皐月「正月だし餅でもつくか」 (42)

某日

正十字学園生徒会室

皐月「では今週の部活動を報告しろ」

猿投山「はっ! 今週纏流子にやられた運動部は0です、どうやら完全に纏流子の実力に怖気づいているようですね」

皐月「そうか…蛇崩、文化部はどうだ?」

蛇崩「ハーイ、えぇっと……どうやらこっちも腰抜け連中揃いみたいねぇ~、纏流子に向かっていったのはサウナ部だけだったみたいよ皐月様」

皐月「……」

蛇崩「皐月様?」

皐月「ふむ、嘆かわしいものだ、各々部員達に喝を入れておくようにな」

猿投山「ハッ!」

蛇崩「はぁ~い」

皐月「では下がってよい」

猿投山「失礼します!」

蛇崩「じゃぁね~皐月様♪」

皐月「うむ」

パタン


皐月「機は熟したかーー」

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正月某日

皐月「あけましておめでとう」

四天王「あけましておめでとうございまーす」

皐月「新年早々に呼びつけたのは他でもない、お前達の労を労いいとい

いいとい?

正月某日

皐月「あけましておめでとう」

四天王「あけましておめでとうございまーす」

皐月「こうしてお前達を新年早々に呼びつけたのは他でもない、お前達の労を労い、これから更に苛烈になる戦いに向けての激励を兼ねてのことだ」

蟇郡「もったいないお言葉!! 不肖蟇郡 苛、感激の極みです皐月ぁぁぁぁ!!」

皐月「うむ、まあそんなところだが気兼ねせず寛いでいってくれ、あとこれから餅をつくから蟇郡、手伝え」

蟇郡「ハハァ! 喜んで!」

皐月「乃音、お前も手伝え」

蛇崩「はぁーい」

猿投山「自分達は……?」

犬牟田「……」

皐月「いらん、テレビでも見ていろ」

ミスったね
労い(ねぎらい)って打ったあと「ねぎらい」をど忘れして「あれ?いたわり?いと、いとい?」とかなった末の誤爆だね

数分後ーー

鬼龍院家厨房

蟇郡「ハァッ! ハヒィッ! ゼヒッゼッ、ゴホォ!」

皐月「うむ餅つきご苦労、さすが蟇郡早業だな」

蟇郡「ホヒイッ、ハッ、あっ、ありがたきひぃっ、ゼヒッ」

蛇崩「う、うわぁーガマくんちょっと必死過ぎでしょぉ…」

皐月「こら乃音、蟇郡は婦女子である我々の柔らかい手にマメを作らせまいと餅つき役をかってでたのだ」

蛇崩「ごめんなさぁ~い、皐月ちゃん♡」

皐月「うむ、では調理に入るとする」

仲のよい四天王と皐月様いいね

ーー

猿投山「いやぁ皐月様と蛇崩といえど女子の手作り料理なんて初めてだぜ! なあ犬牟田!?」

犬牟田「……そうだね」

猿投山「なんだ? お前テンション低くないか?」

犬牟田「イヤ、別に……」

猿投山「正月早々食い過ぎで腹でも壊したか?」

犬牟田「……まあ、そんな所かな」

猿投山「はっはぁ~勿体無いやつだなお前は、折角の女子の手料理を」

犬牟田「そうだね、ほんとに残念だよ……ほんとにね」

猿投山「?」


皐月「待たせたな」

ドシャァッ

猿投山「うっわ……」

犬牟田「こ、これはまたなんとも……」

蛇崩「皐月様特製塩大福よぉ~ん」

猿投山「し、塩大福?って、な、なんスか皐月様?」

皐月「砂糖ではなく塩を使った大福だ、しかし貴重な塩を使っているから一個当たりの塩分量は控えめになっている、塩大福に不慣れなお前達にも問題なくたべられるだろう、砂糖をつけるなり海苔で挟んで食べるなり好きに食べろ」

蛇崩「んでこっちがあたしの作ったずんだ餅とあんころ餅ときな粉餅ね」コトッコトッコトッ

皐月「遠慮なく食え」

猿投山「いや……この量は……」

犬牟田「……では僕は蛇崩の作った方から頂くとしようかな」

猿投山「じゃ、じゃあ俺は」

皐月「……」

猿投山「アッハイ、塩大福頂きます」

犬牟田「……」もぐもぐ

猿投山「……あ、あーん」パクッ

猿投山「……ん?」

猿投山「……」モッチモッチ

猿投山「意外と……イケますね!コレ!」

皐月「意外と、とはどういう事だ」

蟇郡「そうだ、食わず嫌いなど子どもか貴様は」

蛇崩「あらガマくん、生き返ったのね」

蟇郡「フン、あの程度でへばるなど俺も鍛錬が足らんな」

皐月「なに、正月くらいはゆっくり体を休ませるがいい」

蟇郡「はっ、では皐月様、私も皐月様お手製の塩大福、御相伴にあずからせて頂きます」

皐月「うむ、たんと食え」

塩大福?貴重な塩?


まさか‥‥‥

蟇郡「ムッ……ほぉ、ほのかにピリリとした塩気が外側に付けた砂糖の甘さを強調していつもとはまた一味違う大福の味が堪能できますな!」

猿投山「砂糖醤油に付けて食べても独特のあまじょっぱさが美味くてっ……止まらねぇぇぇ!!」ばくばく

皐月「ふっ、詰まらせるなよ」

蛇崩「ヘェ~、ほんとに美味しいんだ、あたしも食べてみよ~」



犬牟田「……」もぐもぐ

皐月「どうした犬牟田、お前は食わないのか?」

犬牟田「……」

三天王「?」

犬牟田「皐月様……そ、その塩大福の事で確認したい事が」

皐月「ほぅ……言ってみろ」

犬牟田「は、ではこのビデオを見て欲しいのですが……」

皐月「よかろう」

三天王「?」もっちもっち

犬牟田「いや君達は見なくても、というか見ない方がいいんじゃないのかな」

三天王「なんだなんだどうしたどうした見せろ見せろ」

犬牟田「そ、そこまで言うなら、言っとくが見たあと僕を責めないでくれよ?」

犬牟田「ではVTR、スタート」ぽちっ

ーー○月○日

『……』ジー



蟇郡「……なんだこれは? どこかの脱衣室か?」

蛇崩「ちょっと盗撮~? イヌくんさいてー!」

犬牟田「そう言わないでくれるかな、監視カメラの映像記録の確認も情報戦略部の仕事なんだ」

皐月「……」

流子『うーさみぃさみぃ!』

マコ『流子ちゃ~ん待ってよー』

流子『早く入ろうぜ、マコっ』

マコ『いやぁー流子ちゃんがサウナ部の人たちやっつけてくれたおかげでサウナ入り放題だなんて、ほんと役得だよねー!』ポイッ、ポイッ

流子『まあたまにはこんな事もあるだろ』シュル、パサッ

マコ『冬はサウナだよー、もうコレ無しじゃ生きていけないよぉ~!』ポイッポイッ

マコ『てなわけでお先っ!』

流子『あっマコ! もう、あいつは脱いだ服をその辺に散らかしっp


犬牟田「あ、ちょっとこれ違いましたね、早送りします」

蛇崩「変態変態変態変態!!! この変゛っ態゛犬!!」

猿投山「お、おいもうちょっといいだろ……なっ、なっ?」

蟇郡「う、うむ……あ、いや何を言っているんだ猿投山!」

皐月「もっとみたい」

四天王「……」

皐月「……いや、この続きに何かある様な気がするんだが」

犬牟田「無いです」

皐月「そうか?いやだがしかし」

犬牟田「無いです」

皐月「……そうか」

犬牟田「はい」

欲望に忠実な皐月様も素敵です

あんたが書くキルラSS結構好きやで

内緒やけどあんたが書くキルラSS実は結構好きやで

内緒やけどあんたが書くキルラSS実は結構好きやで

でもこの二人のならむしろご褒美じゃないか

犬牟田「まあ、問題のシーンなんですが……あ、ここです」

皐月「ふむ」

猿投山「……誰もいないな」

犬牟田「まだだよ」

蟇郡「あのデカイゴミ箱はなんだ?」

犬牟田「サウナ内で使うレンタルタオルの回収箱だね」

蟇郡「ほう」

蛇崩「ヘェ~便利なのねぇ、あたしも今度使おうかしら」

犬牟田「しっ! ここからなんだ、よく見ててくれ」

蛇崩「ハイハイ」

サウナ部室、脱衣所ーー

長身の女生徒『……誰もいないな』キョロキョロ

長身の女生徒『これじゃない……コレ、も違うか……』クンカクンカ

長身の女生徒『あった……!』

長身の女生徒『うむ、今日もたっぷりと染み込んでいるな』

長身の女生徒『では早速』

長身の女生徒『ジュルルルルルルブュルルルルルルジュジュッジュルルルッルル』



蟇郡「待てオイ犬牟田止めろ」

犬牟田「……」ポチッ

猿投山「こ、こりゃ……」

蟇郡「……」

蛇崩「あ……あの」

皐月「ふむ……」

犬牟田「続き、見るかい?」

蟇郡「いやいい、簡潔に言葉で説明してくれ」

犬牟田「ok、まぁあの後女生徒はたっぷり使用済みタオルを『堪能』した後、雑巾絞りの要領で残った汁をタッパーに搾り取って持ち帰る、こんなところだね」

蟇郡「け、けしからん生徒がいるもんですな! ハ、ハハハ!」

犬牟田「因みにこれとほぼ同じ内容の映像記録が、纏流子がサウナを使い始めてからほぼ毎日残ってるんだけど……」

蟇郡「犬牟田ァ!」

犬牟田「報告だよ報告、あくまで、ね」

>マコ『いやぁー流子ちゃんがサウナ部の人たちやっつけてくれたおかげでサウナ入り放題だなんて、ほんと役得だよねー!』ポイッ、ポイッ
>流子『まあたまにはこんな事もあるだろ』シュル、パサッ

うーんこの擬音の違い
まさに乙女ですわ

労を労うって、漢字にするとモヤモヤするよね。

皐月「ふむ、やはりこれは私の様だな」

四天王「……」

犬牟田「は……え?」

皐月「しかしこれがどうしたというのだ犬牟田」

犬牟田「い、いやしかし、これは十文字学園生徒会長としてはあまりに行き過ぎている行為かと……」

皐月「何が言いたい……」

犬牟田「い、いや、だからそれは……」

皐月「言え」

犬牟田「あ、あの……」

皐月「言ってみろ」

犬牟田「さ、皐月様……」

皐月「うむ、良いぞ」

犬牟田「しひっ……し、女生徒の汗漬けタオルをしゃぶるなどっ! 誉れ高き十文字学園生徒会長の名を十分に汚す変態行為かとおm」

皐月「喝ァッ!!!!!!」

エリート塩www

犬牟田「ウッヒィ!?」

皐月「犬牟田よ、貴様は勘違いしているようだな」

犬牟田「か、勘違い……!?」

皐月「そうだ」

皐月「この鬼龍院皐月、生きてきてこれまで、そして死ぬ日までも! 天に仰ぎて恥じ入る様な生き様は見せぬわ!!」カッだっしゅ

だっしゅでわろてしまた

犬牟田「ウッヒィ!?」

皐月「犬牟田よ、貴様は勘違いしているようだな」

犬牟田「か、勘違い……!?」

皐月「そうだ」

皐月「この鬼龍院皐月、生きてきてこれまで、そして死ぬ日までも! 天に仰ぎて恥じ入る様な生き様は見せぬわ!!」カッ――――!!!!

蟇郡「おおおお! 流石皐月様!」

蛇崩「皐月ちゃんカッコいい!」

犬牟田「えぇ……」

犬牟田「ではこの様もなんら恥じるような事ではないと、皐月様はそうおっしゃるのですか?」

皐月「フッ、無論欲望に溺れるなど私の鍛錬が足りん証左ではあるがな」

皐月「だがしかし、この鬼龍院皐月のいまだ成長する余地は残されているという恐れを知らぬ天井知らずさの証左でもある!!!!」

蟇郡「さすが皐月様!!」

蛇崩「いよっ、皐月ちゃん!!」

犬牟田「君達はそれでいいのかホントに……」

蟇郡「それに汗漬けタオルをねぶるくらいがなんだ!! 俺とてたまの休日には、自らを荒縄で縛り上げた上からコートを羽織り外出するくらいはするぞ犬牟田!!」

蛇崩「そうよそうよ!! 私だってたまに皐月ちゃんちに泊まったときは皐月ちゃんがお風呂入ってる内に皐月ちゃんの使用済みIバックを歯間ブラシみたいにしたりして味わってみたりすることもあるわよ!!」

皐月「貴様ら……」

蟇郡「皐月様……」

蛇崩「さ、皐月ちゃん……」




皐月「まるで変態ではないか、その悪癖は直せ」

犬牟田「容赦無く味方を背中から撃ち抜きますね皐月様」


皐月「それに伊織も私が聞いた時は『神衣着用者の汗は滋養が高く、更に飲めば飲んだ者と生命繊維とのシンクロ率を上げる効果が無くは無いかもしれない、100%無いとは言い切れない』と言っていたしな」

蛇崩「それほんと!?」

皐月「うむ、鬼龍院皐月嘘つかない、この前問い詰めた時確かにそう言った」

犬牟田(伊織、哀れな……)

皐月「だから私が纏流子の汗漬けタオルをしゃぶるのは、しゃっくりが止まらん時柿のへたをヘソに貼るのと似たようなものなのだ」

蛇崩「ヘェ~皐月ちゃんもっの知りぃ~」

蟇郡「勉強になりますな」

犬牟田「まぁ皐月様がそこまでおっしゃるのなら僕からはもう何も言いません」

皐月「そうか、余計な気苦労をかけさせた様だな」

犬牟田「いえ、それよりもう一つ気になる事があるのです」

皐月「なんだ」

犬牟田「皐月様がタッパーに入れて持ち帰っていた方の汗の事と、先ほどおっしゃっていた『貴重な塩』もいうものが引っかかるのですが……」

皐月「……」

犬牟田「皐月様?」

コトッ

犬牟田「こ、この結晶状の白い粉末は、まさか……」

皐月「フッ……」

皐月「これこそが! この鬼龍院皐月が纏流子の汗より精製せし、その名も『ヤンキー塩』である!!!!」カッ――――――!!!!!

犬牟田「ま、まさか!? 使ったのは大福だけですよね!?」

皐月「フフフ……」

犬牟田「笑ってないでなんとか言ってください皐月様!!」

皐月「犬牟田よ、あんころ餅は美味かったか?」

犬牟田「う、ご……ゴェェエ゛ェエ!! ウッオェ゛ェ!!ェ゛ーッ!!」ぼちょぼちょぼちょぼちょ

蛇崩「あちゃー、イヌくん潔癖症な所あるからねー」

犬牟田「じ、蕁麻疹が出てきた……!」

蟇郡「ム……!? 言われてみれば餅を食べたせいか身体に力が漲る!? これがヤンキー塩の力か……!?」

皐月「フフフ、その通りだ蟇郡」

犬牟田「もう黙っていてくれォエ゛ーッヴ!!エーッヴ!!」

「――争うのは止めるんだ」

蟇郡「ム、なんだ猿投山、お前トイレに入って……な!?」

皐月「……」

猿投山「――――もうやめよう、争うのは」

皐月「……フッ」


その男の顔からは、一切の険が消えていた。
まるで悟りを得た聖人かのような面持ちで、無意識と意識の狭間にあるような捉えようのない視線を鬼龍院皐月に向けていた。

トイレより現れた猿投山渦の姿を見たこの翌日、鬼龍院皐月は“運動部統括委員長降格”の辞令を与えている。

鬼龍院家の豪奢極まるトイレには、栗の花の匂いが漂っていた。



糸冬

玄霧皐月じゃないのか…

おつおつ

>皐月「喝ァッ!!!!!!」
いったいどうやって発音するんだ……

おとぼけ皐月様可愛い乙

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月27日 (月) 20:32:31   ID: 6qORAa6-

猿投山テメェwww

2 :  SS好きの774さん   2014年04月17日 (木) 20:46:51   ID: bQWocFek

犬牟田くん面白可愛いwww

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