ベルトルト「12月30日」(26)
マルコ「うわあ……すごい」
ジャン「道理で今日はやたらと冷える訳だ……一晩でこんな積もったのか」
コニー「うおおおお雪だ!!」
エレン「んだよ、うるせぇなあ……」
アルミン「寒っ……な、何……?」
マルコ「おはよう、二人とも」
アルミン「お、おはよう……」モゾモゾ
マルコ「ほら、気持ちは分かるけど、そろそろ起きないと朝ごはん間に合わないよ」
エレン「いくらなんでも寒すぎんだろ……今日の天気は雪か?」
コニー「おっと。今日の天気予報、そういえばまだ確認してなかったな」
ジャン「あーあ、アレが見られるのもあと少しか」
コニー「起きろ、ライナー! 雪だぞ!」ドスッ
ライナー「がはっ!?」
コニー「雪!」
ライナー「わかった……わかったからもう少し静かに起こしてくれ……」
ジャン「さーて、フーバー先生の本日の作品は?」
ジャン「……あ?」
ライナー「……どうだ?」
エレン「完璧風邪だな、ずいぶん熱が高い」
ジャン「珍しく寝相がいいと思ったら……そりゃ雪も降るってもんだ」
マルコ「今日は全員、強制参加で雪かきだってね。玄関開けるのも一苦労だとか、思ったより酷く降ったみたいだ」
コニー「そんで、明日は大掃除だろ? めんどくせえよなー、掃除なんて毎日してるのによ」
エレン「そんじゃ、オレらもう行くな。昼には一度戻ってくるから」
ベルトルト「……」ジッ
ライナー「……どうした?」
エレン「おーい、起きてるかー?」
アルミン「……ぐっすりだね」
マルコ「けど、今朝よりはいくらか呼吸が楽そうだ」
コニー「ベルトルトー、起きろー」
ベルトルト「ん、んん……?」
ジャン「寝てるとこ悪いな、飯の時間だ」
ベルトルト「……いらない」
エレン「気持ちは分かるが、腹に何かいれないと薬が飲めないだろ。ちゃんと食わねえと、治るもんも治んねえぞ」
ライナー「ほら、一口だけでもいいから食え。アニがお前の為に作ったんだから」
ベルトルト「」ピクッ
ミスった。>>3の次がこれな
ベルトルト「……」
アルミン「どうかした、ライナー?」
ライナー「いや、なんでもない。……悪いな、ベルトルト。いくら訓練でないとはいえ、サボる訳にはいかない」
ベルトルト「あ……」
ライナー「行ってくるな。教官が後で来てくれるそうだから」
エレン「ライナー?」
ライナー「ああ、今行く」
バタン
ベルトルト「……」
>>5の次がこれ。
昼
エレン「おーい、起きてるかー?」
アルミン「……ぐっすりだね」
マルコ「けど、今朝よりはいくらか呼吸が楽そうだ」
コニー「ベルトルトー、起きろー」
ベルトルト「ん、んん……?」
ジャン「寝てるとこ悪いな、飯の時間だ」
ベルトルト「……いらない」
エレン「気持ちは分かるが、腹に何かいれないと薬が飲めないだろ。ちゃんと食わねえと、治るもんも治んねえぞ」
ライナー「ほら、一口だけでもいいから食え。アニがお前の為に作ったんだから」
ベルトルト「」ピクッ
アルミン「そうなの?」
マルコ「最近、風邪っぴきが多いからってスープがよく出るだろう。それに食事当番の女子たちが、ベルトルトのためにって少し量を多めに取り分けたり、菜園のハーブをこっそり入れたりしてくれたんだ」
コニー「フランツの奴、ずるいってしつこかった な。今日はハンナも当番だったから」
エレン「ベルトルト、喉の調子はどうだ?
ベルトルト「別に……なんともないけど」
エレン「じゃあこれ、生姜湯な」
マルコ「ずっと気になってたんだけど、何、それ?」
アルミン「生姜湯。すりおろした生姜をお湯に溶いて砂糖で味付けしたものでさ、体があったまるんだ」
エレン「昔、ミカサがお母さんに教えてもらったとかで、寒い時期になるとよく作ってたんだよな」
ジャン「お前、こんだけのことをしてもらっておいて、その好意を無にするつもりか?」
ベルトルト「……ひきょうだろ、そういうの」
ライナー「よしよし、起きたな。自分で食えるか?」
ベルトルト「平気」
マルコ「にしても、ライナー から聞いたよ。ベルトルト、今日、誕生日なんだって?」
エレン「へえ、そりゃ災難だな」
ジャン「こんな状態で言うのも何だし、お前の体調がよくなったら、改めて『おめでとう』って言ってやるよ」
ベルトルト「……」
アルミン「ベルトルト?」
ベルトルト「……いい。いらない。去年もおととしも、何もなかったんだから、今さら」
マルコ「あー……もしかして、誕生日に何か嫌な思い出でもあった?」
ベルトルト「そういう訳じゃない、けど……」ジワ…
ライナー「!? どうしたベルトルト、どこか痛いところでもあるのか?」
エレン「無理はしなくていいぞ。起きてるのがつらいなら、横になるか?」
ベルトルト「……ちがう、そうじゃない。……もう、たくさん貰ってる。みんなに良くしてもらって、恐いぐらい幸せなんだ、今」
アルミン「大袈裟だなあ、ベルトルト」
ジャン「何をそんなに卑屈になってるのか知らねえけど、仲間の心配することの何がおかしいんだ?」
ベルトルト「だ……だって、僕は……!」
コニー「だーいじょうぶだって!」ガバッ
ベルトルト「!」
コニー「熱が出ると涙腺弱くなるよな、弟たちもそうだった。でも、不安がることなんて何もないんだぜ」ヨシヨシ
ライナー「……ベルトルト」
ベ ルトルト「……」
ライナー「……。今だけは、甘えてもいいんだぞ」
エレン「そうそう。普段世話になってんだから、こういう時ぐらい世話させろよ」
ベルトルト「……う……ふ、うわあああああああああ!!!」
ジャン「あーあ……エレンがベルトルト泣かせた」
エレン「は!? オレ悪くないだろ!」
アルミン「とどめ刺したのはエレンでしょ」
エレン「ちょ、アルミンまで……」
ライナー「……しかし、コニーがお兄ちゃんか」
マルコ「でもそう言われると、確かにそんな感じもするかも」
ジャン「にしても、やたらでっかい弟だな」
エレン「兄貴とは大違いだ」
コニー「? 俺とベルトルトは兄弟じゃねーぞ?」
アルミン「ああ、やっぱりコニーだね」
コニー「はあ? お前ら、何言ってんだ?」
ベルトルト「ふっ……ぐすっ……」
マルコ「少しは、落ち着いた?」
ベルトルト「……ごめん……急に、泣いたりして」
アルミン「ずいぶん泣いてたね。目、真っ赤だよ」
エレン「興奮して熱がぶり返してるかもしれないしな、薬飲んで大人しく寝てろ」
ライナー「それに、俺たちもそろそろ行かないと」
コニー「うわ、もうそんな時間かよ」
アルミン「午前中は道を作っただけで終わっちゃったね」
マルコ「よけた雪を小川まで運ぶのに人手を割いてたからね。それでも足りないぐらいだったけど」
コニー「屋根の雪降ろしはすぐ終わるだろうけどよ、その後を考えると気が滅入るな……」
ベルトルト「ご、ごめん…… 」
エレン「突然、なに謝ってんだ?」
ベルトルト「みんなが大変な思いをしてるのに……僕だけ楽をしているみたいで」
アルミン「何言ってるの。ベルトルトは風邪なんだから、仕方ないでしょ」
ジャン「今日は特に寝込んでる奴も多いしな。文句言いたくても言えないだろ」
エレン「その言い方だと、お前はベルトルトに文句があるように聞こえるな」
ジャン「こういう時頼りになる奴が、なんでこういう時に限っていないんだとは思ってるぜ。けど、言ってもどうしようもないだろ」
ベルトルト「……」
ジャン「本当に申し訳ないと思っているなら、早く風邪治せよ。今日休んだ分、明日の大掃除で扱き使ってやる」
マルコ「ジャンはすぐそういうこと言うん だから……」
コニー「……おい、いい加減本当に時間ヤバいぞ!」
ライナー「つい話し込んじまったな」
アルミン「最後の最後に罰走なんて嫌だよ!」
エレン「つーか、これ、食器返しに行ってたら間に合わなくないか?」
ベルトルト「あ、それなら大丈夫かも……教官、また午後に来るって言ってたし」
ジャン「ホントか? なら、それは置いて早く行くぞ!」
マルコ「……なんか、騒がしくしちゃってごめんな」
ベルトルト「え、ああ……気にしてないよ。いってらっしゃい」
ジャン「マルコ!」
マルコ「はいはい。じゃあ、お大事にね、ベルトルト」
12月31日
ベルトルト「昨日は……お見苦しいところを、お見せしてしまい……」
マルコ「まだ言うの? 気にしすぎだって」
ジャン「むしろ、弱ってるベルトルトなんつー珍しいもんが見れて役得だったぜ?」
アルミン「まあ……こっちも半ば泣かせに掛かってた部分もあったし。ベルトルトが謝ることじゃないよ」
ベルトルト「……ごめん」
コニー「お前ら、そんなこと考えてたのか……」
ライナー「一番デカいダメージ与えたのは恐らくコニーだろうがな」
コニー「おっ、俺はベルトルトを泣かせたかった訳じゃねえぞ!?」
ベルトルト「はは、分かってるよ」
エレン「まあ、元気になって何よりだぜ」
ベルトルト「エレンには一番迷惑かけたね、ごめん」
エレン「そうじゃねぇだろ」
ベルトルト「え?」
エレン「そういう時はな、『ごめん』じ ゃなくて『ありがとう』って言うんだ。そもそもオレたちはお前のこと、迷惑だなんてこれっぽっちも思ってないんだからよ」
ベルトルト「エレン……」
ライナー「……」
エレン「ほら、言ってみろよ」
ベルトルト「え、えっと……ありがとう?」
エレン「おう! どういたしまして」ニッ
アルミン「ついでみたいで何だけど、せっかくだし、昨日言ってたアレ……やる?」
ジャン「おお、そうだな」
マルコ「みんな……やるんだな……!?」
コニー「あ!! 勝負は今、ここで決める!」
ベルトルト「ら、ライナー……?」
ライナー「何、心配することはないさ。お前はそこでじっとしてろ」
エレン「じゃあ、オレが『せーの』って言うから、そしたらお前ら言えよ」
ジャン「ケッ……なんでお前が仕切ってんだよ」
エレン「何が不満なんだよ」
ジャン「別に?」
マルコ「もう、ケンカしない! 昨日は珍しくおとなしかったのに……」
コニー「お前らってホント、飽きずによくやるよな」
ジャン「……」
エレン「……」
アルミン「ほら、ベルトルトが待ってるよ」
エレン「……。じゃあ、いくぞ。せーのっ」
「「「「「「ベルトルト!! 誕生日、おめでとう!!!!」」」」」」
ベルトルト「えっ……えっ?」
ジャン「昨日言ったろ、体調良くなったらお祝いしてやるって」
コニー「つっても、プレゼントとかは用意してねぇんだけどな。悪いな」
ベルトルト「プレゼントなんてそんな……ええ……?」
ライナー「何をそんなに驚いているんだ、お前は」
ベルトルト「だ、だって……去年も一昨年も何もなかったのに……急にそんなこと言われたら」
エレン「そりゃあ、昨日初めて知ったからな。ベルトルトの誕生日」
マルコ「それに、もうすぐ卒業だし、思い出は一つでも多い方がいいだろ?」
ベルトルト「みんな……」
アルミン「泣く? 泣く?」
ベルトルト「な、泣かない!」
キース「貴様ら、何をしている!」
コニー「げっ、教官」
キース「早く担当場所に移動しろ! さっさとせんと、夕食抜きにするぞ!!」
「はっ!」
バタバタバタ……
ライナー「嬉しそうだな」
ベルトルト「……顔に出てる?」
ライナー「いいや? けど、雰囲気がいつもと違うような気がしてな」
ベルトルト「僕、こんな嬉しい誕生日は初めてだよ」
ライナー「そうか。……良かったな」
ベルトルト「……うん」
ライナー「それより、大丈夫か?」
ベルトルト「何が?」
ライナー「何がって、病み上がりなんだから、あんまり無理するなよ」
ベルトルト「……大丈夫だよ。もう。ライナーは相変わらず心配性だなあ」
ライナー「む……そういうお前こそ、未だに泣き虫なのは変わってないだろう」
ベルトルト「き、昨日だけ! もう忘れてよ!」
ベルトルト「……大丈夫。僕は、『僕』だ」
ライナー「何か言ったか?」
ベルトルト「今年の誕生日は、一生忘れられない誕生日になってしまったなあって」
ライナー「さっきからそればっかだな」
ベルトルト「そんなにしつこかったかな」
ライナー「ああ、耳にタコができそうだ」
ベルトルト「そうかあ……最悪な誕生日だったな」
ライナー「そんな嬉しそうな顔で言われても、説得力ないぞ」
ベルトルト「あはは、わかってるよ」
お粗末。
誤字脱字とかなにかミスあったら脳内補間しといてください
ベルトルト泣かせたかったんだけど難しいね
これ書いてて思ったんだが、こいつら帰省とかするんだろうか……
なにはともあれ誕生日おめでとう、回想でもいいからまた笑顔を見せておくれ
お前ら良いお年を
このSSまとめへのコメント
楽しんだ
ほのぼのしてたねヽ(*^ω^*)ノ
丁度ベルトルさんの誕生日だな
楽しかったですよ
続編欲しい作品です。
なかなか興味深い作品だ
続きないのですか・・・