海未「私たちは、他の娘たちが絶対しないことをしましょう」 (56)

そう、それはきっと、こことは違う世界

私たちの関係も、出会いも違う

もし、そんな世界が会ったのなら……

──────────────

高坂家


穂乃果「明日から高校生かー」

穂乃果「私、ちゃんと友達できるかな……ちょっと不安かも」

穂乃果「海未ちゃんに相談して見よかっな……いや!海未ちゃんに頼ってばっかじゃダメ!」

穂乃果「もう高校生になるし、今日はもう寝る!」 カチカチ フッ

穂乃果「スー、スー」

ブーブー ブーブー

穂乃果「うひゃあ……な、なに!?」

  『園田海未』

穂乃果「……海未ちゃん?」

穂乃果「もしもし」

海未「もしもし穂乃果?筆記用具とかちゃんと入れましたか?」

穂乃果「入れたよ?」

海未「そうですか」 ピッ

穂乃果「えっ?……切れちゃった」

ブーブー! ブーブー!

穂乃果「また海未ちゃんからだ」

穂乃果「もしもし」

海未「穂乃果、明日は正門から入った後にクラスの確認をするのですよ?」

穂乃果「そのぐらい分かってるよー」

海未「本当ですか?」

穂乃果「ほんとだよー」

穂乃果「海未ちゃんのほうこそご飯粒付けてきたりしないでよね」

海未「そんなことしませんよ、穂乃果じゃあるまいし」

穂乃果「私だってそんなことしないよー!」

海未「じゃあ切りますね、明日はちゃんと顔を鏡で見てくるんですよ」

穂乃果「だからそれは海未ちゃんの……あ、切れちゃった」

穂乃果「はぁ、なんなのもうー!目が覚めちゃったじゃん!海未ちゃんの馬鹿ー!」

穂乃果「はぁ……」

穂乃果「(心配、してくれたんだね、海未ちゃんはいつも優しいなぁ)」


穂乃果「(明日もいつもの髪型かな?海未ちゃん制服似合ってるんだろうなー)」

穂乃果「(同じクラスがいいな、それでまた中学の時みたいに海未ちゃんの近くの席になれたらいいな)」

穂乃果「(夕焼けの校舎で、桜が舞って、そして……)」

────────────

────────────

校門前

穂乃果「はぁ……はぁ……はぁ……」タッタッタッタッ

穂乃果「ごめーん、海未ちゃーん!」

海未「遅いですよ穂乃果」

穂乃果「だって海未ちゃんがあんな時間に電話かけてくるからー」

海未「ダメですよ、ちゃんと余裕を持って行動しなくては」

穂乃果「そうだねー、私も海未ちゃんを見習うよ」


──『桜色のはじまり』 ──

ザワ ザワ ザワ ザワ

穂乃果「(私の名前は高坂穂乃果、名字の最初の文字は『こ』)」

穂乃果「(親友の園田海未ちゃんは『そ』)」


穂乃果「(ま、同じクラスでも近くなれるかはぶっちゃけ微妙、私が『た』かさかなら良かったのに……)」

海未「あ!穂乃果!同じクラスですよ、」

穂乃果「やったー!」

穂乃果「(まぁ後ろで同じぐらいの位置になれたらいいかな)」

○○○○○○
こ○○○○○
○○○○○そ
た○○○○○


ポツーン



穂乃果「(くっ……どっちでも駄目じゃないかぁ……サ行多すぎィ)……ううぅ」

穂乃果「(あーあー、別に海未ちゃん近くじゃなきゃ駄目ってわけじゃないけどさ」

穂乃果「近くならえーと、ほら?べ、勉強とか?教えてあげられるし)」

ホワンホワーン

穂乃果「海未ちゃん、分からないところ教えてあげるよ!」

海未「はぁ……あ、ありがとうございます、ではここを」

穂乃果「えっとねー、ここは、その……えっと」

海未「それより穂乃果、数学の課題は終わらせたのですか?」

穂乃果「それはその、分からない……ところがあって」

海未「ちょっと見せてくだい、いいですか?まずここはこの式を使って」

穂乃果「ふむふむ、あ!分かりやすい!」

ホワンホワーン

穂乃果「(って!なんで私が教えられてるの!?なにこれ中止!ストップー!!)」

穂乃果「はぁ……」チラッ

穂乃果「(海未ちゃんがいないと何を話していいか、もし隣が感じ悪い人だったらどうしよう)」

スタスタスタスタ

穂乃果「ん?」

絵里「私は絢瀬絵里、隣よろしくね」

希「うちは東條希、えりちとは友達やねん、よろしくなー、席はあっちやけど」

穂乃果「よろしくー」

絵里「今年1年同じクラスね、何かあったら頼って」

穂乃果「……絵里ちゃんって、何か年上っぽいね」

絵里「そうかしら?」

穂乃果「いや、昔どこかであった……ような?」

希「そういう世界もあるかもね、スピリチュアルやね」

穂乃果「スピ……?」

希「確かに外見上そう見られることは多いかもな」

絵里「希まで……」

希「いやでも、以外にエリチはかわいいよー?おらーつ!」モミモミ

絵里「あっ、ちょっ!こら希っ!あんっ!んんっ!」


穂乃果「(感じ悪い人じゃなくて感じやすい人だったー!)」



穂乃果「(……口にとか言えないよなぁ)」

穂乃果「……(口に出して言えないよなぁ)」

先生「ではこれから入学式なので皆さん体育館に移動してください」

ガタガタ ザワザワ 
 

海未「穂乃果ー、体育館に」

穂乃果「海未ちゃーん!体育館いこー!」ガシッ

海未「ちょ、穂乃果、ちょっと」

穂乃果「えー?腕組み嫌なのー?」

海未「い、嫌では無いですけど」


絵里「いや普通しないでしょ、高校生にもなって」
 
穂乃果「えーするよー!ねー?海未ちゃん?」ツンツン

海未「え、ええ」ギュッ

絵里「何かイラッとするわね」

希「まぁまぁ」

穂乃果「絵里ちゃんたちは同性として意識しすぎなんじゃないの」

絵里「あなたたちはお互いを異性だと思ってるの……?」


希「で、えっと海未ちゃんだっけ?」

海未「あ、はい、園田海未、穂乃果の友達です、よろしくお願いします」

絵里「よろしくね」

希「よろしくやで」



にこ「あ!絵里と希じゃない!クラス一緒だったのね!」

穂乃果「……誰?」

絵里「この子はにこ、にこと私たちは同じ中学だったの」

穂乃果「へー」


にこ「矢澤にこよ!よろしくね!にっこにっこにー!」

「…………」



にこ「やりなさいよ!ノリ悪いわね!」

穂乃果「ええええええええ!!」

にこ「ところで」


にこ「このクラス名簿、ここ、西木野真姫って名前があるんだけど、すごいスターっぽいわよね」

真姫「ゴクッ」


にこ「ってのはどうでもいいんだけど」

真姫「(え!?スルー!?)」


にこ「これ、南ことりっていうの、すごいアイドルっぽいわよね」

穂乃果「確かに、すごい美少女オーラを感じるね、きっとすごい可愛いんだろうなぁ」




ことり「(あの人たち……ハードル上げられてる)」ビクッ

穂乃果「み、み、南、南……あ、あの娘だ!」

ザザザザザザザザザ

ことり「う、うわぁ!」ビクッ

穂乃果「南ことりちゃんだよね?やっぱり可愛い!」

海未「確かに……」

絵里「これはアイドルでいけるわね」

希「わしわししたいなぁ」

にこ「悔しいけど私に匹敵するわ」

ことり「あの、なんの話……?」

穂乃果「とにかくよろしくね!ことりちゃん!」

ことり「う、うん!よろしくね!」



真姫「(え?私このまま!?)」

体育館通路

海未「クラスの皆さん、楽しそうな人たちで良かったですね」

穂乃果「うん、そうだね」

ザワザワ ザワザワ

??「もうーかよちんはやくはやくー」

??「ま、まってよー」

ザワザワ ザワザワ

穂乃果「誰だか分からないけど他のみんなも楽しそうだね」

海未「もしかしたらどこかで会うかもしれませんね」

体育館

理事長「わが校は3年後に廃校となります、つまり皆さんはこの学校の最後の1年生となるわけです、それにあたって~」


穂乃果「(高校生か、きっとあっという間なんだろうな)」

海未「すぅ……」ユラッ

穂乃果「(あ、海未ちゃん寝てる、疲れてるのかな)」

穂乃果「(この並びだとちょうど後ろのあたりなんだけどなぁ……)」  

穂乃果「(ふふっ、私はね、まだそばに居たいんだよ、海未ちゃん)」

穂乃果「(今でもちゃんと覚えてる、海未ちゃんとの楽しい思い出、海未ちゃんは覚えてる
分からないけど……)」

穂乃果「(だからさ、この高校でも、部活も、文化祭も、体育祭、修学旅行)」

穂乃果「(いっーぱい楽しもうね!海未ちゃん!)」

キーンコーンカーンコーン

教室


穂乃果「海未ちゃーん!一緒に帰ろー!……はっ!」

「園田さーん!」 「つーっかまえたっ!」ギュッ


穂乃果「(私の特等席がーっ!)」ガーン

海未「穂乃果?どうしたんです?」


穂乃果「その……と」

「と?」 「と?」


穂乃果「(と、とくとうせ……)な、なんでもなーいっ!」ダダダダダッ


「とりっく?」 「とらぶる?」 「とんずら?」 「とうそう?」

海未「…………」

廊下


穂乃果「はぁ……はぁ……はぁ……」タッタッタッタッタッ 

穂乃果「思わず逃げ出しちゃった……」

穂乃果「ん?ここ、空き教室?」ガラッ



空き教室

穂乃果「桜の花びらが、こんなに」

穂乃果「変わっちゃうのかな、私と海未ちゃんの関係も、この教室みたいに」

穂乃果「前はちゃんと、そこにあったのに」

ブワッ

穂乃果「風……?」

海未「ありますよ」


穂乃果「う、海未ちゃん!」

海未「ちゃんと今も、ここに」


穂乃果「えっと、どうして……」

海未「すいませんでした」

穂乃果「えっ?えっ?なんで海未ちゃんが謝るの?」

海未「私は知っていたのに」

穂乃果「知って?」

海未「穂乃果が実は嫉妬深くてネチネチしたテンションの上げ下げの激しい女だってこと」 

穂乃果「ってええええええええええ!!そ、そんなことないよ!」

海未「くくく、ぷははははは」

穂乃果「も、もう!笑い事じゃないよ」

海未「ごめんなさい、つい」



穂乃果「で、でもね、海未ちゃんが私のために我慢する必要ないんだよ?」

穂乃果「ただ、自分だけが海未ちゃんの特別な友達とか、勝手に思ってただけだから」

海未「そんなこと無いですよ、言ったじゃないですか、私はここにいると」

穂乃果「海未ちゃん……」

海未「それに私は穂乃果と出会って無ければ……」

穂乃果「穂乃果があの日誘ってくれたから、今の私があるんです」

穂乃果「覚えてて、くれたんだ」

海未「当たり前ですよ、でも……特別、ですか」

穂乃果「いや、そこまで深く考えなくても、私には海未ちゃんとの思い出があるし……」


海未「でしたら」

穂乃果「?」




海未「私たちは、他の娘たちが絶対しないことをしましょう」



海未「そしたら……特別、ですよね?」

穂乃果「絶対、しないこと……い、いいの?」

海未「は、はい、穂乃果が、望むなら」


穂乃果「じゃ、じゃあ」 

穂乃果「パン大食い勝負とか」 

海未「ていっ!」バシーン!


穂乃果「痛いよ海未ちゃん!?」  

海未「まったく、ロマンの欠片もない、人がせっかく真面目に提案してますのに」

穂乃果「だってパンは美味しい……なんでもないです」


海未「どうせなら、一生思い出に残るようなのがいいですね」

穂乃果「お、思い出かぁ、ど、どうしよう……」

穂乃果「あ!」

海未「思いついたんですか?」

穂乃果「い、いやいやいやいやいや、これは無いって無い無い」

海未「いいですから言ってみてください」


穂乃果「そ、そのね……キ、キス?とか?」

海未「キ、キス!?」

穂乃果「そ、そう」 

海未「なるほど、キス、ですか……」



穂乃果「ご、ごめんね!変なこと言って!ダメだよね!学校は勉強するところだもんね!」

海未「いえ、い、いいんじゃないでしょうか」

穂乃果「ふえええええ!!」


海未「だ、第一!授業中に寝てる穂乃果に勉強どうこう言われたくありません!」

穂乃果「そ、それはぁ」


海未「勉強も出来なければキスも出来ないんですか情けない!」

穂乃果「ちょっと海未ちゃん理屈が超飛躍してるよ!?」


海未「で?するんですか?しないんですか?」ゴゴゴゴコゴ

穂乃果「す……し……す、する!」

海未「なら起立!」

穂乃果「はいっ!」


・・・・・・・・・・・


穂乃果「あの、海未ちゃん?」

海未「穂乃果からしてください」

穂乃果「えええええ!!」


穂乃果「こ、こうなったら」

ギュッ


海未「(あ、穂乃果が手を、顔が、ちか……)」


チュッ


海未「(穂乃果の、く、唇が、んっ)」

穂乃果「うんっ……んっ」チュ

海未「んっ……はっ、んんっ!」


穂乃果「(海未ちゃん、今声出した、可愛い……)」

海未「(んっ、声が漏れちゃう……穂乃果に聞かれたらどうしよう)」

穂乃果「(もっと出して、ねぇ海未ちゃん、もう一度)」

海未「(おさえなきゃ……おさえなきゃ……)」

んっ んっ チュッ ペロッ んあっ んんっ

穂乃果「(もう一度っ)」ンチュッ

海未「(穂乃果っ!激しいっ!んんっ!)」

穂乃果「(もう一度っ)」

海未「むっ!んっ!」

穂乃果「ん、んんっ」


穂乃果・海未「ん、んんっ……!(く、くるしぃ~!)」バターン

穂乃果「ぷはっ、はぁ……はぁ……」

海未「はぁ……はぁ……」

穂乃果「海未ちゃん……」ギュッ   

海未「穂乃果……」ギュッ



教室に、空いた窓から春の風が入ってる

桜の花びらを、春の始まりを乗せながら

繋いだ手から、海未ちゃんの鼓動が伝わってくる

暖かい、とても暖かな、大事な友達の温もり

これが、私と海未ちゃんの

初めての、桜色なのでした


『桜色のはじまり』──END

─────────────


   ̄ヽ、   _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     `'ー '´
      ○

       O 
モワモワモワ~ン

海未「みたいな感じなのでしょうねぇ」

海未「げへへへへ」

海未「穂乃果と私が、こう絡み合って……」

海未「いや何の気なしに見始めましたけど、これは色々と

海未「捗る」ニヤー



穂乃果「……海未ちゃん?」

海未「ひっ!ほ、穂乃果!?いつの間に!?お風呂に入ってたのでは!?」
 
穂乃果「いや今上がって来たとこ、なに1人でアニメの録画見て笑ってるの?」

海未「な、なんでもありせんっ!というか勝手に覗き見ないでくださいっ!」

穂乃果「んん?桜Trick……?これどんなアニメなの?」

海未「け、健全な女子高生の日常……的な?そんなアニメです、ええ」


穂乃果「へー、興味あるな?」

海未「いや穂乃果が見るようなものでは」

穂乃果「えーでも海未ちゃんが好きなのでしょ?見てみたいなー」

海未「いいからもう寝ましょう!お泊りといっても夜ふかしは厳禁ですよ」



穂乃果「あ!今日の午前2時頃からTBSで桜Trick2話が放送されるみたいだよ!」

海未「ダメです!あと1時間ぐらいで始まるけどダメです!」

穂乃果「ねー見ようよ見ようよー」



海未「ああもぅ!だから見ちゃダメですって!穂乃果ぁー!」

       
         To Be Continued→・・・?

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