幼馴染「結婚しよう」 (73)
男「え?」
幼馴染「ん、聞こえなかった?」
男「き、聞こえたけど、でもさ、結婚って……」
男「俺達付き合ってるわけじゃないし、ていうか幼馴染って俺のこと好きなの?」
幼馴染「好きじゃない相手と結婚したいと思うほど、私は酔狂ではないつもりだよ」
男「その……つまり?」
幼馴染「もちろん好きだってこと。結婚したいくらい。君以外との結婚なんて考えられない」
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男「だ、だけどさ、俺達まだ高校生だぜ?」
幼馴染「ああ、だからまずは婚約ということにしよう」
幼馴染「君が18歳になった時点で結婚するのか、もしくは被扶養者を養えるほど社会的に安定した地位を得た時点で結婚するのか、
その辺は追い追い話そう」
幼馴染「その前に……君の意志を聞いておかないといけないけど」
男「…………」
男「……なんで急に、その、結婚なんて」
幼馴染「君、昨日後輩の女子生徒に告白されたじゃないか」
男「え、なんで知ってんだよ、誰にも言ってないのに」
幼馴染「さてね」
幼馴染「そこで私は、そろそろ君に結婚を申しこまないと、他の馬の骨に取られてしまうかもしれないと気付いたというわけなんだ。
単純明快だろう」
男「いやいや、色々段階を飛ばし過ぎだろ……」
幼馴染「んー、そうかな」
幼馴染「君と私は長い付き合いだし、別にいいと思ったんだけど」
幼馴染「それじゃ、こうしよう。私と、結婚を前提としてお付き合いをして欲しい」
男「…………」
男(な、なんなんだ一体。元々ちょっと変わってるやつで、そこがまた好きだったんだけど、さすがについていけない)
男「あの……幼馴染? ちょっと考えさせてほしいんだけど」
幼馴染「別にかまわないと言いたいところだが、君、昨日あの下賤な馬の骨にも同じことを言っただろう」
男「だからなんで知ってるんだよ……」
幼馴染「君にとって私は、あのふしだらで下賤な馬の骨と同じだったというのか? さすがに傷つくんだが」
男「ち、違う、違うけど、あまりにも咄嗟のことでついていけないんだよ」
男「だって幼馴染、全然俺に気がある素振りなんてしてなかっただろ?
俺はてっきり炉端の石くらいにしか思われてないのかと」
幼馴染「そんなわけないだろう。君のことは世界で一番好きだ」
男「…………」
幼馴染「ただ、君は別に私との関係の変化を求めていないようだったから、それなら私は君の意思を尊重しようと思って、何のアクションも起こさなかっただけだよ」
男「そ、そうなのか……」
幼馴染「しかし昨日君が告白されているのを間近で見て、予想以上にショックを受けた。正直泣いた。
今日遅刻したのは赤い目がなかなか元に戻らなかったからなんだよ」
男「そんなに……え、間近?」
幼馴染「あそこまで人に殺意を向けたのは初めてだった。今思い出しただけでも……」ギリギリ
幼馴染「ありえないと分かってはいても、君がひょっとしたらあの告白に乗るんじゃないかと思っただけで、いても立ってもいられなくて……。
まだ未成年だし、やっちゃってもいいかな……なんて思ったりもしたんだけど、君に迷惑をかけたくはなかったからね」
男「…………」
幼馴染「さて、君、そろそろ返事を聞かせてもらいたいのだが」
男「え、あ、いや……」
男「その、好き、だよ、ずっと前から。結婚も、まぁ嫌じゃない」
幼馴染「ほ、本当!? やったー! わーい!」
幼馴染「げほっ、げほげほ」
男「大丈夫かよ……」
幼馴染「な、なんでもない、少し取り乱しただけだ」
男「そうか……」
幼馴染「あの……男?」
男「ん?」
幼馴染「本当に、私のことが好き?」
男「好きだよ」
幼馴染「そ、そっか……」
幼馴染「もし振られちゃったらどうしようかと思ったけど、えへ、良かった」
男「あー、うん……」
幼馴染「じゃあさじゃあさ、本当に、結婚してくれる?」
男「すぐに、とはいかないけどな。まずは付き合ってみないと」
幼馴染「え、もしだめだったら、別れる?」
男「いや……」
幼馴染「別れちゃうの……?」
男「わ、別れない!」
幼馴染「本当!?」
男「う、うん」
男(墓穴掘った気がするけど、まぁいいか)
幼馴染「でも、それならどうしてあの女に告白されたとき、すぐに断らなかったの? 私、不安でしょうがなかったんだけど」
男「いや、まさか幼馴染が脈有りだったとは思わなかったし、ちょっと考えても良いかなって」
幼馴染「…………」
男「そ、そんな目で見るなよ……」
幼馴染「……万が一、億が一でも他の女になびいたら」
男「わ、分かってるよ、大丈夫」
幼馴染「そっか……あ!」
男「え!?」
幼馴染「い、いやなんでもない。気にしないでくれ」
男「…………」
男「その喋り方、別に続けなくていいと思うんだけど」
幼馴染「だって、君がこういうの好きだって言うから……」
幼馴染「それに、私としてもこっちの方が君と上手く距離を取れるんだよ。肩に力が入るからさ」
幼馴染「話を戻して……男、じゃあこれから私達は恋人ということでいいんだよね?」
男「ああ」
幼馴染「そっか」
幼馴染「さっさとあの女振ってね?」
男「わ、分かってるよ……」
END
以上で終了です
短い内容となりましたが、SSを書くのは初めてだったので緊張しました
ここまで読んでくださった方――いるかどうか分からないけど――ありがとうございました!
乙
>炉端の石
正しくは路傍の石です、すいませんでした
乙
続きを希望
幼馴染のキャラが不安定ですね…
悪くはありませんが補足説明的なものがあるといいかもしれません。
と言うか貴方はまだできます、続きはよ。
>>17
アドバイスありがとうございます
幼馴染は、普段は主人公の好みに合わせて気取った喋り方をしているが慌てると素が出る、というイメージで書いてました
続きは今夜辺りを検討しています
これから続きを投下していきます
1か所でアンカを取るので、付き合っていただけると幸いです
男「というわけで……ごめん」
後輩「ええ!?」
後輩「どうしたんですか先輩考えてくれるって言ったのに嬉しそうな顔をして考えるって言ったのに言ったのに」
男「別に君のことは嫌いじゃないんだけど、彼女がいるから付き合えないんだよ」
後輩「何それおかしいです話を聞く限りあの女は横入りしてきただけじゃないですか卑怯です何が幼馴染ですかあんな女のどこが良いんですか」
男「い、いや、あの……」
男(この子も変わってるなぁ)
後輩「わたしはずっと先輩のことが好きだったんですずっとです部活で一緒になってからずっと先輩あんなに優しくしてくれたのにわたしを裏切るんですか信じられない信じられない」
男「う、裏切るってそんな……ただ、君と付き合うと浮気になっちゃうし」
後輩「だったらさっさとあの女と別れてくださいどうせあの女とは長続きしませんよ大学辺りで簡単に別れますからわたしの方がずっと先輩に合ってます」
後輩「先輩は優しいからあんな可哀想な女の相手をしているだけなんですよね分かってますでもそれだと先輩が報われなさすぎますわたしが先輩のこと救ってあげますから」
男(この子、真面目ないい子だと思ってたんだけどなぁ……)
後輩「先輩が遠慮して言えないのならわたしがあの女に真実を言ってきます先輩は無理して付き合ってるだけなんだって言ってやりますからそれならいいでしょう?」
男「え、ちょっと待っ……」
後輩「大丈夫ですわたしに任せてくださいわたしの愛を見ててくださいわたしは本当に先輩のことを愛しているからなんだってできます」
男「ちょっと、後輩! 落ち着けって!」
後輩「わたしは最初から落ち着いてます何を言ってるんですか先輩わたしは落ち着いて落ち着き切っていて冷静で淡々としているではないですか」スタスタ
男「おい、おい!」
後輩「さっさと先輩と別れてください」
幼馴染「は?」
男「あの、幼馴染、これには深い事情が……」
後輩「先輩は黙っててくださいこんな女はがつんと言ってやらないと分からないんですよわたしに任せて黙っててください」
幼馴染「…………」
男「お、幼馴染……」
幼馴染「いきなりなんなんだよ君、先輩に向かって失礼な態度とは思わないのか?」
後輩「あなたなんて先輩じゃないです」
幼馴染「へえ、そうか、あくまでそういう態度を取るつもりなんだな」
男「幼馴染、頼むから気を落ち着かせてくれ、な?」
幼馴染「大丈夫だよ、こんな子どもの戯言に耳を貸すほど落ちぶれてはいない」
男(俺が後輩に告白されて泣いたって言ってた気が……)
後輩「子どもってなんですかわたしはあなたと一歳しか変わりませんふざけないでくださいたったそれだけで偉ぶりやがって」
幼馴染「…………」
男(ど、どうするんだよこれ……)
幼馴染「さっき君は、私達はどうせ大学辺りで別れると言ったが、それはありえないね」
男(幼馴染が知らないはずのことを知っているのは最早デフォなんだな)
幼馴染「私は男の良いところも悪いところもいっぱい知っている。その上で好きだと言っているんだよ。
翻って君はなんだ、恋に恋してるただの盲目的な子どもじゃないか。付き合ってもどうせ大学辺りで別れるのは君だろう」
後輩「でも……!」
幼馴染「そもそも君は男と離れないようにするための努力を、どれだけした?
私はかれこれ小学生のときから頑張っているんだよ?」
幼馴染「クラスが別にならないようクラス分けの傾向を調べて、表面上は男しか友達がいないように振る舞ったりして、
これまでずっと男と同じクラスになってきた。私の運が強いのも大きかったが。
男と同じ高校に行くために毎日付きっきりで勉強を教えたりもしたが、それでもなかなか学力が上がらなかったから私の方の志望校を下げて、ここに入った。
男の趣味は全部リサーチしてその都度合わせたし、男を好きでい続けるために日々鍛錬を重ねている。
部活も塾も何もかも一緒にして、男に近づく女は極力排除してきた……君みたいな女を排除し損ねたことは私の汚点だけど」
後輩「…………」
男(幼馴染ってまさかスト……さすがにドン引きなんだけど)
幼馴染「私は君など到底敵わないほどのアドバンテージを有しているんだよ」
後輩「ぐ……さっきなんですか何様を気取るつもりなんですか所詮幼馴染でしょうそんなのは砂塵に等しい無価値な関係性なんですそもそも元来幼馴染は負けるものだと決まっていて」
幼馴染「昨日男と寝た」
男「お、幼馴染……!」
後輩「え……?」
幼馴染「このアドバンテージに、君が勝てるというのか?」
後輩「う……先輩、どうして……どうして、ううう」
幼馴染「それに、男には私と将来結婚するという誓約書を書いてもらっている。きちんと法的効力を持たせたものだ」
男(未成年個人に誓約書を書かせても無効だったと思うんだけど……)
幼馴染「そもそも君のどこで私に勝つつもりなんだ?」
幼馴染「一応は恋敵、君のことは色々調べさせてもらったが、どこにも負ける要素は見当たらなかった。
成績、男との付き合いの長さ等々こちらが勝っているものは山ほどある。同じクラスで家は真向い、接点も多いし親同士の付き合いもあるし」
後輩「……少なくとも年齢はこっちの方が若いです!」
幼馴染「はっ、一歳しか変わらないだろう。そんな差、あってないようなものだと、さっき君自身が言ったじゃないか」
後輩「…………」
幼馴染「全く、男、君が最初にがつんと言えば話は早かったというのに」
男「ご、ごめん」
幼馴染「あ、あ、謝らなくていいよ。男はなんにも悪くないんだし。悪いのはこの女だ」
幼馴染「さあ、後輩、さっさと負けを認めて潔く諦めるんだな」
後輩「うう……」
後輩「わたしは一生諦めません!」トタタタ
男「あ、後輩……」
幼馴染「まさか追いかけるつもりじゃないよね、男?」
男「う、うん……」
男「というか幼馴染、俺達まだ……寝てないだろ?」ヒソヒソ
男(婚前交渉はふしだらだと断ったのは幼馴染なのに)
幼馴染「どうせいつかは寝るんだ、後か先かの話だよ」
幼馴染「それに、ああいうインパクトのあることを言っておかないと、話を聞いてくれそうにない相手だったからね」
男「そ、そうか」
男(精神的優位に立っているせいか幼馴染が頼もしい)
男「でも、後輩は悪い子じゃないんだ。それだけは分かっていて欲しい」
幼馴染「知ってるよ。私だって彼女と同じ部活だからね」
男「それならいいんだけど」
男(後輩、なんであんなこと……)
幼馴染「…………」
――自宅
男(最近は色々起きるなぁ。まさかモテ期だったりするのか?」
プルルル...
男(メールだ)
幼馴染『男は私一筋だよね? 信じてるからね』
男(幼馴染……)カタカタ
男『大丈夫だよ』
男(送信、と)ピローン
プルルル...
男(返信早いな……)
幼馴染『そうだよね。男は誠実な人だもんね。ありがとう。おやすみなさい。大好きだよ』
男『おやすみ。俺も大好きだ』
男(そろそろ寝るか)ピローン
プルルル...
男(またか)
後輩『先輩今からふたりで会えませんか?o(゚ー゚*o)』
男(後輩……)
男『どうしたんだよ急に』カタカタ
後輩『今じゃないと会えない気がするんです(´A`。)
実はもう近くまで来てるんですよ♪ヾ(*・ω・)ノ』
男(…………)
男『でも、もう遅いし』
後輩『大丈夫ですヽ(^^ヽ)♪(/_ _ )/
近くの公園で先輩が来るまでずっと待ってますからね(*ノωノ)』
男(…………)
男(ど、どうしよう)
男(とりあえず幼馴染に言っておいた方が良いよな……?)
男(でも、さっき『おやすみ』って言ってたからもう寝てるかもしれない。
今メールしてわざわざ起こすのもなぁ……)
男(俺が来るまでずっと待ってるって、それはさすがに危ないし……)
男(……行くか)
――公園
後輩「先輩来てくれたんですねわたし嬉しいですすごく嬉しいですやっぱり先輩は素敵な人です大好きです」
男「え、えっと……」
男「こんなところに呼び出して、何の用? できれば話は手短に……」
後輩「先輩!」
男「な、何?」
後輩「あんな女の言うことなんて全部嘘ですよね!?」
男「え……」
後輩「わたし全部分かってますあの女は嘘を吐いているだけなんだって寝たなんて嘘ですよね?」
男「…………」
男(それは確かに嘘だけど……)
後輩「わたしは先輩のこと本当に愛してるんです本当の愛は勝つんです本当の愛が勝たない世界なんてあっちゃいけないんですそうですよね先輩?」
男「あ、あー……」
男(どう返せばいいんだ……?)
後輩「先輩と最初に会ったのは、部活でしたよね」
男「う、うん」
後輩「わたし、右も左も分からない高校で、友達もなかなかできなくて、すごく困って寂しくて……」
男(なんか始まったぞ)
後輩「そんなとき、先輩に部活に誘っていただけて、嬉しかったんです」
男(先輩に無茶な勧誘ノルマ吹っ掛けられて、手当たり次第に声かけてただけなんだけどな)
後輩「わたし、楽器なんて吹いたこともなかったんですけど、やってみると楽しくて……部活内で友達もできて、先輩には本当に感謝しています」
後輩「強豪校かつ経験者のみんなについていくのは大変で、それでも先輩に質問すればなんでも優しく教えてくれて、何度も助けてもらって……」
後輩「先輩はまるで王子様みたいな人だなって思うようになって……」
男「…………」
後輩「それなのに、あの女は……」ギリギリ
男「…………」
後輩「先輩! わたし、本当に先輩のこと愛してるんです! あんな女には負けません!」
後輩「先輩……うう、先輩、大好きです、愛してます、本当に大好きなんです……」
男「あー……」
男(泣いちゃった)
後輩「それなのに、わたしが告白したせいであの女に取られるなんて、そんな、そんなの……うう」
後輩「仮に、あの幼馴染がいなければ、先輩はわたしと付き合ってくれたんでしょう!? こんなの理不尽です!」
男「後輩……」
後輩「わたし、先輩のためならなんでもしますから! あなたのためならなんでもできます!
だから、付き合ってください……お願いします、後生ですから、あなたがいないとダメなんです……」
男(どうしよう)
男(本当にどうすればいいんだ……?)
1:幼馴染を選ぶ
2:後輩を選ぶ
アンカ↓2
1
>>50
把握
ちょっと待ってください
盛大に遅くなってすいません
今から投下していきます
1:幼馴染を選ぶ
男「それでも、俺は幼馴染が好きなんだ!」
後輩「先輩……」
後輩「先輩、先輩……ううう」
男(ざ、罪悪感が)
男「で、でもさ、後輩、俺がこの高校に入れたのは幼馴染のおかげなんだよ。吹奏楽部に入ったのも、幼馴染が誘ったからで……」
男「多分幼馴染がいなかったら俺と後輩は出会えていなかったし、もうそこら辺は仕方がないことなんだよ」
後輩「うう……」
男「だからさ、ごめん、君の気持ちには答えられない」
後輩「…………」
男「本当にごめんな」
後輩「…………」
後輩「そうですか……」
男「ごめん、ごめん……」
後輩「……うう」スタスタ
男「後輩……」
男(送っていく、とは言えないよな)
幼馴染「いやあ、ひやひやしたよ」
男「お、幼馴染」
幼馴染「まさかここであの後輩を選ぶという選択肢はないだろうが」
男「…………」
男「幼馴染、ごめん……」
幼馴染「君の悪いところもひっくるめて好きだと言っただろう」
幼馴染「まぁあの後輩を選ばれたら、さすがに考えるけど」
男「…………」
幼馴染「実のところを言うとね」
男「うん」
幼馴染「死ぬかと思った」
男「……そうか」
幼馴染「だって……君が、まさか、ねえ……」
男「ごめん……」
幼馴染「普通に考えて、人の恋人を取るような女は、簡単に離れていくからね。そんなのを選ぶわけないって……私は……」
幼馴染「ときに男」
男「……何?」
幼馴染「しね、この甲斐性無し!」バチコーン
男「うっ……」
男(な、なんて強力なストレート……)
幼馴染「ふざけるな! 呼ばれてのこのこ出ていくやつがあるか! もっとよく考えろ!」
幼馴染「君は一体私をなんだと思っているんだ! 今日は厄日だ! 君がそんなに信用に値しない人間だとは思わなかった!」
幼馴染「健全な恋人関係は双方の尽力があって初めて成立するんだ! それなのに、それなのに……」
幼馴染「はあ、はあ、はあ……」
男「ご、ごめん……」
幼馴染「いや、暴言と暴力はさすがにやり過ぎた。もう君のことをどうこう言えないな……」
男「そ、そんなことない!」
幼馴染「え?」
男「もっと俺を殴ってくれ! 罵ってくれ!」
幼馴染「いいの?」
男「今目が覚めた! 俺はだめな人間だった! 幼馴染に合わせる顔が無い!」
幼馴染「き、君がそう言うのなら……」
――次の日
後輩「せ、先輩、どうしたんですかその顔……」
男「いや、気にしないでくれ。これは当然の報いだ」
後輩「そ、そうなんですか」
後輩「あの、先輩、昨日はすいませんでした。わたし、どうかしてたんです。先輩に振られて、頭が真っ白になっちゃって……本当にすいません」
男「俺が悪かったんだよ、後輩が謝ることないって」
後輩「そんなわけないです! すいません! 幼馴染さん! すいません!」
幼馴染「まぁ、さすがに自分の彼氏に手を出されそうになったときはひやっとしたけどね」
後輩「すいません!」
幼馴染「でも君のおかげで男の目が覚めたんだし、プラマイプラだよ」
後輩「そんな……すいません!」
後輩「略奪愛なんて……わたしどうかしてたんです。本当に、本当にすいませんでした!
危うく取り返しのつかないレベルで間違えてしまうところでした!」
後輩「これから、おふたりの言うことにはなんでも従います! それがわたしの贖罪です! すいません!」
幼馴染「いやいや、自分を傷つけて、それで謝った気になられても困るよ。あと、君はなんでもするという言葉を軽々しく使い過ぎだろう」
後輩「ごめんなさい! でも、わたし、そうでもしないとあんな大それた間違いをしたお詫びにはならないと思うんです! すいません!」
幼馴染「……どうする、男?」
男「俺は謝る側の人間だから……」
幼馴染「そうか……」
幼馴染「じゃあ、こうしよう。君には私の友達になってもらう」
後輩「え?」
幼馴染「君が余計な真似をもうしないか、近くで監視するんだよ」
後輩「でも、そんな……」
幼馴染「そうでもしないと私の方が落ち着かないんだ」
後輩「……分かりました」
幼馴染「あと、男、後輩にはあまり近づくなよ?」
男「わ、分かってます」
幼馴染「……本当に?」
男「はい」
幼馴染「そうか」
幼馴染「じゃあ、よろしく、後輩」
後輩「は、はい、よろしくお願いします」
後輩「それじゃ、わたしはこれで。本当にすいませんでした!」トタトタ
幼馴染「さて、これで一件落着といったところか」
男「幼馴染」
幼馴染「ん?」
男「あの……本当にごめん」
幼馴染「昨日あんなに謝っただろう。もういいよ」
幼馴染「それに、あんまり謝られ過ぎると居心地が悪い」
男(…………)
男(幼馴染と後輩、ふたりに相当迷惑を掛けてしまった。
幼馴染がいいやつだからこうして丸く収まっただけで、本当はもっとこじれた可能性がある)
男(……俺にできることは、これから真面目で誠実に生きていくことだけだ)
男「幼馴染」
幼馴染「うん」
男「結婚の約束はひとまず白紙ということにさせてもらえないか?」
幼馴染「え?」
男「俺はまだ幼馴染を幸せにできる男じゃない。
だから、俺が幼馴染を幸せに出来る男になったとき、俺の方からプロポーズさせて欲しい」
幼馴染「君にそこまで求めてないんだが」
男「お願いだ、幼馴染」
幼馴染「…………」
幼馴染「分かった、君のわがままを聞くのはこれで最後だよ?」
男「ああ」
幼馴染「これからは、私のわがままを聞いてもらうからね」
END
以上で今度こそ終わりです
ご期待に添える結末にできたかは分かりませんが、ここまで読んでくださってありがとうございました!
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