千早『やくそーくすーるよぉーきみとーかなーえるー』
亀山「くうー……俺ダメっすこういうの、チクショー」ボロボロ
米沢「ええ、これは感動ものですな……」
右京「おはようございます。おや、何を見ているのですか?」
亀山「あっ、右京さん。いやね、こないだの犯人から押収したブツの中にあったモノなんすけど……」
右京「おやおや、押収した証拠品を私的に楽しむのは、褒められたことではありませんねぇ。米沢さん、あなたもですか」
米沢「はぁ、いやしかし、これがなかなか面白くてですね」
亀山「そうっすよ!右京さんもどうすか?アイドルマスター」
右京「アイドルマスター……ですか?」
米沢「またまた亀山さん、杉下警部がこのようなアニメを見るわけがないじゃありませんか」
亀山「そうですよねぇ!じゃあこのへんでお開きということに……」
右京「わかりました。では僕は紅茶を入れてきます」
亀山「へ?」
右京「おや、紅茶を飲みながら鑑賞するのは変ですか?」
亀山「い、いや……ってかホントに見るんすか?!」
右京「おや、誘ったのは君じゃありませんか。それに、お二人がそれほど熱中するアニメなら、一見の価値があると思いましてねぇ」
米沢「なるほど、ならばもう一度初めから見直しといきますか」
亀山「いいっすね!いやー右京さんも話がわかるなあ」
右京「前置きはそのへんにして、はやく始めてください」
米沢「一話目は主要人物や、物語の舞台などの紹介が主ですな」
杉下「なるほど、彼女たちがアイドルを目指して奮闘する、サクセスストーリーといったところでしょうか」
米沢「さすが杉下警部、鋭い洞察力ですね」
亀山「ところで右京さん的には、どの子がタイプなんすか?」
右京「まだ見始めたばかりですからねぇ……もう少し、様子を見てみましょうか」
右京「宣材の撮り直しですか」
米沢「ええ、765プロの中でも、年少組にスポットを当てた回になってますな」
亀山「ま、いろいろ先走っちゃうんすけどね」
右京「しかし、このような彼女たちの行動を誰も注意しないというのは、いささか気になりますねえ」
米沢「まぁ、そこはアニメですから」
右京「すみません。細かいところが気になってしまう、僕の悪い癖でして」
右京「地方で営業の仕事ですか、アイドルも大変ですねえ」
亀山「俺らも捜査でいろんなとこ回りましたね」
右京「君は、雪原で凍え死にかけたこともあるくらいですから」
亀山「ちょっと右京さん!嫌なこと思い出させないでくださいよ!」
右京「おや、これは失礼……しかしこの萩原雪歩というアイドルは、男性が苦手という域を超えているのではないですか?どうやら幻覚まで見ているようですが」
米沢「それくらいじゃないと、キャラクター的には弱いですからなぁ」
右京「そういうものなのですか、亀山くん?」
角田「よっ、暇か?」
亀山「あれ、また来たんすか課長」
角田「なんだよそれ、来ちゃ悪いってか?ってか何見てんのそれ?」
米沢「こちらはアイドルマスターというアニメです」
角田「ああ、それならうちのかみさんもハマってるなぁ。なんだっけか、菊池桃子ちゃんが好きだとかなんとか……」
亀山「課長……それ多分、菊地、真ちゃん、じゃないっすか?」
右京「お二人とも、少し静かにしてください」
米沢「テレビ出演の回ですな、まだまだ有名な番組には出られないようですが」
亀山「初めて見た時は、ここの千早ちゃんにちょっと、ムカついたんすけどね。これが20話を見た後だと、全部許しちゃえるんすよ!」
右京「おや、先の展開をほのめかすようなことを言われては困りますねぇ」
亀山「あ、すんません!……って右京さん、なんだかんだ、楽しんでるでしょ?」
右京「……それより早く、次の話を」
米沢「了解しました」
米沢「いわゆる、サービス回というやつですな」
右京「なるほど、女性的な魅力をアピールするのに、水着姿は効果的でしょうねぇ」
角田「しっかしチビッ子が多すぎねえか?もっとこのロングのお姉さんみたいな、ナイスバディが欲しいねえ」
亀山「課長、おっさん臭いっす」
米沢「いやあ、私としては、これはこれでなかなか……」
右京「なるほど、三人一組でのユニット活動ですか」
米沢「ええ、ユニット名は『竜宮小町』ですな」
亀山「右京さん右京さん、俺も『亀』山なんすけど、これって、竜宮小町入れますかね?」
角田「おっ、なんだい亀ちゃん、アイドルになりたいの?」
右京「亀山くんがアイドルですか……あまり想像できませんねぇ」
やよい『ちょうすけ……よかった……』
亀山「俺、こういう家族ものに弱いんすよ……」
右京「確かに、君は事件に子供が絡むと、少々熱くなりがちだった気がします。小田島の時などがそうでしたねぇ」
亀山「ええ……だから、ここの伊織ちゃんには感動したっす」
米沢「おや、亀山さんは水瀬伊織がお気に入りですか」
右京「なるほど、強気なところが奥寺さんと似ていますねえ」
亀山「な、なに言ってんすか右京さん!」
米沢「今回の仕事は、ブライダル雑誌のモデルですな」
右京「アイドルは、このような仕事も引き受けるんですか」
角田「あり?この姉ちゃんいつの間に髪短くなったんだ?」
亀山「あっ、課長、ちゃんと見てなかったでしょ」
右京「……それにしても、この菊地真の身体能力は、亀山くんをも上回っているかもしれません。アイドルにしておくにはもったいない気がしますねえ」
右京「おや、何やら開幕から事件の匂いがしますねえ」
亀山「ふっふっふ……右京さんにこの謎が解けますかね?」
右京「消えたプリン……ドラマと同じ筋書き……となると、犯人は竜宮小町の中の誰かでしょうか」
右京「また、物語序盤の言動からして、おそらくプリンを食べたのは……三浦あずささん、あなたですよ」
米沢「いやあ、さすが杉下警部、おみそれしました」
右京「それにしても、プリンのお化け……ぜひ一度、お目にかかりたいものですねぇ」
右京「アイドル事務所対抗の運動会ですか」
米沢「ええ。しかし、アイドルの世界には、やはり八百長がつきものなんでしょうか」
亀山「ま、警察が事件を隠蔽する時代ですからね。芸能界にもそんぐらいあるんじゃないんすか?」
右京「決して認めたくはありませんがねぇ……」
角田「おいおい、なんか湿っぽい雰囲気になっちゃったよ?」
亀山「ライブの前だってのに、美希ちゃんが拗ねちゃうんすよ」
右京「彼女は竜宮小町に特別な感情を抱いていたようですからねぇ」
角田「世の中思い通りにゃいかねえからなあ。アイドルって言っても、まだまだお子様ってことだ」
右京「ええ……しかしそれだけ、アイドルという仕事が好きなのでしょう。自分も舞台に立ちたかった……ただそれだけなのかもしれません」
米沢「いろいろありましたが、ついにライブの日がやってきましたな」
右京「おや、肝心の竜宮小町が出なくては、お客さんがガッカリするのでは?」
亀山「そう思うでしょ?でもこのライブが大成功で、765プロは一躍有名になっちゃうんすよ」
右京「……なるほど、オープニングはこの回の伏線だったのですねぇ」
米沢「さすがは杉下警部、目の付け所が違いますな」
右京「961プロ、ですか」
亀山「ええ、ここの社長がまーた嫌なやつなんすよ!伊丹にそっくり!」
米沢「そう言われると、JUPITERの三人が、捜査一課のお三方に見えなくもないですな」
亀山「あっ、それ面白い!『765プロの天海ぃ~』なんつってね!右京さん、どうすか?似てます?」
右京「……」ジロリ
亀山「あっ、はい、すんません。静かにします」
右京「765プロ主体の生番組ですか。4話の時から比べると、ずいぶん成長したようですねえ」
米沢「ええ、他にも映画に出演するなど、活動の幅を広げておりますな」
亀山「でも、気になる点が、ひとつだけ。響ちゃんは無事に帰ってこれたんすかね?」
右京「おや、それは僕の真似ですか、亀山くん」
亀山「あっ、バレちゃいました?」
亀山「真ちゃんも、こういうところ見ると普通の女の子なんすけどねえ」
米沢「ええ、特にエンディングの彼女は、非常に清楚で美しい」
右京「普通の女の子は、不良に立ち向かったりしないと思いますよ」
亀山「でも、そこが真ちゃんのいいとこっすよね」
右京「ええ、本当に、彼女はアイドルよりも警察官の方が向いているかもしれませんねぇ」
亀山「いや、そこじゃなくてね」
右京「おや、秋月律子はアイドルの過去をお持ちでしたか」
亀山「この中じゃ大人っぽく見えますけど、まだまだ若いっすからね」
角田「これ、三つ編みよりも普段の髪型のほうが可愛いんじゃないの?」
米沢「いやいや、むしろこちらがアイドル時の彼女の姿ですから」
右京「ええ、それがわからないようでは、課長もまだまだですねぇ」
角田「この銀髪の姉ちゃん、なかなか警察の制服が様になってるじゃないの」
米沢「いやぁ、鑑識にもこんな美人婦警が欲しいですな」
亀山「それよりこの記者、腹立ちますよね!隠し撮りなんかしやがって、この!」
右京「僕としたことが、迂闊でした!961プロの陰謀に気がつかないとは!」
角田「いやいや、あんたにはどうしようもないでしょうよ」
伊丹「おい、特命係の亀山ァ~」
亀山「ゲッ……」
伊丹「ゲッ、じゃねえよ。てめえこないだの事件の……なんだそりゃ?」
亀山「うるせえな、何でもねえよ!ほら出てけ!」
芹沢「あっ!勤務時間中にアニメ見てる!」
伊丹「アニメだぁ?!ハッ、こいつはお笑いだな!そろそろ特命辞めちまって、家に引きこもってたらどうなんだぁ?」
亀山「ンだとコラァ?!」
三浦「おい、そいつはアイドルマスターじゃないのか」
右京「おや、三浦巡査部長はご存じのようですねぇ」
三浦「ああ、あずささんは俺の嫁だからな」
伊丹「何言ってんだお前……アニメのキャラだぞ?」
亀山「そーだな、伊丹くんには愛しのリサ先生がいるもんなぁ!トラーイ!」
伊丹「バッ、お前……!」
芹沢「伊丹先輩、誰っすかそれ?」
伊丹「てんめぇブッ殺されてえのか?!」
亀山「おおやってみろよコラァ!」
右京「静かにしてくださいと言っているではないですかぁっ!!!」
米沢「いよいよライブ当日ですな」
角田「しかし精神的なショックで歌えないってのは、実際にあり得んのかねぇ」
亀山「そんなトコいちいち気にしなくていいでしょ、右京さんみたいになっちゃいますよ?」
角田「おおっと、そいつは勘弁だな」
右京「……しかし、ここの演出は凝ってますねえ」
三浦「ああ、全くだな」
米沢「引き続き、如月千早がメインとなる回ですな」
亀山「それにしても、黒井社長と高木社長の過去にはなにがあったんでしょうね、右京さん」
右京「それは僕にもわかりまん。しかし、思い出は思い出のままにしておく方が、いいのかもしれませんねぇ」
角田「一課の三人組もちゃっかり活躍してるじゃねぇか」
伊丹「あん?何のことだ?」
亀山「あーあー、こっちの話」
右京「おや、プロデューサーさんが怪我をしてしまいましたか」
亀山「春香ちゃん、責任感強いからショックみたいっすね……」
米沢「しかし、ここでまた、千早回と似たような演出により立ち直ります。杉下警部じゃありませんが、少々気になりますな」
右京「米沢さん、いちいち突っかかっていては楽しめるものも楽しめませんよ?」
亀山「あれっ?細かいところが気になる右京さんらしくないっすね」
右京「……いよいよ、次で最終回のようですねぇ」
亀山「あっ、ごまかした」
米沢「最終回は、アイドルたちのライブステージで締めくくられます」
右京「やはりアイドルは舞台の上でこそ輝きますねぇ、みなさん生き生きしています」
三浦「こりゃあ、何度見てもいいもんだ」
芹沢「へぇー、最近のアニメは凄いっすね」
伊丹「っておい、なんで俺たちまでアニメ見てんだ?!」
三浦「……というか、そもそも俺たち何しに特命に来たんだ?」
中園「お前ら!特命を呼んで来いと言ったのに、なにをいっしょになって遊んでおるんだ!」
芹沢「あっ、すいません!ちょっとアニメを……」
伊丹「バッカ、黙ってろ!」スパーン
中園「アァニメだとぉ?!」
内村「くだらん、いくら特命係が暇だといっても、他にやることぐらいあるだろう!!はや……く……」
中園「ど、どうされました?」
亀山「どういうことっすかね?」
右京「彼も、ひとりのプロデューサーだったということでしょう」
内村「ふん、特命の分際で……どれ、久しぶりに亜美ちゃんのプロデュースでも……」
プルルルル ガチャ
内村「何だ? ……こ、これはこれは……え?ええ、はい。いや、実は特命のやつらが……ええ……」
ミス
>>95の前にこれ
内村「……オホン!お前たち……それは、アイドルマスターではないのか?」
亀山「へ?」
右京「すみません、しかしもう全て見終わりましたので」
内村「終わった……?まさかお前たち、それで本当に終わりだと思っているのか?」
右京「はい?」
内村「バカモン!アイドルマスターはアニメで終わりではない!ゲームをやれゲームを!SPからでかまわん!」
中園「そ、そうだ!早くやれ早く!」
翌日
亀山「おはようございまー……うおぃ?!」
右京「おはようございます、亀山君」
亀山「あ、右京さん……っていうか、なんすかコレ?!まさか、コレ全部アイドルマスターの?」
右京「ええ、昨日あの後、様々なお店を巡って手に入れました」
亀山「はぁー……すごいっすね」
右京「……しかし、どうしても気になる点が、ひとつだけ」
亀山「気になる?何がっすか?」
右京「ええ……天海春香の関連商品だけが、どの店でも売り切れなのですよ」
亀山「はいぃ?」
亀山「そんなの偶然じゃないっすか?」
右京「そうですかねぇ……」
芹沢「いたいた、杉下警部!大変ですよ!」
亀山「あん?いったいどうしたんだよ?」
芹沢「それが、誘拐事件が起こったらしくて、犯人が電話で『特命係の杉下右京を出せ』って言うんですよ!」
右京「おや、誘拐事件が起こった『らしい』というのは、どういうことですか?」
芹沢「いやぁ、特に通報とかは入ってないんですけどね、犯人が電話口でずっと言ってるんですよ。『天海春香を誘拐した』って」
右京「はいぃ?」
右京「お電話変わりました、特命係の杉下です」
「ヤア、スギシタケイブ。キイテノトオリダ、アマミ ハルカ ハワタシガユウカイシタ」
右京「あなたは、どちらの天海春香さんを誘拐したのですか?」
「キマッテルダロ、ナムコプロノアイドル、アマミハルカダ。イマ、コエヲキカセテヤル」
ヴァイ!ヴァイ! アーソコニヒザマズイテー!
右京「さて……いったいどのようにして、平面世界の住人を誘拐したというのですか?」
「キノウハ、『ナマッスカスペシャル04』ダケカエナクテザンネンダッタナ」
亀山「う、右京さん!これって……!」
右京「なるほど。どうやら、ただのイタズラではないようですねえ……では、どうすれば誘拐した天海春香さんを解放していただけるのでしょう?」
「……セイゼイクルシメ、スギシタ。オマエハモウニドト、アマミ ハルカニアウコトハデキナイ」
ガチャッ ツーツーツー
亀山「ど、どういうことっすかね?」
右京「……おそらく、天海春香の関連商品は全て、犯人によって押さえられているようですねぇ」
亀山「ど、どうするんすか?」
右京「……少し、調べたいことがあります。君は、こちらのほうを調査しておいてください」
亀山「えっ?あ、はい、了解っす!」
右京「では……」
ピッピッピッ プルルルルル
右京「もしもし、杉下です……ええ、実は少し調べて欲しいことがありまして……ええ、はい、おそらく……」
アリガトウゴザイマシター
亀山「ここにもない……っと。さて、次の店は……」
美和子「あれ?薫ちゃん?」
亀山「ゲッ、美和子……何やってんだこんなところで!」
美和子「何って、家に帰る途中。あたしの家すぐそこだし」
亀山「え、ああ、そうか……近いのか、お前の家」
美和子「ちょっと、住所教えたでしょぉー?」
亀山「ああー、そうだな!はいはい!じゃ、俺は捜査があるから、これで!」
美和子「あっ、ちょっと! ……捜査って、ここゲームショップじゃん……」
神戸「お久ぶりです、杉下さん」
右京「どうも。それで、頼んでおいた調べごとは?」
神戸「ええ、だいたいは杉下さんの読み通りでした」
右京「やはり、天海春香の関連商品が消えたのは、この都内だけでしたか」
神戸「はい。でも、都内だけでも、ものすごい量の品ですよ。犯人はどうやって、しかも何のために……?」
右京「そこは、おいおい調べていきますよ」
神戸「まったく……どんな奴なんでしょうね、犯人」
右京「おや、気になりますか?」
神戸「そりゃあ、一応。ま、僕の千早に手をださなかっただけ、まだマシですけど」
右京「おや、君はああいうタイプが好みだったのですか」
神戸「おっと、うっかり口が滑っちゃいました。じゃ僕はこれで」
右京「お忙しいところ、わざわざどうも」
亀山「あ、右京さん!どこ行ってたんすか?」
右京「もちろん捜査です。それより、そちらの方はどうでしたか?」
亀山「ダメっす、どの店にも、天海春香ちゃんの商品だけ売り切れになってました」
右京「やはりですか、それで、他に何かわかったことは?」
亀山「ええ、回った店全部に確認したんすけどね、確かに春香ちゃんの商品だけ買い占めて行った客がいたそうです!ただ……」
右京「ただ?」
亀山「はい、店の防犯カメラ見せてもらったんすけど、店ごとにその、買い占めてるヤツが別人なんすよ!」
右京「なるほど……」
亀山「こりゃあ複数犯なんすかね?確かに、買い占めるなんてかなりの金が必要だし……」
右京「……おそらく、その人たちは犯人に雇われたのでしょう。犯人については何もしらないでしょうねぇ」
伊丹「おーい、プロデューサーの亀山ァ~」
亀山「あ?何言ってんだお前?」
伊丹「またお前らに電話だよ、なんでも『水瀬伊織を誘拐した』とかなんとか」
亀山「んだとぉ?!」
伊丹「ってか、いちいち一課の電話通してんじゃねえよ!」
ガチャッ
亀山「特命係の亀山だ!てめぇ、いったいどういうつもりだ?!」
「ドウモコウモ、キミタチガアマリニフガイナイカラ、スコシホンキニナッテモラオウトオモッテネ」
亀山「なにぃ……?じゃあ、まさか今度は伊織ちゃんグッズを買い占めたってのか?!」
「コノママジャ、アイドルハミンナイナクナルカモナ……ジャアネ」
ガチャッ ツーツーツー
亀山「待て!俺のアイドルはどこだ?!おい!」
花の里
たまき「まぁ、そんなことがあったんですか?」
亀山「ええ……もうお手上げっすよ。このままじゃホントに、アイドルみーんな連れ去られちゃいますよ。ねえ右京さん」
右京「……そうですねぇ」
たまき「へーえ……でも、その犯人すごいですね」
右京「はい?」
たまき「だって、亀山さんの好きなアイドルを狙って誘拐するなんて、まるで、えすぱーみたいじゃありません?」
右京「エスパー……」ガタン
右京「行きましょう、亀山くん!!」
亀山「うえっ、え、エスパー?」
警察庁
小野田「……やっと来たか」
右京「誘拐犯は……あなたですね?」
小野田「……一応聞いておくか。何で僕だと?」
右京「単純な推理ですよ。まず、このような芸当ができるのは相当な資産家か、またはかなりの権力者であると考えました。そこで、メーカー側を問い詰めたところ、やはり、警察庁から何らかの圧力がかかっていたそうです」
亀山「ええ、そりゃ警視監なんて人から差し押さえられちゃあ、企業も商品の流通を止めるしかないですからね」
右京「差し押さえの理由などは適当にでっち上げたのでしょう。また、そのような事実が消費者側に知れれば、企業にあらぬ疑いがかかる恐れがあります。そこで、店側には売り切れという形をとらせたのでしょうねえ」
亀山「そして、俺が好きなアイドルを知っていた。ってことは、特命と何らかの関わりがある人物……」
右京「さらにあなたは、電話でこうおっしゃっていました」
右京『では、どうすれば誘拐した天海春香さんを解放していただけるのでしょう?』
『……セイゼイクルシメ、スギシタ。オマエハモウニドト、アマミ ハルカニアウコトハデキナイ』
右京「初めは、犯人が僕に敵意を抱いているのだと考えました。しかし、そうではなかった……あなたはつい、いつものように僕のことを『スギシタ』と呼んでしまったんですよぉ」
小野田「……お前たちは、プロデューサーになってどれぐらい?」
右京「お恥ずかしい話、つい先日この作品を知ったばかりでして。まだまだ駆け出しといったところでしょうか」
小野田「だよね。 ……僕はね、ずっと彼女たちを見てきた……彼女たちがアイドルになった時から、ずっとね」
亀山「な、何を言ってるんすかね、右京さん……」
小野田「彼女たちは凄いと思わないかい……徐々に、しかし確実にファンを増やし、今じゃ大人気……まるで現実世界のアイドルそのものだ」
右京「ええ、そうですねぇ」
小野田「でもね……人気が出ることで、変わっていくものもある」
右京「……規模の拡大、ですね」
小野田「ああ……今じゃあ765プロ以外にもたくさんのアイドルが登場し、多くの人気を得ているんだって。信じられる?」
亀山「で……でも!それも仕方がないことじゃないっすか、アイドルは何も悪くない!」
小野田「……その通り、確かにアイドルに罪はない。でもね……僕は怖いんだよ」
右京「怖い?」
小野田「いつか、765プロのアイドルたちが、人々から忘れ去られていくんじゃないかしら……ってね」
右京「……確かに、アイドルマスターが広く展開していくことで、言い知れぬ寂しさを覚えたプロデューサーも少なくはないでしょう。しかし、こうは考えられませんか?」
右京「アニメやモバマスから新しくアイマスを知った人が、天海春香の存在を知り、そして天海春香を愛するプロデューサーになるかもしれない、と」
小野田「……」
右京「……一人のプロデューサーがアイドルを独占するなど、あってはならないことだと、私は思いますよ」
右京「……最後にひとつ、教えていただけませんか」
小野田「なに?」
右京「なぜ、あなたは天海春香だけを買い占めたのですか?他にも選択肢はあったはずですよ」
小野田「そんなの簡単だよ。僕が天海春香のプロデューサーだからだ……お前もそうなんだろ? ん?」
右京「……やはりお気づきでしたか」
小野田「お前のことだ、彼女を一番に気に入るだろうと思ってね……僕はね、お前たちにも味わってもらいたかったのさ。二度とアイドルに会えなくなるんじゃないかという不安をね」
右京「……しかしそれでも、アイドルたちは変わっていきます……それを止める権利など、誰にもありはしませんよ」
やよい『えへへー、亀P!はい、た~っち!』
右京「おや、君が水瀬伊織以外をプロデュースしているなど、めずらしいですねえ」
亀山「あ、右京さん……いやね、こないだの事件で思ったんすよ。どのアイドルにも、その子を好きなプロデューサーがいて、だから、いらない子なんて一人もいないんじゃないか、って」
右京「君も、たまにはいいことを言いますねえ」
亀山「たまには、ってなんすかたまには……って右京さん、それ……」
右京「ええ、シンデレラガールズのCDです。僕も何か、新しいプロデュースを始めてみようかと思いまして……だからといって、天海春香を忘れたわけじゃありませんよ」
亀山「右京さん……へへっ、わかってますよそんなこと!」
角田「よっ、暇か?」
亀山「あー、暇じゃないんだな、これが。ねえ!」
右京「ええ。トップアイドルへの道は、まだ始まったばかりですからねぇ」
この物語はフィクションです
終わり
響が嫌いなわけじゃないんですよ
読んでくれた人乙です
いたみんのスピンオフに神戸くん出るんだね
>>183
劇場版楽しみです
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