律子「へえ、新しいジョークね」
春香「り、律子さん、顔が怖いです」
律子「大体ねぇ、私みたいな仕事人を好きになる人いないでしょー」
春香「でも、好きっぽいんです!」
律子「いやいや、何その『ぽい』って」
春香「……」
律子「確信もないのにそういう話しちゃダメでしょ、春香」
律子「こんなに可愛いアイドル達に囲まれてて、私を選ぶなんてありえないわよ」
律子「……まあ、うちのアイドルと付き合ってスキャンダル沙汰は困るけど」
春香「で、でも、この前聞いてみたんです。『どんな人がタイプですか』って!」
律子「あんたも結構ストレートね……」
春香「そうしたら、」
P『メガネかけてる子、かな』
律子「……いやいやいや、ちょっと待って、どういうこと?」
春香「そのままです。メガネかけてる子が良いって」
律子「きっと知的な子を、遠回しに言っただけよ、きっと」
春香「でも、私たちの事務所で知的な人って……」
律子「……あっ」
律子「……ほ、ほら、貴音とか!」
春香「聞いてみました、『貴音さんとかですか?』って聞きました」
律子「……冴えてたわね春香」
春香「聞いたら、」
P『貴音はちょっと不思議なところがあるから』
春香「……って」
律子「まあ、不思議というか、謎のお姫様って感じだもんね」
春香「そして、もちろん聞きました。『律子さんは?』って」
律子「普通はそっちを先に聞くんじゃないのかしら……で?」
春香「そしたら、」
P『はは……』
春香「って言って、何も言わずに仕事に行きました」
律子「そ、それは多分、私のことが苦手だから、悪口になっちゃうと思って言わなかったのよ」
春香「耳は真っ赤でした」
律子「……」
春香「……律子さんのこと、好きらしいです」
律子「ない!」
春香「なくないです!」
律子「ありえないわよ!!!」
P「おい、春香、次の仕事だけど……お、律子」
律子「! ぷ、プロデューサー殿!」
P「はは、春香と話してたのか? いきなり入ってきてごめん」
律子「い、いえ! 区切りついたので! 私はこれで! じゃあね、春香!」
春香「あ、律子さん!」
P「……どうしたんだ?」
春香「……な、なんでもないです」
律子「はー焦ったぁ……」
律子「いきなり来られたらビックリするじゃない!」
律子(ふう、平常心平常心……)
千早「……律子?」
律子「ひゃー!! って、千早か……驚かせないでよ」
千早「ご、ごめんなさい。驚かすつもりはなかっだけど……」
律子「レッスン帰り?」
千早「はい。ちょっとボイトレを」
律子「またボイトレ? あんたここ最近ボイトレばっかりしてない? ちゃんとバランス良くやらなきゃダメじゃない」
千早「は、はい」
律子「レッスンは食べ物と一緒よ。偏ったらダメだし、しすぎてもダメ。用法用量……って言うと薬っぽいわね」
千早「……ふふっ」
律子「あ、今笑ったでしょ? もうっ」
千早「なんだか、律子もやっぱりプロデューサーなんだなって」
律子「そりゃ当たり前でしょ。自分のプロデュースしてる子じゃなくても気にするわよ」
千早「そういう気を配るところが、好きなのかもしれないわね」
律子「……え、どういうこと?」
千早「あ、いや、気にしないで」
律子(……怪しい)
律子「ねえ、千早。あんた春香に何か言われてない?」
千早「!」
律子「珍しく表に出てるわよ、ギクって文字を書いたみたいな顔してる」
千早「……えっと、まあ、ちょっとね」
律子「……プロデューサー殿のこと?」
千早「うん」
律子「はぁ、春香。千早に言ったのねー……」
千早「はい、プロデューサーは胸は中の上くらいが良いと……くっ」
律子「なにそれ、新情報なんですけど」
千早「やはり、プロデューサーも男の人だったということ……」
律子「千早、なんか怒りの方向が違わないかしら?」
千早「律子、中の上って」
律子「え?」
千早 ジー
千早「……くっ」ガクリ
律子「ちょっと、私の胸見た!? わ、私はそんなに大きくないわよ! 中の上なんて……こんな貧相なのに」
千早「……くっっ!!」
律子「千早こそ、良いスタイルしてると思うわ。憧れる」
千早「くっっっ……!!!!」
美希「じゃあハニーは美希のことが好きなんだね!」
千早「美希」
律子「美希、あんたまたサボってこんなとこに!」
美希「律子、さんは黙ってて。今日はね、千早さんと一緒にボイトレしたの!」
千早「レッスンまだ続けるって言っていたのに、どうしたの?」
美希「ハニーの姿を見かけたから、今日のレッスンはおしまいなの!」
律子「あんたね、そのハニーってのと勝手にレッスンやめるのやめなさい!」
美希「やめるのやめるのやめるの!」
律子「ええい、ややこしい! じゃあやめるのやめるのやめるのやめなさい!」
美希「え、ええ……律子、さん壊れちゃったの?」
律子「あんたに合わせたのよ! もうっ!」
美希「そっかー、ハニーは中の上が好き……で、胸の中の上ってどういうこと?」
律子「わかりやすく言うと、あずささんは上の上よ」
美希「なるほど! じゃあ千早さんは下の下だね!」
千早「」
律子「ちょ、美希!?」
美希「あ、ハニーだ♪」
律子「み、美希、待ちなさい!」
千早「……」
律子「ち、千早、気を落とさないで?」
千早「……今日は、帰ります。なんだか色々と疲れました。この後仕事は無いので、さっさと家に戻って休みます」
律子「そ、そう……お疲れ様」
律子(美希め……千早のガラスのハートをあっさりとぶっ壊したわね……恐ろしい子)
律子「えっと、美希が行った方にプロデューサー殿は行ったってことは……」
律子「逃げられるわね」
律子「よーしこのまま仕事に戻るわよ」
亜美「律っちゃーん」
律子「あら、亜美と真美じゃない。……どうしたのそのメガネ?」
真美「ふふふ、聞きたいですかな?」
亜美「なんだかんだと聞かれたら!」
真美「答えてやるのが世の情けっしょ!」
亜美「にゃーんてにゃー!」
律子「なんだかんだとは聞いてないけどね……」
亜美「これはねー、兄ちゃんが好きになるポイントらしいよ! つ・ま・り、萌え要素だねえ→☆」
真美「兄ちゃんと遊ぶためならこのような小道具にまで手を出しちゃうようになったよ!」
亜美「真美、亜美達も兄ちゃんの虜だね……」
真美「亜美、それを言うなら兄ちゃんは真美達の虜だよ……」
亜美「あ、そっか!」
律子(ま、まずい、このままだと亜美真美ペースに!)
律子「えーっと、それは誰から聞いたの?」
亜美「はるるんだよ」
真美「兄ちゃんはメガネフェチだって」
律子(春香……あの言いたがりめぇ……)
亜美「でも、やっぱり元祖メガネキャラな律っちゃんにはかなわないよ」
真美「真美達じゃ手も脚も、胸も出ないよ」
律子「なによその目線! む、胸は関係ないでしょ!」
真美「律っちゃん顔赤いよ~?」
亜美「ふふふ、なんだか亜美達がセクハラしてるみたいだねぇ」
真美「なんか、エロエロだねぇ」
律子「あーもー、とっとと仕事しなさーい!」
亜美「わー、いつもの仕事お化けに戻った!」
真美「まずいよ亜美、総員退避ー!」
律子「どーも、亜美真美のコントロールが難しいわね……」
律子「……単体でも難しいし」
律子(今度プロデューサーに聞いてみようかしら)
律子「……」
律子(な、なんでよ、なんで顔赤くなってるのよ私!?)
律子「あーもー、バカバカ!」
律子(しっかりしなさい、秋月律子! あんたの目の前にあるのはプロデュースでしょ!)ペチンッ
響「どうしたんだ律子、そんな顔ビンタして。ま、まさか、そういう趣味だったのか!?」
律子「響!」
響「だ、大丈夫だ、見てないぞ。 顔真っ赤にしながら顔をビンタしてる律子なんて、自分見てないぞ!」
律子「バッチリ見てたじゃない……これは、自分を奮い立たせてただけよ」
響「ああ、なるほど。ビックリしたぞ! なんで奮い立たせてたんだ?」
律子「ま、まあそれは置いといて……ダンスレッスンしてたみたいね。汗びっちょり」
響「うん! 真と一緒にやってたら熱くなったちゃったんだ!」
律子「汗ちゃんと拭きなさい、風邪引いたらまずいんだから」
響「うう、誉めてくれるのかと思ったら怒られたぞ……」
律子「私はプロデューサー殿と違って、細かいこと気にするのよ。ほら、ハンカチ」
響「んんっ、うがー! 一人で拭けるぞー!」
律子「はいはい、じっとしてなさい」
響「なんか、律子はお母さんみたいだな!」
律子「響と年離れてないんだけどね……ちょっとショック」
響「そういえばプロデューサーは母性のある人が好きらしいぞ!」
律子「ま、また新情報……」
響「律子は母性の塊だな!」
律子「なによ、あんまり嬉しくないわよ」
響「がーん、結構良い誉め言葉だと思ったのに!」
律子「よし、これであらかた拭けたわね。これからはちゃんと拭くこと、わかった?」
響「うん、わかったぞ!」
響「あ! これから真と違うレッスンするんだった!」
律子「あら、それじゃあ待たせたら悪いから、早く行きなさい」
響「うんっ、じゃあねー!」
律子「……響って、元気でわんぱくな感じだけど、ちゃんと話聞いて良い子だわ」
律子(美希にも見習わせたいわね……)
「はは、汗拭いてあげるなんて律子らしいな」
律子「!」
P「おっす。律子も休憩」
律子「ピュロデューサー殿!?」
P「ぴゅ、ぴゅろ……?」
律子「お、お気になさらず……どうしたんですか、こんなところに」
P「春香は合同レッスンに行っちゃったから、ちょっと休憩に来たんだけど」
律子(よく見たら、ここ自販機の前!)
P「何か飲む? 奢るけど」
律子「いや、結構です! 私はもう飲んだので」
P「あーそっか。残念だ」
律子「……残念って?」
P「律子と、話したかったから」
律子(話したかったから――――!?)
律子「は、話くらいならしてあげてもいいですよ、私ももうすこし休憩したいですし」
P「そうか? いつもの律子なら『仕事があるので』とか言って、すぐにいなくなりそうだけど」
律子「私ってやっぱりそういうイメージなんですね」
P「うん。でも、働いてる律子って、すっごくイメージできるんだよな」
律子「そんなこと言うために話したかったわけ?」
P「そうじゃないよ」ピッ ガコンッ
律子「……」
P「ほら、立ち話もなんだし、座らないか?」
律子「は、はい」
律子(ちょっと待ってよ……!)
P「よいしょ」
律子(ち、近くない? そ、そうでもないのかな?)
律子「よいしょって、おじさんじゃないんですから」
P「はは、疲れちゃうとついね」
律子「そういうこと言ってると、あっという間におじさんになりますよ」
P「ごもっともだなぁ。最近体の節々が痛くなってきて、老いを感じるよ」
律子「プロデューサー殿の年齢でそうなるなら、これから私どうなっちゃうんですか」
P「あはは、そうだな」
律子「……で、話ってなんですか?」
P「あのさ、今日一緒に帰らない?」
律子「……へ?」
P「事務所の開け閉め当番、今日律子だろ? 小鳥さんから聞いた」
律子「そ、そうですけど……待っててくれるんですか?」
P「夜道に女の子一人じゃ危ないだろ、最近は暗くなってきたし、心配だから」
律子「そ、そんな、悪いですよ。私なら平気です、ほら、私なんて狙うやついませんから!」
P「いるよ、いる。……少なくとも、俺だったらね」
律子「!」
P「……・って、なんか変なこと言っちゃったな」
律子「……」
P「律子?」
律子「プロデューサー殿は、誰でも襲っちゃいそうですけど」
P「そんなことしないって言ってくれよー」
律子「……わ、わかりました。とりあえず一緒に帰ってもいいですよ」
P「そっか。やった」
律子「なんか喜んでます? なにか企んでるんじゃないでしょうね?」
P「純粋に嬉しいだけだよ、律子と帰ることができるのがさ」
律子「……そ、そうですか」
P「んっんっ……ぷはっ、うっし、仕事バリバリ頑張るぞー!」
律子「あ、待ってくださいよ、私も行きますから」
律子(どうしよ、なんなのこれ……)
律子(胸がドキドキして、止まんない……)
・ ・ ・
律子「……」カタカタ
P「……」
律子「……」カタカタ
P「……」
律子「……」カタ
律子「あの、プロデューサー殿。仕事がまったく手についてないみたいですけど?」
P「あ、ごめん」
律子「それに、私のこと見てましたね? なにか顔についてます?」
P「いやいや、何も……はは」
律子(……やめてくださいよ、本当に)
律子(そんな赤い顔されたら、私はどんな顔すればいいんですか)
律子(あ、もうっ、打ち間違えちゃったじゃない)
律子「……あれ、あれ?」
P「? どうした」
律子「なんか、ミスっちゃったみたいです」
P「どれどれ」
律子「い、いいですよ、プロデューサー殿にはわかりませんから」
P「酷い言いようだなぁ……ん、ここじゃないか?」
律子「えっ……あっ、本当だ」
P「はは、たまには役に立つだろ?」
律子「……そうですね。たまには」
P「たまにはを強調しないでくれよ……」
律子(……こういう時、なんでいっつもこうなるんだろ)
律子(パニクると、いつもこの人が助けてくれる)
律子「……あの、ありがとうございます」
P「!」
律子「ど、どうしたんですか?」
P「珍しいなと思って」
律子「珍しくないですよ、私結構ちゃんとお礼は言ってるはずですよ!」
P「違う違う、律子、ボタンかけ間違えてるぞ」
律子「え? わっ、ほんとだ!」
P「ははは、ちょっとドジな律子ってのも可愛いな」
律子「かわっ……いきなり何言ってるんですか! もー!」
P「さてさて、仕事に戻ろう」
律子「……もうっ」
律子(……はあ、かなわないなぁ)
律子(この人はこれが素なんだし、よく考えてみたらわりと前から言われてるはずじゃない)
律子(でも……)
律子(私のこと好き……らしいし)
律子(そう考えると、胸が……)
小鳥「律子さん、これお願いします」
律子「! は、はいっ!!」
小鳥「わわっ」
律子「あっ、すいません……」
小鳥「いきなり大声出されたから、驚いちゃった」
律子「はは、ごめんなさい……」
・ ・ ・
律子「よし、戸締りオッケー」
P「ちゃんと閉めた?」
律子「はい」
P「よし、じゃあ帰ろう」
律子「はい。……本当に一緒に帰るんですか?」
P「うん。待ってたんだから、今更一人で帰れーとか嫌だぞ?」
律子「そんなこと言いません。でも、もうすこし考えて欲しいなぁ」ゴニョゴニョ
P「ん?」
律子「なんでもないです、行きましょう?」
律子「うう、冷えますねぇ」
P「大丈夫か?」
律子「今日こんなに冷え込むなんて思ってませんでしたから、ちょっと薄着です」
P「そりゃやばいな、ちょっと待ってろ」
律子「?」
P「はい、マフラー」
律子「いいですよそんなの! プロデューサー殿がつけてください」
P「律子の体の方が心配だよ。響に言っておいて、律子が風邪引いちゃダメだろ?」
律子「そ、そうですけど……」
律子(いきなり、プロデューサー殿のマフラー着けるの、ちょっと恥ずかしい……)
P「あ、でもそっか。俺のマフラーだから、嫌だよな」
律子「そ、そんなことないですよ! 全然……」
P「無理しなくていいぞ?」
律子「いえ、本当に嫌じゃないですよ!」
ヒュウウッ
律子「ひっ……ううっ……寒いから、やっぱり貸してもらいます」
P「そっか。じゃあ」
律子「え!?」
P「……よし」
律子「じ、自分で巻けますよ……勝手に巻かないでください」
P「ごめん。つい、やりたくなって」
律子「……まあ、ありがとうございます」
律子「はー……」(暖かい……)
P「そういえば、そろそろクリスマスだな」
律子 ビクッ
P「?」
律子「そ、そうですね」
P「クリスマスは、きっとTVのオーディションがあるだろうし、ゆっくりしてられないだろうなあ」
律子「仕方ないですよ。休みなんてあってないようなものですから」
P「律子は割り切ってるな」
律子「そうじゃなきゃやってけないでしょ? それに、仕事があることに感謝しなきゃ」
P「そうだな」
律子「そりゃあ、私だってちょっとは休みたいと思いますよ」
律子「でも、私達が休んじゃったら誰があの子達を輝かせるんです?」
P「律子は、他人想いだなぁ」
律子「うっ、誉めないでくださいよ……」
P「こっちまで頑張ろうって気持ちになるよ」
P「いつもバリバリ仕事して、厳しい時は厳しく、優しい時は優しくて」
P「なんか、毎日律子と仕事できるのって、凄く幸せなのかもって」
律子「……」
律子(ちょ、ちょっと……胸の鼓動! 音でかすぎ……聞こえてないわよね!?)
律子 ドキドキ
律子「……私も、その……」
P「ん?」クルッ
律子 キュンッ
律子「なんでもないですよ、バカ!」
P「え!? いきなりバカ呼ばわり!?」
律子(め、目が合っただけなのに……)
律子(照れてるの、バレてない? 大丈夫?)
P「……あれ」
律子「!」
P「律子、顔赤いぞ?」
律子「ひぇ?! そ、そんなことないですよっ!!」
ピタッ
律子「ひっ!?」
P「んー……熱は無いかな」
律子「な、無いですし赤くもなってません! おでこに手を付けないでちょうだい!」
P「ご、ごめん。本人が言ってるんだもんな、俺の気のせいだったかも」
律子「もう、プロデューサー殿は……」
P「ははは……あ、あれ、月が綺麗だ」
律子(月が、綺麗……!?)ボンッ
律子「……って、全ッ然月見えてないんですけど?」
P「あ、ほんとだ……でも今日は綺麗な月が見れるって言ってたんだけどなぁ」
律子「……」
律子「……プロデューサー殿、もしかして、無理して話しようとしてません?」
P「……そんなつもりないんだけどな」
律子「もう、会話が辛いなら話さなくてもいいですよ。私気にしませんから」
P「……」
律子(好きって言うのは、違うのかもしれないわね)
律子(やっぱり、嫌われてるのかしら? ううん……)
律子(それは無いって信じたいけれど……)
律子(というか、絶対にイヤ)
律子(嫌われたく、ない)
律子(なら、どうしてこんな態度取っちゃうかな、私)
P「待ってくれよ、律子」
律子「なんですか?」
P「あっ……」
律子「ちょっと! 人の顔見て、あっ、って失礼じゃありません?」
P「いやあ……いつもの仕事してる律子の顔じゃないから」
律子「? 私、今どんな顔してますか」
P「……い、いやあ……」
律子「なんですか? 怒らないから言ってくださいよ」
P「……可愛いなって」ボソッ
律子「はい? 小さくて聞こえませんよ?」
律子(なによ、また冗談でも言うつもり?)
律子「あーもうっ。いいですよ、どっと疲れた顔してようが、明日には元気になりますから」
P「違う!」
律子「なにがですか?」
P「今の律子……仕事中のシャキッとした顔じゃなくて、表情が柔らかくて……」
P「可愛いんだ!」
律子「!」
P「……ご、ごめん。誤解ときたくて、つい大声で」
P「また可愛いって言っちゃったな。冗談だと思うかもしれないけど、本当に可愛いよ」
律子「……プロデューサー殿」
P「ん?」
律子「ちょっと、後ろ向いてください」
P「? う、うん」
律子「私がいいって言うまで、見ちゃダメですよ」
P「わかった」
律子「……」
律子(なんでいきなり、言うのよ……)
律子(いつもより真剣な顔しちゃってさ)
律子(意識し過ぎて、おかしくなりそう)
P「……律子?」
律子「ま、まだですよっ!!」
P「う、うん……わかってるよ」
律子(わかってた。わかってたわ……)
律子(自分の中で、押し潰そうとしてた)
律子(でも、やっぱり……)
律子(私も、前からプロデューサー殿のことが好き……)
律子「プロデューサー殿、はっきり聞きます」
P「……なんだ?」
律子「私のこと、どう思ってますか?」
P「……」
律子(聞いちゃった……)
律子(でも、きっと……ダメなんだろうな)
律子(月並なこと言われて、おしまい。でも……今日は、それで終わらせたくない)
律子(どんな言葉でも、私は、自分の気持ちを……)
P「……大好きだよ」
律子(はへーーーー!?)
律子(ど、どストレートに……だ、大好きって……)
P「いつも張り切って仕事をしてるのを隣で見てて、すこし憧れてた。尊敬って感じかな」
P「でも、いつからから律子の笑顔とか、人柄とか、全部が本当に素敵に見えてさ」
P「律子から仕事のメールが来るだけでも、どうやって返そうかいつも迷ってたりもした」
P「……俺、律子のこと全部ひっくるめて、大好きだ」
律子「……」
P「あ、あはは……いきなり変なこと言っちゃったな。ごめん。それくらい信頼してるってこと……」
ギュッ
P「! 律子!?」
律子「バカ! ……プロデューサー殿の、バカ……」
律子「そんなこと言われて、気持ち悪いなんて、思いませんよぉ!」グスッ
P「き、気持ち悪いまで思われるのは嫌だけどな……」
律子「プロデューサー殿が気持ち悪くないことなんて、一度もありません!」
P「そ、そうなの!?」
律子「ふふっ……ヘッタクソな告白ですね」
P「はは、こういう経験、全然無くてさ」
律子「……口下手なのは、仕事に影響しますよ?」
P「律子と一緒に仕事して、すこしはマシになったかなと思ってたんだけどなぁ……」
律子「仕事と恋愛は違いますからねー」
P「えっと、そろそろ向いてもいいかな?」
律子「ちょ、ちょっと待って下さい」ゴシゴシ
律子「……はい、いいですよ」
P「……律子」
律子「なんですか?」
P「付き合ってくれるのか?」
律子「飲みにですか? 未成年ですけど、別にちょっとくらいなら相手しますよ。もちろんアルコール無しで」
P「そうじゃなくて」
律子「もうすこし散歩ですか? 寒いのでもう勘弁なんですけど」
P「そうじゃなくて!」
律子「……だ、ダメです!」
P「えっ」
律子「今、私……頭がこんがらがっちゃってて……」
P「……」
律子「ま、また、日を改めてお願いします! その時、ちゃんと返事しますから!」
P「……」
律子「わがままでごめんなさい。でも、今の私じゃ、十分な答えはできそうにないの」
P「ちゃんと考えてから、ってこと?」
律子「は、はい……」
P「……ふふふっ、ははははははは!」
律子「な、なんで笑ってるんですか?」
P「いやあ、律子らしくって。すっごく嬉しい」
律子「な、なんですかそれ!」
P「律子ならすぐに『はい、いいですよ』なんて、絶対に言わないと思ったから」
律子「うっ、鋭い洞察力ですね……」
P「それじゃあ帰ろう。ううっ、寒っ……」
律子「あ、待ってくださいプロデューサー殿」
P「ん?」
ピトッ
律子「……く、くっついたら、寒くないですよ」
P「……律子」
律子「ふふっ、サービスです。今日も一日お疲れ様の、サービス」
P「じゃあ、これから毎日使っても?」
律子「ダメです。明日は私にサービスしてくれなきゃ」
P「ああ、なるほどな、代わる代わるってことか」
律子「そうです。こういうのは需要と供給のバランスが大事なんですから」
P「はは、律子らしい言葉だ」
律子「……幸せですか?」
P「うん、とっても。あとは律子が彼女になってくれればなー」
律子「そ、それは……」
P「わかってるって。また今度、だろ?」
律子「……はい」
P「今はプロデューサー同士のお疲れ様ってことで」
律子「はいっ」
P「それじゃあ、帰ろう。家まで送るよ」
律子「そのつもりじゃなかったんですか?」
P「うん、言わなくてもそのつもりだったけどね」
律子「なんですかそれー……ふふっ、おかしい」
・ ・ ・
律子「今日は……歩いてただけなのに、すっごく面白かったです」
P「俺も、最高の一日だった」
律子「最高って……これからどんどん最高を塗り替えちゃいますよ?」
P「俺も、律子に最高の一日を過ごさせてやるさ」
律子「すんなりとクサいこと言いますね」
P「口下手だから」
律子「ほんと、口下手」
P「はははっ」
律子「ふふふっ」
P「……それじゃあまた明日」
律子「はい。……また明日」
律子「……ふぅ」
律子(……あっ、マフラー返すの忘れてた)
律子「うわ、顔真っ赤じゃない!」
律子(寒かったからなぁ)
律子(……もしかして、告白されたから?)
律子「ち、違うわよね! 私そんなに余韻に浸って……」
律子(胸、まだドキドキしてる)
律子(メール、送ろうかな)
律子「ううぅ……」
律子(だ、ダメ! メールが返ってこなかったら、私、凄く傷つきそう!)
律子「……今日はもう寝ましょう。明日になったら、またいつも通り会えるんだから……」
・ ・ ・
律子「おはようございます。……あら、今朝はみんな早いわね」
真「律子!」
春香「律子さん!」
貴音「律子嬢、おはようございます」
律子「お、おはよう。どうしたの? なんか慌ただしいけれど」
春香「昨日ですね、貴音さんが見ちゃったんらしいんです」
律子「なにを?」
貴音「プロデューサーと律子嬢が、仲良く歩いていたのを、偶然にですが……」
律子「!!」
春香「あんなこと言って、実はプロデューサーさんと付き合っていたんですか!?」
律子「いや、そうじゃないわよ!」
真「寒い中を男女二人でくっついて温める……なんて少女漫画な展開! 憧れるなぁ!」
貴音「申し訳ありません、まさかお二人の関係がそこまで発展していたなんて……」
律子「貴音、本当に見たの?」
貴音「昨日は月が綺麗でしたから、ぼんやりと眺めていました」
律子(あ、プロデューサー殿も言ってたわね)
貴音「しかし、暗雲によって月光が遮られると、その時ふと、お二人の姿を」
律子「……」
春香「固まった?」
真「図星だったのかな?」
律子「そ、そんな事実は、一切、ありません!! メガネ掛けた女の人と男の人なんて、どこにでもいるから!!」
春香「うう、その気の動転っぷり、怪しいです……」
律子「あ、怪しくなんか……」
真「でも、律子なわけないよね。律子は仕事一筋! 恋愛なんてまっぴらごめん! って感じだし」
貴音「ええ。まこと素晴らしい、仕事の鑑です」
律子「誉められてるんだかわかんないわね、それ……」
P「お、おはようございます! おい美希、いいかげん離れろって!」
美希「いーやー、ハニーに中の上をアピールするのー!」
P「うわああ! やめろって!」(胸が当たってるって!!)
真「美希、朝から大胆だなぁ」
P「あっ、律子、おはよう! みんなもおはよう」
春香「おはようございます、プロデューサーさんっ」
P「お、今日もテンションバリバリだな! そろそろ美希は離れろー」
美希「ミキ、知ってるんだよ、ハニーは中の上が好きって!」
P「なんだそれ?」
律子「ほら、美希、プロデューサー殿困ってるでしょ、離れなさい」
美希「ヤ!」
律子「離れなさい……」
美希「ひっ、今日の律子、さん……なんか怖いの!」バッ
P「ありがとう、律子」
律子「い、いえ、別に……当然のことをしたまでです」テレテレ
春香「ねえ真」
真「なに春香?」
春香「やっぱりあの二人……」
真「うん、なにかあるね」
春香「……はぁ」
P「さて、気を取り直して春香……あれ、テンション下がってる?」
春香「いえー、お気になさらず……はぁ」
P「まずいな、今日仕事頑張れそうか?」
春香「は、はい。できるだけ頑張ります……」
律子(もろ影響与えちゃったみたいね……どうにかしていつも通りに振舞わなきゃ)
しかし、二人が付き合っているという噂は瞬く間に事務所内へ……。
亜美「真美、月が綺麗だね!」
真美「えー月なんて見えてないよー」
亜美「ホントだー。雲で隠れちゃったー」
真美「もしかして話しよーと無理やり?」
亜美「きゃんっ、バレちゃったかー」
真美「バレバレだよー」
亜美「んっふっふー」
真美「好きー!」
律子「な、なにそれ……?」
亜美「亜美真美新寸劇、月のお散歩だよ!」
真美「それじゃあムーンウォークじゃん!」
亜美「こりゃ一本取られたよー」
律子(この子達の考察が当たり過ぎててどこかで見てたんじゃないかと疑いたくなる……)
・ ・ ・
あずさ「中の上?」
貴音「プロデューサーの好きな大きさだそうです」
あずさ「なんの大きさかしらー?」
貴音「私にも、わからなくて、あずさに尋ねてみたのですが……わかりませんか」
あずさ「ごめんね、力になれなくて」
貴音「いえ……あ、千早」
千早「あら、どうしたの?」
あずさ「あ、千早ちゃん、中の上ってなんのことかしら?」
千早「……いやああああああああああああああああ!!!!!!」
あずさ「ち、千早ちゃん!?」
律子「ち、千早どうしたの!」
千早「ちゅ、中の上!」
美希「千早さんがご乱心なの!」
千早「いやああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
・ ・ ・
やよい「プロデューサー! どうですか? 伊織ちゃんに言われて、メガネをかけてみたんですけど」
伊織「ふんっ、別に理由はないけど、今日はメガネをかけたい気分だったのよ」
やよい「うっうー! 伊織ちゃんとっても似合ってます!」
伊織「やよいもすっごく似合ってるわ」
P「あー、うん。可愛い可愛い」
伊織「ちょっと、何よその反応! この可愛い伊織ちゃんが可愛いメガネつけて可愛く立ってるのよ?」
P「メガネならもう既に色んな人に見せられてるからな……」
やよい「プロデューサー、ちょっとうんざり気味ですね……ごめんなさい」
P「いやいや、似合ってるぞ。いつかメガネをかけたコスチュームも考えないとな!」
やよい「わーい! 嬉しいですー!」
伊織「……私と反応違いすぎるでしょーー!!」
・ ・ ・
律子「はぁはぁ……」
律子「もう、めちゃくちゃいじられた!」
律子「まさか社長にまでいじられると思わなかったわ……」
律子「お咎めないのはありがたいんだけど……」
律子(このままだと、私の仕事にも支障が!)
P「はぁはぁ……お、おう、律子」
律子「プロデューサー! ああ、よかった」
P「まさか、律子も?」
律子「は、はい。きゃっ」ヨロリ
P「おっと」
律子「あうっ……す、すいません、油断してました……」
P「ヒールで走ったんじゃ、そりゃ疲れるよ」
律子「……あっ」
P「あっ、ごめん」パッ
律子「……あ、ありがとうございます」
P「ど、どういたしまして」
律子「……」
P「……」
律子「あの!」
P「あのさ!」
律子「は、はい?」
P「いや、律子からどうぞ」
律子「いえいえ、あなたから……」
P「俺はいいから……」
律子「じゃあ……」
P「それじゃあ……」
律子・P「どーぞどーぞ」
律子「と、とりあえずストップ! このままじゃ埒があきません」
P「う、うん」
律子「……ふう。じゃあ、私から。これから、みんなとはどういう応対をしますか?」
P「……えっと?」
律子「答えてください」
P「んー……色々とみんな、してくれてるのは嬉しいんだけど、できればその……恥ずかしいからやめて欲しいなって」
律子「はい、私もそう思ってました」
P「律子もか」
律子「だから、仕事場ではできるだけ話をしない。それでいいですか?」
P「えっ」
律子「はい?」
P「……ああ、了解」
律子「?」
律子「あとはそうですね、ちょっと険悪なムードでも出しますか?」
P「なるほど、それならみんな『付き合ってないかも』って、思うな」
律子「いや、まだ実際に付き合ってませんからね?」
P「あ、そうだった」
律子「とにかく、これからできるだけ、二人きりというシチュエーションは避けましょう。今この状態も、なかなかまずいですから」
雪歩「あ、律子さん。どうしたんですか、こんなところにプロデューサーと二人で……あっ、私ここにいちゃまずいですか?」
律子「雪歩は黙ってて!」
雪歩「わ、わかってますぅー!」タタタタッ……
P「……雪歩のこと、蹴散らしてよかったのか?」
律子「……ま、まずい、誰かに言われちゃうかも! それじゃあプロデューサー! またっ」
P「お、おう。無理すんなよー」
律子(……さっき、話はしないって言った時の顔……)
律子(私だって、ちょっとくらいはお話したいですよ)
律子(でも……)
律子「……いや、今は雪歩を追うのが先決!」
雪歩「はぁはぁ……」
律子「待ちなさい雪歩おぉぉぉぉ」
雪歩「ひーん!? どうして追いかけてくるんですかぁー!」タタタタタッ
律子「待ちなさーい!」カツカツカツ
雪歩「ヒールなのにめちゃくちゃ早いですぅー!」
律子「捕まえたわよ、雪歩!」
春香「あれ? 雪歩に律子さん?」
雪歩「ごめんなさいー! プロデューサーと律子さんが二人でいたこと、誰にも言いませんからぁー!」
春香「!」
律子「そ、それは……」
春香 ダッ
律子「……雪歩ぉぉ……」
雪歩「ひ、ひぃ!?」
律子「あんたは本当に素直な子なんだから……はぁ」
P「さーってと、仕事にとりかかるか」
春香「プロデューサーさん!」
P「ん、どした春香」
ギュッ
P「なんだなんだ?!」
春香「私と一緒にいてください!」
P「いやあの……え?」
小鳥「キャー キンダンノコイデスカー」
P「小鳥さん喜ばないでください」
春香「プロデューサーさんは、私のプロデューサーさんなんですっ……だから」
春香「だから……」グスッ
P「春香……当たり前だろ。俺はお前のプロデューサーだ」
P「でも、だからって春香のことばかり見てやれるわけじゃない」
P「他のやつらはどうする? お前のことばっかり気にして、お前の仲間は見捨てるのか?」
春香「そ、そんなこと!」
P「……だったら、離してくれるよな?」
小鳥(うはあああ……プロデューサーさん、説得上手いです!)
P「小鳥さんヨダレ垂らさないでください」
春香「……でも、やっぱり、律子さんが好きなんですか?」
P「はぁ……やっぱり春香がみんなにいったのか?」
春香「うっ、ご、ごめんなさい……そうです」
P「やれやれ。この際言っておくが、俺は律子が……」
律子「あーっとっとと!! プロデューサーなにしてるんですか! 早く仕事やってください!」
P「り、律子」
律子「もーさっさと動いて、働いてくれないと困りますよー!」
律子「世の中タイム・イズ・マネーですからね! あー忙し忙し!」
P(ああ……律子、タイミング悪い……)
春香「……それじゃあ、プロデューサーさん、私行きます」
P「お、おう」
春香「プロデューサーさん、これからもプロデュースお願いしますね!」
春香「よーし、頑張るぞー! うわわっ!」コケッ
P「いきなり転けるなよ……あっ」
春香「きゃ、きゃああああ!」
春香「ううぅ……み、見ました?」
P「見てない! 見てない! というか、春香、よく転けるのにスカートは自殺行為だろ!」
春香「ひ、酷いですプロデューサーさんー!!」
春香「と、とにかくレッスン行ってきまーす!」
P「おーう行ってらっしゃい」
律子「プロデューサー……」
P「なんだ?」
律子「今、春香の……見ましたよね?」
P「……う、うん」
律子「……ニコニコしてましたよ。あれはどういうことでしょうか?」
P「いや、それは……お、男としてだな……」
律子「知りません」プイッ
P「うわあ、律子ぉ!」
小鳥(空気になりきるのよ、あたし……)
P「……って言われてもなぁ」
P「まあ、しかたない、バンバンやるかぁ」
律子「……はぁ、どうしちゃったんだろ私」
律子(なんであの人が、喜んでただけで、怒ったり……)
律子(し、嫉妬?)
律子(うわー、私のバカバカっ、何してんのよー!)
律子「仕事場に戻りづらくなっちゃったじゃない……」
律子「うー、二日連続! 気合気合!」ペチンッ
プルルルルル
小鳥「あ、電話。出ますねー……もしもし、765プロダクションです……はいっ、はい……えっ」
P「どうしました?」
小鳥「新しいオーディションのお知らせをいただいたんですけど……」
P「は、はい?」
小鳥「なんでも、次のオーディションは真メガネアイドルを決めるそうです」
P「……メガネアイドル?」
律子「こっそり戻りましょう……そろー……そろー……」
P「律子!」
律子「は、はいっ!?」
P「今すぐレッスン場に行くぞ!」ガシッ
律子「え、ちょっと、なんですか急に!?」
P「……」
律子(な、なんで男らしい顔してるの!?)
律子(へ、変なこと、されないわよね……?)
律子(って、私何考えてんのよっ!)
律子(でも、どうしていきなりレッスン場に……? わからない……)
律子(まさか、レッスン場で改めて告白なんて……)
律子(ううん、ロマンチックじゃないもの)
律子(変な妄想してる場合じゃない!)
律子(それにしても、プロデューサー殿の手……)
律子(暖かい……熱いくらい……)
律子(男の人って、みんなこんな感じなのかな……)
律子(うう、意識すると余計暖かく感じちゃうぅ!)
・ ・ ・
P「さあ、踊れ!」ビシィ!!
律子「あのー……」
P「曲はたくさんあるぞ、何にする?」
律子「いきなりジャージ着せられて、踊れって……いくらなんでも説明無しじゃまったく意味がわからないんですけど」
P「次行われるオーディションがあってな」
律子「えっ、それに私が出るんですか!?」
P「違うんだ、募集してるのは『メガネアイドル』なんだ。しかも真のメガネアイドル!」
律子「……真の?」
P「メガネアイドルって言ったら……俺にとっては、律子しかいない!」
律子 ドキッ
律子「でも私はプロデューサーであって……アイドルじゃ……」
P「誰がお前より輝くメガネアイドルがいるんだ! ダテメガネなんて飾りだ! 俺は律子が良い!」
律子「あああああもうっ、離れてください! は、恥ずかしいですからっ……!」
P「ご、ごめん……つい」
律子「はぁ……わかりました。でも、今回限りですよ? オーディションはいつです?」
P「一週間後だ」
律子「一週間!? 早いですよ!」
P「いやいや、律子ならきっと」
律子「プロデューサー甘く見すぎですよ! 私だって、相当ブランクあるんですよ!?」
律子「それにメガネアイドルって、他にもたくさんいるんですから……」
P「そうだなぁ……」
律子「今回のオーディションに上条春菜が上に進んでくることは間違い無いですね」
律子「メガネに対する愛情が高ければ高いほど、上にいけます」
P「そ、そうなのか。詳しいな……」
律子「もちろんです。私の同志でもあるメガネアイドルの動向はバッチリチェックしてますよ」エッヘン
P「よーし、それに負けないように、これから頑張ろう」
律子「うう……恥じないくらいには頑張ります」
P「何言ってるんだよ律子、勝つんだよ」
律子「本気で言ってるんですか!?」
P「じゃなきゃここまで強引に連れてこないさ!」
律子「いくら頑張っても、一週間で埋まるような差じゃありません! それにきっと、それには大きな審査ポイントがあります」
P「? どういうことだ」
律子「つまり、メガネをフル活用しなければ、オーディション上位は狙えないということです」
P「ふ、ふむ……?」
律子「つまり……私が歌う曲は決まってます」
P「……この曲か?」
律子「はい、この曲は前から歌ってましたから」
律子(それに、今の私にはすっごくシンクロするし……)
律子(これなら、気持ち十分に踊れそう!)
P「さて、それじゃあレッスン頑張ろう」
律子「……え、プロデューサー見てるんですか!?」
P「うん、もちろん。律子が着替えてる間に社長に話しておいたんだ」
律子「こういう時だけ手が早いんですからぁ……はぁ」
P「はは、ごめんな」
律子「……あの、見てるなら注意してくださいね?」
P「ああ」
律子「……ちゃんと、見ててください。まばたき、禁止ですから」
P「うん」
律子「……~♪」
P「……」
律子「~♪」
P(……なんか)
律子「~♪」
P(……天使を見てるみたいだ)
律子「うわっとと、足絡まっちゃった」
P「……」
律子「えへへ、もう一回お願いします。……プロデューサー?」
P「あ、ああ、悪いっ!」
律子「むっ、プロデューサー今ちゃんと見ててくれました?」
P「ああ……」
律子「本当ですか?」ズイッ
P「お、おおっ! しっかりしっかり! よし、次スタート!」
律子「え、ちょっともうっ! ~♪」
P(……曲が始まると、すぐに表情が変わって)
P(本当に良い笑顔だ……)
律子「……ふう、少し休憩」
P「はい、お疲れ様」
律子「あ、ありがとうございます。んー美味しい!」
P「すっごく良い感じだよ。現役かと思うくらい」
律子「まだまだですよ……ダンス中にメガネくいっができてませんから」
P「な、なんだそれ?」
律子「メガネアイドルというのは、振り付けに自然とメガネをくいっとあげる仕草をするんです」
律子「これ、結構ポイント高いんですよ」
P「し、知らなかった」
律子「次からはやれるようにしますから、ちゃんと見ててくださいね?」
律子「メガネに惚れたら、もう私以外見られなくなっちゃいますよ?」
P「はは、そりゃまいったな」
P(大丈夫だよ、律子。もう、なってるから)
律子「……~♪」
P(どんどん良くなってる……凄い)
律子「~♪」クイッ
P「!」
律子「~~♪」
P「……わ、悪い律子ちょっと席外すな」
律子「は、はい。わかりました」
P「……やばいやばい」
P「……抱きしめたくなるレベルでドキッとした……」
P「あっぶねえ……」
P「ダンスも、歌も、しかもさっきのくいっ……」
P「すこしズレたところから覗く律子の眼を、メガネをクイッとする動作でお茶目に戻す……」
P「メガネ、深いな……!」
律子「プロデューサー……?」
P「ん? おお、律子」
律子「もしかして、私のダンス、ダメでした?」
P「そんなことないぞ、最高だ!」
律子「そ、それは言い過ぎですけど……何か、ダメなところありますか?」
P「……律子、今楽しいか?」
律子「え?」
P「歌って踊って、楽しいと思えたか?」
律子「……正直、楽しくないです」
律子「いえ……楽しく、なかったです」
律子「さっきからずっと、ちゃんとやろう、失敗しないようにしようって思ってやってました」
律子「でも……でも、プロデューサーが見ててくれたから」
律子「プロデューサーに、良いダンスを、歌を見せたいって思ったから」
律子「だから、たくさん声を出しました。思い切り踊りました」
P「……律子」
律子「……勝ちたいって、思いました」
P「……よし、わかった! その気持ちがあれば、一週間で俺たちはトップメガネアイドルになれる!」
律子「プロデューサー!」
P「よーし、レッスンはこれくらいにして、衣装考えよう。大事な勝負だからな!」
律子「はいっ!」
・ ・ ・
あずさ「あら、プロデューサーさん」
千早「? 律子も一緒?」
P「悪い、ちょっと今から衣装をな」
あずさ「ええっ、プロデューサーさん、女装の趣味が?」
P「俺じゃないですよ!」
律子「ど、どうも」
千早「! 律子?」
律子「あの、えーっと、色々あってね」
P「実は今度のオーディションが……」
・ ・ ・
千早「なるほど……メガネアイドル。だからジャージなのね」
あずさ「それなら、絶対に出なきゃ!」
律子「はい、できるだけ頑張ります。あ、オーディション終わったらまたバシバシプロデュースしていきますからね」
あずさ「あらあら、どうなっちゃうのかしらー……」
律子「とりあえず、私に合いそうなのを選びますね」
P「それじゃあ駄目だ」
律子「え?」
P「律子自分で決めると必ず無難になる」
律子「うう……じゃあどうすれば?」
P「ここに女子二人がいるじゃないか!」
あずさ「あらー?」
千早「わ、私に服を選べと!?」
P「……」
律子「まあ、もうなんでもいいですよ、どんと来いです!」
あずさ「それじゃあ……んーこれは似合いそう。これも……これも……」
あずさ「あらっ、全部似合いそうで困ったわぁ~」
千早「えっと……キュートな感じだと、律子の知的な感じが消えてしまうし」
千早「だからと言ってキッチリとしていては型にハマリ過ぎているし……うう……」
律子「プロデューサー、明らかに人選ミスです」
P「うん……、俺も思った」
・ ・ ・
小鳥「私がしてもいいんですか?!」
P「はい、暇そうだったので」
小鳥「最近、プロデューサーさん私に酷すぎませんか?」
P「いいから選んでください」
小鳥「は、はいー」
律子「確かに、プロデューサーちょっときつくないですか?」
P「あの人こういうの好きらしいから」
律子「ああ……」
小鳥「き、聞こえてるんですけど……決してそういう気はありませんよ!」
P「眼を輝かせながら言うことじゃないですよ」
・ ・ ・
真「やっぱりぷりっぷりが一番です!」
律子「こんなの無理ぃ! 恥ずかしすぎる!」
・ ・ ・
雪歩「えっと、右手にドリルを」
律子「嫌」
雪歩「酷いぃー!」
・ ・ ・
亜美「チャイナ服がいいよー」
真美「いやいやメイド服だよー」
亜美「ドジっ子チャイナメイドってか→?」
真美「んっふっふ、それはやばいっしょー」
律子「お、おもちゃにされた……」
・ ・ ・
美希「えー、律子、さんはいつもの服が似合うの!」
律子「それじゃあ踊れないでしょうが! あ、でも意外性は……」
P「却下」
・ ・ ・
貴音「秋月律子……貴方は素晴らしき力を持っています。それをふんだんに引き出す服装は……」
律子「つまり……こんな感じ?」
貴音「面妖な!」
P「これは?」
貴音「面妖な!」
律子「えーっと、このラーメン柄のお笑いコスプレは? これはないわよねぇ……」
貴音「……それですね」
P「却下」
・ ・ ・
響「もちろん、ちょっとワイルドで、それでもちょっと可愛い感じがいいと思うぞ!」
律子「あら、まともな意見ね」
響「む、どういうことだー?」
P「さっきから、みんなにまともじゃないことばかり言われてたからな」
響「なるほど! じゃあ自分はまともだな!」
律子「んー、ワイルドでちょっと可愛い感じ……」
響「お、これとかそのままだぞ!」
律子「げ、原始人じゃないそれじゃあ!」
P「……はぁ、却下」
・ ・ ・
やよい「えーっと、これとか、律子さんに似合いそうです!」
伊織「これは、どっちかと言うとやよいに似合いそうね」
やよい「あ、これは伊織ちゃんに似合いそうだよ!」
伊織「あら、じゃあ着てみようかしら」
やよい「うっうー! じゃあ私も着てみますー!」
律子「……あれ?」
P「二人できゃっきゃされたな……」
律子「……そうですね」
・ ・ ・
春香「私に任せてください!」
律子「春香!」
P「もう頼みは春香しかいない。頼んだぞ!」
春香「はい! これとか可愛いなぁ……」
春香「ああこれっ、すっごく可愛いです! 似合うかな?」
春香「あっ、私じゃなくて律子さんが着るんですよね! 失敗失敗!」
P「た、頼むぞ春香……」
律子(だんだん心配になってくる……)
春香「はぅ! 似合うのたくさんあります……」
律子「……あずささんと被るとは」
P「流石春香……」
春香「さ、さすがって!?」
P「春香、お疲れ」
律子「もう休んでいいわよ……」
春香「ど、どういうことですかー!?」
・ ・ ・
律子「結局みんな頼りにならないじゃないですか!」
P「その言い方は……語弊がないわけでもないから困るな」
律子「とりあえず、早く決めないと……着て練習もしておきたいですし」
P「そうだよな」
律子「……」
P「……どうした?」
律子「プロデューサー、選んでください」
P「……え?」
律子「……私が決めたら、いつもと同じになっちゃうと思うんで」
律子「ほら、私がアイドルしてた頃、プロデューサーいなかったでしょう?」
律子「私をプロデュースするなら、どんな服にするか見てみたいんです」
P「……わかった。文句言わないでくれよ?」
律子「はい、もちろんです」
P「よーし……じゃあ、ちょっと待っててな」
律子「はい」
P「んー……これとかは……むぅ」
律子(ふふっ、あんなに真剣に選んじゃって)
律子(……私って、幸せ者かもね)
律子(かもじゃなくて、幸せ者なんだ……)
P「できた! とりあえず、着てみてくれ」
律子「はい!」
P「思ってたのと違ってたらごめんな」
律子「後悔させないコスチュームにしてくれたんでしょう?」
P「う、うん」
律子「なら、きっと大丈夫ですよ。待っててください」
P「ああ!」
律子「……ん?」
律子「この髪型じゃ合わないわね」
律子「……三つ編みにしよう」
律子「……人前で三つ編みになるの、久し振りかも」
律子「おまたせしました。どうでしょう?」
P「」
律子「……あの、プロデューサー?」
P「か、か……可愛い!!」
律子「んなっ……びっくりさせないでくださいよ! ありがとうございます!」
P「律子、めちゃくちゃ可愛いよ! 自分が選んだ服だから、すこし言いづらいけれど」
律子「あはは、でも、私も気に入りました。動きやすいし、私のイメージを崩してない感じで」
P「それに……その……」
律子「はい?」
P「三つ編みが……可愛すぎる」
律子「……じゃあいつもは可愛くないんですか!?」
P「いやいや! そうじゃないけど……三つ編みすると、ちょっと幼くなって可愛いなって」
律子「……まあ、誉め言葉として預かっておきます」
律子「にしても、決めるだけで今日一日終わっちゃいましたね……」
P「ああ。でもまだ明日もあるから」
律子「何言ってるんですかプロデューサー。今日含めて一週間だったら、もう六日しかないんですよ!?」
P「ああ、そうだけど。前向きに行こう。少しずつ前進、な?」
律子「うう……プロデューサーは踊らないからそんなこと言えるんです」
P「よくなってきてるし、きっと行けるさ。律子ならやれる!」
律子「……はぁ、なるほどね。プロデューサーの言葉って、なんだか力が湧いてくるみたい」
律子「これが売れっ子プロデューサーのスキルなのかしらね?」
P「はは、どうかな」
律子「じゃあ、戻りましょう」
P「あ、うん」
律子「んー、この一週間仕事できないから、小鳥さんに相当無理させちゃいそうですね」
P「俺がいない時は、一人でやってたんだろ?」
律子「でも、私も手伝ってましたから。私がバリバリレッスンとかやって、小鳥さん大丈夫かしら……」
P「ちょっときついくらいが小鳥さんにはちょうどいいんじゃないか?」
律子「ど、どうなんでしょう……あっ」
P「ん?」
律子「き、着替えるの忘れてました。先に行っててください」
P「ほいほい」
・ ・ ・
律子「おまたせしました」
P「……あー、悪い。律子、一緒に帰れそうにない」
律子「ど、どうしたんですか?」
P「ほら、見てみろ」
律子「あっ……」
美希「……」
P「入り口で俺を待ってるらしい。美希と一緒に帰るから、今日はいいか?」
律子「は、はい。そういえば、できるだけ接しないようにしてたんですよね」
P「ああ、すっかり忘れてたけどな」
律子「私もです」
美希「ハニー! 待ってたの!」
P「美希、こんな時間までどうしているんだ?」
美希「ミキね、今日はずっとソファでおねむだったの。だから起きたらみんないなくて、それでね」
P「だからこんな時間までいた……と」
美希「うん!」
P「服決める時に起こしたのにその後寝たのか……まったく」
美希「えへへっ、ハニー照れるの♪」
P「誉めてないぞ……」
美希「でも、ハニーと一緒に帰れるなら、ラッキーなの!」
P「まあ、お前を一人で帰らせるのもまずいからな。じゃあ、帰ろう」
美希「やったー♪」
律子「……」
小鳥「すいません、私が起こせば……」
律子「小鳥さんは悪くないですよ。美希がこんな時間までグーグー寝てたからですよ」
小鳥「……あっ、今日は私が鍵閉めるので律子さんも帰っていいですよ?」
律子「あ、はい。あの、事務のお仕事一人でやらせてすいません」
小鳥「ああ、気にしなくてもいいですよ。一人は慣れてますし……はぁ」
律子(なんか、違う響きを感じるわね……)
小鳥「それに、律子さんがアイドルとして見れるの、楽しみにしてますから」
律子「小鳥さん……」
小鳥「だからこそ、頑張ってください! 応援してますから!」
律子「はいっ!」
律子「よーし、頑張ろう!」
律子「家で明日の練習プランを考えましょう」
律子「あっ、もちろん十分睡眠も大事ね。お風呂にもつかって体の疲れをほぐして……」
律子「風呂上がりにはストレッチでクールダウンを入念に!」
律子「うん、完璧ね」
律子「……」
律子「帰りたいのに、どうしてかしら」
律子(プロデューサーが気になって、家に向かえない)
律子(美希と一緒にいたって平気よ。うん。)
律子(……ま、まあちょっとした暇潰しよ暇潰し。それ以上の感情は、まったくないんだから)
律子(あまり遠くへは行ってないはず……)
律子(あっ、いた)
美希「♪」
律子「う、腕組んで……むう、美希めっ……って嫉妬はダメよ秋月律子。平常心、平常心」
律子「ま、まあ美希のことだからいつものことだしね」
律子(こんなことで妬いてたら、いつも妬いてることになる)
律子「……というか、プロデューサーも満更じゃないんじゃない」
律子「まあ、そうよね。美希、可愛いし元気で積極的だし……」
律子「ちょっと言葉遣いとか、色々難があるけど」
美希「……なの♪」
律子「ん……?」
美希 チュッ
律子「!!!」
律子(えっ……えっ……?)
美希「♪」
律子(今、キス……)
律子「……」
ダッ
律子「……」
律子(キス、した?)
律子(キス、してた?)
律子(プロデューサーと美希が……?)
律子「……」
律子「どうしよう」
律子「全然、お風呂とか入る気にならない……」
律子「寝よう……このまま」
律子(うわっ、涙出てる)
律子「私って、嫌なほど純情なのね……はぁ」
律子(な、なんか自分で言って恥ずかしくなっちゃった、ねよねよ)
律子「……おやすみなさい」
律子「……はぁ」
・ ・ ・
律子「!」
律子「嘘、もうこんな時間!?」
律子「やばい、なんでアラームついてないのよ! 最悪っ……」
律子「さっさと着替えて、行かなきゃ……」
律子(……あっ)
律子「……」
律子「行かなくても、いいかな」
律子(……あんなの見たら、もう……)
律子「やる気なんか、出てこないわよ……」
プルルルルル!
律子「!」
律子「プロデューサー?」
律子「……」
律子「出なきゃ」
ピッ
律子「も、もしもし」
P「おはよう、律子」
律子「! ……おはようございます、プロデューサー」
P「どうしたんだ、もしかして寝坊か?」
律子「……」
P「……律子?」
律子「は、はい、ごめんなさい。もう少し遅れるかもです」
P「そうかぁ。了解。急いで怪我しないようにな」
律子「春香じゃないんですから、大丈夫ですよ」
P「そうだな、じゃあ、待ってるから」
プッ
律子「……」
律子(待ってるから……か)
・ ・ ・
律子「……でもやっぱり行っちゃうのよね、私」
律子(ちゃんと聞けば、こんな気持ちにならなくてすむのに)
律子「はぁ……自分の性格が嫌になる」
律子「……あら?」
あずさ アタフタアタフタ
律子「あずささん、また迷子……?」
律子「あずささん!」
あずさ「あっ、律子さん。おはようございます。今朝も早いんですね」
律子「あずささん、もう大分時間経ってますよ?」
あずさ「ええっ!」
あずさ「ま、まあ……だから人がたくさんいたのね」
律子「もうみんな活動し始める時間ですからね」
あずさ「でも、よかったわ。律子さんに会えたから、これで事務所に行けます」
律子「もう、一人で行けるようになってください」
あずさ「頑張ってるんですけどね……」
律子「あずささんいつ失踪とか言われてもおかしくないですよ……」
あずさ「あらまあ……怖いわねぇ」
律子「怖いのはこっちも同じですよ……」
あずさ「律子さんと一緒にいると、なんだか私もしっかり者になった気分っ」
律子「そうですか?」
あずさ「ええ、私、律子さんと一緒にお仕事できるの、嬉しいんですよ~?」
律子「ありがとうございます」
あずさ「きっと、伊織ちゃんも、亜美ちゃんもそう思ってると思います」
あずさ「他の子達だって、プロデューサーさんだって」
律子「……そ、そうですかね」
あずさ「ええ、そうよ♪」
律子(……そうなのかな)
・ ・ ・
律子「おはようございます」
あずさ「おはようございます~」
P「律子! おはよう。 あ、あずささんも!」
あずさ「おはようございます、プロデューサーさん」
律子「どうも」
P「良かった。それじゃあ早速レッスンに行こう。服着替えたらすぐにな」
律子「は、はい」
P「……どうした?」
律子「あ、いえ、なんでもないですよ」
P「そうか? ああ、そうそう」
P「今日はダンスを現役時代、いや、それ以上にするために特別コーチを用意しました!」
響「おっす! 自分がいるからには最高のダンスにしてやるさー!」
真「律子のダンス、バリバリかっこよくて可愛く、イカしたダンスにしちゃいますよー!」
律子「ちょ、ちょっとプロデューサー! この子達のダンスって激しいじゃないですか!」
真「まあまあ」ガシッ
響「やったら楽しいぞ」ガシッ
律子「う、嘘よね!? いやよ、いやああああああ!!」
P「律子、ファイト!」
・ ・ ・
律子「はぁ……はぁ……」
P「お疲れ様! 凄い汗かいたな」
律子「こ、ころしゅきですかぁー!」
P「とりあえずこれ飲んで。次は歌だ」
律子「歌?」
P「それじゃあ、お願いします」
千早「はい」
律子「千早!」
千早「これから一音でも外したらいけませんよ?」
律子「一音って……あんたじゃないんだから」
千早「いきますよ。まずは……あー♪ どうぞ」
律子「……あ、あー♪」
・ ・ ・
律子「あー……」
P「おしおし、お疲れ様。はい、水」
律子「ふぅ……腹式呼吸ってなかなか難しいですね」
P「お疲れ様、さ、次はビジュアル特訓だ」
律子「び、ビジュアル特訓……」
P「というわけで呼んでます」
美希「やっほー! 律子、さん」
律子「!!! み、美希?」
美希「今日は律子、さんのことビシビシいじめちゃうからねー!」
律子「……」
美希「……?」
律子「あ、うん……お願いするわ」
P「じゃあ、頼んだぞ、美希」
美希「うんっ、ハニーのためならなんでもしちゃうの」
律子(ハニーの、ため……)
美希「ここは、ちょっと上目遣いで~」
美希「なのっ☆」
律子「上目遣いで……なのっ?」
美希「んー、律子、さんちょっと固いの」
律子「あんたみたいに上手くやれないわよ」
美希「誰だってできるの! ハニーだってできるよね?」
P「うえっ、俺か?」
美希「うん。上目遣いで……なの☆」
P「う、上目遣いで……なの☆」
美希「きゃはっ、ハニー可愛いの!」
律子「……ぷふっ」
P「あ、律子! 笑うことないだぞ! 一生懸命やったんだぞ!」
>>155
直すの忘れた。
×笑うことないだぞ!
○笑うことないだろ!
律子「だって……プロデューサーが……なのっ☆って……ぷくくく……」
P「うわーやめろー!」
律子「……ふう。落ち着けました。よーし……上目遣いで……なのっ☆」
美希「あ、良くなったの!」
律子「ふふ、ザッとこんなもんよ」
P「うん、良いぞ」
律子「良いと思うなら目を合わせて言って欲しいですね」
P「あ……お、おう」
P(か、可愛くて直視できん……)
律子「……」
律子(頑張っても、可愛いって、言ってくれないんですね)
律子(って、私なに求めてんのよ!?)
美希「じゃあじゃあ、次は……」
律子「なんでもきなさーい!」
美希「……ハニー、ミキのこと、好き?」モジモジ
律子「へ?」
P「お、おいいきなり……」
美希「さ、律子、さん! やってみて!」
律子「え……こ、これをやるの?!」
美希「当たり前なの。特別にミキのハニーを使ってもいいよ!」
P「俺は物か……」
美希「さ、ハニーはここに立つの!」
律子「え、ええっ……」
P「……」
律子「……」
美希「律子、さん! ゴーなの!」
律子「……こ、これは本意じゃないですから」
P「あ、ああ……」
律子(流石にハニーとは言わないわよ……)
律子「だ、ダーリン……」
P キュン
律子「わ、私のこと……」
美希「名前、名前なの!」
律子「うう……り、りつこのこと……」
P「……」
律子「好き?」モジモジ
P「好き!」
律子「!」ボンッ
美希「ずるいのっ、ハニーサービスし過ぎなの! ミキにも言ってー♪」
P(と、咄嗟に言ってしまった)
律子(ふ、不意討ち過ぎて……頭真っ白……)ドキドキ
・ ・ ・
美希「うん、律子、さんにしてはよくやったの」
律子「私にしては、ってなによ!」
美希「律子、さんも可愛いところ、あるんだね」
律子「ど、どういうことよ……」
P「お疲れ様」
律子「あ、ありがとうございます」
美希「あー、ハニー、ミキにはタオル無いの?」
P「律子はさっきからずっとレッスンしてたからあげたんだよ。美希もありがとな。助かったよ」
美希「……えへへ、どういたしましてなのっ!」
律子「……」
美希「あのね、ハニー」
P「ん?」
美希「よくできましたーって、撫で撫でして欲しいの!」
律子「!」
美希「ね、いいでしょ?」
律子(……プロデューサーは、断らないわよね)
律子(だって、美希と……)
P「悪いんだけど、また今度な。今は律子にしてあげたいくらいだし」
律子(えっ……!)
美希「えー! ミキも頑張ったのに!」
P「また、美希がオーディション頑張って、合格したらしてあげるから……な?」
美希「! ほんと!? ハニー、約束だからね!」
P「うん。これから営業だろ? 頑張ってこいよ」
美希「はいなの!」タッタッタッ
律子「……いいんですか、厳しくして」
P「あいつ、実は時間ギリギリだったんだよ」
律子「そうなんですか。流石プロデューサーです。愛の力ですか?」
P「な、なにが?」
律子「プロデューサーが頼んだから、時間ギリギリまで付き合ってくれたんでしょう」
P「ど、どうしたんだ、律子」
律子「……」
P「……律子?」
律子「プロデューサーは、私なんかより、美希のみたいな子の方が合ってると思います」
律子「私って、みんなにも言われてるくらい、恋愛って言葉に無縁な女だから」
律子「美希みたいに、キラキラ輝いている子みたいにはなれないから」
P「……」
律子「で、でも……でも……」
律子「私、プロデューサーを取られたくないです」
律子「どんなことで負けても、劣っててもいい。でも……プロデューサーだけは、取られたくないんです」ウルッ
P「……あのさ、律子」
P「泣いたらダメだよ、今は」
P「可愛い顔が台無しだぞ?」
律子「……っ」
P「律子がキラキラ輝いてないなんて、誰が言ったんだ?」
P「少なくとも俺の中で、一番キラキラ輝いてるのは」
P「間違いなく、律子だよ」
やっとこさ前スレ分追いついたのに体が悲鳴をあげている……寝かせてくれ!
今日は(雪歩のために)時間が空いてるので書ける……はず。おやすみ……わがままですまん
律子(……もう、プロデューサーったら)
律子(私をどれだけドキドキさせるつもりですか……)
律子「……ありがとうございます」
P「ほら、ハンカチ」
律子「いいですよ、タオルで拭きますから」
P「みっともないよ、律子は女の子なんだぞ?」
律子「……はいっ」
律子「……ちょっと、ストレートな質問していいですか?」
P「ああ、いいよ」
律子「昨日、美希と一緒に帰って、何かしませんでした?」
P「……」
律子「……」
P「参ったな。えっと、昨日は」
P「普通に帰ったんだけど、不意をつかれて」
律子「キス……ですか?」
P「うぇ!? み、見てたのか?」
律子「ごめんなさい、見ました……」
P「ああ、あれは違うんだ律子」
律子「……本当ですか?」
P「うわわ、そんなジトっとした目で見ないでくれ。本当に違うから」
律子「私、気が動転しちゃってそれで、アラームもつけずに寝ちゃって……」
P「そうだったのか……ごめん、あれは美希が勝手にやったんだ」
律子「もういいです、プロデューサー。私、信じますから」
P「ホッ、良かった……」
律子「えっと……」
P「ん?」
律子「さっき、律子にしてやりたいって……」
P「なにを?」
律子「……あ、頭撫でるって」
P「ああ、ごめん、つい。頑張ってる律子見てたから、言っちゃった」
律子「良かったら、撫でてもいいですよ?」
P「えっ」
律子「ほ、ほら、昨日私にサービスしてくれなかったでしょう?」
P「あ、そういえば」
律子「だから……その……・頭、撫でてくれると……良いかなって」
P「……」
律子「ご、ごめんなさい。私らしくないですよね。反省します」
P「……」
ナデナデ
律子「えっ!?」
P「律子、よくできました」
P「こんなことだったら、いつでもやるよ。でも、本当にこんなことで良かったのか?」
律子「……はいっ!」
律子(すっごく顔赤くなってそう……でも)
律子(もう、隠さなくてもいいかな)
・ ・ ・
律子「あー、疲れたー」
P「お疲れ様」
律子「レッスンやってたら、もう帰る時間なんて。昔とは違いますー」
P「そうなのか?」
律子「私はみんながレッスンとかしているときに、せっせと事務の仕事してましたから」
律子「レッスンの時間もだいぶ限られちゃうんです」
P「ああ、なるほどな」
律子「今日はすっごく充実してました。プロデューサーのおかげです」
P「俺は見てただけだよ」
律子「ああ、言われてみれば」
P「そう言われると悲しいけどな」
律子「ふふっ、案外繊細ですよね」
P「案外ってなんだよー」
律子「さーて、なんでしょうね?」
P「そういえば、ちょっと話したいことがあるんだ」
律子「! な、なんでしょう?」
P「オーディションについて、色々と考えてみたんだ」
律子「あ、はい」
律子(びっくりした、また告白されるのかと思っちゃったじゃない……)
・ ・ ・
P「で、つまりはだな……」
律子「はい」
P「……あれ」
律子「どうしました?」
P「俺の家まで着いちゃったか」
律子「あー! もうっ、プロデューサー話まとめるの下手すぎです! こんなとこまで来ちゃったじゃないですか!」
P「まあまあ、送っていくから」
律子「プロデューサーの家から私の家結構距離あるんですよ? 一人で帰りますよ」
P「いや、そういうわけには」
ポツ
律子「?」
P「……?」
ポツポツポツ……ザー!!
律子「う、嘘でしょ!?」
・ ・ ・
律子「うー、もうっ、びしょ濡れ!!」
P「いきなり降ってきたな。通り雨だろうから、すぐに止むと思うけど」
律子「最悪ですよ、本当に……」
律子(……)ジロリ
律子(ここが、プロデューサーの家……)
律子(わりと綺麗な感じなのね。散らかってると思ってたけど)
律子(意識した途端、急に恥ずかしくなってきたわね……)ドキドキ
P「ごめんな、とりあえずあがってもらっちゃったけど」
律子「いいですよ、気にしないでください」
P「そうか?」
律子「あのまま帰ってたら、風ひいてたかもですし」
P「そういえば、マフラー巻いてたな」
律子「……あっ、そういえばこれプロデューサーのでしたね!」
P「うん」
律子「ごめんなさい、返します!」
P「いいよ、気に入ってくれてるみたいだから。……でも、もっと可愛い方がいいかな。よし、今度買いに行こう」
律子「……一緒にですか?」
P「ダメか?」
律子「いえ、悪くは無いですけど……」
律子(あー、もう何着て行くかとか、シミュレーションしてる私、ほんっとバカみたい)
P「寒くないか?」
律子「ちょっとだけ」
P「そうか、お風呂わかしたから、入っていいぞ」
律子「……え?」
P「?」
律子「お、お風呂……ですか?」
P「うん」
律子「と、通り雨ですし、普通に待ってれば帰れるかも」
P「それなんだけど……通り雨じゃないらしい」
律子「へ!?」
P「今さっきテレビで、朝まで降るって」
律子「う、嘘ー!!?」
P「だから、律子が嫌じゃなければ、泊まっていくか?」
律子「と、泊まーーー!?」
P「いやなら、これからタクシー呼べばいいんだけど」
律子「……」
P「どうする?」
律子「……た、タクシーはお金かかるじゃないですか」
P「それは俺が払うよ」
律子「で、でも! 無駄な出費になると思います」
律子「だから……その……」
律子「と、泊まって……い、いきます」
P「そっか」
律子「……お風呂、入っていいですか?」
P「うん」
律子「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」
P「おし、ついてきてくれ」
律子「はい」
P「カゴがここにあるから、そこに全部入れておいてくれ」
律子「は、はい」
P「えっと、カゴはできたら、脱いだ後はここに隠しておいてくれると、俺も見えないから」
律子「わ、わかりました」
律子(結構気にしてくれるのね)
律子「の、覗かないでくださいね?」
P「はは、そんなことしないよ」
律子「……怪しい」
P「いや、断じてしないから!」
律子「……ふふ、冗談ですよ。信じてますから」
P「良かった。じゃあ」
律子「はい」
律子「んしょっ。ふー」
律子「……あっ」
律子(今日、あんまり可愛いの穿いてこなかったなぁ)
律子(うう、かたいと思われないかしら)
律子(って、見せるつもり!?)
律子(バカバカ、見せないようにってちゃんとカゴをもらったじゃない)
律子(……あ、そういえば)
P「律子」
律子「ひゃああ!」
P「あ、悪い。まだ入ってないか」
律子「は、はい。大丈夫です」
P「えっと、とりあえずドア越しで話すけど、洗濯とか、どうする?」
律子「あの今日一日、コスチュームしか着てなかったので大丈夫だと思います」
P「なら良かった」
律子「あっ、でも……」
P「」
P「なら良かった」
律子「あっ、でも……」
P「どうした?」
律子「パジャマというか……ですね」
P「ああ」
律子「今日慌ててたから、何も用意してないです」
P(慌ててなかったら用意してるものなのか?)
P「それはまあ、嫌じゃないなら俺の貸すよ」
P「律子には大きすぎるかもだけど」
P「……律子?」
律子 ボンッ
律子「わ、わわ、わかりました。プロデューサーの……借ります」
律子(プププ、プロデューサーの……パジャマ!?)
律子「私、袖通しちゃうの!?」
律子(やばい、胸、ドキドキする……)
律子(と、止まってぇ……)
P「じゃあ、用意しとくよ。ゆっくり入ってくれ」
律子「は、はい……」
律子「……」
律子(風呂場も普通ね)
律子「これで体を洗うのかしら?」
律子(……流石に汗かいたままお風呂に入るのはいやね)
律子(ささっと洗っちゃいましょう)
シャー……
律子(……はぁ)
律子(いつもと違うお風呂……プロデューサーの家の、お風呂)
律子「……こんな気持ちでお風呂に入るの初めてかも」
P「クリスマス前日に、小鳥さんと遭遇してしまった」(188)
モバP「三連休の過ごし方」(1001)
のdat持ってる人いないだろうか、いたら上げてほしい
後者は今ある次スレで頼んでみるわ、すまん
律子「ここで毎日、プロデューサーは……」
律子(な、何考えてんの私っ)
律子(お風呂で悶々としたら、本当にやばいって!)シャー
律子「きゃっ! 冷たっ」
律子(いきなり冷水になった……びっくりした)
律子(……)
律子(メガネかけてない私は、プロデューサーは受け入れてくれるのかしら)
律子(まあ、メガネは体の一部だから、お風呂ももちろんかけてるけどね)
・ ・ ・
チャプンッ
律子「……ふぅ」
律子(気持ち良いわねぇ)
律子(このメガネが曇る感じ、たまらないわ)
律子「んー……」
P「湯加減どうだ?」
律子「はへ!? ぷぷ、プロデューサー!?」
P「パジャマ置いていくから、これ使ってくれ」
律子「は、はい……」
律子(いきなり声かけてこないでよ、びっくりしたじゃない!)モジモジ
律子「湯加減、良いくらいです。ちょっと熱いけど」
P「ごめんな、俺熱い風呂好きだから」
律子「いえいえ!」
律子(それに、普段より熱く感じるのは)
律子(多分、お湯のせいだけじゃない)
P「じゃあ、ごゆっくり」
律子「はい」
トプンッ
律子「ぷはっ」
律子(うわぁぁぁぁ……ドキドキした)
律子(わ、私ちゃんとカゴどかしてたわよね?)
律子「うう、不安……」
律子(ちょっとだけ、カゴの確認だけしようかしら)
ガチャ
律子「……あっ」
律子(置いといてって言われた場所に、置くの忘れてた……)
・ ・ ・
律子「良いお湯だったわぁ」
律子「……下着は、つけなくていいかな」
律子「パジャマっと……」
律子(あっ、薄緑色……)
律子(もう、プロデューサーったら)
律子「んっ、でもやっぱり大きいわね……」
律子「……」
律子(袖とかダボダボだわ……)
・ ・ ・
律子「良いお湯でした。ありがとうございます」
P「おう、そりゃよかった……。うおおお!」
律子「は、はい!?」
P「……り、律子……パジャマ……」
律子「は、はい……やっぱりダボついちゃいました」
P「か、かか……可愛すぎる!」
律子「す、ストレートに言わないでくださいよぉ!!」
P「いやあ、なんかいつもタイトな服着てるからさ」
P「ギャップ萌えというかなんというか」
律子「も、萌え?」
P「そ、そうだ。晩ご飯まだだったろ?」
律子「あ、そういえば」
P「軽いものなら用意できるけど?」
律子「あ、いえ、大丈夫ですよ。お腹そんなに空いてませんから」
クゥ~
律子「……あっ」カァァ
P「……用意するよ」
P「律子はお腹の音も可愛いなぁ」
律子「からかわないでください!」
P「ははっ」
律子「……私に手伝えることあります?」
P「ああ、大丈夫だよ」
律子「いえ、こちらも泊めてもらう立場なんで」
P「そうか? じゃあちょっと頼もうかな」
律子「エプロンどこですか?」
P「あそこ」
律子「はーい」
律子「これはまた、可愛らしいエプロンですね」
P「母さんのもらってきたからな」
律子「なるほど」シュルンッ
P「……うおお」
律子「な、なんですかその目?」
P「か、可愛い……ダボダボなパジャマにエプロン」
律子「! またそんなこと言ってぇ!」
律子「もう……そうやってよそ見してると」
P「ぎゃあああ指切ったあぁぁぁぁぁ」
律子「もう、だから言ったじゃないですか。絆創膏どこですか?」
P「あ、あそこ……でも大丈夫だよ、ちょっと血が出てきただけだから」
律子「いや、もう血まみれな気がするんですけど……」
P「い、いてえ……」
律子「もう、ちゃんと消毒もしないといけないんですから」
P「うう……ごめんな律子」
律子「いいですよ、慣れてますから」
律子「亜美とか真美、結構生傷多いんですよね」
律子「真に響、あと雪歩も指を切ったりとか多いわね」
律子「逆に春香は転けても怪我はしなかったり」
律子「千早も、ああ見えて頭ぶつけたりよくするし」
律子「そうなったら応急手当は私がやってるんですから」
P「……律子、みんなのことよくわかってるなぁ」
律子「うっ、これくらい、プロデューサーとして当たり前です」
P「あ、当たり前か……」
律子「プロデューサーのことだって、わかってるつもりですよ?」
律子「私より早く事務所に来ない、焦るとすぐに決断できない」
律子「空気が読めないし、すこしスケベだし、突拍子もないこと思いついたり……」
P「ううっ、グサッと来るな……」
律子「でも、そこがプロデューサーの良さだったりもしますから」
律子「気を落とさないでください」
P「……うんっ」
律子「まずは指の血ですね。はむっ」
P「!?」
律子「……よし、これで血は止まりました」
P「え……い、今……律子?」
律子「はい? ……ああああっ!!!」ボーン
P「ゆ、指くわえ……」
律子「ちちちち、違うんです! これ、いつも765プロの子達にしてて、それで……」
律子「あああああああごめんなさいごめんなさい!!!」カァァァ
P「……ば、絆創膏」
律子「こ、これです……」
P「……律子、そんなに……」
律子「いつものノリで……本当にごめんなさい……」
P「いや、全然、気にしてないよ」
P(むしろ嬉しかったとはいえない)
律子「……うぅぅ、本当にごめんなさい……はぁぁ……」
P「律子、さっきからごめんなさいしか言ってないぞ……」
律子「ごめんなさい……」
P「でも、律子もそんなことするんだな」
P「血とか触れるのも嫌なイメージだけど」
律子「私、そんなにおかたいイメージですか?」
P「かたいって感じではないけど、ちょっと潔癖な感じがあるのかなって」
律子「私、結構普通ですよ。ずさんなところはずさんですし」
P「ああ、だからボタンかけ違うのか」
律子「そ、それはボーっとしてて!」
P「お、いつもの律子に戻った」
律子「あっ……もうっ、なんですかいつもの律子って」
P「うん、ありがとう律子」
律子「絆創膏しかしてませんけどね」
P「血止めてくれただろ」
律子「もー忘れてくださいー!!」
P「いやあ、一生の記念になったなぁ」
律子「うわーーーーん!」
P「さて、じゃあ気を取り直して」
律子「あっ、ダメですよプロデューサー。怪我人はあそこで座っててください」
律子「私がちょちょいと作っちゃいますから」
P「そうか?」
律子「まかせてくださいっ」
P「……」
トントントン
律子「……」
P「律子」
律子「……はい?」
P「なんかさ」
律子「小皿どこですか? 味見したいんですけど。あ、あった」
P「夫婦みたいだな」
パリーン
P「うおっ!?」
律子「……」ボーン
律子「な、な、な……何言ってるんですかぁぁぁ!!!」
律子「そ、そんなわけ、そんなわけ……!」
P「うわあいいから、怪我してないか?」
律子「あっ、お皿……ごめんなさい!」
P「いいから、とりあえずそこから離れて」
律子「は、はい……」
P「ごめんごめん、変なこと言ったな、謝るよ」
サッサ
P「ふう、これで大丈夫かな?」
律子「ごめんなさい……」
P「いやいや、俺も悪かったよ」
律子「……あの、私……」
P「ん?」
律子「別に、嫌だったわけじゃ、ないですから」
P「え?」
律子「夫婦……とか、全然……嫌じゃ、ないです」
P「! 律子、火!」
律子「あっ! きゃあああっ」
P「っとと。これで大丈夫」
律子「ごめんなさいぃ」
P「ははっ、自分の家じゃないから勝手がわからないよな」
律子「プロデューサーのフォローが逆に傷つきます……」
P「ま、まあまあ! そんなに落ち込むなって!」
P「仕事場ではしっかり者が、こんなに慌てるのって、なんか貴重かもな」
律子「どんどん私のイメージが壊れていきそうですね」
P「いや、良い方に作り直されてるよ。まあ、前から良いイメージなんだけど」
律子「……て、照れますから」
P「ここ最近、素直になったよな、律子」
律子「そ、そうですか?」
P「うん」
律子「プロデューサーが素直だから、素直な反応になるだけですよ」
P「あ、俺のせい」
律子「そうですよ」
律子「……はいっ、できました」
P「おー」
律子「……これ、軽くないですね」
P「ああ……結構時間かかったしな」
律子「材料があったからつい……」
律子「プロデューサー嫌いですか、肉じゃが」
P「いいや、むしろ好物」
律子「よかった」ホッ
P「なんか肉じゃがってさ」
律子「はい?」
P「いや、なんでもない」
律子「ええっ、ちょっとぉなんですか?」
P「……んっ、美味い」
律子「肉じゃがって家庭で味違いますから、お口に合って良かったです」
P「そうだな。すげー美味いよ」
律子「じゃあ私も……あ、お箸は」
P「すまん、いつものクセで一膳しかもってこなかった」
律子「はぁ……じゃあ貸してください、お箸」
P「えっ、いいのか?」
律子「な、なんでもないです」カァァ
律子(危ない危ない……間接とか刺激が強すぎる)
P「律子、料理も上手いんだな」
律子「人並みにできるだけです。上手いなんて……」
P「いや、俺から見れば立派だよ。尊敬する」
律子「ふふっ、そう言われるとやっぱり嬉しいですね」
P「ああ、毎日弁当作って欲しいくらいだ」
律子「へっ!?」
P「はは、例え話だよ。それくらい美味いってこと」
律子「そ、そうですが……」
P「じゃがいも、柔らかくて美味しい!」
律子「……あっ、ちょっと自信あったんで嬉しいです」
P「すごいなぁ、こんなに美味しいじゃがいもが食べれるなんて」
律子「ほ、誉めすぎです……」
P「誉めすぎても足りないくらいだよ律子!」
律子「……あ、ありがとうございます」モジモジ
P「あー美味しかった」
律子「お粗末様です」
P「ああ、いいよそこに置いといてくれれば」
律子「あ、はい」
P「律子に何か食べようと思って作ろうとしたら、逆に作られて食べさせてもらっちゃったな」
律子「私も食べましたから、気にしなくてもいいですよ」
P「そういえば、親御さんは?」
律子「大丈夫です。この時期はあんまり家に帰らずに事務所に籠ってたりもあるので」
P「そ、そうか」
律子「……へ、変なことしませんよね……?」
P ドキッ
P(逆にそんなこと言われると、ドキドキするなぁ)
P「しないよ。雨降って仕方なく、なんだからさ」
律子「はい、私だって仕方なくですからね!」
P「そうそう」
律子「でも、プロデューサーの家って、私の家より事務所に近いですね」
P「まあ、そうだな」
律子「ちょっと羨ましいかな」
P「はは、だったらこれから俺ん家から通うか?」
律子「……」ボンッ
P「?」
律子(そ、それって、同棲じゃない……!?)
律子「ははは、遠慮しときます。狭いし」
P「うっ、確かに。二人で住むにはちょっと狭いな」
律子(……冗談風に言ったことなのに凄く真剣に考えてる!?)
P「あ、そうだ。さっき結局オーディションの話終わってなかったな」
律子「あ、そういえば」
P「ちょっくらその話して、寝るか」
律子「はい、わかりました」
律子(『寝るか』……って、何考えてんの私はっ!)
・ ・ ・
律子「……なるほど」
P「わかってくれたか?」
律子「はい、すっごくわかりやすいです! あとはもうすこし無駄なところを省いて話せるようにしてくれれば完璧です」
P「う……これからは努力する」
律子「でもま……今回はいいです」
律子(プロデューサーの話が長かったおかげで、私、今ここにいるんだから……)
P「……律子って、化粧してるのか?」
律子「え? 仕事柄やっとかないといけないので、薄~くですけど」
律子(高校生の時、すっごい濃い子もいてビックリしたなぁ)
P「すっぴんもあんまり変わらないんだな。綺麗というか、なんというか。ナチュラルメイクってやつか」
律子(き、綺麗……)
律子「あ、ありがとうございます」
P「んー……あっ、もうこんな時間か」
律子「明日もありますから、もうそろそろ寝たいです」
P「そうだな。えーっと、それじゃあ」
律子「はい」
P「俺のベッドで寝る?」
律子「……」
俺のベッドで寝る
↓
ベッドは一つ
↓
二人で
律子「え、ええええええ!?」ボンッ
P「俺ん家ベッド一つしかないから」
律子「で、でもでも……」
P「布団とか無くてさ」
律子「だ、だからって……」
P「俺は床で寝ようと思ってたんだけど」
律子「へ?」
P「え?」
律子(……れ、冷静になりなさい律子。ちゃんと考えたら当たり前じゃない)
律子(何を期待してたの秋月律子! ……き、期待なんてしてなかったけど!)
律子「私は床で大丈夫ですよ。事務所のソファとかでも寝てますし」
P「いやいや、律子はこれからオーディションのために頑張るんだから」
P「床で寝て、調子悪くしたら大変だろ?」
律子「そ、そうですけどぉ……」
P「なっ? 俺のベッドがどうしても嫌なら、それ以上は言わないけど」
律子(……)
律子(嫌って言うか……)
律子(ドキドキして眠れないかもしれないから……)
P「……律子?」
律子「わ、わかりました。でも……」
P「でも?」
律子「プロデューサーも、一緒にベッドで寝ましょう」
P「えっ」
律子「」
律子(え、今私なんて言った!?)
律子(……一緒に寝ましょうって……言っちゃった!?)
律子(なんてこと言ってんのよ私ーーーーーー!?)
P「そ、それはまずいんじゃないか?」
P「一人用だから、二人は狭いし……」
律子「あ……うっ……えっと……」ドキドキ
律子「プロデューサーも、私と一緒に……オーディションに挑むんですから」
律子「床で寝たら……調子、崩しちゃうでしょう?」
P「お、俺は大丈夫だよ」
律子「そんなの、わからないじゃないですか!」
律子「最近は冷えますし、風邪でも引いたら……」
律子「私のこと、誰がプロデュースするんですか!?」
P「……」
律子(うわあああああ……私、何も考えずにペラペラと……)
律子(これで断られたら……立ち直れないかもしれない……)
P「はは、俺は床で寝るよ」
律子「!」
P「律子、相当深刻な顔してるし、無理はしなくていいよ」
律子「……」
P「じゃあ、ちょっと待っててくれ」
律子「待ってっ!」
ギュッ
P「……律子?」
律子(と、とっさに服掴んじゃった……)
律子「あ、あの……」
P「……」
律子(何も考えてない……でも、何か……何か、捻り出すのよ!)
律子「……だ、ダーリンっ」
P「?」
律子「……りつこ、ダーリンと一緒に寝たいな?」
P ズギューーーン!!!
P「ああ、寝よう!」
律子「は、はい!」
律子(まさかここで美希のレッスン役に立つとはね……)
P「じゃあ、着替えてくるから、待っててくれ」
律子「は、はい……」
律子(……うー、何この気持ち!?)
律子(自分で言って、なんかすっごく後悔してる……)
律子(い、言うんじゃなかった……)
律子(心臓が破裂しちゃいそうっ)
律子(は、早くプロデューサー来てくれないと……)
律子(ワクワクして……心臓が……ううぅ)
・ ・ ・
P「おまたせ」
律子「……あ、あんまり変わってない?」
P「ああ、俺いつもこんな感じなんだ」
律子「まさか、そのまま仕事場に来てるんじゃないですよね?」
P「ぎくっ」
律子「はぁ……」
P「じゃあ、とりあえず寝ようか?」
律子「! ……は、はい……」
P「……えーっと」
律子「……」
P「さ、先どうぞ」
律子「いえ、プロデューサーからどうぞ」
P「いやいや、レディーファースト」
律子「じゃ、じゃあ……」
律子「し、失礼します」
P「は、はい……」
律子(なんでベッドに乗るだけでこんなにドキドキしてるのよ!?)
律子「……ね、寝ました」
P「じゃ、じゃあ次は……」
律子「は、はい……」ドキドキ
ギシッ
律子(ぷ、プロデューサーが……隣に……)
P「……うぉっと!?」ズルッ
律子「きゃっ!」
P「……ごご、ごめん!」
律子(お、押し倒されたみたいな感じにーーーーー!!!)
P「……大丈夫か」
律子「は、はい……」
P「……」
律子「……プロデューサー?」
P(……な、なんなんだ!?)
P(律子の唇って、こんなに……)
P(こ、こんなにプルッとしてたのか!?)
律子「……?」
律子(あああ、早くこの体勢やめてーー! ドキドキしすぎて死にそうっ!!)
P「えーっと……律子」
律子「は、はひっ!?」
P「……ちょっと、目を閉じてもらえるか」
律子「えっ……」
P「……」
律子(ううっ、そんな目で見つめないでくださいよぉ……)
律子「わ、わかりました……」
P「……」
律子(ま、まさか、キス……!?)
律子(こ、心の準備がぁ……)
P「……おやすみ」
律子「えっ」
P「ははは」
律子「ちょ、ちょっとプロデューサー?」
P「ごめん、ごめん」
P「なんか、まだ今じゃないかなって」
律子「……」
P「告白の返事まだちゃんともらってないから」
律子「うっ……悪かったわねぇ」
律子(一気に冷めちゃったじゃない)
律子「って、何が今じゃないんですか?」
P「うっ……そ、それは、色々と」
律子「い、色々ってなんですか!」
P「まあまあ、いいじゃないか」
律子「もう、こういうことはいっつも秘密なんですから」
P(恥ずかしくて言えないよ……)
律子(言われてたら、顔真っ赤になるから、助かった……)
P「……そういえば、オーディションってクリスマスだよな」
律子「えっ……は、はい」
P「……頑張ろう」ギュッ
律子「!」
P「……」
律子「い、いきなり手を握る人がいますか……もうっ」
P「ごめんごめん」
律子「……はいっ、絶対に受かってみせます」
そして、二人の夜は静かな寝息とともに幕をおろした。
一緒に事務所に来たことを怪しまれるが、もうそんなことはどうでもいい。
二人にはクリスマスにあるオーディションのことしか頭にはないのだ。
・ ・ ・
真「ここでバク宙!」
響「よっ!」
律子「できるかー!」
・ ・ ・
千早「それじゃあ、今からオク上で歌いましょう」
律子「千早、私の音域を考えて……」
・ ・ ・
美希「クルッと回って、なの☆!」
律子「クルッと回ってメガネをくいっ!」
P(可愛い……)
そして、当日を迎えた。
律子「……ん、メールだ」
『一緒に行く予定だったけど、どうしても行けなくなった。すまん!』
律子「ええっ! 一緒に行って、緊張ほぐすって言ってくれてたのに……」
律子「もうっ、ドタキャンなんて仕事じゃありえないでしょ!」
律子「……しょうがない、行きますか」
律子「……」
律子(大丈夫大丈夫。きっと、ね)
・ ・ ・
律子「うわぁ……なんてたくさんの人!?」
律子(そういえば、公開オーディションって言ってたわね……)
律子(審査員だけじゃなくて、一般の人達がたくさん……)
律子(あ、でもメガネかけた人多いわね)
律子(真のメガネアイドルを決めるオーディション……)
律子(合格、してみせる!)
律子「それにしても、遅いわね、プロデューサー……」
・ ・ ・
律子「うわー、たくさんいるわねぇ……」
「いたぞ、秋月律子だ!」
律子「へ?」
「どうも、秋月律子ちゃん! 私アイドル雑誌の記者やってまして……」
律子「あ、ど、どうも」
「今回、真のメガネアイドルを決めるオーディションってわけで、もしかしたら引退したあの秋月律子が参加するんじゃないかって噂になっててね」
律子「え、そうなんですか!?」
律子(最近雑誌もろくに読んでなかったから、迂闊だったわ……)
「事務所に問い合わせてみたら絶賛レッスン中って言っててね」
律子「!」
律子(むう、小鳥さんめぇ……)
・ ・ ・
小鳥「くしゅんっ……か、風邪かしら?」
律子「は、はい。このオーディションのために頑張りました」
「そっか。でも、上条春奈ちゃん筆頭に、最近のメガネアイドルってたくさんいるでしょう?」
「相川千夏、浅野風香、池袋晶葉……」
「北川真尋、そんでもって新人の土屋亜子……」
「脱メガネしちゃったアイドル達もたくさんいるけど、それでもやっぱりたくさんいるしねぇ」
律子「……そうですね。確かに、増えたかもしれないです」
律子「でも、私は負けるためにオーディションに来たわけじゃありませんから」
「おー、やっぱり元祖メガネアイドルは違うね! 期待してますよ!」
律子「はい。あっ、よろしければ名刺交換を……」
「ああ、しっかりしてるね」
律子「い、一応本職はプロデューサーなので……えへへ」
?「秋月律子……さん?」
律子「ん……あら、あなたは上条春菜!」
春菜「うわあああ本物です! 握手してください!」
律子「あ、はい」
春菜「私、秋月さんに憧れてて……メガネって素敵だなって思えたんです」
律子「あ、ありがとう。確かに、あなたのメガネに対する愛はたくさんの雑誌で見ているわ」
春菜「ええっ、チェックしていただいてるんですか! う、嬉しいです! はわわっ……」
律子「あ、それは今日の衣装? いつも通り猫が入ってるわね」
春菜「私の好きなものまで! うう、嬉しすぎる!」
律子「今日は一日しかない、メガネアイドルの祭典よ。正々堂々、戦いましょうね」
春菜「はい!」
・ ・ ・
律子(プロデューサーまだかしら……)
律子「ううっ、一人だと心細いじゃない!」
春香「りっつこさん♪」
律子「! は、春香!? それに、みんなも……」
真「律子、応援に来たよ! 頑張ってね!」
伊織「私たちのプロデュースせずに頑張ったんだから絶対に一位になりなさいよ!」
雪歩「わ、私、律子さんなら一位取れると思います、絶対絶対にですぅ!」
あずさ「律子さんの全身全霊のパフォーマンス、見せてください~!」
響「律子ならできるぞー! 自分にとってメガネと言えば律子だからなー!」
貴音「あなたの瞳に映る本当の姿以上に、メガネに映る瞳は輝いています……どうか一位をおとりになってください」
美希「律子、さんなら簡単に一位取れちゃうの! こんな感じに~なのっ☆」
亜美「亜美達も応援めちゃ頑張るよ→☆」
真美「ヲタ芸しちゃおっかな→? 迷惑だからやんないけどね~」
千早「歌は、前以上にきっともっとみんなに届くはずです。頑張ってください」
やよい「うっうー! 律子さん、ファイトですー!」
律子「みんな……ありがとう! でもいきなり全員で押しかけたら迷惑でしょー! てっしゅー!」
春香「えへへ、それじゃあがんばってくださいね!」
ガンバッテネー ファイト- メンヨウナッ! ゼッタイイチイデスゥ!
律子「ったく、あの子達ったら……」
律子(絶対に、受かってやる。なにがなんでも)
律子「……それにしても」
律子(プロデューサー、まだ来ないのー?)
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