照「なにそれ。なぜそんなデマが広まってるの」
菫(いや、事実だろ)
亦野(ホントの事っすけどねぇ)
淡「えーでも咲ちゃんはテルーのこと大好き大好き~って言ってたよ?」
照「・・・淡。それは本当?」
淡「ホントだってば。咲ちゃんこの前そう言ってたよ~」
照「・・・菫。今日私は部活休むから」
菫「ふざけるな。・・・一応聞くが、休んで何をするつもりだ」
照「・・・長野に行って咲の全身隅々までペロペロしてくるに決まってる」
菫「馬鹿者。大体お前が一人で長野になどたどり着けるわけがないだろ」
照「え?菫もついていk菫「行かんわ馬鹿」
照「む・・・」
菫「そ、そんな顔したってダメだ。白糸台のレギュラーたるものがそんなことで欠席など」照「奈良」
菫「・・・は?」
照「長野に行くついでに、奈良にも行く」
菫「な、なぜだ?阿知賀にも用事があるのか?」ウズウズ
照「・・・奈良に行くと行っただけで、阿知賀に行くなんて一言も言ってない」
菫「?!」
淡「あー、スミレったら阿知賀の次鋒の人すきだもんねぇ~」
菫「なっ?!ゆ、宥のことは好きとかそんなんじゃn」
照「そういえば玄がこないだ言っていたな、お姉ちゃんが菫に会いたがっていると」
菫「奈良が先だ。亦野、切符の手配をしてくれ。照は私から絶対に離れるな」ガチャ
淡「へーw」
あーこれやっぱ無理ゲーかも・・・
照「奈良に着いたみたいだ」
菫「ああ」ウズウズ
淡「落ち着いてスミレー。こっからバスに乗るんだよ」
照「だな」
菫「そ、そんなことはわかってる! さあ皆忘れ物はないな! 行くぞ!」
亦野「そっちは逆方向です」
照「着いてそうそうこれか。咲が思いやられる」
淡「テルー、そっちは今来た道だよ」
さあがんばれ
照「ここか」
菫「ふむ。間違いないな」
亦野(……)
淡「ここが阿知賀女子学院かあ。あー、たしかにお嬢さま学校っぽい雰囲気あるねー」
菫「では麻雀部の部室を探そう」
淡「じゃあ、そこらへんの子に訊こうか」
照「すみませんが清澄高校への」
菫「すみませんが麻雀部の部室はどこにあるのか教えてもらえませんか?」
淡「あれセイコ、さっきから喋ってないけどどうかしたの?」
亦野「いや……」
亦野「実は……」
淡「は? それホント?」
亦野「ホント」
淡「じゃあ照たちに早く伝えないと」
照「菫、この後阿知賀に留まっていられる時間は1時間もない。宥さんに会うなら今の内に口説き文句を考えておいて」
菫「何を言っている? 今日は夕暮れまで阿知賀に滞在。宿泊は松実館だ。清澄に行くのは明後日になるだろう」
照「今日中に咲成分を補給しなかったら干からびて飢えることになる。菫は私がミイラになってもいいの?」
菫「お前は干からびてるくらいがちょうどいいんだ。奈良の滞在は明々後日まで延長だな」
淡「テルー! スミレー!」
亦野「聞こえていない」
「ようこそ!我が校の麻雀部へ!」
照「」
菫「」
亦野「この地図を用意したのは?」
淡「テルーだよ。家にあったのを持ってきたって言ってた」
亦野「今どき紙の地図なんてアナログすぎる。地図アプリでも使えばよかったのに…」
「まさか全国王者がはるばるウチにおいでなさるとはね。光栄ととってもいいのかな?」
淡「だからってスミレが道を間違えるなんて」
亦野「とうとう弘世先輩までポンコツになっちゃったか」
「ま、心配しなさんな。その挑戦受けて立つ!」
小走「ニワカは相手にならんよ!」
淡「晩成高校ねえ……あの様子じゃ来年阿知賀は全国大丈夫そうだね」
菫「こんなはずじゃなかった…」
照「菫…失敗は仕方ない…次は清澄でその失敗をとりかえそう」
亦野「阿知賀へはここから行けるみたい」
淡「ここからって……山じゃん!」
亦野「近道だよ。国道に沿って行けば回り道になって距離が倍になる」
淡「バスとかは?」
照「咲は?」
亦野「出てったばかりみたいだな。今からだと50分待ちになるらしい」
淡「ええー……」
淡「あー、もう疲れたよ……」
亦野「大丈夫、この山は標高が高いわけじゃない。幼稚園児のハイキングにもちょうどいいくらいだ」
淡「入ってから30分は経ってるんだけど……」
照「咲咲咲咲咲咲……」
亦野「くう、宥に会える宥に会える宥に会える……」
淡「あの二人何に耐えてるんだか」
亦野「よし、頂上だ。先輩方、後は下るだけですよ!」
菫「本当か!」
淡「やった!ようし、後はもう、ってギャア!」
照「淡!?」
亦野「落とし穴?なんでこんな古典的なトラップがこんなところに?」
「あれー? 何かかかったと思ったら人?」
穏乃「おっかしいなあ。イノシシはこの山に逃げ込んだって聞いたんだけど……」
亦野「大丈夫か淡!」
淡「早く出してえ!」
照「この手の咲につかまって!」
淡「ふう……ありがとテルー……」
穏乃「あともうふたっつくらい落とし穴増やした方がいいかなあ」
淡「ちょっとあんたねえ!」バシッ
穏乃「いった! な、何するんですか! って白糸台!?」
淡「は? あ、あんた、阿知賀の大将のお猿さん!?」
穏乃「すいませんでした……」
菫「なぜ君がここにいる? 今日は阿知賀と白糸台との練習試合の予定のはずだが」
亦野(ここぞとばかりに冷静だな)
穏乃「へ? そんな予定ありませんでしたよ」
菫「えっ?」
菫「そんなはずは……。ゆう、松実宥さんにメールが届いているはずだ」
穏乃「いやー、そんな……あっ、もしかしてあの変なメールのことですか?」
照「変なメール?」
穏乃「宥さんのケータイに届いた変なメールを玄さんが皆に見せてくれたんです。意味わかるかって」
菫(松実玄……!)
照「それってどんなの?」
穏乃「玄さんが転送してくれたやつですけど……これです」
『すみれです
きょうあちがにいくのでしあいをもうしこみます
だけどてかげんはなしでおねがいします
けいきがよろしくないようですがじっかのほうはだいじょうぶでしょうかちょ
っとのことではくじけないでください
こんどもしよかったらしらいとだいのだいこ
んばたけをみにきませんか
しりこん
よーぐると
うつぼっと
』
菫「」
菫(松実玄オオオオオオオオオオオオオオオォ!)
淡「うわ……」
亦野「部長……」
穏乃「誰も意味がわかってないんですよね」
菫「い、いやちょっと待て……」
菫(そもそもなんだこれは!?)
菫(私はこんなものを送った覚えはないぞ!)
菫(というか今回の予定を立てた、メールを送ったのは……!)チラッ
照「結婚おめでとう」パチパチ
菫「貴様ァアアアアアアアアアア!」
菫「射殺す!万死に値する!」
照「結婚式は咲と一緒に出席させてもらうよ」
菫「黙れ!」
亦野「伝達に齟齬はあったようですが、阿知賀に練習試合の申し込みしたわけです」
穏乃「そうだったんですか。てっきり呪いかなんかかと思っちゃいました」
亦野「で、今から行っても遅いんでしょうかね」
穏乃「そうですねぇー……、もうみんな帰っちゃってますし。明日にしてもらえませんか?」
亦野「明日は土曜ですしね、では改めて明日窺わせてもらいます」
穏乃「わかりました。あ、じゃあ今日はどうするんですか?」
亦野「松実館の方に泊まらせてもらいます」
穏乃「今日は宥さんも出てるっていってましたし、ちょうどいいですね!」
菫「!?」
菫「な……それは……宥の……」
亦野「松実館はここからどっちの方角に行けばいいですか?」
穏乃「あっちです。なんか見える方」
亦野「わかりました。親切にありがとうございました。行きますよ弘世先輩」
菫「しかし……それは……ただし……いかにも……しかるに……」
淡「」ジー
穏乃「?」
淡「あんた……覚えてなさいよ」
穏乃「えっ……ああ、さっきの」
淡「言っとくけどね。私本気出したら瞬☆殺だよ?」
穏乃「イノシシをですか?」
淡「ちがうっての!」
淡「麻雀よ! 決勝ではサキにばっか意識がいってたからあんたは生き残れたってわけ!」
穏乃「そういえばあの時はありがとうございました」
淡「くぅ~~~~~~!ムカツクなあ!あんたわかってんの!?天下の白糸台だよ!大将だよ!」
穏乃「私は阿知賀の大将です!」
淡「何えばってんの!あー、もうキレたよ。宇宙見せちゃうよ宇宙。明日にはもう麻雀できなくなってるかもしれないからね」
穏乃「え、なんかの病気なんですか!?」
淡「……もういいわ、明日までに麻雀部の皆にお別れ言っときなよ」
淡「行こ。セイコ。こん……」
穏乃「あ、そっちには……」
淡「ニャア!?」ズボボッ
穏乃「もう一つ落とし穴がって言おうとしたんですけど」
照「きゃあ!?」ズボボッ
穏乃「そっちの方にもです」
松実館前
淡「あんにゃろう……」
照「ひどいめに遭った……」
菫「ふっ、普段の行いが物をいうな。お前の極悪非道の所業を天は見過ごさなかったのだ」
淡「スミレー! 早く来なよー」
亦野「いまさらになって怖気づいてどうするんですか。松実さんたちも玄関で待ってくれてるそうですよ」
菫「怖気づくだと? 白糸台の部長ともあろうものが見知らぬ地の旅館を訪れるくらいで腰が引けるなど……」ガクガク
淡「足ぶるぶるじゃん」
照「あ、松実さんだ」
菫「ふっ、ぬるいひっかけはよせ照。そんな……」
宥「ようこそ遠いところから……あっ菫ちゃん、久しぶり」
菫「なっ!? ゆゆゆ……」
菫「ひ、ひさしぶりだね宥。こここ、こんなところで会うとはね」
亦野「玄関で待ってるんだから居て当たり前でしょう」
照「松実さんおめでとう」
宥「えっ、あ、どうもありがとう?」
淡「あーもう、挨拶は後にして部屋に案内してよ。疲れてるからさ」
宥「そ、そうですね。じゃあ白糸台のみなさんは着いてきてください。玄ちゃんもお願~い」
菫「いや、柄にもなく緊張してるようだ。まいったな。それにしても一つ言わせてくれないか」
玄「え! 私ですか? あ、はい!」
菫「君との思い出は数えるほどしかないけど……君を思い出させるものは、数え切れないぐらいある。
そして…なにより君の笑顔が忘れられない」
玄「え? え? そ、そうだったんですか!?」
菫「遅いかな?今頃になって言うのも……私は……私は……!」
宥「こちらがお部屋になりま~す」
照「広い。きれい。落ち着く」
淡「ふーん、なかなかいいじゃない。もっとランクが低いのを想像してたよ」
亦野「失礼だぞ淡」
淡「ふーん、褒めてるんだよー」
宥「お荷物はこちらでよろしいですか」
亦野「はい。食事はいつ頃になりますか?」
宥「午後七時になります。何か御用がありましたらそちらの電話でお呼びつけください」
照「ありがとう宥さん」
宥「はい、ゆっくりしていってね宮永さん」ガラッ
お茶子の気配がしないんだが……
淡「ふぅ~~~、ようやく一心地ついたぁ」
亦野「歩きっぱなしだったからね。奈良に来て座れたのもほんの僅かな間だったし」
照「お菓子でも食べよう」
淡「あ、トッポあるー?」
亦野「宮永先輩……せっかくもうすぐで食事なんですから、少しくらい待ちましょうよ」
照「そうか……じゃあお土産でも買って来よう」
亦野「自由すぎますよ。ちょっとぐらい待ってください」
淡「>>65で思い出したけど、たかみーは?」
亦野「静岡に行ってるらしい。週1で通ってるお茶の会のようなものがあるとかないとか」
照「私も静岡のお茶ほしいな」
亦野(宮永先輩は麦茶で十分って言ってたな)
淡「そういえばさ」
亦野「?」
淡「お風呂どうする?」
照「お風呂か」
亦野「食事の後でいいだろう。少し間を明けてからな」
淡「人が少ない時間にしよー、大浴場なんだから広く使いたいし」
照「そのことなんだけど、ちょっといい?」
亦野「なんです?」
照「風呂のことで、私にいい考えがある」
宥「玄ちゃん、これ2階の……」
玄「」ポー
宥「玄ちゃん?」
玄「へ? うわわ!? でも私には」
宥「玄ちゃん! 大丈夫?」
玄「えっ、あ、お姉ちゃん。うん、大丈夫です!」
宥「これ2階のお座敷に運ぶから」
玄「おまかせあれ!」
宥(大丈夫かなあ……)
玄(まさか白糸台の部長さんにあんなこと言われるなんて想像もしてなかったよお……)
玄(うう……)
玄(なんていうかこう……身体の奥がムズムズする……)
玄(ああ……どういう顔して会えばいいんだろう)
玄(告白なんて今までされたこともしたこともないからわかんないよ……)
宥(菫ちゃんも変だったけど……玄ちゃんもなんか変……)
宥(二人とも大丈夫かな?)
「宥ちゃん!」
宥「あ、はい! なんですか?」
「衣の間のお客様から名指しで電話よ」
宥「白糸台の……、わかりました」
宥「もしもし、お電話変わりました。宥です」
菫(…………)
菫(何度後悔しても後悔したりない)
菫(ああ、なぜあそこで舞い上がってしまったのだろう)
菫(私としたことが8年ほど前に考え付いた渾身のセリフを、よりにもよって妹の方に使ってしまうとは……)
菫(宥……私を許してくれ……)
菫(君の思いを無碍にしてしまったこと……)
菫(せめてこの羞恥を自分の咎として背負う)
菫(次は……外さない……)
菫(からなず君の心を射抜いて見せる!)
照「はい。じゃあまた後で」
菫「ん? どうした照?」
淡「あ、復活した」
亦野「ちょうどよかった。弘世先輩、もうすぐ食事来ますよ」
菫「ああ、照、今の電話は?」
照「お風呂のこと」
菫「風呂? いつ入るか決めたのか?」
照「12時」
菫「それはまたずいぶんと遅いな。まさか遠慮でもしているのか?」
照「二人と一緒に入ることにした」
菫「は?」
照「松実姉妹二人も私たちと一緒に入る」
菫「」
>>1よ、もうこんだけやりゃいいだろ 風呂入ってくる
テレビ『奈良県○○群××町で野生のイノシシが目撃がされるという……』
淡「イノシシねえ」
亦野「阿知賀の大将がいってたやつか」
淡「さすが奈良って感じだね。鹿からシノシシまでなんでもござれだ」
菫「お前というやつは!」
照「むしろ感謝してほしい」
菫「馬鹿をいうな!」
淡「まーだやってたんだ」
PRIRIRIRIRIRIRI
淡「ん、メールだ」
淡「あ、たかみーからだ」
『今どこ? 帰ってきたんだけど一軍の皆は出かけたって』
淡「えっと……」
淡「いきなり阿知賀に行くことになったから、おみやげ楽しみにしててね、と」
淡「送信」
「失礼します」コンコン
亦野「食事がきたみたい」
「お食事をお持ちしました」
淡「んー、まあまあよさそうだけどどうかな?」
亦野「淡」
照「菫、ほら、食事がきたぞ」
菫「ぐっ、怒るに怒れない……」
照「宥さんが作ってくれたんだから、人一倍味わって食べないと」
菫「お前っ……どこまで人をからかえば……!」
亦野「いただきます」
淡「ふう……おいしかったー」グテー
亦野「食べ過ぎじゃないか?」
淡「昼からなーんも食べてなかったからね」
淡「これはヤバいねー、ぶくぶくに太っちゃうかも」
亦野「風呂まで時間はある。そのまま寝ちゃわないようにな」
淡「はーい」
菫「ん? 照はどうした?」
亦野「あれ? そういえば」
淡「テルーならお土産買いに行ったよー」
菫「は?」
廊下
玄「どうしようどうしよう」
玄「まだ気持ちの収まりがつかないよお」
玄「こんなときどうしたらいいのかな」
玄「お姉ちゃーん……」
照「咲!」
玄「ひえ!? って宮永さん」
照「すまない。人違いだったようだ」
照「声を聞き違えるとは……」
照「咲咲咲咲……」ブツブツ
玄「ど、どういうことなの……?」
宥「こっちのも下げて、っと」
宥「ふう、それにしても玄ちゃん遅いなあ」
宥「どうしたんだろ」ドン
「おっと」
宥「あ、申し訳ありません。お怪我はありませんか?」
「こっちは大丈夫だけど、それより……」
「君かわいいね」
宥「え?」
「どっかで会ったような気がするんだけど、これって……」
宥「あ、あの。すみませんが、失礼します!」
「あら、残念」
照「迷ってしまった……」
照「ここはどこだろう」
照「たしか私たちの部屋はこの階だった気がするんだけど」
「あっ」ドン
照「おっとすまない。大丈夫か」
「あ、はい……って」
照「ついでといっちゃなんだが道を教えて……」
咲「……お姉ちゃん?」
照「」
菫「まったく照のやつはどこに消えたんだ」
菫「あれで自覚してるのが厄介なんだ」
「思い出したわ!」
「何がじゃ」
菫(うん?)
「阿知賀の次鋒の子よ! あの子は!」
「ワシと戦ったマフラーか。たしか松実姉妹の姉の方じゃったか」
「そうよ! 松実宥!」
菫(宥? それよりこの声は……)
「どおりで見覚えがあると思ったわけだわ!」
「そもそもここが松実館じゃろうが」
「うんうん。ここに来た甲斐があったわ~。実は私……」
菫(清澄高校の中堅、竹井久!)
久「あの子結構好みなのよね」
照「……」
咲「……」
照「……」
咲「……」
照「……」
咲「……」
照「……」
咲「……あの、お姉ちゃ」
照「!!!」クルッ
咲「あ!待って!お姉ちゃん!」
照「……」スタスタスタスタ
咲「お姉ちゃん……」ウルウル
菫「すまない君たち」
久「あら?あなた白糸台の……」
菫「弘世菫だ。清澄がなぜここに?」
久「うーん、話せば長くなるんだけど」
まこ「端的にいえばイノシシ狩りじゃ」
菫「イノシシ?」
久「まあまあ、せっかくなんだし。こんなとこじゃなんだから別のところで話しましょうよ」
菫「……そうだな。ではまず」
照「その必要はない」
久「?」
まこ「チャンピオンじゃな」
菫「照、お前また迷子に……」
照「菫、部屋に戻るよ」
菫「どういうつもりだ? お前清澄が来ているということは……」
照「いいから、早く部屋に戻ろう」
菫「どうしたんだお前?」
淡「セイコー、今何時?」
亦野「今は……」
ガラッ
照「……」
淡「テルー、スミレー、お帰り―」
菫「おい、照……」
照「咲!咲!咲!咲ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!咲咲咲ぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!宮永咲たんの栗色ドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
(ry」
照「咲……ごめんね咲ぃ……」
亦野「つまり清澄もこの旅館に来てるってことですか」
淡「私もサキに会いたーい!」
亦野「これでわざわざ長野まで行く必要もなくなりましたね。よかったです」
菫「……いいはずがあるか」
亦野「どういうことです?」
菫「清澄の部長だ。彼女は照以上に厄介だ」
亦野「はあ……」
菫「以前から気になってはいたが、彼女は他校の女生徒から人気がありすぎる」
淡「テルーやスミレもだけどね」
菫「それはあくまでも憧れや称賛の対象だろう。彼女の場合はそれが思慕に変わる」
菫「つまり」
菫「竹井久……彼女こそ清澄のシャープシューター、いわゆる女たらしなんだ!」
淡「へー」
菫「その竹井が宥のことを狙っていたという言葉を本人の口から聞いた」
菫「彼女を宥に近づけてはならない! そのためにも今から清澄の部屋に乗り込むぞ!」
亦野(正直、面倒くさいな)
亦野「弘世先輩、思い過ごしってことはありませんか? 仮に本当だったとしても宥さんなら身持ちも堅そうだし……」
淡「んー、スミレの言うことにも一理あるみたいだよ」
亦野「どうして?」
淡「今たかみーとメールしてたんだけど、清澄が来てるって言ったら返ってきたのが……」
『久!久!久!久ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!久久久ぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!竹井久たんのえんじ色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
コミック9巻の久たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期決まって良かったね久たん!あぁあああああ!かわいい!久たん!かわいい!あっああぁああ!
コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
(ry
』
亦野「もうそれはいい」
菫「わかったか! これが彼女の魔力だ!」
亦野「わかりましたよ。でも今日は疲れたので私はパスでも構いませんか?」
菫「蠱惑の蜜に誘われてきた獲物を心の臓まで自分色に染め上げる、その様はまさに食虫植物!」
菫「他の誰を差し置いても、宥だけはその毒牙の餌食にさせるわけにはいかん!」
菫「さあ! 皆! 立ち上がるときだ! 清澄の部屋に行く準備をしろ!」
淡「はーい」
亦野(本当に宮永先輩みたいになってきたなあ)
亦野(せめてお風呂だけはゆっくり入りたい)
照「咲ぃ……」
和の間
久「それにしてもなんだったのかしら」
まこ「白糸台か。相変わらず愛想がなかったのう」
久(それもあるけど、白糸台部長のあの眼が気になるわね)
久(敵視されるのはまだ納得がいくんだけど)
久(それにしては度が過ぎてるような)
久(そう、あれはまるで美穂子が洋榎に……)
まこ「咲に言わんほうがええのう」
久「えっ」
まこ「白糸台じゃ。あの様子じゃあ姉妹の和解にはとても繋がりそうにないからな」
久「そうね」
ガラッ
久「お帰……って」
咲「」ズーン
久「もう会っちゃったみたいね」
久「そう、だめだったの」
咲「はい……」ズーン
まこ「ま、人間っちゅうもんは機嫌のいいとき悪いときがあるんじゃ。また次の機会に話したらええ」
咲「……」
久「……」
久(咲のお姉さんにも困ったものね)
久(咲の話を聞く限りでは非常に根の深い問題なんだろうけど)
久(前にインターハイ会場のトイレで個室から「咲ぃ……咲ぃ……」って聞こえてきたときは)
久(驚くよりも先に呆れたわ)
久(この機になんとかしちゃいましょうか)
久(! そうだ、白糸台の部長に、あの子を使って……!)
まこ「何しとるんじゃ?」
久「ちょっとね。あ、フロントですか。松実宥さんをお願いします」
菫「清澄の部屋はどこだ……」
淡「これで何部屋めー?」
照「咲ぃ……」
亦野「もう戻りましょうよ」
菫「いや、まだだ。彼女の身の安全が保障される12時になるまでは……!」
亦野(こういうのって宮永先輩のキャラじゃないかな?)
菫「次は『和の間』か」
アハハー ホントニー
淡「あ、この声」
菫「まさか!」
ガラッ
久「おっと、ようやくおでましね」
宥「あ、菫ちゃん。白糸台の人たちも一緒に」
菫「」
眠い……誰か引き継いでくれ……
冗長すぎる……
すまんが限界だ
あのっ!?
ほですね
寝る前ほ
新・保守時間目安表(休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
新・保守時間の目安(平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内
まるで腐女子のすくつ('A`)
和の間
まこ(王者・白糸台。ここで会えたのも何か縁かの)
まこ(話してみたいと思う相手もおるにはおるが……)
菫「…………」
照「…………」
亦野「…………」
淡「…………」
咲「…………」
和「…………」
まこ「…………」
まこ(なんじゃこの空気は……インハイの決勝の思い出すわ)
まこ(わざわざ休みを取りに奈良まで来て、なんでこんな重い空気を味わわなきゃならんのじゃ……)
宥「さっきの話、本当なんですか?」
久「本当よお。嘘だと思ってるなら明日私たちと一緒に見に行かない?」
まこ(あんたは自重せんかい!)
まこ「そ、そういや、どうしてあんたら白糸台が奈良に?」
菫「……」
照「……」
淡(あ、またメールだ)
まこ「……」
亦野「あ、阿知賀との練習試合ですよ。授業を午後から抜けてきちゃったりしてね」
まこ「はは、そ、それはいかんのう。お嬢様学校ともあろうもんが……」
亦野「……」
まこ「……」
亦野「清澄のみなさんはどうしてこちらに?」
咲「……」
和「……」
まこ「……」
久「イノシシよ」
亦野「あのニュースのですか?」
宥「竹井さん、本当なんですか? あのイノシシが清澄の先鋒の子だなんて」
亦野(なんじゃそれは)
久「久でいいわよー。うちの優希が大会終わってからタコスの食べすぎで太っちゃってねー。保健所に連れて行ってもらおうとしたら逃げ出しちゃってね」
久「長野から抜け出してあちこちで目撃情報があったんだけど、阿知賀の高鴨さんが見かけたっていう話を聞いてすっ飛んできたわけ」
亦野(だからあのときあんなものを)
淡(……とんだ迷惑ものじゃん。あの幼女)
淡(それに、清澄の部屋に来たのはいいけど)
淡(咲も照もすごく話しかけづらいオーラ出してるし)
淡(なんとか咲に話題を振ろうとしても横のピンクが睨みつけてくる)
淡(おまけにたかみーからの迷惑メールはやまないし)
淡(あれ? 私って苦労ものだったっけ?)
菫(……っく)
菫(先手を打たれた)
菫(この事態を予想しなかったわけではないが)
菫(それでもいざ宥を目の前にしてしまうと固まってしまう)
菫(ひとえにこれもあのときの失敗のせいだ)
菫(しかしそんなことを引きずっているようではこの先……)
宥「……そうですよね。ね、菫ちゃん」
菫「へ?」
宥「あのときは楽しかったよね」
菫「あ、へ、ああ、楽しかったよ」
菫「きょ、今日の食事は鴨が……その……」
宥「? インターハイ決勝の話をしてるんだけど……」
菫(だめだ……もはや完全に気持ちが他所にいっている……)
菫(こうなったというのももとはといえば照……!)ジッ
菫(お前のせいなんだ……!)
照「……」
照「……」
照(居づらい)
咲「……」
照(ちらちらと咲の視線を感じる)
照(本当ならばすぐにでも抱きしめてスリスリしたいところだが)
照(いざ本人を前にしてみると)
照(緊張してしまう……)
照(ただ一つ私にも気がかりなことがある)
咲「……」
和「……」ギュッ
照(この女……原村和)
照(どうして手を握っている?)
照(純粋に咲のことを心配をしているのか)
照(それかひょっとすると)
照(咲は自分のものだということをアピールしているつもりなのか……)
和(……)
和(咲さんのお姉さん、宮永照)
和(私が願うのは咲さんの幸せ)
和(たとえ咲さんと私が結ばれず)
和(お姉さんと結ばれることで幸せを手に入れることになるならば)
和(それもよしと思っていました)
和(……ただ、部長から聞いた貴女のインハイ会場での奇行)
和(それは断じて聞き逃せるものではありません)
和(貴女は咲さんは連れて行ってはいけない世界に誘い込もうとしている!)
和(これは直感です! オカルトです! 根拠もありません)
和(でも信じます! 私が咲さんにしてあげられることは)
和(貴女という外敵から守り、ひたすら愛でてペロペロしてあげることです!)
和(そのためなら訴訟も辞しませんよ!)
まこ(燃えとるのう)
まこ(空気は相変わらずじゃ)
まこ(それにしても、ガチなのが何人もいるなか)
久「だからあ、違うんだって」
宥「嘘じゃないですかあ」
まこ(あんたのその根性だけは本物じゃ)
まこ(……思えばわしもそこに惚れたといってもおかしくないのう)
まこ(ま、心に秘めておくがの)
久「あー、そろそろ場の空気も和んできたころね」
まこ「?」
久「私たちもお風呂はまだだけど、まだ時間に余裕はあるわ」
久「ここらで一つ、ゲームでもどうかしら」
まこ「ゲームじゃと?」
久「そ。あなた方もせっかく奈良まで来たっていうのに表情が堅いわよ~」
菫(誰のせいだ!)
久「せっかく両校の親交を深めるつもりだったのに、これじゃあ台無しだわ」
久「そんなわけで全員参加型のゲームよ」
照「そのゲームとは?」
久「王様ゲーム」
咲「……」
和「……」
淡(うわ、たかみー。今からこっちに来るとかやめてよね)ピッピッ
久「ここに番号の書かれたくじがあるわ。☆マークのを引いた人が王様ね」
久「王様は番号を指定して命令できるわ」
菫(勝手なことを……これでは宥の身の安全が)
菫(いや、待てよ……ただ私がそのチャンスを掴むこともできなくない)
照「……」
久「ただし、命令は常識の範囲内でね。あなたたちの常識と理性を信頼するわ」
亦野(荒れそうだな)
淡(ちょっと楽しそうかも)
久「ではさっそく始めましょう! 皆この箱にくじを……」
玄「お姉ちゃーん。私も終わった……ってええっ!」ガチャ
久「もう一枚追加ね」
玄(ど、どうなってるの……)
玄(白糸台の人たちもいる)
玄(さっきの部長さんも……)
菫「ではこれでいいな。番号は1~9だ」
久「オーケー。これで準備は整ったわね」
照(……咲)
咲(……お姉ちゃん)
和(……咲さん)
玄(うう……気持ちが落ち着かないから和ちゃんのおもちでも見ていよう)
宥(玄ちゃん……)
まこ(まったくもって面倒じゃな)
亦野(帰りたい)
淡(割とドキドキするな……)
久「皆、引いて! ……では行きます。王様だーれだ!」
王様>>271 無効安価下
菫「私だ」
まこ(無難そうじゃな)
亦野(……どうだろう?)
久「じゃあ、王様は番号と命令をお願いね」
菫「ああ」
菫(とはいったものの、どんな命令をすればいいのやら)
菫(王様を命令の範囲に加えられない)
菫(つまり宥に対して私が何かをすることもしてあげることもできない)
菫(正直、損はあっても得はないか)
菫「では、命じる」
菫「>>282と>>284が>>287をする!」無効安価下
和
照
手をつなぐ
久「宮永さんと和ね」
照「え……」
和「私とお姉さんが手をですか?」
淡「王様の命令は~~~?」
咲「……」
亦野「……」
玄「ぜ、ぜったい~」
まこ(なんとも平凡な命令じゃな……)
照「どんな命令が来るかと思いきや」ギュ
和「たやすいことです」ギュ
まこ(じゃが……)
照「……」ニコッ
和「……」ニコッ
宥「あの……もう一分くらい経ってますけど」
玄「の、和ちゃ~ん?」
菫「おい、照、もういいぞ」
照「……」ギュッ
和「……」ギュッ
淡「なんか震えてない?」
亦野(力こめすぎだよ……互いに潰そうとしてる)
玄「お姉ちゃ~ん」
宥「寒い……」
菫「もうやめろ照!竹井!次のくじの用意を!」
久「あ、はいはい! 和と宮永さんは残ったのでいいわね。じゃあいくわよ」
王様→+3
久「王様だーれだ!」
玄「あ、はい!私です!」
宥「よかったね玄ちゃん」
玄「うん!」
玄(実はこういうことやるの初めてだから楽しみだったんだあ)
玄「えーっとですねぇ」
照「……次の命令は?」ハアハア
和「……誰が誰に?」ハアハア
玄(ひっ……あの二人まだ手を握り合ってるよ)カ
玄(絶対ただの握手じゃないよあれ……)ガクガク
照「松実さん……早く……!」ギッ
玄「は、はい!今すぐに!>>304と>>306の人、>>309してください!」
照
sssp://img.2ch.net/ico/2k.gif
すみれ
おでこにチュー
菫「私と照が……チュー……」
菫「それはどっちがどっちにだ?」
玄「え、それは……」
照「両方」
菫「ん?」
照「松実さんはおでこにチューとだけ言った。指定がないということは両方すればいい」
菫「まあいいが」
菫(おでこならファーストキスには当たらないだろう)
菫「で……」
和「……」ギュウウウウウ
照「……」ギュウウウウウ
菫「いつまでやっているんだ」
どっちのおでこだよ
照「私はいま手が離せない。だから菫こっちに来て」
亦野(うっ血してる)
和「そうですね。これほどまでに信愛の情を寄せていただいているのに簡単に手を離すのも失礼ですから」
まこ(和も意地が悪いの)
菫「まったく、ここでいいか。髪よけるぞ」
照「うん」
菫(……)
菫(いざ目の前にくると、意外とドキドキするなこれは……)
菫「じゃあいくぞ」
照「うん」
菫「ん……」チュ
咲「…………」
淡「なんかこう、エロいね」
久「官能的だわあ」
照「……次は私が」
菫「……ああ」
菫(やっぱり整った顔をしてるなこいつ)
照「……」チュ
咲「……」ピク
照「ん……」
菫「……もういいだろ」
照「うん」
淡(あれ、意外とあっさり)
菫「……」
菫「……」
菫「……次のくじを引くぞ」
王様→+3
主人公キター(・∀・)
尭深「王様はわたし。命令は久が私に熱いのを三つ」
亦野「尭深!? 一体どこから?」
尭深「タクシーで高速をぶっ飛ばしてもらった。料金は松実さん付けで」
玄「ええーっ!?」ガビーン
尭深「久に会えるっていうなら、それでもお釣りがくると思ってる。私はこの日を待ち望んでいたから」
久「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」
尭深「久……///」
和「でもそれって偽物ですよね」
淡(こと細かにここの状況を報告してたけど、くじを偽造までしてくるなんて)
照(静岡ってすごい)
淡「本物の王様は?」
咲「あの……王様はわたしみたいです」
久「じゃあ命令をお願い」
命令→>>329と>>331が>>335
宥
照
膝枕
咲「2番の人が3番の人に膝枕でお願いします」
和「ものやわらかな命令ですね」
咲「そ、そうかな」アハハ
宥「2番は私です」
照「3番だ」
菫「!」
咲「!」
菫(お前のことをうらやましいと思ったのは久しぶりだぞ、照……)
照「こうでいいのかな」
宥「じゃあ失礼します。んっ、あったかぁい」
咲(お姉ちゃん……昔は私によく膝枕に腕枕もしてくれたのに)グスッ
久「両方終わったわね? 次行くわよ!」
王様→+3
わかめ
王様意味ねえ?いや指定できないのか
>>343
指令をやらないメンツが決まるだろ
いいだろ別に
>>1が好きなように書けば
なんで文句言うかさっぱりわからん
文句言うなら自分で書けよ
>>346同意
まだ600はあるんだからいいじゃん
それにこの流れ嫌いじゃない
咲(もう私たち話し合えることってないのかな……)
淡「王様だーれだっ!」
照「私」フフン
和「むっ……」
照「じゃあ命令するよ」
照(なんとか咲と仲直りしたい……)
照(でもそれには排除すべき障害がある)
照(菫のことも気にかかるが、まずは目の前の巨乳の精神を握りつぶすこと)
照(これが一番優先される。そうするためには……)
まこ(悪そうな顔しとるの)
照「>>352と>>355が>>359する!」
まこ
咲
王様に告白する
まぁ、愛の告白とも限ってないしな
照「2番と5番の人が王様に告白する」
咲「!!!」
まこ「(うげっ)2番じゃ」
久「5番は?」
淡「違うよ」
和「いえ」
玄「私でもないです」
菫「まさか……宥?」
宥「ううん、違うよ」
亦野「私と尭深でもないですから、つまり……」
照「……!」
咲「……5番です」
ワカメが、咲が全国大会で履いてたスカートが自分のヤツだ、といったら、テルテルが血の涙を流しそう
久(待ってた甲斐があったわね)
和「いえ、待ってください! 命令は絶対ですが、対象者の開示の後には変えられないという決まりがあります」
尭深「それがどうしたの?」
和「お義姉さんは、”愛の”告白とは言ってません! つまり対象者が何を告白するかは王様に選ぶ権利はありません!」
淡「でもそれってどうなのかな~」
和「何がですか!?」
淡「ここまできて、小っちゃい頃のイタズラを告白するなんてオチはごめんだよね。ここら一発どかんと決めてもらわなくちゃ」
亦野(ここまで思ってたより穏便に済んでたしね)
淡「ってわけで咲ちゃん、テルーに向かって言いたいこと吐き出しちゃいなよ」
咲「……」
和「そんなこと、あなたに命令される筋合いは……」
(ここで安価だろ)
咲「お姉ちゃん」
照「……なんだ」ビクッ
咲「……」
咲「……もう一度私と」
咲「麻雀を打ってください。お願いします」
照「……咲」
咲「私が麻雀をまた始めたのはね」
咲「お姉ちゃんと話したかったからなんだよ」
咲「だから……」
咲「もういなくなるなんて言わないでよ……」ジワッ
咲「ずっとそばにいてなんてわがままいわない」
咲「お姉ちゃんと話せればそれだけでいい」
咲「だから……お願いします」
咲「私と麻雀を打って……ください」
照「……」
(二人も告白させて、仮に久と宥だったら、どうすんだ!?)
まこ(ふむふむ)
まこ(なるほどなるほど)
まこ(そこで泣いたらあかんよ。はっきりものをいわんきゃダメじゃ)
まこ(おお、チャンピオンが咲を抱きしめた)
まこ(ふふ、咲が泣いとる。ずいぶんと久々な気がするわ)
まこ(お、チャンピオンも涙ぐんどる。これは成功じゃなかろか)
まこ(和のやつも涙を浮かべて……さすがに野暮じゃと気ぃついたか)
まこ(よかったのう咲。お前さんの晴れた顔を見れる機会が増えそうでよかった)
まこ(ふむふむ)
まこ(…………)
まこ(わしは何を言えばいいんじゃろか)
何を告白する→+3
まこ「あのー、じゃあワシの方も告白させてもらいますが」
咲「お姉ちゃん……」グスッ
照「咲……」グスッ
尭深「久……」ギュッ
久「こらこら、おあずけよ」
和「咲さん……これは認めざるをえません……よかったです……」
淡「イイハナシダナー」
亦野「なんだかんだで目的の一つは達成できましたね」
菫「だな」
宥「あったかいね玄ちゃん」
玄「うん!」
まこ「あんたの大事な咲にメイド服を――」
キンクリ発動
まこ「その後も王様ゲームは続いたんじゃ」
久「1番と2番がお尻を擦り合わせる!」
玄「ひええ~、なんかとんでもない命令がきちゃったよ~」
宥「玄ちゃん、あんまり揺らさないでー!」
淡「5番と8番がポッキーゲーム!」
久「きれいな瞳ねえ」
宥「あ、ありがとう///」
菫「なぜこんなことがっ……!」
照「3番と9番が制服を交換」
淡「阿知賀の制服もなかなかいいね~」
玄「胸きつい……」
和「1番と4番の人は指をなめさせ合ってください」
まこ「なんでわしばっかりこうなるんじゃ……」
亦野「お互い苦労人ですね……」
大浴場
淡「よ~やくお風呂に入れるよ~」
亦野「もうなんかどうでもいいです」
尭深「久と初めて……././/」
菫「……」
照「どうしたの菫。元気がない」
菫「そういうお前は今までにないくらいエネルギーが漲っているな」
照「そうだね」ツヤツヤ
菫「こいつ……」
照「松実さんや清澄の人たちは後からくる。先に入って待っていよう」
淡「おー」
亦野(まともな先輩が帰ってきた)
浴室
カポーン
菫「……」
菫(あれから王様ゲームで宥と組み合わせになることはなかった)
菫(なぜか妹の松実玄とは合う機会もあったのだが)
菫(竹井久と宥は一緒になることだ多々あった)
菫(結局、二人の接近を防ぐことはできず)
菫(私は一人取り残されたままだった)
淡「あはは、照くすぐったーい!」
照「こら、はしゃぐなよ淡」
菫「ふー……」
菫「……心地いいな」
照「そうだね」
菫「よかったじゃないか、妹さんと仲直りできて」
照「ちょっとしたすれちがいだったから」
照「これで毎回会うたびにペロペロできる」
菫(まだそんなに変わってはいないようだな)
照「松実さんへの口説き文句は考えた?」
菫「別に……意地が悪いなお前は」
照「何が?」
菫「もう思いを伝えるのは無理だということはわかっているだろう」
照「……」
淡「たかみー何やってんの?」
尭深「え、ちょっと。隠し……石鹸落としちゃって」
菫「ここにきてからは宥の前では常に慌てふためいて無様なところしか見せていない」
菫「彼女に私はふさわしくない。少なくとも竹井の方がまだ彼女にお似合いだろう」
照「……」
菫「出直してくるさ。私としたことがずいぶんと弱気になったものだ」
照「そうだね」
菫「?」
照「菫だからいうよ。今の菫はただの根性なしのへたれだよ」
照「菫が出直してくるのはすべてを出し切ってから。それから初めて引くのを許される」
菫「……」
照「菫はどうやって白糸台のレギュラー入りしたの? 途中で逃げたりしてたら今の菫はあったかな」
菫「……」
照「白糸台部長ともあろうものがそんな情けない姿を晒したまま逃げてもいいのかな? 私だったら許せないな」
菫「……ふー、まいったな」
菫「まさか麻雀以外ではチャランポランのお前に説教されるとは」
菫「そうだったな。私にはまだやっていないことがある」
菫「それを忘れていたよ」
照「思い立ったが吉日。今ここでするべき。こっちに来て」
菫「?」
照「いいところがある」
亦野(……まとも?)
菫「ここは……」
照「露天風呂。特に絶景というわけでもないし、それに宥さんにとっては慣れ親しんだ光景だろうけど」
照「だからこそ、素顔を見せあえる」
菫「照」
照「宥さんたちはもうすぐ来る」
照「私が他の誰も来ないようにガードしておくから」
照「菫はここで待っていて」
菫「……」
菫「……ありがとう」
照「その後は私も咲と一緒にここに来る」
照「がんばって」
菫「ああ」
更衣室
久「うわちゃー……」
咲「どうかしたんですか?」
久「ううん、なんでも」
久(美穂子に洋榎、一に春に憧に胡桃、おまけに智美)
久(デート催促メールの雨あられ。よくもまあこんなに送りつけられるもんだわ)
久(これに尭深も加わるから厄介なんてもんじゃないわ)
久(はーあ、たしかに好意を寄せられるのは嫌いじゃないけど)
久(どっちかって言うと、恋したい方なのよね今の私)
久(正直あの子たちには少し飽きちゃったし)
久(これは宥に助けてもらうしかないわね)ジッ
宥「どうしたの?」
久「ううん、ただ見てただけよ」
和「咲さん、入りましょう」
咲「うん!」
玄「あ、和ちゃん待って!」
まこ「ま、大浴場で疲れた身体を癒すとするかい」
久「じゃあ行きましょうか」
宥「うん」
久(正直菫さんには悪いけど)
久(私も癒しがほしいのよ)
浴室
淡「咲は照よりも小っちゃいんだねえ」
咲「そんなことないよ! まだ成長期だしお母さんだって……」
淡「あれ~、私身長のこといったんだけどなあ。おませな咲ちゃんはこっちの方を気にしちゃったかなあ?」ツンツン
咲「うっ///」
和「そうですよ。咲さんはまだまだ発展途上です!」
咲「……」
淡「……あんたやっぱり照に譲って正解だと思うよ」
尭深「久……身体流し合お……」
久「ちょ、ちょっと目が怖いわよ尭深……」
まこ「ふー……わしの指でどんな味じゃった?」
亦野「それ聞いてどうするんです?」
久「はい。終わったわよ」
尭深「前も」
久「」
久(これはマジすぎるわね)
久「うん? ちょーっと待っててくれる尭深」
尭深「うん」
久「今何か黒いものが」
久「ってこれ超小型カメラじゃない……」
玄「あ、お姉ちゃん。露天風呂に菫さんがいるよ」
宥「本当だぁ」
玄「行ってみようよ」
照「待って」
玄「へ?」
照「こっから先は宥さんだけ行ってくれる?」
照「玄さんには申し訳ないけど、菫は宥さんに話したいことがあるらしい」
宥「私に?」
照「うん。二人っきりで話したいって」
玄「それってどんな……」
照「短いって言ってた」
宥「うん、わかった。じゃあ玄ちゃん行ってくるね」
玄「お姉ちゃん」
照(これでいい)
照(どっちに転んでも菫は前に進める)
淡「それにしても本当にでかいね。なにか入れてるの?」モミモミ
和「ひゃ!? やめてくださいよ!」
淡「おお……本物っぽいね」
和「それなら私だって……、こうしてやります!」モミモミ
咲「って私!?」
照「!?」
咲「やめてよ~和ちゃ~ん」
和「大星さんに言ってください!」モミモミ
淡「いやー、たぶんこれは早い内に垂れるよー」モミモミ
照「くっ……原村ァ……なんてうらやま……」
咲「あっ、ちょ、和ちゃん、手つきが怪し……」ハアハア
照「」プチッ
照「」ゴオオオオオオオ
玄「ひえっ?!」
亦野「宮永先輩が珍しく本気で怒ってるみたいです」
まこ「和の顔も本気っぽいがの」
照「原村ァ!!」
尭深「久、まだぁ……?」
久「う、うーんとねえ」
久(たぶんこの子ね、和っていう可能性も少しだけあるけど……)
久(ちょっと遊びすぎちゃったかな……茶道プレイなんて一回きりにしときゃよかったかも)
久(とにかくここからちょっと離れた方がよさそうね)
尭深「ねえぇ……」
久「あはは、ごめん、湯あたりしちゃったから、ちょーっと先に髪洗っててくれる?」
久「そうしたら後でご褒美あげるから」
尭深「! うん、先に洗って待ってるね」
久「また後でね」
久(とにかく避難してそっからどうするか考えないと)
露天風呂
宥「寒い……」
宥「湯気がこんなにも出てるだなんて」
菫「宥か」
宥「あ、菫ちゃん」
菫「今日はありがとう」
宥「ううん。こっちこそありがとう。菫ちゃんたちとまた会えてうれしかったよ」
菫「私もだ」
菫「思えば宥とは準決勝の頃から仲だったな」
宥(寒い……)
菫「あのときは驚いたよ。わたしの癖を見抜かれるとは、白糸台の面々でさえできなかったことだ」
宥「うん。私一人でやれたわけじゃないけどね」
菫「まだあれから少ししか経っていない。その間、私は君のことが忘れられなかった」
宥「えっ……」
菫「いま、君とは友人という関係でいると思う。だができれば……」
宥「……」
菫「もう少し深い仲になりたいと思うんだ」
宥「……」
菫「これは私の本意だ。偽りのない本当の私の素顔」
菫「今日は無様なところばかり見せてしまったな。だがあれも私の素顔」
菫「そういうところも含めて君に私を見てもらいたい」
菫「どうだろうか……?」
宥「……」
宥「……それはつまり」
宥「……親友?」
菫「えっ?」
宥「じゃないの?」
菫「……」
菫「はっはっは! 実はそうなんだよ」
菫「はっはっはっはっは!」
宥「やっぱり? でもだったら心配ないよ」
宥「菫ちゃんといるとあったかいから」
宥「阿知賀の皆とおんなじくらいにね」
菫「そ、そうか」
菫「おんなじね……はは」
菫(だよな……まだ知り合って間もないし)
菫(阿知賀の面々とは毎日顔を合わせてるわけだし)
菫(密度が違う……密度が違うよな……)
菫(なんか、うん、仕方ない、か)
宥「うう、寒い……」
宥「ごめんね、菫ちゃん。私戻ってるね」
菫(……でも)
照『菫が出直してくるのはすべてを出し切ってから』
菫(そうだよな)
菫(まだだ。今も私はすべてを出し切っていない)
菫(白糸台だろ?チーム虎姫だろ!?)
菫(そんなことでどうする!?)
宥「寒ぅい……」
ガラッ
菫「すまない!」クルッ
菫「湯気越しで言うことになってしまうが!」
菫「今からいうのは私にとって重要な言葉だ!」
菫「それを君に聞いてほしい!」
菫「8年前にしたためた言葉だ。この日までとっておいた大切なフレーズなんだ、とっても大切な……」
菫「……」コホン
菫「君との思い出は、数えるほどしかないけど……君を思い出させるものは、数え切れないぐらいある」
菫「そして……なにより君の笑顔が忘れられない」
菫「遅いかな? 今頃になって言うのも……」
菫「私は……私は……私は君が好きだった! 君の事を大切に思っていた!」
「…………」
久「……」
菫「え……」
久「感動したわ……」
菫「はっ?」
久「今まで付き合ってきた女の子たちにもこんなこと、いや、こんな素晴らしい言葉を言われたことはなかったわ!」ウルウルッ
菫「いや……まってくれ……違うんだ!」
久「もういいのよ。ありがとう。貴女の気持ちは伝わったわ」
久「私、間違ってたわ。さあ、一緒に行きましょう!」
久「二人で進めばどんなストーカーだって怖くもないわ!」キラキラ
菫「な……」
宥「おめでとう……菫ちゃん……」ウルウル
咲「ひどいよお姉ちゃん!」
照「いや、しかし原村が……」
咲「だからってコークスクリューを腹にぶち込むことないでしょ! 和ちゃん湯船に浮いたまま気絶しちゃったんだよ!」
和「咲さんが一匹……咲さんが二匹」プカー
咲「ひどいよ! お姉ちゃんなんてもう知らない!」
照「」ガーーン
淡「ま、こうなってる方が照にふさわしいよねえ」
まこ「じゃな」
亦野「ですね」
菫「やめろ竹井! 私には宥があ!」
久「構うことないわ! 一緒に二人だけのワンダーランドに逃げましょう!」
宥「あったか~い」
玄「えええ~~……」
おしり
SSはやっぱり見るだけに限る
もう二度と「立て逃げしね」なんてレスしないんで許してください
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