【モバマスSS】スレンダー美人秘書8時間SPECIAL【和久井留美】 (92)

※モバマスの非工作型わくわくアイドル【和久井留美】のSSです

※少量のオリジナル要素を含みます

※なるべくキャラ崩壊はさけてますが、してたらごめんなさい。






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388464700

P「………あ~…」カタカタカタカタカタ…

P「あっれ~…あの資料どこやったっけ~?」

P「…っだー!!!!!!!!終わらねぇ!!!!!!!」

留美「どうしたの?大きな声だして?」

P「うおぉっ!?和久井さんいつからいたんですか…?」

留美「君がせかせかとこの部屋に入ってくる前からいたわよ」

P「え…ホントですか?すいません気づかなくて…」

留美「構わないわ、忙しいんでしょう?」

P「あ、あぁ…すいません…」

留美「謝り過ぎよ。いいから続けて?」

P「あ…はい、すいません…」

留美「…」

P「…」カタカタカタカタカタ…ゴソゴソ…カタカタカタカタカタ…

留美「………ねぇ、P君?」

P「はい?」

留美「忙しそうね」

P「ええ忙しいですね…まとめなきゃいけない資料とか多くて…」

留美「猫の手も借りたいくらい?」

P「ええ、ホントに借りたいくらいですよ…」

留美「………にゃあ…」

P「え」

留美「…/////」

P「」


























留美「何か言って頂戴…」

P「え、あっ…すみません」

留美「とにかく…私が手伝うわ」

P「へ?」

留美「これでも前の仕事ではそこそこ有能だと言われてたのよ?」

P「でも…自分の担当アイドルに手伝わせる訳には…」

留美「ごめんなさい。言い方が悪かったわね…要領が悪すぎて見ていられないのよ」

P「」

留美「午前中の打ち合せで今日の予定は終わったし、明日はオフだから夜通しでも手伝えるわ」

P「いや…でも…」

留美「いいから。任せなさい」

P「…………はい」


***************************



~1時間~




留美「…なるほど、今日の日程と大体の要領は把握したわ。」

P「…はぁ」

留美「では、まず机の上を整理しましょう」

P「へ?」

留美「効率的に仕事をするには、頭を整理しなくてはいけないでしょう?机の上が散らかっていると気も散るし、さっきみたいに探し物からスタートよ?」

P「はぁ…」


ガサガサ…ドサッ…


P「えっと…これはこっちで、これは…」

留美「あら?これはみんなのプロフィールかしら…」

P「ええ、公式、非公式問わずみんなのプロフィールをそのファイルを纏めてるんですよ」

留美「流石に凛ちゃんや未央ちゃん達のは書き込みが多いわね」

P「付き合いが長いですからね」

留美「ところでみりあちゃんのページに書いてある「せいちょうがいちじるしい」って何?」

P「……最近、プロ意識が芽生えてきたのかレッスンにも積極的だし、仕事でも周りを見て行動できるようになってきましたからね」

留美「そう。でも正しくは『成長が著しい』であって『性徴が著しい』では無いのだけれど」



P「」



P「昔から漢字が苦手で、成績表で国語だけ毎回2だったんですよね~」

留美「あらそうなの、文学部卒と聞いていたけど…苦手を専門にするなんてP君はストイックね」

P「…ありがとうございます」

留美「で、里美ちゃんのページの『揉みたい』は?」

P「胸の大きな子は肩こりが酷いらしいですからねぇ…」

留美「なるほど…だから藍子や千枝ちゃんはあまり肩こりしないから「つつきたい」に変わるのね」

P「」

留美「私のページには何て書いてあるのかしら?」

P「あー!!??そのファイルに和久井さんの入ってないんですよー!!いやー参ったなーどこにしまったんだっけなー」

留美「『結婚に焦り』」

P「」

留美「『目つきがキツイ』」

P「ぁ…」

留美「『熟女キャラとして売りだすべき?』」

P「あの…」

留美「………『笑うと意外にカワイイ』」

P「ぁー…」

留美「…」

留美「……ふざけるのも大概にね?」

P「……はい」

****************************






~2時間~


P「今日はちひろさんいないので、ちひろさんの机使っちゃってください」

留美「ちひろさんの机はP君の机と違って綺麗で使い易いわね」

P「あはははー、ちひろさん机に物を置かないですからね」

留美「そうね…あら?」

留美「(P君とちひろさんが二人っきりの写真…?)」

留美「(ここどこかしら…近くの居酒屋ではないわね…ずいぶん高そうなお店…)」

留美「(まさか二人は…)」

留美「…」



P「(はぁ…参ったなぁ…)」

P「(この前ちひろさんに連れてかれたパーティーのせいで金欠だ…)」

P「(大体何だったんだあのパーティー…ヤクザに公安、マル暴、大企業の社長にオカマ…政治家もいたなぁ)」

P「(あぁ…俺の尻触ってきたあのプロレスラー…メジャー団体のベルト取ったんだっけ…?)」

P「(学生プロレス…またやりたいなぁ…あ、学生じゃねえや、もう)」

P「はぁ…」

留美「どうしたの?ため息なんかついて」

P「いやぁ、何か切なくなってきちゃって…」

留美「切なく…?」

P「えぇ…恋しいといいますか…」

留美「そうなの…(やっぱりちひろさんと…)」

P「えぇ…昔はあんなに頑張ってたのに俺も年をとったな~、なんて」

留美「そうなの…大変ね(P君まさか男性機能が…?)」

P「ははは…馬鹿みたいですよねぇ…学生の頃は、ただ自分の楽しみのためだけに体鍛えて」

留美「(え…?アレって鍛えられるものなの?)」

P「毎日ビデオ見て研究して…」

留美「P君って努力家なのね…(男の子ってみんなそうなのかしら…)」

P「そう言えば、その時の先輩が凄いやる気のある人で、毎日のように他の大学の連中呼んだりしてて…」

留美「へぇ…(何かいかがわしいサークル…?)」

P「凄い時は50人以上集まっちゃったりしてたんですよ!」

留美「そ…そんなに…?(これがいわゆる『ヤリサー』ってやつなのかしら…)」

P「まぁ…男ばっかりのむさ苦しい集まりなんですけどね」

留美「!!!???」

P「あの頃に戻りたいなぁ…」

留美「……そうなの…」

留美「(なるほど…P君がこれだけ女の子に囲まれているのに、一向に誰にもなびかないのはこういう事なのね…)」

留美「(ふふ…私っったら無様な女ね…少し優しくされて、特別扱い受けただけアッサリ恋に落ちて…)」

留美「(挙句その相手が同性愛者なんて…)」

留美「(本当に…無様…)」

留美「…」

P「和久井さん…?」

留美「何でも無いわ。さっさこの仕事を終わらせましょ」

P「すいません。そうですね」





**************************





~3時間~



留美「P君。DeNAテレビのディレクターさんに電話する時間よ」

P「え?あ、ホントだ。」

留美「いいわ、こっちは続けておくから」

P「すいません。お願いします」


Prrrrrrr…


P「あっ、いつもお世話になっております~モバプロのPです~」

留美「…」

ドタドタドタ…

バァンッ!!!



茜「おっっはよーーーございまぁーーーーーーす!!!!!!!!!!!!日野茜ぇ!!!!!!!ただいま出社しましたー!!!!」

留美「茜ちゃん、静かにしてくれる?…P君が電話中なの」

茜「あぁ!!!???すいませーん!!!!気づかなくて!!!!!!じゃあ静かにここでスクワットしてますね!!!!!」

留美「構わないから静かにね…」

茜「はい!!!!1!!2!!3!!」

留美「茜ちゃん」

茜「あっ…あははは~…ランニングいってきま~す」





ガチャ


バタン


ガチャ



美嘉「だからぁ~あそこのスタイリストがマジヤバイんだって!!息臭いしオカマっぽいしジロジロ見てくるし~」

莉嘉「えぇ~そっかな~?確かに息は臭いけどいい人じゃん?」

里奈「アハハハハッ☆莉嘉ちゃん子供扱いされてるんじゃな~い?」

莉嘉「えー!?ヒドくなーい!!!???」

留美「3人とも静かにして、P君が電話中なの」

美嘉「えっマジで?ごめんなさ~い」

莉嘉「えっ!?今日Pくんいんの!!??」

里奈「はしゃがないはしゃがない~♪」

莉嘉「子供扱いしないでよ!!!!」

美嘉「莉嘉ッ!!静かに!!」

留美「美嘉ちゃんもね」

莉嘉「やーい怒られてる~♪」

美嘉「こんのぉ…莉っ」

留美「…」

美嘉「りかぁ~…ちょっとこっち来なさい」

莉嘉「えっ…ちょっと…おねえちゃ…」

里奈「じゃねー♪るーみん☆」

留美「ふぅ…まったく…」

ワイワイ…ガヤガヤ…


留美「?」

早苗「あー…いやぁー拓海には笑わせてもらったわ~、あのタイミングでなかなか転べるもんじゃないわよ?」

拓海「うるせぇ!!!!アンタがぶつかっただろうが!!!!」

早苗「しかも、若葉ちゃんがその爆乳の下敷きになってねー。怖かったねー」ナデナデ

若葉「な!?子供扱いしないでください!!早苗さんもちっちゃいじゃないですか!!!!!!」

楓「若葉ちゃん、早苗さんはおっぱいが大きいからギリギリ大人なのよ」

早苗「うっふ~ん♪早苗お姉さんは大人の色気があるからね♪まだまだ青いわね、わ・か・ば・ちゃ・ん☆」

楓「若葉だけに…ですね♪」

早苗「だっははははははっ!!!!!!!」

留美「はぁ…早苗さん…」

早苗「おう!留美ちゃんどったのー?」

留美「今P君が電話中なのでお静かにお願いします」

早苗「え?ごめ~ん。ほら、拓海もその五月蝿いおっぱいしまいなさい」

拓海「あぁん!!!!??」

留美「拓海ちゃん」

拓海「あ…すんません」

若葉「じゃあ、別の場所で…って楓さん?」

P「はい…はい…えぇ、そうですね。その点は…」

楓「ふとんがふっとんだ…」ボソ

P「…えぇ…なるほど」

留美「ちょっと楓さんP君の耳元で何を」

楓「ふとんが…ふっとんだ」ボソ

留美「ねぇ、ちょ…」

早苗「まぁまぁ…しばらく見てよーよ♪」

拓海「アンタなぁ…」

楓「ふとんが!!…ふとんが!!……ふっとんだ☆」ボソボソ

若葉「あれ…つまらないギャグも何度も言うと面白くなってくる現象で笑わせる気ですよね…」

楓「はぁ…はぁ…んっ…はぁ…ふとん…ぁ……ふとんがぁ…」

拓海「おい何かエロい声出し始めたぞ」

楓「ぁ…ふぅっ!!…………………とんっ♪」

若葉「ふっとばないですねぇ」

拓海「あぁ、ふっとばねぇな」

早苗「でも、P君の肩震えてるわよ」

楓「…」ゴソゴソ

拓海「おっ、得意のダジャレを捨てる気だぞ」

楓「白鳥…」

若葉「あれ、手でやる影絵の…」

楓「ネッシー」

拓海「羽もげたぞ」

楓「白鳥…ネッシー!!白鳥…ネッシー!!白鳥…ネッシー!!」

早苗「楓ちゃん勢いで笑わせにきてるわね…」

楓「白鳥……オゴポゴ!!!!!」クネクネ

P「ッッ!!…ほ…ほほ~ぅ、一理ありますね」

拓海「今のは危なかったな」

早苗「ずいぶんマイナーなUMA出してきたわね…」

留美「あなた達いい加減に」

楓「…」チョイチョイ

若葉「え…?私ですか…?」

楓「…」コクコク

若葉「?」

P「えぇ、えぇ、そうですねそれでは詳細は現場でという感じですかね…えぇ」

楓「ヒーッヒーッ、フー…ヒーッヒーッ、フー…ヒーッヒーッ、フー…」

早苗「ラマーズ法?」

拓海「ラマーズ法だな」

楓「産まれるー…産まれるー…」

P「そうですね…あはははっ、それでは」

楓「産まれた!!アナタ!!元気な女の子よ!!」ヒョイ

若葉「な!?」

P「ぶっっはぁ!!!!???」

若葉「楓さん!!!!下ろして…!!!だっこは…だっこは嫌ですー!!!下ろしてー!!!!!!」

楓「~♪」

P「げほっ!!げほっ!!…あ、ああぁ!!すいません!!何か急にむせちゃって!!!!!!!」

早苗「若葉ちゃーん♪パンツ☆パンツ見えてるわよ~♪」

拓海「(若葉さん意外と…へぇ~…)」

若葉「きぃーっ!!おーろーしーてーぇ!!!!!」

留美「あ な た た ち ?」

早苗「あ、ヤベ」

拓海「おい!!逃げるぞ!!!!!」

楓「~♪」

若葉「いやー!!!!下ろして!!!!せめて下ろしてぇー!!!!!」


P「はい…失礼します~…」


ガチャ


留美「P君…ごめんなさい…うるさくしちゃって…」

P「いや、いいんですよ和久井さん!!!和久井さんが悪いわけじゃ無いですから…」

留美「でも…」

P「大丈夫です。幸い顔馴染みのディレクターですし、それに…」

留美「それに?」

P「あの4人にはしばらくろくな仕事回しませんから…」

留美「P君…鏡を見てきたほうが良いわ…酷いゲス顔よ…」

********************************





~4時間~



P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタカタカタ…

P「うーん…」

P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタ…ペラッ…カタカタ…

P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタ…カタカタ…

P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタカタカタ…

P「…」カタカタ…カタカタ…カタ…

留美「…」カタカタカタカタカタ…

P「…」カタ…

留美「…」カタ…

P「……」

留美「…」

P「和久井さん…」

留美「何かしら?」

P「彼氏作らないんですか?」

留美「…」

P「…」

留美「…」

P「…すいません」

留美「何故謝るのかしら」

P「いや…その、無神経な事を…」

留美「そうね」

P「すいません…」

留美「はぁ…まぁいいわ、それよりもそんなスキャンダルになるような事を易々とできるわけないでしょう」

P「まぁ…そうですけど…」

留美「それともアレかしら、いわゆる炎上商法ってヤツなのかしら?そしたら大物プロデューサーや有名アーティストとでも浮名を流せばいいの?」

P「あの…怒ってます?」

留美「別に」

P「…」

留美「そういう君はどうなの?」

P「へ…?」

留美「P君自身は恋人作らないのか、と聞いているの」

P「いや僕は…今は仕ご」

留美「仕事が恋人は禁句よ。それは貴方が私がデビューした時、貴方が言った言葉でしょう?」

P「いや、それは…」

留美「貴方は私と違って恋人作り放題じゃない」

P「いや、作り放題って…」

留美「あ…ごめんなさい、そうよね。よくは知らないけど大変なのよね」

P「え…?いや、まぁそうですけど…」

留美「…でもね、P君。その…世間からの風当たりもあるでしょうし…」

P「???…えぇ…」

留美「表向きだけでも…という事は考えないの…?」

P「え…?どういう事ですか…???」

留美「とりあえず異性の恋人を作って体裁さえ取り繕ってしまえば」

P「???????」

留美「多少の火遊びは…」

P「ちょっ…ちょっと待って下さいよ!!!僕はそんな!!!」

留美「だって…」

P「いや、そりゃ僕だって男ですから…色んな女の子と付き合ってみたいのはありますけけど…」

留美「でも…え?」

P「やっぱり、一人の女性を愛し続けてこそというか…」

留美「ちょっ…ちょっと待って頂戴!!」

P「男の矜持が…えっ?」

留美「P君…女の子が好きなの…?」

P「え、はい」

留美「…」

P「…え?…ん?……え?」

留美「忘れて頂戴」

P「???????」

留美「いいから」

P「和久井さん…顔が赤…」

留美「」ギロリ

P「すいません…」

**********************************





~5時間~


留美「P君、ハイこれ。さっきの資料を見やすくしておいたわ」

P「あ、すいません」

留美「あと、こことここ誤字と言い回しが不自然だったから変えてしまったのだけれど、これで良かったかしら?」

P「え?あ、そうですね…これで大丈夫です」

留美「そう、じゃあ次はこっちね」

P「和久井さん…」

留美「お礼は後、お詫びならもう聞いたわ。」

P「す……はい」

留美「よろしい」

P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタカタカタ…




P「…」カタカタカタカタカタ…

留美「…」カタカタカタカタカタ…

P「和久井さん」

留美「なに?」

P「和久井さんはどうして秘書になったんですか?」

留美「…何故かしら?」

P「いや、秘書ってそう簡単になれるものでは無いし、大変じゃないですか。何か理由があったのかなって」

留美「前の仕事の事は詮索しないでって言わなかったかしら?」

P「そうでしたね、すいません」

留美「…」

P「…」

留美「まぁ、いいわ。それを話す事で踏ん切りが着くかもしれないし」

留美「社長に気に入られた。ただそれだけの事よ」

P「…」

留美「最初はただの事務として入社したのだけどれど、人よりも多く仕事をこなしているうちにどうやら社内で噂になってたらしいの」

留美「それを社長が聞きつけて、是非秘書にって」

P「へぇ~凄いじゃないですか」

留美「私も自分の実力が認められて嬉しかったわ、でもそれは表向きの事だったのよ」

P「?」

留美「有体に言うのなら、お目当ては私の実力では無くて私の方」

P「あ…」

留美「確かに言われた仕事はキチンとこなしたわ。でも社長が求めたのはむしろ仕事以外の事…つまり」

P「あっ…もう大丈夫です!!大丈夫ですから!!」

留美「私に迫ってきたのよ」

P「…」

留美「一応言っておくけど、その社長とは何も無いわ。ずっと断り続けたもの」

P「…」

留美「それでも社長はしつこく関係を持とうとするし、同僚からはいわれの無い中傷も受けたわ」

留美「だから辞めたの、こんなとこにはもう居られないって」

P「…すいません。嫌な事思い出させちゃって」

留美「いいのよ。あの日あの時転職を決意していなかったら貴方に出会えなかったんだもの」

P「(でも、あの時和久井さんは完全に無職だった)」

P「(この人がそんな向こう見ずな行動をするとは思えない)」

P「(追い詰められて…か)」

P「和久井さん」

留美「なに?」

P「ありがとうございます。僕について来てくれて」

留美「ただのやけっぱちよ。オジサンとはいえ人をあそこまで魅了できたのだから、アイドルだって出来るんじゃないかって思っただけ」

P「それでもありがとうございます。俺、和久井さんに会えて良かったと思ってます」

留美「…名前で呼んで」

P「え?」

留美「私は貴方のアイドルよ、よそよそしい呼び方は止めて…ね?」

P「……留美…さん」

留美「ふふっ、なに?」

P「留美さんの笑った顔、好きですよ」

留美「…そう」

P「…」

留美「…仕事、手が止まってるわよ?」

P「留美さんもですよ」

留美「…コーヒーでも淹れてくるわ。飲むでしょう?」

P「ありがとうございます」

留美「いいのよ」





*******************************







~6時間~




記者A「こんにちわ~」

P「あれぇ!!??Aさんじゃないですか!!どうしたんですか急に!!」

A「いやぁ~たまたま近くを通りかかってね。なにかネタは落ちてこないかと思って訪ねてきたわけさ」

P「そんなぁ、言ってくださいよ~ちゃんとおもてなしするのに」

A「いやいや、こういう不意打ちみたいな形で来たほうがみんなの普段の姿が見れるってもんさ」

P「ままっ、こちらへ…」

A「ああ、すまんねぇ」

P「留美さん…ってあれ?」

A「どうしたんだい?」

P「いや…何でも…あ、今お茶を…」

留美「」コトッ

P「へ?」

A「お?おぉ、すまんね」

留美「失礼します」ペコッ

P「…」

A「彼女…留美ちゃんだよね?和久井留美ちゃん」

P「えぇ」

A「今、お茶事務所のお茶汲み係なの?」

P「いえ、今日限定で僕の秘書なんですよ」

A「へぇ…彼女元々秘書だもんね」

P「えぇ、なかなか優秀ですよ~さっきから尻を叩かれてばっかりです」

A「はははははっ、まるで女房に尻敷かれてる旦那みたいな台詞じゃないか」

P「えぇ?ははははっ、いやぁ~あんなにしっかりものの奥さんなら大歓迎ですよ」




パリンッ!!


留美「…失礼しました」

P「……こりゃ前言撤回ですかね?あはは」

A「…」

A「(ふーん…?)」

A「なぁP君。君結婚を考えたことは無いかね?」

P「へ?僕ですか?」

留美「…」ピクッ

A「うむ、君の大切なアイドル達もいずれ誰かと結婚するだろう」

A「君もファンも素直に喜べない部分もあるだろうが、それが彼女達の幸せでもある」

A「そしてそんな時、彼女達が頼るのは家族や友人、同僚、そして君だ」

P「はぁ…」

A「そんな君は結婚についてどう思ってるんだい?」

P「…と言われても…」

A「まぁ、どんな事でもいいよ。こんな相手がいいとか、どんな家庭が理想とか…」

P「うーん…そうですねぇ…」

留美「…」

A「…(おっ、聞き耳立ててるな、ありゃ)」

P「あ、料理できる人がいいですね。やっぱり食事は生活の基本ですからねぇ」

A「あぁ~わかるね。仕事で疲れきったところに不味い飯が待ってたら、どんなおしどり夫婦も喧嘩するだろうね」

P「そうですねぇ」

A「ちなみにP君の好物ってなんだい?」

P「え?そうですねぇ…実は焼き魚とか純和食が好きなんですよね」

A「おや、意外に渋いね」

P「えぇ、幼い頃から祖父母と一緒に住んでたせいか、実家じゃ和食メインでしたから…」

留美「…」

A「(おっ、メモしてるメモしてる)」

A「ふむ、じゃあ好みのタイプは?」

P「来週は僕の記事なんですか…?」

A「いいからいいから」

P「ん~…笑顔の可愛い人とか…ですかね?」

留美「!?」バッ

A「(お、こっち向いた)」

P「あと…胸が大きければ完璧です」ヒソヒソ

留美「…」

A「(下を見て…胸を触って…あ、落ち込んだ)」

留美「…」

A「P君…君もなかなか隅に置けないなぁ~」

P「えぇ~何ですかそれ」

A「いやいや、これはね。結婚の先輩としてひとつ言っておくけど、自覚している好みと結婚相手は違うものだからね」

P「はぁ…」

留美「…」

A「自分で思っている理想に囚われないように。本当の運命の人は案外近くにいるものだよ」

P「そういうもんですか…」

A「留美ちゃん」

留美「はっ!?はい!!」

A「ごちそうさま。お茶美味しかったよ」

留美「いえ…恐れ入ります」

A「いいお嫁さんになれるね」

留美「!!!!????」

A「さてっ、いい暇潰しになったよ。それじゃこの辺でお暇しようかな」

P「あ、それじゃあ近くまで送りますよ」

A「いや、いいよ。それより嫁さんでも探しなさい。いや正確に言うと見つけなさいかな」

P「?…それって同じじゃ…」

A「ふふ、見つけられるといいね。留美ちゃん」

留美「え!?あ…はい…」

P「????」




*********************************





~7時間~




P「やっと終わりが見えてきた…」

留美「そうね…でもこれがあるわ」ドサッ

P「え」

留美「本来はちひろさんの仕事だけどお休みだから、私達がやるしかないの」

P「うぇぇ…」

留美「ハンコを押すだけの簡単な作業だからさっさと済ませてしまいましょ」

P「そうですねぇ」

*擬音の注意点「ポフッ」←朱肉「ポン」←押印




留美「はい」スッ

P「…」ポフッ、ポン

留美「はい」スッ

P「…」ポフッ、ポン

留美「はい」スッ

P「…」ポフッ、ポン

留美「はい」スッ

P「…」ポフッ、ポン

留美「はい」スッ

P「…」ポフッ

留美「…」

P「留美さん…これ、婚姻届ですよね…?」

留美「そうね」

P「イタズラは止めてくださいよ…」

留美「ごめんなさい、疲れて眠そうだったから」

P「そんなドッキリ仕掛けなくても大丈夫ですよ、これくらい」

留美「さすがタフね」スッ

P「元気だけが取り柄ですかね」ポフッ、ポン

P「って、どわああああああっ!!!!!???しれっと2枚目混ぜないでくださいよ!!!!!」

留美「ふふふ、眠たくなったらミスしてしまうでしょ?さ、これがラストよ」

P「全くもう…」ポン、ポン

留美「ありがとう。それじゃ」

P「えぇ」



P「…」



P「ちょっと待って!!最後ポンッポンって!!!!!朱肉と何か入れ替えたでしょ!!!??ねぇ!!!!!」




*********************************








~8時間~





P「ふぃー…終わったぁーっ!!!!!」

留美「お疲れ様。はい、コーヒー」

P「あぁ、ありがとうございます」

ズズー

P「あれ?これってもしかして…」

留美「少し香り付け程度にブランデーを混ぜたの。ちひろさんには内緒よ?」

P「せっかくの労いを仇で返す気はないですよ」

留美「そう、ありがとう」

P「はあぁぁ…」

留美「どう?一息つけたかしら?」

P「えぇ…おかげさまで…」

留美「それは嬉しいわ」

P「いやーほんとにこのまま秘書として雇いたいくらいです」

留美「それはそれでいいわね」

P「ダメですよ、アイドルとして雇ってるんですから」

留美「…そうよね」

P「まぁ、まだまだ業界的には若手ですから今は押せ押せですよ」

留美「そうね…で、『業界的に』と断りを入れた意味は?」

P「いや…ほらこの業界赤ん坊からデビューする子もいますから…」

留美「そうね」

P「…」

留美「でも、あっという間だったわね…私がデビューして、事務所の仲間も増えて…」

P「そうですねぇ…留美さんだって決して中堅でも無いのに、ついつい新米を任せちゃって…」

留美「いいのよ、特殊な業界とはいえ社会人としては私が先輩だもの。気にしてないわ」

P「すいません」

留美「禁句」

P「え?」

留美「『すいません』は禁句よ。これからも長い付き合いになるのに、私に謝りたおす気?」

P「…」

留美「私は貴方に謝られたくないわ。私が見たいのは貴方の頭頂部では無くて、貴方の顔だもの」

P「それは…どうも」

留美「…」

P「…」

留美「P君」

P「はい?」

留美「私の事を見て。一度しか言えないから」

P「?」

留美「私は貴方に必要とされたいわ。貴方が望む仕事を今まで通りこなすわ、貴方が思うキャラクターを今まで通りこなすわ」

留美「そして貴方の傍にいたいの。今まで以上に」

P「…」

留美「その形に私はこだわらないわ、仕事のパートナーでもプライベートのパートナーでも」

留美「貴方の思う通りに」

P「…」

P「…留美さん」

留美「なに?」

P「うちのプロダクションの方針、覚えてます?」

留美「…『素材と個性を生かす』かしら?」

P「そうです」

留美「…」

P「僕は僕色に染まった留美さんをプロデュースしたくないですよ。ましてパートナーにそんなものは求めない」

P「僕は留美さんがいい。留美さんらしい留美さんがいいからプロデュースしたいんです」

留美「……」

P「…」

留美「…じゃあ…どうすればいいの?」

留美「私は…どうすれば…」



P「…」

留美「…」

P「留美さん」

留美「?」

P「肩凝ってませんか?」

留美「え?」

P「今日は一日お手伝いしてもらっちゃいましたから、きっとお疲れでしょうし、揉んであげますよ」

留美「いや、私は…」

P「まぁまぁお気になさらず…」

留美「えっ…ちょっとP君!?」

モミモミ


P「あ~やっぱりちょっと凝ってますね~」

留美「あっ…ちょっと、ねぇ…」

P「デスクワークばっかりだから首にもキテますねぇ~、よっと」

留美「んっ…」

P「留美さんって髪綺麗ですよね。短いから凛とかと違って注目されにくいですけど」

留美「それは…一応アイドルですもの」

P「一応じゃなくて立派にアイドルですよ」

留美「そうね…」

P「ん~…」

留美「どうしたの?」

P「いや、留美さんの衣装ってやっぱりクールで大人っぽいのが多いじゃないですか。案外フリフリの可愛いやつを着てもらうのもいいかなーって」

留美「P君…私はオモチャじゃないのよ?」

P「いやいや、あいさんだってメイド服着たんですから案外いけますよ~」

留美「でもっ…確かにアイドルである以上そういうのも覚悟はしていたけど…」

P「ははは~、僕色に染まるんじゃ無かったですか?」

留美「それはっ…その」

P「こう…白とピンクを基調とした衣装でぇ…耳にはお菓子の形のピアスして…」

留美「きゃっ!?…耳触らないでっ…!」

P「怒りました?耳まで真っ赤ですよ」

留美「…セクハラよ」

P「訴えます?」

留美「それよりも明日事務所のみんなにバラした方がいいかしら?」

P「…きっとまゆ辺りに耳たぶ噛み千切られるでしょうね、僕」

留美「いい気味ね…ふふふっ」

P「留美さん…」

留美「なぁに?」

P「今、笑ってます?」

留美「え?」

P「さっ、こっち向いてください。一度しか言いませんから」

留美「え?…え?」

P「留美さんが笑った顔僕は好きですよ。他でも無い和久井留美さんの笑顔が」

留美「…」

P「だからプロデューサーとしてこの笑顔をみんなに自慢したいんです。僕が求めるのはそれだけですよ、僕が染め上げる部分なんてこの笑顔の添え物に過ぎない」

留美「…ありがとう」

P「いいえ、こちらこそありがとうございます」

留美「…何だか……照れるわ」

P「…僕も顔から火が出そうです」

留美「貴方に会えて良かったわ…本当に」

P「…」

留美「P君…あのっ」



Prrrrrrr…


P「あれ?電話だ誰だこんな時間に…」

留美「あ…」

P「はい、もしもし…」

留美「…お預けね」

P「はい…えぇ、え?あの企画が…?」

留美「…」

チュッ



P「ほぅあっ!!!!!???」

留美「先に帰らせて頂くわね。また明日」

P「え!!??あ!!いや…すいません、続けてください…」



***********************************





~アフターサービス~




留美「おはようございます」

P「おはようござます。留美さん、実は昨日あの後…」

留美「それよりコレ」

P「え?」

留美「お弁当、作ってみたの」

P「…え?」

留美「…よかったら食べて頂戴」

P「あ、はい…ありがとうございます…でも」

留美「?」

法子「プロデューサーさんどうです!?新作のドーナツ美味しくないですか!!??」

みちる「いやいやーうちの実家のパンも美味しいですよ~」

里美「ほえぇ~、私のお菓子の置き場が~」

留美「…」

P「…晩御飯にでも頂きます」

早苗「Pく~ん、今日の夜空いてるー?空いてるよねー?飲み行くわよ~」

P「…家に帰ってから」

留美「…そう、ありがとう」

P「ところで、次こんな企画をやろうかと思ってたんですけどどうですか?」

留美「え?」

『魔法淑女わくわく☆るーみん♪』



留美「…」

P「これまでの留美さんの殻をぶち破るようなモノをやりたくて、みんなと色々話し合ったらこういう企画が持ち上がりまして」

留美「」

P「設定としては、ピュアな魔法少女が世間の荒波に揉まれていくうちに、スレた大人に育ってしまって…聞いてます?」

留美「………………P君」

P「…はい?」

留美「…これは貴方が望んだ事なのね?」

P「はい!!」

留美「……………いいわ、やってあげる。私はプロであり、貴方のパートナーだもの」

P「留美さん………それじゃあ、これが衣装なんですけどっ!!!!!……」




*******************************





悪役「ヒャッハーッ!!!!!このキャバクラは我々が占拠したぁーっ!!!!殺されたく無かったら全員裸になりやがれぇーっ!!!!」

???「お待ちなさい(低音)」

悪役「なにぃ!?貴様は!!!???」



留美『魔法淑女…わっくわくぅ……るーーーーみん!!!』


P「(その後、留美さんを説得したり励ましたりしながら無事放送を迎えた)」

P「(深夜の放送にも関わらず、毎週放送事故レベルのブッ飛びっぷりにマニアが熱狂)」

P「(放送終了後には意味不明のカルト的人気を得ていた)」

P「(それはともかくとしてだ…)」


留美「…」

P「(放送終了しても時々、留美さんがあの衣装を着てくる時がある…決まって僕が一人の時に…)」

P「(ピンクと白のフリフリでよく分かんない羽とか生えてる魔女っこ服…淑女らしくパンツは黒)」

P「(改めてみてもあの衣装…キツイ…)」


留美「P君」

P「はい?」

留美「責任…とって頂戴ね?」

P「…はい」

おすまい


今回は身内からのリクエストで書いてみた。ところでわくわくさんはやっぱり足コキだと思うんですよ実際。Ende

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