楓「みんなで温泉ですか」(91)
P「今回の仕事は温泉です」
楓「いいですね」
P「新しく出来た旅館の宣伝という名目です」
楓「でも本当は?」
P「ちゃんとした仕事ですよ?」
楓「……へえ」
P「疑ってます?」
楓「いえ…… そんなことは、でも」
P「……」
楓「じゃじゃまる! ぴっころ!」
P「ぽろり!」
楓「……」
P「いや、あの……」
楓「えっち」
P「いやいやいやいや」
楓「温泉は嬉しいですけど…… ねえ?」
P「仕事ですから! 下心なんてないですから!」
楓「まあ、仕事である以上、しっかりやりますよ」
P「とか言いつつ顔がにやけてますよ」
楓「お仕事は楽しいですから」
P「ワークワークしますか」
楓(ふふっ)
和久井「呼んだ?」
P「呼んでません」
和久井「そうかしら…… ワクワクって聞こえたから、呼ばれたのかと思って」
P「いや、そもそも和久井さんのことをそんな風に呼びませんから」
楓「今のは、ワクワクするとお仕事のワークをかけたダジャレで」
P「解説しないで下さい、はずかしいんで」
和久井「へえ…… あら?この資料……」
和久井「そう、温泉」
P「仕事ですよ」
和久井「参加するメンバーは?」
P「事務所のみんなで行きます」
和久井「そう、楽しみね」
楓「ふふっ」
P(大丈夫だろうか)
川島さん「温泉…… アンチエイジング……」
P「あっ、川島さんおはようございます」
川島さん「わかるわ」
P「えっ、はあ…… 理解が早くて助かります」
志乃「旅館…… お酒……」
P「朝から酔っ払ってるんですか」
志乃「ワインはあるかしら」
P「まあ、あるでしょうけど」
志乃「楽しみね」
P「飲み過ぎないでくださいよ?」
志乃「無理ね」
P「おい」
P「平均年齢高いな……」
凛「なんの話?」
P「おはよう、仕事だよ」
凛「ふうん…… 温泉」
P「ああ、みんなで行くんだ」
凛「そう」
P「乗り気じゃないな」
凛「別に…… 仕事だし」
P「まあ、一日中仕事ってわけでもないから、自由時間は多めにとってあるぞ」
凛「あっ、じゃあ」
P「ん?」
凛「いや、なんでもない」
P「というわけで、アイドルをいっぱい引き連れて温泉にやってきたのだ」
楓「ふふ」
P「楓さんが一番楽しそうだ」
川島さん「夜はパジャマパーティーね」
P「川島さんは無理に若いことを言っている」
志乃「うぃー…… ひっく」
P「志乃さんは言うまでもなく」
ワイワイガヤガヤ
P「さあ、仕事の始まりだ」
P「大丈夫か? これ」
P「さて、旅館に到着」
未央「アイドルプロダクションの方達ですね、お待ちしておりました」
P「はい、今日からよろしくお願いします」
未央「お部屋はこちらで、温泉はあちらです」
P「ところで、お嬢さんかわいいですね」
P「アイドルとか興味ありませんか?」
未央「……ご案内します」
P「つれないなあ……」
未央「……」
凛「……がんば」
凛「っていうか……」
未央「聞かないで」
凛「うん、ごめん」
未央「……はぁ」
蘭子「えーっと…… 闇に飲まれよ?」
未央「うん、ありがと」
凛「行こっか、蘭子」
蘭子「騎士の赴くがままに」
未央「楽しそうだなぁ……」
P「まずは浴衣姿の撮影からで」
凛「誰から始めるの?」
P「じゃあ、年長者から順番で」
志乃「ワイン片手に持ってていい?」
P「……いいですよ」
礼子「ふふ、早く終わらせましょう?」
P「やる気十分で助かります」
P「えっと、川島さんは……」
川島さん「後でいいわ」
P「いや、でも年長者から順で」
川島さん「後でいいわ」
P「あの」
川島さん「あとで!」
P「はい、わかりました」
P「じゃあ、次は……」
和久井「はい、着替えてきたわ」
P「和久井さん」
和久井「着替えるのに手間取ったわ」
P「あの和久井さん」
和久井「撮影ね、手をとってくれるかしら?」
P「浴衣とウェディングドレスの区別もつかないんですか?」
P「年長者の仕事はスムーズに進むと思った俺がバカだった」
P「えっと、次は……」
美優「が、がおー……」
P「かわいい」
美優「あの、プロデューサー……」
P「かわいいからこのままでいきましょうか」
美優「ごめんなさい、すぐ着替えてきます……」
P「次は楓さんだな」
楓「はい」
P「……」
楓「どうしました?」
P「楓さんがまともでよかったです」
楓「美優さん、かわいかったでしょう?」
P「アンタの差し金か!」
P「その後なんやかんやで撮影が進んで」
凛「プロデューサー疲れてるね」
P「ああ、凛の番か」
凛「みんな浮き足立ってる」
P「全員連れてくるのは間違いだったよ」
凛「さっさと終わらそ、今日はこれで終わりなんでしょ?」
P「ああ、食事風景とか入浴風景の撮影は明日以降だな」
凛「じゃあ、これが終わったらさ外に買い物に行かない?」
P「今日はもう無理、疲れた」
凛「そっか……」
蘭子「闇に飲まれよ!」
P「屋内で傘差すな」
蘭子「……」ショボン
P「……庭で撮ろうか」
蘭子「業火の下で捕らわれよう!」
P「日暮れ時に傘か…… まあ悪くないな」
P「ふぅー…… 今日はこのくらいで終わるか……」
未央「お疲れ様です、お食事の用意が出来てますよ」
P「ありがとうございます、よかったらあなたも撮らせてもらえません?」
未央「……」
未央「大広間で、皆さんお待ちですよ……」
P「つれないなあ」
和久井「プロデューサー遅いわよ」
P「すみません、機材の片付けに手間取って」
楓「みんなお腹ペコペコなんですから」
P「そうですね、えっとみんな揃ってますね」
楓「蘭子ちゃんなんて、空腹で浴衣とか食べちゃってるんですよ?」
蘭子「えっ?!」
楓「空腹…… 食う、服…… ふふっ」
P「ああ、蘭子、わかってるから! 涙目でこっち見るな 」
P「さて、今日はお疲れさまでした!」
「「「闇に飲まれよ!!!」」」
P「え、流行ってんの?」
蘭子「……」プルプル
P「えっーと、明日からも撮影は続きますので、くれぐれもハメを外しすぎて明日に影響させないように!」
P「それじゃ、いただきましょう!」
志乃「プロデューサー、お酌しにきたわ ひっく」
P「なんでもう出来上がってるんですか」
志乃「はい、ワインよ」
P「志乃さん、ワインはグラスに並々と注ぐものじゃないと思うんですけど」
P「表面張力スゴいことになってるんですけど」
志乃「おいしいわよ」
P「はあ、いただきます」
楓「プロデューサー、この土地で作られた地酒だそうですよ?」
P「はあ、せっかくですし、いただきます」
楓「はい」
P「なんでうちのアイドルは表面張力スゴいことになるまで注ぐんですかね……?」
楓「さ、グーッと」
P「いただきます……」
川島さん「お疲れさま」
P「川島さん、お疲れさまです」
P(あれ? 川島さん撮影してないんじゃ……)
P「あの、後で少し時間いいですか?」
ざわっ……
川島さん「え?」
川島さん「もしかして……その……」
P「たぶん思ってるとおりですよ」
川島さん「そうね、気合い入れるわ」
ざわ……
凛「プロデューサー」
P「おお、凛も注いでくれるのか?」
凛「いや、さっき川島さんに言ってたことなんだけど…… 本気?」
P「ん、ああ川島さんの撮影の順番飛ばしたせいで、すっかり忘れてたからな」
P「夕食後に撮影しようと思って」
凛「そっか、よかった」
和久井「プロデューサー、どうだって?」
凛「撮影し忘れてたから、後で撮るんだって」
楓「そう…… よかった」
志乃「ふふ」
川島さん「」
美優「あの、川島さん? 元気だして?」
志乃「どんな気持ち? ねえ今どんな気持ち?」
礼子「みんなお先にごめんね!って自信満々だったけど」
川島さん「わかってたわ、うん……」
蘭子「闇に飲まれよ!」
P「おお、蘭子お疲れさま」
蘭子「金色の小麦の雫を与えん!」
P「今度はビールか……」
蘭子「あわわわ、泡が」
P「ああ、グラスを斜めにするといいぞ」
蘭子「出来た!」
P「ああ、美味いぞ、ありがとな」
P「飲みすぎる前に川島さんの撮影済ませとかないと」
P「川島さーん」
川島さん「はい……」
P「どうしたんです、さっきは元気だったのに」
川島さん「31歳たちに心を折られて……」
P「…… 」
P「さ、撮影しに行きましょう!」
しばらく退席します
14時には戻る予定です
ほ
P「庭で撮りましょうか? さっき良いところ見つけたんですよ」
川島さん「ええ、かまわないわ」
P「ささ、こっちへ」
川島さん「ここは……」
P「いいでしょう? ココから見える月はすごいですからね」
川島さん(今夜は月が)
P「今夜は月が綺麗ですね」
川島さん「えっ」
P「どうしました川島さん? 顔が赤いですけど」
川島さん「な、何でもないわ! 撮影を始めましょう?」
P「ふう……良い写真が撮れましたね」
川島さん「まあプロデューサーが頑張ってくれたし」
P「そろそろ戻りましょうか」
川島さん「あっ…… もう少し風に当たっていかない?」
P「……いいですよ」
川島さん「こうやって二人きりになるのは久しぶりね」
P「ウチは大所帯ですからね」
川島さん「ねえ、あなたに聞きたいことがあるのだけれど……」
P「なんですか?」
蘭子「プロヴァンスの風!!」
川島さん「」
P「お? どうした蘭子そんなに慌てて」
蘭子「えーっと……」
蘭子「静かなる半獣が地に伏した!!」
P「なにぃっ?! 三船さんが?!!」
蘭子「果実の恵みを承りし魔女が未だ侵略している!」
P「志乃さん……」
川島さん「あの」
P「すみません川島さん、この話はまた今度で!」
川島さん「……」
川島さん「わかるわ」
P「戻ったぞ!」
志乃「あら、プロデューサーおかえりなさい」
美優「……シクシク」
P「三船さん? 何故そんな格好でさめざめと泣いておられるのですか?」
凛「志乃さんに絡まれて高橋さんに脱がされて楓さんに着せ替えさせられてた」
志乃「ほら美優ちゃん、あれやって、あれ」
美優「うう…… が、がおー……」
楓「かわいいでしょう?」
P「かわいいですけど…… あんまりいじめないであげてください」
美優「プロデューサーさん……」
P「おお、よしよし 怖かったねー」
和久井「あ、それずるい、私も」
P「志乃さん」
志乃「なにかしら?」
P「三船さんはこういうの苦手なんですから」
志乃「だってプロデューサーさんが私を放っておくから、つい」
P「つい、で被害者を作らないでください」
志乃「じゃあ今夜は付き合ってくれるわよね?」
P「……お手柔らかに」
志乃「ふふ……善処するわ」
P「楓さんも」
楓「え? 私も一緒にいいんですか?」
P「いや、三船さんをいじめないでってことを言おうとしたんですけど」
楓「プロデューサーがかまってくれないから、つい」
P「俺のせいですか」
楓「そうです」
楓「なので私も今夜はプロデューサーと志乃さんに付き合います」
P「適当な理由つけて飲みたいだけでしょう、あなたたちは」
楓「今夜は寝かしませんから」
志乃「ふふふ……」
P「三船さん? もう大丈夫ですから」
美優「……」
P「三船さーん?」
美優「zzzz」
P「人の膝を枕にして寝ちゃったよ、この人」
凛「凄く飲まされてたからね…… つぶれて寝ちゃったんだね」
楓「かわいいでしょう?」
P「すごくかわいい」
P「じゃなくて、三船さんを部屋に寝かせてきます」
凛「送り狼にならないでね」
P「女の子がそういうこと言うんじゃない」
美優「ん、プロデューサーさん」
P「ああ、起きちゃいましたか」
美優「え、あ、すみません! 迷惑かけたみたいで……」
P「まあまあ、俺の胸に顔をうずめて泣いてる三船さんはスゴく可愛かったですよ」
美優「恥ずかしい……」
P「お疲れでしょうから、今日は寝た方がいいですね」
P「布団敷いときましたからゆっくり休んでください」
美優「あの、プロデューサーさん…… 眠るまで手をつないでもらってていいですか?」
P「かわいい」
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