお金持ってるなんて思えないし…」

伊織「何か他に困るもの…」

伊織「あっ、点数が悪かったテストとか?」

やよい「テスト…! わ、私は隠してないよ! 小1の時にしかやってないよ!」

伊織「やよいのことは聞いてないわよ…。って隠したことあるのね」



やよい「うっ…。で、でも長介は私よりも頭いいし…」

伊織「あらそうなの?」

やよい「うん。私が小学生の頃と比べると長介のほうが高いよ」

伊織「へぇ。まぁ姉の普段の頑張りのおかげね。やよいのお陰で勉強に集中できるわけだし。長介はもっと感謝すべきよ」

やよい「そ、そうかな?えへへ、伊織ちゃんに褒められちゃいました!」

伊織「! べ、別に褒めたんじゃないわよ!」カァァ

やよい「えっ褒めてくれたんじゃないの? ヌカ喜びしちゃいました…」

伊織「と、とにかく! 謎解明が先よ!」

やよい「他に…他…」

伊織「そうねぇ…うーん…見られたくないもの…」

伊織「……お弁当箱?」

やよい「お弁当箱!? どうしてそんなものを机の中に!」

伊織「いや、なんでもないわ…。忘れて頂戴」


やよい「…ねぇ伊織ちゃん」

伊織「ん、なにか思いついたの?」

やよい「ううん。他のことなんだけど…。私って長介たちにとって迷惑なのかなぁ」

伊織「え?どうしてそんなこと」

やよい「だって私馬鹿だし、小さいし、特売の牛切り落とし買いそびれちゃうし…。やっぱりもっとしっかりしないとだめなのかなーって」

やよい「長介が怒ったのって、久しぶりにお肉食べられなかったからその恨みで」

伊織「そんなことないわよ! やよいがいつも家族のために頑張ってることぐらいみんなわかってるわよ」

やよい「伊織ちゃん…」

伊織「みんなやよいに感謝してるわ。……感謝?」

やよい「ありがとう伊織ちゃん…。えへへやっぱり伊織ちゃんはやさしいなーって」


伊織(感謝…。普段の労働の感謝を伝えるためだと考えたら…)

伊織(それは誕生日プレゼント…!やよいの誕生日は3月25日!そのための準備をしていて、それをやよいには隠している!)

伊織(その隠し場所が机の中だと考えたら話がつながる…これだ!)

伊織(ちょっと準備するには早過ぎる気がしないでもないけど…まぁいいわ! まったく長介ったら憎いことしてくれるじゃない!)

やよい「伊織ちゃん?」

伊織「ふぁい!? な、何かしら!?」

やよい「どうかしたの? 今一瞬考え事をする小鳥さんみたいに」

伊織「なんでもないわ! やよい、このことに関しては気にする必要はないわ!」

やよい「えっどうして」

伊織「やよいもいつか気づくわよ。弟たちはしっかり成長しているわ。心配する必要はないわよ」

やよい「そ、そうなの…?」

伊織「そうねぇ…そっちがその気なら私も今から準備してやろうかしら。やよい、スゴイの期待してなさい」

やよい「う、うん…。」

やよい(話がよくわからんことになってますー…)


やよい「ただいまー」ガラガラ

長介「おかえりー。今日は買えたの?」

やよい「う、うん! はい、豚細切れ肉200グラム229円」

やよい(普通に話してる…。もう怒ってないのかな)


長介「おお、すげーじゃん。俺も早く特売で戦えるようになりたいなー」

やよい「あ、あのさ長介」

長介「ん、何?」

やよい「もう怒ってない?」

長介「は? なんのこと?」

やよい「あのー…長介の机を勝手にいじったこと」

長介「あぁ…」


長介「まぁ、あれはもういいよ」

やよい「もう怒ってないってこと?」

長介「うん。こっちもゴメン。いきなり叩いたりして」

やよい「えっ…ううん、いいの別に…」

やよい(謝られちゃった…。なんだか予想外かも)

長介「ハサミなら上から2番目の引き出しに入ってるから。使いたかったら持っていっていいよ」

やよい「わかった。それじゃあ晩御飯作るね!」

長介「うん。……あの、姉ちゃん」

やよい「ん? なに?」

長介「その…いつもありがとう…な?」

やよい「……。」

やよい「…うん!」


やよい(伊織ちゃんが言ってた成長ってこういうことだったのかなーって!)

やよい(うっうー!なんだか嬉しくて今ならなんでもできちゃいそうです!)

やよい「~♪」






長介「…。」

長介(これでひとまずは対策完了かな)

長介(場所も移したし…彼処なら見つからないよな)

長介(しかしどうしよう…。いつかはバレるよな…)

長介(返そうか…。持ち物検査ない日だといいんだが…)

長介(とりあえずはここに保管だ…。まだ全部読んでないし)


長介「ちょっと出かけるよ」

やよい「えっどうしたの?お肉ならもう買ったよ?」

長介「学校に忘れ物しちゃったみたいだからとりに行こうと思って」

やよい「ふーん。気をつけてね」

長介「うん」ガラガラ

長介(とは言え気になって仕方ないから、エロ本の続きを借りに行くなんて口が裂けても言えない)



…………翌日


やよい「あ、あの!小鳥さん!」

小鳥「あら、やよいちゃんじゃない。どうしたの?」

やよい「あのっ…小鳥さんにしか相談できないことが…」

小鳥「うふふ。何かしら?お姉さんになんでも言ってみて頂戴?」

やよい「こっ、これなんですけど……」スッ

小鳥「袋? 中身見ていいの?」

やよい「はい…」

小鳥「それじゃあ失敬して…」ガサゴソ

やよい「あのっ変だって思わないでくださいねっ!」

小鳥「益々気になるわね…。一体何が…」


ERO「やぁ」


小鳥「ブーーーーッ!」


小鳥「ちょちょちょちょっとやよいちゃんっ!! こんなのいけません!!ボッシュートですよ!ボッシュート!」

やよい「はわっ、小鳥さん落ち着いてくださいー!! それにその本弟のだから没収しないでくださいー!」

小鳥「純真無垢なやよいちゃんからこのような本を賜るとは、音無小鳥(2✕)全く予想しておりませんでした!! ごはぁッ!!」

やよい「うぅぅ、やっぱり変ですよね…こ、こんな本持ち歩くなんて…」

小鳥「そうやよいちゃんとエロ本はいつでも一緒なのだ。一心同体なのだ。って喧しいわ! 思春期の女子!!そういうのに興味が出てくるお年ごろなんです許してください!!」

やよい「小鳥さん! 助けてください! もう小鳥さんぐらいしか相談できる人がいなくて…」

小鳥「ピヨぉ!! なんだか頼ってくれてとても嬉しい反面、普段どんな目で見られてるのか疑心暗鬼になりそうな発言がっ! ととととととにかくどうしたのこのえろろろええろおえろっっっr」

やよい「小鳥さん落ち着いてくださいー」


~5分後~

小鳥「ふぅ。こたつでまったりするやよいおりを想像して何とか平静を保てるようになったわ。ありがとうやよいおり」

やよい「それでこれなんですけど」スッ

ERO「んほおおおおッッッ!!!」

小鳥「キャー!!見せちゃダメ!!そんな卑猥なものしまってしまって!!」

やよい「うぅぅ…やっぱり小鳥さんも気持ち悪いって思いますよね…」

小鳥「いやいやいやそんなことないわよ! やよいちゃんの手からそんなものが出てくるなんてむしろご褒美なんだけど…けど平静が保てなくなるというか…」

やよい「ごめんなさい小鳥さん! 迷惑だってわかってるんですけど…けどこうするしかなくて」

小鳥「こうするしかないって、一体何があったの? 相当深刻なことなの?」

やよい「はいぃ…。実はこれ、弟が持っていた本なんです…」

小鳥「…………えっ?」


…………長介が出かけた後


やよい「うっうー! ご飯炊けるまで暇になっちゃいましたー!」

やよい「今日は弟のせいちょーを感じられたからお姉ちゃんも頑張っちゃいますよー!」

やよい「まずは部屋の掃除をしまーす! 長介の机はなるべく触らないようするために、本棚を整理しまーす!」

やよい「わー懐かしいなー。長介たちもまだこの教科書使ってるんだー。ちゃんと古い教科書もとってあって関心しちゃいました!」

やよい「ん? なんかこの美術の教科書が不自然に分厚いような。」

やよい「! わかりました! 鉛筆が挟まったまんまになってるんだ! ものは大切に最後まで使わないとめっですよ!」バッ

ERO「見られちゃってるのぉぉ゙お゙お゙おッ!!」

やよい「」


やよい「ってことがあって…」

小鳥「oh…」


小鳥「そ、そう…。なんというか弟さんは御愁傷様です」

やよい「ううぅ…、なんだか恥ずかしくって仕方がなくて…」

やよい「そのまま私の鞄に隠しちゃって…」

小鳥「それで持って来ちゃっと」

やよい「はい…」

やよい「どうしましょう! 弟のだから勝手に盗ったら泥棒だし…だけどこういうのは…ちょっと…良くないと思うし…///」

小鳥(羞恥心と正義心の狭間にいて滔々とするやよいちゃんごちそうさまです)


小鳥「そ、そうね! でも必ずしも弟さんの所有物だとは限らないかもしれないわよ?借りたってことも」

やよい「え゙ぇ゙!? えっちの本を貸したり借りたりするんですかー!?」

小鳥「やよいちゃん!声!声が大きい!」

やよい「あっ…うぅぅぅ…///」

小鳥「私にはよくわからないけれど、その年頃の男子ってそういうことに興味が出てきてどうしようもないのよ。きっと他の子たちも似たようなことしてるわよ…きっと」

やよい「うぅぅ…よくわからないです」

小鳥「難しいことじゃないわ。やよいちゃんだってこの本を見た時どう思ったの?」

やよい「わ、私ですか!?」

小鳥「そう。びっくりしたのと同時に、なにかトキメキのようなものを感じなかった?」

やよい「か、感じないかなーって…」

小鳥「いいのよ自分に素直になって…。ほら、このページとか」

ERO「ンハァァァァッキモチイイノォッォォ!!」

やよい「はわっ! こっ、小鳥さん///」

小鳥「フヒッ…。ほら、こっちも」

ERO「デチャウデチャウウゥゥゥゥウ!!!」ビチャビチャ

やよい「うぅぅ…////」

小鳥「どう? なにか感じない?」

やよい「か、感じないです! もういいですからしまってほしいなーって…///」

小鳥「弟さんはやよいちゃんにいじわるしようとしてこの本を隠したわけじゃないと思うわ。罪悪感らしきものはあっただろうけど…」

やよい「ぅ…」

小鳥「だから認めてあげてとは言わないけれど、せめて黙っててあげて? ほら、やよいちゃんだってこんな本を持ってるだなんて言いふらされたくないでしょう?」

やよい「うぅぅ…はい」

小鳥「やよいちゃんもきっと良さがわかる日が来る…、いや待て、ここはあえて思春期の壁を乗り越えないで純真無垢なままのやよいちゃん(19)というのは…」ブツブツ

やよい「…。」

やよい(どうしてだろう。小鳥さんがツヤツヤしてる)


やよい「…わかりました。でも、私にはまだこういうのは早過ぎるって思うから…」

小鳥「う~ん…うん? あ、ごめんなさい、決して妄想に耽っては」

やよい「だから、小鳥さんがこの本を預かっておいてください!」

小鳥「アッハイ。……はい?」


…………数日後



長介「姉ちゃんお帰りー。ってその人は確か…」

やよい「うん!今日はプロデューサーが来てくれたんだよ!」

P「招待してくれてありがとう。えーっと…もやし祭りだっけ?」

やよい「はい! みんなで食べるとすっごく美味しいんですよ!」

P「そうか。それは楽しみだ。…で、これなんだが」

やよい「? なんですか?それ」

P「いや、実は長介くんにプレゼントを持ってきたんだがな」

長介「えっ!?マジで!?」


やよい「ええ!?そんな、いいんですか?」

P「おう、開けてみ」

長介「やったー!プロデューサーの兄ちゃん太っ腹!」

やよい「あの、中にはなにがはいってるんですか?」

P「それがな、実は俺からのプレゼントじゃないから中身はわからないんだ。絶対見るなって言われてて」

やよい「えっ? じゃあ誰の…」

P「ん、ああ、音無さん」

やよい「小鳥さん…」

長介「なんだろうなー。流石姉ちゃんのプロデューサーだなー」ビリッ

ERO「久しぶり」

長介「!?」バッ


P「なぁ長介、それ実は俺からのプレゼントじゃないんだが、中に何入ってるんだ?」

長介「!! く、来るなぁ!!」

P「へっ? な、なんで…?」

長介「えっその…中は空だよ!! なんもないって!!」

P「そんなはずないだろう。見せてみろって減るもんじゃないし」

長介「絶対ダメ! く、来るなって!!」

長介(何故!? 何故なくしたと思っていたエロ本がここに!? バレた!?誰に!?そんなはずは…!)

長介「はっ…! 姉ちゃん…?」

やよい「…。」

長介「…ど、どうかした?」

やよい「」ニコッ

長介「」

やよい「それじゃあプロデューサー! もやし祭り開催しましょー!」

P「え、えー? なんか納得が行かない」


長介「」


小鳥「少年よ大志を抱け。」

小鳥「私にはこの大志という言葉が本来の意味とは異なって聞こえることがあるんです」

小鳥「それは、思春期の淡くて酸っぱい」

小鳥「それでいて強烈な…」

小鳥「嗚呼、素晴らしきかな青春!」

小鳥「少年の心に今日の出来事は深く刻まれたことでしょう」

小鳥「だけどしょげないでほしい。追い求めて欲しい」

小鳥「いつか笑い合える日を信じて…」

律子「いいから仕事シてください」

小鳥「ピヨォ…」


久しぶりに書いた
少年の頃のエロ本の隠蔽術は初歩的ながらも社会で生きる知恵の第一歩だと思う

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