モバP「聖なる夜はあの人と一緒に」(109)

―渋谷凛(15)の場合

P「あぁーくそっ!一般道でも混んでるな」

凛「…仕方ないよ、こんなに雪が降ってるんだもん」

P「スタッドレスタイヤだから立ち往生にはならなかったとはいえ、これじゃあな」

凛「…もう現場を出発して2時間近くになるもんね」

P「あの監督もこだわるのはいいんだけど『この雪いいね!これもっといい映画出来ちゃうな!取り直しちゃおう!ね!Pくん!』じゃねーっての!」

凛「……フフッ、今の監督の真似?」

P「おう、似てたろ?」

凛「…全然……言われないと分かんないよ」

P「結構自信あったのに、あんまり似てても嫌なんだけど」

P「結構自信あったのに、あんまり似てても嫌なんだけど」

凛「…なんか面白いよね、あの監督。ぶっ飛んでるって言うか」

P「あれでヒット作飛ばしまくる監督じゃなかったら総スカン喰らってるんだろうけどな、才能の塊だから余計に手に負えない」

凛「……そう言ってる割にはプロデューサーも映画の製作に色々口出してたみたいだけど」

P「そりゃせっかくの凛が初主演の映画なんだ、最高の出来にしてもらわないと。それがアイドル渋谷凛の魅力を余すことなく知ってるプロデューサーとしての責務だ」

凛「……そういうことは私が居ないところで言ってよ……恥ずかしいからさ」

P「これくらいのことで恥ずかしがってるようじゃ女優は務まらないぞ」

凛「(プロデューサーに言われるから恥ずかしいんだよ…本当に鈍感なんだから……でもそういうところも好きなんだけどさ…惚れた弱み…なんだよねこれって)」

P「しっかし進まないな。ラジオで交通情報とかやってないのか?」カチッ

<箱根口インターから20kmの渋滞、大雪により道路が大変滑りやすくなっています

P「高速も渋滞かぁ、これは大人しく安全運転で一般道を帰るしかないな」

凛「……車の運転って疲れるの?」

P「長時間だと多少きついよ。俺は運転が好きなほうだからあんまり疲れを感じないとはいえ、流石にこの渋滞だとな」

凛「……プロデューサーって車の運転してるとき…性格変わるよね」

P「それ他のアイドルからもよく言われるんだけどそんなに違うか?自分だと分からないんだけど」

凛「…前の車が黄色信号なのに進んだり、無理な割り込みとかされたら舌打ちしてるよ……自分で気づいてない?」

P「それはだな、『お前の無理な運転で事故って仕事に間に合わなかったり、うちのアイドルが怪我したらどうするんだ!このボケ!』という苛立ちがつい出ちゃうというか」

凛「……普段はそんなこと絶対にしないからさ……きっとみんなの印象に残ってるんだよ」

P「そういや一回だけ雪美に『運転してるときの……P……ちょっと……怖い』って言われたわ。あれはショックだった、杏とかみくに言われても屁でもないけど雪美はかなりキツい」

凛「……年少組は仕方ないよ……プロデューサーのことを優しいお兄さんだって思ってるだろうしさ」

P「今度からもう少し気をつけないとな、担当アイドルに嫌われたらこの仕事クビになっちまう」

凛「……そんなことでプロデューサーを嫌ったりしないよ」

凛「プロデューサーは…私たちのことを1番に考えてくれて…信頼できる人だって分かってるし……そんなことでプロデューサーを嫌いになるなんて……有り得ないよ」

P「それだけの信頼に応えられるように俺も頑張らないとだな」

凛「……むしろ頑張りすぎだって私は思うけど……そんなだからみんなプロデューサーのこと好きになっちゃうんだよ……」

P「ん?何か言ったか?」

凛「……何でもない……とにかく今は運転頑張ってね……」

P「はいはい、お姫様を乗せてるんだから言われなくても安全運転で頑張ります」

P「かなり進みだしたな、これなら日付が変わる前には事務所に帰れそうだよ」

凛「……うん?…そうなんだ……よかったね……ファアア…」

P「眠いなら寝てもいいからな、疲れてるだろ?」

凛「……平気……眠くないから……それに疲れてるのはプロデューサーも同じでしょ……だから起きてる……」

P「俺は運転中だから寝るわけにはいかないんだっての。俺のことは気にしなくていいから寝てろ」

凛「…いいってば…起きてるから……それに私だけ寝るなんて出来ないよ…」

P「眠いならいつでも寝ていいからな、運転は俺の仕事みたいなものなんだから」

P「凛、ちょっとコンビニ寄ってもいいか?」

凛「……うん……私も座りっぱなしで少し疲れちゃった……」

P「まだかかりそうだから少し体動かしておけよ、暖房が効いてるから頭も少しボッーとしてるだろうし」

凛「……いい眠気覚ましになるからちょうどいいよ……」

P「だから寝ていいって言ってるのに」

凛「……だから起きてるって言ってるじゃん」

P「ったく変なところで強情なんだから。駐車場空いてるか?ちょうど出たな、ラッキー」

凛「っ!」ビクッ!

P「おっと!どうした?なんかあった?」

凛「な、なんでもない…!ごめん…!(急に手を後ろに回されたからびっくりした…!)」

P「そっか?ミラーが曇って見えないな、こりゃ慎重に入れないと」ピーピー

凛「(よくテレビで男の人が駐車する仕草にドキッとするって言ってたけど…こういうことなんだ…!今まで助手席に座ること無かったから意識してなかったけど…確かにこれは…いいかも…)」

凛「(プロデューサーの腕が頭の後ろにあるだけでもドキドキするのに…!あと後ろ向いてるから首筋から少し胸が見えてる……プロデューサー、少し汗かいてるのかな?…ちょっとだけ汗臭い)」

凛「(だめだ…この感じ…だめなやつだ……今すぐプロデューサーの胸に顔を埋めて思いっきりハグしてほしい…私ってこんなにプロデューサーのことが好きだったんだ…)」

P「おーい凛!もう降りてもいいぞ!」

凛「…うん、今降りるから…」

P「さっきからどうした?何か挙動不審だけど、まさか熱でもあるのか?」

凛「…大丈夫、そういうのじゃないから……少し考え事してただけ…」

P「体調悪いならすぐに言えよ、ただでさえ年末進行で忙しいんだから」

凛「心配しないで……本当に何でもないよ…」

P「無理だけはするな、いくら仕事がたくさん有るとはいえ体を壊したら元も子もないんだからな」

凛「……心配しすぎだよ…少しボーッとしてただけなのに…」

P「何かあってからじゃ遅いからな、コンビニで色々と買っていくか。腹も減っただろ?」

凛「……うん…少しだけ減ってるかも」

P「好きなもの買っていいからな。そうだ、一応帽子と眼鏡を掛けていけよ。何がある分かんないから」

凛「……コンビニに行くくらいで大げさじゃない?」

P「んなこと無いっての、凛も今やトップアイドルの仲間入りなんだから」

凛「…実感はあんまり無いんだけどな」

P「今回の映画が公開されれば嫌でも実感するさ、あと帽子はもう少し目深に被れ」グイッ

凛「……少し前が見えにくいんだけど」

P「騒ぎになるよりはマシだろ?鍵かけるから早く降りた降りた」

凛「…これでばれないかな?…どう思うプロデューサー?」

P「うーん、近くでジロジロ見られたりしなければ大丈夫だろ」

凛「……この眼鏡どう?春菜に見立ててもらったんだけど……似合う?」

P「似合ってるよ…って!正体隠すための眼鏡なのに似合ってちゃ駄目だろ!」

凛「そうかな?…似合ってるんだからいいじゃん……さ、早く行こプロデューサー」

P「ちょい待て凛!こっちのサングラスのほうがよくないか!?いやでも逆に目立ちそうだな、おい待てって!」

P「店員がサンタとトナカイの着ぐるみしてたな、かなり渋々みたいだったが」

凛「……ああいうのはちょっと恥ずかしいよね…私もお仕事じゃなかったらああいうのはちょっと嫌かも」

P「ほう?仕事なら凛も着るんだな?」

凛「…何その顔…私だってプロなんだから……本当に必要ならちゃんと着るよ?」

P「じゃあ来週の年末イベントで鈴帆と仁奈と凛の三人で着ぐるみで何かやってもらうか」

凛「………ごめん、やっぱ無理かも」

P「一部のファンは喜ぶと思うぞ、あと奈緒に加蓮に卯月に未央は爆笑するだろうな」

凛「……その時は4人も巻き込んで一緒に着ぐるみやってもらうから」

P「みんなで着ぐるみか、新しくていいかもな」

凛「…冗談だからね?」

P「分かってるっての」

凛「……でも目が本気だったよ」

P「ちょっと面白いかなって本気で考えた」

凛「……(ジトー)」

P「そんな目で見るな!分かったって!嫌な仕事を無理やり押し付けたりしないから!」

P「運転するからおにぎりとかにしておかないとな」

凛「(今から事務所に帰って……多分12時超えるよね……クリスマスに事務所でプロデューサーの二人きりになれるかも……)」

凛「(せっかくのクリスマスなんだから……少しくらいお祝いしてもいいよね……だってクリスマスだもん)」

P「凛、何買うか決めたか?」

凛「…うん、このプリンとサンドイッチにしようかな」

P「こんなんで足りるのか?もっとたくさん買ってもいいんだぞ」

凛「…もう時間も遅いからこれくらいで十分だよ」

P「アイドルは大変だなぁ、俺なんか深夜に帰ってそこから酒を飲んでつまみ食ったりするのに」

凛「…そんな生活してたらまた体壊しちゃうよ?……というわけでこのお酒は棚に戻してくるから」

P「えぇ!?いやでも凛じゃなくて俺も体調管理をしないとなぁ、しゃーない!このさきいかも棚に戻してくれ!」

凛「はーい……プロデューサー、美味しいもの食べたいならさ……私が作りに行ってあげるよ?」

P「機会があったら頼むわ。会計してくるから先に車に戻っててくれ、ほい鍵」

凛「…分かった」

P「さーてっと!次は事務所まで運転しますかー!なんとか12時前には事務所に帰りたいなぁ」

P「あれ?車のライトが点いてない、そして凛も居ない。車は開いてないし…おーい!どこだー?まだコンビニの中に居るのか?」

凛「…プロデューサー、どうしたの?」

P「どうしたのって凛こそ何処に居たんだよ?車の鍵も開いてないし凛も居ないからびっくりしたんだぞ」

凛「…ちょっとだけ雑誌を立ち読みしてたの……そしたらプロデューサーが出て行くところが見えたから私もお店から出てきたんだ……」

P「その雑誌も買えばよかったのに、ダッシュで買ってこようか?」

凛「別にいいよ…ただの暇つぶしだったから……そんなに面白くもなかったし……プロデューサーと話してるほうが私は好き、だよ」

P「話し相手が居るほうが運転も楽しいからな」      

凛「…でしょ?……だから私が話し相手になってあげるよ…」

P「とにかく今は安全運転で出来るだけ早く凛を家に送ることが俺の仕事だ!スタドリ一発!元気百倍!…うしっ!元気出た!」

凛「…もう……わざとかってくらい空気読めないんだからさ」

P「ほら凛!早く出発するぞ!出来れば日付変わるまで事務所に着きたいんだから!」

―事務所

P「ただいま戻りましたー…って当然誰も居ないよな」

凛「……ただいま」

P「なんとか日が変わる前に事務所に着けたな、ギリギリだったけど」

凛「…後3分くらいでもう12時になっちゃうけどね」

P「つっかれたーーーーー!あぁー腰痛って!体もバキバキになってるわ」

凛「……プロデューサー…今日はお疲れ様でした……」

P「凛のほうこそお疲れ様、雪の中での撮影は大変だったろ。それなのに文句も言わずによく頑張ってくれたよ」

凛「……プロデューサーが見ててくれたから、だよ」

P「えっ?」

凛「……いつもプロデューサーは私のこと見ててくれるけど……今日はいつもよりずっと私のことを…私だけのことを見ててくれた……」

凛「そう思うとなんでだろうね……どんな辛い仕事でも何でもないって思えちゃうんだよ?……どうしてだと思う、プロデューサー?」

P「…それは」

凛「………言わないでいいよ……だってプロデューサー……すごい困った顔してるもん」

P「凛、俺は…!」

凛「…メリークリスマス、プロデューサー」

P「どうしたんだよ、いきなり」

凛「もう12時過ぎてる…今日はクリスマスだよ……だから……メリークリスマス」

P「そっか、もうクリスマスか…メリークリスマス、凛」

凛「……プロデューサーに今年最初にメリークリスマスって言ったのは……私だね」

P「そういうことになるな」

凛「……プロデューサーが最初にメリークリスマスって言ってくれたのも…私だよね?」

P「そうだ、凛が最初だよ」

凛「…きっとプロデューサーには色んな娘がメリークリスマスって言うんだろうけど……最初に言うのは私…それだけは譲れない…譲りたくないの」

凛「だって私が1番最初から…プロデューサーと一緒に居るんだから……それくらいの我がままなら許してくれるよね?」

P「許すも何も無いよ、事務所を立ち上げてから俺と凛はずっと一緒に頑張ってきた…俺は凛に感謝してもし切れない、それでも今の俺は凛の想いに応えるわけにはいかないんだ」

凛「うん……分かってる、変なこと聞いて…困らせてごめんね」

P「凛が謝ることじゃない、俺が中途半端な気持ちで凛に向きあむぐっううう!?」

凛「もう……本当に馬鹿みたいに優しいんだから……プロデューサー、美味しい?」

P「もがっ!あむっ、甘い…これショートケーキか?っていつの間にそんなもの」

凛「コンビニで買ったんだ……せっかくのクリスマスだから……ケーキくらいないと格好がつかないでしょ…だから…はい、もう一口」

P「いや!自分で食えるって!」

凛「…私に感謝してもし切れないんじゃないの?」

P「…分かったよ!アムッ…うん、美味い。クリスマスにケーキ食うなんて何時以来かな?」

凛「……今プロデューサーとケーキ食べてるのは私だよ……だから私のことだけ見てて……」

P「アムッ、俺はいつも凛のことを見てるよ」

凛「……うそつき………ちひろさんがサンタのコスプレしてた時……ジロジロ見てたくせに……」

P「モガッ!ちょっと凛!一口がでかくね!?モグッ」

凛「……いいから食べて……」グイグイ

P「アゴッ!食うから無理に押し込むなって!」

P「あのな凛、さっき言いかけたことの続きなんだけど」

凛「…うん……聞かせて…」

「凛が俺のことを好意的に想ってくれているのは分かってたよ、随分と前からその…プロデューサーとしてでは無く一人の男性として見られてるってことも」

P「でも俺は凛の気持ち気づきながら知らん振りをしてきた、なぜなら俺はプロデューサーで凛はアイドルだからだ」

凛「…だね、私はアイドルで…Pさんはプロデューサー…だもん」

P「そうだ、俺はプロデューサーだから担当アイドルに手を出すなんてことは絶対に許されないことだ。それをすると俺は多くの人の信頼を裏切ることになる」

P「俺なんかに凛のことを任せてくれている社長、凛のアイドル活動を応援してくれている親御さん、そしてアイドル渋谷凛のファン、本当に多くの人の想いを踏みにじることになる」

P「何もかも無視して今から凛を抱くことだって俺は出来るんだろう、でも俺はそれをしない…なんたって俺も凛のファンの一人なんだからな」

P「凛がトップアイドルになって何万人ものファンの前で堂々と歌い踊るステージを俺は1番近くで見てみたいんだ、だから今の俺は凛の想いに応えない」

凛「……ありがとう……本気でフッてくれて……中途半端に慰められるよりは……ずっといいよ……」

P「ちょい待て、まだ話の続きだっての」

凛「…もういい……これ以上は……聞きたくない……」

P「聞きたくなくても聞いてくれ!こっちも覚悟して話してるんだから!あぁーもう!めんどいな!もういいや!凛!俺もお前のことが好きだ!もちろん異性としてな!」

P「好きになっちゃいけないなんてこと分かってたさ!いい大人が女子高生に!よりにもよって自分の担当アイドルに恋するなんてご法度もいいとこだ!」

P「それでも駄目だった!アイドルとプロデューサーとして事務的に接しようとしても無理だった!凛が俺の心の中にどんどん入り込んできて大きくなっていくのが自分でも分かるんだよ!」

凛「…私も同じだったよ…ファンのみんなの気持ちを裏切ることになるから…恋をしちゃ駄目なんだって自分に言い聞かせても…無理だった…気づいたら後戻り出来ないくらい好きになってた」

P「凛、俺がお前をトップアイドルにしてみせる!アイドルを志す人間なら誰もが羨むようなステージにお前を立たせてみせる!」

P「だからその時まで俺を好きで居てくれないか?その時が来たらきっと…凛の想いに、自分自身の気持ちに、素直に向き合えると思うんだ」

凛「…車の中でも言ったでしょ…私がプロデューサーを嫌いになるなんて…有り得ないよ…」ギュウッ

凛「私待ってるよ…プロデューサーが私をトップアイドルにしてくれるまで…ずっと好きでいるから…だからなるべく急いでね…」

凛「これ以上プロデューサーのこと好きになっちゃうと…自分でもどうなるかわかんないからさ」

P「あぁ、俺の全力で凛をトップアイドルにしてみせるよ」ギュウッ

凛「…ねぇプロデューサー……クリスマスプレゼント…欲しいな…」

P「あげたい気持ちは山並みだが残念なことに何にも用意してないんだ」

凛「何の用意もいらないよ……プロデューサーの想いをくれれば…他には何にも要らないから…」

P「今日はクリスマスだから、今日だけだからな……」

凛「……プハッ……ありがと…プロデューサー……今はこれだけでも……いいよ……」

P「これでもうお互い言い訳出来ないな、いけないことだって分かっていながらこんなことしてるんだから」

凛「いいじゃん…だって今日はクリスマスだよ……メリークリスマス、プロデューサー」

P「…そうだな、クリスマスだもんな。メリークリスマス、凛」

終わり

おまけ

凛「………これでいいのかな」

未央「あっはっはっは!いいねっ!凛!すんごい似合ってるよ!うん!もうっサイッコー!」

卯月「笑っちゃわるいよ未央ちゃん、クッ…フフフフッ」

奈緒「あははははっ!あーダメだ!笑っちゃダメだって思ってたけどやっぱりおもしれー!はー!門松!だって門松だもん!」

加蓮「奈緒、笑いすぎだって」パシャパシャ

鈴帆「おー!凛しゃん!よー似おうとるたい!よかよか!」

仁奈「凛ねーさま!似合ってるのです!やっぱりスタイルがいいと何でも似合うですね!」

凛「…ありがと仁奈に鈴帆さん」

未央「あーはっはっはっは!門松と鏡餅と巳が揃ったね!いやー新年早々これは縁起がいいね!」

卯月「だから笑っちゃダメだってば…フフフフッ」

奈緒「りーん!もっと笑いなって!せっかくの着ぐるみなんだからさー!ふふふふっ…あはははっ!あー3人揃うとやべぇ!」

加蓮「仁奈も鈴帆さんもかわいいよ」パシャパシャ

鈴帆「そぎゃんね!いやーこれなら大うけ間違いなか!頑張るばい!」

仁奈「凛ねーさま!こういうのは恥ずかしがったら負けなのです!楽しんじまえばきっとくせになりますよっ!」

凛「……うん、分かった……どうせだもんね、楽しまなきゃ!」

P「(着ぐるみ三人組のミニコントを俺は仕事で見れなかったが意外と好評だったらしい)」

終わり

―本田未央(15)の場合

P「…遅いな、場所まで指定してきたくせに何してんだ?」

P「しっかしでかいツリーだな。街路樹や周りのお店もツリーに負けないくらい、すごいイルミネーションだしこりゃデートスポットに最適だろうな」

P「つーか男一人でこんなとこに突っ立てるの俺くらいなもんだろ…早く来てくれよ未央」

未央「プッロッデューサァー♪おっ待たせ☆」ツンツン

P「やっと来たのかみハブゥ!」

未央「あはははっ☆ハブゥ!だって!こんないたずら今時じゃあ小学生でもひっかからないよプロデューサー♪」

P「お前なぁ!人を待たせておきながら古典的な悪戯をかますとはいい度胸してるじゃねーか!」

未央「ごめんごめんっ☆いやーそれがさー予想外のことが起きちゃってさー!てへっ♪」

P「予想外のこと?何だよそれ?」

未央「言っても怒んない?」

P「そんなもん内容によるに決まってるだろ」

未央「えぇー!?じゃあ言ーわっない☆」

P「いいから言え!今度は何をやらかしたんだ!?」ムニー!

未央「いひゃい!いひゃい!わはっわ!いうからはにゃひてぷおでゅーはー!」

P「で、何があったんだ?」

未央「もうっ!嫁入り前の女の子になんてことすんのさ!お嫁にいけなくなったら責任とってもらうからね♪(ウインクバチンッ☆)」

P「真面目に答えないならここに置いてくからな」

未央「もうっ!冗談だってばっ☆あのね、テレビの収録も終わったしどうせだからプロデューサーとクリスマスデートにでもしゃれ込もうと思ったんだ♪」

『どこいった?こっちに来てたよな?』『間違いなくこっちだったはず!』『あれじゃね?つーか間違いねーって!ちゃんみおだ!』『うそっ?!ちゃんみお?どこ?』『マジで!?』

未央「だからプロデューサーをツリーの前に呼び出してねっ☆さぁデートだっ!と思って張り切って待ち合わせ場所に向かってたらさー」

P「(何か周りが騒がしいな、イベントでもやってんのか?)」

未央「ファンの人に思いっきり正体バレちゃって現在進行形で追いかけられてんだ私☆」

P「…へっ?」

『うおおおおおお!マジだー!ちゃんみおだー!』『写メ撮ろうっと!横の男じゃまー!』『ちゃんみおおおおおおおおお!俺だあああああ』『芸能人を生で見るの始めてだわ!』

P「ってかいつの間にかギャラリーが凄いことに!?」

未央「あちゃー☆もう追いつかれちゃったみたい!で、どうしたらいいと思う?プロデューサー」

P「どうするもこうするも、こんなに騒ぎになってるんじゃあ!」

『ちゃんみおおおおおおおおお!好きだああああああ!』『コッチ向いてー!』『俺のほう見た!今俺のほう見たぞ!』『テレビよりかわうぃーにぃー☆』『サインとか貰えないかな?』

未央「サインですか?いいですよー!えへへっ♪街中でサインなんてなんか本当にアイドルみたい☆え?こっちもサイン?いやぁ嬉しいけどたくさんはちょっと大変だなぁ」

未央「待ってねーみんなー!書くから押さないでねー!出来た!はいっどうぞ!ってきゃあ!…あいたたたっ」

P「未央っ!大丈夫か!?ここまで騒ぎになったら収集するのはもう無理だな……未央、少し走るけど手離すなよ」ギュウッ

未央「あっ!手つなぐの初めてなんだよっ!ってそんなこと言ってる場合じゃないか!りょーかい!ぜったいに離さないよ!プロデューサー!」

P「スウウウウウ…あああああ!あそこに居るのってSSランクアイドルの星井美希じゃないかあああああ!?」

『えっうそ?!ミキミキもいるの!?』『美希とかやばくね?おいどこだよ?!』『なんだよ押すなって!』『ちゃんみおおおおおおおおおおおおお!好きだあああああ!』

P「今だ!走るぞ!未央!」

未央「うんっ!レッツゴーだね!プロデューサー!」

P「ハァ…ハァ…ここまで来ればもう大丈夫だろ、久しぶりにこんな本気で走ったわ…オェ…」

未央「あはははっ☆私もこんなのはじめて!すんごい疲れたっ!けどなんだか今すんごい楽しいや!」

P「本当にお前には…世話焼かされっぱなしだよ全く…ゲホ…」

未央「ごめんねっプロデューサー☆でもこんなこと本当に初めてだったんだもん!今まではふつーに歩いててもこんなこと無かったのに!」

P「CDデビューの宣伝のためにテレビに出まくったからな…ハァ…しかしここまでの騒ぎになるのは俺としても予想外だったよ」

未央「でしょ?!いやーこれじゃあ私がSランクアイドルになるのも目の前かなー☆なーんてねっ♪」

P「あんま調子に乗んなっての…フゥー…それに変装用の小道具も色々貸してただろ、なんで変装して来なかったんだよ?」

未央「むぅー!だってこれからデートなんだから1番可愛い私でプロデューサーに会いたいなぁって思ったんだもん!」

P「気持ちは嬉しいけどそれで騒ぎになってちゃ元も子も無いだろうが!」デコピシッ!

未央「いたっ!それはそうだけど……ごめんなさぁい」

P「次からはちゃんと変装しろよ、未央だって立派なアイドルなんだから」

未央「はーい!……えへへっ♪アイドルかぁー☆そうだよね!だって私アイドルなんだもんねっ!」

P「当たり前だろ、未央は俺がプロデュースした自慢のアイドルだ」

未央「ふーん自慢のアイドルなんだー?どこがー具体的にどのへんが自慢なのー?ねぇープロデューサー?わたしにもおせーてよー!」

P「あああああ!うざい!まとわりつくな!お前の褒めたらすぐに調子に乗る癖はどうにかなんないのか!?」

未央「だって嬉しいんだもーん☆えへへっ♪プロデューサーに褒められることなんてめったに無いしー!ねぇーねぇーどこが自慢なのぉー?」

P「教えねーよ!これ以上調子に乗られたら面倒だから絶対教えねー!」

未央「でもさー本当にあんなことってあるんだね!自分があんな風に街中でファンに囲まれるなんて思ってもなかったよっ!」

P「それだけ未央が有名になったってことさ」

未央「そっかー!これで私も凛や卯月に少しは追いつけたのかなぁ?」

P「未央には申し訳なかったと思ってる、同期の凛や卯月がどんどんアイドルとして有名になっていく中で未央だけCDデビューも後回しになってたしさ」

P「仕事も二人が舞台や音楽番組で華やかに活躍してるのを見ながら、文句も言わずに地方営業やらバラエティ番組のロケみたいなきつい仕事をこなしてくれた」

P「本当に…本当によく頑張ってくれたよ、…すまなかった!」

未央「てぇええええええい!智絵理ちゃん直伝!ちえりんチョッオオオオオップ!」ズビシッ!

P「あいてっ!いきなりなにすんだよ!?」

未央「プロデューサーがとんちんかんなことばっか言うからでしょっ!私はね今までしてきた仕事を後悔なんて全然してないの!」

未央「そりゃ凛や卯月をうらやましいなーって思ったこともあるよ!でもねっ!私は自分の仕事を全力で頑張ってきた!そのおかげで今の自分が居るんだって誇らしく思ってるの!」

未央「何よりプロデューサーが私のために取って来てくれた仕事なんだもん!だから一生懸命に体当たりで頑張ってきたってたのに!それなのにプロデューサーが謝らないでよ!」

未央「じゃないと私が一人だけ舞い上がってたお馬鹿ちゃんみたいじゃん!もうっ!このスカタンプロデューサー!」

P「ご、ごめん!そこまで未央が考えてたなんて知らなくて!」

未央「だーかーらー!謝らないでってばー!私に感謝してるんなら他に言うべき言葉があるんじゃないのー!?」

P「そっか、そうだよな。今までありがとう、未央」

未央「ふんっ!気づくのが遅いっての!……それで?私に対する感謝の言葉はそれだけなの?もっと他に言うことあるんじゃニャイかニャ?」

P「他に、えーと、体を張る仕事も多くて芸人みたいなこともさせたけどいつも全力で頑張ってくれてありがとうってずっと思ってたよ」

未央「うんうんっ!いいよー!もっと言っていいよぉー!例えば『未央のおかげで今の俺はあるんだー!』とかぁ!『もう未央が居ない生活なんて考えられないぜっ☆』とかさっー!」

P「はぁー…はははっ、未央は変わらないな。その底抜けの明るさがきっと未央の魅力の一つなんだろうな」

未央「あたりきでしょー♪アイドル☆ちゃんみお!はファンのみんなの太陽なんだからさっ!」

P「さて、そろそろ騒動を収まってるだろうし車まで戻るか」

未央「えぇー!せっかく二人っきりなんだからもっとおしゃべりしていこうよぉー!」

P「おしゃべりなら車の中でも事務所でも出来るだろ」

未央「そんなのデートっぽくないじゃん!ほらっプロデューサー!こうして腕組んで少しだけ歩こっ♪ねっ☆いいでしょ~?今日もお仕事頑張ったんだからさ~」

P「ちょっとだけだからな、ほらっ」

未央「ありがとっ!プロデューサー♪こんな美少女とクリスマスにデートできるなんてプロデューサーってば本当に幸せものだね☆このこのっ!」

P「あぁ、本当に俺は幸せものだ。えーと…大通りに出る道はこっちで合ってるかな?」

未央「ちょっとぉ!もっとデートっぽい返事してよ!こういうのはムードが大事なんだからさ!」

「ムードもへったくれもあるか、いいから早いところ事務所に戻るぞ」

未央「ほんっとにデリカシーないんだから!あっ!でもさっきの私の手を引いて走るシーンは映画みたいでロマンチックだったかも!」

P「言われてみれば確かに、ありがちだけどいいシーンだよな」

未央「うんうんっ!なんか『ボディガード』みたいでドキッとしちゃったんだ私!」

P「また懐かしい映画知ってるなお前」

未央「お母さんが大好きで小さいころから何回も見てたんだ!うーむむ…今にして思えば私がアイドルやろうと思った原点もこの映画なのかもっ!」

未央「ホイットニー・ヒューストンが歌うのをいっつも真似しててさー!みんなが褒めてくれるもんだから調子に乗って何度も真似してたのっ!」

未央「そういえば歌うことがって楽しいなって初めて思ったのも多分あの時だったと思う!懐かしいなー…」

未央『~♪If I should stay (このまま貴方のそばにいても)
   
   I would only be in your way (私はきっとあなたの邪魔にしかならないの)

   So I'll go But I know (だから行くわ、でもこれだけは分かっているの)

   I'll think of you every step of the way (これからどんな道を選んだって私は貴方のことを想っているって)

   And I will always love you (私は貴方を愛し続けていくでしょう)

   Will always love you You, my darling, you (ずっとずっと貴方だけを)』

未央「…ちょっとだけ悲しい歌だよね、想いは通じ合ってるのにさ、きっと立場とか夢とかそういう色々なものが邪魔して二人は離れて行っちゃうんだよね」

未央「私はどうするんだろう?もしも自分の夢と好きな人のどっちかを選びなさいって言われたらどうすんのかな?…今の私には分かんないや」

P「どっちかを選ぶ必要なんてないんじゃないか?選べないなら両方とも捨てないで済む方法を探せばいいんだ」

P「都合が良すぎる、大人になれ、とか外野は言うかもしれないが、その人たちはきっと過去に『選んだ』人たちなんだ」

P「自分も過去に大事なものを捨ててきた、だから貴女も捨てなさいってな。そんなのはただの傷の慰めあいにしかならない逃げだ」

P「逃げることは簡単で楽な方法だ、それも一つの選択なのかもしれない。でも未央、お前なら出来るさ、お前は俺の自慢のアイドルだからな」

P「少なくとも俺の知っている本田未央は、そんな二択『夢も恋愛もどっちも諦めるわけないじゃんっ!』って笑い飛ばしてくれると思ってたんだけどな」

未央「……だよねっ!そうだよねっ!うがーーーー!私としたことがどうかしてた!そうじゃん!プロデューサーもアイドルもどっちも大好きなんだもん!選べるわけないよ!」

P「(今さらっと爆弾発言があったような気がするが大人である俺は華麗にスルー)」

未央「映画だってハッピーエンド大団円で終わってるじゃん!そんなら私も出来るはずっ!いーや出来てみせるっ!でしょっ?プロデューサー!」

P「そーそー、いつもの未央らしくなってきたじゃないか」

未央「えへへっ♪というわけでプロデューサー!私は恋もアイドルもどっちも捨てないからっ☆だから私の傍で私のことをプロデュースしててねっ!」

P「うん?何でそうなるんだよ?」

未央「だって私が大好きなのはプロデューサーで!そして私をアイドルとして輝かせてくれるのもプロデューサーだからっ!」

未央「私の恋も夢もプロデューサーが居てくれなきゃ実現出来ないんだもんっ!そういうわけだからさっ!これからもずーーーっと一緒だよ!プロデューサー!」

終わり

―城ヶ崎莉嘉(12)の場合

莉嘉「Pくーん!早く早くー☆もう人がいっぱい並んでるよー♪」

P「そんな急がなくても大丈夫だって、まだ開園まで1時間近くあるんだから」

莉嘉「そんなことないよー!クリスマスのランドは朝からすんごい行列が出来るってお姉ちゃんに聞いたんだからっ!だからねっ!急ごっ☆」

P「わわわっ!引っ張らないでくれよ!俺も走るから!」

莉嘉「うんっ!えへへっ♪今日はさいっこーのクリスマスにしようね☆Pくんっ!」

P「(今日はクリスマス、俺は朝から千葉県にある有名な某テーマパークに莉嘉と来ている……コトの始まりは先週の事務所でのことに遡る)」

~回想・事務所~

P「アイドルとの擬似デート写真集、ですか?」

ちひろ「そういうお仕事が出版社のほうから来ているって社長からの連絡です」

P「具体的にはどんなお仕事なんですか?」

ちひろ「アイドルとデートスポットを回り自然体で楽しんでいるアイドル達の写真を撮り、ファンの皆様にアイドルとデート気分を楽しんでもらうだそうです」

P「中々面白そうな写真集ではありますね、でもうちのアイドルたちに自然体を演じるってのは少し難しいんじゃあ…カメラマン同行だと意識しなくても緊張するだろうし」

ちひろ「ですからアイドルにはお仕事だということを隠すんですよ、本当にデートをしながらそのついでに写真を何枚かパシャパシャとプロデューサーさんが撮る、これなら問題無いでしょう?」

P「いやいや大問題が一つあるでしょう」

ちひろ「何がですか?」

P「見当もつかないみたいな顔しないでくださいよ!俺が、アイドルたちと、デートするんですか?」

ちひろ「はぁい♪きっとみんなおおはしゃぎですよ!」

P「事務所的にそれってOKなんですか?」

ちひろ「私達はプロデューサーのことを信頼してますから♪」

P「(…暗に釘を刺された気がする)あまり過度に信頼されても困るんですけどね」

ちひろ「プロデューサーさんだって社会人なんですから信頼を裏切ったらどうなるかくらい分かってますよね?」

P「はい、それはもう。私は公挙良俗を守り健全な社会作りに貢献する大人の一員です」

ちひろ「ですよね♪ではプロデューサーさん、そういうわけですのでお願いします」

P「…はい」

美嘉「プロデューサーとの擬似デート…これならリカのお願いもなんとかなるかも」

P「いくら仕事とはいえアイドルたちとのデートはな…俺だって男なんだし嬉しくないことは無いんだけど、なんか複雑な気分だよ」

美嘉「プロデューサー、ちょっといいかな?」

P「ん?どうした美嘉?」

美嘉「さっきさ、ちひろさんとお仕事の話してたじゃん?アイドルとデートする写真を撮るっていう話」

P「聞いてたのか」

美嘉「うん、聞くつもりは無かったんだけど聞こえてきちゃったんだ

P「別に隠すようなことでも無いから構わないけども、それがどうかしたか?」

美嘉「誰とデートするかとかそういうのってもう決まってるの?」

P「いーや全然、スケジュール合わせやら出版社の方との話し合いもあるし誰の写真を撮るか決まるのは先の話だよ」

美嘉「じゃあさプロデューサー!私の一生のお願いきいて!クリスマスに莉嘉とデートしてほしいの!」

P「美嘉、落ち着け!とりあえずどうして莉嘉とデートしてほしいのか理由を説明してくれないか?」

美嘉「リカが最近ね、おつかいや食器洗いみたいなママのお手伝いをよくしてるんだ。リカがそういうことする時は大体いつもママにおねだりする時なの」

美嘉「だから私リカが何をおねだりしたいのか聞いてみたの、そしたら『Pくんとアタシの分のランドのチケット♪』って言うんだ」

P「うぇっ!?俺の分も!?」

美嘉「私もびっくりしちゃってさプロデューサーと約束してあるの?って聞いてみたら『Pくんを驚かせたいからまだ内緒っ☆』だってリカが言うの」

P「でも俺はもうクリスマスに仕事が入ってるぞ」

美嘉「私はプロデューサーがクリスマスもお仕事だって知ってたからリカに早く言わないと!って思ってたんだけど…リカが頑張ってるところ見てたら何だか言い出せなくて」

P「…そのままクリスマス一週間前の今になっても言えないでいる、と」

美嘉「だからプロデューサーお願い!リカとクリスマスにデートしてあげて!リカの頑張りを無駄にしたくないの!」

P「(クリスマスの仕事は、と……日中はバラエティ番組の収録で、夜からはクリスマスコンサートか)」

P「(バラエティ番組は付き添いだけだから何とかなるかもしれない…いや、何とかしないとな。せっかく美嘉と莉嘉が頑張ってくれているんだ)」

P「美嘉、当日までに日程調整するから。莉嘉にこのことは秘密な」

美嘉「本当にっ!?ありがと~~~プロデューサー☆やっぱりプロデューサーってばかっこいー☆私また惚れ直しちゃった♪」ダキッ!

P「まだ絶対とはいえないけど何とかしてみせるよ、あとこれを親御さんに渡しておいてくれ」

美嘉「これって…お金?」

P「ランドの入場料なんていう大金を中学生に出してもらうわけにいかないだろ。諭吉さん二枚なら足りるだろうから渡しておいてくれ」

美嘉「プロデューサーの分なら一万円でも十分だよ?」

P「デートはおごる主義なんだよ、俺は。だから黙って取っておいてくれ」

美嘉「えへへっ☆やっぱりプロデューサーって大人だね!いいなー!リカー!どうせなら私もおねだりしてみるんだったー!」

P「美嘉までそんなこと言い出さないでくれよ」

美嘉「うそうそっ!私とリカのお願い聞いてくれてありがとねプロデューサー!お礼に何でもしてあげるからさ!」

P「そんなら仕事で頑張ってくれ」

美嘉「もうっ!相変わらず照れ屋さんなんだから☆」

~回想・終わり~

P「(というわけで写真集の撮影だということでちひろさんを説得し、出版社も莉嘉の写真なら是非にということにまとまったので今日は莉嘉とのデートということになった)」

莉嘉「うわーっ!まだ朝だってのにたくさん並んでるよ☆やっぱり早く来ておいて正解だったね♪」

P「まずはチケットを買わないと、チケット売り場もすごい列だな(なんかわざとらしくないかこれ?)」

莉嘉「ふふふっ☆Pくん、チケットを買う必要は無いよっ!じゃじゃーん!なぜならここにアタシとPくんの分のチケットがもうあるんでしたー!」

P「えええ!?どうして莉嘉がチケットをー!(くっさい芝居だなくそっ!恥ずかしい!)」

莉嘉「あのね!これね!オウチのお手伝い頑張ってママに買ってもらったんだ!だからはいっ!リカからPくんにクリスマスプレゼントだよ!」

P「そうなのか…ありがとな、莉嘉(こんな年齢になっても誰かからクリスマスプレゼント貰うってのはやっぱり嬉しいもんだな)」ナデナデ

莉嘉「(えへへっ☆Pくんにナデナデしてもらっちゃった♪ここまではお姉ちゃんと考えた大人のデートプラン通り!この調子で最後はPくんと……キャー///☆)」

P「( なんだこれ?チケットの他にしおりみたいのなのが…『○秘!大人メモ』? )」

莉嘉「( お姉ちゃんと一緒に作った大人メモがあればっ!アタシとPくんのロマンチックな大人なデートできっとPくんもメロメロに…ってあれ?!大人メモが無い?!)」

P「( なになに、『夜景の見えるベンチに二人きりで座っちゃお!大人な雰囲気に彼も私もクライマックス!』 )……なぁ莉嘉、これって」

莉嘉「あああああああああああああ!?それアタシの大人メモ!どうしてPくんが持ってるのーーー!?」

P「いやチケットと一緒に付いてきたから何かなっと思って。莉嘉のなのかコレ?はい、返すよ」

莉嘉「…中身は見てないよね?」

P「見てないよ、少しだけしか」

莉嘉「どうしよー!?お姉ちゃんと考えたせっかくのサプライズデートなのにぃ…Pくんに見られちゃったよぉ…」

P「ちょっとしか見てないって!少しページをめくっただけだから!内容は殆ど見えてないし!」

莉嘉「ほんとに?」

P「うん、本当に」

莉嘉「ホッ!よかった☆それじゃあ気を取り直してデートスタート!Pくん!入り口の列に並ぼう!」

P「そんなに走るとこけるぞー!」

莉嘉「そうなってもPくんがいつも助けてくれるもん!でしょ☆」

P「そういう問題じゃないんだって!」

莉嘉「Pくん!最初はこのアトラクションに乗ろう!ねっ☆」

P「…これはジェットコースターだよな」

莉嘉「ジェットコースターじゃなくてビッグサ○ダーマウンテンだよっ♪さっ早く並ばないと時間がなくなっちゃうから行こっ!」

P「な、なぁ莉嘉?最初は他のアトラクションにしないか?イッツアス○ールワールドとかジャングルク○ーズとかさ」

莉嘉「え?うーんでも(…大人メモだと『最初は少し怖いアトラクションで女の子らしさをアピールしちゃおっ☆怖がるふりして彼に抱きついちゃえ♪』って書いてあるし)」

莉嘉「Pくんがどうしてもイヤなら止めるけど、アタシは乗ってみたいかなぁ…ダメ?」

P「……うしっ!分かった!乗ろう!今日はデートだもんなっ!莉嘉!並ぶぞ!」

莉嘉「うんっ!リカのわがまま聞いてくれてありがとう☆楽しみだねー♪(これでおもいっきり怖がってPくんに抱きつくんだー♪)」

<アンギャアアアアアアアアア! キャアアアア♪アハハハッ!オッモシローイ☆

P「(何年か振りに絶叫系のアトラクションに乗ったけどやっぱ駄目だ…あの高速で落下する感覚だけは好きになれない…)」

莉嘉「うーん!たっのしかったー♪ねっ☆Pくん!(Pくんに何回も抱きついちゃった♪それにPくんのほうから手も握ってくれたし☆やっぱり大人メモの通りにしてよかった!)」

P「あぁ!俺も楽しかったよ、次は何に乗る?(莉嘉が楽しそうにしてるし我慢して良かったかな、とりあえず次は少し落ち着いたアトラクションに)」

莉嘉「じゃあ次はアレにしよっ!」

『ス○ースマウンテン』<ヤア!

P「…マジっすか」

<ゴワアアアアアア!オチル---! ハッヤーイ☆キッレーイ♪ヤバーイタノシーイ☆

莉嘉「これもすんごい面白かったね♪ジェットコースターってアタシ好きかもっ☆Pくんはどうだった?」

P「いや、なんだ、久しぶりに乗ったから新鮮だった…かな」

莉嘉「Pくん?少し元気ないみたいだけどだいじょーぶ?少しどこかでお休みする?」

P「いや時間がもったいないし次のアトラクションに乗ろう…できれば次はあんまり激しくないアトラクションがいいな」

莉嘉「(そういえば大人メモにも『女の子らしく可愛いアトラクションに乗って可愛さアピール☆乙女な貴女に彼の視線は釘付け間違いなし♪』って書いてあったっけ)」

莉嘉「(可愛らしいアトラクション…なにがあるかなっ?えーとうーんと…あっ!あれかわいいー!よしっ!あれならきっとPくんも!)じゃあじゃあ次はあれに乗ろうっ!」

P「あれはコーヒーカップか(コーヒーカップくらいならなんとか我慢出切るだろう)」

莉嘉「うんうんっ☆今はあんまり並んでないみたいだしさっ♪あれに二人でいっしょのカップに乗ろうっ!(これでまたまた女の子アピールしちゃおっ!)」

<リカァアアア!マワサナイデクレ-! ナァニPクン?キコエナーイヨー!モットマワシチャオー☆

莉嘉「Pくん、ホントにダイジョーブ?何か顔色が悪いよ」

P「いや大丈夫、大丈夫だから…次は何に乗る莉嘉?(コーヒーカップって真ん中のレバー回したらあんなに高速で回るのか…知らなかった)」

莉嘉「Pくんやっぱり具合悪そうだよ、少しだけ休もう、ねっ?Pくんがそんな調子だとリカも楽しくないもん!だから、ねっ?」

P「そんじゃあ少しだけ休ませてもらっていいかな?」

莉嘉「Pくん、もしかして絶叫系のアトラクションって苦手だったの?」

P「いや、そういうことじゃない……少し日ごろの疲れが出ただけで休めば…まだまだいけるぞ……」

莉嘉「嘘ついてるでしょ、Pくん」

莉嘉「リカには分かるもん!だってPくん優しいから。いつも何でもないよ、リカは悪くないよって言ってくれるときと同じ顔してる」

莉嘉「今はアタシとPくんのデート中なんだよ?だからリカに隠し事しないで!言いたいことがあるなる言って!だって二人のデートなのにアタシだけ楽しいなんて意味ないもん!」

莉嘉「やっぱり~~~!どうして最初に言ってくれなかったの~~!?」

P「男の癖に絶叫系が怖いなんてかっこ悪いだろ、だから言い出せなくて」

莉嘉「そんなことないよっ☆ジェットコースターに乗れなくてもお化け屋敷が怖くてもPくんはかっこいいしアタシがPくんのこと大好きだからねっ♪」

P「お化け屋敷は大丈夫だけどな…うぅー気持ち悪くなってきた」

莉嘉「それじゃあ横になりなよっ!ほらっPくん!遠慮なくリカの膝の上にどうぞ☆」

P「それはちょっと恥ずかしいかな」

莉嘉「恥ずかしがらなくていいよっ☆はいっ!今のPくんは具合が悪いんだからリカの言うこと大人しく聞いて♪ほらほらっ」グイッ

P「……じゃあ少しだけお借りします…ハァアアア…もう2度と乗らなくていいわ、ああいうのは」ポスッ

莉嘉「あははっ☆そんなに怖かったの?Pくんってば大人なのにかっわいいー♪」

P「落ちる感覚がどうしても駄目なんだよな…すんげー気持ち悪くなる」

莉嘉「そうなんだー☆リカは体がフワッとして面白いんだけどな♪」

P「俺はそのフワッが嫌いなんだよ…なんか体が飛んで振り落とされるんじゃないのかって思う」

莉嘉「だってちゃんとレバーもしてるんだよ?」

P「それでも駄目なんだよ…本能的にすんげー怖い」

莉嘉「…それなのに2回も乗せちゃってゴメンね、しかもアタシ一人だけすごい楽しんじゃってたし」

P「リカは悪くない、さっきリカに言われたとおり最初に正直に言っておけばよかったんだ。だからそんな悲しそうな顔するなって」

莉嘉「だってアタシ…グスッ…いつもワガママばっかりでPくんに迷惑ばっかりかけてるし…今日もせっかくのデートなのに…Pくんを困らせてばっかりなんだもん」

P「そんなことないって。莉嘉の我がままを迷惑だなんて思ったことは一度もないし、むしろ莉嘉の笑顔に俺はいつも元気をもらってるんだ」

莉嘉「…グスッ…ホントに?嘘ついてない?」

P「今度は嘘ついてないよ、だからいつもの笑顔の莉嘉に戻ってくれ」

莉嘉「…グスッ…えへへっ☆Pくんがそう言ってくれるならそうするねっ♪」

P「やっぱり莉嘉には笑顔が1番似合うよ。うしっ!俺も気分が大分よくなった!そろそろ起きるか!」

莉嘉「えー!まだゆっくりしててもいいんだよ♪」

莉嘉「えー!まだゆっくりしててもいいんだよ♪」

P「もう大丈夫だって、休んで元気になったしそろそろ行こうか。ほらっ莉嘉」

莉嘉「うんっ♪Pくんの手あったかいね☆」

P「ちっちゃいなー莉嘉の手は」

莉嘉「色々考えてくれたお姉ちゃんには悪いけど大人メモはもう見なくていいやっ!これからは二人でちゃんと考えてどこ行くか決めようね♪」

P「いいのか?美嘉と色々プランを考えてきたんだろ」

莉嘉「大人なデートもいいけどアタシとPくんの二人だけのデートなんだもんねっ☆次は何に乗りたい?Pくん!」

P「うーん…莉嘉が乗りたいのでいいぞ」

莉嘉「え?じゃあスプ○ッシュマウンテンでもいいの?」

P「勘弁してください」

莉嘉「うそだよっ☆じゃあホー○テッドマンションに乗ろうっ!お化け屋敷なら平気なんだよねっ!」

P「あぁ!お化け屋敷ならどんとこいだ!怖かったら莉嘉も俺に頼っていいからな!」

莉嘉「ほんとにっ!?じゃあ思いっきり甘えちゃおうっかな♪」

P「いやー今日は楽しかったなー!今日は誘ってくれてありがとな莉嘉!いい羽休めになったよ!」

莉嘉「うぅん☆Pくんもありがとう!お昼ごはんもごちそうになっちゃったし!このお耳も買ってくれたしね♪」ピコピコ

P「デートで女の子にお金を出させるわけにはいかないからな」

莉嘉「かっこい~☆やっぱりPくんは大人だねっ♪Pくん!アタシね、今日一つすんごいことが分かったんだ!」

P「お、なんだ?」

莉嘉「大人デートは憧れちゃうけど、Pくんと二人っきりのデートならどんなことしても楽しいってこと☆」

P「好きな人と過ごす時間は楽しいものだ、それに大人も子供も関係ないさ」

莉嘉「ふふふっ☆だよねっ!リカは子供でPくんは大人だけど二人は好き同士ならそんなの関係ないよねっ♪」

P「そこは関係あるけどな」

莉嘉「ぶっー!Pくんのいけずー!」

P「そろそろ莉嘉の門限の時間だな」

莉嘉「…そっか…リカの門限は6時までだもんね…しょーがないよね!だってリカはまだ子供だから…ママやパパも心配しちゃうもんね!」

P「莉嘉、最後にメリーゴーランド乗ってかないか?」

莉嘉「うんっ☆いいよ!最後の思い出作りだねっ♪どうせなら一緒にあの馬車に乗ろうよっ!ねっ!」

莉嘉「うわー☆ピカピカできれーいっ♪ゆっくりだけどロマンチック☆」

P「メリーゴーランドは恋人同士のアトラクションって感じがするよな」

莉嘉「えへへっ☆今のアタシたちって恋人同士に見えちゃうのかな?」

P「どうだろうな、でも回りがどう思うかじゃなくて俺達が互いをどう想ってるかが大事なんじゃないか?」

莉嘉「だよねっ♪だってリカとPくんは相似相愛だもの☆」

P「相思相愛な、相似だと微妙に意味が変わってくるぞ。莉嘉、そういえばこの前の定期テストどうだったんだ?」

莉嘉「えっ!?そりゃもちろんバッチリの出来だったよ…」

P「目をそらすな、俺の目を見て言いなさい」

莉嘉「もうっ!今はテストの話なんてどうでもいいの☆」

莉嘉「このメリーゴーランドが止まって門を出たら、このデートもお終いなんだよね」

P「…そうだな」

莉嘉「ごめんねっ☆しんみりすること言っちゃって!ちょっとさみしいなーって思っただけだから!気にしないでね、Pくん!」

P「…莉嘉の大人メモ、あったろ?あれの最後に書いてあったこと…実は読んじゃったんだ」

莉嘉「大人メモの最後?……ええええええ!?///あれはおねえちゃんとおふざけで書いただけで!いやでも本当になればいいなーってちょっと思ってたけど!でもでも!」

P「『大人なデートの最後は恋人同士のキスでロマンチックに終わり☆』だったかな?」

莉嘉「…うん///も、もううう!恥ずかしいから言わないでよおおお!…Pくん?」

P「莉嘉、少しだけ目つぶってくれないか?」

莉嘉「Pくん!?ほ、ほんろうに!?…うん///」

莉嘉「あ、オデコ…」

P「今日のデートは、俺が不甲斐ないせいでせっかくのデートプランも無駄にしちまったろ。だからオデコだけど最後くらいは大人デートしよう…なんつーか今日のお詫びとお礼だ」

莉嘉「えへへへっ☆ありがとうPくん♪いつもアタシのお願いを叶えてくれるPくんはリカの王子様だねっ!」

P「王子様って柄ではないけどな」

莉嘉「うぅん!王子様なのっ☆だってキスもしてくれたもん♪王子様の魔法のキスでお姫様は恋にオチちゃってずーっと幸せに暮らすんだよっ!」

莉嘉「あ、でもリカは魔法のキスが無くてもPくんのこと大好きだからねっ☆」

終わり

予定としては小日向ん川島さん響子も書こうと思ってたけど眠いです
時間も無いしね、しょうがないね。人数少なくてすまんな
凜に労力かけすぎたわ(言い訳)

年末か年始にモバP「新春かくし芸大会~~!」ってスレタイで立てる予定だからその時はよろしく頼むわ

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