ユミル×クリスタ、ユミルメイン、ユミル視点の地の文あり
52話までネタバレあり
現在公開されている情報から色々想像で補完してます
よろしくお願いします
「我らを恨むでない。全ては運命のままに-」
ここへ連れてこられた時、そう言われたのを覚えている。
それがいつの事だったかははっきりしない。
寝台に横たわりまどろむ私の顔に、高窓から入り込んだ光が差し掛かってきていた。
「…おい起きろ、いつまで寝てるつもりだ!」
(もう、朝か…)
乱暴に扉を開けて入ってきた憲兵の声に、私の意識は繋がっていく。
今日もまた変わり映えの無い一日が始まった。
「ぐずぐずしていないで早く仕事の準備をしろ」
憲兵は私の足鎖から錘を外し、こう続ける。
「今日の水汲みはいつもの倍にしておけ。馬屋の掃除も忘れるなよ」
(相変わらず人使いが荒いな…)
足鎖を引きずり井戸へ向かう途中、ふと顔を上げる。
砦を再利用した憲兵の駐屯所は、砦としては小さい方だが数人が住まうには十分な広さだった。
周囲は高い壁に囲まれており、侵入も脱出も困難だ。子供一人を軟禁するには十分と言える。
この砦で、憲兵のために洗濯をし、馬の世話をし、薪を割り、冬になれば雪をかく。それが私の生活だった。
(…そろそろ憲兵が入れ替わる頃か)
ここに連れられてもうどれだけの日々を過ごしただろうか。
気候の変動で大体の季節はわかるが、今は何日かも判然としない。
最初は木に刻みをつけて日にちを数えていたが、しばらくしてそれもやめた。
そんな事をしても私がここを出る日は来ない。
汲み上げた水を運んでいると、憲兵の声が聞こえてくる。
「おい…あいつはいつまで生かしておくつもりなんだ?」
「12歳の誕生日までだ。言っただろう、その歳にならなければ法で裁けない」
この国の法では12に満たない子供に罪を問うことはできない。
ここに連れて来られる前に私の周りにいた者達は全て殺されたが、
幼かった私はここでしかるべき時を待つことになった。
『ユミルに連なるもの』
『ユミルの民』
『ユミルを継ぎし者』
私を取り巻く環境が変わってしまったのは、ユミルとして生まれた意味をきちんと理解する前のことだった。
代わりに理解したのは、連中にとって私の存在は殺したいほど邪魔だということ。
「こうやって食わせてるのも税金の無駄遣いじゃねえか…」
「だからこうして働かせているんだろう」
「その金で村から雑用係を雇った方がマシだ。見張る必要もないしな」
「あいつが生まれてきてなけりゃ話は簡単だったのによ」
(わからねえな…何のために生まれてきたのかも、生きてることに何の意味があるのかも)
12歳を迎えたら私は処刑される。今はただ、死ぬために生きている。
一日の仕事を終え、体を拭いた私の足鎖に錘が繋がれた。
敷地の片隅にある石造りの小屋に入ると、外から鍵がかけられる。
憲兵の居館では夕食の準備が始まっているようだった。
小規模の砦に専属の料理人を配置する余裕はないらしく、日に三度、村から食事が運ばれる。
調理場でスープが温めなおされ、憲兵が食事を始めた頃に私にも食事が運ばれてくる。
「…こんばんは」
~少しだけおまけ~
エレミカ+アルミン中心、台本形式
※キャラ崩壊注意
ユミル「たったひとつの贈り物」の続きというかおまけになりますが
ユミクリ成分はアルミン視点から少しだけ(クリスタ出番なし)
サシャ「ユミル!大変です!」
ユミル「どうした芋女」
サシャ「ミカサがユミルを参考にしたせいで、エレンが入院しました!」
ユミル「知るか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アルミン「芋とパァンとエレンとミカサ」
~病院~
エレン「…ったく、本当にいい迷惑だよ」
アルミン「まあまあ、相手がミカサな事を考えると、数日の入院で済んでよかったと思うよ」
エレン「良くねえよ!あいつ、突然抱きついてきてなんて言ったと思う!?」
エレン「『エレンが生まれてきてくれて良かった。エレンと過ごす日々は私の宝物』だぞ?意味がわからねぇ」
アルミン「それは…日頃の感謝を言葉にしたというか、なんというか」
エレン「お前は俺の母親かっつーの。しかも全力で締めてくるから肋骨にヒビ入っちまった」
アルミン「ミカサのパワーもエレンの回復力も驚異的だって医者は言ってたね」
エレン「それに毎日来るもんだから、思わず言っちまったよ。『もう来なくていい』って」
アルミン「それで、僕がお見舞いを頼まれたのか…明日の退院の付き添いも」
エレン「いい加減にしてほしいよな。オレは子供じゃないんだ。いちいち付きまとわれても迷惑なんだよ」
アルミン「…」
エレン「…アルミン?」
アルミン「…」
エレン「お、おいアルミン、どうした」
アルミン「エレンはさ」
エレン「え?」
アルミン「ちょっとだけ、贅沢だよね」
エレン「お、オレが贅沢?」
アルミン「うん、それに、甘えてる」
エレン「ば、馬鹿言うなよ。オレのどこが甘えてるって言うんだ」
アルミン「ミカサに対して強く出られるのは甘えだよね。どんな事を言っても、ミカサは許してくれるっていう」
アルミン「例えばキース教官が毎日やってきても、エレンは追い返したりしないだろう?」
エレン「そ、そりゃあ、お前、教官とミカサは違うだろうが」
アルミン「教官に酷い態度をしたら評価が下がるけど、ミカサは絶対に自分を見捨てたりしないってこと?」
エレン「そ、そんなんじゃねえよ!」
アルミン「ねえエレン、どうしてミカサがエレンに付きまとうのか考えたことがある?」
エレン「…いや」
アルミン「ミカサはさ、不安なんだよ。いつかエレンが自分から離れてしまうんじゃないかって」
エレン「…」
アルミン「もし、本当にエレンが顔も見たくないほどミカサが嫌いなら」
アルミン「中途半端な対応をするんじゃなくて、はっきり言った方がいい。勿論言葉は選んでね」
アルミン「その方が、ミカサも早く楽になれると思うよ」
エレン「…あいつは家族だし、嫌いなわけじゃねえよ。ただ、少し放っておいてほしいこともあるんだ」
アルミン「それならそうと伝えてあげればいい。あとは、少し安心させてあげればいいと思うよ」
エレン「安心させる?」
アルミン「ミカサを見捨てたりしないってことを示してあげればいいんだよ。少し甘えさせてあげるとか」
エレン「き、気持ち悪い事いうなよ。甘えさせるってなんだよ」
アルミン「僕らはさ、訓練兵だけど兵団の一員で、立派な男だよね?」
アルミン「それならさ、女の子を守って、安心させてあげるのは普通だよ。ミカサだって女の子なんだから」
エレン「…あいつにそんな必要無いだろ。ぶっちぎりの主席なんだからさ、不安の一つもねえよ」
アルミン「そうでもないよ。成績は関係ない」
エレン「んな事ねえだろ。あいつは涼しい顔して一人で何でもできちまう」
エレン「…立体起動も、格闘術も馬術もあいつの方が優秀なのに、オレが守るなんて言えねえよ…」
アルミン「う~ん、そうだなあ…じゃあ、クリスタとユミルだったら、どっちがどっちを守ってると思う?」
エレン「そりゃあユミルがクリスタを守ってるに決まってんだろ」
エレン「クリスタもまあ優秀だけど、ユミルは今期のトップ10入り確実って言われてるぞ」
エレン「悪い男もクリスタにだけは手を出さないのは、ユミルが傍にいるからだっていう奴もいるくらいだ」
アルミン「だと思うでしょ?でもさ…今度あの二人をよく見てみるといいよ」
エレン「どういう事だよ」
アルミン「いつもしかめっ面で憎まれ口叩いてるユミルだけど、クリスタと二人の時だけは表情が和らいでる」
エレン「…そうなのか?」
アルミン「それを見てこう思ったんだ」
アルミン「ユミルはクリスタを守ってるだろうけど、クリスタもユミルの事をを守ってるんだろうなって」
アルミン「自分の方が弱くても、守ってあげたいって思うのはおかしなことじゃないと思う」
エレン「……」
アルミン「この場合ユミルは男じゃないんだけどね」
エレン「男より男らしいところがあったりするけどな」
アルミン「まあ、とにかく僕が言いたいのは、強い弱い関係なく、男なら女を守ってみせろってこと」
アルミン「カルラおばさんもよく言ってたでしょ?」
エレン「ああ…確かに母さんにはよく言われた」
アルミン「…そういう考えでいくと、僕はエレンよりも『男』をやってるってことになるのかな」
エレン「ミカサはお前の所に甘えに行くのかよ?」
アルミン「ほとんどエレン関係の相談だけどね。エレンを怒らせたとか、エレンに嫌われたかも、とか」
エレン「マジかよ…座学と技巧以外でお前に負けるのはなんか悔しいな…」
アルミン「ひどいなあ…ぼくは座学と技巧しか取り柄がないってこと?」
エレン「そ、そんなこと言ってねえよ、俺はただ…」
アルミン「あはは、冗談だよ。…もうそろそろ面会終了の時間だ。僕もう行くよ、おやすみ」
エレン「あ、ああ、すまなかったアルミン」
アルミン「あ、そうだエレン」
エレン「え?」
アルミン「明日は僕用事があるんだ。だから退院の付き添いはミカサに頼んでもいいよね?」
エレン「しょーがねえな…いいよ」
アルミン「じゃあ、今度こそおやすみエレン」
エレン「ああ、おやすみアルミン」
エレン「……」
~翌日~
ミカサ「エレン、大丈夫?」
エレン「ああ、もう大丈夫だ。…心配かけたな」
ミカサ「悪かった。私が色々とやり過ぎてしまった」
エレン「いいよ別に…オレの鍛え方が足りなかったんだ」
ミカサ「…」
エレン「なあミカサ」
ミカサ「?」
エレン「ええと、その、お前が、オレの事を色々心配してくれるのはありがたいんだが」
エレン「その、周りに人がいるときにあからさまに世話を焼かれると、恥ずかしいというか」
エレン「そっとしておいてくれた方が助かることもあるんだよ。…それだけだ。寮に帰ろうぜ」
ミカサ「わかった…。これからは少し控える」
エレン「…(これでいいかな…あとは安心させてやればいいんだが、どうすればいいんだ?)」
ミカサ「…」
エレン「…(こいつが本当に安心した表情を見せたのは…マフラーをやった時だったな)」
ミカサ「…」
エレン「…(マフラーを常備しておけばいいのか?でもこいつやったマフラー全部巻きとかしそうだな)」
ミカサ「…」
エレン「(う~ん、どうすれば…そうだ!)おいミカサ、手出せ」
ミカサ「手?」
エレン「そうだよ。初めて会った時も繋いで帰ったろ」
ミカサ「…エレン」
エレン「恥ずかしいから兵舎につくまでだぞ!」
ミカサ「分かった」
~~~
ミカサ「…(エレンが自分から手を繋いでくれた…)」
エレン「休んでた分を取り返さないとな。座学はアルミンに教えてもらおう」
ミカサ「…(これはもうそういうことと理解していいだろう)」
エレン「なるべく早く勘を取り戻すために、立体起動が苦手な奴の補習補佐にも積極的に名乗りを上げて…」
ミカサ「…(ミカサ・イェーガーを名乗る日も近い)」
エレン「対人格闘は…ライナーあたりに訓練が終わった後に練習に付き合ってもらうかな」
ミカサ「…(付き合う。エレンと恋人として付き合って、そして、家庭を作る)」
エレン「このままじゃまたアニ辺りに子供扱いされちまうからな」
ミカサ「…(子供…そう、家庭を作るなら子供がいる。私はエレン似の男の子が欲しい)」
エレン「見返りは…水汲み当番の交代…だけじゃやっぱり足りないかな」
ミカサ「…(一人じゃ足りないなら、もっと作ればいい…)」
エレン「追加でパン1個、だと少ないかな…ライナーはでかいからな…何個渡せば納得するかな…」
ミカサ「…(そう、エレンが納得するまで、私が頑張る)」
エレン「なあミカサ、どのくらいがいいと思う?」
ミカサ「エレンが望むなら、分隊1個分でも…」
エレン「は!?」
おわり
ありがとうございました
みんな幸せになってほしい
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