ID:g6PsfsS80の代行
《にゅうがくしき》
恒子「それでは我らが学長っ、ありがたいお話をお願いしまっす!」
大沼「あー…」
(……ここは麻雀教育に力を入れた新設校、麻雀大学)
(高校麻雀で活躍した者は大体ここに入学してプロを目指す)
(もちろん大学なので普通の勉強もする)
(……ちなみに麻雀学部などは無い)
(ゆえに生徒たちにはどこかしらの学部に入ってもらう)
恒子「あれー、どしたんですか?」
大沼「……」
(……そして、生徒たちにはチームを組んでもらうことになっている)
(メンバーは学部学年出身校などには関係なく、アトランダムだ)
(メンバー数は5人、1チームにひとつずつ個室と雀卓が用意されている)
(切磋琢磨しあい、雀力を高めてほしい)
(……チーム対抗型のイベントなども用意する)
(楽しく仲良く過ごしていくなかで己を成長させていってくれ)
(……年齢とか設定とかいじられてるものもあるかもしれん)
(その辺はパラレルだと思って大目に見てほしい)
「……以上だ」
恒子「まじっすか!学長のお話でした!」
たぶんこれだけでも問題ないようになってると思いますが、いちおう前の
淡「まーじゃん大学だよ!全員しゅうごうっ!」 - SSまとめ速報
(http://www.logsoku.com/r/news4vip/1352535928/)
《ろみおとじゅりえっと》
――チーム部屋棟
エイスリン「…」ジー
「…」
「…」ペラ
ガラガラ
エイスリン「! コマキ!」
小蒔「こんにちは」ペコ
エイスリン「コンニチハ」ペコン
小蒔「…? エイスリンさんだけですか?」
エイスリン「ウン ミンナ、コナイ」
小蒔「ふむう、まあ、待ってましょうか」
エイスリン「ウン」
小蒔「お茶いれますね」
エイスリン「アリガトウ」
エイスリン「…」ペラ
小蒔「お茶、はいりました」
エイスリン「アリガトウ、コマキ」パタン
小蒔「? それ、文庫本ですか?」
エイスリン「ウン」ミセ
小蒔「! ロミオとジュリエットっ すてきですっ」
エイスリン「ウン!」
小蒔「買ったんですか?」
エイスリン「ウウン」フルフル
「…」カキカキ
「!」バッ
小蒔「わあーかわいい」
「宮永さんの、お姉さんのほうですか?」
エイスリン「ウン、テル!」
小蒔「あれ、でも照さんがどういう……あっ」ポン
「そっか、照さんにお借りしたんですね」
エイスリン「ウン!」コクン
エイスリン「ニホンゴ、オボエルノ、ホンガイイラシイワヨー」テパタパタ
「ッテ」
小蒔「…? 誰かのものまねですか?」
エイスリン「ウン」カキカキ
「!」バッ
小蒔「わああー、かわいい竹井さんですねっ」
エイスリン「ウン、ヒサ、イッテタ」
小蒔「それでロミオとジュリエットを」
エイスリン「ソウ」
小蒔「好きなんですか?」
エイスリン「ウン、ムカシ、ヨンダ」
「ロミオ、オーロミオ、ホワイアーユーロミオ?」
小蒔「! すごいですっ」パアァ
エイスリン「エヘヘ」
エイスリン「デモ、ホン、ムツカシイ」
小蒔「むむう」
エイスリン「ナカナカ、ヨミヅライ」
小蒔「そうですか…うーん」
「なにかいいやりかたがあればいいんですけど…」
「うーん」
エイスリン「ウーン」
小蒔「……あっ」ポン
エイスリン「?」
小蒔「しぇーくすぴあは、実際に喋ってみるのがいい、らしいですよ」
エイスリン「シャベル?」
小蒔「もともとがお芝居用ですから、口にするとなじみやすいそうです」
エイスリン「…?」
小蒔「だから、喋ってみたほうがおぼえられるかもしれませんっ」
エイスリン「! コマキ、モノシリ!」
小蒔「…えへへ」テレ
エイスリン「…」カキカキ
「!」バッ
小蒔「? これ、わたしとエイスリンさんですか?」
エイスリン「ウン」
小蒔「ふたりで並んで、ええと…」
「あ、一緒に読もうってことですか?」
エイスリン「ウン!」コクン
小蒔「わあっ、おもしろそうですっ」
エイスリン「!」パアァ
小蒔「じゃあお隣、おじゃましますね」タチ
エイスリン「ウン」
小蒔「んしょ」スワリ
エイスリン「エット…」ペラ ペラ
小蒔「!」
(お、思ってたより近い…)カァ
エイスリン「! ココ! コマキ」カタクッツケ
小蒔「!」ドキッ
エイスリン「コマキ、ジュリエット!」ニコッ
小蒔「は、はいっ」
エイスリン「…? コマキ、コレ…」ユビサシ
小蒔「これはケガ、です」
エイスリン「ケ、ケガヲシタ、コ、トノナイ…ヤ、ツ?」
小蒔「はい」
エイスリン「ケガヲシタコト、ノナイヤツニ……」
小蒔「かぎって、です」
エイスリン「カギッテ、タニンノ…キズ、ヲバカニ、スル」
小蒔「そうです すごいですっ、エイスリンさんっ」パアァ
エイスリン「ウン! ガンバル!」
小蒔「はいっ がんばりましょう」
ガラ ガラ…
モモ「こんにち…――!?」
(な、ななな、なんすかこれ、なにが起きてるんすか…!)
(先輩たち、肩ぴったりくっついてるっす…!)
エイスリン「コレハ?」ユビサシ
小蒔「ええと、これは……」
モモ(どうやら気付かれてないっぽいっすね)
(……)
(…もうちょっと見てよっとっす)
エイスリン「ジュリエットノバン」
小蒔「は、はいっ」
「お、おお、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」
モモ(ロミジュリ?)
(……あ)ポン
(もしかして、あの本を一緒に読んでるんすか?)
小蒔「お前だけを、あ、愛して…いると…誓って、ください…」カァ
モモ(……)
(けどなんにせよ、めっちゃかわいいっす…!)
小蒔「どうかその名前を捨ててください、そしてその代わりに…」
モモ(小蒔先輩、顔真っ赤っかっすね……ん?)
エイスリン「…」ジー
小蒔「わたしを、わたしのすべてを、お取りになって…」カァ
エイスリン「…」ジー
モモ(…エイちゃん先輩、小蒔先輩を見つめてどうしたんすかね?)
小蒔「? つぎ、ロミオのセリフです」
エイスリン「…オッシャルト、オリニ、イタシマショウ」
「ワタシヲ…」
「…ワタシヲ、タダ……」ジィー
小蒔「…?」
エイスリン「コイシイヒトト、ヨンデ……」
小蒔「!」ドキッ
エイスリン「…クダサイ」
小蒔「…」カアァ
モモ「…!」ドキドキドキドキ
(やばいっす!いまのはほんとにやばいっす!)
エイスリン「…」ジーッ
「コマキ、ダイジョウブ…?」
小蒔「は、はいっ! …え?……ええと?」
エイスリン「コマキ、サッキカラカオアカイ…カゼ?」
小蒔「! いっ、いえ、だいじょうぶですっ」
エイスリン「ホント?」
小蒔「ほんとです、元気です」アセアセ
エイスリン「ヨカッタ」ニコッ
小蒔「!」ドキッ
「…お、お気遣い、ありがとうごさいますっ」ペコン
モモ(なんだ、顔赤いから心配してただけっすかー)
ガラガラ
由子「遅くなってごめんなさいなのよー」
モモ(! ゆーこ先輩っす)
由子「? なんでふたりはそんなくっついてるのよー?」
小蒔「! こ、これはっ、その」
エイスリン「ホン、ヨンデル」ミセ
由子「ほん?」
エイスリン「ニホンゴ、ベンキョウ」
由子「ああ、なるほどなのよー」
モモ(へえ、それでロミジュリを…そういうことだったんすか)
由子「じゃあ小蒔はそのお手伝いなのよー?」
小蒔「はい、声に出したほうがいいから、役を振って」
由子「やさしいのよー」
小蒔「い、いえ、そんな」
由子「にしても、ロミオとジュリエット、懐かしいのよー」
エイスリン「ナツカシイ?」
由子「まえに、クラスの劇でやったのよー」
小蒔「わあ、なんの役だったんですか?」
由子「マキューシオなのよー」
小蒔「マキューシオって…ええと」
モモ「ロミオの友だちで、ジュリエットの親戚に殺されちゃうひとっす」スゥ
小蒔「わ、東横さん」
モモ「こんにちはっす」ペコ
小蒔「こ、こんにちはっ」ペコン
エイスリン「ユーコ、ユーコ」クイクイ
由子「?」
エイスリン「マキューシオ、ミタイ」
由子「! オーケーよー」
「よーし、ひさびさにやっちゃうのよー!」
由子「ロミオ!怖じ気づいたのよー?」
「馬鹿にされっぱなしでいいのよー?」プンプン
エイスリン「ワア」パチパチ
モモ「すごい、セリフおぼえてるんすか?」
由子「まあだいたいは、なのよー」
「…ぼくは我慢ならないのよー!」
「シャキーンなのよー」ケンヲヌクフリ
小蒔「…」ゴクリ
由子「やいディバルト、剣を抜けなのよー」ブンブン
「……」
「いくぞなのよー!」ブン
モモ(ディバルトが剣を抜く間まで完璧っす…!)
由子「カキンカキンなのよー」ブンブン
由子「カキン、カキーンなのよー」ブンブン
モモ(…正直これは面白い光景っすね)
エイスリン「ユーコ、カッコイイ!」
由子「カキン、カキン、あっ!」
「ザクッ!」
小蒔「!」
由子「な、なのよー…」パタッ
エイスリン「マキューシオ! マキューシオ、ダイジョウブ?」
モモ「おお、ロミオ登場っす」
由子「も、もうダメよー…」
「やられちゃったのよー…ぼくは死ぬのよー…」
「みんな…みんな、君たち両家が悪いのよー…」
エイスリン「マキューシオ…」
由子「君たち…君たちなんか…」
「君たち両家なんか、みんなのろわれてしまえばいいのよー!」
「…」ガクッ
ガラガラ
やえ「随分かわいいマキューシオだな」
エイスリン「ヤエ!」
小蒔「小走先輩、こんにちはっ」ペコン
モモ「こんにちはっす」ペコ
やえ「うん、遅くなってすまないね」
由子「やえー、いつからみてたのよー?」
やえ「ん?たったいまだけど」
モモ「それでよくマキューシオだってわかったっすね」
やえ「まあ、ちょうどマキューシオらしいセリフだったからね」
モモ「さすがっす…!」
やえ「…で、なんでロミオとジュリエットを?」
エイスリン「ニホンゴ、ベンキョウ!」
やえ「…?」
やえ「なるほど、そういうことか」
「たしかに実際に喋ってみるほうがおぼえはいいだろうね」
由子「それに楽しいのよー」
エイスリン「ウン!タノシイ!」
やえ「ふーん」
「…!」ポン
「…それならさ」
モモ「?」
やえ「本当にやってみるか?劇」
モモ「!」
小蒔「え、ええと、どういうことですか?」
やえ「や、なーに、ついさっきまで、文化祭の説明会に出てたんだけどね」
小蒔「文化祭?」
やえ「うん そこで今年はチームごとに出し物をすることに決まったんだ」
由子「その出し物に劇をやるのよー?」
やえ「そうそう」
「出店とかでもいいんだけど、もしやってみたいなら、ね」
小蒔「わあー」パアァ
エイスリン「ゲキ、ヤリタイ!」
モモ「面白そうっす!」
やえ「由子はどう?」
由子「わたしはマキューシオならいいのよー」
やえ「決まりだな」
小蒔「あ、でも、脚本はどうするんですか?」
やえ「んー? それくらいならわたしが…」
「……」
「…いや、そうだな」
小蒔「…?」
やえ「小蒔、書いてみる?」
小蒔「えっ? ……ええっ!?」
やえ「あとエイスリンも」
エイスリン「! イイノ?」
やえ「やってみたいだろ?」
エイスリン「ウン!」コクン
やえ「小蒔、ふたりで書いてみたらどうかな?」
小蒔「で、でもわたし、そういうの書いたことなんか……」アタフタ
エイスリン「コマキ、キャクホンヤロ!」クイクイ
小蒔「え、ええっと」アタフタ
やえ「なーに、心配しなさんな 協力ならいくらでもしてやるから」
小蒔「! ほんとですか?」
やえ「ああ、だから気楽に気楽に」
「楽しくやってくれりゃそれでいいんだ」
「こういうのは楽しんだもん勝ちだからな」
小蒔「…!」
「たのしんだもん、がち…」
やえ「まあ、嫌なら無理にとは…」
小蒔「や…やりますっ!」
やえ「いいのか?」
小蒔「はいっ、や、やってみたいですっ!」
エイスリン「ヤッタ、コマキ!」ダキッ
小蒔「わわ、エイスリンさんっ」
エイスリン「ガンバロ!」
小蒔「は、はいっ」
やえ「…」フッ
由子「やえー、よかったのよー?」
やえ「んー?」
由子「やえ、脚本とか好きそうなのよー?」
やえ「いいのいいの」
「上がでしゃばってもつまんないだろ?」
由子「やえ…」
やえ「それに、こういうのもいい経験だろうしね」
モモ「しぶいっす! やえちゃん先輩!」
やえ「はっはっは」
やえ「よーし、小蒔!エイスリン!」
小蒔&エイスリン「!」
やえ「うちのチームでやる以上、ニワカ脚本じゃあダメだぞ!」
小蒔「は、はいっ!」
やえ「なんか困ったことがあったらすぐ言うように!」
エイスリン「ウン!」
やえ「よーし、じゃあまあがんばってもらおうか!」
小蒔「はいっ!」
エイスリン「ガンバル!」
やえ「…」フッ
「おまえら!」
「魅せてやるぞ、王者の演劇を!!」ビシィッ
小蒔&エイスリン&モモ&由子「おーっ!!」
カン!
《つーりんぐ》
――まーじゃん大学近く 学生アパート(よなか)
ピンポーン
尭深『…はい』
友香「お迎えにあがりましたー」
尭深『うん…いま出るね』
友香「はいでー」
ガチャ
尭深「ごめんね、わざわざ…」
友香「いえいえー」
「? あれ、それパジャマですかー?」
尭深「…? うん」
友香「そと寒いですよー、バイクだと尚のことですしー」
「待ってますから、あったかい格好に着替えてきてください」
尭深「わかった…ごめんね」
友香「全然っ」
ガチャ
尭深「…おまたせ」
「これなら寒くないかな…?」
友香「うん、それくらい着込めば大丈夫でー」
尭深「よかった」
友香「じゃあ行きましょうか」
尭深「…」コクン
友香「これ、先輩のヘルメットでー」
尭深「…」ウケトリ
友香「しっかりつけといてくださいねー」
尭深「…うん」
友香「よっし先輩っ、乗ってくださいっ」
尭深「…ここ?」
友香「そこです」
尭深「ん…」チョコン
友香「しっかり捕まっててくださいね」
尭深「…うん」ダキ
友香「じゃ、発車しますっ!」
尭深「…」
ブンブンブン ブーン
尭深「!」ギュッ
友香「…」ブーン
尭深「…」
友香「…大丈夫ですかー?先輩」
尭深「…うん」
友香「じゃあ、もうちょっとスピードだしますね」
尭深「……」ギュ
ブーン
…――半日前 チーム部屋棟
久「へー、もうバイクの後ろに人乗せられるのねー」
友香「はい、免許取って何年か経ってるんでー 高速はまだですけど」
花子「わー、すっげーなー」
玄「高速は、って?」
久「高速での二人乗りはまた条件が違うのよ とりあえずハタチ以上じゃないとダメね」
友香「そうでー」
玄「ふーむ、なるほどなるほど」
花子「でーもやっぱかっけーなーバイク」
「写真とかないの?バイク乗ってんのとかさ」
友香「ありますよー」シャメミセ
花子「お、ライダースーツ?似合ってんなー」
玄「わー、わたしも見たいですっ」
花子「ほらほら」
玄「おー!」
尭深「…」
久「どれどれ…あら、ほんとにきまってるわねー」
友香「いやー、それほどでもでー」
花子「ほら、たかみーも見てみ?」ミセ
尭深「…」
花子「似合ってるよなー、バイク」
尭深「…かっこいい、です」
花子「だよなー」
友香「へへー」
尭深「…」
久「わたしもバイク買おうかしら」
花子「マジ?あーでも久もバイク似合いそうだわ」
玄「うーむ、たしかにっ」
久「そう?ありがとう」
尭深「…」
久「あら、そろそろ授業ね」
花子「だりー」
玄「あっ、宿題やってない…わわ、どーしよう…」
久「じゃあね」
友香「いってらっしゃいでー」
尭深「…」ペコ
ガラガララー
友香「…」
尭深「…」
友香「…あ、たかみー先輩、お茶いれましょうか?」
尭深「…うん、おねがい」
友香「はいでー」
尭深「…」
友香「このお茶でいいですか?」
尭深「うん」
尭深「…」
友香「ふんふんふふーん」
尭深「…」
友香「ふふんふんふーん」
尭深「……」
「…あの」
友香「? なんですか?」
尭深「……」
「…バイク」
友香「…?」
尭深「……バイク、乗ってみたい」
友香「!」
―――…
――海沿いのみち
ブーン
尭深「…」
友香「先輩、海、みえますかー?」
尭深「…ううん」
友香「そっかあ、暗いですからねー…すぐ横なんですけどー」
尭深「…でも」
友香「?」
尭深「潮のにおい」
友香「!」
尭深「…」
友香「…ちょっと、スピード落としてみましょうか」
尭深「…?」
友香「波のおとも聞こえるかも」
尭深「!」
「…うん」
尭深「…友香ちゃん」
友香「なんですかー?」
尭深「…どこまで、行くの」
友香「んー、どうしましょっか」
尭深「…?」
友香「どこまででも行けますよー」
尭深「……どこまででも」
友香「はいでー」
尭深「…」
友香「どうします?」
尭深「…じゃあ」
友香「はい」
尭深「もうちょっと…つれてって」
友香「了解でー」
ブーン
ブーン
友香「…」
尭深「…」
友香「…そろそろかなあ」
尭深「…?」
友香「先輩、海、みててください」
尭深「? …うん」
友香「たぶんもうちょっとなんでー」
尭深「…?」
…パアァ
尭深「!」
パアアアァァ
尭深「…」
友香「…」
尭深「……日の出…」
友香「そうでー」
尭深「…」
友香「…」
尭深「…」ギューッ
ブーン
――海岸近く
友香「この辺で、いったん休憩しましょうか」バイクトメ
尭深「…うん」
友香「ふー」ヘルメットトリ
尭深「…」ヘルメットトリ
友香「んー!」ノビー
尭深「…」ノビ
友香「んっしょでー」スワリ
尭深「…」
「…」スワリ
友香「先輩」
尭深「…?」
友香「海っ」
尭深「…」
友香「なんか、よくないですか?」
尭深「……」
「…うん」
「すごい、いい」
友香「でしょー」ニカッ
尭深「…」
友香「先輩、ここね…」
尭深「…?」
友香「…ここ、わたしのお気に入りの場所なんです」
尭深「…」
友香「たまに来て、こうやって朝日をみて…」
尭深「…」
友香「バイクでひゅばーっって風を切るのもすっごい好きですけど…」
尭深「…うん」
友香「ほんとは、ここに来たいのかもでー」
尭深「…」ヨリカカリ
友香「先輩?」
尭深「…」
友香「……冷えますね」
尭深「…うん」
尭深「…そういえば」
友香「なんですかー?」
尭深「お茶…もってきたの」っ水筒
友香「!」
尭深「のむ…?」
友香「いいんですかー?」
尭深「うん」
友香「じゃあいただきます」
尭深「…どうぞ」ワタシ
友香「ありがとうございますー」
「…」
「んー、あったかでー」
尭深「…」
友香「先輩も」ワタシ
尭深「うん」
「…」
「…あったかい」
友香「ふー…じゃあそろそろ帰りましょうか」
尭深「…」
友香「ヘルメットどうぞー」
尭深「…また」
友香「?」
尭深「また…ここ、来たい」
友香「!」
尭深「…」
友香「じゃあ、また来ましょう、一緒にっ」
尭深「…うん」コクン
友香「へへへ」
尭深「…」
友香「先輩、乗って」
尭深「うん」
友香「飛ばしますよー」
尭深「…」コクン
友香「発車ー」
ブーン
尭深「…」
「…」ギューッ
もいっこカン!
《あるばいと》
――チーム部屋棟(ゆうがた)
ソフィア「あれ、ケータイ変えたのか?」
宥「うん…これ、あったかいんだあ」
まこ「! わざわざ発熱しやすいのに変えたんか?」
宥「わたし、不器用だから…操作するとき…手袋外さなきゃいけなくて…」
浩子「先輩の寒がりはほんま筋金入りですね」
宥「えへへ」
まこ「いや、てれるとこじゃ…」
宥「…?」
衣「…」ボー
ソフィア「でもそれ結構新しい機種だよな?」
宥「うん…このまえ出たのだって、お店のひとが…」
ソフィア「いいなー、高かったろ?」
宥「ええと…――円、くらい」
ソフィア「うお…よくそんな金あったな」
宥「…アルバイト、してるから」
衣「!」
浩子「初耳ですね なんのバイトしてはるんですか?」
まこ「おお、たしかに聞いてみたいのう」
宥「…か」
浩子「か?」
宥「……家庭、教師の…アルバイトを…」カァ
ソフィア&まこ&浩子「!」
宥「…」カアァ
ソフィア&まこ&浩子(イメージぴったり…!!)
衣「…」ジーッ
ソフィア「宥が先生ならがんばっちゃうよなー」
宥「えっ?」
まこ「そうじゃなあ、男子にとっちゃあたまらんじゃろ」
宥「あ、あのっ…」
浩子「甘いで 先輩なら女子でもいける」
宥「え……ええ…?」
ソフィア「はは、いけるいける!」ケラケラ
「…ん?」
衣「…」ジーッ
ソフィア「どうしたー?天江」
衣「! な、なにがだ?」
ソフィア「いや、なんか言いたげだったろ、いま」
衣「べっ、べつに、そんなことは…」
ソフィア「んー?」ジー
衣「なにも…」カオソラシ
ソフィア「…そうか?」
衣「…」
「…」コクン
衣「…あ、そろそろ行かないと」
浩子「? なんや用事か?」
衣「う、うんっ! ちょっと野暮用がなっ」
宥「野暮用…?」
衣「あ…え、えっと、じゃあまた、明日…」
ソフィア「? うん、じゃあな」
ガラガラ
まこ「…? なんじゃあ…?」
浩子「なんや変なかんじでしたね」
宥「用事って…なんの用事だろうね…?」
ソフィア「さあなあ…」
浩子「…心配ですか?」
ソフィア「うー…ん? え、いや、そんなことねーけど!」
浩子(このひとの世話焼きも筋金入りやなあ…)
ソフィア「よ、よし、打つぞ! 麻雀だ、麻雀!」
宥「…ロン」
ソフィア「あっちゃー、まくられちまったかー」
浩子「いまのは読めませんでしたね」
まこ「わしゃー来る気がしとったけどな」
浩子「ほんま? どのへんで察しとるんや?」
まこ「どのへんっちゅーかのう…まずあれがこれしとるから…」
浩子「ふんふん」
まこ「ここが、来るような、みたいなかんじじゃな」
浩子「んー…わからんなあ」
まこ「わしのは理屈じゃないけえ…すまんのう」
ソフィア「さて、そろそろ切りあげて帰るか」
宥「そうだね…暗くなってきたし」
まこ&浩子「はーい」
宥「そと…寒そう…」プルプル
ソフィア「きょう、風強いからなあ」
ガラガラ
浩子「! さむっ!」
まこ「こりゃあもう一枚着てきたほうがよかったかのう…」
ソフィア「大丈夫かー?宥」
宥「だ…だいじょうぶ…」プルプルプルプル
浩子「…あかんですね」
まこ「先輩、わしの上着着てください」カケ
宥「え…でも…」プルプルプル
浩子「わたしのもどーぞです」カケ
宥「そんな…あの…」プルプル
まこ「ええからええから」
浩子「気にせんでください」
宥「ふたりとも……ありがとう…」プルプル
ソフィア「しっかしこう寒くちゃなー」
浩子「ですねー」
ソフィア「んー…」
宥「上着…あったかい」プルプル
ソフィア「……」
「…ラーメンでも行くか?」
宥「!」
まこ「おお!ええのう、ラーメン」
浩子「でも、珍しいですね?」
ソフィア「近くにうまいって評判のとこがあってさ、行ってみたいんだわ」
浩子「ああ、学校裏の?」
ソフィア「そうそう」
浩子「たしかにいい評判聞きますね 何から何までうまいとか」
まこ「ほう…すごいほめられっぷりじゃのう」
浩子「そやろ? わたしもちょっと興味あったんや」
宥「ラーメン…あったかい…」プルプル
ソフィア「よーし、じゃあ決まりだな」
――ラーメン屋『伝説』
ガラガラ
晴絵「へいらっしゃい!」
まこ「おー、老舗ってかんじじゃのう」
浩子「でも大将は若いみたいやな」
宥「わあー、あったかい…」
衣「いらっしゃいませー」トコトコ
「何名さまで…――!?」
宥&まこ&浩子「!!?」
ソフィア「……天江?」
衣「お、おまえら…なんで…」
晴絵「衣? どうかした?」
衣「な、なんでもありませんっ! 4に…名、さま……ですか?」
ソフィア「あ、ああ…そうだけど…」
衣「……こちらのテーブル席、ご利用ください」
ソフィア「…は、はい」
浩子「正直どういうことなんかさっぱりわからんのですけど…」ヒソヒソ
まこ「先輩がたも知らんかったんか…?」ヒソヒソ
宥「うん…」ヒソヒソ
ソフィア「全然だぜ…ラーメン屋どころか、バイトしてたことすら…」ヒソヒソ
衣「……お冷や」
ソフィア&宥&まこ&浩子「!」ビクッ
衣「…お持ち、しました」
「こちらお手拭きです」
ソフィア「お、おう、サンキューな」
衣「ご注文はお決まりですか?」
ソフィア「あ、まだ…ごめん」
衣「いえ お決まりになったらお呼びください」
ソフィア「う、うん」
衣「失礼します」ペコン
ソフィア「ああ…」
浩子(なんや…このしっかりした生きもんは…)
衣「チャーシュー麺がおひとつ、あんかけラーメンがおひとつ」
「醤油ラーメンがおひとつに、ワカメラーメンワカメ増しがおひとつ」
「以上でよろしいですか?」
ソフィア「ああ、大丈夫…です」
衣「かしこまりました、少々お待ちください」ペコン
「…」トコトコ
「……」チラ
ソフィア「ん?」
衣「……」
「しょ、醤油一丁!チャー一丁!かけ一丁にワカメ増し一丁入りゃーしたっ!」
晴絵「はーい、あっしゃーしたーっ!!」
ソフィア&宥&まこ&浩子「…」アゼン
衣「…」カアァ
「…」
「…」トコトコ
ソフィア「…」
ソフィア「……なんつーか、さ」
宥「…うん」
ソフィア「…がんばってる、みたいだな、天江」
まこ「……そうじゃのう、ちょっとびっくりじゃが」
ソフィア「うちらも…なるべく自然にしといてやろうぜ」
浩子「…ですね」
衣「…以上でご注文の品、お揃いですか?」
ソフィア「はい」
衣「では、ごゆっくりどうぞ」ペコン
「…」トコトコ
ソフィア「…」
浩子「これは…聞いてた以上においしそうですね」
ソフィア「…」
浩子「? 先輩?」
ソフィア「! あ、ああ、じゃあ食べるか」
浩子「…?」
ソフィア&宥&まこ&浩子「いただきまーす」
宥「! あんかけ、あったかい…!」
まこ「いいワカメ使っとる…!」
浩子「うまっ、何でダシとってるんやろ」
ソフィア「! チャーシューやわらかっ!」
浩子「不思議や…おなかいっぱい食べたのに…」
まこ「また一杯食べれるような…食べたくなるような…」
宥「…」ホクホク
衣「空いた器、お下げしてもよろしいですか?」
ソフィア「うん、気をつけてな」ワタシ
衣「…!」
「…」ウケトリ
「……ありがとう、ございます」
ソフィア「?」
衣「…」トコ トコ
浩子「あーあ、今のはあかんですよ」
ソフィア「え?なにが?」
浩子「先輩が言うたんですよ? 自然に、て」
ソフィア「…?」
浩子「やのに、気をつけて、なんて…子どもみたいに」
ソフィア「……あ」
ソフィア「どうしよ…天江、気にしてるかな…」
浩子「……まあ、ちょっとへこんだ顔でしたよ」
ソフィア「あ、謝ってくる!」
浩子「待ち! 落ち着いてください、先輩!」
ソフィア「でも…!」
浩子「そんなんしたらますます…」
晴絵「なになに、衣のはなし?」
ソフィア&宥&まこ&浩子「!」ビクッ!
晴絵「さっきから気になってたんだけど、君たち衣の友だち?」
ソフィア「あ、えっと…」
宥「大学の、チームメイト…です」
晴絵「あー、そういう… なるほどねー」
ソフィア「…」
晴絵「衣のこと知ってて来たの?」
浩子「いえ」フルフル
晴絵「じゃあ偶然? へー、面白いもんだね」
まこ「あの…こんなとこで話してていいんですかのう?」
晴絵「んー? 今ちょうど手が空いたとこでね」
宥「衣ちゃんは…?」
晴絵「いま食器洗ってるけど…呼ばないほうがいいんだろ?」
宥「…はい」
ソフィア「あ、あのっ」
晴絵「ん? なに?」
ソフィア「……天江は、いつからここで…?」
晴絵「んーと、3ヶ月くらい前かなあ」
ソフィア「そんな…前から…」
晴絵「あー…えっと、知らされてなくてさみしいとか…?」
「たぶんだけど、衣も悪気があっ――」
ソフィア「いっ、いえっ! そういうんじゃなくて!」
晴絵「?」
ソフィア「……割と、その…つづいてるんだな、って思っただけです」
晴絵「ああ、なるほど」
ソフィア「あ、あいつ、その…」
晴絵「?」
ソフィア「ご迷惑とか、掛けてませんか…?」
浩子「ちょお、先輩!」
晴絵「……」
「…迷惑、ねえ」
浩子「先ぱ――」
宥「浩子ちゃん」
浩子「? 宥先輩…?」
宥「……ちょっと、待ってよう…?」
浩子「え?」
ソフィア「あ、天江は!」
「……天江はその…子どもっぽいし、変なやつで…」
晴絵「……」
ソフィア「なんか、いろいろやらかしてるんじゃ…ってかんじで…」
晴絵「……」
ソフィア「でっ、でも、根は素直でいいやつなんですっ」
晴絵「……」
ソフィア「あ、あいつが、天江があんながんばってるとこ、はじめてみたんですっ」
「だから、その…」
「どうか、天江のこと、よろしくおねがいします…!」ペコン
晴絵「……」
ソフィア「…」
晴絵「…あの子がはじめてうちに来たときはさあ」
ソフィア「…?」
晴絵「正直、ダメなんてもんじゃなかったよ」
ソフィア「!」
晴絵「ダメダメだったね」
晴絵「まず敬語が使えないし、食器も取れない運べない洗えないの三拍子」
「注文は覚えられないし、ろくに伝えられないし、水はこぼすし」
「そんでもって失敗したら泣くんだから…あれは手に負えなかったな」
ソフィア「あ、あの…」
晴絵「まー聞きなよ」
ソフィア「! は、はい」
晴絵「…正直クビにしようとも思ったよ、何回か」
「泣かれてかわいそうだからって雇ってられるわけでもないしね」
「だから本人にも、そんなんならやめてもらうぞって言ったんだ」
ソフィア「……」
晴絵「その時は、それはいやだって言って、また泣いてたんだけどさ…」
ソフィア「……」
晴絵「だんだん、泣きやむまでの時間が短くなっていったんだよね」
ソフィア「……」
晴絵「…それで、ついには泣かなくなった」
晴絵「そこから先は早かったよ」
「できる仕事もちょっとずつ増えてって、今じゃあの通り」
「注文伝える声、結構通ってたでしょ?」
ソフィア「…はい」コクン
晴絵「あはは 最初は全然聞こえなかったんだよ、あれ」
「…だからさ」
「わたしが君に言いたいことはひとつだよ」
ソフィア「…?」
晴絵「……うちのバイト舐めんなよ」
ソフィア「!」ビクッ
晴絵「衣はもう、心配してもらわなきゃいけないような子じゃない」
「保護者付きじゃないと何もできないガキじゃあ、ない」
「よろしくお願い、なんて、してほしくないんだよ、衣のこと」
ソフィア「あ…」
晴絵「…わかった?」
ソフィア「は、はいっ!」
晴絵「わかればよろしい」
晴絵「まあさ、心配になるのは分かるけど、信じてやんなよ」
ソフィア「…!」
晴絵「それが、本人もいちばん嬉しいだろうからさ」
ソフィア「…はい」
晴絵「あんたたちもね」
宥&まこ&浩子「…」コクン
晴絵「…ふう、じゃあ戻るとしますかね」
ソフィア「あ、あの」
晴絵「…?」
ソフィア「失礼なこと言って…すいませんでしたっ」ペコン
晴絵「…」フッ
「ごゆっくり」ヒラヒラ
――よる
衣「お先に失礼しまーす」
晴絵「おう、またな」
ガラガラ
衣「! 寒いな…」
「……」
「…くしゅんっ」
ソフィア「…風邪引くぞ」ウワギカケ
衣「! ソフィア!」
ソフィア「……」
衣「……ずっと、待ってたのか?」
ソフィア「…うん」
衣「なんで…」
ソフィア「謝ろうと…思ってよ」
衣「…?」
ソフィア「……わたし、おまえのこと舐めてたわ」
衣「!」
ソフィア「ごめんな」
衣「……べっ」
ソフィア「…?」
衣「別に、そんなこと気にしてないぞ!」
ソフィア「…そっか」
衣「ソフィアは気にしいさんだなっ」
ソフィア「そうだな」
衣「それに……こんな、寒いのに…待ってるなんて…」
ソフィア「…」
衣「……ソフィアのほうが、ずっと子どもだ」
ソフィア「…ほんとにそーだなあ こういうとこがダメなんだろうなあ」
衣「…そうだ」
ソフィア「悪かったよ」
衣「……」
ソフィア「ごめん」
衣「……ううん、いい」
衣「……ほんとは」
ソフィア「ん?」
衣「…ほんとは、もっとちゃんと働けるようになったら誘おうと、思ってたんだ」
ソフィア「…」
衣「衣がしっかりしてたら、みんな驚くだろ?」
ソフィア「…まあ、なあ」
衣「それに…」
ソフィア「…?」
衣「…みんなには、いつも世話になってるから……しっかりした衣を見て、もらおうと…」
ソフィア「……見たよ」
衣「…いや」
ソフィア「…ちゃんと、働いてたじゃねーか 大将もほめてたぞ」
衣「? ハルエが?」
ソフィア「うん…お前はもうガキじゃないってよ」
衣「……そうか、ハルエが、な…」
ソフィア「…つーか、呼び捨てなんだな?」
衣「ケーゴはお客さんの前だけだって、ハルエが決めたんだ」
ソフィア「へえ」
衣「ハルエがいちばんケーゴ苦手だからなっ」
ソフィア「マジかよ」
衣「まじだぞっ」
ソフィア「…ふ、ふふ…おもしれーな、それ、はは」
衣「……ぷ、ぷくく、ふふ」
ソフィア「はは、はははははは!」
衣「ふふっ、あはははは!」
ソフィア「あはははは…ふう、天江さー」
衣「なんだ?」
ソフィア「おまえ、ハタチ過ぎてたよな」
衣「うん、超えたぞ」
ソフィア「…じゃあ、さ」
衣「…?」
ソフィア「こんど、わたしがバイトしてる居酒屋に来いよ」
衣「! いいのか?」
ソフィア「ああ、うまい酒おごってやるからさ」
衣「いく!」
ソフィア「大丈夫かー? 甘っちょろいのは出さねーぞ?」
衣「む、だいじょうぶだぞ!」
ソフィア「はは、そっか、そうだよな、ははは」
衣「?」
ソフィア「よし、じゃあ来いっ」
衣「! うんっ」
浩子「わたしらもお邪魔したいですな」ニュッ
ソフィア&衣「!?」
まこ「わしゃあイモ焼酎が好きじゃなあ」ヒョコン
宥「熱燗…あったかい…」プルプル
ソフィア「おまえら…帰ったんじゃ…」
浩子「先輩ひとり置いて帰れますかいな」
まこ「駅で分かれてから、こっそり戻る先輩がみえたんでのう」
衣「宥ー、すごいもこもこしてるな?」
宥「うん…ふたりが上着を貸してくれたの」プルプル
浩子「先輩自慢のお酒、飲みたいなー」
まこ「さぞうまいんじゃろうなー」
ソフィア「…」ハァ
「…しょーがねえ」
浩子&まこ「!」ニヤ
ソフィア「おまえらまとめてご馳走しつくしてやるよ!」
浩子&まこ「よっしゃーい!」
もいっこカン!
《きゃんぷ》
――ワハハカー
智美「ワハハー、もうすぐだぞー」ガタンガタン
絹恵「や、やっと…やっと…!」
美幸「この車から…降りられるのね…もー…!」
智美「運転上手くなったって言われたんだけどなー、これでも」
美幸「誰によもー…」
智美「ゆみちん」
絹恵「つまり…加治木さんはこれよりあかんのを体験したと…?」
美幸「強いわけだわもー…」
智美「ワハハ、修行みたいな言いかたするなよー」
誠子「園城寺先輩、だいじょうぶですか?」サスサス
怜「う……ん…」ガンメンソウハク
智美「ワハハー、だいじょーぶかとっきー」
怜「…だいじょ、ぶ……やない……かも……」
――川辺のキャンプ場
智美「着いたぞー」
絹恵「……ああ、大地や」
美幸「また、この上に立てるなんて…夢のようよ、もー…」
誠子「先輩、ほら、着きましたよ」オンブ
怜「……ごめんな、せーこ」オンブサレ
智美「よーし、まずはテントをはるぞー!」
絹恵「はーい」
美幸「やるかーもー」
怜「…う、うちも」フラッ
誠子「えっ、先輩、無理しないほうが…」
怜「でも…」
智美「…」
「…ワハハ、やっぱちょっと休憩にするかー」
絹恵「?」
智美「運転で疲れちゃったからなー」
絹恵「やった、ほならあっちの自販機で飲み物買ってきます」
美幸「わたしもいくーもー」
絹恵「みなさん何飲まれます?」
智美「サイダーがいいなー」
誠子「あ、じゃあライフガードを…先輩は?」
怜「お茶を…」
絹恵「りょーかいです」
美幸「ライフガードあるかなもー」テクテク
絹恵「さっきちらっとみたときありましたで」テクテク
怜「…」クイクイ
智美「ん?」
怜「…さとみ、おおきにな」
智美「ワハハー、せっかく来たんだから、やっぱみんなでやらないとなー」
怜「…うん」
智美「ワハハー、とっきーと誠子はそっち引っぱってくれー」
怜「うん」
誠子「こんなかんじですか?」
智美「そーそー 絹とつばきーはあっちだー」
絹恵「んーっ」
美幸「よいしょー、もー」
智美「ワハハー、よーし、完成だなっ」
美幸「つっかれたーもー」
絹恵「荷物入れちゃいましょか」
美幸「絹ちゃん元気だねーもー」
絹恵「えへへ、元サッカー部ですから」
怜「ふー」
誠子「けっこう疲れましたね…」
怜「…でも、楽しいな」
誠子「! はいっ」
智美「ワハハ、まだお昼だし、遊ぶかー」
絹恵「おー!」
美幸「みんななにか遊び道具持ってきたの?もー」
智美「とりあえずゴムボールとプラのバットを持ってきたぞ」
絹恵「やきゅー!」
美幸「やりたいやりたいもー!」
智美「おー、誠子は釣り竿持ってきたのか」
誠子「はい、せっかくの川辺なので」
美幸「渋いセレクト、ナイスよもー!」グッ
怜「わたしも魚釣りたい」
誠子「2本あるから1本お貸ししますよ」
怜「ほんま? おおきに」
誠子「いえいえ」
絹恵「さすがせーこちゃんや」
誠子「…えへへ」テレ
絹恵(よし、これでいきましょ)サインバッバッ
美幸(オッケーよもー)コクン
智美「ワハハー、バッター4番ベーブ・ルースだぞー」ブン ブン
美幸「いっけー! 大魔神のフォークボール!」ナゲ
絹恵「! 言うてもうた!」
智美「ぐわらワハがきーん!」ブンッ
絹恵「!! 豪快な空振りや!」パシッ
智美「…いまのは打ってもしゃーない球や」
絹恵「あは、ドカベンですか」
智美「ワハハ、岩鬼っ」
美幸「…?」
怜「あはは、餌きもいなー」
誠子「えっと、お付けしましょうか」
怜「ううん、だいじょぶや、おおきにな」
誠子「いえ」
怜「んっと…こう?」
誠子「ここを、もうちょっと…こうです」
怜「! ついた」
誠子「じゃあ釣りましょうか」
怜「うんっ ひょいっと入れればええの?」
誠子「ええと、これをこうして…こうです」ヒュッ
怜「おー なるほど、やってみるわ」
誠子「針、当たらないように気をつけてください」
怜「うん」
智美「ワハハー、ストレートで来ーい」パシンパシン
絹恵「りょーかいでーす!」
美幸「ホームランよ、もー」
絹恵「てやっ」ナゲ
美幸「えいっ」ブンッ
智美「ストラーイク、バッターアウト」
智美「ワハハー、やっとピッチャーだな」グルングルン
絹恵「初ヒット打ったるでー」
智美「いくぞー」
美幸「! あの構えは…!」
智美「ワハハっ、小さな巨人だぞっ」アンダースロー
絹恵「ならうちは通天閣打法や!」カキーン
智美「ワハっ!?」
絹恵「あ…当たった…!」
美幸「すごいわもー!」
智美「うわーけっこう飛んで……あ」
智美「誠子ーっ!」
誠子「!」ビクッ
怜「?」
智美「うえうえっ」
誠子「上?」ミアゲ
ヒューン
誠子「?」パシッ
智美「ワハハ、ナイスキャッチー 完全試合継続だなっ」
絹恵「! ずるいですっ」
智美「ワハハー、釣れるかー?」
怜「んー…全然やな」
誠子「来ませんねー」
智美「魚も知恵をつけてるのかもなー」
誠子「ですね――って、あれ、園城寺先輩っ、来てますよ!」
怜「えっ? あ、ほんまや! どないしよ、せーこ!」
誠子「ええと、まずクルクルしてるのをおさえて」
怜「う、うんっ」オサエ
誠子「そしたら魚の動きに合わせるかんじで、巻いてってください」
怜「うんっ」クル クル
智美「ワハハ、これはおおものだな」
怜「うん…主かも、しれへん…」クル クル
誠子「その調子です、それで頃合いをみて、釣りあげてください」
怜「よし、よーし……」クル
「いまや!――…あれ?」
「あらら、逃げられてもーた」
智美「さてとー、そろそろご飯つくるかー」
絹恵「ですね、おなかペコペコや」
美幸「何つくるの?もー」
智美「高校の時はサワガニを揚げて食べたけど…」
誠子「!?」
怜「? さわがに?」
智美「今回はさすがにカレーを持ってきたぞ」
誠子「…よかった」ホッ
美幸「びっくりさせないでよもー…」
智美「ワハハー、車に折りたたみテーブルがあるから持ってきてくれ」
絹恵「はーい」
智美「じゃあカレー班とごはん班に分かれるかー」
美幸「わたしごはんがいいー!」
誠子「わたしも」
智美「ワハハ、そしたら残りがカレーで」
怜「さとみー、ピーラーは?」
智美「んー? 持ってきてないぞ?」
怜「…マジで?」
智美「ワハハ、マジ」ブイッ
絹恵「だいじょうぶっ 包丁でゆっくりやればできますて」
怜「んー…やってみるわ」
絹恵「ほなにんじんおねがいします」
怜「うん」
智美「ワハハー、けがしないようになー」
怜「うん、まかしとき」
誠子「…」ジャラジャラ(お米をとぐおと)
美幸「せやっ」シュボッ
「! 火、ついたよもー」
誠子「こっちも、とぎおわりました」
美幸「よーし、じゃあ炊いちゃおうもー!」
誠子「…」
美幸「…」ジーッ
誠子「…」
美幸「…まだかなもー」ジーッ
誠子「まだですね」
美幸「じれったいね、もー」ジーッ
誠子「はい」
美幸「しりとりしよっか」ジーッ
誠子「…わたし、強いですよ?」
美幸「お、言うねーもー」
「じゃー真剣勝負いくわよもー!」
誠子「受けてたちましょう…!」
怜「…にんじん、できたで」
絹恵「ジャガイモも切りおえました」
智美「ワハハー、じゃあ肉から火にかけてー」
怜「…ふたりとも、家で料理とかするん?」
絹恵「えーと、たまーに、です」
智美「わたしは両親がフレンチシェフと寿司職人のアイアンシェフだからなー」
絹恵「! ほんまですか!」
怜「すごいなー」ボーヨミ
智美「うそだぞー」
絹恵「! マジで? …あ、いや、マジやなくて、ええと、マジでマジやないんで?」
怜「落ちつき マジやないで」
美幸「す、スライムよ、もー」
誠子「ムースです」
美幸「! えっと…巣穴!」
誠子「ナース」
美幸「くうー…また「す」なのもー ……あっ! スパイス!」
誠子「スイス」
美幸「もー!」
誠子「ごはん炊けましたー」
智美「ワハハー、カレーもできたぞー」
絹恵「やったー!」
智美「だれか車から紙ざら取ってきてくれー」
怜「わたし、取ってくるで」
誠子「わ、おいしそうですね」
智美「だろー?」
美幸「さすがは智美ー、アイアンシェフの血統ね、もー」
絹恵「! やっぱりほんまは…」
美幸「うそよもー」
智美「ワハハ、聞こえてたのかー」
絹恵「…」プクーッ
誠子「?」
怜「はい紙ざら あとコップとかスプーンとかも持ってきたで」
智美「お、ありがとなー じゃあそっちに置いてくれー」
智美&怜&絹恵&誠子&美幸「いただきまーす!」
絹恵「! おいしー!」
美幸「もー!」
怜「…うん、おいしい」
美幸「? 福神漬けいっぱいかけるのねもー」
怜「好きなんや、どうしようもなく」
智美「ワハハー、らっきょう派はいるかー」
誠子「あ、ほしいです」
智美「おー好きなだけいれていいぞー」
絹恵「? 福神漬けと両方持ってきたんですか?」
智美「ワハハ、まあなー」
美幸「このー気配りじょうずー、もー」
絹恵「りょーさいけんぼやわー」
智美「…? わたしが両方入れる派なだけだぞ?」ドバドバ
絹恵&美幸「!?」
美幸「ねーねー、「す」から始まることば知らないもー?」
怜「? しりとりかなんか?」
美幸「そうなのもー いま「す」責めされててー」
智美「ワハハ、スパイス!」
美幸「スイスよもー…」
絹恵「スカイダイビングは?」
誠子「グラスかな」
絹恵「はやっ!」
誠子「ふふふ…」
怜「酢のものあげまくればええんや、酢ダイズとか」
誠子「!」
怜「ちなみに「ず」から「す」に戻せるんは少ないで」
誠子「なっ…!」
智美「ワハハー、とっきー強いなー」
怜「ふふ…」ニヤ
美幸「だいたい片付け終わったよーもー」
智美「ありがとなー」
「…よーし、できた!」
誠子「? なんですか、それ?」
智美「ワハハー、点火っ」シュボッ
ボー メラメラ
誠子「!」
絹恵「わー! キャンプファイヤーや!」
怜「あはは、なんかちいちゃいな」
智美「5人用ってかんじだろー?」
怜「うん」コクン
美幸「かわいいもー」
智美「ワハハ、みんな囲め囲めー」
メラメラ
怜「なんか、いいかんじや」
誠子「ですねー」
智美「ワハハー、そんなにはもたないだろうけどなー」
絹恵「あ、いま流れ星見えましたで!」
美幸「え、どこどこもー!」
怜「…」ミアゲ
「…せーこ」
誠子「? なんですか?」
怜「ひざまくら、してもらってもええ?」
誠子「! 具合悪いんですか?」
怜「ううん、星が見たいんや」
誠子「なんだ、よかった…どうぞ?」ポンポン
怜「ん」ゴロン
智美「わたしも横になるかなー」ゴロン
美幸「星いっぱいだね、もー」ミアゲ
絹恵「すごいですねー」ミアゲ
メラメラ
誠子「先輩、どうですか?」
怜「うん、すごいで ほんときれいや」
智美「山のうえだからなー」
メラメラ メラ
怜「…けど」
誠子「…?」
怜「けど…ちょっとさみしい気持ちにもなるなあ」
誠子「…」
怜「…きれい」
メラ メラメラ
怜「……みんな、そこにいる?」
メラッ
智美「ワハハー」
絹恵「あはは、どうしたんですか、きゅうに」
美幸「いるよもー」
誠子「…いますよ」ナデ
怜「…そっか…よかっ、た……」
「…」
「……」Zzz
怜「…」Zzz
智美「ワハハー、寝ちゃったか」
美幸「つかれてたのかもね、もー」
絹恵「寝かしといてあげましょか」
誠子「うん」
メラメラ ガシャン
智美「お、崩れはじめたなー」
美幸「なんか、面白いねもー」
メラ ガシャシャン
絹恵「あはは、がんばれっ」
メララッ
誠子「……あ」
ガシャーン
…
智美「とっきー、とっきー」トントン
怜「……ん…んう…?」ウトウト
智美「ワハハ、朝だぞー」
怜「……? …あさ? ……あれ?さとみ?」ウトウト
智美「さとみだぞー」
怜「……あ」ポン
「…そっか、いま、キャンプや」
智美「ワハハー、起きたみたいだな」
怜「うん…みんなもう起きとる?」
智美「誠子がまだだな」
怜「あ、ほんまや」
「せーこ、せーこっ」トントン
智美「絹とつばきーは顔洗いに行ってるから、みんな揃ったら帰り支度だなー」
怜「うん、わかった せーこっ」トントン
誠子「……ん……あと…さんぷ…ん…」ムニャ
智美「よーし、忘れ物はないかー?」
絹恵「はーい」
美幸「だいじょぶよもー」
智美「ワハハー、じゃあ出発するぞー」
誠子「なんか、ちょっと名残惜しいですね」
怜「…うん」
智美「んー? せんちめんたるだなー」
怜「…でも」
誠子「?」
怜「また、来たらええ」
誠子「!」
怜「また来よな、みんな」
誠子「はい!」
美幸「そうだねもー」
絹恵「うわーなんかもういまから楽しみや!」
智美「ワハハー、ちゅうもくー」
怜&絹恵&誠子&美幸「?」
智美「わたしたちはこれからもいっぱい遊ぶぞー!」
怜&絹恵&誠子&美幸「!」
智美「ワハハー 遊びつくせー!」
怜&絹恵&誠子&美幸「おー!」
もいっこカン! ぼっちじゃないよー
《すーぱーてぃちゃー》
――文学部 講師室
えり「……で、こう…」
小蒔「ふむふむ」メモメモ
えり「それで……にするのもいいかも、ああ、でも……」
小蒔「なるほど」メモメモ
えり「あとは……とか、ですか」
小蒔「……」メモメモ
えり「うーん、わたしがアドバイスできるのはこれくらいですね」
「素人考えですから、あまり参考にはならないかもしれないけど」
小蒔「いえ、とっても参考になりましたっ ありがとうございますっ」ペコン
えり「そう? よかった 脚本、がんばってくださいね」ニコッ
小蒔「はい、ぜひ見にいらしてください」
えり「ええ」
ガラガラッ
恒子「ただいま帰りましたーってあれ?密会?先生と生徒、ひみつの密会?」
えり「…ひみつだから密会と言うんでしょう」ハァ
恒子「あーやっぱ先生的にはそっちが気になっちゃいます?」
小蒔「ええと、スーパー…なんとか学の……」
恒子「スーパーメディアスーパーコミュニケーション学の福与恒子でっす」
小蒔「お、おせわになっておりますっ」ペコッ
恒子「おや?もしかしてこまきん?」
小蒔「こまきん?」
恒子「あーやっぱりこまきんだ!」
「いやーいっつも熱心に聞いてるから覚えておるよー」パシパシ
「たぶんわたしより真面目に授業ってるんじゃないかなー」
小蒔「え、ええっと…」
えり「…あなたはもうちょっと真面目に授業ってください」
恒子「いやーわたしのは授業っていうよりライヴですからっ」
「生きると書いてLIVEっ!みたいなっ」
えり「…」ハァ
恒子「で、こまきんとえりちゃん先生はなんのお話を?」
えり「えりちゃん先生って…」
小蒔「え、ええと、えりちゃん先生に、劇のアドバイスを…」
えり「神代さん、つられないで…」
恒子「劇?」
小蒔「はっ、はい」
恒子「?」
えり「文化祭でやるそうですよ、ロミオとジュリエット」
恒子「おー!ロミロミっ!」
えり「…ジュリエットいなくなってるじゃないですか」
小蒔「その…脚本を、書くんです、それで…」
恒子「そっかー、えりちゃん先生文学講師ですもんねー」
えり「…まあ、書くほうは素人ですから、大したことは言えませんけど」
恒子「あはは、そりゃそうだっ」
えり「…」
恒子「なにを隠そう、わたしは脚本書いたことがありますっ」ポンッ
小蒔「!」
えり「…どんな脚本を?」
恒子「レミオロメンがエヴァに乗るミュージカルの…」
小蒔「えば? 聖書のですか?」
恒子「そっちじゃないそっちじゃない、エヴァンゲリオンっ」
小蒔「…?」
えり「…」
恒子「ミサトさんっ!ミサトさんどうなってるんだよ!ミサトさんっ!」
「こなああああああああああゆきいいいいいいいいいい!」
「みたいなやつを」
小蒔「わあー」キラキラ
恒子「ちなみに歌ったのもわたしっ」ポンッ
小蒔「すごい、大活躍ですねっ!」キラキラ
恒子「へへへー」テレッ
「じつはそれの実績でこの学校に呼ばれたんだよねー」
えり(……大丈夫かしら、この学校)
恒子「よーしじゃあこまきんのためにわたしもアドバイスをしてあげよう!」
小蒔「わあっ、ぜひおねがいしますっ!」
えり「! いや…やめておいたほうが…」
恒子「むむっ えりちゃん先生、まさかこまきんを独り占めしようと…?」
えり「は? いえ、そうじゃなくて…」
恒子「残念っ!こまきんはみんなのもの、そしてわたしのものですっ!」ダキッ
小蒔「わわっ」
えり「あの…」
恒子「こまきん、密会しよう!密会っ!」
小蒔「みっかい?」
恒子「そうそう、今夜、えーと…6時には帰れるから、校門で待ちあわせで!」
えり(ぜんぜん密会じゃないんだけど…)
恒子「そっからわたしんちでお酒でも飲みながら…」
えり「! それは本当にまずいですから!」
恒子「え?なんで?」
――校門(6時まえ)
小蒔「…」ボー
恒子「あ、こまきーん! お待たせー」
小蒔「! こ、こんばんはっ」ペコン
恒子「はやいねー、ちょっと急いで来たんだけどー」
小蒔「まえの時間、あいてたので…」
恒子「じゃあ行こっか」
淡「? あれー、コマキー?」
小蒔「?」フリムキ
淡「あ、やっぱりコマキだっ」
恭子「あの距離でよう気付いたな」
小蒔「淡ちゃんと末原さん こんばんは」ペコン
恭子「うん」
淡「! ハイパーなんとか学の!」
恒子「スーパーメディアスーパーコミュニケーション学のスーパーティーチャーっ」
「福与恒子でっす!」
恒子「ってえ!居眠り常習犯のおーほしっ!」
淡「!」ギクッ
恒子「でも最近寝なくなったね!えらいえらい」ナデナデ
淡「え、えへへー」
恭子「どっか行くとこなん?」
小蒔「ええと、焼鳥屋さんで、劇のアドバイスを…」
恭子「劇?」
淡「ブンカサイでやるっていってたやつ?」
小蒔「うんっ」
恭子「へえー、面白そうやな」
淡「ろみおとじゅりえっとやるんだって! ふたりで見に行こーよ、キョウコっ」
恭子「? うん、ええな」
淡「やったー」
恒子「ほんとはわたしんちで話すつもりだったんだけど、えりちゃん先生に止められちゃってー」
恭子「…まあ、そらそうでしょうね」
恒子「んー、大学はよくわからんねっ」
恭子「…」
恒子「あ、そうだ! 君らも来るかねっ、焼鳥屋っ」
淡「え、いいの?」
恒子「いいよいいよー課外授業課外授業っ」
淡「どうする?キョウコ」
恭子「…小蒔ちゃんがええなら」
小蒔「ぜひっ ごはんはみんなで食べたほうが楽しいですから」
恭子「じゃあ、おじゃましよか」
恒子「きまりー」
淡「わーい、やっきとりやっきとりー」
小蒔「ふふふ」
――焼鳥屋 すみよ
純代「盛りあわせ、おまたせしました」
「こちら熱燗と、梅酒のロックです」
恒子「あざーす」
恭子「どうも」
恒子「梅酒とかかわいーね」
恭子「…好きなんですよ」
淡「食べていいー?」
恒子「おっけー、じゃんじゃん食べーい」
淡「やったー」
小蒔「いただきます」
淡「わたし皮ー」
小蒔「! おいしい…」
恒子「ふっふーん、わたしの行きつけだからねっ」
純代「ごひいきに、どうも」
恒子「ぷはーっ! つまりっ、げーじゅつとはねっ!」
小蒔「ふむふむ」メモメモ
恒子「だめだめ、こまきん!焼鳥屋でメモなんて野暮だぜっ!」
小蒔「! すいませんっ」
恒子「ソウルにきざむんだーソウルにっ!」
淡「コーコかっこいー!」
恭子「…」ゴク
「…」フー
恒子「げーじゅつとはっ!」
小蒔「はいっ」
恒子「極と極の衝突っ!」
小蒔「はいっ」
恒子「と!思われがちですがっ!」
小蒔「! はいっ!」
恒子「そんなことはぜんぜんありませんっ!」
小蒔「!!」
恒子「そもそもっ!これがげーじゅつだっ!と思ったらまけっ!」ビシィッ
小蒔「!」
恒子「思ってないからだいじょうぶっ!と思ってもまけっ!」ビシィッ
小蒔「!!」
恒子「安心しちゃあダメダメっ!ダメっ!ダーメダメよっ!」ビシビシィッ
淡「おー、なんかすごいー」
恒子「だから脚本もそんなかんじで書きなさいっ」
小蒔「はいっ」
恭子(……いいアドバイスなんだかそうでもないんだか)
恒子「答えはみんなのなかにあるんだー!さあこまきん飲めっ!」っおちょこ
小蒔「は、はいっ」グイッ
恒子「あれ?ハタチこえてるよね?」
小蒔「こ…こえて、ましゅ!」
恒子「おーけーぃ!」
恭子「確認遅いですよ…」
恒子「アタタタタタタタタタ」ホッペプニプニプニプニ
小蒔「ひゃむむむむむむむっ」
恒子「あははははははははは」
小蒔「ふふふっあははははは」
恒子「オマエハモウっ!プニデイルっ!」ビシィ
小蒔「あはははははははははっやだあっ」
恒子「いひひひひひひひひひひひひひひ」
淡「…おお」
恭子「すいませんうるさくして…」ペコ
純代「いえ、にぎやかでいいです」ニコ
小蒔「やあっ」ホッペプニョン
恒子「はむひゃ、ははむひゃむにゃむう」
小蒔「あははっなんですかあ」
恒子「わかんないのだっ、へけっ」ペロッ
小蒔「あははははははははははははは」
淡「? キョウコはぜんぜん変わらないんだね?」
恭子「酔うほど強いの飲んでへんからな」
淡「…よっぱらったキョウコみてみたいかも」
恭子「あほ」デコペチン
淡「あう」
恭子「……酔ったらめっちゃ泣くで」
淡「!」
恭子「…そんな言うならみてみるか?」
淡「いいっ、やっぱいいからっ」
恒子「こまきんはかれしはおるんかいねー?」
小蒔「いないですよお」フル フル
恒子「かのじょはおるんかいねー?」
小蒔「いないですう」フル フル
恒子「ようしじゃあわたしんだーっ」プニプニプニプニッ
小蒔「やあああああああっ」キャッキャッ
ガラガラ
純代「ありがとうございましたー」
恒子「ごちそーさまーっ! いやーたのしかったー」
小蒔「ほんとにっ、たのしかったですう」パチパチ
恭子(こらまだだいぶ酔っとるな…)
淡「あはは、小蒔べろんべろんだね」
小蒔「んう? よってないえすよ? おさけ、のんでないもん」
恒子「あははははっこまきんかわいいのーう」
Prrr…
恒子「んあ?でんわ…あれ、えりちゃんせんせいだ もしもーし」ピッ
恭子「えりちゃん先生?」
淡「ニホンブンガクの先生だよ」
恒子「! マジですか! じゃあおねがいします! はい、はい」
「えへへーありがとうございますー はい しつれいしまーす」ピッ
小蒔「?」
恒子「えりちゃんせんせい、くるまでむかえにきてくれるってー」
――駅
えり「本当にここまでで大丈夫? 神代さん、結構酔ってるみたいだけど…」
淡「大丈夫ですよ、わたしとキョウコがしっかり送っていきますからっ」
恭子「…」コクン
えり「そう …じゃあわたしは福与先生を送っていくから」
恒子「あはは、わたしあいされてるーう」
小蒔「わあっ、すてきですう」パチパチ
えり「…」
恭子「ありがとうございました」ペコッ
えり「ええ、じゃあ気をつけてね」
小蒔「せんせい、さようなら」ペコーン
恒子「うんっ ばいばーい」
恒子「あ、そーだ、こまきん」
小蒔「?」
恒子「またなんかあったら、いつでもおいでね」
小蒔「!」
恒子「わたしらスーパー講師陣が力になったげるからー」
小蒔「…はいっ」ペコン
えり「出しますよ」
恒子「はーいっゴーサンダーバードーっ」
ブーン
小蒔「…」
淡「よかったね、コマキっ」
小蒔「…うんっ」
――つぎのひ チーム部屋棟
エリスリン「エイガニ、ナッテルノ、ミルトイイカモ ッテ」
小蒔「なるほど、ちなみにどなたが?」
エリスリン「…」カキカキ
「!」バッ
小蒔「わあっ加治木さんですか? やっぱりかわいいですっ」
エリスリン「ソレナラ、ガッコウノトショカンデモ、ミレルカモシレマセンヨ」
小蒔「あ、福路さんですね」
エリスリン「ソウ!」
小蒔「じゃああとで行ってみましょうか、図書館」
エリスリン「ウン」コクン
小蒔「ええと、わたしは針生先生にアドバイスをもらってきたんですけど…」
エリスリン「?」
小蒔「にほんぶんがくの先生なんです」
エリスリン「! ブンガク! コマキ、スゴイ!」
小蒔「えへへ」テレ
小蒔「……が、いいかも、だそうです」
エリスリン「ナルホド」
小蒔「あと福与先生にも話を伺ってきました」
エリスリン「! コーコチャン!」
小蒔「! ご存じなんですか?」
エリスリン「キョネンウケタ」ブイッ
小蒔「その福与先生いわく」
エリスリン「!」ゴクリ
小蒔「これがげーじゅつだ!と思ったらだめだ」ピシィ
エリスリン「オー」
小蒔「安心しちゃダメダメっ、ダメっ、ダーメダメよっ」ピシピシィ
エリスリン「オオー」
小蒔「だそうです」
エリスリン「イイッ!」
小蒔「! ですよね!」
エリスリン「ウン!」
小蒔「……あ、もうこんな時間…授業いってきますっ」
エリスリン「ウン」
小蒔「ゆうがたに、図書館で待ちあわせしましょうっ」
エリスリン「ウン、イッテラッシャイ」フリフリ
小蒔「いってきます」ペコン
ガラガラ
やえ「お、小蒔、授業?」
小蒔「はいっ」
やえ「? なんだ、なんか嬉しそうだな?」
小蒔「そ、そうですか?」
やえ「ああ」
小蒔「えへへ、じつは次の授業…」
やえ「…?」
小蒔「スーパーメディアスーパーコミュニケーション学なんですっ」ニコッ
やえ「……スーパー?」
小蒔「いってきますっ」
やえ「…??」
ツモ スーカンツ
《とよたま》
――チーム部屋棟
豊音「…」ステ
玉子「…」ステ
豊音「…うーっ」
玉子「!」
豊音「ウノだよー」ステ
玉子「……ふふふっ、このときを待ってたである!」
豊音「!」
玉子「ドローツー、3枚セットである!」ステッ
豊音「うわー、手札最初にもどっちゃったよー」ステ
玉子「ウノである!」ステ
豊音「うわわっ、どーしよー ……これ?」ステ
玉子「やったーあがりであるー」バンサーイ
豊音「ううーまけちゃったー」
玉子「みんな来ないであるなー」
豊音「だねー」
「…あれ?煌ちゃんからメール来てるや」
玉子「? 余にも来てるみた――!」
豊音「みんな用事があるから、きょうの集まりは中止……」
玉子「…」
豊音「…」
玉子「じゃあスマブラやるであるー」
豊音「そうだねー、キューブでいい?」
玉子「オーケーである」
豊音「はい、コントローラー」
玉子「ありがとうであるー」
ネス「PKファイア、PKフラァッシュ」
玉子「わわっ、ノーであるっ」カチカチ
豊音「フラッシュあてるよー」カチカチ
リンク「シェーッ」カイテンギリ
ドゴーン
豊音「あーはずしちゃったー」カチカチ
玉子「反撃であるっ」カチカチ
リンク「よあっ、たあーっ!」スマッシュ
ネス「アウ」
豊音「わっ、結構飛んだっ」カチカチ
玉子「ボムっ!追撃であるっ!」カチカチ
リンク「ていっ」ボムナゲ
ネス「PKサンダー」バチチチ
バチッ!(サンダーにボムが当たったおと)
豊音&玉子「!?」
ネス「アーウ!」ドーン
豊音「いっ、いまの狙ってやったの?」
玉子「ううん…偶然である」ガクゼン
豊音「ちょーすごいよー…」ガクゼン
カー カー
豊音「あ みてみてっ、夕日っ」
玉子「わー、きれいであるっ」
豊音「…」
玉子「…」
豊音「かえろっかー」ニコッ
玉子「うんである」ニコッ
カー カー
玉子「…とよねー」
豊音「んー?」
玉子「かたぐるま、してほしいである」
豊音「いいよー」モチアゲ
玉子「わー、高いであるっ」
豊音「よいしょっと」カタグルマ
玉子「わあー…」キラキラ
豊音「よーしっ、夕日にむかって走るよー」
玉子「うんっ、とよねっ、発進であるっ」
豊音「しゅっぱーつ」タッタッタ
ほんとにカン!
終わりです
最後の最後に猿くらってマジすいません
続きとかは今んとこあんまり考えてないですけど、もしやるならまた似たスレタイでやるかと思います
支援保守等ほんとうにありがとうございました
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