春香「それでね、プロデューサーさんが!」 冬馬「そうなのか」(162)

春香「私、本番直前で緊張してたんだ。生放送だったし」

冬馬「へぇ」

春香「でもプロデューサーさんがお前なら大丈夫だって言ってくれて」

冬馬「ふーん」

春香「その一言ですっごく安心して、何とか乗り切れたんだ」

冬馬「なるほど」

春香「私って単純なんだなーって」

冬馬「別にプラス方向に働いてるなら良いんじゃねえの?」

春香「ちょっとつまずいて、こけそうになったんだ」

冬馬「お前よく転んでるもんな」

春香「その時プロデューサーさんが私の腕を掴んで」

冬馬「あ、店員さんクリームソーダ1つ」

春香「私はこのチーズケーキお願いします」

冬馬「太るぜ」

春香「ちゃんと消費してます。えっと……あ、それでグイッって引き寄せられて」

冬馬「引き寄せられて」

春香「距離がすごく近くてもう……」カァー

冬馬「そりゃ大変だ」

春香「何だか私が喋ってばっかりでごめんね」

冬馬(それもほとんどプロデューサーの話)

春香「冬馬君も何か話してよ」

冬馬「別に、特に話す事もねえな」

春香「翔太君とか北斗さんと何も無いの?」

冬馬「ああ」

春香「えー、あの2人と一緒なら絶対何かあると思ったんだけど」

冬馬「無い。一切無い。全然面白くも無い、少なくとも俺にとっては」

春香「――プロデューサーさんが」

冬馬「……いきなりで悪いがお前プロデューサーの事好きだろ」

春香「えっ!?き、急にな、な、何言ってるの!?や、やだなー」ワタワタ

冬馬「分かりやすいやつ」

春香「そ、そういうのじゃ……」

冬馬「プロデューサーの話ばっかだし、話す時やたら生き生きしてるから丸分かりなんだよ」

春香「うぅ……ち、違うって……」

冬馬(……やっぱ好きなのか)

冬馬「ったくアイドルが恋愛とかどうすんだよ。バレたら一巻の終わりだぜ?」

春香「だ、だから違うよ!」

冬馬「しかも相手はプロデューサー」

春香「あぅぅ……」

冬馬「トップアイドル目指してんのに何考えてんだお前は?馬鹿だろ」

春香「……」

冬馬「まあ普通に考えてアイドルとプロデューサーが付き合えるわけねーけどな」

春香「……」

冬馬「所詮上っ面の関係だ。信頼も愛情もあるわけねえよ」

春香「っ!」

冬馬「断言しといてやる。うまくいく確率は0%だ」

春香「そんなことないもん!!」

冬馬「うおっ」

春香「……ごめんなさい」

冬馬(この反応でもう確定だな)

冬馬「ちっ、しゃあねえな」

春香「え?」

冬馬「俺も男だ。765プロの連中よりはプロデューサーの気持ちが分かるつもりだ」

春香「それって……」

冬馬「勘違いすんじゃねえぞ!無駄な努力してる馬鹿を見て楽しむだけだからな」

春香「……ありがとう」

冬馬「フン」



冬馬(……)

冬馬「とりあえずメールでもしてみたらどうだ?」

春香「うーん、結構送ってるつもりなんだけど」

冬馬「……意外と積極的なんだな」

春香「え?メールぐらい事務所の皆もしてるよ?」

冬馬「そ、そういうもんなのか……」

春香「……もしかして女の子とメールしないの?」

冬馬「ば、ば、馬鹿野郎!毎日100通ぐらいやり取りしてるっつーの!」

春香「ふーん」

冬馬「な、何だよ……てか他の連中ももしかしてプロデューサーが好きとか……?」

春香「うーん、はっきりとは言えないけどそうなんじゃないかな」

冬馬(765プロって……ファンに同情するぜ……)

冬馬(それにしても身内が全員ライバルとなると相談も出来ねぇって事か……すげえな……)

冬馬「メールを日常的にしてるとなると次は電話か……」

春香「あー、電話はあんまりしないかも」

冬馬「頻度は?」

春香「3日に1回ぐらい」

冬馬「十分だろうが!!お前らのプロデューサーはそんなに暇なのかよ!!」

春香「むっ、プロデューサーさんはちゃんと仕事してるよ!」

冬馬「他のアイドルも電話してると仮定したら大体1日4回お喋りしてる計算じゃねえか!」

春香「それはちょっと多いかも……」

冬馬(電話ってなんだよ……男と以外しねえだろ普通……)

冬馬「じゃあもう行動に移すっきゃねーな」

春香「具体的には?」

冬馬「そりゃお前……ほらアレだよ」

春香「アレ?」

冬馬「えーっと、その、ほら、よくあるじゃん?」

春香「うん」

冬馬「だから、なんだ……うーん」

春香(冬馬君ってやっぱり恋愛経験少ないのかなぁ)

冬馬「あっ!そう、プレゼントだ!贈り物は嬉しいぜ!」

春香「ほほー!」

冬馬「お前よくお菓子とか作ってるんだろ?渡してみたら良いんじゃねえか」

春香「お菓子はよく渡してるよ?」

冬馬「ブホッ!!」

春香「ど、どうしたの?」

冬馬「い、いや……それでそのお菓子ってのはプロデューサーだけにあげてるのか?」

春香「ううん、皆にも」

冬馬「じゃあ、あいつのためだけに特別に作ったらいいと思うぜ。カードでも入れて」

春香「なるほど!プロデューサーさん専用のお菓子って事だね」

冬馬(手作りお菓子を日常的に渡してるって……カップルかよ!!)ワナワナ

春香「聞いて聞いて!プロデューサーさんすっごく美味しいって!」

冬馬「へぇ、良かったな」

春香「えへへ、頑張って作った甲斐があったよ」

冬馬「いつもは美味いって言ってくれないのか?」

春香「あっ、そう言われると毎回言ってくれてるような気も……」

冬馬「何だそりゃ……」

春香「で、でもプロデューサーさんに特別に作ったって事は多分伝わったから大丈夫!」

冬馬「ふーん」

春香「あっ、冬馬君もお菓子どうかな?作りすぎちゃったんだ」

冬馬「……じゃあ」

春香「どうぞどうぞ」

冬馬(複雑な気分だな……)

冬馬「……やるじゃねえか」モグモグ

春香「ありがとう、それで男の人がされて嬉しい事って何だろ」

冬馬(って言われても、あんまり具体的なのは思い浮かばねえな……)モグモグ

春香「……」

冬馬「……フィギュアとか?」

春香「え゛」

冬馬「い、いやフィギュアあげるとかそういう意味じゃねえぞ!一緒に選びに行くとかな!」

春香「それってそういうお店に一緒に行くって事……?」

冬馬「そ、そうだ。いや、違う!一緒にワイワイ言いながら見たいとかじゃなくて買い物の一環として!……あれ?」

春香「……」

冬馬「……」ゴクゴク

春香「落ち着いた?」

冬馬「ふぅ……とにかくデートにでも誘えば良いんじゃねえの」

春香「い、いきなりデートに!?」

冬馬「デートっつても別に公園をちょっと散歩するとか」

春香「……まあそのぐらいなら何とか」

冬馬「プロデューサーも忙しいだろうしあんまり時間かけられねえだろ」

春香「一理あるかも」

冬馬(それに公園はエロゲだと定番スポットだぜ)

冬馬「どうだったんだよ」

春香「楽しかった!お弁当も褒めてもらえたし!」

冬馬「……手作りか?」

春香「うん」

冬馬「へ、へ、へぇー!そ、それじゃ……あ、あ、『あ~ん』とかやったのか?」

春香「そこまでは流石にまだ……」

冬馬「……」ホッ

春香「プロデューサーさんと二人でのんびりするだけで幸せって言うのかな」

冬馬「……」

春香「冬馬君のアドバイスのおかげだね」

冬馬「……そうか」

春香「もしかしたら成功率0%も覆しちゃったりして!」

冬馬「……そうか」

春香「……何か元気無いね、大丈夫?」

冬馬(嬉しそうなの見ると、……いや、落ち込んでるのを見るよりはマシか)ハァ

冬馬「じゃあ次はお色気作戦でもやれば?」

春香「!?」

冬馬「男なら誰でも喜ぶぜ」

春香「そ、そんなの嫌だよ!恥ずかしいもん!」

冬馬「別にいつもみたいにこけてパンチラしときゃ良いじゃねーか」

春香「い、いつもみたいに!?どういうこと!?」

冬馬「いや、だって……なぁ?」

春香「……」

冬馬「あっ!別に意識して見てるわけじゃねえからな!お前が撮影の時目の前でこけるのが悪いんだからな!」

春香「いやあああああああああ!!!」

春香「……」ムスッ

冬馬「わ、悪かったって……じゃあ軽いボディタッチだ!」

冬馬「女に、それもアイドルに触られて嫌な気はしねえだろ」

春香「……そういうものなの?」

冬馬「男はそういうもんだ」

春香「いきなりベタベタしたら変じゃないかな?」

冬馬「そこはお前がごく自然な流れで」

春香「……」スッ

冬馬「おわぁ!?何しやがんだ!?」ガタッ

春香「やっぱり嫌がられそう……」

冬馬「アホか!俺にやってどうすんだよ!!いきなりやられちゃビックリするだろうが!!」ドキドキ

春香「難しいなぁ……」

冬馬(心臓止まるかと思ったじゃねえかちくしょう!!!!)

春香「あんまり反応無かったよ……」

冬馬「何したんだよ」

春香「えーっと、プロデューサーさんがソファに座ってる時にもたれて」

冬馬「うぇ!?」

春香「あ!でも、そのまま話の流れで頭撫でてもらったのはラッキーかも!」

冬馬(どんな流れだよ!!!)

春香「すっごく気持ち良いし、嬉しかったなぁ。うまく言えないけど」

冬馬「……へぇ」

春香「それから後は、手の大きさを比べたり」

冬馬(まだあんのか……)

春香「あとこけちゃって……その時見えちゃったかも……」カァー

冬馬(もうお腹いっぱいだ……話聞く限りイチャイチャしてるようにしか……)

春香「でも反応薄いって事はあんまり私に魅力が無いのかな……」

冬馬「……そんなことねえよって言ってほしいのか?」

春香「そういうつもりじゃ……」

冬馬「安心しろよ、まともな男なら誰でも惹かれるレベルだと思うぜ」

冬馬「単純にプロデューサーとして感情を表に出さなかっただけだろ」

春香「えっ、そ、そうかな?」

冬馬「あくまで一般論だからな!!惹かれるってのは俺の意見じゃねえから!」

冬馬「男ってのは頼られたら嬉しいんだ。だからお前の弱い所を晒せ」

春香「弱い所……」

冬馬「あ!やらしい意味じゃねえぞ!」

春香「いや、それは分かってるよ」

冬馬「……とにかく男は女を守りたくなる。そういう生き物なんだよ」

春香「……迷惑じゃないかな?」

冬馬「大丈夫だ。お前みたいに普段絶対に弱い所見せない奴だと尚更な」

春香「……」

冬馬(ギャルゲーでもそういうシーンでキュンッってなるとは言えねえ)

春香「ものすごく親身になってくれて」

冬馬(やっぱりこいつにも悩みはあったか。あいつにしか話せない悩みが……)

春香「思わずそのまま色々話しちゃって、プロデューサーさんは全部優しく聞いてくれたんだ」

冬馬(……別に俺だってそのぐらい)

春香「距離が縮まったかは分からないけど冬馬君の言う通り相談して良かった」

冬馬「距離も……縮まったんじゃねえか」

春香「そうだと良いなぁ」

冬馬「……」

春香「思い切って今度のオフにデートに誘おうかな」

冬馬「!!」

春香「相談に乗ってもらったお礼って形で」

冬馬「まだ早いだろ!!」

春香「やっぱりそうかな?」

冬馬「あ、ああ。もう少し慎重にやるべきだ」

春香「……あれ?でも最初の頃デートに誘えって……」

冬馬「よく考えたらあれは時期尚早だったんだよ!」

冬馬「メールも電話もしてお菓子あげて、公園で手作り弁当」

冬馬「ボディタッチに悩みの相談……後は一緒に飯食ったりカラオケ行くぐらいしか俺には思いつかねえよ」

春香「ずっと一緒にいる事なんて出来ないし……うちの学園祭もう終わっちゃってるからなぁ……」

冬馬「じゃあもう諦めるか?」

春香「冬馬君」

冬馬「……冗談だって」

春香「やっぱり……デートするしか」

冬馬「ま、まだだ!まだ肝心なイベントが起こってねぇ!」

春香「イベント?」

冬馬「看病だ!弱ってる所に行けば評価もアップだ!それからデートでも遅くねえ」

春香「そんなタイミング良く病気になるはず……」

冬馬「だからそれまで待つんだよ。忍耐だ」

春香「それじゃクリスマスに間に合わないよ……」

冬馬「っ……別に良いじゃねえか。来年でも再来年でも」

冬馬「今デートに誘っても怪しまれるだけだ。今までの努力がパーだぞ」

春香「怪しまれる……そうだよね」シュン

冬馬(……ちっ、一々凹みやがって)

P「この時間になると冷えるな……」

バシャーン

P「!?つめたっ!誰だぁ!?」

タタタッ

P「ま、待て……うぅ、寒っ……」ガクガク



冬馬「悪いな」

冬馬「……本当、何やってんだ俺って」

春香「冬馬君聞いて!私お見舞いに行ったよ!」

冬馬「プロデューサー風邪引いたのか」

春香「数日で治っちゃったけどね」

冬馬「あいつの自宅よく知ってたな」

春香「事務所の人は皆知ってるよ?」

冬馬(765プロってやっぱりおかしいだろ……)

春香「家にお邪魔したの初めてだったから緊張したなー」

冬馬「へぇ……何も無かったのか?」

春香「え?」

冬馬「……だから、ガキじゃねえんだから分かるだろ?」

春香「……そ、そんなの無いよ!!無い無い!」

冬馬「だよなぁ、天海にそんな度胸ねえよな」

春香「むっ……で、でも雑炊作って食べさせてあげたもん!」

冬馬「は?」

春香「他にも身体拭いたり……ちょっと恥ずかしかったけど……」

冬馬「身体……拭いた……?」

春香「あ、って言っても上だけだよ。あとは寝るまで子守唄……とか……」ゴニョゴニョ

冬馬「……」

冬馬(……この分だと他の連中もお見舞いに行ってそうだな)

春香「それでプロデューサーさんからお礼がしたいって連絡が来たんだ」

冬馬「えっ……」

春香「今度のオフの日にどこか行こうって」

冬馬「……良かったな。デートじゃねえか」

春香「うん!色々アドバイス本当にありがとう!」ニコッ

冬馬(……俺も風邪ひいたら……来ないだろうな)

春香「冬馬君に好きな人が出来たら私に言ってね。お礼がしたいから」

冬馬「……そんなの出来ねえよ。俺はトップアイドルしか眼中にねぇ」

春香「恋なんてふとしたきっかけではじまっちゃうものだよ」

冬馬(……はじまってるのか終わってるのか)

春香「冬馬君はどんな服が好き?」

冬馬「俺は……清楚な感じが良いな」

春香「ふむふむ、プロデューサーさんはどんなのが好きなんだろ」

冬馬「知らねえって……俺はあいつじゃねーんだから分かるはずないだろうが……!」

春香「あっ、……そうだね……つい……」

冬馬「……別にお前なら何着ても大丈夫だろ。もっと自信持てよ」

春香「……うん!私がんばる!」

冬馬(楽しそうにしやがって……)

冬馬「今日は確かあいつらが……」

冬馬「……」



冬馬「あ……アレは……」



春香「――。――」

P「―――――」

春香「――!――――――」

P「――」



冬馬「……」

冬馬(間違いない……変装してたが)

冬馬(こういう時に限って何で見つけちまうんだ……)

冬馬(……天海のあんな嬉しそうな姿見た事ねえな)

冬馬「ははっ……」

冬馬「何ちょっと期待してたんだ俺は」

冬馬「最初から分かり切ってた事じゃねえか」

春香「プロデューサーさんと映画――」



春香「プロデューサーさんとお買いもの――」



春香「今着てる服プロデューサーさんのプレゼント――」



春香「一緒に夜ごはん――」



春香「こうした方が暖かいって手を握ってもらって――」



冬馬(――――プロデューサー、プロデューサー、プロデューサー)

春香「クリスマス空いてますかって聞いちゃった」

冬馬「……それで?」

春香「まだ……どうなるか分からないけど」

冬馬「どうせイブもクリスマスも仕事だろ」

春香「うぅ……そういう事言わないで」

冬馬「俺は事実を言っただけだ」

春香「でもでも!その日に手編みのマフラーだけは絶対に渡すよ」

冬馬「手編み……」

春香「うん!じゃーん!まだあんまり進んで無いけどね」ヒョイッ

冬馬「……」

冬馬「……うまくいくわけねえだろ」

春香「え?」

冬馬「アイドルとプロデューサーなんだ。恋人なんかになれるわけねーだろうが」

春香「と、冬馬君?」

冬馬「何夢見てるんだよ。ちょっと1日遊んだぐらいで舞い上がって馬鹿じゃねえの」

春香「ど、どうして急に……そんな……」

冬馬「プロデューサー、プロデューサー、プロデューサーうるせえんだよ……!」

春香「え……」

冬馬「もうこんな下らねえ事に付き合ってらんねえ……!じゃあな!!」

春香「冬馬……君……?」

冬馬(俺は……)ダダッ



冬馬「……」ハァハァ

冬馬(俺は何であいつに協力してたんだっけな)

冬馬(……)

冬馬(……)

冬馬(ああ……そうだった、俺は天海のためって事で自分を正当化してたが)

冬馬(心の奥底では……天海がフラれて……)

冬馬(そのままあわよくば俺と……とか考えてたんだっけ)

冬馬(問題無くあいつらが進展して)

冬馬(気に入らねえけど悲しむ顔は見たくないから協力して……)

冬馬(結局思い通りにならずに勝手にキレて)

冬馬(俺の行動矛盾だらけじゃねえか……)

冬馬(最後にはあいつの笑顔を奪って……最低だ)

春香「!」

冬馬「……」

春香「と、冬馬君、今日の撮影がんば」

冬馬「……」スッ

春香「あ……」



冬馬(何で俺は……逃げてるんだ)

冬馬(あいつの顔見て、謝る。そんな事すら出来ねえのか……!)

冬馬(俺は……)

冬馬(こんなに臆病だったのか……)

冬馬(何が正々堂々だ……)

冬馬(結局あいつを避けて、自分を守って)

冬馬(あいつは……)

冬馬(傷つく事が怖くても……必死に逃げずに立ち向かって……)

冬馬(……クソッ!)

[From]天海春香
[Sub]ごめんなさい。
―――――――――――――――――――――――――
冬馬君の気持ちも考えず
本当にごめんなさい。
迷惑だったよね。
会うたびに恋愛の相談されたら
普通嫌だもん。
どうして気付けなかったんだろう……。
もう二度とこんなことしません。
こんな私だけど
またお話ししてほしいです。



冬馬「……何でお前が謝るんだよ。相談しろって言ったのは俺だ」

冬馬「調子に乗ってアドバイスしたのも俺だ」

冬馬「全部俺が悪いのに……」

冬馬「……馬鹿野郎」

冬馬「……」

春香「ぁ……」

冬馬「……」スー ハー

春香「……あの」

冬馬「悪かった、天海!」バッ

春香「えっ?何で冬馬君が謝るの!?」

冬馬「いきなりキレてお前に暴言吐いた事、マジで反省してる!勘弁してくれ!」

春香「そ、そんな!私がいつもいつも……」

冬馬「いや、俺が!俺なんだ!!」

春香「私のせいで!」

冬馬「俺だって!俺が100悪いんだ!」

春香「私が1000悪いんだってば!」



冬馬「何言い争ってんだ俺ら……」ハァハァ

春香「あははっ、本当そうだね……」ハァハァ

夏奈「それでプロデューサーがさぁ」

千秋「そうなのか」

冬馬「アイドルとプロデューサー……か。別に良いんじゃねえの」

春香「!」

冬馬「トップアイドルになって結婚して引退した伝説のアイドルもいるんだ」

春香「あ、知ってるかも」

冬馬「まあ俺に否定されたぐらいであいつへの気持ちが揺らぐわけねえと思うけど」

春香「えへへっ、バレてた?」

冬馬「……とにかく、トップアイドルになれよ。トップに立って堂々と言え」

冬馬「私はこの人と結婚しますってな。そういうのカッコいいじゃねえか」

春香「け、結婚……トップ……」

冬馬「そんぐらいの気持ちでいかねえと、事務所のやつら皆狙ってるんだろ?」

春香「確かに激しい競争になりそう……」

冬馬「765プロみたいな変な集団」

春香「変な集団じゃないよ」

冬馬「その中でお前みたいな普通なやつがあいつをオトすには1番になるしかねえ」

春香「普通って……」

冬馬「まあ俺達ジュピターがいる限りトップアイドルになるのは無理だろうがな」

春香「……トップアイドルと結婚の関連性がよく分かんないけどそんな風に言われたらやるしかないよね」

冬馬「まあその前にクリスマスがうまくいくかどうかだな」

春香「うまくいくもん!見てよ、マフラーあれからこんなに進んだんだよ」バッ

冬馬「……家事出来るって聞いたけどお前って案外不器用」

春香「ちょっとぉ!?」

冬馬「俺がとやかく言う事はもう無い。後はお前次第だ」

春香「うん、ありがとう」

冬馬「けりがついたら結果だけはちゃんと報告頼むぜ」

春香「残念な結果の時は慰めてね」

冬馬「ばーか」

春香「またバカって言った!バカじゃないもん!」

冬馬(心の底から……とは言えねえが頑張れよ)

冬馬(恋をはじめよう……か。俺の新しい恋がはじまるのは一体いつに……)

涼「冬馬さんってかっこいいですね……」

冬馬「へっ!?」



終わり☆

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