エレン「ミカサがしつこい」(50)

ミカサ「まだアニと戦うことを躊躇してるんじゃないの?」

ミカサ「まさかこの期に及んで」アニが女型の巨人なのは」気のせいかもしれないなんて思ってるの?」

ミカサ「あなたはさっき何を見たの?」あなたの班員を殺したのは」あの女でしょ?」まだ違うと思うの?」

ミカサ「わかってるんでしょ?」女型の巨人が」アニだってこと」

ミカサ「じゃあ……戦わなくちゃ駄目でしょ?」

ミカサ「……それとも」何か……特別な感情が」妨げになってるの?」

エレン「……」

ミカサ「答えてエレン」

ミカサ「何か特別な感情が妨げになってるの?」

エレン「……」

アルミン「作戦を考えた」

ミカサ「アルミン黙って」

アルミン「えっ」

エレン「えっ」

ミカサ「ねえどうなのエレン」

ミカサ「特別な感情が妨げになってるの?」そうなの?」そうなんでしょ」

ミカサ「だから戦わないんでしょ」幼馴染み2人と」なによりあなたの命が懸かってるのに戦わないのは」そういうことなんでしょ」

エレン「ちょっ……ちょっと待てよミカサ」

アルミン「そうだよミカサ! 今はそんなこと言ってる場合じゃ……」

ミカサ「アルミンは黙ってて!」ドン!

アルミン「ひっ」

ミカサ「私は今エレンと話をしてるの!」ドン!

ミカサ「今! ここで! はっきりさせないといけないの!」ドン!

ミカサ「勝負は今ここで決まるの!」ドン!

ミカサ「アルミンでも邪魔させない!」ドン!

ミカサ「隅っこで指でも咥えてろ!」ドン!

アルミン「わ、わかったよミカサ……わかったから壁ドンはやめてよ……」

エレン「ミカサおまえ……」

ミカサ「さあエレン、邪魔者は消えた」

エレン「幼馴染みになんて言い草だ」

ミカサ「怒らないから正直に言って」

エレン「明らかに激怒してるじゃねえか」

ミカサ「これは重要なこと。この状況を打開できる鍵になるかもしれない。そうよねアルミン?」

アルミン「はい! ミカサの言う通りです!」

エレン「アルミンはアルミンで従順すぎるだろ」

ミカサ「言えないの?」家族である私にも言えないようなこと?」やっぱりやましい気持ちがあるんだ」それが邪魔なの」だったら早くあの女を始末しないと……」

エレン「待て待て落ち着け! ちゃんと話すから」

ミカサ「ありがとうエレン。私はエレンがあんな女なんとも思ってないと信じてる」

アルミン「まったくそうは見えないよ……」

ミカサ「……」ドン!

アルミン「ひっ」

エレン「やめてあげろ」

エレン「アニのことはその……大事な仲間だと思ってるよ」

ミカサ「本当にそれだけ? “ライナー、ベルトルト、サシャやコニー達と同じに”大事な仲間なのだとしたら」

ミカサ「格闘訓練でアニと組む頻度が高すぎたとは思わない?」

エレン「それはっ……! 技術が……そう! アニの技術が凄かったからだ。それ以上の意味はねえ!」

ミカサ「……そう。そうなのね。そう言いきれるのね? エレン」

エレン「ああ!」

ミカサ「わかった。じゃあ話は変わるけど、アルミン」

アルミン「えっ僕? あ、はい!」

ミカサ「エレンが訓練中に負傷したと言って医務室に運ばれたことがあったのは覚えてる?」

アルミン「あぁ、あったねそんなこと。それがどうかしたの?」

ミカサ「なんの訓練中だったかは覚えてる?」

アルミン「あれは確か……格闘訓練の時間だったかな」

ミカサ「そう。じゃあ、その時のエレンのペアは?」

アルミン「あの時は……」

エレン「アルミン!!」

アルミン「!?」

エレン「あの時は大変だったぜ! 油断してたらやられちまってなぁ! なあ、アルミン!!」

アルミン「! そうだったね、ごめんよエレン」

ミカサ「……」ドン!

アルミン「エレンはアニと組んでました!」

エレン「アルミン貴様!」

アルミン「だって……」

ミカサ「アルミンが親友を売るようで気が咎めるというなら、私から話そう」

ミカサ「あの日格闘術の時間、エレンはアニと組んでいた」他の訓練兵と比べて遥かに高度な技の応酬」私はエレンの成長を嬉しく思ったのを覚えてる」

ミカサ「エレンがあの女と組むのは気に入らないけど、その点だけは感謝していた」だけどそんな私の気持ちは裏切られた」

ミカサ「地面でうずくまって苦しそうにしていたエレンを乗せて、担架は医務室へ消えていった」

エレン「……訓練中の事故だろ。怪我だって大したことなかったし、アニは悪くない」

ミカサ「そう、アニは悪くない。怪我なんてしてなかったんだから」

ミカサ「ねえエレン、エレンが倒れたのは、アニがあなたに寝技をかけた直後だったでしょ?」

ミカサ「寝技って、体と体が密着するでしょ?」

ミカサ「腰を引いてうずくまって、一体何を隠していたの?」

エレン「……」

アルミン「……ミカサ、それ以上は」

ミカサ「私は知っている。エレンはアニと密着してぼっk」

アルミン「うわああああああああああああああああ!!」

ミカサ「エレンはあの時ぼっk」

アルミン「ミカサ、いけない! いくらなんでもそれは駄目だ! 女の子がそんな言葉……」

ミカサ「勃起していた!!」

アルミン「あぁ……」

ミカサ「エレン、何か言う事はある?」

エレン「う……」

エレン「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

エレン「なんだよ! 勃起したさ!! 溜まってるんだよ! それが悪いのかよ!!」

ミカサ「悪いとは言ってない。ただ私ははっきりさせたいだけ」

ミカサ「エレンはあの日偶然溜まってただけで、別にアニじゃなくてもよかったということを」

ミカサ「本当は私がよかったけど、たまたまその場に居たアニに性的な視線を向けてしまったって、性欲の捌け口にしただけだって……そう言ってくれればいいの」

ミカサ「そうなんでしょ。エレン」

エレン「はは……なんだよそれ。何でおまえはそんな質問ができるんだよ!!」

ミカサ「仕方ないでしょ? 世界は残酷なんだから」










エレン「……だよな」

「傷一つつかねぇ……」
「どうなってんだこりゃあ……何だよ……」
「オイ……」

ミカサ「クッ……!! エレン! 出て来なさい!!」ガキン!ガキン!

ハンジ「やめなさい!!」


アルミン『追いつめられたエレンは巨人化して女型の巨人と交戦。ミカサや調査兵団の活躍もあってアニを巨人の中から引きずり出したものの……』

アルミン『アニが顔を覗かせたのと同時に、巨人化を解いたエレンが飛び込んでいってしまった』

アルミン『アニとエレンは今、硬い水晶体の中で寄り添うように眠っている』

アルミン『結局アニの戦う理由も巨人の謎も、エレンの真意も解らず仕舞いだ』

アルミン『だけどこの方が残酷な世界を生きるより幸せなんじゃないかと、2人の安らかな顔を見て思った』

アルミン『願わくば、僕の友人達が幸せな夢を見ていますよう……』


おしまい

アルミン『と、思っていたら…』

パキッ…

ミカサ「!?ヒビが…」

ピシッ…ピシピシ…

ハンジ「皆離れろ!様子が変だ!」

ピキッピシピシッ…ビキッビキビキビキ!

「あ、あれだけ堅かった水晶体が…」

ミカサ「割れていく…」

ビキッビキビキビキ!ビキビキビキ!


パッリーン!

エレン「この部屋…」




エレン「臭うよおおおおおお!」ダダダダダダ…


一同「」ポカーン

アルミン『ぶっちゃけ言うと…エレンはアニの臭さに耐えきれず出て来たらしい』

アルミン『アニはショックから放心状態の所をいち早く立ち直ったハンジ分隊長に寄って捕らえられた』

アルミン『彼女はエレンの言葉に相当堪えたのか』


アニ『消臭リキをくれるなら全部話す』

アルミン『この一点張りだ。調査兵団はリヴァイ兵長が買い溜めしていたファブリーズじゃ駄目なのかと交渉中である』

アルミン『…巨人の秘密解明もそう遠くはないように思える』

アルミン『そして…』

エレン「やっぱ女は良い匂いがするのが一番だよな」

ミカサ「そうでしょう?」

エレン「ミカサなら一筋に愛してくれるし」

ミカサ「当たり前。私達は家族だから」フフン

エレン「やっぱりお前がヒロインだぜ…ミカサ」クンカクンカ

ミカサ「もうっ…エレンったら」ヨシヨシ

ウフフ…アハハ…イチャイチャ…

アルミン「…変わり身はっや!」


アルミン『こうしてアニから得られた情報を元にまずは同じく巨人側だったライナーとベルベルベルを捕らえた』

アルミン『その方法は簡単だ』

アルミン『アニに衣服を嗅がせれば一発で泡を噴いて倒れた。アニの臭いはある意味兵器だ』

アルミン『そして二人は同じくアニの靴下で拷問をされている最中…二人が落ちるのも時間の問題だろう』

アルミン『次々に暴かれていくこの世界の謎…人類の反撃はまだ始まったばかりだ』

《終わり》

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