真美「ごめんってやよいっち、ちょっとジュースこぼしちゃっただけだからさー」
やよい「これはちょっとじゃないって思うけど……こんなにこぼしちゃったらもったいないから、もっと気をつけないとダメだよ?」
真美「わーかってるよぉ、子供じゃあるまいし!」
やよい「それならいいんだけど……」
真美「それより真美、服までびしょ濡れになっちゃったよー……」
やよい「濡れたところ拭いてあげるから、じっとしててね?」
真美「じ、自分で拭くからいいってそんなの!」
やよい「とにかく服が濡れちゃったし、そのままでいるわけにもいかないよね……」
真美「うん……これだけ濡れちゃったら、すぐには乾かないっぽいし」
やよい「私の服、貸してあげようか?」
真美「いやいや! さすがの真美でも、そこまでやよいっちに迷惑かけられないよ!」
やよい「そっか……真美、着替えとか持ってないの?」
真美「一応、レッスン用のジャージは持ってるけどさ……」
やよい「じゃあ、今はそれを着るしかないかなーって」
真美「そだね……レッスンでちょっと汗かいちゃったけど、ジュースでびしょ濡れよりマシかなぁ?」
やよい「うーん……私はそう思うけど……」
真美「そっか、じゃあ真美ちょっと着替えてくるね」
やよい「うん、それなら私は先にご飯食べてるね?」
真美「おっけー!」
真美「もぐもぐ」
やよい「美味しい?」
真美「うん、相変わらずやよいっちのもやし料理は絶品ですなぁ~!」
やよい「えへへ……そう言ってもらえると、私もうれしいかも!」
真美「いやーホントに美味しい……あ、やよいっち、そっちのおかず貰うね」ヒョイ
やよい「あっ……」
真美「……ん? どうしたの、やよいっち?」
やよい「真美、なんかお箸の持ち方がヘンじゃない?」
真美「それって左手で持ってるからってこと? 真美、左利きだからこのほうが食べやすいんだけど……」
やよい「ううん、そういうことじゃなくて……ほら、お箸がここでバッテンみたいになっちゃってるでしょ?」
真美「え……小さい頃からずっとこの持ち方だけど、今までなんにも言われたことないよ?」
やよい「お母さんに言われたりしなかったの?」
真美「うん、だから亜美もいつもこの持ち方だよ」
やよい「そうなんだ……」
やよい「お箸はこうやって持つのが正しいんだよ」
真美「おぉーすごい、真美の今までの持ち方と全然ちがう!」
やよい「まずこうやって、一本を鉛筆を持つみたいにして持って……」
真美「ふむふむ」
やよい「それからもう一本をここに入れて……それで、上のお箸だけ動かすようにして、こうやって挟むの」
真美「んー、ちょっとわかりにくい……やよいっち、左手でやってみてよ」
やよい「はわっ! ひ、左手でやったことないけど、ちゃんとできるかなぁ……」
真美「できた!」カチカチ
やよい「そうそう、それで食べてみて!」
真美「いくよー! んー、っと……うわわっ」ポロッ
やよい「ああっ」
真美「やっぱダメだよやよいっちー、普段の持ち方じゃないとうまく持てないー」
やよい「諦めちゃダメだよ真美、お箸が正しく持てないとテレビに出るとき困っちゃうでしょ?」
真美「そーだけどさぁ……」
やよい「練習すれば、その持ち方でもちゃんと食べられるようになるから」
真美「もーなんかメンドくさい! やよいっちー、ご飯たべさせてー」
やよい「ちょっ、ちょっと真美……」
真美「あーん!」
やよい「あぅ……」
真美「あーんっ!」
やよい「あ、あーんっ」ヒョイ
真美「もぐもぐ……えっへへ、ありがとやよいっち!」
やよい「う、うん……でも、『あーん』はちょっと恥ずかしいかなーって……」
真美「やよいっちはそういうの気にしすぎだってー」
やよい「そうかなぁ……」
真美「なんか、お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃった……あふぅ」
やよい「だめだよ真美、食べてすぐに寝たら牛になっちゃうんだよ!」
真美「そんなママみたいなこと言わないでよ……やよいっちー、膝枕してー」
やよい「もー、真美ったら……わかったよ、おいで!」
真美「それじゃ早速……うっひょー! やよいっちのふとももは柔らかいなぁー!」
やよい「えへへ! 真美の髪の毛、ちょっとくすぐったいかも……」
真美「うりうりー」ワシャワシャ
やよい「ま、真美ぃ……ホントにくすぐったい……」ゾク
真美「えっへへ、ごめんごめん! つい遊びたくなっちゃって」
やよい「真美はいつも変わらないよね、そういうところ」
真美「そーでもないよ! 真美だって、たまにはマジメに頑張るときもあるし!」
やよい「えへへ……確かに、そう言われるとそうかも」
真美「でしょでしょ!」
やよい「うんっ、たとえば……ダンスレッスンのときの真美って、すっごく真剣だよねっ」
真美「うんうん、ダンスは真美の毒ダンジョンだもんね!」
やよい「どく……?」
真美「よーするに、真美はダンスがめーっちゃ得意だってこと!」
やよい「へえー、そうなんだ……ごめんね真美、私バカだから難しいこと言われてもわかんなくて……」
真美「いやいやー、気にしないでやよいっち! 真美も、けっこう意味わかんないのに使っちゃうことあるからさ!」
やよい「そういえば、この前も私のダンス見てくれてたもんね!」
真美「そだねー、やよいっちはダンス苦手だもんね……」
やよい「うん……頑張ってはいるんだけど、うまくついていけなくて……」
真美「あーいうのは、体で覚えるんだよっ! やよいっち、スタミナはあるんだから、練習すればちゃんとできるって!」
やよい「そうだね! ……また迷惑かけちゃうかもだけど、練習付き合ってもらっていいかな?」
真美「もっちろんだよ! やよいっちのためなら、地の果てまででも付き合っちゃうもんねっ!」
やよい「うっう……! って、膝枕してるんだったね……ごめん真美、いつものクセで……」
真美「だっ大丈夫だよ、もし振り落とされそうになってもうまいこと回避するから……!」
やよい「ねえ、真美……真美?」
真美「すぅ……」
やよい「寝ちゃったのかな……」
真美「……」
やよい「……」
真美「むにゃ……」
やよい「えへへ……真美の寝顔、かわいい……」
真美「……」
真美「……やよいっち」
やよい「真美……って、あれ? あれれ?」
真美「んっふっふ~、カンペキに寝てると思ったっしょー!」
やよい「うぅ~……真美、起きてたんだ……」
真美「聞いたよやよいっちー、真美の寝顔かわいいって!」
やよい「う、うん……で、でも、それは妹とかに言うような『かわいい』だから、ヘンな意味じゃなくって……!」
真美「わかってるよん! でもさ、なんていうか……ありがとね」
やよい「うん……」
真美「……」
やよい「……」
真美「まっ真美、ホントに寝ちゃうね!」
やよい「えっ、うん、おやすみ!」
真美「おやすみ、やよいっち!」
やよい「……このまま寝るの?」
真美「……ダメ?」
やよい「私はいいけど……」
真美「そんじゃ、このままで! 寝言とか言っちゃったらごめんねっ」
やよい「わ、わかったよ真美、それじゃあ今度こそおやすみ!」
真美「おやすみー!」
真美「すぅ……」
やよい「……なんだか私まで眠くなってきちゃったかも」
真美「むにゃ……やよいっち……」
真美「……大好きだよ……」
やよい「えへへ……私も大好きだよ、真美……」
完
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にぼし祭り1994