吸血鬼少女「家出してやるっ」(32)
少女「とは言ったものの.....ここはどこ?」
少女「(暗くて道がよくわかんない.....)」
少女は手で前を確認しながらよろよろと歩く。
カラス「カカァーッ」
少女「な、何!?」ビクッ
少女「(鳥.....かな?魔界の方だと二足歩行の虹色の鳥がいたりするけど....)」
歩き回ること数分。少女はあることに気がついた。
少女「.....壁、かな?私がいる空間がなんかの壁で覆われてるような...」
少女はそーっと手を伸ばしながらその壁に触れる。
少女「そーっとそーっと.....」
バチッバチチッ
少女「.....痛い....」スリスリ
少女「(でも病み付きになりそうな痛み....)」
少女は笑みを浮かべながら壁を触る。
「見つけた....」
聞こえた言葉と同時に しゅっ と物を投げたような音が静寂を引き裂く。
少女「な、なんか光ってる.....?」
月の明かりに照らされ、銀色に光るそれは少女の胸元へと向かってくる。
少女はそれを反射的に掴んだ。
少女「.....釘....?」ジュウ.....
少女「なんか焦げ臭い匂いが....って熱っ!?」ジュゥゥ
少女はその痛みと熱さで釘を手から離す。
「やっぱり吸血鬼って銀に弱いんだね」
さっきの声と同じ高く、甘い声が耳元から聞こえた。
そして、背中に何か冷たいものを突きつけられる。
振り向くな、ということなのだろう。
少女「(お父さんから聞いたことがある....この世界には私たち、魔の者を祓う種族や職業があるって....)
少女「ぎ、銀はよくわからないけど....私が吸血鬼って知っている....ってことは、そういう職業の方かしら?」
「そう....なのかな?あたしのご主人様は『おんみょうじ』だとかなんとか言ってたかな?周りに気持ちいいくらいの痛みがする壁あったでしょ?あれもご主人様の....」
ふと思うんですが、ご主人様 を『ごしゅじんさま』と読むか『マスター』って読むか....どっちが良いんでしょうか....
少女「(お父さんが言っていた中にもそんなのがあったような気がする....だとすると....)」
少女「私は....殺されちゃう....のかな?」ウルッ
「(ご主人様は保護って言ってたけど、ご主人様には私以外の女の子はいらないし...)
「まぁ、私はそのつもりだよ...って痛ぁっ」
べしっ と叩く音が後ろで鳴り、背中に突きつけられていた冷たいものが下に落ちる。
男「狼娘。何勝手に殺そうとしてんだよ、俺たちの役目は保護だろうが」
狼娘「痛いですよ、ご主人様ぁ....。冗談に決まってるじゃないですかっ!!」
男「目が冗談とは思えない目をしてたんだけど....」
狼娘「そ、それは....勘違いです!!ご主人様の!!あ、あと私のことは『犬』と呼んでと何度言ったらわかるんですかっ!!」
男「やだよ、お前のこと犬って呼ぶと恍惚とした表情になるわ、発情期の如く胸を擦り付けてくるわ、寝床に入り込んで服を脱がせようとするわでめんどくさいんだからな」サゲスミノメセンー
狼娘「あぁ、その私を蔑むような視線....その視線と引いたような表情、その状態て『こんなことされて喜ぶとかとんだマゾ犬だな』とか言われたらあたしはっ」ハァハァ....
男「あそこで妄想して叫んだりしてるやつは置いとくとして....」チラッ
少女「は、はいなんでしょう....?」
男「ごめんな、俺の仲間が怖がらせるようなことしちゃって....」ペコリ
男は頭をかきながら申し訳なさそうに謝る。
少女「い、いえ、それは別に.....あなたが助けてくれましたし....」
男「ならいいんだ、気に病んでたらと思ってたからさ...」
少女「それよりも....ここって何処なんですか?後、私の周りを覆っているこの壁みたいなのは....」
少女は興奮気味に早口で男へ質問を投げかける。
男「あー....この世界に来たばっかで色々疑問とかあるとおもうけど、あまり時間が無くてな....質問はあとにしてもらってもいいか?」
少女「す、すいません....」
男「まぁ、そんなわけで、少し君にして欲しいことがあるんだけど...」
少女「えと....私は何をすればいいんでしょうか....?」
男「.......これを付けてほしい」
男は自分の手に巻いているブレスレットのようなものを取り外し、少女に渡す。
少女「これは...??」
男「今からこの壁....結界を解くんだけど、その時に必要な道具でさ、付けてない状態で解いちゃうと死んじゃうんだよね....」
少女「手に付ければ良いですか?」
男「持ってるだけで良いよ、ただ、絶対に離さないでね?あと三秒ほどで結界解くから」
男の言葉を聴いた瞬間、少女は手早く手首にブレスレットを付ける。
男「これでよしっ、と」
男「さてと....ココから移動するんだけど、歩けるか?」
少女「..............」zzz
男「ってなんか寝ちゃってるし....」
~移動中~(男が少女を担ぎながら歩いています)
狼娘「やっぱり寝ちゃいましたね~.....絶対ご主人様の結界って催眠作用ありますよね」
男「やっぱりって....。まぁ、お前を捕らえた時も寝ちゃったし、認めざるを得ないけどさ....」
狼娘「その時私の純潔を奪ったんですよね.....」シクシク
男「やってねえよ、そんなこと。お前の純潔はまだあるだろうが」
狼娘「(ご主人様が寝てた時にキスしちゃっただなんて言えない...)」
狼娘「(だ、だって、朝起きて起こそうとしたら可愛いご主人様の顔があって....しかも寝顔で....そ、それでつい....)」
狼娘「と、ところで、その女の子に渡したあの腕輪....他にも種類ありましたよね、私の考案した....」
男「あー....あの首輪のこと....?」
狼娘「そう、それですよっ!!私が一生懸命考案したあの首輪ですよっ!!考えてみてください、ネックレスとかを首に付ける時どうなるのかを....」
男「手を背中に回すけど....それがどうした?」
狼娘「ご主人様はわかっていませんねっ、手を背中に回す....つまり、擬似的に抱きつかれてるような構図になるんですっ!!たとえば、ご主人様に付けてもらったとしましょう。横で聞こえるご主人様の吐息、心臓の音....首にちょっと触れる暖かい手....素晴らしいと思いませんか!?」
男「お、おう....」
狼娘「そして、首輪ですよっ!!赤色と黒色...赤色は服従しているような感じになり、隣にいるだけで飼い犬ということを感じながら歩けるわけですよっ」
男「そんな理由があったんだな...あれ。となると、黒色は?」
狼娘「あまりこだわりはありませんね、赤色だけ出すと却下されそうなので、カモフラージュとして....」
狼娘「なぜだか知りませんが、私にはあの腕輪さえも触れないので、せめて、他の女の子に付けてるのを見て脳内補完をしようと思っていたのに.....」
男「悪かったよ....今度機会あったらそうするからさ」
狼娘「お願いしますよっ!!」
男「まぁ、この腕輪と首輪ってあまり使いどころないけどな....探知されないようにするためだし、大体この世界に来るのって、意思の塊ばっかだしな」
狼娘「そうなんですか?始めて聞きました....。って、その考えで行くと私危ないんじゃ....」
男「お前は大丈夫だよ、強いし、本当に危なかったら俺が助けるからさ」
狼娘「ご主人様、たまーにカッコいいこと言いますよね....」ボソッ
男「?」
狼娘「なんでもないですよ、家が見えてきましたねって言っただけですよ」
最後のとこ
狼娘「なんでもないですよ、家が見えてきましたねって言っただけです」
に変えてください。
あ、あと「俺が助ける」じゃなくて「俺が守る」の方がカッコいいと思うので、
それも変えてくれるとうれしいです。
間違え多くてすいません
男「そろそろ着くぞ、起きろ~」ユサユサ
少女「....んぅ....」スゥスゥ
狼娘「家出したり、いきなり神社に出たりで疲れたんでしょうね....もう少し寝かしておきましょうか」
男「だな」
男はそういいながら手を伸ばし、玄関を開け、入ろうとする。
男「ただい――」
狼娘「あ、ちょっと待ってくださいっ」
狼娘が玄関を抜け、靴を脱ぎ、服装を整え、深呼吸をしたかと思うと
狼娘「おかえりなさいっ、ご主人さまっ」ニコッ
と満面の笑顔で笑った。
男「あははっ、ただいまっ」
男は狼娘のその無邪気な行動に笑いながら、答える。
狼娘「何で笑うんですかー....」ムー
男「アニメとかで見たことはあるけどさ、実際やるやつがいるとは思わなくて....」プクク
狼娘「一回やってみたかったんですよー....。でも、やってみると結構恥ずかしいですね....」///
男「自分でやっておきながら、照れるのかよっ」アハハッ
また男が噴き出し腹を抱え笑う。
狼娘「わ、笑わないでくださいよっ!!」/// ポカポカ
男「わ、わかったわかった、もう笑わないからっ、あははっ」
狼娘「笑ってるじゃないですかぁ....。これ以上笑ったら夕食なしにしますからねっ!!」
狼娘は顔を真っ赤にしながら台所のある部屋へと向かっていった。
男「さてと....おふざけはこれくらいにして、少女を寝かしに行くとしますかね....」
男「.....」
男「」プッククク
狼娘「ご主人様、しつこいですっ!!」///
男「聞こえてたのか」
狼娘「私の耳をなめないでくださいよっ、家の中ならすべて聞こえるほどですからねっ」エッヘン
狼娘「あ。でも耳はなめるのは駄目ですけど、舐めるなら大歓迎ですよっ」
男「(気づいてるだろうか...離れてるのにここまで聞こえるということは...)
男「まぁ、あいつらしいといえばあいつらしいんだけどさ....」
男「(寝かす場所は....俺の布団でいいよな....?)」
男「客とか来ないから必要分しかないしな....いざとなれば俺は寝袋でもいいし」
男は綺麗にたたまれている布団を広げ、そこに少女を下ろす。
男「.....魔界の服ってこんな感じなのか?」
さっきは暗くてあまり確認できなかったが、光に照らされた状態で見ると、露出度の高い服だというのがわかる。
例えるなら....水着に布を少し増やしたような感じの服装をしていた。
男「ずっと見てるとまた狼娘になんか言われそうだな....」
男はそういいながら、布団をかける。
少女「....あったかーい...んぅ.....」
少女は寝言?を言いながら、寝息を立てはじめる。
男「あと一週間.....か」
男は机に置いてある封筒を手にとる。封筒には小さな字で『依頼』
と書かれていた。そして封筒を開け、手紙を取り出す。
手紙「~依頼~
君のことは知り合いの陰陽師から聞いている。
陰陽師は魔族を滅するのが仕事のはずだが、捕まえて保護する者がいると。
その者が君だと信じて依頼をしたいことがある。実は、私の愛娘『少女』が家出してしまってな。
どうやら、そっちの世界に行ったらしくてな、それで少女を保護して欲しいというわけだ。
依頼料はいくらでも出そう、だから娘を無事保護してくれ。
PS 保護したら同封の手紙を娘に渡してやって欲しい。
」
男「同封の手紙....ね。見ちゃいけないとは思ってたけどさ....この折り方と入れ方はないだろうよ....」
男は同封の手紙を見ながらため息をつく。
男「2枚あって、それを1枚ずつ丁寧に文面が見えるように折って入れてあるんだもんなぁ....依頼書見る時に落としちゃって、封筒に戻そうとした時何書いてあるか全部読めちゃったし...」
男「(早く言えば、外は危険だからって出掛けさせたりしてなかったから家出しちゃったんだな、ごめんなさい→どうせだから1週間ほど外を満喫して欲しいってとこだろう)
男「(正直言って良いだろうか....)」
男「非常に心配だ。依頼を受けた以上するけどさ、俺女の子をエスコートとか出来ないよ?そもそもエスコートっ何?って感じの人だよ?
そんな人と遊んで楽しめますか?いいや、楽しむどころか無言でしかない。.....心配だ」
心配 より 不安 の方がいいと思いました
どっちの方がいいですかね?
~数時間後~
少女「ん~っ....」セスジノバシー
少女「う~ん、よく寝たぁ...ふぁあ...」
少女「.....なんか良い匂いがする~...」フラァ...
少女は覚束ない足取りで手すりに捕まりながら階段を降りる。
少女「....あれ?そういえば、ここどこ??」
少女「確か私はよくわからない腕輪付けて、そした急に眠気がきて...なんだっけ?」
少女のお腹「お腹が減りましたっ」グゥウ
少女「う~ん、お腹が減ってたら考えることなんて出来ないよね、腹が減ったらなんとやら~」
そういいながら鼻を頼りに歩いていくと木で出来ている扉が見えた。
新品だからなのだろうか?木の良い香りが鼻腔をくすぐり、目がパチッと開いたような感じがした。
少女「よいしょっ」
少女は取っ手に手を添え押す。
少女「.....開かない」
少女「ならばっ、こっちはどうだっ」
次は引いてみる。
少女「.....開かない....なんで!?」
少女が押したり引いたりを繰返ししていると、不意に扉が横へと動き、
部屋が見え、男の顔が見えた。
男「おはよーさん、といってもまだ夜だけどな。夕食出来てるから手洗ってこい」
狼娘「今日は手によりをかけて作りましたから、じゃんじゃん食べてくださいねっ」
男「『手』じゃなくて『腕』な?」
狼娘「わ、わかってますよっ!!ちょっと間違えただけです!!いちいちあげ足取らないでくださいよっ」
少女「ごちそうさまでしたっ」ニコッ
狼娘「....なんというか......凄かったですね.....」ヒソヒソ
男「あぁ、あの量をぺろりとたいらげるなんて.....」ヒソヒソ
男と狼娘は少女の食いっぷりに驚いていた。
テーブルに溢れるばかりに乗っかっていた料理がたった数分で皿だけになったからだ。
男と狼娘が モグモグ だとするならば 少女は バクバクッ といった表現があっているだろう。
少女「どうしたんですか?二人ともあっけに取られたような顔しちゃって....」キョトン
男「い、いや....よく食べるなぁと思ってさ」
少女「なんたって成長期ですからねっ、すぐお腹すいちゃって....」
狼娘「まぁ、食べてもそのまな板のような胸は膨らみませんけどね」ボソッ
少女「ぐっ.....。あんただってそんな大きくないじゃないっ!!」
狼娘「なっ...!?私のはいいんですよ!!ご主人様は貧乳好きですから!!」
男「!?別に俺は貧乳好きじゃ.....」
狼娘「えっ....ってご主人様は黙っといてくださいっ」
少女「そ、そういえば、男の人に揉んでもらうと大きくなるっていうよね....」
狼娘・少女「」ハッ
狼娘・少女「「揉んでくださいっ!!」」ズイッ
男「なんで!?」
狼娘「大きくなるためにはこれしかないんですっ、ついでにご主人様にも触ってもらえるという....これこそ一石二鳥!!」
白熱するなか 風呂場のほうから
ピピッ ピッ と音が鳴った。どうやら風呂が沸いたらしい。
男「ふ、風呂も沸いたことだし、この話は中止、中止な?」
狼娘「しょ、しょうがないですね....お湯が冷めないうちに入りましょう、ご主人様....」
男「あ.....」
狼娘「あ.....」
男と狼娘がほとんど同時に声を上げる。『一緒にお風呂に入る』その言葉が二人の頭に浮かんでいた。
男「そういえば....いつも俺が狼娘の頭とか体を洗ってるよな....」ヒソヒソ.... チラッ
そう、男と狼娘は毎晩一緒にお風呂に入っていたのだ。決してやましい理由で入ってるわけではなくちゃんと理由がある。
犬の中では お風呂を好む個体と好まない個体がある。手っ取り早く言えば、彼女は後者である、というわけだ。
狼娘「ですね....」ヒソヒソ.... チラッ
少女「?」
男「狼娘、今日は少女と一緒に入ってくれないか?」
狼娘「嫌ですよっ!!一日の疲れをご主人様と一緒に入り、くつろぎ、ほぐしていく....これがお風呂の醍醐味ですよっ!?」
狼娘の発言に えっ.... と少女が声を漏らす
狼娘「あっ、えっとそういう意味ではなくてその....。あ!!いいこと思いつきましたっ!!」
男「嫌な予感しかしないんだけど....」
狼娘「みんなで一緒に入りましょうっ!!」ドンッ
このSSまとめへのコメント
男ヘタレすぐるww