P「貴音の髪の毛に絡まって取れなくなった」(79)

真美「お姫ちんの髪の毛ってふわふわのもっふもふだよね」

響「うんうん、自分もあのもふもふは何度触っても飽きないし
  いっそのこと絡みつきたいぞ!」

亜美「それはないっしょ我那覇さん」

響「えぇ!? そうかなー?」

真美「いくらなんでもそれはねー」

貴音「おはようございます」ズルズル

響「あ、おはよー貴音! ん? 貴音何か引きずってない?」

貴音「はて……?」クルッ

真美「た、大変だぁぁ! お姫ちんの髪の毛に兄ちゃんが絡まってるよ!」

亜美「うあうあ~! っていうかむしろ組み込まれ……」

真美「組み込まれ……」

真美・亜美「組み込まれてるーーー!」

響「ぷ、プロデューサー!? おーい! 大丈夫か!」

P「……」

真美「返事がない……ただの屍のようだ」

貴音「プロデューサーが……?」クルッ

グイ

P「ぐぇ……ゲホッゲホッ」

貴音「……? 今、何か?」

貴音「ふふ、3人とも、プロデューサーが私の髪の毛に絡まっているなど
    そのような世迷言……起こるはずがありません」

響「いやいやいや」

亜美「本当に絡まって、ってか組み込まれてるんだってば!」

響「っていうか生きてるの……これ?」

貴音「あの……私、見えないのでなんとも言えないのですが、
    それは真、なのでしょうか?」

真美「ほら、お姫ちん! 鏡! これで見てみてよ!」

貴音「……」

真美「ほら、髪の毛のあたりに何かいるっしょ!?」

響「自分と重なってて何にもわからないんじゃないのかな?」

亜美「兄ちゃんも引きずられてないで、手あげてアピールしてよ!」

P「俺はここにいるぞー」

貴音「 ――ッッ! 」ビクゥッ

貴音「」ドサッ

響「た、貴音ぇ!」

亜美「気絶しちゃったよ……どうすんのさこれ」

P「お、おいお前たち、ぐるじぃ……今のうちに外してくれ」

響「いや、早く自分で取りなよ」

P「そんな冷めた目で見るなよ! 取れないんだってば!」

P「今朝、貴音が前を歩いていたからあのもふもふの髪の毛を
  もふもふしてみようかと思って触ってみたら……」

P「そのまま吸い込まれて……こうなった」

真美「ホラーや……」

亜美「じゃあじゃあ、もしかしたら亜美達だって触ったら吸い込まれちゃうかも
    しれないってこと!?」

響「いくら貴音の髪の毛だからって……もちろん貴音は好きだけど
  プロデューサーみたいに取れなくなるのはさすがに嫌だぞ」

P「おい、そんなこと言ってる場合か! トイレとか行きたくなったらどうするんだよ」

真美「お姫ちんに連れて行ってもらうしか……」

P「えぇー!」

亜美「ねえねえ兄ちゃん……段々お姫ちんの髪の毛みたいに体が
    白くなって言ってない?」

響「確かに……。プロデューサーの顔はこんなに白くないぞ」

P「いや、それは貴音の髪の毛が首に巻き付いてもあるから
  それで青白くなってるんじゃないのか?」

亜美「もしかして同化してるとか……!?」

真美「さながら、ダッチマン号の牢獄の壁に同化してた長靴のビル
    みたいになってるよ……」

P「急にわかりづらい例えするんじゃないよ! なんでパイカリなんだよ!」

亜美「いつしか自分という意識が薄れていって同じ単語しか喋らなくなるのかも」

響「あの繰り返しを始めた瞬間はゾッとしたよね」

P「いや、パイカリの話はもういいから!」

単語「う、うぅ……」

亜美「あ、起きた」

貴音「わ、私は一体何を……」

響「貴音、落ち着いて聞いてね。実は貴音の髪の毛に
  プロデューサーが吸い込まれて、そして組み込まれて取れないんだよ」

貴音「あぁ、そうでしたね……あまりにも急に真後ろで声がするものですから
    驚いてしまいました……」

P「なぁ、貴音、これ、どうにかなんねえの?」

貴音「ひッ! 自分のすぐ後ろから声がするというのは慣れないものですね」

響「さすがにその近さは慣れたくないけどな」

貴音「さながら真後ろに佐為がいて色々口出しされるヒカルの気持ちを
    身を持って体験しているかのようです」

P「それは違うだろ! 今日はなんかすごい例えてくるな、みんな!
  っていうかキャラ的にも貴音がヒカ碁知ってたらおかしいだろ!」

貴音「これでも年齢的には世代なのですが……」

P「嘘つけ! その世代はあずささんだ!」

P「はぁ……まじでこのまま貴音の髪の毛の一部になるのかなぁ?」

P「…………」

P「……そうか、うん」

響「なんで受け入れたんだよ! 起きろよ!」

亜美「起きろ兄ちゃん!」

真美「寝たら試合終了だぞ兄ちゃん!」

貴音「プロデューサー、さすがにそれは私も困ります……。
    私達をプロデュースしてくださる方がいなくなってしまうのは……」

P「そうだなぁ……って、レッスンの時間じゃないか! とりあえずレッスン上に向かおう!」

響「本当に受け入れ出してないか?」

――レッスンスタジオ

P「くっ、よりによってダンスレッスンとは……」

トレーナー「あの……貴音ちゃん、後ろのソレは」

貴音「ソレとは! この方は私の一部。
    そう、プロデューサーです」

トレーナー「えぇ!?」

響「なんで貴音も受け入れ出してるんだよ!」

貴音「何もお気になさらずに……さぁ時間がありません。始めましょう」

トレーナー「え、えぇ……それじゃあ今日はオーバーマスターだったわね」

P「そしてダンスの激しい曲……! 命の危険!」

…………
……


貴音「お疲れ様でした」

真美「お疲れ、お姫ちん!」

響「あれだけ激しく動いてればそのうちスポーンって取れるかと思ったけど……」

亜美「見事にくっついたままだったね」

P「ぐぇぇええ……」

真美「うあうあ~! 白目むいてるよ!」

響「と、とりあえず事務所戻ろっか」

――事務所――

響「……で、あれから事務所帰ってきていろいろ試してみたけど」

P「だめだ……もうだめだ。取れねえ」

貴音「かくなる上は……切り落とすしか!」

P「やめるんだ貴音! それはダメだ!」

P「も、もう一日だけ考えよう。今日はもう帰って休むとしよう」

貴音「そうですね。では皆、今日はこれで」ズルズル

響「ちょっと待ったーー!」ガシッ

響「なんでさり気なく貴音の家にそのまま行こうとしてるんだよ!」

P「え? いや、それはしょうがないというか……」

響「だめだぞ貴音! こんな変態プロデューサーを家に連れて行くなんて!
  しかも、髪の毛に絡まってて、こんなに密着した状態で!」

亜美「そうだそうだ!兄ちゃんのエッチ」

真美「兄ちゃん不潔」

響「プロデューサーのスケベ」

P「や、やめろ! そんな目で俺を! 俺を見るな!
  ええい、これだからファンキーノートのロリ組は!」

響・亜美・真美「えへへへ」

P「褒めてねえよ!」

響「こ、ここは自分がついていくしか……!」

P「いや、それには及ばない。俺はどんなことがあっても貴音には手を出さない」

真美「イマイチ信用なりませんな~」

P「もう……手がどこにあるのかもわからないんだ」

亜美「……え?」

P「感覚がないんだ」

響「それって、どういうこと……?」

P「腕はさっきまでは感覚があったんだ」

P「だけど、結局腕も絡まっていて身動きが取れない状態になっていた」

P「そして段々と感覚が薄れていって、今じゃどこに自分の腕があるのかもわからない」

響「強く巻き付いて腕に血がいってないだけじゃ」

P「さぁ、どうだかな」

P「亜美がさらっといった同化してるってのはあながち間違いじゃないようだ」

亜美「そ、そんなぁ!」

P「首はもう固定されちまって全然動かない……」

P「同じ方向を見るしかないんだ」

P「首もさっきよりもどんどん締まってきている」

貴音「そ、そんな……!」

P「今夜中には俺はもう貴音の髪の毛の一部になっちまいそうだ」

P「はぁ……なんか息苦しくなってきたな」

真美「兄ちゃん、それ本当なの!?」

響「プロデューサー! 寝たらダメだぞ!」

貴音「私は……プロデューサーの最後の顔も見れないなんて……」

P「ごめんな、響、亜美、真美。そして貴音」

P「はは……貴音はこれからもよろしく、か」

亜美「そんなこと言ってる場合じゃないっしょ!」

P「トップアイドルにするって約束したのにな……だめだったな」

P「……本当にすまないと思っている」

貴音「ならば、私が命を経てば、あなた様は解放されるはず!」

貴音「この四条貴音、命をもって、プロデューサーの命を守る時!」

P「貴音。わかってるんだろう? そんなことをしても無駄だ」

P「今、俺は薄れゆく意識の中で貴音の生命エネルギーを吸って生きている
  いや、生かされているようなものだ……」

P「だから、もう、もらった分だけ、俺は貴音になり、返さなくちゃいけないからな」

P「もう……ゴールしてもいいよな」

貴音「あ、あなた様ぁ!」

P「じゃあな、みんな。貴音、お前たちと過ごしたこの数年……
  悪く……なかったぜ」

響「プロデューサー!!」

亜美「兄ちゃん……」

真美「そんな……嘘だよね、兄ちゃん! ねえ!」

貴音「……うぅ……プロデューサー……」

響「これからは……きっと貴音の中で生きてるんだよね……」

真美「ん?兄ちゃんの手、何か握ってない?」

亜美「もしかして遺言ってやつ!?」

ペラ……

『ドッキリ大成功』

亜美・真美・響「……え?」

P「いえぇぇえーーーーい!!」

貴音「ふふふ」

亜美「……え?」

響「えぇーーー!!」

真美「だ、騙したなぁ!!」

貴音「ふふふ、見事に成功しました」

P「はっはっは! 見事に騙されてくれたなぁ!」

真美「兄ちゃんのばかばかばか!!」

亜美「そうだぞ! 兄ちゃんアホタレー!」

P「ははは、いててて、ごめんごめん」

P「た、貴音、最後の聞いたかよ!
  『これからは……きっと貴音の中で生きてるんだよね……』
  だってよぉぉぉお!! あはははは!」

貴音「ふふふ、響らしくて可愛いではありませんか」

響「うぎゃーーー! やめてよーー!」

響「プロデューサーの馬鹿ぁ! 自分、本気で心配したし、
  無茶苦茶悲しかったんだぞ!!」

P「ははは、ごめんごめんっと」

P「よっと」スポーンッ

P「ははは、それじゃあみんな帰る用意しないとな」

真美「はぁ……なんだか安心したらどっと疲れちゃったよ」

貴音「ふふ、騙す真似などしてしまってごめんなさい」

亜美「っていうかあれどうやってたの?」

真美「あー! 真美もやりたいやりたい!!」

貴音「一度に二人は……」

響「こ、コラー、貴音が困ってるだろ……」

P「お前も素直に言ってこいよ」

響「う、うるさいなぁ! わかってるよ! た、貴音、じ、自分もー!」

貴音「で、では順番で……」

…………
……


響「えへへ~、もふもふだぞ」ズルズル

貴音「あの……私も少々つかれてきたのですが」

亜美「うあうあ~! もうちょっと頑張ってお姫ちん! 次は亜美の番なんだからね!」

P「ちょっと自業自得……なのかもな」


END

短いですが本編は終わります。
別のルートがあとひとつだけあるのでもう少しだけお付き合いください

>>61
の途中から別ルートです

響「プロデューサーの馬鹿ぁ! 自分、本気で心配したし、
  無茶苦茶悲しかったんだぞ!!」

P「ははは、ごめんごめんっと、ん?」グイ

P「あれ? ん?」グイ

響「? どうしたんだ?」

P「あ、あれ? た、貴音さん? あの、取れないんですけど」

貴音「うふふ、ふふふふ」

貴音「ですから私は先程見事に成功しました、と言いました」

P「……はい?」

貴音「私は……ただあなた様を独り占めすることに、成功しました」

P「え? ちょ、え?」

貴音「うふふ、それでは帰りましょうか」

P「おい、響! 助けて!」

響「どうせ取れるんだろう!? もうだまされないからな!」

真美「そうだぞ! 真美達を騙した罪は重いかんね」

P「うわぁ、何それ! マジなんだって! ドッキリじゃないから!」

亜美「さてさて、真美さんや、もうご帰宅の時間ですぞ」

P「おいいいい! 聞いてくれよ!なぁ!」

貴音「ふふ、これからはずっと側にいてくれますね、あなた様?」

P「ぁぁぁああああ!」


BAD END

本当はBADENDが本編だったんですが流れで急に変更しました
折角なんで書いてしまいましたすみません。

ではこれで終わりますね。ありがとうございます

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