城下町
家
勇者「平和が一番だね~」
勇者「魔王は親父が若い頃に倒したし俺は何もすることねぇな」ゴロン
祖父「こぅらぁぁぁ!!!勇者!!」
勇者「うわ……面倒くせぇ」
祖父「勇者!修行はどうしたぁ!?」
勇者「ちゃんとしてきたよ。伝説の剣で素振りを100回でしょ?」
祖父「嘘をつくな!早く戻ってきすぎじゃろうが!」
勇者「嘘じゃないよ。俺ほどの腕になると100回くらい五分も掛からないんだよ」
祖父「ほう、ならこの場でやってみせい。ワシが見てやろうお前さんの」
祖父「剣さばきをな!」
勇者「うげ……簡便してくれよじいちゃん」
母「勇者~?帰ってるの~?」
勇者「な~に~?母さん?」
母「食材を切らしちゃったの~。悪いけど買ってきてくれない?」
勇者「いいよ!暇だし!」
祖父「こ、こら!逃がさんぞぉ!」
勇者「いってきま~す」
妹「お兄ちゃん!あたしも行く!」
トボトボ
勇者「ふぅ、危うく修行させられるところだった」
妹「お兄ちゃんも大変だね」
勇者「全くだよ。剣士のやつが城の魔物討伐隊に入隊してから更に力が入っちゃって」
妹「お兄ちゃんも入ったらよかったのに」
勇者「嫌だよ。生き物コロスなんて趣味の悪いことしたくないね」
妹「生き物って言っても怖いこわ~い魔物だよ?」
勇者「知ってるよ。城下の外に出たとき小さいのに何匹か襲われたからね」
勇者「慌てて剣を振り回したけど、切ったときのあの感触が……おえぇぇ…」
妹「それは……気持ち悪そうだね」
勇者「屍が消えてくれるのが唯一の救いだね」
勇者「それにここ最近は数も減って、討伐隊じゃなくても倒せるくらい弱くなってるらしいし」
妹「お父さんが魔王をやっつけてから衰退してるんだよね」
勇者「俺たちが動かなくても、勝手にいなくなってしまうさ」
勇者「つうか、何で珍しく買い物なんかについて来るんだ?」
妹「えへへ、なんでもない」
市場
勇者「これとこれと……あとそれ」
「アッシャッース マイドアリー ッシャッス!!」
勇者「さて、帰るか」
妹「ねぇねぇ!噴水通りのパン屋さんに寄って行こうよ!」
勇者「お前の目的はそれか」
妹「何でも珍しい木の実が入ったから、新作のパンを作ったんだって!!」
勇者「へぇ。そう」
妹「ねぇ、食べてみたいよぉ」
勇者「まぁ、今日だけだからな」
妹「やった~」
噴水通り
パン屋「はい、妹ちゃん。今日はお兄さんと一緒なんだね」
妹「うん!また来ますね」ニコッ
パン屋「いつでもどうぞ」
勇者「折角だからそこの噴水のところで座って食べてくか」
妹「うん!」
勇者「城下町はやっぱり賑やかだなぁ」
妹「うん、おばあちゃんの家がある村とは大違い」
妹「あ!あそこ!大道芸やってる!ねぇ見に行こうよ!」
勇者「いつでも見れるでしょ。あんなの」
妹「いつもの人じゃないよ!きっとキャラバンの人たちだよ!」
妹「次の町に行っちゃったら、いつ戻ってくるかわからないでしょ!」
勇者「待っていてあげるから。見ておいでよ」
妹「お兄ちゃんは?」
勇者「大聖堂の外壁彫刻でも眺めてるよ」
妹「先に帰らないでね!」タッタッタッタ
勇者「はいよぉ」
勇者「神々しい彫刻だこと」
勇者「ん?」
フードを被った女の子らしき子がキョロキョロ辺りを見回している。
旅人だろうか?旅の荷物らしいものは身に着けてないが
勇者「君、どうしたの?」
少女「あ、……」
勇者「探し物でもしてる?」
少女「」コクリッ
勇者「旅の人かな?城下は広いからね~。宿でも探してるの?」
少女「――パン」
勇者「ん?」
少女「パン屋さん……」
勇者「あぁ、パン屋ならすぐそこだよ。ほら、あそこ」
少女「あった」
タッタッタッタ
勇者「無愛想なやつだな」
パン屋まで走っていった少女は店の人と会話したあと
がっくりと肩を落として戻ってきた。
勇者「お目当ての物はなかったみたいだね」
少女「売り切れ……」
勇者「もしかして、新作のパン?」
少女「」コクリッ
勇者「なら」ガサガサ
勇者「これ、さっき買ったんだけどあげるよ」
少女「え!?これ!?」キラキラ
勇者「俺は別にお腹もすいてないし、新作のパンにあんまり興味ないしね」
少女「ありがとう!」ニコッ
勇者「///」(フードで顔があんまり見えないけど可愛いかも)
少女「食べていいですか?」
勇者「うん、もちろん」
少女「」パクパク モグモグ
少女「はうぅぅ////」
勇者「君ってどこの人?ここの町の人ではなさそうだけど」
少女「とっぷしーくれっとれす」モグモグ
勇者「そ、そう……」
妹「ふぅ、楽しかった~♪」
妹「あれ?お兄ちゃんこの子だれ?」
勇者「新作のパンを買いに来たらしいんだけど売り切れてたから」
勇者「俺のをあげたんだ」
少女「はうぅいいい///」モグモグ
妹「へぇ~。ていうか何でずっとフードしてるの?」
少女「とっぷしーくれっとれす」ぱくぱく
妹「お友達になれそうだし♪ちゃんと顔がみたいな~」
少女「友達?なってくれるの!?」
妹「うん!」
少女「うれしい」キラキラ
勇者「じゃぁ、友達成立ってことで顔を」グイッ
少女「だめ!」ガシッ
勇者「ありゃ、ごめん」
少女「おじいさまがフードをとっちゃ駄目だって……だから」
勇者「そ、そうなのか」
少女「」コクリ
妹「お兄ちゃん、今の行為は最低だよ」
勇者「悪い!悪かった本当に!ごめん!」
少女「パンをくれたから~。許しちゃいましょうか?」
勇者「是非」
少女「じゃぁ、許しちゃいます」ニコッ
勇者「なっ////」(可愛い!)
妹「お兄ちゃん、顔が赤ゴブリンみたいになってる」
勇者「う、うっせ///」
夕方
妹「大聖堂っていつみても造りがすごいよねぇ」
勇者「大聖堂もすごいけど城のほうがすごいだろ」
勇者「でかすぎて町中どこからでも見られる」
妹「お城の最上階とかに住んでみたいなぁ~」ウットリ
少女「あ、もう帰らなくちゃ」
勇者「そういやぁ、もうこんな時間か」
勇者「それじゃぁね!」
少女「」コクリッ
タッタッタッタ
勇者「不思議な子だったなぁ」
妹「また会いたいね♪」
勇者「そうだな~」エヘヘ
妹「お兄ちゃん。鼻の下伸びてる」
勇者「はっ!?しまった!母さんに食材早く渡さないと!!」
妹「わ、忘れてた……」
家
母「遅すぎよ!!もうすぐ店を開かなくちゃいけないのに!」
妹「ごめんなさい……」
勇者「完全に忘れてました」
母「罰として今日はあなた達にも手伝ってもらうからね!」
母「早く!仕込みの準備して!!」
勇者 妹「は~い」
家
「ママさん!おひさしぶりっす!」
母「いらっしゃ~い♪」
ワイワイ ガヤガヤ
「それにしてもママさんは偉いねぇ旦那さん亡くしてからも一生懸命働いて」
「うんうん」
母「妹が生まれてすぐに死んじゃったからあの時は本当に大変だったわ」
母「でも、あの子たちももう大きくなったしちょっと楽かな♪」
ガヤガヤ
妹「あ、いらっしゃいませー」
勇者「ビールですか?少々お待ちください!」
酔っ払い「俺はよぉ、ママさんの旦那に何度も助けられたんだぜ~」
「ま~た始まった」
酔っ払い「そりゃもう強くて強くてなぁ!言っておくけどおれたちがぁ」
酔っ払い「こうやって平和に酒を飲めるのもよぉ全部、ママさんのおかげなんだからな~!」
「はいはい、ちょっと外で休もうな」 酔っ払い「うるせー」
勇者「父さんって本当に凄い人だったんだー」
母「なんてったってあの魔王をやっつけちゃった人だからね!」
母「母さんの誇りよ♪」
次の日
妹「起きて!お兄ちゃん!朝だよ!」
勇者「ふぁ…もう、朝か」(昨日の疲れが取れてない)
祖父「起きんか!今日は討伐隊が戻ってくる日じゃろがぁ!」
勇者「わかってるよぉ、じいちゃん!」
妹「早く!早く!」
勇者「はいはい」(久しぶりに剣士と会えるな)
城門通り
ワイワイ ワイワイ
勇者「すげぇ人だかり」
妹「あ!剣士さんだ!」
剣士「やぁ妹ちゃん。お!勇者!久しぶり!」
勇者「どうだった?」
剣士「後で話すよ!パレードが終わったらまた会おう!」
妹「あぁ、行っちゃった」
国王様の御な~り~
勇者「すげぇ!国王様だ!」
妹「かなり遠くまでの遠征だったから国王様も顔を出されるんだよ」
勇者「隣の人って国王様の娘さん?」
妹「うん!お姫様だよぉ!可愛いし綺麗!!」
勇者「結婚するならあぁいう人がいいな~」
妹「お兄ちゃんには無理だと思うけどね」
勇者「あっさりと言ってくれるね」
剣士 家
剣士「ふぅ、本当くたくただよ」
妹「でもいいなぁ。あんなに近くで国王様を見ることができて」
剣士「緊張してそれどころじゃないよ」
勇者「それで、どうだった?外は」
剣士「至って平和。俺たちも遠足気分だったし」
勇者「そうか」
剣士「魔物の数も激減してるし、後数年もすれば討伐隊も解散だろうな」
勇者「部隊が解体されたらどうするつもり?」
剣士「親衛隊を目指す。親父みたいになるのが夢だから」
剣士父「うむ、良い息子を持ったものだ」
妹「あ、こんにちわ。お久しぶりです」
勇者「お久しぶりです」
剣士父「二人とも大きくなったね」
妹「えへへ」
剣士父「勇者くんも父親そっくりだよ」
剣士「親父、帰ってくるなら言ってくればよかったのに」
剣士父「悪いな、連絡する暇がなくて。で、遠征はどうだったのだ?」
剣士「二人にも話したんだけど、平和だったよ。ただ……」
剣士「ある町で変な噂を耳にしたんだ」
剣士父「噂?」
剣士「一部の魔物が凶暴化してるんだって」
剣士父「そうか……」
勇者「怖いねぇ」
剣士「まぁ、一部って言ってもごく少数らしいし」
剣士「そこまでの心配はいらないと思う」
妹「それより!外の話もっと聞きたいな!」
剣士「土産話ならいくらでもあるよ!」
噴水通り
剣士「久しぶりに見たなぁ。この噴水」
剣士「で?どうしてここに?」
勇者「え?いやぁ。ずっと家の中で話ししてるのもアレかなって思って」
勇者(あの子に会えるかもしれないし)
テクテク
少女「こんにわ!」
勇者「や、やぁ」(きたぁぁぁぁぁ!)
剣士「この子は?」
勇者「昨日、知り合った子。そういえば名前を聞いてなかったね。俺は勇者」
剣士「俺は剣士です。よろしく」
妹「妹で~す」
少女「」フムフム
勇者「で、君の名前は?」
少女「トップシークレットです!」
勇者「またそれかぁ……」
剣士「またって?」
勇者「この子、どうしても素性を知られたくないみたい」
剣士「へぇ、まさか城を抜け出したお姫さまだったりして」アハハハ
少女「えへへへ」
勇者「んなわけねーだろ」
僧侶「勇者さまぁぁぁ!!!」タッタッタッタッタッタ
勇者「うげっ!僧侶ちゃん!」
剣士「やぁ!久しぶり!」
僧侶「あら、剣士さま!お帰りなさい!」
僧侶「それより!勇者様!私という女がいながら何なんですか!」
勇者「へ?」
僧侶「昨日からずっと!その子の顔見てはヘラヘラして!」
勇者「見てたの?」
僧侶「大聖堂からずっと見てました!」
勇者「こえーよ!」
僧侶「何なんですか!この子は!」
少女「トップシークレットです!」
僧侶「むきー!この子!朝からずっとここにいたのよ!」
勇者「へぇ、どうしてまた」
少女「えっと!あ!これです!」
勇者「なにこれ?」
妹「クッキー?」
少女「きのうのおれいなんです!」
妹「なんと可愛らしい///」
勇者「ありがとう!凄くうれしいよ!切実に!」
僧侶「駄目ですよ!餌で勇者様を釣ろうなんて!」
剣士「朝からお礼を渡すために待ってたなんて律儀な子だ」
勇者「何か、悪いことしちゃったね」
妹「そうだ!今日は家でご飯食べていってよ!」
少女「で、でも……夕方には帰らないとですし」
勇者「今日くらい大丈夫だって」
勇者「せっかく、剣士も帰ってきたんだしみんなでパーティーしよう!」
剣士「それは賛成!」
僧侶「え、それはあの///」モジモジ
僧侶「私も//」
勇者「もちろん」
僧侶「勇者さまぁぁぁぁ」ギュゥ
少女「あ……」
その夜
「今日は遅かったんだな」
少女「はい」
「心配したのだぞ」
少女「はい。友達ができました」
「そうか、それはよかった。でも、言いつけはちゃんと守らなくては」
少女「ごめんなさい」
「うむ、今回だけは許そう。それにもう遅い。早くねなさい」
少女「はい。おじいさま」
『そんな……こんなの……』
『おい!お前!何をしてる!』
『このことは誰にも言うな!いいな!』
『だが』
『いいか!誰にも言うんじゃないぞ!』
―――
―
少女「はっ……」
少女「夢ですか……」
数日後
噴水通り
勇者「さて、今日は何しようか」
少女「おにごっこなんてどうでしょう!」
剣士「いや、子供じゃないんだから」
妹「お茶でもしましょう!」
勇者「お前はお茶というより食べたいだけだろ!」
少女「おにごっこしたことないので是非!」
僧侶「へぇ、鬼ごっこもしたことないの?この子」
勇者「珍しいね」
剣士「一回くらいならいいよ!恥ずかしいけど……」
剣士「おい!逃げろ!早く!おいぃぃ!」
少女「えへへ」
僧侶「待ちなさいぃぃ!!小娘がぁぁ!」
勇者「結局、こいつら皆本気じゃん」
妹「あの子も楽しそうだね」
勇者「ここ最近、ずっとあの子と一緒にいるけど」
勇者「俺達って何もあの子のことしらないよね」
妹「事情がありそうだし、仕方が無いでしょ」
僧侶「たっち!はい!たっち!」
剣士「今のセーフだな」
僧侶「むきぃぃぃぃぃ!」
ごはんたべてきます
夕方
少女「それでは、時間ですので」
勇者「途中までおくるよ」
僧侶「何やら聞き捨てならぬ発言が」
少女「え、でも」
勇者「いいからいいから♪」
僧侶「あぁぁ!私の勇者さまぁぁ!」
剣士「俺が抑えておくからいってこい」
僧侶「こら!離しなさい!」
トボトボ
勇者「帰り道こっちなんだ」
少女「はい」
勇者「お家の方って厳しいの?」
少女「おじいさまはとても優しいし大好きです」
勇者「そうか」
少女「あなたは?」
勇者「俺は、親父がすぐに死んじゃって母さんと妹とじいちゃんとで暮らしてるよ」
少女「どうして死んだの?」
勇者「よくわからないけど、魔王の毒で元々弱ってたんだって」
少女「魔王を倒したの?お父さん」
勇者「らしいね」
少女「」ピタッ
勇者「どうしたの?」
少女「ここまででいいです」
勇者「そうか、また明日会おう」
少女「はい♪」
勇者「あと、もしよかったら君の素顔が見たいな、なんて」
少女「――見たいですか?」
勇者「え?いいの?」
少女「あなたとは友達でいたいから……」
少女「隠し事はいやなのです」
少女「では」スッ
――
―
剣士 家
剣士父「息子よ」
剣士「親父、どうしたの?」
剣士父「今日、我々にある任務を任せられた」
剣士父「機密情報だ。他言無用でな」
剣士「う、うん」ゴクリッ
剣士父「この町に上級の魔物が侵入しているらしい」
剣士「上級!?そんな!ありえない!」
剣士父「我々は混乱が起きる前に速やかにその魔物を発見し討伐しろと命じられた」
剣士「どうして侵入を許したの?」
剣士父「人に姿を変えれば可能かもしれない」
剣士父「魔力も極めて微弱、かろうじて侵入したことだけを突き止めることができたくらいだ」
剣士「そんな……」
剣士父「お前も警戒しろよ。怪しいものが周囲にいれば直ちに報告してくれ」
剣士「目的はなんなの?侵入したのなら何故、人を襲わないの?」
剣士父「目的は国王、あるいは姫様だろう。直接、王手を取るつもりでいるらしい」
剣士父「とにかく……友人達はお前が守るんだ。いいな」
勇者 家
勇者「ただいま」
妹「おかえり~♪で、どうだった?」
勇者「なにが?」
妹「あの子だよぉ!進展とかあった?」
勇者「別に、普通に送ってあげただけだよ」
妹「えぇ!つまんない!」
勇者(誰にも……誰にも言えるわけないだろ!)
数時間前
少女「えへへ、どう?」
勇者「ど、どうって……」
勇者「早く!フードを被れ!」
少女「ふぇ?え?なんで?」
勇者「他の人にばれたらどうするつもりだ!」
少女「バレちゃ駄目なの??」
勇者「当たり前だ!」
少女「みたいって言ったくせにぃ」ウルウル
勇者「あぁ、ごめんごめん」
トップシークレット→バレちゃ駄目なの??
??????
勇者「でも、君の命を守るためなんだ」
少女「そ、そうなんだ」
勇者「まぁ、君の素顔見れてよかったよ」
少女「どうでした!?どうでしたか!?」
勇者「か、可愛かった////」
勇者「でも、もうそのフードを取っちゃ駄目だよ?わかった?」
少女「はい!」
>>88
誰にも門限守ったり、素性を教えたり見せたりしたら駄目だよって言われた少女ちゃん
おじい様の言うことは絶対?→門限破っても許してくれたお
今度もきっと許してくれるよね?おじいさん
友達くらいならいいよね←いまいち事の重大さを理解してない少女ちゃん
おじいさんに怒られても勇者さんに注意されるとは思ってなかったわけだす
次の日
噴水通り
剣士(上級だなんて……俺たちで叶う相手なのか?)
剣士(いや、親父がいるじゃないか!あの伝説の勇者の父と共闘したくらいだから)
勇者「釣りでも行く?」
妹「えぇ、魔物がいるかもしれないじゃん」
勇者「でも、弱いし平気だろ」
剣士(とにかく、今はこいつらを守ることだけを考えておこう)
少女「外はいったことないで見てみたいです」
剣士(そうえいばあの子……)
剣士(未だに名前すら教えてくれないよなぁ)
『人に姿を変えれば可能かもしれない』
剣士(そんな、まさかな……しかし、考えれば考えるほど怪しい)
剣士(魔物の狙いは国王陛下もしくは姫様)
剣士(あの子の帰る方角は確か城の方角)
剣士(暗くなってから偵察に向かっているのかもしれない)
剣士(―――やはり)
僧侶「えぇ、釣りとか苦手ですぅ」
少女「いってみたい!いってみたい!」
僧侶「苦手っつてんだろ!ごらぁ!」
剣士「ねぇ」
少女「はい?」キョトン
剣士「そろそろ、フード取ってくれないかな」
少女「トップシークレットです!」
剣士「どうして?友達じゃないか」
勇者「おい、剣士……」
少女「でもぉ……」
勇者「困ってるじゃないか。そうむきにならなくても」
少女「だめなんです。命を守るため?だから」
勇者「おい……それは言っちゃいかんだろ」
剣士「命を守るため……」
剣士「なるほど――そうだろうね」
勇者「え?」
剣士「なら、ここで僕に殺されるか、素顔明かすか選べ」シャキン
勇者「おい!何してる!」
剣士「どけ!勇者!俺にはお前らを守る責任がある!」
勇者「何言ってるんだよ!お前!何してるかわかってるのか!?」
少女「ひ、ひぃ」オドオド
妹「剣士さん!やめて!」ウルウル
剣士「どうしても素顔を明かさないつもりなのか?」
少女「わ、わかりましたひっく、フードをとりますひっぐ」シクシク
「なんだなんだ?」 「討伐隊か?」
勇者(まずい……まずいぞ!これ)
勇者「駄目だ!やめろ!」
剣士「お前!邪魔をするのか!」
勇者「駄目なんだ……だから、頼む!」
勇者「お前を相手に剣は抜きたくない!」
剣士「くっ……俺はお前達を守るために」
剣士父「そこまでだ!二人とも!」
「あれ、親衛隊の隊長じゃね?」 「まじかよ」
剣士父「ただの若造の喧嘩です。はいはい解散解散!」
剣士 家
少女「」シクシク
剣士「親父!どういうことだよ!」
剣士父「その子は今回の件とは関係ない」
勇者「今回の件?」
剣士父「はぁ……どうしてこうなったかなぁ」
剣士父「悪いが勇者くんには言えない」
勇者「そんな……」
剣士父「それより、勇者君。君はこの子の正体を知っているんだね?」
勇者「」コクリッ
剣士父「誰にも言ってはいけないよ?わかったかい?」
勇者「初めからそのつもりでした」
剣士父「さて、俺は城へ戻る」
剣士「親父!俺には何も教えてくれないのかよ!」
剣士父「時がきたら全て明かす。それまで待ってくれ頼む」
剣士「くっ……」
剣士父「勇者くん、それと君さぁおいで。途中までおくろう」
勇者 少女「」コクリッ
トボトボ
勇者「あの……一体何が起きてるんですか?どうして剣士はこの子を」
剣士父「君の親父の尻拭いをしてるんだよ我々は」
勇者「父さん?父さんが関係してるんですか?」
剣士父「君の父さんはとても強くて勇敢で俺も尊敬してたよ」
剣士父「だが、戦士としての彼は最低だった」
勇者「どういうことですか?」
剣士父「これ以上は言えない」
勇者「この子は?どうするつもりですか」
剣士父「しばらくはこの子と会えないだろう」
勇者「そんな……」
次の日、次の日も少女はずっと
窓の外に写る小さな町を眺めていた。
少女「おじいさま……遊びに行きたいです」
国王「またすぐに遊びに行けるようになる」
国王「それまで我慢なさい」
少女「おじいさま」
国王「どうしたのだ?」
少女「どうして私は剣をむけられるのです?」
国王「友人にかね」
少女「はい……それに」
少女「――おじいさまからも」
国王「覚えていたのか」
少女「かすかですが記憶に……」
国王「おいで」ウルウル
少女「はい」
国王「すまなかった……あの時は本当に」ウルウル
少女「こんな生活もういやです…」シクシク
国王「もうすぐ、もうすぐ終わる――」
数日後
噴水通り
妹「こないね」
勇者「あぁ」
僧侶「なんだか寂しいわ」
剣士「俺は……俺は」
勇者「剣士は何も悪くないよ」
勇者「誰も悪くないよ」
魔物「捕まえた」
ガシッ
剣士「ぐっ!何処から!!!」
魔物「お前は親衛隊の息子だな?」
剣士「お、お前は!ぐはっ」
勇者「魔物!?何故こんなところに!」
勇者「剣士を放せ!!!!」
魔物「その剣は……貴様!!あの男の息子か!!!!」
僧侶「あなた!何が目的なの!?」
魔物「我ら一族の存続!」
魔物「城まで連れて行け!!」
勇者「国をのっとるつもりか!!」
魔物「黙れ!とにかく!俺を連れて行け!」
魔物「断るのならこいつを殺す」ググググ
剣士「ぐっ……ぐはっ」
勇者「くそ!」
門前
剣士「親衛隊隊長に用がある。通してくれ」
兵士「お父様にお会いになられるのですね。お連れの方は?」
剣士「俺の友人だ。一緒に通して欲しい」
兵士「わかりました。門を開け!!」
魔物「ありがとよ」
勇者「さぁ、剣士を解放しろ」
剣士「ぐはっ」バタリッ
魔物「城に入ればこっちのものだ……」
勇者「まぁそうはさせないけどな!」
魔物「ほう、俺とやり合うつもりか?」
勇者「人質がいないから存分に振り回せるよ」
魔物「目標は最上階か……」
魔物「悪いが後にしてくれ」タッタッタッタ
勇者「は?こら!待て!」
兵士「城内に魔物が侵入!!」 兵士「急げ急げ!」
魔物「雑兵ふぜいが!そこをどけ!!」
ドガシャーン
魔物「俺は!俺はどうしてもやり遂げなくてはならない使命があるんだ!」
勇者「くそっ!待て!」
魔物「ふん!」シュンッ
ドガシャーン
勇者「うわっ!」
魔物「後で相手してやると言っているだろう」
剣士「くそっ……俺も追いかけないと」
僧侶「じっとして!」
妹「剣士さん!大丈夫ですか!」
兵士「急げ!急げ!」
剣士「おい!何が起きてる!」
兵士「城内に魔物が侵入!それに町も魔物で溢れかえってるらしい!」
剣士「そんな!」
兵士「低級のものばかりだが!早く事態を収拾しなくてはまずい!」
妹「魔物は衰退したんじゃないの!?」
玉座の間
魔物「はぁ……はぁ…」
魔物「ここか」
国王「よく、ここまで来たな。」
魔物「貴様ぁぁ!」
剣士父「国王には指一本触れさせないぞ!」
勇者「俺だって……はぁ……はぁ…まだくたばってねぇぞ!」
剣士父「勇者くん!何故きみがここに!」
魔物「うるせぇぇ!貴様らに邪魔はさせないぞ!」
国王「自らの主にこれほどまで従事するとは」
国王「敵ながらその志、褒めて使わす」
国王「さすがは今は亡き魔王の側近」
側近「へっへっへ……今日と言う日をどれほどまで待ち望んだことか」
剣士父「さぁ!おしゃべりはここまでだ!」
側近「ぐっ!」
ガキンガキン キン!
勇者「ていやぁぁぁ!!」
側近「ふん!!」シュンッ
剣士父「あぐっ!!」ズドン
勇者「ぐっ!!!」
勇者「はぁはぁ……くそ」
側近「命だけは助けてやろうと思ったのだが」
側近「頭にきた。皆殺しだ」
少女「やめて!!!!!!!!!!!!!!!!!」
側近「!!」ピタッ
勇者「君は……どうしてここに!」
少女「やめてよ!!!どうして!こんなことするの?」
側近「おおう!姫よ!我が主!!」
勇者「何を言ってるんだ……?」
少女「ねぇ!もうやめてよ!」
側近「何を言うのです?姫!!ここで勇者を倒さなくては!」
側近「これもすべて我ら一族の悲願のためでしょう!」
少女「何が?何のことを言ってるの?」オロオロ
側近「そんな!こ、これは一体……」
側近「貴様!姫に何をした!!」
国王「……」
勇者「国王様……どういうことなのですか」
少女「おじいさま!?」
国王「お前は……お前は魔王の娘なんだよ」
国王「言い換えれば――現魔王」
魔王「そ、そんな……私が?」
勇者「ただの魔物ではなかったのか……」
国王「我々と魔物との争いは数百年も前から続いていた」
国王「この数百年で我々は何度も魔王を討伐した」
国王「だが、奴は復活し続けたのだ。倒しても倒しても蘇りきりがなかった」
国王「そんな中、我々の諜報機関はある情報を入手した」
国王「魔王復活の秘密」
国王「魔王はその生涯に一度だけ子を授かるのだ」
国王「魔王の子は現魔王が死ぬときまで封印され」
国王「現魔王が死ねばその後封印は解かれ新たな魔王が誕生する」
国王「復活したのではなく、我々どうよう一族が代々戦ってきたわけだ」
剣士父「そこで、俺たちは魔王を倒した後、封印された新たな魔王を」
剣士父「倒そうとした……だが…」
剣士父「だが!あいつは!!」
数年前
剣士父「見つけた!見つけたぞ!!」
勇者父「よし……この球体を破壊すればいいんだな」ヨロヨロ
剣士父「お前、その傷……」
勇者父「毒を食らったみたいでな、えっへへ」ヨロヨロ
勇者父「だが、これで長い戦いも終わる……最後の一振りだ!」
勇者父「」
剣士父「どうした?」
勇者父「そんな……こんなの……」
球体の中に閉じ込められていたのはスヤスヤ眠る赤ちゃんだった
剣士父「おい!お前!何をしてる!」
勇者父は布で球体を包み赤ちゃんを隠した
勇者父「このことは誰にも言うな!いいな!」
剣士父「だが」
勇者父「いいか!誰にも言うんじゃないぞ!」
剣士父「お前!怖気づいたのか!早くこいつを!」
勇者父「できるわけないだろ……」
勇者父「赤ん坊なんだぞ?こんなこと……俺には」
剣士父「……でも、どうするつもりだ?」
勇者父「人質として国へ連れて帰る」
剣士父「国王を危険にさらすのか!!」
勇者父「ちゃんと人として教育すれば……この子だってきっと」
剣士父「だが、魔物に狙われるぞ」
勇者父「だからこのことは極秘にしてほしいんだ」
勇者父「もし、この子が魔王として覚醒したら……」
勇者父「その時は俺がこの子を殺す」
剣士父「だがな…」
勇者父「あぁ、俺が死んだら……お前に頼んでもいいか?」
剣士父「全く、仕方が無い奴だ……」
剣士父「安心しろ、この子と国は俺がちゃんと守るから」
玉座の間
剣士父「まったく嫌な約束をしてしまったぜ」
側近「貴様ら…姫を洗脳したというのか!!!!」
国王「違う!この子は自らこの道を選んだのだ!!」
側近「んだと!」
国王「私は勇者父からこの子を預かった」
国王「城の最上階へ幽閉させるためにな」
勇者父の死後、球体は消え赤ちゃんが産声を上げた。
国王(これが……魔王……)
国王(今、私がこの子を殺せば全てが終わる)
国王「」ゴクリッ
国王は短剣を握り締めた
魔王「?」キョトン
カランカランッ
国王「共に生きる道を探そう」
国王「例えそれが茨の道だとしても……」
国王「お前を殺さなくて済むのなら」
赤ん坊は魔王の指をぎゅっと握り締めた
魔王「そんな事が……では、おじいさまは私が魔王であることしてって」
魔王「今まで育ててくれたのですか」ウルウル
国王「あぁ自慢の娘に育ったと思っているよ」
側近「くっ!姫よ!我ら一族を見捨てるのですか!!」
勇者「この子はもう関係ないだろ!」
側近「姫がおられなくては我々は滅びの道を歩むことしかできなくなってしまう!」
勇者「どうしてだよ!」
国王「ニューワールドオーダー」
勇者「!?」
国王「彼ら一族の悲願だよ」
国王「世界を一つに統合し魔王のみがそれを制す。」
国王「彼らの生態系はそれに基づいて形成されている」
国王「魔王はこの世にたった一人であらなくてはならない」
国王「権利が分離するのを防ぐためにな」
国王「だから、魔王は生涯に一度しか子を授からないのだ」
剣士父「一度、リーダーを失ってしまえば奴らは生態系もろとも崩壊する」
剣士父「たった一つの悲願のためだけに生み出された一族なんだ」
剣士父「さぁどうする?」
魔王「うっ……」
剣士父「お前が魔王の道を選ぶのなら俺たちはお前を倒さなくてはならない」
剣士父「それとも、一族を見捨てるか?」
魔王「そんなこと……」
側近「姫……」
魔王「私は……」
側近「我々には貴方が必要なのです!!!姫様!!!!」
魔王「私は……」
>>200
どっちの道を選びますか?
みすった!
>>163
終了
いや、終了するだんけどさ!
再安価
1.魔王としての道を歩む
2.このまま国に残って人として生きる道を歩む
>>170
んなあほな
最後は安価で決めようとってきめたんだよ!
二通り考えてたけど
どっちが相応しいか
思いつかなかったから
ね?
じゃぁ>>200で
1か2以外の安価踏まれたら
1かきます
しねゴミカス
では1で
魔王「ここに留まります」
側近「そ、そんな……」
魔王「私は人として生きたい……もっと勇者と遊びたい!おじいさまと一緒にいたい!」ウルウル
剣士父「そうか……さぁ、お前はどうするのだ」
側近「我々の戦いはあの時から終わっていたというのですか……」
国王「命は見逃そう。手下を連れてこの国から去りなさい」
側近「姫……」
側近「貴方様の幸せを我々は祈り続けます」
噴水通り
魔王「勇者」
勇者「ん?」
魔王「あの……その」モジモジ
勇者「どうしたの?」
魔王「これからもずっと一緒にいてもいいですか?」
勇者「もちろんだよ」
魔王「大好きです。勇者」
勇者「なんだよ///いきなり///」
魔王「勇者は私が好きですか?」
勇者「大好きだよ」
僧侶「はぁぁぁ!!?」
勇者「お前!?いたのか!!」
妹「お兄ちゃんやるぅ!!」
剣士「勇者!僧侶は俺達に任せろ!」
僧侶「私の勇者様ぁぁぁぁ」
勇者「平和が一番だね~」
魔物「ずっと続くといいです」
勇者「ずっと続くさ」
勇者「ずっとね」ニコッ
おわり
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