ミサト「本当にシンちゃんが嫌いなの?」(130)
アスカ「ガキだし言い訳ばっかりだしすぐ泣くし、ほんっと大っ嫌いよ!」
ミサト「ふーん」
アスカ「…」
ミサト「…」
ミサト「ここにシンちゃんの飲みかけジュースが…」
アスカ「えっ!?」ガタタッ!
ミサト「」
アスカ「」
アスカ「まあ、ね?」
ミサト「あぁ…」
アスカ「ほら、汚いじゃないそんなの! なんでバカシンジの飲みかけジュースなんかとってあるわけ?」
ミサト「ごめんね、片付け忘れてて」
アスカ「早く捨てちゃいなさいよ、ばっちぃわね!」
ミサト「ま、そうよね」
アスカ「当然よ」
ミサト「でも結構残ってるし、勿体ないから飲んじゃお」
アスカ「ダメ!!」ガタンッ!
ミサト「…」
アスカ「…ほら」
アスカ「暑い中放置されてたジュースなんか絶対体に悪いわよっ!」
ミサト「あー、それもそうねぇ」
アスカ「ミサトがそういう人だって知ってたけど、まさかここまで不潔だったなんてね!」フンッ!
ミサト「ふ、不潔とは失礼しちゃうわね」ジュースドバドバー
アスカ「………………あぁ、ジュースぅ」
学校
ヒカリ「じゃあアスカは碇くんの事が嫌いなの?」
アスカ「あったり前でしょ!?」
ヒカリ「えー?どうして?」
アスカ「大体ね、アタシは大人の男にしか興味ないの。あんな二人とつるんでバカやってる時点で眼中に無いわよ!」
ヒカリ「……ふーん」
ヒカリ「じゃあ嫌いな碇くんの作ったお弁当ちょっと頂戴?」
アスカ「だめっ」ギュッ
ヒカリ「…」
アスカ「…ほら」
アスカ「嫌いって言っても、食べ物には罪はないじゃない?」
ヒカリ「……そうだよねぇ、碇くんは嫌いでも食べ物は悪くないもんねぇ?」
アスカ「そうよ、当然でしょ?」
ヒカリ「あ、ところで」
ヒカリ「さっき綾波さんが碇くんと屋上でご飯食べるって…」
アスカ「ごめんヒカリ、用事思い出したから」ガタガタッ
屋上
シンジ「綾波、野菜ばっかりなんだね」
レイ「おにく、食べれないから…」
シンジ「そうなんだ」
レイ「うん」
シンジ「ゴーヤ、苦くないの?」
レイ「人生の味がして……好き」
アスカ「まあアタシには関係ないけど…?」
アスカ「シンジがエコヒイキと仲良さそうに話しててもアタシには関係ない…」
アスカ「……」
アスカ「嫌い嫌い嫌い!大っ嫌い!」
リツコ「そんなこと私に言われても」
アスカ「昼食にしれっと女を誘うなんて不潔よ不潔! あいつはバカ二人と仲良くやってればいいのよ!!」
リツコ「ふぅん、そう」
アスカ「なによ、その気の無い返事は」
リツコ「私はシンクロテストの結果を伝えるのが仕事。チルドレンのケアに関してはミサトに一任してるわ」
アスカ「ミサトもミサトでバカシンジに甘すぎるのよ!」
アスカ「そういえばバカシンジやエコヒイキは?」
リツコ「二人とも異常がなかったから先に帰したわ。あなただけシンクロ率に少し乱れがあったからね」
アスカ「ちょっと、なによそれ?」
リツコ「予期せぬストレスが原因だと思うけれど、場合によっては様子見が必要ね」
アスカ「エヴァ降ろされるってこと!?」
リツコ「場合によっては、よ。誤差の範囲内だし、今のところ大きな問題は無いわ」
アスカ「…」
リツコ「次までに少し素直になることをお勧めするわ」
アスカ「?」
アスカ「ただいまぁ」
シンジ「お帰りなさいアスカ」
アスカ「なに?まだご飯出来てないわけぇ?」
シンジ「これから作っちゃうから、ちょっと待ってて」
アスカ「まったく!ちんたらしてないでチャチャッとやっちゃいなさいよねバカシンジ!」
シンジ「うん、わかったよ」
アスカ「…あ、ありがt」ボソボソ
シンジ「ん?」
アスカ「何でもない!さっさと作れ!!」
ミサト「素直に、ねぇ? まあ思い当たる事っちゃあ一つしか無いんだけど…」
アスカ「なに!?」ガタッ
ミサト「ほんと分かんないの?」
アスカ「?」
ミサト「アスカさ、本当にシンちゃんのこと嫌いなの?」
アスカ「勿論だけど?」
ミサト「あーこれは重症ねー」
ミサト「ほい」
アスカ「なにこれ?」
ミサト「シンちゃんの靴下」
アスカ「ほんと!?」ガタンッ!
ミサト「」
アスカ「」
アスカ「……ほ、ほら!」
アスカ「洗濯機に入れてないから!!あのバカシンジ、あたしにはちゃんと洗濯機に入れろって言っておきながらほんっと最低!」
ミサト「うわぁ」
ミサト「アスカ!落ち着きなさいって!」
アスカ「ミサト?その靴下あたしが洗濯機に入れてくるわ」ジリッ
ミサト「え…いや、アスカさん?」
アスカ「そんな汚いものはさっさと洗わなきゃ、ミサトだって分かってるでしょ?」ジリッ ジリッ
ミサト「あ、これはヤバい目だ」
シンジ「あれ、二人ともまだ起きてたんですか?」
アスカ「」ヒュバッ!グルンッ!ズバサァ!
ミサト「あの体勢から一瞬で元居た席に!?」
シンジ「ミサトさんそれ…」
ミサト「こ、これはね?」
アスカ「ミサトぉ、早くそれ仕舞いなさいよ! シンジの靴下なんて本当ばっちぃ!!」
ミサト「えぇぇ…?」
シンジ「ああ、洗い忘れてたんですね。洗濯機に入れてきます」
ミサト「あ、うん。お願いね」
アスカ「じゃあアタシ寝るから」
シンジ「おやすみアスカ」
ミサト「…」
カヲル「ちょっといいかな惣流さん?」
アスカ「なによガチホモ」
カヲル「ホモとは何だい?リリンの新しい文明かな?」
アスカ「なにワケわかんないこと言ってんのよ」
カヲル「いや、実はキミがシンジくんを嫌っているという話を聞いてね」
アスカ「……それが何?」
カヲル「君は本当にシンジくんが嫌いなのかい?」
アスカ「そりゃそうでしょ。あんたみたいなのと変に仲良くしてれば、健全な女の子なら誰だって嫌いになるわ」
カヲル「…」
アスカ「目の前にこんな美少女がいるのよ? なのに何であんたと仲良くなるのよ!?」
カヲル「…それは」
アスカ「?」
カヲル「嫉妬かい?」
アスカ「違う!!」
カヲル「時に、ここにシンジくんの歯ブラシが」ペロッ
アスカ「!!?」
カヲル「君はシンジ君が嫌いなんだろう?」ベロッレロッ
アスカ「…その、歯ブラシから」ビキビキ
カヲル「ふぁっふぁらふぉんふぁふぉふぉふぃふぇるふぉおふぃふぇふぉ、ふぉんふぁいふぁふぃふぁほ?」ガポガポ
〔訳 : だったらこんな事してるのを見ても、問題ないだろ?〕
アスカ「手を離せゴルァァアア!!!」
カヲル「ふぁはふぃ」〔訳 : 甘い〕
アスカ「ちょこまかと!!」ブンッ
カヲル「ぷはっ、ふふふ」ヒョイッ
アスカ「純粋にキモい!」ヒュッ
カヲル「おっと」ヒョイッ
カヲル「…これは葛城三佐の言った通りだったかな」ンベロッ
アスカ「は?ミサト?」ゼエッゼエッ
カヲル「予言しよう、惣流さん」
カヲル「自分がどういう類いの人間なのか認めなければ、君はエヴァに乗れなくなる」
カヲル「自分の本性をごまかして」
カヲル「自分の心を誤魔化して」
カヲル「つまらないと思わないかい?そんな生き方」
アスカ「あんた一体、何言って…」
カヲル「僕のように生きるといい。想いに、心に従って純粋に」ポイッ
アスカ「!」パシッ
カヲル「シンジくんのもう一本の歯ブラシだ」
アスカ「!!」
カヲル「…君には期待しているよ」
夜
アスカ「…なによ」
アスカ「バカシンジの歯ブラシなんか、汚いだけじゃない」
アレー? ミサトサン,ボクノハブラシ シリマセンカ?
シラナイワヨー?
アスカ「本性?」
アスカ「誤魔化してる?」
アスカ「…」
アスカ「ちょ、ちょっとだけ…」ハァハァ
ミサト「アスカ~?」ガラッ
アスカ「!!?」ガバッ!
アスカ「なによミサト!?レディーの部屋に突然入ってくるなんて!!」
ミサト「レディーとか自分で言う? あ、いやそんな事はどうでも良くて」
ミサト「…シンちゃんの歯ブラシ、知らない?」
アスカ「!?」
ミサト「アスカ?」
アスカ「そ、そんなの知るわけ無いでしょ!?」
ミサト「本当に?」
アスカ「大体なんであたしがシンジの歯ブラシがどこに行ったかなんて知ってるのよ!?」
ミサト「…」
アスカ「っ…」
ミサト「…」ハァ
ミサト「ま、私の考えすぎってこともあるし?」
アスカ「い、一緒に探すくらいはしてあげても良いわよ?」
ミサト「そ? じゃあお願いできるかしら」
アスカ「ったく、このあたしの手を煩わせるなんてとんだガキだわ、バカシンジの奴」
ミサト「はいはい、ありがと」
アスカ ( …別に、一本くらい持っててもいいわよね?)
アスカ「どうしよう、この歯ブラシ」
アスカ「やっぱり、捨て…」
アスカ「…」
アスカ「も、勿体ないわよね、うん」ガサゴソ
カヲル「答えは見付かったかい?」ニュッ
アスカ「ほわぁぁあ!?」ビクッ!
カヲル「まだ舐めてないのかい?」ンベロンベロ
アスカ「あんたはなんで鉛筆舐めてんのよッ!?」
カヲル「シンジくんの味がするからさ」ベロンッ
カヲル「君もそれを舐めてごらんよ、ガフの扉を開くんだ」ベロンッ
アスカ「は、はぁ?なんでシンジの歯ブラシなんか舐め…」
カヲル「言っただろう?自分に嘘をついてはいけない」ベロッベロッ
カヲル「もし自分の本心が分からないなら、まずは歩き出すことも大切だよ」チュウゥゥウ
アスカ「言ってる事は全部まともなのに…」
冬月「夕食だな…」
ゲンドウ「ああ」
アスカ「あたしは… あたしは…」
カヲル「…」
カヲル「…やれやれ、仕方がない」
アスカ「え?」
カヲル「君が心のままに行動できるように、少しだけ手助けしてあげよう」
カヲル「さあ、入って」
レイ「…」
アスカ「!?」
レイ「ふぉんふぁふぉふぃ、ふぉうふうふぁふぉをふふぇふぁふぃーふぁふぁふぁーふぃーふぉ」ガボッ
〔訳 : こんな時、どういう顔をすればいいかわからないの〕
アスカ「あっ…あぁ…」ドサッ
レイ「…」ジュルッガボッ
アスカ「し、シンジの箸…」
カヲル「彼女はね、とうの昔に扉を開いていたよ」
レイ「…ぷは」レロォー
カヲル「惣流さん、君に必要なのは常識でも体面でもない」
カヲル「必要なのは本当の自分と、それを受け入れてくれる安らげる場所だよ」
カヲル「君はシンジくんに興味…いや、狂おしいまでの好意を抱いていながら、それを常識という殻で閉ざした」
カヲル「今までの常識を守る自分と、新しい有り得べからざる嗜好を持つ自分」
カヲル「そんな二面性を容易に保てるはずがない」
カヲル「そして、シンクロ率さ」
アスカ「あ、あぁあっ…」ガクガク
カヲル「本当の自分を偽る君と、偽らない彼女やシンジくん」
カヲル「…残酷なようだけど、言わせてもらうよ」
カヲル「その歯ブラシこそ、君の唯一の救いさ」
アスカ「あ…」
カヲル「さあ、彼女のように自分を解き放つんだ」
パクッ
アスカ「 」
アスカ「あっ」
トウジ「どしたセンセ?」
シンジ「うん…あれ?」
ケンスケ「どうしたんだよ碇」
シンジ「うん、体操着の上が見当たらなくて…」
トウジ「はぁ?なんやそれ?」
ケンスケ「なんだろ、まさかイジメ?」
シンジ「えぇっ?」
トウジ「けったいなやっちゃのぉ!見付けたらワイがしばいたる!!」
ケンスケ「さすが、頼りになるね」
………
シンジ「あれ?」
ミサト「どうしたのシンちゃん」
シンジ「僕の部屋、誰も入ってないですよね?」
ミサト「なんで?」
シンジ「気のせいかなぁ?」
ミサト「一体どうしたのよ?」
シンジ「ベッドがやけに乱れてるんですよ」
シンジ「まるで誰かが頭を突っ込んで顔を埋めたみたいに」
ミサト「まさか…?」
……
シンジ「アスカー」
アスカ「なに?」
シンジ「僕のシャツ知らない? ここに置いてあったんだけど…」
アスカ「あぁ、洗濯機に入れといたわよ」
シンジ「えっ!?」
アスカ「汚れたシャツがあったら洗おうと思うのは常識でしょ?」
シンジ「あ、ありがとう」
アスカ「ふんっ」
シンジ「アスカ、最近優しくなったな…」
アスカ「…いい匂いだった」スンッ
アスカ「…」
アスカ「シンジの歯ブラシ…」
アスカ「ふふふ」
アスカ「いい匂い…」ベロッ
アスカ「こんな素敵な世界があるなんて知らなかった」レロッレロッ
アスカ「ふふっ」ガボッガボッ
ヒカリ「ねえアスカ」
アスカ「なに?」パクパク
ヒカリ「アスカは碇くんのこと嫌いなんでしょ?」
アスカ「違うわよ」
ヒカリ「へ?」
アスカ「あいつが居ないとあたしが色々と困るって最近知ったし、嫌いじゃないわ」
ヒカリ「ど、どうしたのアスカ? 前までは大人の男がなんとかって…」
アスカ「さーね、知らない」
ヒカリ「えぇぇ?」
ヒカリ「……ところでアスカ、お箸変えた?」
アスカ「うん」ペロッ
リツコ「凄まじいわね…」
マヤ「シンクロ率が250%を突破しても実体を保っているなんて…」
リツコ「どうやら素直になるどころかブッ飛んでしまったようね」
マヤ「はい?」
リツコ「こっちの話よ」
アスカ (シンジのプラグスーツシンジのプラグスーツシンジのプラグスーツシンジのプラグスーツ)ハァハァハァ
カヲル「答えは出たようだね」ベロッベロッ
レイ「…」レロッレロッ
アスカ「もちろん」ンベロッンベロッ
カヲル「ところで、僕はゼーレの提唱する人類補完計画より、素晴らしい計画を思いついたよ」ガボッガボッ
レイ「聞かせて」ベロンッベロンッ
アスカ「なんか良く分かんないけどもしシンジにちょっかい出したら…」ヂューッヂューッ!
カヲル「はは、まさか」クンカクンカ
アスカ「で、何よ?」パクッパクパクッ
カヲル「僕らは新しい可能性を見付けた、碇シンジくんという希望を」スーハースーハー
レイ「碇くんは私たちの星」クンクンクン
アスカ「当然でしょ?」クンカクンカスーハースーハー
カヲル「僕達は彼を世界の救いとする」モフモフモフ
カヲル「そう、碇シンジ補完計画というのはどうだろう?」モッフフー!
レイ「色々とアウト」スリスリスリ
アスカ「でも、シンジで満たされた世界…」ウットリ
レイ「素敵」スンスンッ
カヲル「誰もが何も偽らなくていい世界、シンジくんの前で全てを晒け出す世界さ」クンカァーッ!
カヲル「ふぅ」
カヲル「僕達ならきっとやり遂げられる」
レイ「碇くんのための世界」
アスカ「シンジの匂いにまみれた世界」
カヲル、レイ、アスカ「「「素晴らしい」」」
カヲル「さあ、そろそろ新しいグッズの補給に行こうか」
レイ「最近は風邪が流行ってる」
アスカ「マスクね…」
カヲル「今度こそ君を幸せにしてあげるよ、碇シンジくん」
夜
ミサト「ねえ、アスカ?」
アスカ「なによミサト」シャコシャコ
ミサト「歯を磨きながらでいいんだけど、聞いてくれる?」
アスカ「…」シャコシャコ
ミサト「アスカは本当にシンちゃんが嫌いなの?」
アスカ「…」
ミサト「前は嫌いって言ってたけど、最近妙に距離が近いじゃない?」
アスカ「…」
ミサト「ほら、やっぱり最近のアスカが少しおかしいから、心配でね」
アスカ「…」
ミサト「…ねえアスカ?」
アスカ「…」
ミサト「ここにさ、シンジくんの靴下があるんだけど…」
アスカ「ふぃふぁふぁい」ジュボッ
ミサト「…え?」
ギィィイ
アスカ「そんな物無くても」ベロォ
ミサト「…あ、アスカ、あなたその歯ブラシ!」
アスカ「私はシンジのこと、大好きだから」ニコォ
end
以上、純愛系LASをお送りしました
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