妖精さん「にゃんぱすーなのん」わたし「にゃん?」 (168)
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妖精さん「にゃんぱすーなのん」
わたし「まあ、こんにちは、妖精さん」
妖精さん「にゃんぱすーなのん」
わたし「え?にゃん?」
妖精さん「のりがわるいですな」「あー」「のりがよくてもそれはどうかと」「そうですな」「がーん」「のん」
わたし(よく見たら、みんなカバンを持っていますね)
わたし「もしもーし?」
妖精さん「はい?」
わたし「今日は皆さんおでかけですか?天気もいいですし、ピクニックですか?」
妖精さん「ぴくにっく」「おかしもっておでかけー」「それもいいですな」「ひかれますなー」「のん」
わたし「え、えーと?」
妖精さん「きょうは、いあんりょこうですゆえ」ピョン
わたし「慰安旅行?」
わたし(まあ可愛い。この妖精さんは制服を着ており、どうやらみんなの幹事役をやっているようです)
妖精さん「はい、つかれをいやす、いあんりょこうです」
妖精さん「さすがしゃちょー」「しゃちょーについていきますー」「しゃちょーかっこいいー」「つかれにはおんせんがいいですゆえ」「のん」
わたし(ああ、幹事ではなく社長さんでしたか
わたし「へー、みなさんでどこにおでかけですか?」
妖精さん「あー」「どこってどこ?」「あっちかな?」「にんげんさんはふしぎなことをききますなー」「のん」
妖精さん「こっちです」
わたし(すると社長さん役の妖精さんは下を指さしました…どこなんでしょう?)
妖精さん「そうだー」「どしたどした?」「いっしょにいきましょー」「にんげんさん?」「かみさまー」「それはいちりありますな」「のん」
わたし「え?あっ、わたしはちょっと用事が…)
わたし(とても面倒な事が起きる予感が…さっさと逃げないと)
妖精さん「だいじょうぶです。わたくしがぶじおくります」
わたし「え?いえ、本当に行きたくないので」
妖精さん「さすがしゃちょー」「そこにしびれるーあこがれるー」「ぼくずっとしゃちょーについていくー」「のん」
妖精さん「では、しゅっぱーつ」「おー」
わたし「え?え?え?」
わたし(すると目の前の画面…いえ、目の前の光景がゆがみ。真っ暗な世界へ)
わたし「こ、ここはどこですか!?」
妖精さん「あー」「じかん?」「むちゃくちゃですゆえ」「はざま」「おー」「のん」
妖精さん「じくうのはざまですな」
わたし「え?何ですか?それ…」
妖精さん「あっちがみらい。こっちがむかし?」
わたし「あー、大変わかりやすいです。ありがとうございます」
わたし(昔使ったタイムスリップするバナナより、本当にわかりやすい説明をありがとうございました)
わたし「あっ、明かりが見えてきて…」
妖精さん「おー」「ごとうちゃくー」「どんなおんせんがあります?」「ごとうちおかしがたのしみですな」「のん」
わたし「え、えーと、こっちに明かりが見えて…明かりが近付いてくるということは…えーと」
わたし「え!?過去に行くんですか!?」
妖精さん「ごとうちゃくー」
ドスっ
わたし「いたっ!?」
わたし(どうやら上から落ちた模様。お尻から綺麗に落ちました…痛いです)
わたし(でも、そんなに高さがなかったお陰で怪我まではいってないかも…)
妖精さん「あー」「やつはいませんなー」「したしらべをしたほうがいいかと?」「あー」「もうておくれのかのうせいが」「のん」
わたし「え?なんですか?やつって?怖いのがいるんですか?」
妖精さん「でんじはのやつが」
わたし「なるほど」
わたし(そういえば、妖精さんは電磁波を浴びると鬱になって死ぬんでしたっけ?)
わたし「あれ?でも、昔はやつらだらけだったと聞いてますが?」
妖精さん「あー」「うんがよかったかと」「あぶなかったですな」「ほかのばしょだったらやられてたかも」「ぶるぶるがくがく」「のん」
わたし「あはははははは」
わたし(命にかかわるのに下調べ無しですか!あ、あれ?もし電磁波があったら、わたし帰れなく?)
わたし「あ、あの…わたしはいつ帰れるのでしょう…」
妖精さん「ぴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
わたし「なっ!?」
わたし(あっ、妖精さんが散り散りに逃げて…)
???「あ、あの…」
わたし「きゃあっ」
???「す、すいません。驚かせてしまって」
わたし「えーと、あの…その…」
わたし(ど、どうしよう。とりあえず言語は通じるみたいですが…えーと、なんて説明すればいいのやら)
蛍「あ、あの…私、この旭丘分校の小学5年の一条蛍です。その…怪しいものではありませんので」
わたし(ぶんこう?しょうがく?)
わたし「え、えーと…その…」
蛍「もしかして、外国の方ですか?何か困った事でも?」
わたし(外国…そういえば昔は国ごとに文化が違ったと聞きます)
わたし(きっとこの女性の方は、わたしを異文化から来た旅行者か何かと勘違いしてくれたのでしょう)
わたし(ええ、都合がいい解釈ですが、そういうことにしておきます)
わたし「はい。実はわたし異文化から来まして。さっき仲間とはぐれちゃって…」
蛍「でしたら、ここの学校に先生がいらっしゃいますので、一度話をしてみませんか?」
わたし「え?」
わたし(学校…先生…え!?もしかしてここが学舎!?)
蛍「あっ、その、全生徒の人数は5人なので小さい所ですが、ここは学校なんです」
わたし(5、5人!?わたしの時代の学舎でも88人はいたのに?)
わたし「…」
蛍「あ、あの…」
わたし「ちょっとお待ちください。えーと少し頭を整理させてください」
蛍「は、はい」
わたし(そもそもここは、どこなんでしょう?)
わたし(妖精さんの話だと、過去という話…)
わたし(いえ…ここはもしかして、わたしの時代より未来の可能性が…?)
わたし(…)
わたし(それはありませんね。そもそもわたしの時代に学舎は終わっているのですから…未来に人類が発展したとは考えにくいですし)
わたし(ということは、本当に過去…)
わたし(そういえば、Yの同類誌に学舎は複数…しかもたくさんあると書いてあったようななかったような…)
わたし(そう考えると、ここは比較的人が少ない学舎の可能性に行きつくわけですが…)
わたし(いえ、そんなことより今は妖精さんを探すことが先決かも…)
わたし(…)
わたし(半ば強制で連れてこられたから…探す道具も何もないですね…)
わたし(ここは未来から来たと言って…いえ、このまま異文化からの旅行者という方向性の方が…)
わたし(…)
わたし(う~ん)
蛍「あっ、授業が始まっちゃう」
わたし「え?」
蛍「すいません。教室に行きたいんですが」
わたし「そうですね。わかりました。遅刻は罰が怖いですし。すぐに行きましょう」
蛍「ありがとうございます」
わたし(ああ…勢いに乗ってしまうわたし…本当にこれでいいのでしょうか?)
ガラララッ
蛍「すいません、遅れました!」
一穂(先生)「大丈夫だよー。あと3分あるから」
小鞠「おはよう。蛍…って、あれ?」
夏海「おぉっ!大きい!」
れんげ「新しい!新しい転校生なん!?」
わたし(うぅ…子供が多いなぁ~…というか今『大きい』って言ったクソガキには後でお仕置きを)
一穂「あの?」
わたし「はい。わたしは異文化からの旅行者でして名を-----」
わたし(わたしは精一杯の愛想笑いと、長年培った営業トークで何とか場を…)
夏海「えっ!?外国!?外国人なの!?」
れんげ「そういえば髪の気の色がすごいのん!外人さんは初めて見たのん!」
わたし(君たちの髪の色も十分酷いですから、黙っててねクソガキは)
蛍「ちょっと皆さん、静かにしましょう。ほら、あのお姉さんも困ってますよ」
わたし(大人の対応ですね…って、お姉さん?)
わたし(さすがに、あなたにお姉さん呼ばわりされるほど、歳はとっていませんよ!?)
一穂「じゃあ、そのお探しの方達はこちらでも探してみますね」
わたし「あっ、いえ、自分で探しますので」
一穂「ところで宿とかは…?」
わたし「その…ありません」
一穂「あーでは、こっちでちょっと探してみますね」
わたし「すみません」
一穂「ちなみにお金は?」
わたし(お金…確か配給札の事ですね)
わたし「えーと連れが持っていたので、わたしはまったく無しでして…」
一穂「大変ですね。それは」
わたし(まさか同類誌の知識がここで役に立つとは…今の一瞬だけはYに感謝しましょう。はい感謝終了)
一穂「では、こっちでちょっと寝泊まりできる場所?とかお手伝いしますんで」
わたし「すみません。ありがとうございます」
一穂「みんなは自習しててね」
夏海「はーい」
夏海「おねーさんおねーさん!」
わたし(うわぁークソガキの質問タイムきましたー)
わたし(一難去って一難ですね…ゆっくりお昼寝したい…)
れんげ「どこから来たのん?どこから来たのん?)
わたし(それさっき言ったよね。言いましたよね?……ごめんなさい。言ってませんでした)
小鞠「す、すごい!大人のお姉さんだ!」
わたし(あはははは。この子は小さいなー。大人に憧れる5歳児ってところかな?)
蛍「皆さん。さすがに一度に聞き過ぎじゃ…」
わたし(大人が一人混じってくれると助かるな~)
兄「」ウン
わたし(この人は無口?…でも助手さんとはまったく違う無口のような気が…?)
わたし「そ、そうですよ。いきなり聞かれても困ります。えーとそれに…」
れんげ「あっ、ウチ!自己紹介!自己紹介するん!」
わたし「はい、名案です。お願いします」
れんげ「ウチ小学1年生!宮内れんげなん!」
わたし(しょうがく?小さい一級生って意味ですかね?)
れんげ「あっ!ウチとした事が初めての外人さんで興奮して忘れてましたん!」
わたし「え?」
れんげ「にゃんぱすー」
わたし(に、にゃん?どこかで聞いたような…)
わたし「…え、えーと?それは一体?」
れんげ「次はほたるんの番な」
わたし(って、無視ですか!)
蛍「えーと、さっきと同じですが、一条蛍。小学5年生です」
わたし「先程は助かりました。ありがとうございました」
蛍「い、いえ。そんな」
わたし(えーと、五級生?きっと家庭の事情とかあって学舎に入るのが遅かったんですね)
夏海「次はウチ!中学1年生!越谷夏海ちゃんでーす!」
わたし(来た!一番のウザガキ代表生…ってあれ?)
夏海「ウチの特技は…」
わたし「あの…その前に一ついいですか?」
蛍「はい?」
わたし「その…小とか中って何ですか?」
小鞠「あっ、えーと…小学が1年~6年あって、その後、中学生になるんです。中学生が1年~3年あって…」
わたし(なるほど…そういうシステムなんですね)
れんげ「ウチ!ウチは7歳なん!」
わたし「あっ、それわかりやすいです。グッドアイデア」
わたし(正直、何級生か興味ありませんし。まあ、ぶっちゃけ年齢にも)
夏海「ウチは12歳!今度の1月に13歳になりまーす」
わたし「12歳!?」
わたし(昔は発育が良いと聞いてましたが…Yが聞いたら驚くかも)
小鞠「私は14歳」
わたし「え?4歳?」
小鞠「違います!14歳です!」
わたし「……………………なっ!」
夏海「こまちゃんちっちゃいから4歳にも見えまちゅよねー」
小鞠「こまちゃん言うな!」
兄「…」
夏海「兄ちゃんは15歳」
わたし「へぇ~」
わたし(まぁ、年相応って感じですね)
蛍「あっ、私が11歳です」
わたし「…………………………………………………………………え?」
夏海「ほたるん凄いでしょーここら辺で一番大きいんだよー」
蛍「あ、あの…大きいとかは…ちょっと」
夏海「ごめんごめん。でも、おねーさんの方が大きいし、ほたるん負けちゃったねー」
蛍「そ、そうですね。私より大きい方、初めてかも…」
わたし(わたしが11歳の時も大きかった方でしたが…これほどでは…)
わたし(というか、この子は美人な分、わたしの方が負けてるかも…)
………
わたし(少し雑談をしました)
わたし(名前で呼ぶのも面倒なので…とりあえず…)
わたし(…)
わたし(そうですね。せっかくの異文化交流なのでいつもと違う呼び方を…)
わたし(まず、一番年下の子は…『糞生意気』ちゃん)
れんげ「外人さんすっごい美人なんな!」
わたし(いえ、『にゃんぱす』ちゃんと呼びましょう)
夏海「うおーすっげー!髪の毛!ふわふわだ!」
わたし(あなたの方がすっごい髪の毛ですよ?『パイナップル』ちゃん)
小鞠「ど、どうやったらそんな背が伸びて、大人のお姉さんになれるんですか!?」
わたし(Mっぽいから『M』ちゃん…)
わたし(いえ、別にわたしが一部に『М』と呼ばれていて、この子みたいに小さく生まれたかったなーとかで、同じ名称にしたわけではないので。決して)
わたし(でも、いい声で鳴きそうですね。Мだけに)
蛍「せ、センパイ。背の話は失礼かと」
わたし(『巨人』一択なのですが…わたしの方が背が高いし…ううむ)
蛍「あれ?センパイ。唇にノリがついてますよ?」
小鞠「え?え?あれ?ちゃんと朝ごはん食べて、洗ってきたのに」
蛍「ふふっ。そういう時もありますよね」
蛍「えーと…はい♪取れましたよセンパイ」
小鞠「んもー。そこまでしなくてもいいのに」
蛍「えへへ」
わたし(なんとなく巻き毛………世話焼きの妹っぽい感じがするから『妹』ちゃんで)
兄「…」
わたし「…」
………
わたし(先生…この方は先生だったんですね。先生は嫌な思い出しかないから、苦手です)
わたし(とりあえずこの先生がお世話してくれて、眠る場所をこの学舎に用意してくれました)
わたし(着替えはサイズが近い妹ちゃんが貸してくれるとのことです)
わたし(この時代の皆さんは優しくて涙ものです)
わたし(ちなみにみんなの授業中は暇でしたので、この国、にっぽんの歴史書というのを読みました)
わたし(ヒト・モニュメント計画に恐ろしく役に立ちそうな事がたくさん書いてありました)
わたし(あと『どらごんぼーる』という半裸の男達が喜びあいながら、SMを繰り広げる恐ろしいマンガを読みました)
わたし(Yが喜びそうです)
わたし(まぁ、慰安旅行中のわたしにはYも仕事も何も関係ありませんけど)
わたし(ちなみに今回の件は、日ごろ苦労しているわたしへのご褒美としておじいさんが用意した休暇と認識しました)
わたし(バカンスとしては色々心配が多いですが、何事も前向きが大切ですしね)
一穂「キーンコーンカーンコーン。はい、給食の時間だよー」
わたし「きゅうしょく?」
小鞠「あっ、お昼ご飯の事です」
わたし「そうなんですね」
わたし(あっ、ご飯の問題を…忘れてました…)
わたし(前向き終了。帰りたい。暖かいパンが食べたい)
一穂「あっ、お姉さんの分も用意しましたので」
わたし「あ、ありがとうございます!」
わたし(わぁい。優しくしてくれて嬉しいです………………本音は異文化の食べ物ちょっぴり怖い)
………
れんげ「手を合わせるのん。いただきます」
みんな「いただきます!」
わたし「…」
小鞠「わぁーい今日はカレーだー♪」
蛍「カレー美味しいですよね♪」
兄「」ウン
わたし(何と言うグロい光景…食欲が吹っ飛びました)
わたし(みんなドロドロの茶色の物を…なに?白い豆粒みたいな物の上にかけています)
夏海「そっか。おねーさん、これはお米の上にかけて…ほら、食べてみて」
わたし「…あ、ありがとう…」
わたし(す、すごい笑顔して、パイナップルちゃんが進めてくる…ぐ、ぐぐぐぐぐぐぐ)
わたし(…仕方ありません。食べ物を粗末にするなんて許せませんし…行きます!)
パクッ
わたし「なっ」
夏海「ね?美味しいっしょ?」
わたし「お、おいしい。美味しいです!」
小鞠「あっ、そういえば、外国ではお米の上にカレーをかけないんでしたっけ?」
わたし「おこ…め?」
蛍「この白いのがお米です。ここ日本の主食なんです」
わたし「そうなんですね。わたしがいた里ではパンが主食でしたので」
一穂「ほらほら。お喋りしないで食べないと、せっかくのカレーが冷えちゃうよー」
れんげ「はーいなのん」
わたし(この時代は卑怯です。だって牛乳も全然美味しくて…)
わたし(食文化ってこんなに素晴らしいものなんだと認識されました)
わたし(やっぱり異文化交流というものは良いものですね)
………
一穂「はい。今週もやーと授業終わりー」
一穂「じゃあ、みんな気を付けて帰ってねー」
わたし「そういえば寮ってどこなんですか?近くに大きな建物はありませんが…」
蛍「いえ、近くに家があるので、そこに帰るんですよ」
わたし「なるほど」
わたし(家の近くに学舎が…わたしもこんな時代に生まれたかったかも…)
れんげ「外人さん!外人さんは暇なん?」
わたし「えっ…えーとその…」
わたし(暇じゃありません!暇って答えたらどうせ『遊ぼう』って言うんでしょ?)
わたし「その…ちょっと忙しい…かな?」
れんげ「そうなん…」
わたし(そ、そんなにションボリしないで。まるでわたしが泣かせてるみたいで…)
わたし「いいえ、暇ですよ?今日はここで泊まる予定ですし」
れんげ「みんな!外人さん暇なん!一緒にあそこに行くん!」
小鞠「あっ、おっけー」
夏海「おぅ!れんちょん!グッドアイデア!」
蛍「さすがれんちゃん」
れんげ「照れますな」
わたし(ああ、意志が弱いわたし…)
………
わたし「綺麗…」
小鞠「春だったら桜も咲いてるんですよ」
蛍「私も最初ここに来た時、びっくりしました」
わたし「学舎の裏にこんなに見晴らしがいいところがあるなんて…」
夏海「えへへ。最初はウチが見つけたんだよねー」
れんげ「おぉ!さすがなっつん!」
わたし(それにしても…山も川も見えて…ここまで綺麗に整っているなんて…)
わたし(わたしの時代では、廃墟や残骸があって、中々こんな光景を見るなんて機会は…)
わたし(………)
わたし(それにしても綺麗…)
わたし(来て良かったかも…)
蛍「あっ、そういえば今晩のご飯はどうされるんです?」
わたし「…あっ」
わたし(今までのサバイバル経験から食料は大事とあれほど…)
わたし(もしかして旅行気分+平和な時代のせいで間隔がおかしくなってる?)
わたし「お恥ずかしい話…忘れてました」
蛍「あ、あの。実は1週間ほど親が東京の方に仕事で出ていて…誰もいなくて」
わたし(とうきょう?)
蛍「それで、今晩みんながうちに遊びに来るんです。よかったら一緒にどうですか?」
わたし「それは嬉しい提案なのですが…その大丈夫ですか?わたし一応身元不明ですよ?」
夏海「大丈夫大丈夫。それにほたるんは強いからさー」
小鞠「確かにこの辺じゃ一番の力持ちだよね」
蛍「せ、センパイ!?」
わたし(気も利くし…何ですかこの子…完璧超人?)
わたし「では、お言葉に甘えてお邪魔させてもらいますね」
れんげ「やったーん♪」
………
わたし(夕食にシチューを頂き…ええ、わたしの時代のシチューとは全然別格で大変美味しかったです)
蛍「すいません。洗い物手伝って貰って…」
わたし「いいえ。今日はすごくお世話になりましたし」
わたし(そうですよ。今日妹ちゃんに会わなかったら、学舎にも行けなくて今頃野宿の可能性が…)
わたし(ああ、寝床やご飯がある生活って素晴らしい)
蛍「…」
わたし「…」
蛍「あ、あの…」
わたし「ん?どうかしました?」
蛍「えーと…お姉さんって小さいころから背が高かったんですか?」
わたし「…」
わたし(…なるほど…)
わたし「そうですね。ええ、よくバカにされてました」
蛍「わ、私もです!一年で急に成長しちゃって」
わたし(やっぱり…わかります。ええ、わたしもその気持ち、すっごくわかります)
蛍「特に男子がバカにしてきて」
わたし(あっ、やっぱりわからないです)
わたし(きっとそのクソガキ様の心情は、好きな人ほどいじめたいという奴なんでしょうね)
わたし(こんなに美人なら、そりゃあモテモテなんでしょうねー)
蛍「女子は優しくしてくれたんですが…なぜか怖い目で見られて…憧れの目もあったのですが…」
わたし(うわぁー表面上だけ優しくする女の子怖い~)
わたし「そうですね。ちょっと他の人と違うだけで苦労するものですよね」
蛍「は、はい」
わたし「…」
わたし「あれ?でもここで、バカにしてくるような…怖い目で見るような人はいませんでしたけど?」
わたし(というか男子や女子というほどの、数…人間さん達が見当たらないような…?)
蛍「あっ、私東京…もっと人が多い、都会の方の学校にいて…1年くらい前に引っ越してきたんです」
わたし「なるほど」
わたし「では、よかったですね」
蛍「え?」
わたし「こっちではそんな変な目で見るような人たちはいないんでしょ?」
わたし(妹ちゃん以上に変な子ばかりですし)
蛍「は、はい。その…私、最初は人が少なくてびっくりしたんですが、本当にいい人たちで…」
わたし「ふふっ。自分の居場所が見つかるって素晴らしいですよね」
蛍「はい!」
蛍「それに…その…好きな人も出来て…」
わたし「えっ?」
わたし(ははあ。あのメガネくんですね。まぁ、他に男の子いませんし)
蛍「あっ、というか…私は何の話をしてるんでしょうね。あはははは」
わたし「ほら、どなたですか?こんな美人の心を掴むなんて」
わたし(恋話は正直勘弁ですが、人の話となると不思議と興味がわくものです)
蛍「え、えーと…あの…」
わたし(妹ちゃんが指さしたのは…あっちの部屋でテレビを見てる…メガネくん…じゃなくて…)
蛍「き、きゃあっ。言っちゃった//」
わたし(ぎ、ぎゃあっ。聞いちゃった)
わたし(ま、まさかМちゃんとは…まぁ、気持ちわからなくもないですが…いえ、まったくわからないんですが)
蛍「で、でも女の子を好きに…って気持ち悪いですよね?」
わたし「そ、その…恋愛は自由といいますし。好きに恋愛していいと思いますよ。わたしの知り合いにもいましたし」
わたし(ああ思い出したくない過去が…)
蛍「そ、そうでしょうか」
わたし「ただし、相手のいやがる事は絶対にダメ。特に夜な夜な刃物で人形を…いえ、知り合いの話なんですけどね?」
蛍「は、はい」
蛍「夜な夜なこまぐるみの作成は…少し控えようかな…」ボソッ
わたし(ああ…巻き毛のあれを見なければ…今でもトラウマ…)
わたし「いいですか?決して相手の事を思いやる事ができない…ヤンデレ化…ではなく、病気的に愛したらダメですからね」
蛍「は、はい。気をつけます」
わたし「…ふぅ…あれ?どうしてこんな話になったんでしたっけ?」
蛍「あっ、えーと…その…」モジモジ
わたし「?」
蛍「私、姉が欲しくて…そのお姉さんが理想的な姉で…」
わたし「なるほど…」
わたし(そう言われるとわたしも背が高いとか、相談したりできる相手が欲しくなった時期があったかも…)
わたし(Yとは酷い関係だったし、おじいさんとは今ほど和解できてなかったし…)
わたし「ふふっ。そうですね。わたしで良かったら期間限定ですが、姉と思っても構いませんよ」
蛍「あ、ありがとうございます」
わたし(あら、赤くなっちゃって可愛い…………………でも、惚れないでね?)
わたし(男性にはモテませんが、巻き毛の件のせいで、女の子に好かれそうになるのが怖くて怖くて)
蛍「そういえば、お姉さんには恋人とかいるんですか?」
わたし「え?…………いませんよー」
わたし(一瞬助手さんが頭に出てきましたが、わたしは忘れることにしました。はい、忘れた)
蛍「そうなんですね。どういう方がタイプなんですか?」
わたし「そうですね…身長は私より低くて…華奢で…できたら優しくて…大人しくて、礼儀正しくて、堅実で…でもたまには、大胆?」
わたし(わたしはなぜか昔あった出来事を思い出して…)
蛍「ふふふっ。もう決まった相手がいるみたいですね」
わたし「え?いえ、そんな事はないんですよ」
蛍「私も一緒です。お姉さんと好きなタイプは一緒だと思います」
わたし「好みまで一緒なんて、本当に姉妹みたいですね」
蛍「えへへ~。本当ですよね」
わたし(きっと私に妹がいたら……………いえ、こんないい子は無理だったでしょうね)
わたし(それからも楽しい雑談をして、洗い物を楽しみました)
わたし(そういえば、水道からお湯が出たのはびっくりでした)
わたし(もちろん台所でって意味で、お湯で洗い物ができるなんて手に優しいです)
わたし(これがわたしの家にもあれば…おじいさんに提案してみようかな?)
………
わたし(何だかんだ言って、妹ちゃんの家にみんなでお泊まりしました)
わたし(最初クソガキ代表と思っていたパイナップルちゃんが、実は周りを良く見ているいい子だという事)
わたし(クソガキ候補のにゃんぱすちゃんも年齢のわりにしっかりしているけど、ちょっと元気がありすぎる子だという事)
わたし(一番年上の大人の女性を目指すМちゃんが、何気に一番年下っぽくて)
わたし(こんないい子が集まるなんて…信じられないくらい楽しいお泊まり会になりました…終わり)
わたし(と言いたいのですが、はい。終われません)
わたし(だって、わたしはまだ帰れないのですから…)
■二日目
わたし「絵本ですか?」
れんげ「うん!読んでほしいのん」
わたし「仕方ありませんね…えーとさんたくろーす?」
れんげ「ウチわくわくが止まりません!」
わたし「えーと…」
わたし(サンタクロース。血にまみれた様な洋服を来たお爺さんが、夜な夜な家にやってきて何かを置いていく話…)
わたし(しかも何故か欲しいものがわかって…)
わたし(妖精さんの一種なのでしょうか?恐ろしいですね)
■三日目
わたし「え?実在しない?」
小鞠「はい。サンタクロースは子供に夢を与える嘘で…その本当はいないんです」
わたし「なるほど…確かに夢はありますね。夢は」
わたし(よかった。恐ろしいおじいさんはいないんですね)
わたし(怖くはありませんでしたよ。本当です)
小鞠「親が子供の枕元に置いててくれるんです」
わたし「なるほど。それで手紙を親が回収するシステムなんですね」
小鞠「はい」
■四日目
わたし「雪…ここは雪もふるんですね」
夏海「おねーさん!今日はクリスマスなんだよ!」
わたし「くりすます?」
夏海「今日は夜にサンタさんが来るんだ!」
わたし「ああ、この前の…」
夏海「ウチ、新しいゲームが欲しいって手紙に書いたから、明日一緒に遊ぼう!」
わたし(ゲーム…ああ、この前一緒に遊んだ。あのハイテク娯楽の)
わたし「いいですよ。でも今度は負けませんからね」
夏海「ウチだって!」
■五日目
れんげ「…」
夏海「…」
わたし「あ、あら?どうかしたんですか?昨日はあんなに明るかったのに」
れんげ「サンタさん来なかったのん…」
夏海「ウチには参考書が…」
わたし「あ、あら…」
れんげ「ウチ…いい子にしてたのん…お手伝い足りなかったのかなん…」
夏海「ウチはちょっぴりダメだったかも…」
わたし「…」
わたし(ちなみに先生がにゃんぱすちゃんのプレゼントを枕元に置くのを忘れていたそうです)
わたし(忘れていたというより、にゃんぱすちゃんより先に眠ってしまったらしく…)
わたし(次の日に置くのも変な話になってしまって…という話らしいです)
わたし(…)
わたし(なんとなく、この話の終わりが見えてきました)
■六日目
蛍「お菓子作りですか?」
わたし「ええ。実はお菓子作りが得意でして、みんなにお返しがしたいなっと」
蛍「あ、ありがとうございます!みんな好きなので喜びます!」
わたし(あの子たちが暗いのは…見てられない)
わたし(これで少しでも明るくなってくれれば)
わたし(そして、お菓子に釣られた妖精さん達が現れてハッピーエンド間違いありません)
わたし(…)
わたし(約1週間も仕事サボって…おじいさんに怒られる…ええ、確実にカミナリが落ちるでしょう…)
わたし(…はぁ)
蛍「あっ、でも材料がないかも…」
わたし「どこかで売ってないんですか?」
蛍「ちょっと遠くて…今から行きます?」
わたし「はい、是非♪」
わたし(ちなみにお金は先生の助手をしたので、少し持っています)
わたし(実は当初、授業中に妖精さんを探したのですが中々見つからず)
わたし(ずっとお世話になるのも何か申し訳なくて。お手伝いをしていました。学舎が休みの日も)
蛍「せっかく何でみんなを誘ってもいいですか?」
わたし「はい♪」
………
このみ「へぇ~。人を探して?」
小鞠「そういえば、まだ見つからないんですね」
わたし「え、ええ」
わたし(お菓子さえあればすぐに見つかる予定なんですが)
蛍「夏海センパイとれんちゃんは、今やる気がないって…」
わたし「そうですか…。じゃあ、とびっきり美味しいお菓子を作って励ましましょう!」
蛍「はい!」
ガタンゴトン
わたし(おじいさーん。わたし乗ってますよ!おじいさんがヨダレを出して喜びそうな物に!)
わたし(いえ、ヨダレはいいすぎですね。目を輝かせて、裸で発狂するくらいで)
小鞠「でも、夏海もまだサンタさんを信じてるなんて子供だよね」
このみ「どちらかというと小鞠ちゃんの方が信じてそうだけどね」
小鞠「え?」
このみ「え?」
蛍「あ、あの…」オロオロ
わたし(Мちゃんと相性がいいので、この新キャラは『S』と呼びましょう)
ガタンゴトン
小鞠「着いたー」
わたし「す、すごい…ビルが高い…」
蛍「東京とかはもっとすごいんですよ」
わたし「え、え?これ以上?」
このみ「私も一度東京に行ってみたいなー」
小鞠「お姉さんってどんな所に住んでるんですか?」
わたし「えーとこっち風で言うと、西欧の田舎町って感じですね。レンガとかの」
わたし(最近マンガでたくさん知識を得たので、簡単に言えます)
このみ「わぁーっ。そういう所、一度でいいから行ってみたいかも♪」
蛍「憧れますよね」
わたし「いえいえ、そんなに良い所ではないんですよ?」
わたし(故郷が褒められるのって、いい気持ちになれますよね)
………
わたし(デパートに感激を覚え。そして着せ替え人形のように弄ばれました…)
わたし(あんなハレンチな格好まで…もうお嫁に行けないかも…)
このみ「えーっ。せっかく似合ってたのにあの服買わないの?」
わたし「え、ええ。わたしの故郷ではあの服は…ちょっと」
わたし(敬語を使え)
このみ「せっかく似合ってたのになー」
わたし(もっと年上を敬え。この時代の教育は全然ダメのようですね)
わたし(でも、同じく敬語を使わない、パイナップルちゃんにはイラッと来ない…なんででしょう?不思議です)
小鞠「でも、こっちにいる間はあの服が似合うと思いますよ?」
蛍「ええ、すっごく綺麗でした」
わたし「い、いえ。この妹ちゃんの服だけでも十分なので…」
このみ「妹ちゃん?」
小鞠「蛍の事。お姉さんが住んでた所では、あまり本名で呼ばないんだって」
このみ「へぇ~」
わたし(嘘ですけどね)
このみ「そういえば、いつまでこっちにいるの?」
わたし「へっ?」
このみ「だからいつまで日本に滞在するの?」
蛍「…」
小鞠「…」
わたし(さすがSです。他の人が聞きにくい事をズバズバと…)
わたし「たぶん、あと2・3日…。すぐに探し人は見つかると思いますので」
蛍「2・3…」
小鞠「…日」
店員「お待たせしましたー」
このみ「キャー♪ここのパスタおいしーんだよねー♪」
わたし(こういう空気が読めない子は苦手です)
小鞠「そ、そうだね。スパゲティ食べよスパゲティ」
蛍「は、はい」
わたし(あっ、でも…今回は重い空気が、少し軽くなったかも?)
このみ「でも、2・3日かー。寂しいよねー」
小鞠「そうだね」
蛍「もっとお姉さんと一緒に遊びたかったです」
わたし(あーはいはい。やっぱり空気が読めない子は苦手です)
………
小鞠「」ジー
蛍「あっ、このエビのトマトクリームパスタ。食べます?」
小鞠「うん。ありがとう!………………美味しい♪」
蛍「私ここのパスタ大好きなんですよ♪」
小鞠「じゃあ、お返しに私のナポリタンを」
蛍「え?そ、そんな、悪いです…」
小鞠「いいっていいって、はい。あーん」
蛍「けど、せっかくなので頂きます♪」キャー
わたし「…」
このみ「あの二人っていつもああで仲がいいんだよねー」ボソボソ
わたし「そ、そうなんですね」ボソボソ
わたし(よかった。思った以上にうまくいってるんですね…)
わたし(…でも、恋愛的にМちゃんが好きとМちゃんが気付いたら…)
わたし(Мちゃんはどうなるんでしょう…)
わたし(少なくても今の関係のままじゃいられなく………今以下か。成功してそれ以上になるか…)
わたし(…)
わたし(恋って悲しいものですね)
………
わたし「そういえば、パイナップルちゃんが欲しいゲームって何ですか?」
このみ「えーと…確か…これだね」
わたし「わたしははМちゃんに聞いたつもりだったんですが…あなたって何でも知ってるんですね?」
小鞠「え、Мって私の事!?」
このみ「ふふーん、越谷家の事なら何でも知ってるよ!こう見えても越谷家マスターだからねっ!」
小鞠「SSサイズじゃなくてМサイズに見えるって事!?やった!」
蛍「よ、よかったですね…センパイ」
小鞠「うん♪」
わたし(越谷家マスターって何ですか?何でそんなにドヤ顔なんですか?あとМちゃん、本当の意味は………ね?)
わたし(ああ、ツッコミが間に合いません)
わたし「って、ゲームってこんなに高いんですか!?」
このみ「そうだねー。新作だし、このくらいはするかも」
わたし「電車賃にお菓子の材料にお昼に…ああ、もうお金がそんなに残ってません」
小鞠「…」
パッ
わたし(って、あっ…Мちゃんがレジにゲームを…)
店員「ありがとうございましたー」
蛍「せ、センパイ?」
小鞠「夏海は私の妹なんだもん…お母さんにお釣りは返しなさいよって、お小遣いを多めに貰ったんだけど…」
小鞠「お母さんは怖いけど…私は夏海のお姉ちゃんなんだから、お母さんに怒られて、それで済むなら…」
小鞠「夏海が喜ぶなら…私これくらい」
わたし「はぁ~。さすがお姉ちゃんですね。はい」
小鞠「え?」
わたし「わたしには、にっぽんのお金は必要ありませんから。残ったお金をお渡しします」
小鞠「そ、そんな。悪いですって」
わたし「いいえ、妹の為に頑張る姉に感激をうけましたので、そのお礼です」
わたし(ともっとも的な事を言って、おしつけました)
わたし(正直、お金なんて邪魔ですし…………………ええ、邪魔だったから渡したという事にしておいてください)
このみ「もうっ。仕方ないな…はい。私からも少しだけど」
小鞠「え?」
このみ「私もなっちゃんの笑顔が見れないと寂しいからね」
蛍「あ、あの私も少なくて…本当に悪いんですが…」
小鞠「ほっ蛍はいいよ!」
蛍「いいえ!私だって夏海センパイの落ち込んだ顔は見たくありません!」
蛍「それに小鞠センパイが、お義母さんに怒られる所はもっと見たくないんです」
小鞠「蛍…ありがとう。本当にありがとう」
わたし(お義母さんって…あなた何を言ってるの?)
小鞠「お兄ちゃんも…ありがと」
兄「」ウン
わたし(いたんですか…)
小鞠「ありがとう…みんな。本当に妹の為にありがとうございます!」ペコッ
わたし「いいんですよ。これはあなたが親に怒られてでもという勇気に感動しただけなんです」
わたし「だからお礼なんていりませんよ。小鞠ちゃん」
わたし(ふふ。わたしカッコよかったです。ええ、黒歴史にしたいくらい)
わたし(なぜ黒歴史かって?)
わたし(実は帰りの電車賃の事をすっかり忘れていたので、恥ずかしながらお金を少し返してもらいました)
わたし(今度からもうちょっと考えてお金を使うことにします)
わたし(まあ、今度はもうないんですけどね)
■夕方
夏海「えー、なにー?」
小鞠「はい、夏海。プレゼント」
夏海「え?」
小鞠「サンタさんからプレゼント貰えなかったんでしょ?」
夏海「え?も、もしかして…」
わたし(この後、微笑ましい姉妹の感動シーンがあったのですが、カットします)
わたし(ええ、見ていて恥ずかしくなって逃げ出しちゃいました)
わたし(だから、実を言うとわたし見ていないんです。ええ、本当にこのクソガキ共には困ったものです)
わたし(…それに…)
わたし(それにそろそろお菓子を作らないと終盤が…)
………
蛍「す、すごい!美味しそう!」
わたし「とりあえず、試しにいくつか作ってみました」
蛍「な、何かお手伝いできることはあります?」
わたし「そうですね…ラッピングを手伝って貰っていいですか?」
蛍「は、はい」
わたし(私達仮の姉妹の最後の共同作業…ええ、妹ちゃんは本当にいい子でしたよ)
………
わたし「ふぅ…疲れた。って、まだ今からが本作業。ファイトっ私!」
夏海「おねーさん?」
わたし「」ビクッ
夏海「えーとその…ありがとう。おねーさん」
わたし「え?何のことです?」
夏海「そのゲームの事…おねーさんもお金払ってくれたんでしょ?」
わたし「いいえ、勘違いしないように」
わたし「わたしはお金が邪魔だったから、たまたま近くにいたМちゃんに渡しただけ」
わたし「それだけなんです」
わたし(正直言うと、こういうのって照れくさいですよね)
■修正
わたし「ふぅ…疲れた。って、まだ今からが本作業。ファイトっ私!」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
わたし「ふぅ…疲れた。って、まだ今からが本作業。ファイトっわたしっ!」
夏海「そうなんだ…」
わたし「ええ、そうなんです」
夏海「でも、ウチ最高に幸せだよ。ありがとうっ。おねーさん♪」ニコッ
わたし「…どういたしまして。夏海ちゃん」
わたし(この眩しすぎる笑顔…わたしには毒です)
わたし(だから『どういたしまして』を言う事で精一杯でした)
わたし(笑顔で返した方が良かったのかな…)
わたし(勉強を頑張っていい子して、来年は本当のサンタさんにプレゼントを貰ってね)
わたし(とかとか、言いたかったのですが、後に残るのは後悔ばかりです)
………
わたし「どうですか?お菓子は美味しいですか?」
れんげ「うん!こんなに美味しいお菓子は駄菓子屋でも売ってないのん!」
わたし「駄菓子屋…ああ、あの体に悪そうな物ばかり売っていた…」
れんげ「でも、駄菓子屋は大好きなん♪」
わたし「へぇ~」
わたし(一度だけ行きましたが、とても怖い怖いお姉さん?がいたので、わたしは逃げ出しました)
わたし「そういえば、あなたは…サンタさんに何をお願いしたんですか?」
れんげ「手紙を書いたのん!」
わたし「その手紙の内容は?」
れんげ「秘密なん!」
わたし(…やっぱりクソガキですね)
れんげ「…」
わたし「ん?何か聞きたそうですね?」
れんげ「もう帰るん?」
わたし「え?」
れんげ「もう外国に帰るん?」
わたし「そうですね。うちの祖父も心配していますし」
れんげ「そふ?って何なん?」
わたし「おじいさんって事ですよ」
れんげ「そうなんな…外人さんにも家族はいるんな」
わたし「…ええ、今はもう…たった一人だけですけど」
れんげ「一人なら余計じぃじぃは心配してるん?」
わたし「どうでしょう?きっとケロッとして、わたしにどう罰を与えるか?喜びながら考えてると思いますよ?」
わたし(嘘…本当は心配してて貰いたい…でも…この嘘は心が痛い)
れんげ「嘘なん!外人さんはいい人なん!絶対にじぃじぃは心配してるのん」
わたし「…………だと、いいんですが」
れんげ「外人さんが探してるのって、じぃじぃなん?」
わたし「いいえ。とっても小さい…お友達です」
れんげ「こまちゃんくらいん?」
わたし「いいえ、もっともっとですね」
れんげ「…見つかるといいのんな」
わたし「ええ、でも大丈夫。もう少ししたら見つかりますから」
れんげ「…」
わたし(そう。今夜にはお菓子が完成。明日の早朝には出ようと思ってます)
わたし(それで、この夢のような世界は終了)
わたし(………)
わたし(本当に夢のような1週間でした…)
■その日の夜
蛍(明日はママ達が帰って来る日…)
蛍(今日までずっとお姉さんを泊めていたけど…)
蛍(きっとママ達は反対するよね…)
蛍(学校にお姉さん用のお布団はあるけど、寒いかも…)
蛍(それに、お姉さんが本当の姉みたいで…私ずっと姉が欲しかったから…)
蛍(離れたくない…)
わたし「さあ、最後のお菓子作りをしますよ!」
蛍「はい!」
蛍(でも、出会いにはお別れがあるもの…だから、だから)
蛍(私は、今のこの瞬間を楽しみたい!)
………
わたし「ふぅ~。あともう少しで完成ですね」
蛍「あ、あの…こんなにお菓子を作ってどうするんですか?」
わたし「ああ、えーと…そのね。わたしの連れは大のお菓子好きでして」
わたし「お菓子の匂いをたどって、きっとわたしを見つけてくれるはずなんです」
蛍「そ、そうなんですね」
蛍(お姉さんの連れって。不思議な人だな~)
わたし「では、最後の一仕事を終わらせて、残りの時間はお菓子をつまみながら、お喋りでもしましょうか?」
蛍「は、はい!」
わたし「あっ、そうです。Мちゃんも呼びましょうか?きっと来てくれますよ」
蛍「そうですね!」
蛍(お姉さん、私に気を使って…将来こんな人になりたいなぁ~)
蛍「では、電話を…」
ガララララッ
夏海「ほたるん!」
小鞠「蛍!」
わたし「噂をすれば何とやらですね♪」
蛍「ですね♪」
夏海「れんちょんが!れんちょんが!」
蛍「れんちゃんがどうかしたんですか?」
小鞠「いなくなったの!こっちに来なかった!?」
蛍「…え?」
わたし「いえ、来てませんよ。家に帰ったのでは?」
夏海「それが、かず姉がお風呂に入っている間にいなくなったって!」
小鞠「机にメモがあって『探し物を探してくるのん』って」
蛍「す、すぐに探しに行きましょう!」
わたし「待って下さい!落ちついてください。子供だけで外を出歩くのは危険です。他に心当たりは?」
夏海「それが…駄菓子屋にも行ってないし…」
小鞠「学校に行ったわけでもないし…」
蛍「れんちゃん…」
わたし「…」
蛍「お、お姉さん!やっぱりすぐに探しに!」
わたし「いえ、あてもないのに探してもダメです」
蛍「で、でも」
わたし「『探し物を探しに』…探し物って何でしょう?」
夏海「わ、わからないよ…ウチのバカ!ずっとずっとれんちょんといつも一緒にいた癖に!」
小鞠「わ、私もわからない…」
蛍(探し物?な、なんだろう…探し物…何かを探して)
わたし「…じゃあ、考え方を変えましょう」
わたし「もう基本的な所は探したんですよね?」
夏海「う、うん。だいたいれんちょんが行きそうな所は…」
小鞠「そもそも、蛍の家の周辺の住宅地以外は家が少ないし…」
わたし「では、消去法で行くと………」
蛍(お姉さんの視線の先は…)
夏海「ま、まさか…こんな時間に山?」
小鞠「っ!」
蛍「そ、そんな…」
わたし「ちなみに今の季節の山って危険なんですか?」
夏海「…そんなに…でも、冬眠中の熊とかイノシシとかいないとは言えないし…」
小鞠「それに古い橋とか多いから、落ちないとも…」
兄「」ウン
蛍「れんちゃん…なんで…」
わたし「…」
夏海「で、でも、やっぱり山はないかも…『探し物』なんて何もないよ!」
小鞠「そ、そうだよね!今の季節の山は何にもないし!」
兄「」ウン
蛍(探し物、何かを探して…ううん。もしかしたらもっと違う…………誰かを探して?)
蛍「あっ…」
わたし「どうしました?妹ちゃん」
蛍「もしかして、お姉さんが探している人を探して…?」
わたし「っ!?」
夏海「いやいやいや、それこそないって。だって今まで散々その件は放置していたのに」
小鞠「そうだよ。何で今更!」
わたし「い、いえ。今日…にゃんぱすちゃんに…わたしの連れの特徴を聞かれました…」
夏海「ぇ…」
わたし「こうなったら!妹ちゃん!」
蛍「は、はい!」
わたし「今からお菓子を作りますよ!さっさと完成させます!」
蛍(………………………………え?)
夏海「な、何を言ってるの!?れんちょんは!れんちょんはおねーさんの為に山に行ったかもしれないのに!」
わたし「いえ、だからこそ。わたしの責任だからこそ。お菓子を作るんです」
夏海「意味わかんない。意味わかんないよ。ウチはれんちょんを探す!」
小鞠「お、お姉さんが…お姉さんが…頭がおかしくなっちゃった」
わたし「ええ、変と言われようと結構。さあ蛍ちゃん手伝って」
夏海「おねーさんなんて知るか!ウチは今から山に行くからね!」
小鞠「ま、待って夏海!」
わたし「メガネくん!二人の事は任せます!」
兄「」ウン
蛍(わ、私はどうすれば…?)
わたし「さあ、急いで!」
蛍(せ、センパイの言うとおり、お姉さんは頭がおかしく…?)
蛍(それともれんちゃんを見捨てるくらい…酷い人…?)
わたし「…」
蛍(あっ、お姉さんが一人でお菓子作りを…)
蛍(わ、私は…わたしは…)
わたし「ええ、わかってます。わたしが変な事をやってるのは…」
蛍「だ、だったら、れんちゃんを探しに…」
わたし「信じてくれませんか?今だけ、少しだけでいいんです。信じて一緒に作ってくれませんか?」
蛍「…」
蛍(な、何を信じれば…何を…)
わたし「…少しの間の…期間限定の身分でいうのもおこがましいですが…」
わたし「あなたの、姉を…わたしを信じてくれませんか?」
蛍(…………………)
蛍(わからない、わからない、わからないけど)
蛍(サンタさんから参考書を貰って落ち込んでいた夏海センパイの為に…)
蛍(小鞠センパイに持っているお金を全部差し出したのはお姉さんだ…)
蛍(それに私はこそっと見ていた…れんちゃんにサンタさんへのお願いは何をしたのか?)
蛍(お姉さんはそれをれんちゃんに聞いていた)
蛍(こんな事、れんちゃんの事を気にしないと出来ない)
蛍(それにそれに…私とセンパイの事を気にしてくれた)
蛍(お昼食べたパスタ…お姉さんはずっと私の事を見守るように見ていてくれた…)
蛍(嬉しかった…嬉しかった…)
蛍(私の事もだけど、夏海センパイ。小鞠センパイ。れんちゃん)
蛍(みんなの事を気にしてくれた。お姉さんが嬉しかった)
蛍(だから、だから、これは恩返し)
蛍(だから、私はお姉さんを信じたい)
蛍「わかりました!で、でも、お菓子を作った後、絶対にれんちゃんを助けてください!」
わたし「ええ、任せてください」
わたし「そして、信じてくれてありがとう」
………
蛍「ラッピングが終わりました」
わたし「では、お菓子を持って外にどうぞ」
蛍「え、ぜ、全部ですか?」
わたし「さあ、急いで」
………
蛍「ぜ、全部持ってきました」
わたし「甘ーい甘ーいお菓子はいりませんかー?」
わたし「妖精さーん。たくさんたくさんのお祭りですよー♪」
妖精さん「わーい」「おかしのにおいー」「おまつりおまつりかいじょうはここですか?」「のん」
蛍(なっな!?)
わたし「やっぱり、この家の下に隠れていたんですね。声がたまに聞こえてたので、もしやと思ってたのですが」
妖精さん「あーにんげんさんだー」「かみさまだー」「かくれんぼみつかっちゃった」「のん」
わたし「さあ、妖精さん!わたしのお友達が行方不明になりました。早急に探します!」
妖精さん「ゆくえふめい?」「なに?」「あー」「そうさふのうかと?」「のん」
わたし「…かくれんぼです。わたしの友達がかくれんぼしてるので、みなさんで見つけましょう!」
わたし「見つけたら、お菓子一杯!お菓子祭りです!」
妖精さん「わーい」「かくれんぼたのしいですゆえ」「あれあれがいいのでは?」「あー」「そうですな」「のん」
蛍「え?え?え?」
わたし「さあ、すぐに見つける道具を作ってください。自体は深刻です」
蛍「あ、あの…」
わたし「あっ、やっぱりあれが見えます?まあ、見えなかったら見えなかったで、わたしは痛い人なんでしょうけどね」
蛍「み、見えます。小さい人が…あれって何なんですか?」
わたし「あの子たちは…そうですね。奴隷…使い魔…召使い…うーん」
蛍「あ、あの…呼んでますよ?」
わたし「え?あっ、何ですか?」
妖精さん「できました」「かんぺき」「ぐれーと」「このあたまがなんだって」「あとはおきがえ」「のん」
わたし「まあ、素敵♪」
わたし「妖精さん。空気を読んでくれたんですね。素敵です」
わたし「…って、この衣装は…すこしハレンチのような…」
妖精さん「この世界の需要に合わせてみました」
わたし「って、社長さんいらっしゃったんですね」
妖精さん「じつはかくかくじかじかで」
わたし「なるほど、手をたたくと…それは素敵。さすがです」
蛍「あ、あの…こ、これって?」
わたし「ついでに…な薬を用意しておいてもらうと助かります」
妖精さん「おまかせあれー」
蛍「え、えーと?」
わたし「ふふっ♪」
わたし「さあ、夢の時間の始まりですよ。妹ちゃん♪」
\パンっ/
蛍(お姉さんが手を叩くと…)
蛍(なっ!?)
蛍(ミニスカサンタ姿のお姉さんが!?あとトナカイとソリ!?)
蛍「…お、お姉さんが………サンタさん!?」
わたし「はい♪実は、わたしは夢の国のサンタさんなんです」
蛍「えぇ!?」
わたし「そしてこの子たちは妖精さん。サンタを手伝ってくれるんです」
妖精さん「かみさまのおてつだい?」「よろこんで」「まっかなーおはなのー」「のん」
わたし「まぁ、細かい事は置いておきましょう。行きますよ!にゃんぱすちゃんを探します!」
妖精さん「にゃんぱすー」ビシッ
蛍(妖精さんが敬礼を)
………
蛍「わっわっわわっ。空を!空を飛んでます!」
わたし「そりゃあ、飛びますよ。サンタさんなんだから」
妖精さん「ようぎしゃをはっけん」「べんごしをよべ」「さいばんがいいかと」「ぎゃくてんしますな」「のん」
わたし「レーダーによると…なるほど。やっぱり山の中ですね…っと、その前に…」
わたし「発見しました!」
蛍「え?な、何を?」
わたし「大切なお友達です。あの子たちも回収しないと危険を犯しかねないので」
………
夏海「なにこれ!!!!?」
小鞠「え?え?え?どういうこと?」
わたし「ふふっ♪」
蛍「え、えーと、その…お姉さんが実は本当のサンタさんだったみたいで…」
夏海「なっなああ!?」
兄「!?」
わたし「にゃんぱすちゃんは捕捉しています!すぐに捕まえますよ!」
妖精さん「にゃんぱすー」ビシッ
………
れんげ「具どうなん?匂いはしないん?」
具「(´・ω・`)」
れんげ「外人さんのじぃじぃは絶対に悲しんでいるのん」
れんげ「だから頑張って探すのん!外人さんは悲しいけど…帰らないといけないん!」
れんげ「だから具も頑張るのん!」
具「(´・ω・`)」
れんげ「でも…お腹減ったし…寒いん…」
具「!!」
れんげ「えっ?あ、あれは何なん?」
ドスンっ
わたし「ご到着~♪」
夏海「わわっ。ちょっと乱暴だよ!おねーさん!」
小鞠「うぅ…ちょっと腰打っちゃった」
蛍「あっ!れんちゃん!れんちゃんだ!」
兄「!」
れんげ「なっつんに、こまちゃんに、ほたるんに、にぃにぃ…」
れんげ「それに…さ、サンタさんなん!?」
わたし「ええ、クリスマスには間に合いませんでしたが、サンタさんですよ」
ギュウウっ
れんげ「なっつん。急に抱きついて…く、苦しいん」
夏海「ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか!」
夏海「れんちょんのばか!心配したんだぞ!心配したんだよ!ずっと心配で心配で」
夏海「良かった。良かったよ…本当に良かった…」ポロポロ
れんげ「…」
れんげ「…ウチ…悪い事したんな…ごめんなさい、なっつん」
小鞠「ばか!私だって心配したんだからね!」
兄「」ウン
蛍「よかった…本当によかった…」
蛍(お姉さんを信じて…お菓子作りを手伝って…本当に意味があったんだ…よかった…)
わたし「さあ、みなさん。せっかくサンタさんが来ているのだから。笑いましょう…ねっ♪」
蛍(あっ、お姉さんが空に手を上げると…)
妖精さん「でばんですな」「ぼくたちでばんしゅうばんばかりですゆえ」「でもひーろーっておくれてとうじょう?」「かっこいい」「のん」
わたし「さあ、妖精さんのパレード開始です♪」
れんげ「あ、あれは何なん!?お祭り!?お祭りなんなー!?うちも祭るん!」
夏海「そ、そうだよ。さっきもちっこいのいたけど、これは何!?」
小鞠「私より小さい…」ホッ
兄「…」
蛍「ふふっ。まるで夢の時間みたいですね♪」
………
夏海「さすがの夏海ちゃんもお腹いっぱい」
小鞠「お菓子いっぱいで美味しかった」
蛍「えへへ。私も手伝ったんですよ♪」
小鞠「さすが蛍。美味しかったよ」
蛍「お粗末さまです♪」
れんげ「ねえねえ、外人さん?サンタさん?どっちなん?」
わたし「どっちでもいいですよ?」
れんげ「ウチ!ウチのお手紙を読んでくれたんな!」
わたし「え、えーと」
れんげ「ウチの『サンタさんに会いたい』って願いを叶えに来てくれたんな!」
わたし「…ふふっ。実を言うとそうなんです。会いにきましたよ。いい子ちゃん」
れんげ「やったーん♪」
わたし「でも、遅れてごめんなさいね」
れんげ「ううん、外人さんはずっと近くにいたのん」
わたし「ちょっとこの子たちに衣装などの荷物を預けていたので、遅れてしまって」
れんげ「いいのん。会えて嬉しいのん」
わたし「ふふっ」ナデナデ
れんげ「ウチ!ウチ!お礼を言いたかったん」
わたし「え?」
れんげ「サンタさんは頑張ってるのん!毎年ウチにプレゼントをくれるのん!」
れんげ「だから、今年はウチがサンタさんにプレゼントするのん!『ありがとうございます!これからも頑張ってほしいのん』って!」
わたし「あらまあ、嬉しい事を」
れんげ「来年も!来年も会えるのん?」
わたし「そうですね。来年もいい子にしていたら…たぶん…」
れんげ「ウチ!いい子!絶対にいい子してるのん!」
わたし「ええ、頑張って。…これからもいい子でいてね。れんげちゃん」
れんげ「うん♪」
わたし「さあ、メガネくん。これを」
兄「?」
わたし「『こっち矢』です。これを使えば、家への帰り道をナビゲートしてくれます」
兄「…」
わたし「ええ、どっかの、らっきょを食べて変身するヒーローに訴えられそうですが、まあ構いません」
兄「…」
わたし「あなたは年長者、しかも男なんですから、帰り道はみんなをしっかりエスコートするんですよ?」
兄「」ウン
わたし「ふふっ。頼りにしてますよ。卓くん」
兄「…」
蛍(…お姉さん…ま、まさか…帰…)
わたし「さあ、みなさん。サンタからの最後のプレゼントです」
夏海「えー、もうお腹いっぱいー」ゲプー
わたし「寒いですので、体が温まるお砂糖たっぷりのホットティーです。さあ、体の芯から温まりますよ」
ゴクゴク
夏海「あっ、本当だうめぇー」
小鞠「何か不思議とぽかぽかに」
れんげ「美味しいん」
兄「」ウン
妖精さん「そろそろですゆえ」ツンツン
わたし「わかってますって」
わたし「飲みましたねー?」
わたし「では、みなさん」
わたし「夢の時間は、これにておしまい♪」
\パンっ/
夏海「あ、あれ?ウチ…あれ?何で山にいるの?」
れんげ「…?」
小鞠「え?さっきまでテレビ見てたはず…あれ?」
兄「…」
夏海「そ、そうだよ!れんちょんが行方不明になって…あれ?」
小鞠「みんなで探して…そうだっ!れんげを見つけたんだ」
兄「…」
れんげ「う、ウチ?ウチは…具の散歩を…そうなん!具の散歩をしてたん!」
夏海「そうだ!それでれんちょんを見つけて…帰る所だったんだ」
小鞠「もう!れんげ!ダメでしょ!こんな時間に散歩しちゃ!」
れんげ「…ウチ、何でこんな時間に散歩を…?」
蛍「うっ…うぅ…」ポロポロ
小鞠「って、蛍!?何で泣いてるの!?」
れんげ「ほたるん?」
夏海「ほたるん…わかるよ。れんちょんが心配だったんだよね?」
小鞠「蛍…そんなに心配して…」
れんげ「ほたるん。ごめんなさい。ごめんなさいなのん」
蛍「ううん、いいの…いいんだよ…れんちゃん…ぐすっ…いいんだよ。本当に見つかってよかった」ポロポロ
兄「…」
夏海「って、兄ちゃん、何を持ってるの?」
兄「?」
小鞠「湯飲みに矢がささってて、あっちを指してる?」
夏海「うーん?」
蛍「帰りましょう。それが指す方向に…帰れば。帰れます」グスグス
小鞠「え?でも、家とちょっと方角が違うよ?」
夏海「…ううん。たぶん、このまま家の方向だと、けもの道に…たぶん、ほたるんの言うとおりかも…」
れんげ「みんな心配してるん…ウチのせいなのん!早く帰って謝りたいん!」
兄「」ウン
…………
わたし(実はまだ時空の狭間だったりします)
わたし「えーと、本当に帰れるんですよね?」
妖精さん「あーはんぶんはんぶんかと?」
わたし「困ります!完ぺきに帰して下さい!」
妖精さん「あー」「かみさまはかんぺきしゅぎしゃですなー」「でもそこがいいところ」「がんばるのん」
わたし「ところで社長さん?」
妖精さん「なんでしょう?」
わたし「あの子たちは本当にわたしに関する記憶がなくなるんですよね?」
妖精さん「あのてぃーをのめば、かんぺきかと」
わたし「そうですか。もちろん後遺症はありませんよね?」
妖精さん「はい、じんたいじっけんはすでにおこなっていますゆえ」
わたし(自信満々。これは信じてよさそうですね。人体実験?怖い単語は徹底無視です)
わたし(ちなみにあとでわかった事なんですが、どうやら子供達以外でわたしに関わった人で実験をしたようです)
わたし(ご都合主義?大人の事情?いいえ、妖精さんが空気をよんでくれただけなんです……たぶん)
わたし「そういえば、来た時より数が減ってますね?」
妖精さん「んー?」「さー?」「のん」
わたし(まあ、いつも通り、気にしない事にしましょう)
妖精さん「そろそろつきますゆえ」
わたし(…)
わたし「わああああああ。おじいさんへの言い訳を考えてなかった!」
わたし「妖精さん!もう少し!もう少しだけ待ってください!」
妖精さん「ごとうちゃくー」
ドスっ
わたし「いたっ!?」
わたし(どうやら上から落ちた模様。お尻から綺麗に落ちました…あれ?あまり痛くない?)
助手「…」
わたし「って、助手さんの上に!?だ、大丈夫ですか!?」
助手「!?」
わたし(って、男の子を尻の下に…うぅ…本格的にお嫁に行けない…)
助手「…」ウルウル
わたし「え?心配した…って、泣かないで泣かないでください!」
祖父「おぉー。帰ったか」
わたし「ひいっ……か、かえりました。お、おじいさん」
祖父「なんだおまえは。幽霊を見たような顔をして…」
わたし「さ、さあ、そんな顔してましたかねー。あははははは」
祖父「ふむ。五体満足のようだな」
わたし「え?…ええ。おかげさまで」
祖父「楽しかったか?」
わたし「え?えーと…そうですね…」
わたし「………」
わたし「ええ、とても楽しい。夢のような慰安旅行でしたよ♪」
祖父「…」
わたし「な、なんでしょう?」
祖父「いや、おまえの…なんというか…そんなに明るい笑顔を見たのは初めてでな」
わたし「え?わたしそんなに笑顔でした?」
祖父「ああ、私も慰安旅行に行きたくなるくらいにだ」
わたし(おじいさんもすっごい笑顔でした…わたしまで嬉しくなってしまうくらいに)
わたし(こうしてわたしは夢のような慰安旅行から、懐かしいものがたくさんある日常へと、戻ってきたのです)
…………
蛍(お姉さんお久しぶりです)
蛍(あれから数ヶ月経ちました)
蛍(はい、みんなすっごく元気。お姉さんのおかげです)
蛍(今日は小鞠センパイと二人っきりでお花見をして、お弁当の交換をします)
蛍(ええ、すっごく楽しみなんですよ♪)
蛍(私、お菓子作りの勉強をしています)
蛍(まだまだお姉さんに届かないかもしれませんが…きっとお姉さんくらい上手になってみせます)
蛍(だから、きっと…またお喋りしましょうね。お姉さん♪)
小鞠「蛍ー行こうー」
蛍「はーい」
小鞠「手紙だすの?」
蛍「はい♪」
小鞠「あれ?でも今日行くところにはポストは…」
蛍「いえ、これがありますから」
小鞠「お菓子…?」
蛍「はい♪」
小鞠「え?ん?え?」
蛍「えへへ♪」
「おーい、手紙が届いたぞー」
「わたしに?だれからですか?」
「妹ちゃん…だそうだぞ?」
「え?」
■エピローグ
わたし(あれから、文通…手紙交換が続いています)
わたし(ええ、この素敵な手紙交換は、これからもずっと続いていくことでしょう)
わたし(わたし達がおばあさんになるまでずっと…)
わたし(ずっと…)
わたし「ですよね?わたしのたった一人の妹の蛍ちゃん♪」
終わり
. -‐‐-ミ
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rーム/ ⌒Y⌒ヽ_〉ー┐ / /.:::/.:::/∧::::::.
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.'∠/ / イ ト、 \〉ヽ /ニニニニ=\ {::::{乍:T彡乍丁:::|
i jイ/⌒Vjハj⌒V ハ i 'ニニニニニニニ\ 〃ニニニニニニニニニヾ:::〉ゞ゚' ゞム::::l
| 从 代ナ '代ナ从i l/ニニニニニニニニニニ\ rー┐ ゝニニニニニニニニニニノ::::ゝ. 、 , イ.::/
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| ゝ / / : ハ ‘. {=ニニ/ _____ ________,|ニニ|ニニニニニニニニニi 'ニニニニニニニ} 'ニニニニニニニ}ニニニニニニニニニi /ニニ/ |ニ|ニ|人 イ |__| ト、_〉
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ムフ|____∧____ト、_ゝ ゝニニニニニニニニニ}ニニ{ r-─┐|ニニ|ニニ|〃ニニニニニニニ)‐┐ r‐┐ 〃ニニニニニニニニ)|ニニ| `´`´ 《-‐-‐-‐- 》
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