<一人暮らしの質素なマンションに、小鳥が一人>
小鳥「ふ…ふざけないで…」
小鳥「ふざけないでよっ!!!」ガンッ
小鳥「どうして…どうしてこんな…」
小鳥「私はどうすればいいの…!?」
小鳥「TVアンテナの故障って、どういうことよーーー!!!」
くぅ~生きる事に疲れましたw これにて人生完結です!
実は、両親が誤ってって中だししてしまったのが始まりでした
本当は生まれるはずじゃなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのキモニートで挑んでみた所存ですw
以下、僕の家族のみんなへのメッセージをどぞ
母「みんな、今までこの子と友達でいてくれてありがとう
ちょっとオタクなところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
姉「いやーありがと!
>>1のキモさは二十分に伝わったかな?」
妹「こんなのがお兄ちゃんなんてちょっと恥ずかしいわね・・・」
父「こんな奴と遊んでくれてありがとな!
正直、夕飯時に言った私の早く死ねって気持ちは本当だよ!」
ポチ「・・・ワン」フリフリ
では、
父、母、姉、妹、ポチ、俺「皆さんありがとうございました!」
終
父、母、姉、妹、ポチ「って、まだ死んでなかったの!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
小鳥「ええ、わかっていたわ、わかっていたわよ」
小鳥「正直、明日のテレビ番組は厳しいって…」
小鳥「だから、せめて明日は、明日ぐらいはDVDでやり過ごせるようにたくさんレンタルしてきた」
小鳥「明日は何の日か失念したけど」
小鳥「独身女が外を出歩いてはいけないという危険信号は感じているのよ」
小鳥「いえ…いいわ。それはいい。今言えることは…」
小鳥「さんま&SMAPのスペシャルが見れないってことが、一大事なのよ!!!」
小鳥「そもそも、今見ていた平清盛の最終回よ!」
小鳥「正直、今年の大河の視聴率が低いって悪い評判だったけど」
小鳥「正直私は好きでした」
小鳥「なんというか、ここ最近は大河がトレンディードラマっぽかったのが気になってたのよね」
小鳥「今年はそんな感じがなくて、久しぶりに大河らしい大河って思ってたのよ」
小鳥「その最終回の大事な時に…ブチッと切られた私の気持ちが!!」
小鳥「わからいでか!!!」ガンッ
小鳥(それにしても…)
小鳥(主人公である清盛が早々に死んじゃったわね…)
小鳥(清盛が家臣や兄弟たちに一言ずつ言伝をするシーンにはウルっときたわ)
小鳥「でも…でもっ!!!」
小鳥「そのあとのみんなバッタバッタと死んでいって」
小鳥「バッドエナジー真っ盛りのタイミングで切ることないでしょう!?」
小鳥「なになに、どういうこと!?プリキュアが来てくれるの?今私はバッドエナジーで満たされているわよ!」
小鳥「はぁ」
小鳥(まあいいわ。大河は土曜日に再放送やってくれるもの。)
小鳥(でも、さんま&SMAPは、再放送してくれない)
小鳥「したとしても!再来年の正月空けて微妙な位置の再放送だわ!そんなの、最悪よ!!」
小鳥「でも、そこでおとなしく引き下がる小鳥じゃないわよ…」
小鳥「問い合わせたわよ、ええ当然お問い合わせよ!」
小鳥「TVが見えてないのはわかっているわ。過去は振り返らない。大事なのは未来よ!」
小鳥「それなのになぜ…なぜ……!」
小鳥「『復旧見込みはつきません』ってなによー!!」バキドカッ
小鳥「うぅ……」
小鳥「毎年欠かさず、見ていたのに…。クリスマスの唯一の楽しみ……」
小鳥(小鳥は、毎年欠かさず。この時期は暇でした)
小鳥(問題は、今、どうするか、ね)
小鳥(借りてきたDVDは5枚。明日、ゆっくり一人で見ようと思ってた)
ゴソゴソ
小鳥(アベンジャーズ、ダークナイトライジング…アメコミ映画が最近流行りね。ついつい借りちゃったわ)
小鳥(邦画も忘れてないわよ?三丁目の夕日、テルマエロマエ、宇宙兄弟)
小鳥(『見たいみたい思ってて結局見れなかったよ~映画』2012年小鳥'sセレクション)
小鳥(これを今見たら、明日はやることなくて、もっとさみしい思いを…)
小鳥(じゃあ、今日はどうやって時間をつぶす…?)
小鳥(おとなしく寝ようかしら…それが一番得策な…)
小鳥「う、うぅ、ダメだわ…っ!」
小鳥「今日はお昼寝しすぎて…全然眠くない…!」
小鳥「今日はカルピスサワー(500ml缶)とお徳用おつまみで、さんま&SMAPを観て過ごすという」
小鳥「優雅な大人の夜を愉しもうと思っていたのに…」
小鳥「はぁ……」
小鳥「………」
小鳥「………」
(キャッキャウフフ…)
小鳥(防音がしっかりしたマンションだけど)
小鳥(さすがに無音だとお隣さん?からの声が聞こえるわね…)
小鳥(談笑ならまだマシだわ…明日は何かが軋むような振動音かもしれないわ)
小鳥「だから、明日のDVDは、サラウンドヘッドホンで見るのです」
小鳥「あの未来に生きてる感じのヘッドマウントディスプレイが欲しいわね」
小鳥「『俺、この戦いが終わったら、ヘッドマウントディスプレイ買うんだ…』」
小鳥「映画館で見てるような没入感に浸れるんだろうなぁ」
小鳥「なんといっても3Dだしね3D!」
小鳥「…レンタルのDVDまで3Dになるのかどうかはわからないけど」
小鳥「どーせ見るのは私ひとりだけだし…ひとり……」
小鳥「うぅ…ぐすっ…」
小鳥(ダメだわ、テレビもなしにこんな孤独空間にいては)
小鳥(心がどんどん腐っていくわ)
小鳥(あ)
小鳥(心がどんどん萎れていくわ…)
小鳥「そう!心の花が!」
小鳥「……」
小鳥「……」
小鳥(なんというか、言葉のチョイス一つとっても、今の私って荒んでいることわかるわ…)
小鳥(そういえば)
小鳥(心の花がなんとかっていうプリキュアって、去年だったかしら)
小鳥(…とりあえず、心が清らかになるようなDVDを追加で借りてこよう)
小鳥(心が清らかになるってどんなのかしら。清らか…キュア…)
小鳥(プリキュア?)
小鳥(はぁ…。私ってどこで道を誤ったせいでプリキュアになれなかったのかしら)
<生着替え中>
小鳥(化粧どうしようかしら)
小鳥(ちょっとそこのツタヤに行くだけだし、別にいいかと思うけど)
小鳥(すっぴんで出るほどまだ女は捨ててないわよ…)
小鳥(でも軽くでいいや)
小鳥「うおっ!昼寝して放置してたせいでひどい顔!」
小鳥(鏡見ておいてよかった……)
小鳥「寒っ!!」
小鳥(今年はとみに寒いわね…)
小鳥「はぁ…。」
<徒歩5分、最寄りのツタヤ>
小鳥(…思ったより、人はいないわね。)
小鳥(この時間なら、まあ当然か)
小鳥(さてと。何を借りようかな…)
小鳥「……」
小鳥「……」
小鳥(しまったわ……)
小鳥(思い立ったDVDが、片っ端からレンタル中になっている…!)
小鳥(どういうことなの?みんなクリスマスなのに予定無いの!?)
小鳥(それともあれね、恋人同士がキャッキャウフフしながら、自宅で鑑賞して)
小鳥(いいムードの恋愛映画とか見ながら、そのままその勢いでってこと…破廉恥な!)
小鳥(でも、恋愛映画に限らず、どれもレンタル中か)
小鳥(ドラマなんて、まず1話はないし、歯抜けの状態だわ)
小鳥(旧作から探すかな、懐かしいの探せば見つかるでしょ)
小鳥(とりあえず目についたのは、相棒劇場版2、ベストキッド、シャーロックホームズ…このあたりかな)
小鳥(旧作が80円とか、お財布に優しい良い時代ね)
小鳥「…あれ?」
小鳥(アルマゲドン2012…?アルマゲドンは知ってるけど、続編出てたんだ。じゃこれも)
?「小鳥さん?」
小鳥「ピヨッ!?」
P「やっぱり小鳥さんだ。こんばんわ」
小鳥「ぷ、ププププロデューサーさん!?どうしてここに!?」
小鳥(っていうか、私、こんな油断した格好に軽い化粧…!こんな姿見られたくなかった…!)
P「会社の帰りです。今日は事務所には寄らない予定だったんですが」
P「先方から書類受取っちゃったんで、持って帰るのもあれかなと。」
小鳥「へ、へぇ~…」
P「って、そんなつもりで訊いたんじゃないですよね?なんで俺がここにいるかって…」
小鳥(ま、まさか、まさかまさか…私に会うために…!?)
P「どうせ明日休みだし、なんか適当に借りようと思って寄ったんです。」
P「ここ、会社から近いですし、朝ちょっと遠回りすれば通勤途中で返却できますしね」
小鳥「あ、そ、そうなんですか…あはは…」
小鳥(自惚れも甚だしかったか)
P「でも、やっぱり連休中だから厳しいですね。ほとんどレンタル中」
小鳥「何か、見たいものあったんですか?」
P「んー、これといって決めてたわけじゃないんですけど…」
P「あ、これ。テルマエロマエ。気になってたんですよね。面白いって評判じゃないですか」
小鳥「あー、これは人気だから、仕方ないですね…」
小鳥(ん?)
小鳥(テルマエロマエは2012年小鳥'sセレクションに含まれていたような…?)
小鳥(う~~ん、イマイチ自信ない…っていうか…)
小鳥(最近プロデューサーさんの前だと、妙に緊張するな…)
P「小鳥さんは何を借りたんですか?」
小鳥「て、適当に見つけたものをちらほらと…」
P「へえー、見せてもらっていいです?」
小鳥「…っ!」
小鳥(ち、近い!近いよプロデューサーさんっ!)
P「ああ、ベストキッド!これ、ジャッキーチェンのほうですね。」
P「俺、昔のほうは知ってるんですよ。こっちはまだ見てないなぁ」
小鳥「そ、そうなんですか!あはは…」
小鳥(近い近い近い近い近い近い近い)
P「小鳥さんのチョイスって意外と渋いですね」
P「もっと恋愛ものとか好きかと思ってましたけど」
小鳥「そ、そうね…今日はそんな気分だったので」
小鳥(こんな時期に恋愛ものとか自殺行為よ)
P「う~ん、ベストキッドも小鳥さんので最後か。こりゃ、おとなしく今日は帰るしかないかな」
小鳥「……え」
P「それじゃ、俺帰りますね。小鳥さんも、夜遅いんで、気を付けて」
小鳥「………」
P「今週で、もう今年も仕事納めですしね。気合入れて頑張りましょう!」
小鳥「………」
P「小鳥さん…?」
P「すいません…なんか、プライベートだったのに、お邪魔でしたよね…」
P「じゃ、じゃあ、これで!小鳥さんおやすみなさい!」
小鳥「………」
『ありがとーございましたー』
小鳥「………」
小鳥「…馬鹿。」
小鳥(プロデューサーさんの…馬鹿。)
小鳥(私も…馬鹿)
『ご返却は来週日曜日の午前10時までとなりまーす、ありがとーございましたー』
小鳥(はぁ…。なんか、テンション下がっちゃった)
小鳥(お酒…多めにしよう…)
ヴヴヴ…
小鳥(電話?)
小鳥(まさか、プロデューサーさん!?)
小鳥「も、もしもし!?」
小鳥「………」
小鳥「………」
小鳥「も、もういいです…。…。」
小鳥「もういいですってば!!!」
小鳥「うっ…う…」
小鳥(『アンテナ復旧が明日』とか、そんなのどうでもいい…)
小鳥(なんで今日に限って、こんな…)
P「こ、小鳥さん…?」
P「なんか小鳥さんの大声が聞こえた気がしたんですけど…どうしました!?」
小鳥「う…プロデューサーさん…」
P「小鳥さん…泣いて…?」
小鳥「ぷろでゅーさーさんっ!!」
P「こ、小鳥さん一体…!?」
小鳥「うっ、ぐすっ…うえええ~~~ん」
P(どうしちゃったものか…)
<まさかの小鳥、プロデューサーを持ち帰り成功!>
P「あの、落ち着きました?」
小鳥「ぐすっ…はい…」
P「いきなり泣き出すからびっくりしちゃいましたよ…」
小鳥「すいません、なんかちょっと嫌なことが重なっちゃって」
P「……。あの」
P「差し出がましいと思いますけど、もし何かあるんだったら、俺でよければ相談に乗りますよ」
小鳥「プロデューサーさんが…?」
P「ええ。」
小鳥「それは…ダメです。プロデューサーさんには…」
P「…そ、そうですか。すいません深入りして」
小鳥「……。」
P「……。」
P「でも…でも俺」
P「小鳥さんの力になれるんだったら、いつでも助けますから」
P「だから、なんでも、頼ってください。」
小鳥「プロデューサーさん…。」
小鳥「プロデューサーさんは、酷いですね」
P「え?」
小鳥「そういう優しさ、辛い時だって、あるんです…」
小鳥「ごめんなさい、酷いこと言っているってわかっているんですけど…うっ…」
P「小鳥さん…」
小鳥「なんでも、っていうのは無責任ですよ」
小鳥「なんでもっていって、できなかったら、どうするんですか」
小鳥「助かると思って、助けられなかったら…どうするんですか」
P「できないなんて、ないですよ」
P「確かに、出来ないこともたくさんあります。俺一人の力じゃできないことなんて、たくさんある」
P「でも、【何もできないこと】だってないんです。何かできるんです。」
P「些細なこと、気休めなことかもしれない。でも何もしないよりは、何かするんです」
P「何かすることで、別の方法から見つかる何かもある。最善じゃなくても、今より、良くなる方法」
P「そういう意味では、俺はなんでもやりますよ。助けますよ。小鳥さんなら。」
P「って、ちょっとカッコよすぎですかね…ガラになく。あはは…」
小鳥「プロデューサー…さん…」
小鳥「……。今、テレビのアンテナが壊れてるらしくて、映像映らないんです」
P「テレビ?」
カチカチッ
P「ホントだ。信号が無い。テレビ本体は問題なさそうですが…」
小鳥「今、さんま&SMAPの特番やってるんですよ。でも、見れなくて」
小鳥「毎年欠かさず見てるのに、今年だけ見れなくって。」
小鳥「例えば、そんなこと言われたって、プロデューサーさんはどうしようもないですよね?」
小鳥「過ぎた時間は取り戻せない。そんなこと相談されたら、どうします…?」
P「え?なんとかなりますよ?録画したDVD渡しますか?」
小鳥「え」
P「あーその、なんといえばいいか…」
P「俺のテレビ、1日だけなら全部のテレビ局の全部の番組、録画してるんですよ」
P「タイムシフトといって…」
P「今やってる放送だったら、明日中にデータ保存すれば見られるようになりますよ」
P「だから、火曜日にDVDに焼いてお持ちしますけど…」
P「って、そういう話じゃないですよね。すいません、真剣な話してるのに」
小鳥「それぜひお願いしますっていうか絶対持ってきてください好きですなんか全部解決しました」
P「小鳥さん…こないだみたいに潰れないでくださいね?」
小鳥「さーて、どうしよっかなー」
P「しかしなんというか…宅飲みなんて久しぶりです。」
小鳥「私もです!はい、かんぱーーい!」
P「か、かんぱい…」
小鳥「ぷはー、なんか悩みひとつ解決したらすっきりしちゃった」
P「は、はあ…」
小鳥「しっかし、プロデューサーさんすごいテレビ持ってるんですね。」
小鳥「その日の全部の番組を録画するテレビなんて…未来に生きてるわ」
P「中古でしたけどね。安く売ってたんですよ。」
P「それに、アイドルの皆もずいぶんテレビに出てきたし、出来るだけ活躍を見ておきたいなって…」
P「全部見れるわけじゃないんですけど。そこまでやって俺の仕事だと思うわけで」
P「って」
P「ちょっと!もう飲んじゃったんですか!?それ500mlじゃないですか!」
P「俺話している間に…どんだけ暴飲なんですか!」
小鳥「いやー、ついつい…気分があがっちゃって」
P(……今日もだめかもしれない)
小鳥「せっかくだし、この開かずのワインでも開けちゃおうかな♪」
P「ええ!?いいんですか?なんかやたら高そうですけど」
小鳥「友達からもらってね。でも一人でこの量は無理でしょ?」
P「え、ええまあ…」
小鳥「いつかプロデューサーさん…と、社長とあずささんとで飲めないかなって思ってたけど」
P「でも、正直二人でもその量は厳しいですよ」
小鳥「大丈夫!私が飲む」
P「えー…」
小鳥「えーっと、コルク抜きはっと…」
小鳥「ふぬっ、ふんぬーーーっ!!あ、あかないなぁ、さすが開かずのワイン」
P「小鳥さん、貸してください」
小鳥「はぁ、はぁ…。お、お願いします…」
P「一応、飛び出すと怖いんで、キッチン借りますね」
小鳥「お、お願いします……」
P「ふんっ…!こ、これは確かに硬い…。ふんっ!」
小鳥(………)
小鳥(プロデューサーさんの背中、やっぱり好きだな…)
P「やっとあきましたよー。おお、すごいきれいなグラス!」
小鳥「これも友達から~…。これこそ、本当に使う機会ないわ」
P「あれ。でも1つしかないですね」
小鳥「どーせ使わないから、って。2つ貰ったけど1つは返しちゃった」
P「そうですか…。俺は普通のコップでいいですよ」
小鳥「だーめです!プロデューサーさんはこっち。」
P「はあ…。じゃあ、すいません頂きます」
小鳥(まさかこんな機会が来るなんて、つい1時間前の私ですら想定してないわよ…)
小鳥「はい、じゃ~乾杯!」
P「か、乾杯…」
小鳥「んぐっ、んぐっ、んん??」
P「おっ?これ結構酸味強いですね。難しいワインだな…」
P「でもかなり品がよさそ」
小鳥「ゲホッ、ゲホッ!!」
P「こ、小鳥さんっ!大丈夫です!?」
小鳥「ゲホッ、そ、想像以上に強かった…ゲホッ」
P「せ、背中叩きますよ…っていうか、ワインってそういう飲み方じゃないですからね!?」
小鳥「うぅ、ついジュース感覚で飲んじゃいました…」
小鳥「ゲホッ、は、はぁはぁ…」
P「小鳥さんは、お酒の飲み方が乱雑なんだから…」セナカ スリスリ
小鳥「も、もう大丈夫、大丈夫です。プロデューサーさん」
小鳥「あの…」
P「え?」
小鳥「あんまり背中強くさするとですね…。ちょっと中の下着が…」
P「す、すいません!痛かったですか?」
小鳥「い、痛いとかじゃなくて…ズレた」
P「え、ええええ!?」
小鳥「ちょ、ちょっと直しますんでー」
P「ほ、報告はいいですから、早く行ってくださいよ…っ」
<寝室に、小鳥>
小鳥(今にして冷静に思えば)
小鳥(プロデューサーさんが、私の部屋に)
小鳥(このままどうなっちゃうのかしら……)
小鳥(……)
小鳥(………)ジーーーー
小鳥(いかん、今の下着は全然勝負していない)
小鳥(念のために、万が一のために、転ばぬ先の杖的に、勝負しておこうかな…)
ヌギヌギ
小鳥(ま、まあ、使わなきゃ使わないで、ね…!)
小鳥「さささ、プロデューサーさん!飲みましょ!」
P「あ、はい…なんかすみません」
小鳥「もー、プロデューサーさんってすぐ謝るんですから」
小鳥「謝り癖はよくないですよ?言いがかりつけられたら大変です!」
P「あ、はい…自分でもそうは思っているんですけどね」
小鳥「私に責任取ってくれるんですか!?」バンッ
P「え?な、なにを…?」
小鳥「あ…いや…何でもないです」
小鳥(いかん、ちょっとした冗談のつもりが…)
P「小鳥さん」
小鳥「なんですかー」
P「…もう酔いが回り始めましたね?」
小鳥「あはは。そんなすぐにアルコールがまわりはしませんよ」
P(とはいえ、顔は大分赤いし、500ml缶とワイン一気飲み、但しワインは未遂、してるしなぁ)
P「ちなみに、さっき借りたDVD。見ないんですか?」
小鳥「あ、ああ…えーっと…」
小鳥「とりあえず、いいです。明日見ますし」
P「そ、そうなんですか…」
小鳥「せっかくプロデューサーさんがいることだし、いろいろ話したいと」
P「そ、そうですか…」
小鳥「具体的には、プロデューサーさんの恋愛遍歴」
P「」
小鳥「アイドルには言わないですからぁ、教えてくださいよー」
P「いや、それはちょっと…」
小鳥「あれだけのアイドルたちを信頼させる男子力…!」
小鳥「きっと女性遍歴なんてそれはそれは…っ!」
P「いや、そんなんじゃないですよ…あはは…」
小鳥「……」
P「まいったな…」
小鳥「……」
P「…小鳥さん?」
小鳥「…?いや、プロデューサーさんの語り開始待ちですが?」
P「ですが?じゃないですよっ、まったくもう!」
小鳥「じゃあじゃあ、初恋の話でもいいですよー」
P「もー、小鳥さん酔うと面倒くさいなぁ…」
小鳥「おうおう?面倒くさいとはいいがかりな」
P「いや、言いがかりじゃなくて素直にそう思うわけですが」
小鳥「いやー、いいですよね、初恋。初恋の話はいくら聞いても飽きない」
小鳥「私の目下目標は、アイドルの皆の初恋話を訊くことなのです!」
小鳥「とはいえ、素面では訊きにくい…だからみんなが成人するのを、待っているわけです」
P「お酒で自白させるという手筈か…それ、いいのかな」
小鳥「初恋話が嫌いな女子なんていません!きっとみんな好きです!」
小鳥「あーでも美希ちゃんはいいかなー。わかっちゃってるし。ガッデム」
P「でも、ウチで成人しているのって、あずささんしかいないですけど」
小鳥「あずささん!あずささんなんて恋愛道の達人ですよ!?」
小鳥「それはそれは、彼女から聞く恋の話は甘酸っぱいのなんのって…」
小鳥「もう胸がキュンキュンして、キュン死直前まで持ってかれますよ!」
小鳥「さすがの私がギブアップしそうでした!」
P(すさまじいな…)
P「じゃあ、年齢的に、次は律子ですね」
小鳥「りっちゃんかー。りっちゃんも恋愛には一家言あるみたいだけど」
小鳥「実体験としてどうなのかなぁという気がする」
P「そうなんですか?」
小鳥「りっちゃん…いえ、律子さんは完璧主義じゃないですか。自分にも、相手にも」
P「そうですね。身に染みてます」
小鳥「理想が高くなっちゃってんじゃないかなーーーって気がしてるのが、目下私の不安」
小鳥「白馬の王子様とか内心期待してたらどうしようって」
小鳥「まあ。その気持ち。わからんでもない!いる!きっといるよ白馬の王子様!」
P(小鳥さんは、なんでもありなんだな…)
P「そうですね…確かに、気になるところはありますね」
小鳥「おうおう、プロデューサーさんもやっと目覚めましたか、恋愛道!」
小鳥「プロデューサーさん的には誰の初恋が気になります?」
小鳥「私的には、伊織ちゃんのラインがボーダーだと思うんですよね~。」
小鳥「面白いのはなんといっても17歳近辺!このあたりはもう青春恋愛の宝庫よ!」
小鳥「あははは!」
P「小鳥さんですね」
小鳥「小鳥ちゃん!?ほうほう、小鳥!…あれ、小鳥なんてアイドルはウチには…」
小鳥「わ、私!!??」
小鳥「わわわ私のは面白くないですから流してください」
P「小鳥さん、それはないですよ。聞かせてください、小鳥さんの初恋」
小鳥「わ、私のはー!面白くないですー!!面白くないからダメー!」
P「じゃあこうしましょう。」
P「小鳥さんの初恋話を聞かせてもらえたら、俺も話しますよ。それなら対等でしょう?」
小鳥「ぐっ…さすが伊達にプロデューサーやってないわね…交渉術も大したもの」
P「いや、普通に普通の要求ですけどね?」
小鳥「私の初恋…」
小鳥「………」
小鳥「やっぱり、ダメです!私のなんかダメ!」
P「じゃあ、この話は流れちゃいますね。仕方ありません」
小鳥「うぅ~、意地悪だなぁ」
小鳥「わ、私が言ったら、ちゃんとプロデューサーさんも言ってくれますよね!?」
P「もちろん。」
小鳥「ホントにホント!?絶対に嘘つかない?」
P「ええ。大丈夫ですよ」
小鳥「く、口約束じゃあ安心できないわね!」
P「…ど、どうすれば?」
小鳥「ちょっと待って」
小鳥「はいっ!録音アプリです。約束事を録音しますので、記録に残してください!」
P「あ、はい。えっと、小鳥さんが」
小鳥「ちょっとまったー!」
P「な、何」
小鳥「まずは!年月日!時間!場所!名前!これを言う!」
P「あ、はい…えっと…」
P「えー、2012年12月23日。時間は…23時25分。場所は小鳥さんの部屋。名前は……」
小鳥(これもう一生の記念。iPodに入れて再生回数カウンターストップするまで再生するわ)
P「えーっと。小鳥さんの初恋話を聞いたら、ちゃんと俺も初恋話をします。」
P「これでいいです?」
小鳥「おっけ!いいね、いいねプロデューサー君っ!」
P「小鳥さんのノリがだいぶヤバい感じになってきた」
小鳥「でも、やっぱりこれだと不安ね…。『俺はこんなこと言ってない!』って言ったら面倒だわ」
P「今の小鳥さんのほうがよっぽど面倒だと思うけど…」
小鳥「大人の約束は、やっぱり書面ね!書面があってこその契約であり約束だわ!」
小鳥「少々お待ちを」
P(小鳥さんは一度ツボにはまると止まらないな)
小鳥「はい、これプロデューサーさん♪」
P「本当に書面に書かせるのか…って!ちょ!」
P「こ、これ…婚姻届!?」
小鳥「あれれ~?おっかしいなぁ。僕間違えちゃった♪(コナン風に)」
P(ざわっざわっ…)
P「っていうか」
P「婚姻届けなんて初めて見ましたよ。これ、本物ですか?」
小鳥「書面的には本物ですね。これにちゃんと記載すれば効力持ちますよ」
小鳥「いまはインターネットでダウンロードできるんですよ」
P「へぇ…。」
P「でも、なぜこんなものをダウンロードして、しかも印刷を…??」
小鳥「でも、味気ないですよね~」
小鳥「やっぱり、婚姻届は茶色ですよね!」
小鳥「便利だからってダウンロードで済ますなんてナンセンス!」
小鳥「役所で書式受け取って、二人で書いて、一緒に提出してこそ!」
小鳥「婚姻届けではなかろうか!?」
P「そ、そうだそうだ!」
P(あれ、これってうまくいけば話挿げ替えられるな…)
小鳥「ちなみに、以前、私は婚姻届が緑だと思ってました」
小鳥「本物の婚姻届は、赤とか茶とか…そんな感じらしいです」
小鳥「でも、自治体によって、色は微妙に違うそうですよ?」
P「俺も緑だと思ってた…。緑はなんなんでしょうね。ドラマとかで見かける気が」
小鳥「思えば、ドラマで婚姻届って出ないですよ。大抵は離婚届。」
小鳥「離婚届は緑のようです」
P「へぇ…そうなんだ…。それが記憶にあるから、そういう勘違いをするのか」
P「ふぅん…結構難しい言葉で書いてますね。書き方例みないと間違えそうだ。」
小鳥「待て」
小鳥「何話を逸らしている?今は書面での約束の話だ」
P(ぎくっ)
小鳥「あーー!今ぎくってしたでしょ!ぎくって!酷いですよプロデューサーさん!!」
小鳥「あ」
P「あ」
小鳥「日付、変わっちゃいましたね~」
P「もうそんな時間か…。」
P「小鳥さん。ワインあとどのくらい残ってます?」
小鳥「あと1/3ってところ」
P「開けちゃったんで、とりあえずそれだけは飲んじゃいましょうね」
小鳥「あははは、望むところ!」
<かれこれ1時間半。ワインは既に空いたようです>
小鳥「…プロデューサーさんは」
小鳥「プロデューサーさんは、その…。最近、誰かを好きになったりしました?」
P「それは、恋愛道の続きの話ですか?」
小鳥「…はい」
P「…どう思います?」
小鳥「どう思う?」
小鳥「プロデューサーさんは、今年一年、ずっと忙しそうだった」
小鳥「あんなにたくさんのアイドルの面倒を見ていて、誰に偏るわけでもなく、平等で」
小鳥「竜宮小町というチームがいても、みんな、みんなを気にかけていて。」
小鳥「私がちょっと不安なのは、こういった職業柄、自分の気持ちにブレーキかけているんじゃないかって」
小鳥「確かに、アイドルの皆と恋愛関係になるのは…大変だと思います。」
小鳥「風当たりも強いですし、業界的にもあまり許されることではない」
小鳥「でも、そうであっても」
小鳥「自分の気持ちには正直であって欲しい」
小鳥「誰かを好きになるという気持ちを、大事にしてほしい」
小鳥「育ててほしい」
小鳥「見逃さないでほしい、見過ごさないでほしい、見ないふりしないでほしい」
小鳥「気づいた気持ちを、受け入れてほしい」
小鳥「私は、そう思うんです」
P「……。」
小鳥「せっかく誰かを好きになれたのに、その気持ちを、自分を踏みにじるのは、可哀想です」
小鳥「今すぐどうこうしようとか、駆け落ちするとか、そういうことじゃないんです」
小鳥「誰かを好きになるという、すごく単純で、純粋で、でもとても大切な感情」
小鳥「それを、どうか…決して後悔しないで、温めてほしい」
小鳥「そんな風に。思います。」
小鳥「な、なんかお酒は入っちゃってるから自分でもよくわかんないな、あはは…」
P「小鳥さん…」
小鳥「…ハンカチ?」
P「小鳥さん、また泣いてますよ。使ってください」
小鳥「……」
小鳥「う、ぅぅぅ…」
P「小鳥さん。もしかして小鳥さんの本当の悩みって…」
小鳥「プロデューサーさん」
小鳥「頼みがあります…」
P「…はい」
小鳥「ほんの5分でいいです」
小鳥「プロデューサーさんの胸を貸していただけますか」
P「……。」
P「どうぞ。」
小鳥「うぅ、うああ、うああぁぁ~~っ!」
小鳥「うっ、うぅっ…ぐすっ…」
P「小鳥さん。大丈夫ですか?だいぶ酔いが回ったのかもしれないな…」
小鳥「もう一つ、お願い…いいですか」
P「どうしました?」
小鳥「頭を…撫でてくれませんか」
P「お安いご用です」
小鳥「……。」
小鳥「温かいですね…プロデューサーさんの手。」
P「小鳥さん…」
小鳥「なんだか…とても落ち着きます…。」
小鳥「美希ちゃんに指摘されましたけど。」
小鳥「私の恋愛偏差値が低いことくらい、私がわかってます」
小鳥「私の恋愛なんて、中学生みたいな、青臭い、面白味のないものだって」
小鳥「わかってます」
小鳥「でも、どうしようもないじゃないですか」
小鳥「こればっかりは…どう頑張ったって…」
小鳥「恋愛ばっかりは、自分のやり方しかなくて…」
小鳥「もっと上手なやり方はたくさんあるはずなのに」
小鳥「積極的になれなくて」
小鳥「素直な態度をあらわせなくて」
小鳥「自分の気持ちを斜に構えたり」
小鳥「相手のことを思いやれなかったり」
小鳥「うまくいかないことだらけ」
プロデューサーさん。
どうすれば、私の気持ち、
あなたにまっすぐに届くでしょうか。
私には何のとりえもなく、
愛嬌があるわけでもなく、
頭の回転が速いわけではなく、
スタイルがいいわけでもない。
釣り合いが取れていないこともわかっている。
でも。
私は、あなたのことが好きだという気持ちが。
あなたを大切にしたいという気持ちが。
あなたへの憧れが、尊敬が。
世界中の誰よりも、間違いなく。
私が、一番、強く持っていると。
それだけ、たったそれだけに、自信があります。
その気持ちを、
どうやったら伝えられるのでしょうか……。
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