まどか「ほむらちゃんの髪を編みたくて仕方ない」 (166)
まどか「わたし…なにか大切なことを忘れているような…」ゴゴゴゴ
ほむら「…っ!」ダキッ
まどか「…!」ギュ
ほむら「あなたは…そのままのあなたでいればいいの…よ」
まどか「…」アミアミ
ほむら「…?」
ほむら「まどか…」
まどか「…はっ?ご、ごめんなさいなんかぼーっとしちゃって」
ほむら「…ええ、それはいいのだけど…。なぜ、私の髪を編むの?」
まどか「え?」
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* * *
教師 「えー次に1969年、南中尋定が木間市で塔を建てるという事業を…」
ほむら(まどか…)
ほむら(やはり…不安定なものね。いつ神性を取り戻すか分からないなんて困ったものだわ)
ほむら(しばらくは近くで監視している必要がありそうね…)
ほむら(ニンニン)
教師 「あー…。突然だが席替えをする」
ザワザワ
「えーなんで?この前したばっかじゃね?」ヒソヒソ
「ていうかあいつ担任じゃないじゃん」ヒソヒソ
ほむら(これでまどかの真後の席になりましょう)
* * *
ほむら(くじ引きの操作くらい容易いこと)ファサッ
まどか「…あ、暁美さ…ほむら、ちゃんはそこの席?」
ほむら「そうよ。近くになったわね」
まどか「えーとわたしは11番だから…ほむらちゃんの後ろだね」
ほむら「!?」
まどか「さっきはごめんね、ぼーっとしちゃって。よろしくね!」
ほむら「え、ええ…」
ほむら(なぜ私の操作が…。まどかに打ち消された?)
ほむら(これじゃあ監視どこ…ろ、か…)
ほむら「あの…」
まどか「…」アミアミ
ほむら「…まどか?」
まどか「…はっ?あれ、またわたしぼーっとしてて…」
ほむら「…ええ、それはいいのだけど…。なぜ、私の髪を編むの?」
まどか「え?あ、ほんとだいつの間に…ご、ごめんね嫌だったよね」
ほむら「いえ、別に…あなたがそうしたいのなら好きにすればいいわ」
まどか「ううん、そんなつもりはなくて…でもきれいな髪だね!羨ましいな」
ほむら「あなたの髪もふわふわしてて素敵よ」ニコッ
まどか「うぇひひ、そ、そうかな、ありがと///」
「あの『女帝』暁美さんが…笑った!?」ヒソヒソ
「女帝めっちゃ怖いのに…やっぱアメリカ帰りは違うな」ザワザワ
「キマ…キマシ…」ワサワサ
* * *
さやか「まーどかっ!」
まどか「あ、さやかちゃん!うぇひひ、久しぶりだね」
さやか「…うん。また会えてうれしいよ」
まどか「そうだね!でも何かさやかちゃんらしくないなぁ。いつの間にか大人になっちゃったの?」
さやか「なんだとー!そりゃどういう意味よっ!」
まどか「なんかちょっと落ち着いた感じで、ちょっとイメージ変わったかなって」
杏子 「は?どこが?」
さやか「あんたがそれを言うか」
杏子 「さやかの幼馴染なんだって?あたしは佐倉杏子、よろしくな。まどか、でいいの?」
まどか「あ、うん。うぇひひ、よろしくね、杏子ちゃん!」
ほむら「…」ジー
さやか『…なに睨んでんのよ。まどかを取られて悔しいの?』
ほむら『勘違いしないで。まどかに友達が増えるのはいいことよ。ただ、魔獣との戦いに巻き込むようなら容赦しない』
さやか『心配しないでも、そんなことしないよ。大体、まどかに巻きついた因果はあんたがもぎ取っちゃったんだから、素質もないんでしょ』
ほむら『…前世での記憶が消えた後でも、その言葉は忘れないでほしいわね』
さやか『…ふん』
キーンコーンカーンコーン ガラガラ
教師 「はいはい座った座った。授業始まるぞ」
* * *
キーンコーンカーンコーン
ほむら(やっと昼休み…、後ろにまどかがいると思うと何だか気持ちが落ち着かないわね)
ほむら(さて…まどかを誘おうかしら。…いえ、クラスに溶け込むまでは我慢しましょう。時間はたくさんあるのだk)ファサグキッ
ほむら「っ…!?」
ほむら(いつの間にか三つ編みにされている…しかもご丁寧にリボンで結ばれて…この黄色いリボンは)
ほむら「まどか…これ、あなたがやったの?」クルッ
まどか「ご、ごめんね…何だか手が止まらなくて。三つ編みなんて自分のもママのもしたことないのに…」
ほむら「好きにしてと言ったのは私よ。だから構わないけど…次からはちゃんと言ってね」
まどか「いいの?やったぁ!」
ほむら(なんなの…)シュル
まどか「あっ…」
ほむら(弱い自分の象徴みたいなものだからあまり好きじゃない、とは言えないわね…)
ほむら「ごめんなさい。こっちの方が楽だから…リボン返すわね」
まどか「似合ってると思うんだけどなぁ…。あ、じゃあわたしもこの赤いリボン」
ほむら「それはあげるわ。あなたが持っていて」
まどか「う、うん…じゃ、そのリボンはあげるよ。交換てことにしよ?」
ほむら「…わかったわ」
まどか「あ、そうだ!これからお昼でしょ。よければ一緒に」
ほむら「…お構いなく。ほら、美樹さんと佐倉さんが来てるわよ」スタスタ
まどか「え、あ」
さやか「まどかっ!お昼一緒に食べよ」
まどか「う、うん」
―――屋上―――
杏子 「しっかしまどかすげーよ。あんたフツーに接してたけどさ、暁美ほむらってこのクラスじゃ結構怖がられてるんだぜ」モグモグ
さやか「…」
まどか「えーそうなの?ほむらちゃんて怖い、かなぁ?」
杏子 「いやいや、そもそも『ほむらちゃん』てのがありえねーっての。裏では女王とか女帝とか呼ばれてんだよ、あいつ」バクバク
まどか「…嫌われてるの?」
杏子 「いや…そういうわけじゃない…かな。コクって撃墜された奴も何人かいるからね。まあでも避けられがちかな。
あいつ自身も周りと距離置いてる節あるし」ガツガツ
まどか「ふーん…」
杏子 「圧巻なのはあいつの髪をいじったことだね。結構な割合であいつの髪を触ってみたいって思う奴はいても、
実行に移すなんて一人もいなかったのにさ」サクサク
まどか「えへへ…ほむらちゃんの長い髪見てると、つい編みたくなっちゃって…杏子ちゃんもすごく長くてきれいな髪だよね!」
杏子 「おいやめろ、なんだその手つきは」
杏子 「まあでも、あんま関わらない方がいいかもだよ。悪い奴…じゃあないけど、ちとやばい感じなのは確かだしさ」
まどか「そんな…」
さやか「まあまあその話は置いといてさ。まどか、アメリカでの暮らしはどうだったのよ?あんまアメリカンな感じしないけど?」
まどか「うぇひひ、だって日本人学校だったもん。それなりにアメリカのお友達もできたけどね」
さやか「…あ、そういえば。まどか…小学校の時、まどかだけに見える『見えないお友達』がいる、とか言ってたよ、ね…。それって」
まどか「さ、さやかちゃん、まだそんなこと覚えて///」
さやか「…そのお友達、まだ見えるの?」
まどか「えっと…うん…」
杏子 「なんだそりゃ?まどかは不思議ちゃんか?いや中二病…って今まさに中二だけどさ。ハナコさんとかそういうの?」
まどか「そんな妖怪じゃないよぉ。わたしを守ってくれてる、守り神さんみたいな子なんだよ」
杏子 「神、ねえ。なんていう名前なのさ?」
まどか「ごめんね。名前は、誰にも教えちゃいけないって言われてるの」
杏子 「おいおい冗談じゃなくてマジなのかよ。なんだかなあ」
まどか「むー。別に信じてもらわなくてもいいもん」
さやか「杏子の家は教会でさ。神様にはちょっとうるさいわけよ」
まどか「そうなんだ!へえぇ、杏子ちゃんシスターの恰好とか似合いそう!今度さ」
杏子 「ま、まあその話はいいや。ところでまどか、あんたの弁当うまそうだな…ちょっとくれない?」
まどか「いいよっ。パパが作ってくれてるんだ。すっごく料理が上手なんだよ」
さやか「…いいお父さんだよね」
まどか「う、うん。…さやかちゃん、どうかした?なんか元気なさそう…」
さやか「いやーそんなことないよ!元気いっぱいさやかちゃんだよ!いいお父さんで羨ましいなってね!」
杏子 「うまいっ、うますぎるっ!」モグモグ
まどか「うぇひひ、お弁当ならいいけど、パパはあげないよっ」
さやか(…そうだよね。まどかにも、大事な家族がいるんだ)
さやか(それにしても、見えないお友達って…。元々そんなのはまどかにはいなかったよね。やっぱり円環様なのかな?でも…)
* * *
キーンコーンカーンコーン
さやか「まどか、一緒に帰ろっか」
まどか「うん!」
さやか「3年も経つと見滝原もちょいちょい変わってるよ。ちょっと寄り道する?案内するよ」
まどか「えっと…まだお引越しの荷物がいっぱい残ってて、お手伝いしないと…」
さやか「そっか、そうだよね」
杏子 「まっじめだねー。さやかの幼馴染とは思えねーよ」ケタケタ
さやか「いちいち茶化すなっての」
まどか「うぇひひ、仲いいんだね」
さやか「あーもー…。そうだまどか、ちょっとだけまどかの家に寄っていい?おばさんおじさんにもご挨拶したいしさ」
まどか「うん!えへへ、きっとママもパパも喜ぶと思うよ」
まどか「…」キョロキョロ
杏子 「どうした?」
まどか「な、なんでもないよ」
さやか「…」
* * *
杏子 「じゃーな」
まどか「あれ、杏子ちゃんバス通学なの?」
さやか「杏子は隣の風見野から来てるんだよ」
まどか「そっか、中学校になると校区ってもうないんだっけ。でもなんで?」
杏子 「あー…まあちょっとした都合でね。世話になってる1コ上の人がこっちにいてさ」
まどか「うぇひひ、そうなんだ。杏子ちゃんの初恋の人だったり?」
杏子 「ばっ、ちげーよ。大体そいつも女だし。まあ色々あんのさ」
さやか「巴マミさんっていってね。すごく優しい先輩だよ。そのうち紹介してあげる」
まどか「マミさん、かぁ。うん、楽しみにしてるね」
さやか(変な感じ…ほむらの結界の中で造られた偽物の記憶じゃなくて、あたしは確かにこの世界で生まれて生きてきたんだ)
さやか(…あいつも、まどかが改変した世界ではこういう2つの記憶を持って生きてたんだね)
まどか「さやかちゃん?どうかしたの?」
さやか「えっ?いやー、なんでもないよ。あ、バス来たね。じゃ、またね杏子!」
杏子 「おー。またな」
まどか「ばいばーい」
* * *
さやか「まどかはさ、このせか…いや、今の生活って幸せ?」テクテク
まどか「うぇひひ、なにそれ流行ってるの?ほむらちゃんにも同じようなこと訊かれたよ」トコトコ
さやか「…そっか。で、どう?」
まどか「えっと…。改まって言われると何て言ったらいいか…でも幸せだと思うよ?不満なんてないもん。お友達がいて、家族がいて」
さやか「…そうだよね」
まどか「うぇひひ、変なさやかちゃん。あ、見えてきたよ」
さやか「あれ、家は変わってないんだ」
まどか「難しいことはよく分かんないけど、ママの会社の都合だから、会社がいろいろやってくれたんだって」
さやか「まあ持ち家ならそう簡単に手放せってわけにはいかないよね」
まどか「そういうことだと思うよ。ただいまー」
知久 「お帰り、まどか。おや、君は…」
さやか「お久しぶりです!さやかです」
知久 「さやかちゃんかあ。大きくなったねえ。さやかちゃんがいるなら安心だよ。まだ片付いてないけど、あがって」
さやか「あ、いえいえホントにちょっとご挨拶に顔出しただけなんで」
まどか「ママは?今日までお休みもらってるんだよね」
知久 「買い物に行ってるよ。そろそろ戻ると…あ、噂をすればだよ」
詢子 「たっだいまー!あれ、まさかさやちゃんかい?」
さやか「お久しぶりです。またまどかと同じクラスになれたんで、ご挨拶に来てみました」
詢子 「あらあらあら、ちょっと見ない間に随分大きくなって、なんというか立派になったもんだねー。昔はもっとやんちゃだったのに」
さやか「たはは…そうでしたっけ」
詢子 「まあまあこんな玄関先に突っ立ってないであがりなよ」
さやか「あ、いえ、ご挨拶に来ただけなんで。ちょっと用事もありますし…」
まどか「そうなの?残念だなあ。そうだ、今度ホームパーティーやろうよ!」
さやか「ほ、ほーむぱーりー?」
まどか「うぇひひ、アメリカだと普通にやるんだよ。結構楽しいんだ。さやかちゃんのパパとママもご招待するから!」
さやか「あ、あはは。うん、楽しみにしてるよ、じゃあね!」
詢子 「用事があるんじゃしょうがないねぇ。これからもまどかをよろしく頼むよ」
さやか「それはもうお任せを!じゃしっつれいしまーす!」タタタ
まどか「またねー!」
詢子 「うんうん、相変わらず元気な子だねー。あれ、まどか」
まどか「なに?」
詢子 「そのリボンどうしたの?いやあたしの好みにド直球だけどさ。今朝は黄色の付けてったし、赤なんて持ってなかったよね?」
まどか「う、うん。なんて言うか、お友達…がくれたの。は、派手すぎない…かな?」
詢子 「ぜんぜん!むしろこれくらいがちょうどいいってもんよ。うんうん、本当よく似合ってる。でもリボンくれるって何か変わった子だね」
まどか「うん…確かにちょっと変わってる、かも…えへへ」
まどか(ほむらちゃん…お友達になれたと思って、いいんだよ、ね…?)
知久 「まどか、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ。着替えたら来てくれるかい」
まどか「はーい」
* * *
まどか「はぁ…転校初日、つかれたぁ…。でも、さやかちゃんがいてくれて良かったなあ」ヌギヌギ
まどか「え?うん、ただいま。今日はね、学校に行ってきたんだよ」
まどか「うん、大丈夫だったよ。心配いらないよ」
まどか「えへへ、そんなことないよぉ」
まどか「え、また行っちゃうの?うん、またねアイちゃん」
―――さやかの家―――
さやか「…ただいまー」
さや母「おかえりー。珍しく早いじゃない」
さやか「っ…」
さや母「どうかした?」
さやか「ただいま!お母さん…お母さん…!」ギュッ
さや母「ど、どうしたの!?学校で何かあったの?」
さやか「なんでもない…なんでもないよ…でもちょっとだけ…このままでいさせて…」ズビッ
―――夜 工場街―――
さやか「お待たせしましたー」
杏子 「おせーよ…ってどうした?目ぇ腫らして」
さやか「え?いやーちょっと目に虫が入っちゃってね」
マミ 「…何かあったの?私たちでよければ相談に乗るわよ」
なぎさ「さやか泣いていたのですか?」
さやか「いやいやほんと何でもないですって!ほらもうそこかしこに魔獣が出てますよ!とっととやっちゃいましょう!」
杏子 「けっ、気に入らねーな…まあアンタが話したくなったらでいいさ」
ドール「ヤー!」
ドール「トー!」
ドール「アオホ!」
使い魔(烏)「「「「アホー!」」」
なぎさ「うきゃー!」
QB 「きゅっぷい」
マミ 「ふふっ、あなたたち今日もよろしくね」
ドールs「Gott ist tot!Gott ist tot!」
マミ 「はいはい、紅茶は戦いが終わってからね」
さやか(この子たち…魔獣狩りをサポートしてくれる不思議な妖精さん、ってことだったけど)
さやか(ほむらの使い魔だったんだね…)
さやか(…どこかで、見てるの?)キョロキョロ
マミ 「美樹さん?」
さやか「あーいや、何でもないです。んじゃ行きますか!」
* * *
マミ 「今日は早めに片付いたわね」
さやか「いやー絶好調のマミさんは強いですね!ついでにあたしも!」
杏子 「調子に乗んなよ。烏が盾にならなかったら腹に穴空いてるとこだったじゃねーか」
なぎさ「カラスさん死んじゃったのです…」
さやか「う…ごめんなさい」
ドールs「Gott ist tot!」
ドールs「Gott ist tot!」
マミ 「はいはい紅茶ね。テ・ポメリアーノ!」シャラララ
ドールs「Gott ist tot!」ガシャンパリーン
マミ 「あら今日は荒ぶってるのね…え?違う…まだ、向こうに!」
杏子 「ああ、確かに…それにこの感じ…!」
マミ 「これは…まずいわね!急ぎましょう!」
さやか「…!」
* * *
魔獣 「オオオオオオオ」パシュン!
少女 「ぐっ…」
マミ 「バロット・ラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!」
なぎさ「シャボンスプレー!」
ドコオオオオン
魔獣 「ギシャアアアア…」ズモモモ
杏子 「おい、しっかりしろ!今キューブを…」ジャラッ
少女 「ぐふ…くふふふ…」ゴゴゴ
マミ 「っ…間に合わなかった」
さやか「うっ…」
少女 「あははははははははははh」ドシュン!
なぎさ「き、消えてしまったのです…どうしちゃったのですか?」
マミ 「下がって!残った呪いが瘴気を呼んでる!」
魔獣 「コオオオオオオオオオ」
魔獣 「フウウウウウウウウウウウウウ」
魔獣 「カハアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ドール「キヒヒッ」ガシッ
杏子 「っらあ!」バシュ
ドール「アハハハ」ベシッ
さやか「ふんっ!」ザシュ
ドール「アウアウ」ヨタヨタ
マミ 「トッカ・シュピラーレ!」ドシュ
魔獣s 「ギシャアアアアアアア…」ズモモモモモ
なぎさ「あわわ…危なかったのです」
マミ 「…なぎさは見るのは初めてだったかしらね。そう…私たち魔法少女は、ソウルジェムの穢れが限界に達した時は
呪いを残して消滅する運命…。話としては聞いているでしょうけど、こういうものなの」
なぎさ「なぎさたちも…いつかこうやって、死ぬときに魔獣をおびき寄せてしまうのですか…?」
杏子 「必ずしもそうってわけじゃないさ。それに、こうならないためにあたし達は共闘してるんだ。悲観的になるな」
QB 「まだ呪いが残ってるよ。早くキューブに吸わせないと、また瘴気が集まってしまう」
マミ 「ええ。…これでOKね。キュゥべえ、お願い」ポイポイ
QB 「きゅっきゅっきゅっ…ぷい」ヒョイパクヒョイパク
さやか(…ほむらが円環の理を壊した副作用…。円環の理という概念が、救済も浄化もない…ただの消滅という法則に成り下がってしまった)
さやか(許せない…!許されない…でも、あたしは)
さやか(あたしは今の、人としての生活を…家族や友達との触れ合いを、また捨てられるの…?)
さやか(まどかに捨てろって言えるの…?)
さやか「っ…」
マミ 「さて、これでこのあたりの魔獣は完全に片付いたわね」シャラララ ポン
なぎさ「?その花は?」
マミ 「魔法少女の最期は死体も残らないから…せめてもの手向けよ」パサッ
杏子 「主よ、われらが同胞に安息を…御許にお導き給え。アーメン」
マミさや「…アーメン」
なぎさ「あ、あーめん」
ドールs「Gott ist tot!」ビュン
ドールs「Gott ist tot!」ビュン
さやか(トマトをえらい遠投してる…。そうか、あっちに…!)
さやか「すみません、実は親とちょっと喧嘩しちゃってて…今日はこれで帰りますね」
マミ 「最近夜遊びが過ぎる、とか?まあそういうことなら早く帰った方がいいわね」
杏子 「…またな」
さやか「ごめんなさい!じゃっ!」タタタ
* * *
ほむら「…」チウー
さやか「みつけた…こんな高台から、ジュース飲みながら観戦してたんだ」
ほむら「…ずいぶんな言い方ね。あなたたちを守ってあげているというのに」
さやか「あんたの力なら使い魔に戦わせなくても魔獣の群れの1つや2つ、どうにでもなるでしょ。なんでこんなコソコソと」
ほむら「ああ…『最近』魔法少女になったあなたは知らないのね。私の力はあまり魔獣には効かないの」
さやか「へっ?」
ほむら「代わりに、魔獣の攻撃も私にはあまり効かないけど。使い魔や人形たちも、魔獣を倒すような攻撃はしなかったでしょう?」
さやか「ああ確かに…魔獣の気を引き付けるために小突いたり、あたしたちの代わりに攻撃を受けたり弾いたりでサポート役に徹してたね」
ほむら「そう。魔獣を倒せるのは魔法少女だけ。だから私は魔法少女を守ることで魔獣を減らす。分業ね」
さやか「なるほど。魔獣と同質の力をふるうあんたは、やっぱり悪魔ってことなんだね」
ほむら「…あなたが契約する前の話だから知らないでしょうけど、私の力は禍々しすぎると巴さんに警戒されたわ。
だから今はこうして遠くから使い魔に指示をしているの。あの人、使い魔は警戒してないみたいだから」
さやか「あんた、ほんとマミさんと相性悪いなぁ…」
ほむら「使い魔も力の本質は同じなのに、ひどい話よね。もっとも、使い魔や人形が私のものだということは今のあなたしか知らないわけだけど」
さやか「やっぱり。そうやって必要なこと言わずに、いらないこと言って怒らせたんでしょ」
ほむら「…それで?別に雑談しに来たわけじゃないんでしょう。戦うつもりもないようだけど」
さやか「ああ、うん…」
ほむら「どうしたの?私に対して口ごもるなんてあなたらしくないわね」
さやか「…やっぱり、いいや。今、何が正しいかあたしにも分かんなくなってる…今はあんたを糾弾する資格は…ない」
ほむら「撤回しましょう。やっぱりあなたらしいわ」
さやか「…ふん」
―――翌日 学校―――
さやか「おっはよー」
杏子 「…おー。ふぁぁ」
さやか「えらい眠そうじゃない」
杏子 「んー。昨日マミの家で遅くまで話し込んじまってな」
さやか「あんまりマミさんに迷惑かけるんじゃないよ」
杏子 「あんなあ。あんたのこと話してたんだよ。心配してたんだぜ」
さやか「え、あ、あたし?」
杏子 「親と喧嘩って嘘だろ?あんた、一人で抱え込む癖があるからな。かといって無理に聞き出そうとしても反抗すんだろ。めんどくせえ」
さやか「うぐっ…こ、心が痛い」
杏子 「まーそんなだから何があったのかは今は訊きやしないよ。ただ、あんたのこと心配してる人がいるってことだけ覚えときなよ」
さやか「いやー…。愛されちゃってますね、あたし」
杏子 「ったく…。ってことで、今日はあたし授業中は全部寝るから。後でノート写させな」ポスッ クカー
さやか「それいつもじゃないのよ…」
さやか「…ありがと。ごめんね」
杏子 「…」クカー
―――昼休み 屋上―――
まどか「…」
ほむら「…」
さやか「…」
杏子 「…」
さやか(まどかがほむらを連れてくるとは…)
杏子 (微妙に気まずいんだよな…。マミとの対立を止めきれなかった負い目もあるし)
さやか『こうなるのが分かってて、なんでノコノコまどかについてきたのよ』
ほむら『半ば無理やり引っ張られてきたのだから仕方ないでしょう。それにまどかの誘いを二度も断れるわけないじゃない』
さやか『だったら何か話しなさいよ』
ほむら『今話題を考えてるから10分くらい待ちなさい』
さやか『なげーよ!』
まどか「あ、あの…」
ほむら「どうかした?」
まどか「なんか、あの…め、迷惑だった、かな」
ほむら「そんなことはないわ。こうしてお友達同士でランチっていいものね」サクサク
杏子 「…そういやあんたが何か食ってるの見るのって初めてだな…。まさかそれが昼食なのか?」
ほむら「そうよ」
まどか「ぅえっ?それ、ただのお菓子じゃない!そ、それだけなの?」
ほむら「ただのお菓子じゃないわ。完全栄養食品よ」
まどか「それだけじゃ健康に良くないよ…」
杏子 「あたしには理解できねーな」モグモグ
まどか「えっと、じゃあ。はい。わたしのお弁当少し分けてあげるから。ちゃんと食べなきゃだめだよ」
ほむら「気持ちは嬉しいけど…。箸もお皿もないし、それではあなたの分が減ってしまうわ」
まどか「はい、あーん」
ほむら「…えっ///」
さやか「ほうほう。まどか、やりおるねー」
杏子 「なに赤面してんだよ。らしくないじゃん」
まどか「は、早く食べて。なんかわたしまで照れちゃうよ」
ほむら「…っ///」パク
まどか「おいしい?」
ほむら「…///」コク
杏子 「…こいつこんな奴だったっけ」
まどか「はいじゃあ今度はこのコロッケ。あーん」
ほむら「う、嬉しいけどもういいわ。購買でパンを買ってくるから」スクッ
まどか「お、おいしくなかった…?」
ほむら「あむ!」パクッ
まどか「わっ」
ほむら「間違いなくおいしいから安心して。でもあなたのお父様が作ってくれたお弁当はあなたが食べるべきよ」
まどか「それは…あれ?なんでそれを知って」
ほむら「じゃ、じゃあ購買に行ってくるから」タタタ
さやか(あ、逃げた)
まどか「ほむらちゃ…!」
杏子 「うん、やっぱあんた大物だわ」
* * *
さやか「ごちそうさまでした」
まどか「ほむらちゃん、戻ってこない…」
杏子 「購買はすぐに売り切れるからねー。手ぶらで戻ってくるのが気まずいんじゃねーの」
まどか「ど、どうしよう。お弁当全部食べちゃったよぉ」
さやか「いや、それ普通。ちょっと心配しすぎじゃない?」
まどか「だって…。なんか、ほっとけないよ」
杏子 「転校2日目の奴に心配されるって、あいつも大概だな」
まどか「もう戻ろっか。わたし、ほむらちゃん探してみる」タタタ
さやか「ああ、うん」
杏子 「…子供っぽい奴だと思ってたけど、意外に世話焼きっていうか、なんか、アレだな」
さやか「アレじゃわかんないわよ。…いや、何となくわかるかも」
* * *
まどか「購買前は…もう誰もいないや」
まどか「ほむらちゃん…なんでこんな心配になっちゃうんだろ」
まどか「わたしよりずっと大人っぽいし、しっかりしてそうなんだけど…」
タタタ
まどか「教室にも…いない」
まどか「うーん」
まどか「あ、あれ?アイちゃん…なんで学校に」
まどか「え?ついて来いって?」
* * *
ほむら「はぁ…」
ほむら「あまりにあまりのことでつい慌ててしまったわ…」
ほむら「やり直しに慣れ過ぎて、アドリブには弱いのよね…」
ほむら「それにしても、あのまどかはまるで…」
ほむら「私、そんな不安そうに見えるのかしら…」
まどか「ほーむらちゃん!」
ほむら「!!」ビクゥ
まどか「どうしてこんなとこで佇んでるの?心配したんだよ」
ほむら「ご、ごめんなさい。購買が売り切れていたから、そのまま…」
まどか「うぇひひ、教えてくれてありがとうね」コソッ
ほむら「?誰かいるの?」
まどか「な、なんでもないよ」
ほむら「…?」
まどか「あのね、ほむらちゃん」
ほむら「な、何かしら」
まどか「迷惑、だったかな…?」
ほむら「何が…?」
まどか「何て言うか、その…クラスの子たちと距離置いてるみたいだし、ご飯もちゃんと食べてないし…。でも余計なお世話、だったよね」
ほむら「…」
まどか「ごめんね。そうだよね。わたし、いつもそうなんだ。アメリカでも、言葉の問題で溶け込めない子にお節介焼いて、迷惑がられちゃって」
ほむら「あなたは…本当に優しいのね」
まどか「そんなこと…ないよ。アメリカでもある子に言われちゃったの。誰かの役に立ちたいって行動してるつもりでも、求めてない者からすれば
それは理想とか正義の押し付けと変わらないって」グスッ
ほむら「それは…違う。少なくとも私はあなたを迷惑だなんて思ってないわ」
まどか「ほんと…?」
ほむら「あなたへの非難は孤独を好む人間の歪んだ見方よ。気にする必要なんてない。あなたの優しさを必要としている人はたくさんいる。
だから、あなたはそのままでいればいい。そのまま成長して、周りの人を幸せにしてあげて」
まどか「ほむら、ちゃん…」
ほむら「さあ、もう昼休みが終わるわ。教室に戻りましょう」
まどか「うん…!」
ほむら(そう…あなたが概念として魔法少女の呪いを背負い続けるなんて認めない)
ほむら(あなたが呪いを背負い続けるくらいなら…。全ての魔法少女から救済を奪って、代わりに私がその罪を背負う)
ほむら(誰にも邪魔はさせない…!)
ここまで。これで多分3分の1くらい
みなさんコメどうもです
取り敢えず書き溜め放出します
―――二週間後 鹿目家―――
まどか「いらっしゃーい」
さやか「お、おじゃましまーす」
杏子 「おじゃましまっす」
さや父「どうも鹿目さんご無沙汰しております」
知久 「こちらこそ、お久しぶりです」
さや母「詢子さん変わってませんねー。むしろ若返ったんじゃありません?」
詢子 「あっはっは。なに仰いますやら」
タツヤ「だー」
さやか「今日はアメリカ式のバーベキューってことだったんで、お肉持ってきました」
杏子 「おおー!」
さやか「あんたが食いつくな」
知久 「これはこれはお気遣い頂いてすみません。うん、これは…いいお肉ですね。では、のちほど切り分けて持っていきますよ」
さや父「お手間を増やしてすみません。お手伝いしますよ」
詢子 「まどか、準備はこっちでやっとくから部屋でお友達と遊んでな。あとはマミちゃんとほむらちゃん、だっけ?」
まどか「あ、マミさんは模試が近いからって辞退されちゃったの」
詢子 「あれ?そうだったんだ。まあそれなら仕方ないね。まどかも来年は…」
タツヤ「じゅけーん!じゅけーん!」
まどか「うぇ、うぇひひ、じゃあお部屋に行ってるね!さやかちゃん、杏子ちゃん、行こっ」
* * *
まどか「どうぞ」ガチャ
さやか「おおー…。なんか、ぬいぐるみ増えてるねぇ」
杏子 「これは…すげーな。ザ・女の子の部屋って感じだ」
さやか「そーいうあんたの部屋も結構な女の子趣味だったような気がするけどねえ?」
杏子 「あ、あれはモモの趣味だっての。部屋は共同なのさ」
まどか「モモ?」
杏子 「妹だよ」
まどか「そうなんだ!可愛いんだろうなあ。何歳くらい?」
杏子 「うーん…。まどかと同じくらいかな?」
まどか「むー。なにそれ。わたしそんなにお子様じゃないよ。わたしだって弟がいるし、お姉さんだもん」
杏子 「…いや、なんつーか。そういうところとかさ」
さやか「あはは。まどかは小っこくてかわいいからねえ」ナデナデ
まどか「さやかちゃんまでぇ。でも杏子ちゃん、今度は一緒にモモちゃんも連れて来てくれたら嬉しいな」
杏子 「どうかなぁ。うちは土日は休みじゃないし、モモは結構人見知りするからなー」
まどか「そっか、教会なんだよね。じゃあ今度杏子ちゃんの家に遊びに行っていい?」
杏子 「そりゃまあ構わないけど」
まどか「うぇひひっ、やったぁ」
杏子 「ったく、調子狂うな、まどかは」ナデナデ
まどか「撫でないでったらぁ」
ピンポーン
まどか「あ!」
* * *
ほむら「…ごめんください」
詢子 「いらっしゃい。ほむらちゃん、だね?まどかは部屋にいるから上がりなよ」
ほむら「…失礼します」
詢子 「なるほど、確かにまどかの言うとおり美人さんだねえ」
ほむら「いえ、そんな…」
詢子 「…!」ゾクッ
詢子 (なんだ…この子。何か雰囲気が尋常じゃないんだけど)
詢子 (友達を選べなんて言うつもりはないし、まどかが気を許してるんだから大丈夫だとは思うけど…)
詢子 (いや、それにしたってこれは…)
ほむら「どうかなさいましたか?」
詢子 「え?いや、なんでもないよ。まどかの部屋はあっちのドアだよ」
ほむら「ありがとうございます」
バタン
まどか「ほむらちゃーん!」
詢子 「っと、出てきたね。じゃあ準備できたら呼ぶから、待っててよ」
ほむら「はい。お呼び頂ければお手伝いもしますので」
詢子 「はは。しっかりさんだねえ。気にしないでいいよ」
まどか「あ、マm…おか、ねぇ、カルピス切れちゃったけど、買い置きどこだっけ」
詢子 「おやおや、友達の前ではカッコつけたいのかい?さみしいねえ。ママ、でいいんだよ」
まどか「い、いいから教えて///」
詢子 「未開封の原液はどこだっけなあ。冷蔵庫の横の棚だったと思うよ」
まどか「ありがと!ほむらちゃん、先にわたしの部屋に入ってて。さやかちゃんと杏子ちゃんもいるから」タタタ
ほむら「わかったわ。ではお邪魔します」ペコリ
詢子 「ああ、うん」
詢子 (まどかがあんなに懐いてるみたいだし…悪い子じゃ、ないのかねぇ)
詢子 (…)
* * *
さやか「…」
杏子 「…」
ほむら「…」
杏子 「まーなんつーか、さ。あたしはあんたのこと別に嫌いじゃあないよ」
ほむら「…何かしら突然」
杏子 「マミがあんたを警戒した時に止めなかったことは、今は悪かったと思ってる」
ほむら「…」
杏子 「つっても正直、まどかに絡まれてタジタジになるあんたを見なかったら、こんな風には思わなかったろうけどね」
さやか『あんたはまどか大好きだもんねー』
ほむら「なっ…///」
杏子 「あたしもそうだけど、何かまどかって調子狂わされるよな。…そんなわけだから、今度マミにも掛け合ってみるよ」
ほむら「…お気遣いなく」
杏子 「意地はんなって。だいたい、あの使い魔どもはあんたの魔法だろ?」
ほむら「…」ジロ
さやか「いや、あたしは何も言ってないよ」
杏子 「強弱の差はあっても魔力の波長が同じだからな。マミだって気づいてるさ。ただああ言った手前、きっかけがないと覆しづらいだろ」
トテトテトテ
ほむら「…まどかが戻ってきたわ。この話はいったん終わりね」
杏子 「ん。まあ考えといてよ」
まどか「開けてー。お盆で手が塞がっちゃってるの」
ほむら「いま開けるわ」
* * *
知久 「本日はわざわざお越しくださって、ありがとうございます」
詢子 「知らない間柄じゃないんだから堅苦しい挨拶は抜き抜き!ちゃっちゃと始めようじゃない」
知久 「はは。それでは、乾杯!」
「「「「かんぱーい」」」」」
杏子 「に、肉っ!肉っ!」ハアハア
さやか「おちつけ」ジュー
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんもちゃんと食べてね?お野菜もいっぱい用意してあるから」
ほむら「え、えぇ」
ワイワイ
* * *
ほむら「…」フルッ
まどか「ほむらちゃん、トイレ?」
ほむら「あ…ええ。どこにあるか教えてくれると助かるわ」
まどか「台所の横の廊下の、奥から2つ目のドアだよ。わかる?ごめんね、我慢してた?遠慮しなくていいんだよ」
ほむら「…ありがとう」
詢子 「…」
* * *
ほむら(…はぁ)ジャー
ほむら(まったく…まどかには敵わないわね。でも…)
ほむら(こうして家族と友達に囲まれて楽しそうにしているまどかは本当に眩しい)
ほむら(私のやったことは…間違いではなかった)ガチャ
ほむら(えっと…庭はあっちね)
詢子 「よっ」
ほむら「お…おばさま」
詢子 「ちょっとおいで。まだ肌寒いし、あったかい紅茶でもどう?」
ほむら「え…でも」
詢子 「まあまあ。ちっと付き合ってよ。まどかの学校でのこと知っておきたいし。ほむらちゃんのことよく話してくれるんだよね」
ほむら「そうですか…なら」
* * *
詢子 「はい。ちょっとブランデーが入ってるんだ。大丈夫、ちょっとだけだから中学生が飲んでも平気だよ」
ほむら「…」
詢子 「そんなに熱くしてないから、一気に飲んじゃって。あったまるよ。アメリカ式の紅茶なんだ」
詢子 (嘘だけどね。ブランデーじゃなくてスピリタスがそこそこ入ってる…。ちと酔わせて本性を見極めたいのさ)
詢子 「ほら、こういう風に」ゴックン
ほむら「…」ゴックン
ほむら「…!」
詢子 「どう?あったまるだろ?」
ほむら「はっ…は…い」
詢子 「それでさ、まどかは実際のところ学校ではどうなのよ?馴染めてる?」
ほむら「それは…もう。美樹さんがいろいろとフォローしてますし、私とも仲良くしれくれれれます」
詢子 「それはよかった。それで、授業はちゃんとついていけてる感じ?」
ほむら「すうがくはあまり得意れはないみたいれすけど…英語は…ほんろうに…」ヒック
詢子 (よっわいなぁ…いや、入れ過ぎたか?)
ほむら「うぅ…」グスッ
ほむら「まろか…まろかぁ」グスッ
詢子 (って、泣き上戸か!)
ほむら「まろかぁ…ごめん…ごめんね…」グスッ
詢子 (ごめん?まどかに何かしたのか?でも、まどかは懐いてるみたいだけど…)
ほむら「まろかぁ…」
詢子 「どうしたんだい?ほむらちゃん、まどかと何かあったの?話してごらんよ」
ほむら「ごめんなさい…ごめんらはい…」
詢子 「ごめんじゃ分からないよ。どうしたの?」
ほむら「まろかの…いのひを…ふにじにって…うぅ」グスン
詢子 「???」
ほむら「まろかぁ…」コテン
詢子 「ありゃ、寝ちゃった」
詢子 「…悪い子じゃ、ない…のかな」ポリポリ
さやか(…まったく。やっぱりあんたも後ろめたかったんじゃないのよ)コソッ
さやか(結構あたしも前の世界の記憶が危うくなってきてる…。とにかく、あいつらの本音を…ぶつけ合わせないとね)
* * *
さやか「さーて第二ラウンドいきますかー!杏子、肉取りすぎ!」
杏子 「うるへー!弱肉強食だって、授業で習ったよねぇ?」モグモグ
まどか「あれ、さやかちゃんが先に戻って…ママ、ほむらちゃんは?」
詢子 「あ、ああなんだか疲れてたらしくてね。眠くなったみたいだから客室で寝かせちゃったよ」
まどか「ええ?」
詢子 「まあ、心配いらないよ。ほら、まどかも食べないとお肉なくなるよ」
まどか「…ママ嘘ついてる」
詢子 「む?」
まどか「ほむらちゃんに何かしたの?」ズイッ
詢子 「いやいやそんなわけないじゃん。あったまると思ってちょっとお酒入りの紅茶を飲ませただけだよ」
まどか「お酒?しんじらんない!なんでそんなことするの!」
詢子 (あれ、めっちゃ怒ってる…やっぱ懐いてるよなあ)
まどか「ママ!どういうこと?」
詢子 「すまん、まどか。確かにわざと酔わせたんだ」
まどか「なっ…どうして」
詢子 「ごめんな。まどかの友達を疑いたくはなかったけど、あたしにはほむらちゃんがカタギとは思えなかったんだ」
まどか「か、かたぎ?」
詢子 「何か悪い環境で育った子じゃないかって思っちまったんだ。でも、そういうわけじゃなさそうだった。あたしの勘違いだ。ごめん」
まどか「そんな、こと…え?えぇ?なに言ってるのママ?」
詢子 「正直ついでに話すけどさ。ほむらちゃん、まどかに泣きながら謝ってたんだ。まどか、ほむらちゃんに何かされた?」
まどか「え、え、え?なにそれ?ほむらちゃんが、謝る?わたしに?」
詢子 「そうなんだ。しきりにごめんねって。まどかの命を?祈りを?どうのって。良く聞こえなかったんだけどね」
まどか「わたしがほむらちゃんに謝られることなんてないよ…。逆にわたしが、お節介やいてるかもってくらい、で…」
詢子 「そっか。ごめん。本当にごめん。まどかの友達を信じてやれないあたしは親失格だね」
まどか「もう!ほんとだよ!ママ、今日は口きいてあげない!ほむらちゃんの様子見てくる!」タタタ
詢子 「…やれやれ」
* * *
ガチャ
ほむら「…」スースー
まどか「ほむら、ちゃん…寝てる?」
ほむら「…」
まどか「ごめんね…うちのママが、失礼なことしちゃった」ギュ
ほむら「ま…」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「まろかぁ…」グスン
まどか「寝言…?でもわたしの名前…えへへ」
ほむら「…ない…で…」
まどか「大丈夫だよ、そばにいるよ」
ほむら「…」スースー
まどか(こうして寝顔見ると…ほむらちゃんも結構幼いというか…かわいいな)
ほむら「…」ツー
まどか(あ、涙が滲んで…)フキフキ
まどか「ほむらちゃん…何か抱えてることがあれば、わたしが力になるよ。ううん、なりたい、な」ナデナデ
ほむら「…」スースー
書き溜め尽きた
これで導入部は終了です
日曜日中に中盤まで終われればいいな
ところで映画でGott ist tot!がコーチャ!コーチャ!って聞こえてたのは俺だけですかね
>>53
多分、Fort! Da! のことじゃないかな
乙
―――翌日 学校―――
まどか「おはよ、ほむらちゃん」
ほむら「おはよう」
まどか「昨日はほんとにごめんね。もう大丈夫?」
ほむら「ええ、もうすっかり。あなたもおばさまも何も悪くないわ。気にしないで」
まどか「うー。それでも、やっぱりごめんね」
さやか「おっすお二人さん。まどか、昨日はありがとね。ホームパーティー」
まどか「うぇひひ、こっちこそ来てくれてありがとう。すごく楽しかったよ」
さやか「それでさ。今日、放課後って空いてる?ほむらも」
まどか「わたしは、何もないよ」
ほむら「…どうかしたの」
さやか「いやちょっと、二人に相談があってね」
まどか「いいけど…わたしたちでいいの?杏子ちゃんとかマミさんは?」
さやか「今回はちょっと、ね。二人だけに話したいんだ」
まどか「そっか。ほむらちゃんは?」
ほむら『…何を企んでるの』
さやか『ひ・み・つ』
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「…いいわ」
さやか「さっすがぁ!いやあ持つべきものは友だねえ。んじゃ、放課後ね」
まどか「あ、今日わたし日直だった。ちょっと遅くなるけど待っててくれる?」
さやか「そりゃもちろん!んじゃ校門前で待ってるわ」
―――放課後 校門前―――
ほむら「…」
さやか「あれ、まどかは?」
ほむら「日直の仕事を手伝おうとしたけど、自分の仕事だからって申し訳なさそうに断られたわ」
まどか「あはは。あの子らしいや」
ほむら「…で、何を企んでいるの」
さやか「乙女の秘密だって言ったでしょ。場所を変えてから話すよ」
ほむら「…もしまどかの記憶に刺激を与えて、概念に戻そうなんて企んでいるのだとすれば、無駄よ」
さやか「信用されてないねぇ。まあ当たらずとも当からずってところだけど」
ほむら「…」
さやか「まあ、まどかを概念に戻すことが正しいのかどうかはあたしが決めることじゃないし、大体まどかに
記憶が戻ったところで、また世界が塗り替わったりはしないでしょ」
ほむら「何かの用法が間違っている気がするけど…そうよ。まどかの力は私が持っている。私を殺したところでその力が
まどかに戻ることはないし、既に世界を一度変えてしまった以上…もう一回変えるだけの力は残っていない」
さやか「何とかピーの法則ってやつ?まあそうだろうね。あたしが話したいのはもっと手前の」
まどか「お待たせー」
ほむら「早かったわね」
さやか「…んじゃ行こうか。最近できたおいしいケーキ屋さんがあるんだ」
* * *
まどか「さやかちゃん、相談ごとって、なんなの?」トコトコ
さやか「まあまあ。ケーキ食べながらでも話すから、さ」テクテク
まどか「う、うん。でもさやかちゃんが何かに悩んでたなんて、全然きづけなかった…ごめんね」
さやか「あはは。まどかは優しいねー。うん、別にあたしの悩み事ってわけじゃ…ないからね」
まどか「え、そうなの?よかったぁ…の、かな」
ほむら「…!」
さやか(げっ…こんな時に…瘴気!?確かに最近やたら魔獣が増えてる感じはしてたけど…!)
まどか「ど、どうしたの?」
さやか「まどか、ごめん。ちょっと急用ができちゃったかもしれない」
まどか「えっ?」
さやか『ほむら、あんたはまどかを守って。あたしが片付ける』
ほむら『言われなくても』
まどか「…あ!」
ほむら「どうしたの?」
まどか(アイ、ちゃん?どうしたんだろ、武器なんか持っ…)
さやか(ん、あれは…ほむらの使い魔、いや分身だっけ?でもあんなのいたっけな)
ほむら「??」
さやか(まどかには見えて…ほむらには見えていない…?だとしたらあれは?)
シュバッ!
さやほむ(瘴気が…消えた?
さやか『どういうこと?ほむらの使い魔たちでは魔獣を倒せないんじゃなかったの?』
ほむら『…何を言ってるの?今ここには使い魔も人形もいないわ。あなたには何が見えているというの?』
さやか(やっぱり見えてない…?)
まどか「あ、あの…どうか、したの?」
さやか「いや、なんでも…あ、やっぱり駄目だ」
ほむら『囲まれてる…!』
さやか『まずいな…ほむら、まどかを眠らせたりはできないの?この数はちょっとまどかに気付かれずに処理するのは無理そうだ』
ほむら『私もそう思っていたところよ』ポワワワ
まどか「えっ?ほ、ほむら…ちゃ…」ガクッ
さやか「来るよ!」
魔獣 「ムホオオオオオオオオオ」
魔獣 「キヒイイイイイイイイイイイイイイ」
魔獣 「ウゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
使い魔(烏)「「「「「「アホー!」」」」」
* * *
さやか「はぁ…はぁ…」
ほむら「気を抜いてる暇はないわ。まだ来るわよ」
さやか「わかっ…てるよ!それよか、使い魔の増援はないの?」スチャッ
烏の死骸「「「「「」」」」」」
魔獣 「アヒイイイイイイイイイイイ」
さやか「はっ!」スバシュ
魔獣 「ウオオオオオオオオオオオオオン」
ほむら「ここだけじゃなくて他のところでも同時発生している…。烏はともかく、人形は数に限りがあるから…今こっちには回せないわ」
さやか「まじかよ…!」
* * *
さやか「あかん…あかんで…」ハアハア
ほむら「くっ…キリがないわね」
さやか(ほむらには見えないあの子も…もう1体ずつが限界っぽいか。まずいな、こりゃ…)
魔獣 「アオオオオオオオオオオオオ」
魔獣 「ヌフウウウウウウウウウウウウウウウウウ」
さやか「しまっ…まどか!」
ほむら「…!」ガバッ
パシュン!パシュン!
ほむら「あつっ!いたい!ぐうううっ!」
さやか「ほむら!もう少しだけ耐えて!あたしも、こっちを片付けないと…!」
ほむら(まずい…!仕方ない、閉じ込めている力の一端を解放して、私が魔獣を減らさないと…!)パアア
「「ティロ・ボールド!!!」」
魔獣s「ギシャアアアアアアアアアア」ズモモモモモ
さやか「なっ…!」
ほむら「うぅ…」ボロボロ
マミ 「危なかったわね。でももう大丈夫」
杏子 「まったく、今日はどーなってんだよ本当にさ」スタッ
さやか「杏子!マミさん!」
ほむら「はぁ…はぁ…」
マミ 「話は後!残党を片付けるわよ!」
さやか「はいっ!」
* * *
杏子 「なんとか…狩りきったか?」
マミ 「そうね。もう、この辺に瘴気の気配はないわ。工場街、倉庫街の方も…そろそろ片付きそうね」
さやか「いやー…助かりました。ここ以外のところで発生した魔獣、使い魔だけで何とかしてるんですか?」
杏子 「まさか。風見野とか、他の地域からの加勢に任せてきたよ。ここが一番瘴気が濃かったからね」
ほむら「…」
マミ 「暁美さん…大丈夫?」
ほむら「ええ…心配いらないわ。それよりも、私が覆いかぶさった時にまどかに擦り傷が…」
マミ 「ふふ。それくらいなら私が治せるわ。美樹さん、暁美さんをお願い。背中が…ひどいことになってるから」
さやか「は、はい」ポワワワワ
ほむら「うっ…」
マミ 「これでよし。暁美さん…ごめんなさいね」
ほむら「…」
マミ 「正直、佐倉さんの話を聞いても、どうしてもあなたを信用する気にはなれなかった…。でも、今こうして
身を挺して鹿目さんを守ったのを見てしまっては…私が間違っていたことを認めるしかないわ」
ほむら「別に…あなたが間違っていたなどというつもりは…ないわ。私の力がおぞましいものだというのは事実なのだから」
マミ 「それでも…重要なのは力の質ではなく、どう使うか、ですもの。本当にごめんなさい」
杏子 「ま、あんたがまどか以外のやつをそこまでして守るかどうかは怪しいけどねー」
マミ 「もう、茶化さないの。暁美さん、許してというつもりはないけれど…謝らせてちょうだい」
ほむら「…特に何とも思ってないから心配しないで。いずれにしろ、これからも私がすることは変わらないのだから」
マミ 「暁美さん…」
まどか「う…」
ほむら「まどか!」
まどか「ほむら、ちゃん…」パアア
ほむら「まど、か…!その目…!」
まどか「ほむらちゃん…!どうして…!こんな…!」
ほむら(しまった…!閉じ込めたまどかの力を…まどかの至近距離で解放しかけたことが、こんなことに…)
ほむら「そう…すべてを、思い出して…しまったのね」
さやか(ちょっ…!)
杏子 「な、なんだ?」
マミ 「鹿目さん…?」
まどか「うん…」
ほむら「こうなっては仕方ないわね。でも…あなたが取り戻せるのは記憶だけ。あなたがこれからも人間として生きていくことには変わりない。
だから…余計な記憶も封印していたに過ぎない。何も変わることはないわ」
まどか「うぅ…。ほむらちゃんの、ばかぁ…」グスン
ほむら「…」
まどか「確かに…わたしは、結果的にほむらちゃんの祈りを台無しにしたのかもしれない。でも…!こんなのって、ないよ…!」
ほむら「私は後悔していない。あなたが呪いを背負い続けるくらいなら…私が罪を背負うことなんて、なんでもない」
まどか「だめだよ…。こんな…これじゃ…!」ハッ
マミ 「倉庫街の瘴気が…消えない!?しかも…!」
杏子 「ちっ!また魔法少女の最期を看取るなんて、ごめんだぜ!いくぞ!」ダッ
まどか「…!」ダッ
ほむら「まどか…!」
* * *
ズモモモモモ
少女 「はぁ…はぁ…」
なぎさ「うう…浄化が、間に合わない…!しっかり…しっかりするのです…!」
杏子 「くそっ…!一歩届かなかった、か…」
少女 「もう…ほっとい、て」バシッ
なぎさ「あうっ」
マミ 「っ…こうなっては、もう…」
まどか「だめだよ!」タタタ ガシッ
少女 「…!はな、せ…」
まどか「だめ…。お願い、呪いに、負けないで…」ギュッ
少女 「ふん…結局、だめなんだ。わたし、は…」
まどか「お願い…だから…!」
ほむら「まどか!下がって!」
少女 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」ドシュン!
まどか「うっ…あああぁ…」ペタン
まどか「ひどい…ひどいよ…こんなの…」グスグス
ゴゴゴゴゴゴ
杏子 「まずい…!また瘴気が…!」
マミ 「よく分からないけど…暁美さん!鹿目さんを頼んだわよ!」ジャコッ
さやか「…最悪だわ…!」シャキッ
* * *
まどか「うっ…ううぅ…」グスグス
ほむら「…」
杏子 「なんなんだ、一体…。まどか、どうしちまったんだ?」
マミ 「鹿目さん…」
さやか「うーん…何と説明したらいいのか…」
まどか「ほむら、ちゃん…。ほむらちゃんは、これを見て何とも思わないの…?」
まどか「奇跡を願って…呪いで終わるなんて…ほむらちゃんも、その辛さは知ってるはずなのに…!」
ほむら「…いいえ。私にとっては…あなたがその呪いを肩代わりし続ける方が、許せない」
まどか「ほむら、ちゃん…」
ほむら「それでも、私は…。あなたがそんなに悲しむところを、見たくは…ない」
まどか「じゃ、じゃあ」
ほむら「いいわ。まどか…。あなたが、どうしても、全ての魔法少女の救済を望み…最後まで笑顔でいてほしいと、いうのなら」
ほむら「私と、勝負しましょう」
まどか「なっ…」
杏子 「おいおい、何言い出すんだ…」
ほむら「もちろん、戦うという意味ではないわ。あなたに力はないし、私を殺したところで、あなたが再び概念に戻るわけではないから」
ほむら「この世界は…あなたに纏わりつく因果の糸を、私が奪って円環の理を壊して…再構成された。この宝石はその結晶」
ほむら「まどか。感情の相転移、覚えてるわよね。その時に生み出されるエネルギーも」
まどか「…」グスン
ほむら「因果の糸を内包するこの宝石を創った感情を相転移させれば…再びあなたの望む世界に変えるだけのエネルギーが得られるでしょう」
まどか「そんな…。それ、って…」
ほむら「そうよ。私に、あなたを嫌いにさせてごらんなさい。何度も、何度も、最後は悪魔になってでも救おうとしたあなたのことを」
ほむら「この宝石を構成する愛が憎悪に変わるとき…そのエネルギーをあなたにあげるわ」
ほむら「ふふ。できるかしらね?優しい女神様」
まどか「そんな…どうして…。わたしは、わたしだって、ほむらちゃんのこと…っ」
ほむら「それ以外に方法はないわ。私やあなたを愛する人たちを切り捨てて、魔法少女の救済を取るか。魔法少女の救済を切り捨てて、
この世界で生き続けるか。両立はできないのだから」
まどか「そんな…そんな…!ほむらちゃん…!もう…ほむらちゃんなんて、だ…っ、ほむらちゃんの、ばかぁ!」
ほむら「ふふ。こんなときでも、あなたは私を嫌いになってはくれないのね。でも駄目よ。相手に嫌いになられるには、まず…自分から嫌わないと」
まどか「ほむらちゃぁん…」
ほむら「楽しみにしてるわ」スッ
まどか「き、消えた…!」
さやか「あっちゃー…なんでこーなるかなぁ」ポリポリ
まどか「さやかちゃん…どうしよう…。わたし、どうしたらいいの…?」グスグス
杏子 「なあさやか。説明してくれんだろうな?あんたが抱えてたこと、これなんだろ」
マミ 「ええ…よく分からないけど、私たちが力になれるなら」
さやか「そうです、ね…。ちとあたしの記憶も曖昧になってきてますけど…まどか、立てる?」
まどか「うっ…うん…」グスッ
ポツ ポツ
ザアアアアア
さやか(雨…)
さやか(まったく…あいつは、本当に…!)
* * *
ほむら「…」ボー
QB 「やあ。ずいぶんと気が抜けているようだね」
ほむら「…何しに来たの。消えなさい」ブワワワ
QB 「きゅっ!いたっ!痛いって!」ジタバタ
ほむら「感情がなくて痛みだけあるって、どんな気分なのかしらね」ブワワワワ
QB 「きゅっ…きゅぅ…」ボロボロ
ほむら「はぁ。もういいわ」
QB 「やれやれ。ひどいなあまったく」ケロッ
ほむら「今は機嫌が悪いの。また痛い目に遭いたくなければ消えなさい」
QB 「言われなくても消えるさ。でも、ひとつだけ確かめておきたくてね」
ほむら「…?」
QB 「君は今日、嘘をついていたかい?」
ほむら「…」
QB 「やっぱりそうか。ソウルジェム…君のはダークオーブというみたいだけど、確かに理論上、ソウルジェムが消滅せずに
感情の相転移が完成したと仮定した時に得られるエネルギーは、とてつもないものだ。机上の話ではあるけどね」
ほむら「…」
QB 「君が魔法少女でない以上、確かに君のダークオーブは消滅の法則を免れてエネルギーを発生させるかもしれない。
それでも、一つの宇宙を終わらせたり創り変えたりするだけのエネルギーには到底足りないはずだよ」
QB 「君だって、そのくらい分かっているはずなんだけど?」
ほむら「…そうね」
QB 「なら、どうしてあんなことを言ったんだい?」
ほむら「さぁ…。私もいい加減、疲れた…のかも、知れないわね」
QB 「説明になってないなぁ…」
ほむら「話は終わりよ。消えなさい」
QB 「きゅぷ!」
ここまで。ちと説明臭くなってきたけど仕方ない。
後は終盤だけど、今週中に終われればいいな…
ほむらは円環の理の力は一切奪ってないぞ
宇宙改変はまどかの存在以外全て自力
思ったより時間かかってます
ひとまず書き終わったとこまで投下
話的にはほとんど進んでないけど…
>>85
ピンクの糸巻をほむらが飲み込んだような描写をそういう風に解釈してる感じです
解釈っていうか、色々考察されてる中での都合のいいとこ取りという方が近いけど
―――マミの家―――
さやか「ま、あたしが話せるのはこんなとこですかね」
まどか「…」
なぎさ「」zzz
杏子 「うーん」
マミ 「何というか、その…。確かに辻褄は合っているような気はするけど、突拍子がなさすぎて、何と言ったらいいか…」
さやか「そりゃそうですよね…」
杏子 「しかし何だな、つまりまとめると、今の状態は『魔女』は生まれないけど救済もされないっていう、最初の世界とまどかの世界の
中間的な感じになってるってことだよな」
さやか「かな…。中間と言っていいのかどうかはわかんないけど」
杏子 「だったら、さ。そんな悪い話でもないんじゃねーの?」
まどか「それは…」
杏子 「だって、魔法少女が魔女だかの怪物になるっていう当初の状態だと、マミは死んで、さやかは魔女になって、
あたしの家は…崩壊して。あたしの両親も、モモも…死ぬ。そうなんだろ?」
マミ 「…」
杏子 「まあその話が本当だとしたら、ここにいる3人は救われてるってわけだ。そりゃソウルジェムの濁りに感情が
影響を受けるとは言え、自分で募らせた呪いは自己責任だ。少なくとも、あたしは今までそう思ってきた」
まどか「で、でも…」
杏子 「いや、別にあたしはどっちの味方でもねーよ。ただ、あたしは…自分の最期くらい自分でケツ拭くべきだって、
そう思ってる。それに円環の理がなくたって…神はいるんだ。呪いに負けたとしても、神はそれを救い給う。
…いちクリスチャンの感想さ」
さやか「ぐぬぬ…。あんた変なところで何ていうか…オトナだよね」
まどか「うぅ…わたし、間違ってた、のかな…。やっぱり、わたしが全ての魔法少女の救済を願ったのは、傲慢…だった、の?」
杏子 「そこまで言ってねーよ。あたしみたいに一神教の教義を持っている人間と、そうでない人間の感想は違うだろうさ。
マミ、あんたはどうなのさ?」
マミ 「っ…。私は…鹿目さんが間違っているとは、思わないわ。だって…怖いもの。みんながいてくれるお陰で、
今だってこうして生き延びていられるけど…。代わりに、魔法少女の最期だって何度も見てきた」
マミ 「いつか私も、あんな最期を迎えることになるんだって思うと…怖くて、眠れなくなる夜も何度もあった」
マミ 「佐倉さんや美樹さんが…なぎさが、呪いを残して消えていく、胸が潰されそうな悪夢を…見たこともあるわ」
杏子 「…」
マミ 「怖い…。怖いの。自分や、親しい仲間たちに…安らかな最期は決して訪れないという未来が…怖い」ポロポロ
まどか「マ、マミさん…」
マミ 「だから…。だからね、もし魔法少女の最期を優しく看取って、呪いを浄化してくれる女神様がいたなら…」
さやか「っ…」
マミ 「ごめんなさい…。鹿目さんを犠牲にして、自分が楽になりたいだなんて…一瞬でも考えてしまった自分が恥ずかしいわ」グスン
まどか「そんなこと…そんなこと、ないですよ!わたしが自分の意思でやったことで、犠牲とか…そういうことじゃ、ないんです」
杏子 「弱いことは…罪じゃあないよ。人は、救いを求めるもんだし、神は人を赦して救うものなんだ。普通のことさ」
マミ 「うう…ううぅぅっ…」グスグス
さやか(まどかの祈りは尊いものだと思うし、一方で、呪いで終わるかもしれないことを納得して選んだ運命なら受け入れるべき…。
どっちも正しいじゃん。だめだ、答えなんか、あたしにはわかんないや…)
まどか「うぅ…。でも…でも、やっぱり…希望を願った結末が呪いで終わるなんて、わたしには…」
杏子 「…だったら、ほむらの言うとおりにして、あんたがもう一回世界を書き換えるしかないわな」
まどか「そんな…。いやだ…いやだよ…ほむらちゃんに、嫌われる、なんて…嫌われたくない…」グスッ
杏子 「はぁ。ま、ここでしんみりやってても結論なんか出ないわな。大体結論を出したところで、ほむらの言ってることが本当なら
それだけで何かを変えられるわけでもないしね」
さやか「いや、そりゃそうなんだけどさ…」
杏子 「あとは当人同士がどう納得するか、だろ。ほむらも言いたいことだけ言って逃げたし、まどかも多少落ち着いたところで
もっかいほむらと話してみるしかないだろうね。それよか、ありゃどーいう意味なのさ?ほむらが言ってた、愛とかってのは」
まどか「え…え、え、えぇ?///」
杏子 「え、じゃねーよ。いろいろ着いていけなくて、あの場ではスルーしちゃったけどさ」
まどか「えっと、き、聞き間違いじゃないかな///」
マミ 「そうね。その辺、詳しく聞きたいわ」キリッ
さやか「ちょ、マミさん!?」
杏子 『カラ元気だよ。乗っかってやんな』
さやか『な、なるほど!まっかせなさい!』
さやか「いやいや、確かに愛って言ってたね。大体、逆転したら憎悪になるってことはやっぱり愛じゃないですか」
まどか「ぞ、憎悪の反対は無関心だって誰かが言ってたよ」
杏子 「そりゃ愛の反対だろっての」
まどか「き、きっと違うよ。だって、ほむらちゃん今まで一度もそんなこと…言ってくれたことなかったもん。だってまさか
ほむらちゃんがわたしのこと、うぇ、うぇひ、うぇひひ///」
さやか「あれ、まどかほんとにびっくりしてるの?」
まどか「その、だって、そんな、いきなり、そんな…きっと聞き間違いだなって///」
さやか「…あ、そっか。ほむらがQBに啖呵切った時、まどかは気ぃ失ってたしなぁ」
まどか「え、えぇ?ほ、ほむらちゃん何か言ってたの?」
さやか「あ…。いや、そいつはほむらに直接訊きなさいな」
まどか「さやかちゃぁん…。いじわるしないで、教えてよぉ」ユサユサ
さやか「「いやいや、こういうのはやっぱ又聞きじゃだめだと思うのよ」」ユサユサ
杏子 「ま、いいや。それより腹減ったよ、マミ。なんか食わせろ」
マミ 「…ふふっ。ありがとう、佐倉さん。待っててね」グシッ
―――翌日 学校―――
ガララ
さやか「えーと…まだ来てないみたいだよ」
まどか「そ、そっか」ヒョコ
さやか「学校じゃちゃんと話はできないからね。とにかく、放課後にあいつが逃げないように捕まえなきゃ」
まどか「…うん」
さやか(…ただ、そもそもあいつ今日学校来るのか?あいつのことだから、気まずくてサボるくらいしそうだなぁ。
まどかと席が離れていればまだよかったかもだけど、真後ろだし)チャクセキ
まどか「…」キョロキョロ
さやか(ま、それならそれであいつの家に突撃すればいいか)
ガララ
まどか「!」
さやか(あ、来た。…うわ、すっごいクマ。ありゃ一睡もしてねーな。まどかもだけど)
さやか『まどか、しっかりやるんだよ』
さやか(…あ、まどかにはテレパシー通じないんだった。まあ大丈夫だよね)
ほむら「…おはよう」
まどか「…」フイッ
ほむら「…!」
さやか(ありゃ?)
ほむら「…」チャクセキ
まどか「…」ソワソワ
ほむら「…」
まどか「…」ガタッ
さやか(お?)
まどか「と、トイレ…!」タタタ ガラッ
さやか(あんたが逃げてどーするよ!)
ピシャッ!
まどか「はぁ…。ど、どうしよう」ドキドキ
まどか「わたしが避けちゃう…!」
ほむら「」ポスッ
さやか(寝たふり?泣いてる?まずは自分を嫌ってみろって言ったのは誰よ。難儀だなーもう)
ザアアアアアア
さやか(雨降ってきた?勘弁してよ!傘持ってきてないよ!)
* * *
まどか(うぅ…これじゃダメだよね…。こうしている間にも、どこかで誰かが救われないまま消えているんだもん…!)
ガラッ
さやか(お、戻ってきた)
まどか「…」ツカツカ
ほむら「」
まどか「あ、あの、あの…ほ、ほむら、ちゃん」
ほむら「」
まどか「ほむらちゃん」ツンツン
ほむら「」ビクッ
まどか「ねぇほむらちゃん起きて」ツンツン
ほむら「」
まどか「ほむらちゃんてばぁ」コチョ
ほむら「っ!」ガバッ
まどか「さ、さっきはごめんね?おは、おはよう///」
ほむら「え、えぇ…。ふふ。そんなんでいいの?私にあなたを憎ませない限り、魔法少女を呪いの運命から救えないのよ」
さやか(あ、雨やんだ)
まどか「…ほむらちゃんのばか」
ほむら「馬鹿で結構よ。愛するあなたを守るためなら私は何がどうなろうと構わない」ファサ
まどか「あ、愛って…!///」ボッ
まどか「ほ、ほむらちゃ、やっ、やっぱり昨日は、あ、愛って、それって、わたしのこと、す…好きってこ、と…?///」
ほむら「今更何を言っ…え?」
まどか「そ、そう、なんだ…///」
ほむら「…えっ?」
さやか『あー…。ほむら』
ほむら『…いま取り込み中です』
さやか『いや、そのことなんだけどさ』
さやか『あんたがQBに啖呵切った時ね?うん、あたしは聞こえてたけどさ。まどかはどうだったかって言うと、意識なかったよね』
ほむら『…えっ?』
さやか『あたしだってあんたの全ての時間軸での行動を知ってるわけじゃないけどさ。あんた、まどかにちゃんと好きだって言ったことあるの?』
ほむら『…えっ?』
まどか「で、でもそんなこと、今まで、一度も、うぇひ、あの、その、言ってくれなかったのに、そんな、いきなり、あの、あの///」
ガラッ
杏子 「うっす」グッショリ
さやか「おはよ」
杏子 「ったくいきなり雨降ってきてひどい目に遭ったよ…なんだアレ?なんで朝っぱらからあんな面白れーことになってんの?」ドカッ
さやか「ほい、タオル。あれは…うん、コミュニケーションロスの弊害ってやつかな」キリッ
杏子 「…はぁ?つーか教室のど真ん中でよくやるよ」ゴシゴシ
まどか「///」
ほむら「///」
ザワザワ ドヨドヨ
杏子 「…もう遅いけどさ。止めてやるって選択肢はなかったのかよ」
さやか「いやー…。あそこに割って入る勇気はあたしにはなかったのですよ、うん」
杏子 「…まああたしもごめんだけどさ」
まどか「うれしい…。うれしいよ。でも…でも、こんな…こんな形で、知りたく、なかった、よ…」ポロポロ
ほむら「…」ギリッ
まどか「ほむらひゃんのばかぁ…」グスグス
ガラッ
和子 「はいみなさんおはようございます。席に着きましょうね」
さやか(ナイスタイミングだよ、先生…)
―――保健室―――
まどか「うぅ…」ゴロン
まどか(嘘ついて保健室に逃げちゃって…わたし、だめだなぁ…)グス
まどか(ほむらちゃんがわたしを大切にしてくれていたのは分かってたけど…まさか、そんな想いを秘めていたなんて)
まどか(どうしよう…。そんなこと言われたら、わたしだって…)
まどか(でも、魔法少女の最期が呪いで終わるなんて、やっぱり…)
まどか(魔法少女は…みんな、救いを求めているとは限らない…の?わたしはお節介なの?理想の押し付けなの?)ゴロゴロ
まどか(わたしじゃない、本当の神様が…呪いに負けた魔法少女も救ってくれるの?)
まどか(でも、昨日わたしが見たあの子の最期の顔は…救いがあるなんて思えなかった…!)
まどか(だけど…一度こうして引き戻されて…。最初は、覚悟も決めていたし、マミさんに「みんなの希望になる」って励まされて)
まどか(それでも…今こうして、ママもパパもタツヤもいて、お友達もいて…わたしを好きだって言ってくれる人がいて)
まどか(それをまた全部捨てられる…?怖い…怖いよ…。残された人たちは…ほむらちゃんはどう思うんだろう?)ゴロゴロ
まどか(うぅ…胸が苦しい…。わたしだって、ほむらちゃんのこと、大好きな最高のお友達だと思ってたけど…)
まどか(わたしの「好き」はどういう意味の「好き」なんだろう)ゴロゴロ
まどか(一緒にいたい、助けてあげたい、色んなことを一緒にやって喜びも悲しみも分け合いたい…。それは…友情とは違うの?)
まどか(ほむらちゃんはどういう気持ちを愛と呼んでいるの?)ゴロゴロ
まどか(もう心がぐちゃぐちゃだよ…わかんないよ)
まどか(ほむらちゃんのばかばかばか)ゴロゴロ
まどか(うぅ…)グス
まどか(…)zzz
ここまで。
あと1回か2回で終われる…はず。
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で?