のび太「スターフォックス……?」(242)

<惑星フィチナ>

ギュゥゥゥゥン……! キイィィィィン……!

各々自慢の戦闘機を駆り、激戦を繰り広げる戦士たち。

ファルコ「フォックス、危ないっ!」

ウルフ「落ちろ、キツネ!」バシュッ

フォックス「しまった!」

ズガァンッ!

フォックス「うわぁぁぁぁぁっ!」ヒュルルルル…

すると──

バシュンッ!

ウルフ「ヤツのアーウィンが……消えやがった!?」

スリッピー「そんな……フォックスが!」

ウルフ「ライラット系にはまれに空間の歪みが生じ、
    ワープホールができるというが……それに飲み込まれたようだな」

ウルフ「あのジェームズの息子ともあろう者が……無様な最期だ」

ウルフ「よし青二才のキツネは片付けたし、
    コーネリア軍の基地に仕掛けられた爆弾も爆発する頃だ。全機、引き上げだ!」

レオン「この私の敵ではなかったな」
ピグマ「また会おうや、ペッピー!」
アンドリュー「ふははは、ざまあみろ!」

ギュウゥゥゥン……

ファルコ「くそったれっ!」

ペッピー「こうなっては仕方ない……我々も撤退するしかない……!」

スリッピー「フォックス……!」

………

……

<小惑星>

のび太たちは、火星と木星の間にある小惑星の中から適当なサイズの星を選び、
遊び場にするために改造を行っていた。

ドラえもん「よし、これで海もできたし空気もできた」

のび太「ぼくたちの遊び場の完成だ!」

ジャイアン「よっしゃあ、この星の名前は“ジャイアン星”に決まりだぜ!」

スネ夫「センスないなぁ、“スネ夫星”の方がいいに決まってるよ」

ジャイアン「なんだと!?」

しずか「喧嘩はよしなさいよ。せっかく遊び場を作ったんだから、
    みんなでドッジボールでもやりましょうよ」

ドラえもん「いいね、やろうやろう! ──ん、のび太君、どうしたの?」

のび太「ドラえもん、あそこっ!」

のび太が指差す方向には、煙を上げてふらふらと飛ぶ戦闘機があった。

ドラえもん「なんでこんなところに飛行機が!?」

しずか「そんなこといってる場合じゃないわ!
    あのままじゃ、どこかにぶつかっちゃうわよ!」

ドラえもん「そうだね! ──えぇと」

ドラえもん「なんでも空港~!」

【なんでも空港】
飛行しているものを、強制的に着陸させる道具。
効力は昆虫やオバケ、果てはジェット機にまで及ぶ。

戦闘機はなんでも空港に吸い寄せられ──

ドラえもん「こっちに来たぞ、みんな離れろっ!」ダッ

無事、着陸に成功した。

スネ夫「うわぁ~かっこいい……」

ドラえもん「ようし、みんな中にいる人を助け出そう!」

ジャイアン「俺様に任せろ!」ダッ

パイロットを無事救出した五人だったが──

ドラえもん「これは……」
のび太「えぇと……」
しずか「どう見ても……」
ジャイアン「キツネ……」
スネ夫「だよね……」

のび太「もしかして……チッポ君たちの仲間かな?」

ドラえもん「仲間ってことはないだろうけど、
      彼らと同じようなタイプの宇宙人ってところだろうね」

しずか「気絶してるみたいだけど、大丈夫かしら……」

ドラえもん「お医者さんカバンによると、頭を強く打ってるみたいだから、
      しばらくこのまま安静にしておこう」

ドラえもん「あと、この人が起きたら話を聞かなきゃいけないから、
      今のうちにみんなでほんやくコンニャクを食べておこう」

ジャイアン「やれやれ、せっかく遊び場ができたってのに、
      とんでもないことになっちまったぜ」

スネ夫(あの戦闘機、かっこいいなぁ……)

しばらくして──

フォックス「うぅっ……ここは!?」ガバッ

フォックス「うっ!」ズキッ…

しずか「まだ寝てないとダメですよ!」

フォックス「……君たちは?」

ドラえもん「ぼく、ドラえもんです」

ドラえもん「ぼくたちがこの星で遊んでいたら、あなたの飛行機が飛んできたので、
      救助したんです」

フォックス「ドラエモン……。そうだったのか、ありがとう」

フォックス(全く知らない種族だ……)

フォックス(ウルフに撃墜された瞬間、空間に飲まれるような感覚があったが、
      どうやらワープをしてしまったようだな)

フォックス(早く仲間と合流しないと……。しかし、もうアーウィンは──)

ドラえもん「もしよければ、何があったのか話を聞かせてもらえませんか?」

フォックス(どうやらこの子たちは悪人ではなさそうだ。
      俺の事情を話したところでどうしようもないが……
      助けられた恩もあるし、ここは正直に話すべきだろうな)

フォックス「俺の名はフォックス・マクラウド。
      やとわれ遊撃隊“スターフォックス”のリーダーをやっている」

のび太「スターフォックス……?」

のび太「あとドラえもん、遊撃隊って?」
ドラえもん「戦争とかで、本隊とは別行動を取る部隊のことだよ」

フォックス「俺たちを雇った惑星コーネリアは、ライラット系の中でも
      もっとも豊かで平和な星だった」

のび太「ライラット系って?」
ドラえもん「多分こっちでいう太陽系みたいなものだよ。
      話が進まないから、とりあえず今は黙って聞いておきな」

フォックス「しかし、ある男が宣戦布告をしてきたことで、
      この星の平和は終わりを告げた」

スネ夫「せ、宣戦布告……」ゴクッ

フォックス「宣戦布告してきたのは、アンドルフという
      かつて惑星コーネリアを追放された科学者だった」

フォックス「ヤツは惑星ベノムを本拠地にし、強大な軍隊を作り上げ、
      ライラット系の惑星を次々に征服していった」

ジャイアン「なんてヤツだ、許せねえ!」

フォックス「そして、アンドルフの魔の手はついにコーネリアにまで及んだ。
      ヤツらによって、コーネリアの都市は徹底的に破壊された」

しずか「ひどい……」

フォックス「しかし、コーネリア軍に雇われた俺たちスターフォックスが、
      どうにかコーネリアからベノム軍を撃退することに成功した」

フォックス「その後、一気にベノムまで進撃しようとしたんだが──」

フォックス「その途中にある惑星フィチナで俺はライバルの“スターウルフ”に敗れ、
      こうして君たちに助けられる結果となってしまった……」

のび太「う~ん、なにがなんだか……?」
ドラえもん「つまりだね、フォックスさんは悪者をとりあえずは食い止めたけど、
      その後やられちゃったってことだよ」

しずか「フォックスさんが負けて、コーネリアは大丈夫なんですか……?」

フォックス「分からない……」

フォックス「かなり長い間、ワープ空間にとらわれていたようだし、
      できれば今すぐにでもコーネリアに戻りたいが──」

フォックス「アーウィンがあれでは……」

スネ夫「これアーウィンっていうんだ!
    すっごいなぁ~……今まで見たどんなラジコンよりかっこいいや!」

ドラえもん「ラジコンだなんて失礼な……」

フォックス「ハハハ、アーウィンは“超高性能全領域戦闘機”といわれていてね」

フォックス「反重力制御によって超高速戦闘が可能で、
      機体そのものも頑丈で高熱や汚染領域などあらゆる悪条件下での
      飛行にも耐えることができる」

ドラえもん(すごいなぁ、22世紀の戦闘機にも匹敵するかもしれない)

フォックス「だから、超一流のエンジニアでなければ
      こいつを修理することはとてもできないんだ……」

のび太「大丈夫さ、フォックスさん!」

フォックス「え!?」

のび太「ここにすんごいロボットがいるんだから! ね、ドラえもん?」

ドラえもん「この復元光線を使えば、たとえアーウィンだって直すことができます」

【復元光線】
壊れた物体を直すことができるライト。

フォックス「本当かい!? とても信じられないが──」

ドラえもん「えいっ!」ピカーッ

復元光線の光を浴びたアーウィンの機体が、みるみる修復されていく。

フォックス「す、すごい……!」

ドラえもん「念のため、試運転をしてみて下さい」

フォックス「ありがとう!」

キィィィィ……ン

フォックスはアーウィンに乗り込み、星の周りを鮮やかに飛び回った。
のび太たちはフォックスの操縦技術とアーウィンの美しさにしばし魅了された。

ジャイアン「なあ、みんな」
スネ夫(うわ、イヤな予感……)

ジャイアン「このままフォックスさんを帰しちまっていいのかよ!?」

ジャイアン「俺たちだって今まで宇宙を何度も救ってきたんだ!
      なにか手伝えることがあるはずだぜ!」

のび太「うん、たしかに!」

スネ夫「なにいってんだい! あんなすごい戦闘機がバチバチやってるような
    宇宙戦争に乗り込もうっての!?
    いくらドラえもんの道具があったって、無謀だよ!」

しずか「たしかにね……例えばパピさんの時は敵が小さかったからよかったけど……。
    相手が同じ大きさだったら、かなり危なかったわ」

ドラえもん「う~ん、いくらぼくの道具でも、あのアーウィンという戦闘機には
      勝てないかもしれない……」

ジャイアン「怖気づいたのかよ!」
スネ夫「そりゃそうさ!」

ドラえもん「でも──」

ドラえもん「あのアーウィンをコピーすることは可能だよ!」

スネ夫「コピーしてどうしようってのさ!?
    戦闘機の操縦なんか、小学生のぼくらにできるわけないじゃん!」

ドラえもん「うむむ、たしかに……」
しずか「いいえ、大丈夫よ!」

しずか「パピさんたちとPCIAと戦った時、空飛ぶ戦車を作ったじゃない!
    あの時みたいにアーウィンを私たちでも扱えるように改造すればいいのよ!」

ドラえもん「そうか!」

スネ夫「ふん……問題はまだあるよ」

ジャイアン「まだあるのかよ!」

スネ夫「ぼくたち全員分の改造アーウィンを作ったとしても、
    うまく連係できなきゃ、敵に各個撃破されるのがオチさ」

のび太「だったらさ、ぼくたち全員で一機のアーウィンを操縦すればいいじゃない。
    ぼくってかしこ~い!」

スネ夫「お前、バカか!? どう見てもアーウィンは一人しか入れないだろ!」

のび太「むぐ……」

ドラえもん「──いや、なかなかいい発想かもしれない!」

ドラえもん「四次元の技術を駆使すれば、ぼくら全員が一機のアーウィンに
      入ることもできる!」

ドラえもん「それにぼくたち一人一人じゃとてもフォックスさんのようには
      いかないだろうけど──」

ドラえもん「ぼくら五人で一人のパイロットになれば、
      フォックスさんの足を引っ張らずに済むかもしれない!」

ドラえもん「タイムマシンを使えば、いくら五人で家を留守にしたって問題ないしね」

スネ夫「だ、だけどさぁ……」

ジャイアン「ふん、スネ夫。さっきからずいぶん弱気だけどよ」

スネ夫「な、なんだよ、ジャイアン」

ジャイアン「お前だって、あのアーウィンとかいう飛行機を動かしてみたいんだろ?」

スネ夫「…………」

スネ夫「もう、分かったよ! しょうがないなぁ! 好きにすればいいさ!」

ジャイアン「へっへっへ」

ドラえもん「決まったね。じゃあフォックスさんの試運転が終わったら話してみよう!」

試運転を終えたフォックス。

フォックス「ありがとう、アーウィンの調子は完璧だったよ!
      あとはライラット系目指してなんとか飛んでいくことにする」

ドラえもん「フォックスさん」

ドラえもん「ぼくの道具があれば、フォックスさんをライラット系まで
      一瞬で連れていくことが可能です」

フォックス「なんだって!? 驚いたな、そんなこともできるのか……」

ドラえもん「だけど、条件があります。
      ぼくたちにフォックスさんのアーウィンをコピーさせて下さい!」

のび太「そして、ぼくたちにもフォックスさんの手伝いをさせて下さい!」

フォックス「なっ……!」

フォックス「子供である君たちを戦いに巻き込むわけには──」

ジャイアン「頼むよ、フォックスさん!
      俺たちこう見えても、何度も地球や宇宙を救ってきたんだぜ!」

フォックス(この正義感の強そうな子供に、
      アンドルフとの戦いの話をしたのは失敗だったか……)

フォックス(しかし、アーウィンはたしかに直っていた。
      この子たちがすごい力を持っているというのも事実ではある……!)

フォックス「分かった。ライラット系までついてくるのは認めよう」

フォックス「だが俺としても、子供を巻き込みたくないってのは本音なんだ。
      戦況次第では、すぐに帰ってもらうことになる──いいね?」

ドラえもん「はいっ!」
のび太「はいっ!」
しずか「はい!」
ジャイアン「おうよ!」
スネ夫「……帰りたい」ボソッ

まずドラえもんはスモールライトでアーウィンを小型化し、
フエルミラーにてアーウィンを一機増やし、元の大きさに戻した。

そして──

ドラえもん「天才ヘルメット~! 技術手袋~!」

【天才ヘルメット】
機械をどう改造するのが最適か、考えてくれるヘルメット。

【技術手袋】
指先がさまざまな工具に変化し、これをつけるだけであらゆる工作が可能。

ドラえもん「よぉ~し、五人で協力して改造しよう!」

のび太「──できたぁっ!」

フォックス「え、もう!?」

さっそく“改造版アーウィン”のお披露目が始まった。

ドラえもん「まず内部の広さ、アーウィンの大きさはそのままに
      四次元技術を駆使して、ぼくたち五人が入れるようになった!」

スネ夫「コクピットも改造して、ゲームやラジコン感覚で操作できるようにしたよ!」

のび太「ビーム発射口は、パイロットが操縦だけに専念できるよう、
    別の人間が担当できるようにしたしね!」

ジャイアン「さらにボム発射は、投球フォームと連動して動く、
      “ジャイアンアーム”で行えるようにしたぜ!」ウイーン

しずか「できればお風呂をつけたかったけど……私は参謀として頑張るわ!」

フォックス(すごい……こんな短時間でアーウィンをここまで改造するなんて……。
      スリッピーが聞いたら嫉妬するかな……いや、喜ぶだろうな)

ジャイアン「せっかくだから、こいつに名前をつけてやろうぜ!
      “ジャーウィン”なんてのはどうだ!?」

スネ夫「ぼくが操縦するんだし、“スネーウィン”の方がいいよ!」

のび太「いやいや、“ノビターウィン”だよ!」

ドラえもん「ぼくの道具で改造したんだから“ドラーウィン”にすべきだ!」

ギャーギャー……! ワイワイ……!

しずか「んもう……しょうがない人たちね。
    だったらフォックスさんに決めてもらいましょうよ」

フォックス「う~ん……俺が一番しっくりきたのは“ドラーウィン”かな」
     (子供たちの中から選ぶと、あの三人が喧嘩しそうだしな……)

ドラえもん「やったぁ!」
のび太「うう……」
ジャイアン「ちぇっ、フォックスさんがそういうなら……」
スネ夫「しょうがないか」

こうして、ドラえもん式超高性能全領域戦闘機“ドラーウィン”が完成した。

ドラーウィン乗組員──

メインパイロット 骨川スネ夫

レーザー砲撃手 野比のび太

ボム砲撃手 剛田武

参謀 源静香

機長 ドラえもん



ドラえもん「ぼくたち五人が力を合わせれば、どんな敵だって倒せるはずさ!」

ジャイアン「おうっ! ──って、なんでドラえもんが機長なんだよぉ!」
のび太「ずるいよ!」

しずか「もう……喧嘩はやめましょうよ!」

スネ夫「やれやれ……」

フォックス(早いところ、俺をライラット系に連れていってもらいたいんだが……)

<惑星コーネリア>

ペパー「フィチナ周辺を軍に捜索させておるが、
    まだフォックスが見つかったという報告は入っておらん……」

ペッピー「そうですか……」

ファルコ「ケッ、くたばったに決まってる!」

スリッピー「ファルコ、なんてこというんだよ!」

ファルコ「ふん、俺は元々アイツをリーダーだと認めた覚えはねえんだ。
     あの時もあっさりと背後を取られやがって……情けねえ!」

ファルコ「こうなったら、俺が一人でベノムに攻め込んでやらぁ!」

ペッピー「ファルコ、ムチャをいうな!
     とにかく今は……フォックスの安否確認が最優先じゃ」

ファルコ「……ちっ」
スリッピー「フォックス……どこ行っちゃったんだよぉ……」

バタンッ!

兵士「ペパー将軍!」

ペパー「なんだ、騒がしいぞ!」

兵士「フォックス殿が……ご帰還されました!」

ペパー「おお、よく戻ったな!」

フォックス「ご心配をおかけしました、将軍」

ペッピー「無事だったか! よかった……!」
スリッピー「フォックス、無事だったんだね~!」

フォックス「ありがとう、二人とも」

ファルコ「ケッ、てめえがあのウルフのヤロウにやられたせいで
     フィチナの情報基地はめでたく破壊され──」

ファルコ「せっかくコーネリア、メテオ、フィチナと押し戻した戦線も、
     すっかり後退させられちまった。
     セクターYから、コーネリアに大艦隊が進軍してるって情報もある」

フォックス「すまない……」

ペッピー「済んだことじゃ、もうよさんか!」

ファルコ「いいたいことはまだあるぜ、フォックス」

ファルコ「お前の後ろにいるガキども……ありゃいったいなんだ?」

フォックス「彼らは……ワープで巻き込まれた先で俺を助けてくれたんだ。
      俺が帰ってこれたのも、彼らのおかげだ」

ファルコ「ほぉう。ベノムのサルどもに少し似てるが、敵じゃあねえようだ。
     だがなぜ、そのガキどもをこんなところまで連れてきた?」

フォックス「彼らは優れた技術を持っている。助けになるなら、と思い……連れてきた」

バキィッ!

フォックス「ぐはっ……!」

ファルコ「ガキに助けられた上に、挙げ句ガキの助けを借りて戦闘だぁ?
     そこまで落ちぶれちまったのかよ、フォックスよぉ!」

ドラえもん「ちがいます! ぼくらが無理をいってついてきたんです!」

ファルコ「黙ってろタヌキ!」ギロッ

ドラえもん「ぼ、ぼくはタヌキじゃ……」
     (こ、怖くて言い返せない……)

スネ夫(おっかない……やっぱり来るんじゃなかった……)

ファルコ「どっちだって同じだ! ──ったく今までこんなヤツをリーダーに
     してたなんて情けねえ……スターウルフ如きにやられるわけだぜ!」

ファルコ「もうお前には愛想が尽きた。俺はこのチームを──」

バタンッ!

兵士「ペパー将軍! セクターYのコーネリア艦隊が大打撃を受けたとの報告が!
   今すぐ援軍の出動をお願いします!」

ペパー「なんだと!?」

ペパー「くっ、セクターYを突破されれば、コーネリアは滅亡する……!」

ペッピー「フォックス、ファルコ、今は一刻を争う時じゃ。
     ひとまず喧嘩はやめ、出撃準備に入るんじゃ!」

ファルコ「ちっ……」
フォックス「分かった、ペッピー」

ペッピー「……こちらには全く戦力が足らん、今は猫の手も借りたい時じゃ!
     君たちも協力してくれるというなら、ぜひ協力してくれ!」

ドラえもん「はいっ!」

ファルコ「……いいか、フォックス」

ファルコ「もし、この戦いでもふぬけたところを晒すようなら、
     俺はチームから抜ける……分かったな!」

フォックス「ああ、分かっている」

ジャイアン「なんでぇなんでぇ! なんなんだよ、あのファルコとかいうトリはよ!
      ムシャクシャしてきやがる!」

のび太「ホントだよ! フォックスさんを殴ったり、ぼくらをバカにしたり……」

しずか「でもファルコって人、フォックスさんを奮起させるために
    わざとあんないいかたをしてたようにも見えたわ」

のび太「そうかなぁ」

ドラえもん「あのペッピーっていう人のいうとおり、今は時間がない!」

ドラえもん「バカにされた分は、ぼくたちのドラーウィンで返してやろう!」

ジャイアン「そうだな!」
のび太「そうだね!」

しずか「スネ夫さん、操縦よろしくね!」

スネ夫「……んもう、やるしかないんでしょ!」

<セクターY宙域>

セクターY宙域では、コーネリア軍とベノム軍の激しい戦闘が続いていた。

ズガァンッ!

ドゴォンッ!

バゴォンッ!

※これらの音は宇宙空間に響いたわけでなく、各戦闘機等の内部に響いている音である。



ファルコ「派手にやりやがって……サルどもが」

フォックス「味方の艦隊を援護する! 各機、ベノム軍戦闘機をもらさず撃墜せよ!」

ペッパー「了解じゃ」
スリッピー「了解っ!」

フォックス「ドラーウィンは俺たちが撃ちもらした敵を狙ってくれ!
      ただし絶対に無理はしないように!」

ドラえもん「はいっ!」

スターフォックス以外の部隊が無能すぎるからな

ファルコ「全部落としてやるぜっ!」ズガガガッ

フォックス「ファルコ、ムチャをするな!」

ファルコ「うるせぇっ!」

ペッピー「一匹も後ろに通すんじゃないぞ!」バシュッ

スリッピー「このオイラがそんなヘマをするわけが……って、しまった!
      一機、抜けられちゃったよ~!」

フォックス「ドラーウィン! そっちに敵機が一機向かった!」

ベノム兵「ふへへへ、スターフォックスは四匹って聞いたが、ありゃ新入りか?
     撃ち落としてやるぜ!」バシュッ

ズガァンッ! ガクガク……!

スネ夫「ぎゃあぁぁっ!」
しずか「きゃあっ!」
のび太「ひぃ~っ!」
ジャイアン「うおおっ!?」
ドラえもん「うわぁ~っ!」

ファルコ「一発喰らっただけであのザマか、いわんこっちゃねえ!」

フォックス「ドラーウィン逃げろ! 逃げるんだ!」

ベノム兵「ハハハ、後ろを取って、じっくりと片付けてやる!
     新入りとはいえ、スターフォックスをやれば俺の名も上がるってもんよ!」

スネ夫「やっぱり無理だったんだよぉ~!」
ジャイアン「すげぇ揺れだっ!」
ドラえもん「あれでもない、これでもない~!」ポイポイッ

のび太(ぼくらがもしこのまま逃げたら、フォックスさんは──)

のび太「スネ夫! なんとかあの敵を、ドラーウィンの前に持ってきてくれ!
    あとはぼくが絶対に撃ち落とす!」

スネ夫「の、のび太……!」

しずか(のび太さん……!)

しずか「今、敵は真後ろにいるわ! スネ夫さん、宙返りできる!?」

スネ夫「や……やってみるっ!」

ギュルンッ!

ベノム兵「な!?」

のび太「今だっ!」バシュシュッ

──ズガァンッ!

のび太「や、やった……!」





のび太「っていう感じの大冒険をさ、やってみたいなーなんて」

DORA E MON 「そんなことより宿題はおわったの?」

ズガァン……

スリッピー「おお、アイツらけっこうやるじゃん!」

ペッピー「こらスリッピー! 元々はお前のせいだろうが!」

ファルコ「ふん、あのガキどもがザコ一匹にてんてこまいしている間に、
     こちとら10匹は落としてるぜ」

フォックス(ノビタ君たち……よくやった!)

フォックス「全機、全速前進! 敵艦隊の中央を突破するぞ!」



ベノム兵「遊撃隊スターフォックス、勢いが止まりません!」

将軍「スターフォックスか……。
   くっくっく、面白い……新型の性能を試すにはちょうどよいわ!」

将軍「“サルデス2”の出撃準備だ! この俺が直々に片付けてやる!」

ベノム兵「はっ!」

スリッピー「──ん」
ペッピー「どうした?」

スリッピー「前方に敵確認! 今までのとはちがうよ!」

~ ベノム軍戦闘ロボット サルデス ~

人型戦闘ロボ“サルデス”二体が、フォックスたちを待ち受けていた。

スリッピー「うわっ、なんだこいつら! アーウィンよりすばやく動きまわるよ!」

ファルコ「ふん、だが装甲はそこまででもねえようだ──な!」ズガガガッ

ズガァンッ!

まずファルコが、サルデスを一機撃墜。

フォックス「こっちだ!」ズガガガッ

さらにフォックスも、二機目のサルデスを撃墜した。

ファルコ「あっけねえ……これでセクターYのベノム軍はおおかた片付いたようだな」

のび太「す、すごい……」
ドラえもん「あっという間だったね……」

しかし──

「キサマら、調子に乗るなよ!」

~ ベノム軍新型戦闘ロボット サルデス2 ~

サルデス2「先の二体はキサマらのデータを取るための捨て駒よ!
      この新型“サルデス2”で、キサマらを宇宙のチリにしてくれるわ!」

スネ夫「うわぁっ! またバンダムみたいなのが出てきた!」

スリッピー「気をつけて! さっきのヤツらより性能ははるかに上だよ!」

フォックス「あなどれないな……みんな、うかつに攻めるな!」

ファルコ「お前の命令なんざ聞くかよ、この俺がすぐに片付けてやるっ!」ギュゥゥゥン

ズガガガッ!

サルデス2「無駄だ! キサマらのレーザーなど、この盾には通用せん!」キィンッ

ファルコ「んだとォ!?」

サルデス2「しかも機動性もこの通りよ!」ギュルッ

一瞬でファルコの後ろに回り込むサルデス2。

ファルコ(しまった! さっきのと同じくらいの速さだと、油断した!)

サルデス2「まずは一匹!」

バシュンッ!

サルデス2「ぬっ、レーザー!? どこから──」

ファルコの危機を救ったのは、ドラーウィンだった。

サルデス2(あんな遠くから、この俺を狙い撃ちしただと!?)
ファルコ(マジかよ!?)

ファルコ(ちっ……この俺があんなガキどもに助けられるとはな……!)

ファルコ「……すまなかったな、フォックス!
     こいつは強敵だ! 一度態勢を立て直す!」

フォックス「ファルコ……!」

サルデス2「無駄だ! スターフォックス、キサマら五匹はここで死ぬのだ!」

サルデス2の機動性に、フォックスたちは苦戦を強いられる。

ファルコ(チマチマレーザーを当てても、ちっともこたえねえな!)
フォックス(どうにかヤツに集中砲火するチャンスができれば──)

スネ夫「のび太、さっきみたくレーザーどんどん当てろよ!」

のび太「ムチャいわないでよ、さっきので警戒されて全然当たらなくなっちゃった。
    アイツ、すごく動きが速いんだもん」

ドラえもん「あの目まぐるしい戦いにはとても割り込めそうもないし、
      今は離れたところから見守るしかないか……」

ジャイアン「ちくしょう、俺様のピッチングもここじゃ役に立たねえのか……」

しずか「…………」ハッ

しずか「そうだわ武さん、ボムよ!」

ジャイアン「ボム!? そりゃムチャだぜ、しずちゃん。
      のび太でも当てられねーのに、とても当てられねえって」

しずか「ううん、当てなくていいのよ!」

ジャイアン「へ!?」

しずか「スネ夫さん、スターフォックスのみんなに通信をつないで!」

スネ夫「う、うん!」カチッ


──
───

ジャイアン「よっしゃ、俺様の記念すべき第一球、行くぜぇぇぇっ!」

ブウンッ!

ジャイアンの投球フォームと連動するジャイアンアームから投げられたボムが、
サルデス2めがけて飛んでいく。

サルデス2「バカめ、そんなものが当たるか!」ギュンッ

サルデス2「──む!?」

ドォォォォ……ン

サルデス2「遥か手前で、爆発!? しまった、爆風と光で視界を──!」

フォックス「──今だ! 全機、ヤツを集中砲火!」

ズガガガガガガガガッ!

サルデス2「お、おのれぇ……この程度で……この程度で!」バチバチ…

サルデス2「ぐわああぁぁぁぁぁっ!」

ズガァァァンッ!!!

フォックス「作戦……完了!」

フォックスたちの空母であり拠点でもある、グレートフォックスに帰還する一同。

<グレートフォックス>

ナウス「ドリンクデス」

しずか「ありがとう、ナウスさん!」

フォックス「ヤツを倒せたのは、君たちのおかげだ……ありがとう!」

のび太「いやぁ~そんなぁ」
ジャイアン「照れるぜぇ」
スネ夫「あれくらい大したことないよ」

スリッピー「それにしてもアーウィンを複製して、
      しかも五人乗りに改造するなんて……すっごいなぁ~」

ドラえもん「えへへ、どうも」

スリッピー「頼もしい仲間ができたね、ファルコ!」

ファルコ「ふん、俺はまだそのガキどもを認めたわけじゃねえ」

ペッピー「ファルコ……たしかにあの子らはまだ危ういところが多すぎる。
     だが、あの子らが単なる猫の手ではなかったということも事実じゃ」

ファルコ「ケッ、んなこたあ分かってる……」

ドラえもん「フォックスさん、これからどうするんです?」

フォックス「すでに基地を破壊されたフィチナを通るルートは、得策ではない」

フォックス「他には水の惑星アクアスか、コーネリア軍の前線基地があるカタリナに
      向かうルートがあるが……」

フォックス「アクアスやゾネスにはペパー将軍がコーネリア海軍を派遣するとのこと」

フォックス「だからスターフォックスは、カタリナの救援に向かおうと思う。
      あそこには……ビルもいるからな」

のび太「ビルって?」

ナウス「フォックスノ友人デス。前線基地ノ指揮官ヲ務メテイマス」

ジャイアン「へぇ~すげえ人じゃん」

ペッピー「じゃが、カタリナのコーネリア軍はベノムの大軍に苦戦していると聞く。
     気を引き締めねばなるまい!」

スターフォックスは、いざ惑星カタリナへと向かう。

<惑星カタリナ>

前線基地上空では、無数のコーネリア軍とベノム軍が入り乱れ、
激しい空中戦を繰り広げていた。

ズガァンッ! ババババッ! チュドン! バシュッ! ドォンッ!

ビル「ペパー将軍から、まもなく援軍が到着するという連絡が入った!
   各隊、なんとしてもこの猛攻をしのぎきるんだ!」

「はいっ!」 「了解です!」 「はっ!」

ベノム兵「あがけ、あがけ! こちらの方が数は上なんだ!」

ファルコ「いくら数がいようと、質が伴ってなきゃなんの意味もねえぜ!」ズガガガッ

ベノム兵「うぎゃっ!?」ズガァンッ

フォックス「ビル、無事だったか!」

ビル「フォックス!? フィチナで行方不明になったと聞いていたが、
   生きていたのか!」

フォックス「どうにかな」

フォックス「全機散開して、コーネリア軍を援護せよ!」

スネ夫「ものすごい数の味方と敵があちこちを飛び回ってるよ!
    これじゃ、ぶつからないように飛ぶだけで精一杯だ!」

ドラえもん「のび太君、味方にレーザー当てちゃダメだよ!」

のび太「わ、分かってるよ!」

ジャイアン「これじゃボムは使えねーな。俺様の出番はなしか」

しずか「あ、スネ夫さん、後ろに敵が!」

ベノム兵「オラオラ、落ちやがれっ!」ピシュンピシュン

ズガガガガッ!

スネ夫「うわわわわっ!」

ベノム兵「オラオラ──うぐわぁっ!?」ズガァンッ

ファルコ「まったく、手間の焼けるガキどもだぜ」

しずか「あ、ありがとうございます……ファルコさん」

ファルコ「……礼をいうヒマがあったら、敵を落とすことを考えるんだな」

スリッピー「ファルコ、オイラも後ろにつかれたよ~!


ファルコ「知るか! 自分で何とかしろ!」

ペッピー「おほん、ドラーウィンのパイロット……スネオ君じゃったかな」

スネ夫「は、はいっ!」

ペッピー「たしかにこの戦場は先のセクターYとは比べ物にならんほど、
     敵味方が密集しておる」

ペッピー「だが、周囲の戦闘機にいちいち気を取られていては、
     戦闘どころか満足に飛行することもできんだろう」

ペッピー「君たちはこれまでにもこうした戦いを経験していると聞く。
     戦場の“流れ”を読みとるのだ!
     そうすれば、もっと自由にドラーウィンを操れるはずじゃ!」

スネ夫「戦場の……流れを……」

ジャイアン「やってやれ、スネ夫! ラジコンで鍛えた腕を見せてやれ!」

スネ夫「分かったよ、ジャイアン……やってやる!」グッ

ペッピーのアドバイスが効いたのか、ドラーウィンの動きが少しずつ向上する。

コーネリア軍とスターフォックスの猛反撃の前に、数を減らしていくベノム軍。

ビル(勝てる! この戦い、勝てるぞ!)

しかし──

グオン…… グオン……

しずか「……なにかしら、あの大きな円盤。味方かしら……?」

ビル「いや、コーネリア軍にあんなものは存在しない!」
ファルコ「ちっ、まだあんなのがいたってのかよ!」

~ ベノム軍超巨大要塞 グレートディッシュ ~

巨大円盤グレートディッシュは、基地の上空に停止すると──

ブワァァァ……

四つのハッチから、無数のベノム軍戦闘機を吐き出し始めた。

ビル「そんな……バカな……!」

ファルコ「ちぃっ……団体さんのお出ましだぜ!」

スネ夫「こんなのどうしろっていうのさ……!」

フォックス「──みんな、諦めるな!」

フォックス「敵が増えたなら、その分手柄を多く立てられるってことだ!
      存分に暴れてやろう!」

ファルコ「ふっ」
スリッピー「よぉ~し、オイラだって!」
ペッピー(あのフィチナでの敗戦で成長したようじゃな、フォックス)

フォックスたちは奮戦するが、次々とベノム軍が補充されるため、ほとんど徒労であった。

スネ夫「ママァ~!」

のび太「もう50機はやっつけたのに、全然敵が減らないよぉ~!」

ドラえもん「あの円盤から、敵がどんどん出てきてるからね……」

ジャイアン「こんちきしょう! どうすりゃいいんだ!」

しずか(敵が補充されてるのなら、供給元を絶つしか──)

しずか「やっぱりあの円盤をどうにかするしかなさそうね」

のび太「でもしずちゃん……あの円盤、レーザーもボムも通じないんだよ」

しずか「たしかに……でも敵を補充する瞬間──
    つまりハッチが開いた瞬間なら、もしかして攻撃が効くんじゃない?」

のび太「!」
ドラえもん「な、なるほど……」
ジャイアン「さすがしずちゃんだぜ!」

スネ夫「よ、よし、今のをみんなに伝えよう!」カチッ

ペッピー「なるほど、考えおったな」

ファルコ「たしかにこのまんまじゃ、ラチがあかねえな」

ビル「……よし、フォックス!
   今から俺たちでお前たちがハッチに向かう道を作る!」

ビル「次にハッチが開いた時、お前たち四人がハッチを破壊してくれ!」

フォックス「分かった!」

グオォォ……ン

ビル「全機に告ぐ、円盤のハッチが開いたぞ!
   ドーベル隊、バーナード隊、プードル隊はスターフォックスに道を作れ!」

「了解!」 「任せて下さい!」 「やってやりますよ!」

コーネリア軍の奮戦で、開いた四つのハッチがスキだらけになる。

フォックス「今だ、ハッチを攻撃!」ズガガガッ
ファルコ「空飛ぶ皿なんざ悪趣味なんだよ!」ズガガガッ
ペッピー「ベノム軍め、覚悟!」ズガガガッ
スリッピー「オイラだって!」ズガガガッ

ズガァンッ! ドガァンッ! バゴォンッ! ズガァンッ!

のび太「やったぁ! ハッチが全部壊れたよ!」

ベノム兵「艦長! ハッチを破壊され、これ以上戦闘機を出せなくなりました!」

艦長「こしゃくなマネを……!」

艦長「やむをえん、こうなれば少々危険だが円盤のコアのエネルギーを使って、
   一気にコーネリア軍基地を消滅させる!」

艦長「全ての機体に、エネルギー充填までコアを死守せよ、と伝えるのだ!」

ベノム兵「はいっ!」



グレートディッシュの中央から、地上に向かってコアが生える。

ビル「ものすごいエネルギーを感じる……!
   さてはあのコアから砲撃を放って、基地を爆破するつもりだな!」

ビル「敵円盤のコア出現! なんとしても破壊するんだ!」

だが──

「させるかよ!」 「コアに近づけるな!」 「死守だっ!」

守勢に回ったベノムの大軍によって、コアへの道は完全に閉ざされてしまった。

ファルコ「くそったれ、あれじゃ近づけやしねえ!」

スリッピー「レーザーくらいじゃ、あのコアは到底破壊できないし……。
      ボムなら可能かもしれないけど、それでも直撃させないととても──」

ペッピー「直撃する前に、ベノム軍にボムを撃ち落とされるのがオチじゃな」

フォックス「…………」

フォックス(ボムを直撃させれば、あのコアを破壊できるが、
      その前にベノムの大軍に阻まれてしまう、か……)

フォックス(たしかにレーザーとちがい、ボムの速度はかなりゆるやかだからな……。
      ──だが!)

スネ夫「ジャイアン、フォックスさんから通信が入ってるよ!」

ジャイアン「え、俺にか!? ──よ、よしっ!」

フォックス「ジャイアン君、君の力を借りたい!」

ジャイアン「俺の力……!?」

ビル「全機に告ぐ!」

ビル「もう残り一分程度で、敵円盤のコアはエネルギーの充填を完了するだろう!」

ビル「あの円盤を撃沈するには、コアにドラーウィンのボムを直撃させるしかない!
   ゆえにこれより全機をもって、ドラーウィンを援護する!」

フォックス「ファルコ、ペッピー、スリッピー!
      絶対にドラーウィンに敵を近づけるな!」

ファルコ「やってやるよ!」
ペッピー「了解じゃ!」
スリッピー「オッケー!」

ズガガガガッ! バゴォンッ! ビシュンッ! ギュィィィンッ!

コーネリア軍とスターフォックスは力を合わせ、ドラーウィンをフリーにする。

スネ夫「ジャイアン! 敵軍の隊形が乱れて、円盤のコアが見えた!」

のび太「頼むよ、名投手!」

ジャイアン「任せとけ……!」ドクンドクン

ジャイアン「この一投、絶対ストライクを取ってやるぜ!」

ジャイアン「うおおおおっ!」

ブウンッ!

ジャイアン魂の一球は──

「なんだあれは!?」 「コアに向かってる、止めろ!」 「メチャクチャ速い!」

ズガァァァァァンッ!!!

みごとコアを直撃した。

巨大円盤はあちこちから煙と炎を噴き出し──大地に沈んだ。

ドズゥ……ンンン……



ビル「本当にありがとう! お前たちがいなければ、
   この前線基地は今頃この星からなくなっていたことだろう」

ビル「俺は隊を率いて、ベノム軍の基地があるセクターXに攻め込むが──
   お前たちはどうするつもりだ?」

フォックス「ソーラに向かうつもりだ。
      あの星のエネルギーをアンドルフが悪用しようとしてるらしい」

ビル「あの灼熱の星に行くのか……燃え尽きるなよ、フォックス!」

フォックス「頭を冷やして行くさ!」

<グレートフォックス>

フォックス「ジャイアン君、ドラーウィンのみんな、よくやってくれた!」

スリッピー「ジャイアンのパワー、スネオのテクニック、ノビタのシューティング、
      シズカのブレイン、が合わさった勝利ってとこかな」

のび太「ドラえもんだけ、なにもしてないね」チラッ
ドラえもん「ぼくは機長だからいいの!」

ファルコ「ふん……だが、俺たちの死ぬ気の援護があったからできた話だろうが」

スリッピー「ファルコ!」

ファルコ「つまりお前たちには、俺たちが命を賭ける価値があるってことだ。
     今までサルだのガキだのと、バカにしてすまなかったな……認めてやるよ」

シ~ン……

ドラえもん「こちらこそ!」
ジャイアン「頼りにしてるぜ!」
スネ夫「もう今日みたいな戦いは懲り懲りだけどね」
しずか「ファルコさん……ステキ」
のび太「しずちゃん!?」

ペッピー(フフフ、ようやくワシらもまとまってきたようじゃな)

<惑星ソーラ>

グツグツ…… ゴアアアア……

星の表面はマグマで覆われ、絶えず炎が噴き出している。

フォックス「アンドルフがこの星のエネルギーを利用して、
      バイオウエポンを開発しているという情報がある!」

フォックス「なんとしても見つけ出し、破壊するんだ!」

ファルコ「とんでもねえ星だな、アーウィンでも持たねえかもな」

スリッピー「アーウィンの表面温度は9千まで保証するよ!
      ──にしても、暑い……」

ペッピー「もっと上空を飛ぶんだ! アーウィンが焼かれてしまうぞ!」

ドラえもん「まるで太陽だよ……こんな惑星があるなんて信じられない!」

のび太「暑いよぉ~……」
ジャイアン「う~ん……」
スネ夫「頭がボーっとして、操縦に集中できない……」

しずか「もう、みんなしっかりしなさいよ!」
   (でもたしかにすごく暑いわ……。汗かいちゃったしお風呂に入りたい……)

のび太「ドラえもぉ~ん、なにか暑くなくなる道具出してよぉ~!」

ドラえもん「世話が焼けるなぁ……エスキモー・エキス~!」

【エスキモー・エキス】
飲むと「あつい」と一回いうたびに、体感温度が3度下がる道具。

のび太「ようし、暑い、暑い、暑い、暑い、暑い……」

ジャイアン「のび太ばっかりずりぃや、俺たちにもなんか出してくれよ!」
スネ夫「ぼくがパイロットなんだからね!」

ドラえもん「あべこべクリーム~!」

【あべこべクリーム】
体に塗ると、体で感じる暑さと寒さが逆転する道具。

ヌリヌリ……

ジャイアン「ひええっ! 今度はすげぇ寒いぜ!」
スネ夫「ハーックション!」

しずか「大変よ、みんな! ……のび太さんが!」

のび太「…………」カキーン

のび太は凍っていた。

一方、その頃──

~ ベノム軍バイオウエポン サンガー ~

真っ赤な巨人が、溶岩の中で荒れ狂う。

フォックス「これが敵のバイオウエポンか……!」

ファルコ「アンドルフのヤロウ、狂ってやがる!」

スリッピー「敵シールド分析完了! モニターに表示するよ!」ピポッ

ペッピー「う~む……まずは腕を破壊して、攻撃できないようにした後、
     頭部を破壊すべきじゃろうな」

フォックス「では俺とスリッピーは、右腕を破壊する!
      ファルコとペッピーは左腕を破壊してくれ!」



のび太「あ~……死ぬかと思った……」

ドラえもん「暑いっていいすぎなんだよ、君は!」

しずか「ねえドラちゃん……テキオー灯をかければそれで済むんじゃない?」

ドラえもん「それだ!」

ドラえもん(そういえば小惑星で遊び場を作る時にかけたテキオー灯の効果は
      とっくに切れてたんだっけ……すっかり忘れてた)

ドラえもん「ようし、テキオー灯をかけたからこの暑さももうヘッチャラだ!
      フォックスさんたちの援護をしよう!」

暑さを克服したドラーウィンが援護に向かおうとするが──

ズガァァァ……ン

フォックス「全機、報告せよ!」

スリッピー「やったぁ~! 絶好調だよ、フォックス!」

ペッピー「やはり頭部が弱点じゃったな」

ファルコ「まったくドラーウィンのヤツら……少し褒めてやったらすぐこれだ」

ドラえもん「…………」

ドラえもん「どうやら今回はまったく出る幕がなかったみたいだね」

のび太「ぼくなんか暑い暑いいって、凍ってただけだよ」

ジャイアン「俺も寒がってただけだぜ」

スネ夫「ぼくもさ……」

しずか「まあ、こういうことも……あるわよ」

<グレートフォックス>

ペッピー「さて、今後の進路はどうする? フォックス」

フォックス「さっきペパー将軍から入った情報によると、
      アクアス、ゾネスと攻略したコーネリア本軍は、
      セクターZでもベノム軍を敗走させたらしい」

フォックス「ビルの別働隊も、セクターXで優勢のようだ」

ファルコ「順調だな」

フォックス「そして、俺たちはマクベスのベノム軍補給基地に向かおうと思う」

ペッピー「なるほど、あそこを潰せばベノムにとっても大打撃となる」

フォックス「補給基地を破壊したら、コーネリア本軍と合流して
      一気にベノムに攻め込む!」

のび太「いよいよ最終決戦が近づいてきたね、ドラえもん」

ドラえもん「そうだね」

ダダダッ!

スリッピー「みんな、大変だぁ~!」

フォックス「どうした、スリッピー!?」

スリッピー「今緊急報告が入って、セクターZから撤退したベノムの残党が、
      オイラたちを狙ってるらしいんだ!」

ナウス「左後方ヨリ、敵軍ガ迫ッテイマス!」

フォックス「ようし! この喧嘩、買った!」

ドラえもん「ぼくたちは──」

フォックス「君たちは疲れてるだろう。
      なぁに、残党くらい俺たちだけで片付けてみせるさ!」

フォックス、ファルコ、スリッピー、ペッピーがアーウィンにて出撃する。

ジャイアン「ちぇっ、今回は出番なしかよ」

スネ夫「最終決戦になったらイヤでも出番が回ってくるさ」

ジャイアン「それもそうだな」

ズガァンッ! ドオォンッ! バシュンッ!

スターフォックスは、ベノムの残党をあっという間に壊滅させた。

ペッピー「グレートフォックスに戻るとするか」
ファルコ「ケッ、この程度で俺たちに挑むたぁ100年早いぜ」

すると──

キャット「まだよ!」

ファルコ「キャット!? なんでお前、こんなところに!?」

キャット「感動の再会をやってる時じゃないわ、ファルコ。
     あなたたちが倒した敵軍は、本当の狙いを隠すためのオトリなのよ!」

ファルコ「オトリだと!?」

ナウス「本当ノヨウデス、ファルコ。敵軍ニ紛レテ──
    大型ミサイルガ6機、グレートフォックスニ迫ッテイマス!」

~ ベノム軍惑星間巡航ミサイル マン・ドリル ~

戦艦をも撃沈可能な巨大ミサイルが、グレートフォックスの間近まで迫っていた。

フォックス「くそっ、このままでは待機させてるドラーウィンのみんなが……!
      いや、グレートフォックスを破壊されれば、俺たちは終わりだ!」

フォックス「全機、なんとしてもミサイルを破壊せよ!」

ズガァンッ!

ファルコ「よっしゃ、1機ぶっ壊したぜ!」

ドゴォンッ!

フォックス「ミサイル撃破!」

チュドンッ!

キャット「フフ、ミサイルを落としてあげたわ」

ドカァンッ!

ペッピー「よし、ワシもミサイルを破壊できたわい」

バゴォンッ!

スリッピー「ふぅ……なんとかオイラも落としたよ!」

だが最後のミサイルが、グレートフォックスと衝突寸前になっていた。

ナウス「敵ミサイル接近! 距離10、回避デキマセン!」

フォックス「くそっ! 間に合わないっ!」ズガガガッ

すると、グレートフォックスの格納庫から、大きな布がはみ出した。

ペッピー「なんじゃあれは!?」

ドラえもん「ビッグライトで大きくした、ひらりマントだ!
      えぇ~い、どこかに飛んでけ!」

ヒラリッ

ナウス「敵ミサイル、軌道ガズレマシタ!」

ファルコ「へっ……どうやったか知らねえが、やるじゃねえか」

キャット「あんな布でミサイルの軌道をずらすなんて、ステキね」ウフッ

フォックス「今だ! 全機、ミサイルを集中砲火!」ズガガガガッ

ズガァァンッ!

マン・ドリルは全て破壊され、グレートフォックスはかろうじて難を逃れた。

ファルコ「……ん、キャットめ、消えやがった! あの気まぐれ猫め!」

スリッピー「まあまあファルコ、あの人がいなかったら本当に危なかったよ」

フォックス「どうやらミサイルが最後の攻撃のようだ。予定通り、マクベスへ向かう!」

<惑星マクベス>

マクベスは鉱物資源が豊富な惑星であり、
アンドルフに占領された後は、ベノム軍の重要な輸送・補給拠点となっていた。

フォックス「俺は戦車“ランドマスター”で地上から輸送列車を破壊する。
      アーウィン及びドラーウィンは、空中の護衛部隊を相手してくれ!」

ファルコ「了解!」
スリッピー「オッケー!」
ペッピー「了解じゃ!」

ドラえもん「ぼくたちもフォックスさんたちに負けないよう、頑張ろう!」

のび太「うんっ!」
しずか「ええっ!」
ジャイアン「おうよっ!」
スネ夫「ま、程々にね」

死闘が始まる。

スターフォックスはもちろん、
のび太たちもいくつかの戦闘を経験したことによって成長しており、
マクベスのベノム軍を快調に撃破していった。

追い詰められた輸送列車の責任者が、輸送中の新兵器を展開する。

~ ベノム軍最新鋭凧型実験兵器 ベンジャミン ~

ベンジャミン「最新兵器の恐ろしさを味わえることになるたぁ……
       お前たち、ついてるな」ニィッ

気流に乗り、上空からフォックスめがけ砲弾や槍を降らせるベンジャミン。

ヒュルルルル…… ズガァンッ! ドゴォンッ!

フォックス「くっ……!」

ペッピー(あれでは輸送列車を破壊するのは厳しいかもしれん)

ペッピー(それにワシらの武装では、補給基地を完全に破壊するのは難しい……。
     やはりこの列車を補給基地に突撃させるのが理想じゃな)

ペッピー(そのためには線路のポイントを切り替えなければならん)

ペッピー(ポイントを切り替えるには、8本の安全装置を撃って、
     ポイント切り替えのロックを解除する必要があるが──)

ペッピー(我々の中でもっともレーザーの命中率が高いのは、
     ドラーウィン……ノビタじゃろうな)

ペッピー「ノビタよ!」

のび太「は、はいっ!?」

ペッピー「ベノム軍の補給基地を完全に破壊するためには、
     あの列車が走る線路を切り替えねばならん!」

ペッピー「かといって、ベノム軍を無視することもできん!
     この先にある8本の安全装置、君が撃ち抜いてくれ!」

しずか「これは大役だわ……」
ジャイアン「のび太、大丈夫か?」

のび太「…………」

のび太「任せて下さい!」

ジャイアン「よくいったぜ!」

スネ夫「よぉし、なるべく安全装置の近くを飛ぶようにするから、絶対当てろよな!」

のび太「うん!」

ドラえもん(頑張れ、のび太君……!)

のび太(思い出すんだ……!)

のび太(今までドラえもんやみんなと、くぐり抜けてきた戦いの数々を──
    特にあの──)

『お前の……勝ちだ』

のび太(ギラーミンとの戦いを!)

バシュッ! ドシュッ! バシュッ! ガシュンッ!

ビシュンッ! ドシュンッ! バシュッ!

凄まじい集中力で、安全装置にレーザーを次々命中させるのび太。

スリッピー「すっげぇ~百発百中だよ!」

ファルコ「あのノビタって小僧、まさかあそこまでやるとはな」

ドラえもん「──ラスト一本だ、行けっ!」

のび太「えいっ!」バシュッ

ガシュッ!

しずか「やったわ!」
ジャイアン「さすが射撃の腕前だけは一流だぜ!」

ペッピー「よしロック解除! フォックス、ポイントを切り替えろ!」

フォックス「みごとだ、ノビタ君!」バシュッ

ガシャンッ……!

フォックスの一撃で、線路のポイントが切り替えられ──

ベンジャミン「ま、まずいっ! このままじゃこの列車が補給基地に突っ込んじまう!
       ブレーキだっ!」

キキィィィ~……!

ベンジャミン「うわぁぁぁっ! と、止まらねぇぇぇっ!」

輸送列車+ベンジャミンは、補給基地に超高速で突撃し──



ドッグワァァァァンッ!!!



大爆発を起こした。

スリッピー「やったぁ~っ!」

ペッピー「これで、ヤツらも痛手を負ったはずだ!」

フォックス「全機、グレートフォックスに帰還せよ! 次が最終決戦だ!」

<グレートフォックス>

ドラえもん「ファルコさん、あとはもうベノムだけなんですか?」

ファルコ「ああ、ただしベノムといっても広いからな。
     コーネリアの将軍は、二つのルートからの侵入を計画している」

ドラえもん「二つのルート?」

ファルコ「ベノムに攻め込むには敵の防衛衛星ボルスを突破するルートと
     エリア6っていう敵の防衛網を突破するルートがあるんだが──」

ファルコ「ボルスは今、フォックスのダチのビルってのが隊を率いて攻め込んでる」

ファルコ「んで、俺たちはエリア6に攻め込むってわけだ。
     セクターZを突破したコーネリア本軍と合流してな」

スネ夫「つまりここからはコーネリアの本軍が味方ってわけか!」
ジャイアン「へへっ、もう楽勝だな!」

ペッピー「もうすぐベノムの防空圏に入る。出撃準備を──」

ビービー……! ビービー……!

ナウス「フォックス、ペパー将軍カラ緊急通信ガ入ッテイマス」

フォックス「緊急通信!?」

グレートフォックス乗組員全員が集められる。

ペパー『フォックス……無念だ』

フォックス「一体どうしたんですか、将軍!?」

ペパー『君たちより先にエリア6で戦闘を開始していた我が軍主力部隊が──
    ベノム軍によって壊滅した……!』

フォックス「な、なんですって!?」

ペパー『そして──』

ペパー『ボルスに攻め込んでいたビルの隊が、あのスターウルフの急襲を受け──』

ペパー『敗北したとの報告が入った……』

フォックス「!」

フォックス「将軍! ビルは……ビルは無事なんですか!?」

ペパー『分からん……なんとか生き延びた隊員もいたのだが、
    ビルの生存はまだ確認できていないようだ……』

フォックス(ビル……!)

ペパー『ワシが至らぬばかりに、すまん……!
    とにかくこうなった以上、君たちだけでエリア6に攻め込むのは無謀すぎる。
    すぐに引き返してくれ!』

フォックス「いいえ」

フォックス「いくらベノムの大軍やスターウルフといえど、
      コーネリア本軍やビルの部隊と戦ったならば疲弊しているはず」

フォックス「しかも、勝利して油断しきっているというオマケつきです」

フォックス「今こそが、スターフォックスでエリア6を突破し──
      アンドルフの首を獲る最大のチャンスなんです!」

ペパー『本当に……大丈夫なのか。
    ジェームズに続き、君にまで死なれてしまったら私は……』

フォックス「心配無用、俺にはアーウィンとグレートフォックス……。
      そして頼もしい仲間たちがついていますから!」

ペパー『分かった……。君たちには本当に感謝している。
    必ず生きて帰ってきてくれ……!』

フォックス「……任せて下さい!」

ファルコ「ふん、当然だ」
ペッピー「よくいった、フォックス」
スリッピー「さすがフォックス!」

フォックス(ビル、父さん……必ずアンドルフを倒してみせるからな!)

ジャイアン「いよいよ最終決戦だ! 俺たちもやってやろうぜぇっ!」

ドラえもん「うんっ!」
のび太「もちろんっ!」

しずか「……あれ、スネ夫さんがいないわ?」

ドラえもん「あ、ホントだ!」

ジャイアン「あんにゃろ、トイレにでも行きやがったのか!?」

のび太「スネ夫がいないとドラーウィンは動かせないってのに……。
    なにやってんだろ、まったく」

スネ夫は補給物資保管庫に隠れていた。

スネ夫「なんだよ……味方はぼくらが着く前にやられちゃったとかさ……」ブツブツ…

スネ夫「無理に決まってるんだ、無理に……」ブツブツ…

のび太「スネ夫、こんなところにいたのか!
    もうすぐエリア6に入るから、ぼくらも準備しないと!」

スネ夫「絶対イヤだ!」

のび太「!」

スネ夫「コーネリア軍も、ビルさんもやられちゃったようなヤツらに、
    ぼくらみたいな子供が敵うわけがないだろ!?」

のび太「だけど、ぼくらがやらないとライラット系は──」

スネ夫「ライラット系なんてどうなったっていいっ!」

スネ夫「ベノムのヤツらも、次は太陽系に攻めてくるってわけじゃないんだろ?
    だったら、ぼくたちにはなにも関係ないじゃんか!」

スネ夫「関係ない人のために、命をかけられるわけないだろ!」

のび太「スネ夫……」

のび太「分かったよ、スネ夫。
    だったらドラーウィンの操縦はぼくが引き受ける!」

スネ夫「!」

のび太「なあに、ラジコンならぼくだってやったことあるし、へっちゃらさ!
    スネ夫はナウスさんとグレートフォックスから支援を頼むね!」

スネ夫「……あ」

タッタッタ……

スネ夫(待てよ、のび太!)

スネ夫(毎日のようにラジコンにさわってるぼくでさえ、
    最初のセクターY宙域ってところではひどい操縦だったんだ!)

スネ夫(ましてや、今度の敵はあの時よりずっとヤバイんだぞ!)

スネ夫(いえよ!)

スネ夫(“お前なんかに任せられるか、ぼくがやる”っていえよ!)

スネ夫「う、うぅ、う……」

ザッ……

「スネオ君」

スネ夫「フォックスさん……!?」

フォックス「スネオ君、俺は今のやり取りを少し聞いていた」

フォックス「全く関係ない君たちを、こんな戦いに巻き込んでしまって──
      本当に申し訳ないと思っている」

フォックス「だが……これまでの戦いで、君たちは成長し、
      君たちがいなければ切り抜けられなかった場面が幾度もあった」

フォックス「俺は誓う」

フォックス「“スターフォックス”リーダーの名にかけて、
      君たちのドラーウィンを絶対に落とさせはしない!」

フォックス「だからこの最後の戦い……俺たちに力を貸してもらえないだろうか」ザッ

頭を下げるフォックス。

スネ夫「ぼくなんかに頭を──……」

スネ夫(そうだ……ぼくはちょっと、肩を押して欲しかったんだ……)

スネ夫「もちろん! のび太なんかに任せておけませんからね!」

フォックス「ありがとう、スネオ君……!」

ジャイアン「はぁ!? のび太が操縦とかムリに決まってんだろ!」
しずか「そうよ、やっぱりスネ夫さんじゃないと……」
ドラえもん「コーネリア軍も突破できない難所なんだし……」

のび太「でも死ぬかもしれない戦いを、無理強いなんてできないよ……!」

スネ夫「待ってくれ!」ザッ

のび太「スネ夫!?」

スネ夫「いやぁ~ちょっと緊張してて、決心がつくのが遅くなっちゃったよ。
    ドラーウィンのパイロットは、ぼくに決まってるだろ?」

ジャイアン「心の友よ~!」ガシッ
のび太「スネ夫ぉ~!」ガシッ
しずか「ふふふ……」
ドラえもん「よし、ドラーウィン発進準備を始めよう!」



ペッピー「てっきりお前なら“あんな子供に頭なんか下げるな”と怒ると思ったがな」

ファルコ「あの五人がただのガキなら怒ってただろうさ。
     だが、アイツらはただのガキじゃなく……仲間だからな」

ファルコ「リーダーが仲間に頭を下げるくらいは、大目に見てやるよ」

ペッピー「ふっ、お前らしい答えじゃわい」

<エリア6>

エリア6のベノム軍はコーネリア本軍に快勝したばかりということもあり、
雰囲気が緩んでいた。

上官「様子はどうだ?」

カイマン「こちらカイマン、異常ないっスよ!」

上官「ま、当然だろ。なんたって主力部隊にあれだけの打撃を与えたんだ。
   これでまたすぐ攻めてくるとしたら、よほどの大バカだ」

ズガァンッ!

カイマン「ゲ、やっぱり異常ありました!」

上官「なんだと!?」

カイマン「どうやら大バカがいたみたいっスね」

上官「バカヤロウ! なにのんきなこといってやがる!」

カイマン「え~い、緊急配備につけ!」

スターフォックス、ベノム最大最強の防衛ラインに挑む!

ずらりと待ち構える、敵戦艦と敵戦闘機。

フォックス「うおおおおっ!」ズガガガガッ

ズガァンッ! ドゴォンッ! バゴォンッ!

ファルコ「おいおいフォックス、少し飛ばし過ぎじゃねえか?」

フォックス「らしくないな、ファルコ。
      ちょっとぐらい飛ばさなきゃ、ここはとても突破できないぞ?」

ファルコ「ふっ、いってくれるぜ!」ギュウゥゥゥン

スリッピー「あの二人、ちょっとムチャしすぎじゃないかなぁ~」

ペッピー「だが、いつもよりずっといい動きをしておる」
    (フォックスのリーダーとしての成長が、
     フォックス自身のみならずファルコの実力も引き上げておるんじゃな)

スネ夫(フォックスさん……ぼくらの負担を少しでも軽くしようと……)

スネ夫「のび太、ジャイアン、ガンガン攻撃してくれよ!
    しずちゃんは作戦を考えてくれ! ドラえもんはどら焼きでも食べてな!」

のび太&ジャイアン「おうっ!」
しずか「ええ、分かったわ!」
ドラえもん「うん」モグモグ

しずか「あれは──機雷の群れだわ!」

しずか「武さん、ボムを中に放り込んで機雷をまとめて爆破して!」

ジャイアン「まっかせとけぇ~!」ブウンッ

ズドゴォォォォ……ンンン

のび太「ジャイアンのおかげで、敵の隊形が乱れたぞ! 狙い撃ちだ!」ズガガガッ

ズガァンッ! バゴォンッ! ドゴォンッ!

ベノム兵「なめるんじゃねぇっ!」

スネ夫「宙返りするっ!」ギュルッ
のび太「今だっ!」

ベノム兵「ぐわあああっ!」ズガァンッ



カイマン「やばいっスね! メッチャ攻め込まれてます!」

上官「敵は少数だ、大型ミサイルでまとめてふっ飛ばしちまえ!」

カイマン「了解で~す!」

グオオオオ……!

スリッピー「ミサイルだっ!」

ペッピー「破壊するんだ、狙われているぞっ!」

ズガァン! ドガァン! ドゴォン! バゴォン! ズドォン!

上官「やったか!?」

カイマン「いや、まだです! ミサイルは全て迎撃されちゃいました!」

上官「おのれぇ!」



ファルコ「ちっ、さすがにここまで深く入り込むと、
     奇襲のアドバンテージもなくなってきやがるな」

フォックス「ああ、だが俺たちにできることは前進あるのみ!」

ピリリリ……!

フォックス「なんだ、ナウスからの通信か?」

フォックス「いや違う! これは……この通信は──!」

アンドルフ『待っていたぞ、スターフォックス』

フォックス「アンドルフか!?」

ペッピー「妨害通信だ! ワシらの集中力を削ぐための罠じゃ、聞く耳持つな!」

アンドルフ『フハハハハ……! フォックスといったな。
      かつてお前の父、ジェームズ・マクラウドはベノムにて命を落とした』

アンドルフ『そして、お前の親友ビルもまた、スターウルフの手でくたばりおった』

アンドルフ『次はお前の番だ』

アンドルフ『お前は私にたどり着くことなく、そこで宇宙のチリになるのだ!』

ジャイアン「やい、アンドルフ!」

アンドルフ『む?』

ジャイアン「お前なんか、俺様がギッタンギッタンしてやっからな!」
のび太&スネ夫「そうだそうだ!」

アンドルフ『お前たちがドラーウィンとやらか。
      まあハエが一匹増えたところで、お前たちの運命は変わらぬ』

アンドルフ『フハハハハハ……!』プツッ…

フォックス(首を洗って待ってろよ、アンドルフ!)

カイマン「第一防衛ライン、突破されました!」

上官「たかが五匹に、なんてザマだ! 撃って撃って撃ちまくれ! 敵を通すな!」

ズガガガガガッ! ピシュンピシュンピシュン! バシュゥゥゥゥッ!

さらに苛烈となる敵の砲撃。

スネ夫「当たるもんか!」ギュウン

のび太「前方の敵は、全部ぼくがやっつけてやる!」ズガガガッ

ジャイアン「俺様のボムを喰らいやがれぇっ!」ブウンッ

しずか「スネ夫さん、ここでブースト!」

ドラえもん「ムード盛り上げ楽団で、みんなを応援するよ!」

【ムード盛り上げ楽団】
その場の雰囲気に合った音楽を鳴らし、聞く人の気分を盛り上げてくれる道具。

カイマン「第二防衛ラインも、突破されました!
     ダメです! ヤツらの勢いが全く衰えません!」

上官「くそぉっ!」

ベノム兵「落ちやがれぇっ!」バシュバシュ

スリッピー「ベノムは目の前なのに、ちくしょう! あっち行けよ!」

ズガァンッ!

スリッピー「助かったぁ……サンキュー、ドラーウィン!」

のび太「どんなもんだい!」

ファルコ「おっと、お前らも後ろがお留守になってるぜ!」バシュッ

ドゴォンッ!

スネ夫「ありがとう、ファルコさん!」

フォックス「──いいってことよ、それより気を引き締めとけよ。
      もうベノムは目と鼻の先だ!」



カイマン「最終防衛ラインも、突破されましたぁ!」

上官「くそっ! こうなったらヤツを投入するしかねえ!
   まさかあのバケモノに、こんな少数チームの相手をさせることになるとはな!」

~ ベノム軍最終宇宙兵器 デス・ボール ~

グニャアアア……!

ペッピー「なんじゃ!? なにもない空間から、いきなり敵が現れおった!」

デス・ボールは触手を繰り出し、フォックスたちを強襲する。

シュバァッ! シュバァッ!

フォックス「みんな、かわせっ!」

ファルコ「ちいっ!」

スリッピー「ダメだ! アイツ、いくらレーザー撃ってもこたえないよ!」

ペッピー「おそらくどこかにコアがあるはずじゃが……
     とにかく攻撃を何度も加えて、敵の構造を探るしかあるまい」



上官「スターフォックスめ、さすがにデス・ボールには手こずっているようだな」

カイマン「そうみたいっスね」

上官「チマチマと攻撃してるのはコアを開かせようって魂胆だろうが──
   コアを開かせた時こそが、ヤツらの最期だ!」

ペッピー「よし、触手を破壊したらコアがむき出しになったぞ!」

フォックス「触手が再生する前に……全機、集中砲火だ!」

ズガガガガガッ!

スリッピー「ん、ちょっと待って! コアからものすごいエネルギー反応だ!」

デス・ボールのコア部分に、エネルギーが集中する。

そして──



ズオアッ!!!



ペッピー「まずいっ!」
フォックス「かわせっ!」
スリッピー「うひゃあああっ!」
ファルコ「ちいっ!」
スネ夫「ママァ~ッ!」



上官「うわぁぁぁっ!? ヤツのエネルギー砲がこっちに──……」ボシュッ

スターフォックスとドラーウィンは、かろうじて巨大エネルギー砲を回避していた。

フォックス「くそっ、またコアを閉じてしまったか……!
      だが、今度コアが出てきたらあのエネルギー砲を放つ前に破壊してやる!」

デス・ボール「…………」グニャアア…

ペッピー「消えよった!」

ファルコ「光学迷彩か!?」

スリッピー「いや、ちがう! 本当に跡形もなく消えてるよ!
      アイツやられそうになったから、別次元に避難したんだよ!」

ファルコ「次元って……マジかよ!」

グニャアアア……

再び現れたデス・ボールの触手に、苦しめられるフォックスたち。

すぐさま反撃に出ようとするが──

デス・ボール「…………」グニャアア…

ファルコ「また消えやがった!」

スリッピー「ちくしょう、これじゃどうしようもないよ!」

ドラえもん「もう、アイツを無視して先を急いだ方がいいんじゃ!?」

フォックス「いや……コイツを放置してベノムに乗り込むのは、
      あまりにもリスクが高すぎる!」

のび太「いくらぼくでも、消えた敵にレーザーを当てられっこないしなぁ」
ジャイアン「次元だか事件だか知らねーが、きたねぇヤツだ!」

しずか(次元……)

しずか「そうだわ、ドラちゃん!
    もしかして、あの敵は一時的に四次元に移動しているのかも!」

ドラえもん「!」

ドラえもん「──だとすると!」

ドラえもんは急いで四次元ポケットの中をのぞいた。

すると──

ドラえもん「いた!」

四次元ポケット内に広がる空間の中に、デス・ボールが漂っていた。

ドラえもん「ぼくがいるのに四次元の中に逃げ込むのは、大失敗だったね!」

ドラえもん「のび太君に昼寝で勝負を挑むようなもんさ!」

のび太「どうせなら射撃とかあやとりにしてよ」

四次元のことなら、22世紀生まれのドラえもんの方が圧倒的に知り尽くしている。

デス・ボールはポケットの中で、スモールライトで小さくされ、
タイム風呂敷で元の部品に戻されてしまった。

ドラえもん「よし、敵をやっつけたよ!」

スリッピー「ウソ!?」

フォックス「どうやったかは分からないが……ヤツが出てくる気配がない。
      やっつけたってのは本当のようだ」

フォックス「なら、もうエリア6にとどまっている理由はない!」

フォックス「ベノムの大気圏へ突入するぞ!」



カイマン「…………」

カイマン「上官もデス・ボールもやられちまった……」

カイマン「元々ムリヤリ徴兵させられてたし、田舎に帰るか……」

<惑星ベノム>

ついにベノムへと乗り込んだ、フォックスたち。

しずか「なんというか、暗くて淀んだ星ね……」

スネ夫「敵の本拠地だってのに、なんで敵がまったくいないわけ?」

ドラえもん「ホントだ、どうしてだろう?」

ジャイアン「なぁに、俺たちが怖くてみんな逃げちまったんだよ!」

のび太「きっとそうだよ!」

フォックス「いや、あちこちにベノム軍戦闘機の残骸が散らばっている。
      ……これはまさか!?」

「その通りだ、スターフォックス!」

キィィィィ……ン

ウルフ「俺たちがやったのさ……待ちくたびれてヒマだったからな」

レオン「この新しいオモチャで遊んであげよう」

ピグマ「ペッピー、そろそろジェームズのところに行きたいやろ?」

アンドリュー「アンドルフ様に逆らう下等生物は、全て撃ち落としてやる!」

フォックス「やはりスターウルフか!」

フォックス「ドラーウィン、悪いが君たちは手を出さないでくれ!
      こいつらとは正々堂々ケリをつける!」

フォックス「勝負だ、スターウルフ!」

ウルフ「フィチナん時よりは少しはマシになったんだろうな?
    今度こそ地獄に落としてやる! お前の親友……ビルのようになァ!」

レオン「さて、お前の相手はこの私がしてやろう。光栄に思うがいい」

ファルコ「ケッ、気色悪いカメレオン野郎が!」

ピグマ「ならわては、死にぞこないウサギの相手をさせてもらうでぇ」

ペッピー「ピグマ……! いいだろう、かかってこい!」

アンドリュー「ならばこのカエルは、アンドルフ様の名にかけて私が落とす!」

スリッピー「ふん、オイラをなめるなよ!」



のび太「こいつらが、前にフォックスさんをやっつけたっていうスターウルフか……!」

スネ夫「一騎打ちみたいになったけど、勝てるかなぁ……」

ジャイアン「なぁに、フォックスさんたちなら、楽勝に決まってるぜ!」

~ スターフォックス VS スターウルフ 最終決戦 ~

フォックス「もらったぁ!」バシュッ

ウルフ「甘いぜ!」グルンッ

フォックス(速いっ! あっという間に後ろに回られた!)

他のメンバーも、スターウルフが以前とは違うことに気付く。

スリッピー「前はアーウィンと互角ぐらいのスピードだったのに……
      敵機の性能が格段に上がってるよ!」

ファルコ「いや、機体の性能だけじゃねえ……。
     こいつら自身の反応速度も前とはレベルが違うぜ!」

ペッピー「まさか……改造手術か!?」

ピグマ「さすがはペッピー、鋭いのう!!」

ピグマ「脳をちょいといじくってのう、反応速度を極限まで高めたんや!
    加えてこの、改良したウルフェン……お前らの勝機はゼロや!」

ズガガガッ! ドシュウッ! ズバァッ! バシュッ!

因縁の対決は、瞬く間にスターフォックスが劣勢となる。

ドラーウィン内──

スネ夫「ま、まずいよ! 明らかに敵の戦闘機の方が性能いいよ!」

ドラえもん「こっちは戦闘の連続で、機体を改良する余裕なんかなかったしね……」

しずか「どうしましょう……このままじゃフォックスさんたちが……」

ジャイアン「ちくしょう! せっかくここまで来たってのによう!」

のび太「みんな、あの四人を信じよう!」

ドラえもん&しずか&ジャイアン&スネ夫「!」

のび太「あの四人は……スターフォックスは絶対勝つ!」

ドラえもん「そうだね、こんなハイレベルな戦い、下手に手は出せないし……」

しずか「分かったわ、のび太さん!」

ジャイアン「へっ、たまにはいいこというじゃねえか! のび太!」

スネ夫「ママ……どうかスターフォックスを勝たせて下さい……」ブツブツ…

キィィィィィ……ン

フォックス(考えろ……こいつらに勝つ方法を!)

フォックス(悔しいが個々の力では、完全に上を行かれている。
      かといってスターウルフはチームプレイも一流といえるレベルだ)

フォックス(打つ手はないのか……!?)

フォックスの頭を、ふと“ドラーウィン”がよぎった。

フォックス(──そうか!)

フォックス「ペッピー! ヤツらも改造手術や改造機に完全に慣れたわけじゃないはず!
      なんとかヤツらのクセを見つけ出してくれ!」

ペッピー「うむ、やってみよう!」

フォックス「スリッピー! お前はヤツらの機体をよく観察して、
      なにか弱点がないか探ってみてくれ!」

スリッピー「オッケー!」

フォックス「ファルコ! 俺とお前でヤツらをかき乱して
      二人が敵を観察できるくらいのスキを作るんだ!」

ファルコ「ドラーウィンのような役割分担ってやつか。お前にしちゃ、上出来だ!」

ブーストを全開にし、スターウルフをかく乱するフォックスとファルコ。

だが、いくら全力で飛ばしても、機体の傷は少しずつ増えていく。

ズガァン! ドゴォン! バゴォン!

ファルコ「やべぇな……シールドがとうとう半分を切っちまった」

フォックス(まだか……ペッピー、スリッピー!)

そして──

ペッピー「分かったぞ!」

ペッピー「ヤツらはたしかに大幅に反応速度を上げたが──
     それゆえにお前たちのちょっとした挙動にも過剰反応するようになっておる!
     つまりフェイントの類には、前よりも弱いはずじゃ!」

スリッピー「オイラも分かったよ!」

スリッピー「あいつらの機体は速度も火力もすごいけど、
      短期間でムリヤリ性能アップをしたから、安定性が犠牲になってる!」

スリッピー「さっきベノム軍を準備運動代わりに撃墜したっていってたけど、
      それは決して待ちくたびれたからじゃない」

スリッピー「そのぐらい大がかりなウォームアップをしないと、
      ヤツらの機体は安定して機能しないってことなんだ!」

フォックス「──でかした、二人とも!」

フォックス「みんな、ローリングやブースト、宙返りだけではなく、
      ブレーキとフェイントを多用した戦術を取れ!」

ファルコ「分かったぜ!」
スリッピー「オッケー!」
ペッピー「了解じゃ!」

従来の高速での撃ち合いを避け、あえて低速戦闘を挑むスターフォックス。

ピグマ「なんや!? いきなり戦法を変えおったで!」

アンドリュー「ふん、何をしようと無駄なあがきだ! 下等動物どもが!」

レオン「フッ、ヤケになったか」

ウルフ「くだらねぇことを……一気にケリをつけるぞ!」

速度を落とすということは、被弾しやすくなるということでもある。

ズガガガッ! バババッ! ズガァンッ!

スネ夫「こりゃまずいんじゃないの!?」

ジャイアン「みんな、敵のレーザーをどんどん喰らってるぜ!」

しずか「ド、ドラちゃん……!」

ドラえもん「でも、下手に道具で乱入すると、かえってジャマになりかねないし……」

のび太(フォックスさん、ぼく信じてます!)

ウルフ「ん!?」

ウルフ「おい、なんか機体の様子がおかしいぞ!」

レオン「うむ」

アンドリュー「お、俺もだ! 計器にもバラつきが出てる!」

ピグマ(くっ……! ヤツらの緩急をつけた戦法で、
    ムリヤリ改良した機体に、ガタが出てきよったか!)

ウルフ(ちいっ……! だから俺は反対だったんだ!
    改造手術や機体改良などせずとも、スターフォックスは倒せた!)

ウルフ(だが!)

ウルフ(少々調子がおかしくなったとはいえ、まだ十分に戦える!
    ヤツらのアーウィンも、もうボロボロなんだ!)

ウルフ(このまま四人で力を合わせれば──)

アンドリュー「い、いやだぁぁぁっ!」

錯乱したアンドリューが、メチャクチャにウルウェンを操縦し始めた。

ウルフ「あ、あのバカ……!」

アンドリューが乱射したレーザーが、レオンの機体にヒットする。

レオン「役立たずめ……落ちろ」

ズガガガガガッ!

アンドリュー「う、うわぁぁぁぁぁぁっ! アンドルフおじ──」

ズガァンッ!

煙を上げ、墜落するアンドリュー機。

スリッピー「こいつら、仲間割れしてるよ!」

ピグマ「くっ、いくらアンドルフ様の甥やからって
    あんなグズをチームに入れるんやなかった! 計算が狂うたわ!」

ピグマ「潮時や! 悪いが、わては撤退させてもらうで!」

しかし──

ペッピー「今さら逃げられると思うか、ピグマッ!」ズガガガッ

ピグマ「なっ!?」

ペッピー執念の追撃により、ピグマ機も火を噴き始める。

ピグマ「なんやとォ!? こ、このわてが──!」

ドォォォンッ!

さらに──

レオン「どいつもこいつも私の足を引っぱるだけのデクだったか。
    こうなれば私一人で敵を片付けてやろう」

ウルフ「待て! 俺とお前で向かえば──」

レオン「うるさい、黙って見ていろ」

ファルコとレオンの一騎打ちが再開される。

レオン「こざかしいトリめ、私にひざまずけ!」

ファルコ「悪いな、てめえの動きはもう見切ったぜ!」ギュルンッ

レオン「なにっ!?」

ファルコ「これでもチームのエースってことになってるんでな……
     もう逃がさねえっ!」ズガガガガッ

レオン「こ、この私が……この私がぁぁぁっ!」ヒュルルルル…

背後からレーザーを山ほど浴び、レオンのウルフェンも墜落する。

ウルフ「…………」

ウルフ(勝てる戦いだった──)

ウルフ(だが、こうなっちまったのは、俺がヤツよりもパイロットとして……
    いや、リーダーとして劣っていたからということか……!)

アンドルフ『フハハハハ……どうやらここまでのようだな、スターウルフ』

ウルフ「アンドルフ!? 俺はまだ負けてねえぞ!」

アンドルフ『もうよい。あと数十秒でその一帯は、地中に仕込んだ大型爆弾で爆破する』

ウルフ「てめぇ! まさか俺たちは最初から捨て駒──」

アンドルフ『スターフォックスとともに散るがよい』プツッ…

ウルフ「…………」

ウルフ「おいキツネども! もうじきここら辺りは爆弾で吹っ飛ぶ!」

ウルフ「まだ戦えるヤツがいるなら、俺についてこい!」

ファルコ「なんだと!?」

フォックス(ファルコたちはスターウルフとの戦いで、傷つきすぎている!)

フォックス「ファルコ、ペッピー、スリッピーは全速力でグレートフォックスに帰還!
      ドラーウィンは俺についてきてくれ!」

ジャイアン「ようやく俺たちの出番かよ!」

スネ夫「行くよ!」グオオオオッ

アンドルフの爆弾によって、まもなく戦場は大爆発を起こした。

<ベノム最深部>

キィィィィ……ン

ウルフ「ここをまっすぐ行けば、アンドルフにたどり着く」

のび太「ついにアンドルフとの決戦か……」ゴクッ

フォックス「だが、なぜだ。なぜ俺たちを助けるようなマネをした?」

ウルフ「あんなサルにいいように利用されるのは気にくわねえ……ただそれだけだ」

アンドルフ『なるほど……だから裏切ったというわけか』

ウルフ「な!?」

アンドルフ『敗北しただけでなく、敵を私のもとに呼び込むマネをするとは……。
      飼い犬に手を噛まれるとはまさにこのことだな』

アンドルフ『だが、お前たちが裏切った時の保険はちゃんとかけてある』

アンドルフ『お前たちの機体……ウルフェンには私だけが起動できる
      爆弾が仕掛けてあるのだ』

ウルフ「ふん……そんなことだろうと思ったぜ……」

フォックス「やめろ、アンドルフ!」
しずか「やめてぇっ!」

ウルフ「ジェームズの息子よ……」

ウルフ「てめえとはもっとちゃんとした決着(ケリ)を……つけたかった」

フォックス「ウルフッ!」

アンドルフ『散れ』

ドグワァァァンッ!

無情にも、爆破されるウルフェン。

アンドルフ『さて、スターフォックスよ。
      正直いって、ヤツらを倒すのは想定外だったが……』

アンドルフ『私を倒すことはできん!』

アンドルフ『さあ私の元に来るがよい。親父同様、このベノムにて砕け散れ!』

フォックス「アンドルフ……お前は必ず倒す! ──行くぞっ!」

ドラえもん「許せないっ!」
スネ夫「やってやる!」
ジャイアン「ギタギタにしてやらぁ!」
しずか「負けないわ!」

のび太「絶対に勝つ!」

~ ベノム軍総帥 アンドルフ ~

フハハハハハハハ……!

アンドルフ「よく来たな……歓迎するぞ!」

ドラえもん「巨大な顔に、巨大な手が二つ……!?」

しずか「とても科学者には見えないわ!」

フォックス「おそらく自分自身を改造したんだろう……行くぞ、アンドルフ!」

スネ夫「ぼくらも行くよっ!」

のび太「うんっ!」

ジャイアン「ボムはあと三発……絶対に無駄にはできねえっ!」

アンドルフの巨大な手が、アーウィンとドラーウィンを襲う。
アンドルフの巨大な口が、アーウィンとドラーウィンを吸い込もうとする。

だが、フォックスとスネ夫は巧みに攻撃をかわす。

スネ夫「エリア6に比べれば、この程度!」

フォックス「いいぞ、スネ夫君!」

アンドルフ「コシャクな……だが私の吸い込みからは逃げられんぞ!」

ズオオオオ……!

しずか「今だわ! 武さん、あの口の中にボムを!」

ジャイアン「おう! そんなに腹が減ってんなら、これでも食いやがれっ!」

ブウンッ!

吸い込まれたボムは──アンドルフの内部で大爆発を起こした。

ボウゥゥゥゥ……ン

アンドルフ「ぐげえぇあああああああっ!!?」

断末魔の叫びと共に、アンドルフの顔面が崩れていく。

ジャイアン「どんなもんだ!」

のび太「やったぁ!」
スネ夫「よっ、さすがジャイアン! 日本一!」
しずか「やったわ!」
ドラえもん「やっと終わったんだね……」

フォックス「父さん、ビル……やっとアンドルフを倒したよ。
      ドラーウィンという頼もしい味方のおかげで……!」

フォックス(レーダーに生体反応!?)

フォックス「みんな気をつけろ! アンドルフはまだ生きているっ!」

のび太「えぇっ!?」

「なるほど……」

「オモチャと侮っていたが、なかなかできるようだな……」

「しかし、この宇宙を支配するのは、偉大な頭脳を持つこの私……」

煙が晴れ、アンドルフが姿を現す。

のび太「ゲゲッ!?」

スネ夫「ひぃっ!? なにあれ!」

ジャイアン「ウソだろ!?」

しずか「信じられないわ……」

ドラえもん「むき出しの巨大な脳に、目玉が二つ……浮いてる。
      た、たしかに偉大な頭脳といえば偉大な頭脳だけど……」

フォックス「それが貴様の正体か! アンドルフ!」

アンドルフの左右の眼球が、アーウィンとドラーウィンに襲いかかる。

スネ夫「ひぃぃっ、こっちに来た!」

フォックス「気をつけろ! あの目玉、アーウィン級の機動力だ!」

あっという間に両機の後ろを取り、レーザーを放つ目玉。

ガガガガガッ!

しずか「きゃあああっ!」

フォックス「くっ……!」

フォックス「だがこの目玉さえ破壊してしまえば、ヤツの視覚を奪えるはず!」

フォックス「スネオ君、十分に後ろに引きつけてから──」

フォックス「宙返りだっ!」
スネ夫「はいっ!」

ギュルンッ!

目玉の後ろを取ったアーウィンとドラーウィンが、レーザー連射で両目を破壊する。

ドラえもん「やったぁ! これであの脳みそは、もうなにも見えないはずだ!」

一気にアンドルフに接近するドラーウィン。

スネ夫「アイツはもうスキだらけだ! のび太、連射で決めろっ!」

のび太「よぉ~し」

アンドルフ「フフフ……」

フォックス「──いや、待てっ!」

グオオオオッ!

アンドルフから、無数の触手が伸びる。

アンドルフ「バカめ、あの眼球は飾りに過ぎん。
      偉大なる私は目などなくても、全方位を認識できるのだ!」

しずか「ま、まずいわっ!」
ジャイアン「やべえっ!」

すると──

フォックス「リーダーとして、君たちを落とさせはしない!」ギュゥゥゥゥン

間に割って入ったフォックスが、ドラーウィンの身代わりに触手につかまった。

アンドルフ「甘いヤツよ……ならばお前から親父のもとに送ってやる!」

メキメキ…… バキィッ! ベキィッ!

触手に絡まれ、ウイングを破壊されるアーウィン。

スネ夫「げぇっ!」
ドラえもん「ああっ……!」
しずか「いやあぁぁっ!」
のび太「フォックスさん!」

ジャイアン「こんにゃろう!」ブウンッ

ズドォォォンッ!

ジャイアンのボムでどうにか脱出させるが、アーウィンはボロボロになっていた。

フォックス(くっ……なんとか飛べるが、レーザーもボムももう撃てない……!)

フォックス「ドラーウィン、逃げてくれ!」

フォックス「コイツは……命にかえても俺が倒す!」

フォックス(こうなったらアーウィンで特攻して、ヤツを倒すしかない!)

のび太「待って下さい、フォックスさんっ!」

のび太「ぼくたちだって、ずっとここまで戦ってきたんです!
    最後まで戦わせて下さい!」

ジャイアン「水臭いぜ、フォックスさん!」

しずか「お願いします!」

スネ夫「それに……ラジコンマニアのぼくには分かるんですけど、
    もうアーウィンは飛ぶのが精一杯でしょう?」

スネ夫「ぼくたちに任せてくれた方が、合理的じゃないかと……」

ドラえもん(みんな、成長したなぁ……)ホロリ…

フォックス「フッ……そうだな」

フォックス「分かった! アンドルフの撃破、君たちに託す!」

アンドルフ(バカめ……もっとも警戒したのはアーウィンによる特攻だったが、
      よりによってあのガキどもに託すだと?)

アンドルフ(すぐに触手で捕え、人質にした後、二機とも粉砕してくれるわ!)

触手を警戒しつつ、アンドルフの周囲を旋回するドラーウィン。

スネ夫「このぐらい距離を取れば、安全なはずだ」

ジャイアン「こっからボムを投げつけてやるか?」

ドラえもん「いや、さっきフォックスさんをボムで助けた時、
      アイツはほとんどこたえてなかったよ」

のび太「ボムが通用しないんじゃ、レーザーなんて絶対効かないよねぇ」

しずか「……ねぇ」

のび太「どうしたの、しずちゃん?」

しずか「さっきから、アンドルフはこちらの動きに合わせて回転してるのよ」

ドラえもん「それがどうかしたの?」

しずか「だってさっき、アンドルフは“全方位を認識できる”っていってたわ。
    なら、回転する必要なんてないはずでしょう?」

のび太「きっと回りたい気分なのさ!」

ドラえもん「……そうか! きっとアンドルフには、
      なにか回転しなきゃいけない理由があるってことか!」

しずか「えぇ! もしかしたらアンドルフは自分の弱点を隠すために
    回転してるんじゃないかしら……」

ドラえもん「なるほど~!」

ジャイアン「さっすが、しずちゃん!」

スネ夫「でもアイツ、見た目のわりに素早いから、回り込むなんてとても……」

ドラえもん「ようし」ゴソゴソ…

ドラえもん「相手ストッパ~!」

【相手ストッパー】
特定の相手を停止させる道具。

ドラえもん「アンドルフを止めろ! えいっ!」

アンドルフ「む!?」ビクッ

アンドルフ「なんだこれは……ふざけたマネをしおって!」グググ…

ドラえもん「……ダ、ダメだ!
      あんなに大きいと、さすがに完全には止められない!」

スネ夫「いや……だけど回り込むには十分だ!」

ギュイイィィィ……ン!

スネ夫が駆るドラーウィンが最高速度で、アンドルフの裏側へと回り込む。

しずか「見えた! きっと、あの緑色の塊が弱点だわ!」

のび太「よぉ~し、一斉攻撃だ!」
ジャイアン「おうよ!」

アンドルフ「おのれぇぇぇっ!」バラバラ…

アンドルフが次々と機雷に似た塊をばら撒く。

ズガァンッ! ドガァンッ! ドウンッ! ドゴンッ! バゴォンッ!

ウイングを損傷するドラーウィン。

だが──

のび太「レーザー発射!」
ジャイアン「これでトドメだぁっ!」

フォックス(ノビタ君たち……本当にありがとう)

フォックス「決めろっ!」

もうドラーウィンは止めることはできない!



アンドルフ「バカなぁぁぁぁぁっ!!!」

ドワァァァンッ!!!

ドラえもん「や、やった……!」

のび太「今度こそやったんだよね? また変身とかしないよね?」

アンドルフ「ぐぐ……おのれぇぇ……!」ボロボロ…

アンドルフ「だが……」ボロボロ…

アンドルフ「逃がしはせん……お前たちも私と共に滅びるノダァァァッ!!!」

ズガァァァンッ!!!

最後の力を振り絞り、大爆発を起こすアンドルフ。



スネ夫「うわぁぁぁぁっ!?」

しずか「きゃあああああっ!」

フォックス(俺たちを道連れに!? ──ここまでなのか……!)



「どんな時でも、決して諦めるな、フォックス」



フォックス「──父さん!?」

ジェームズ「みんな、私についてこい」

フォックスの父ジェームズが駆るアーウィンが、脱出経路を導く。

フォックス(夢なのか? 幻なのか? いや、なんでもかまわない!)
     「よし……スネオ君、俺についてきてくれ!」

スネ夫「あ、あわわ……ダ、ダメだ……体がすくんで……操縦が……」ガタガタ

スネ夫「手に力が、入らない……」ガタガタ

フォックス「…………」

フォックス「決して諦めるな、自分の感覚を信じろ!」

スネ夫(自分の……感覚……!)

ギュッ!

操縦桿を強く握り締めるスネ夫。

ドラえもん&のび太&ジャイアン「スネ夫!」
しずか「スネ夫さん!」

スネ夫「フォックスさん、もう大丈夫です!」

フォックス「よし! 脱出するぞ、急げ!」

ジェームズ(フッ……私の口癖を取られてしまったか……。
      強くなったな……フォックス)

基地の外では、グレートフォックスとファルコたちが待機していた。

ペッピー「すごい爆発じゃ……! アンドルフは倒せたのか……!?」

ファルコ「ちいっ! 大人しく待ってなんかいられるか、俺も中に入る!」

スリッピー「──待って、ファルコ! あそこから何か出てきたよ!」

ナウス「……データ照合シマシタ。アレハフォックス機とドラーウィンデス」

脱出を果たしたフォックスとのび太たちが合流する。

ペッピー「無事だったか、フォックス、ドラーウィン!」

スリッピー「すごいよ! さすがフォックスたちだ!」

ファルコ「ったく、大したヤツらだぜ。
     ノビタ、スネオ、ジャイアン、シズカ、ドラエモン……そしてリーダー!」

のび太「いやぁ~でもホント危なかったね」
ドラえもん「道案内をしてくれたフォックスさんのおかげだね」
しずか「スネ夫さんの操縦もすごかったわよ」
スネ夫「これぐらいは朝飯前さ」
ジャイアン「こいつぅ!」

フォックス(ありがとう……父さん)

フォックス「これでベノム軍は滅びた……これより惑星コーネリアへ帰還する!」

<惑星コーネリア>

スターフォックスの四人が、ペパー将軍のもとを訪れる。

ペパー「本当によくやってくれた、フォックス」

ペパー「君たちさえよければ、我が軍に入って一緒に──」

フォックス「いえ、我々にはこういう生き方が性に合っていますから」

ペパー「ならばせめて、君たちの凱旋式を開きたいのだが……」

フォックス「そちらも遠慮させていただきます」

フォックス「俺たちには次の仕事がすでに待っていますし、それに──
      もう行かねばならない戦友を、見送らねばなりませんから」

ペパー「!」

ペパー「そうかあの少年たちか……彼らにも、ありがとう、と伝えてくれんか」

フォックス「任せて下さい」

四人はペパー将軍のもとを後にした。

ビル「よう」

フォックス「ビル!? 無事だったのか!?」

ビル「当たり前だ、幽霊じゃないぜ!」

ビル「といっても本当に危ないところだったんだけどな」

ビル「ボルスであのウルフってのにやられそうになり……
   あと一撃で俺の機体が爆破されるってところで、ヤツら突如撤退したんだ」

ビル「あとになって分かったが、エリア6から攻め込んだお前たちの進撃が
   予想以上に早かったから、ベノムを守らせるため
   アンドルフがスターウルフに撤退命令を出していたんだ」

ビル「おかげで俺はどうにか不時着し、命を拾うことができた」

ビル「……俺はお前が友達だということを誇りに思うよ」

フォックス「俺もさ」

ビル「じゃあな……。今度会う時は戦場じゃなく、酒でも酌み交わしたいもんだな」

フォックス「ああ、そうだな」

別れの時──

どこでもドアの前に立つのび太たち。

ペッピー「名残惜しいが……達者でな」

スリッピー「元気でね! 絶対また遊びに来てよ!」

ファルコ「ま、お前らとのチームもなかなか悪くなかったぜ」

フォックス「じゃあな、みんな」

ドラえもん「ありがとうございました!」

ジャイアン「俺、絶対また来るよ!」グスッ

しずか「皆さん、お元気で……」

スネ夫「次は本物のアーウィンを操縦してみたいなぁ」

のび太「ぼく、スターフォックスのみんなのこと、本当に尊敬してます!
    ……さようなら!」

ガチャッ…… バタン

スリッピー「あ! あいつらにアーウィンをどうやってドラーウィンに改造したのか、
      聞くの忘れちゃったよ!」

スリッピー「ちぇっ、しまったなぁ……」

ペッピー「まあまあ、また会う時もあるだろうし、今度会った時に聞けばいいじゃろう」

スリッピー「へへへ、そうだね」

ファルコ「さあて、出会いあれば別れあり、別れあれば仕事ありってな。
     とっとと次の仕事先に向かおうぜ、フォックス」

フォックス「ああ、気持ちを切り替えないとな!」

フォックス「よし、さっそくアーウィンとドラーウィンの整備を開始する!」

スリッピー「フォックス~、ドラーウィンはもうないってば」

ペッピー「一番気持ちの切り替えができてないのは、お前さんのようじゃな」

ファルコ「ったく、リーダーだと認めてやったとたんにこれだ」

ハッハッハッハッハ……!

フォックス「まだまだ父さんの背中は遠いなぁ……」

そして物陰から、彼らを見つめる男が一人。

ウルフ「俺たちはしぶといぜ……また会う日まで、命は預けておいてやるよ。
    あばよ、スターフォックス!」

そして──

<空き地>

スネ夫「ジャーン! スネ吉兄さんにアーウィンのラジコンを作ってもらったんだ!
    ドラーウィンはこんな町中じゃ操縦できないけど、これならバッチリさ!」

ジャイアン「おお~すげえ! よし俺にやらせろ!」

のび太「ぼくにもやらせてよぉ~!」

スネ夫「ダメだよ、ぼくが一番だ!」

ギャーギャー……! ワーワー……!

ドラえもん「みんな、アーウィンが原因で喧嘩したら、フォックスさんが悲しむよ?」

ジャイアン「ちぇっ、そりゃそうだな」

のび太「じゃあまず、スネ夫のテクニックを見せてもらおうか」

スネ夫「よぉ~し、ドラーウィンメインパイロットの実力見せてやる!」

ドラえもん「やれやれ、これは今度の日曜にライラット系に行く話になりそうだ」

しずか「ふふ……あのラジコンを持っていけば、きっとみんな喜んでくれるわよ」



                                   ~おわり~

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