える「困りました…」(122)
える「またクラスの男の子に告白されてしまいました」
折木「えっ」
える「どうも、わたしの言動は男の子を期待させてしまうみたいです」
折木「」
千反田える「童貞チョロすぎ」
千反田える「今日も先輩のうちでえっちしよっ」
折木「そんなに言い寄られるなら、だれかと付き合ってみたらいいんじゃないのか?」
える「それは無理です」
折木「好きな人がいるとか…?」
える「いえ、わたしには許嫁がいるので」
折木「」
える「なに落ち込んだような顔してるんですか?」
折木「べ、別に落ち込んではいない!」
える「もしかして折木さんもわたしのこと好きだったクチですか?」
折木「ば、バカ言うな!」
える「はぁ…。またですか」
える「どうしてわたしはこんなにモテてしまうんでしょう。わたし、気になります!」
折木「知らん!」
える「謙遜ではなく、わたしは特にルックスが良いわけではないと思うんです」
折木「お、おう」
える「やはり、財産目当てで言い寄ってくる輩が多いということなのでしょうか…」
える「この際だから言っておきますけど」
える「わたし、折木さんに恋愛感情もってませんから」
折木「え…」
える「勘違いしないでください」
折木「つ、ツンデレ?」
える「ツンデレってなんですか?わたし、気になります」
翌日
える「折木さん来ませんね」
里志「どうしたんだろう。学校には来ていたと思うけど」
える「やはり、昨日のことがショックだったんでしょうか」
里志「昨日のことって?」
える「実は…」
里志「そんなことがあったの!?それはホータロー落ち込むよ」
える「わたしに振られたからですか?」
里志「と、いうか僕も千反田さんはホータローのことが好きなんじゃないかと疑ってたぐらいだからね」
える「そんなにわたしは男の子を期待させてしまうんでしょうか?」
える「福部さんもわたしのこと好きですか?」
里志「いや、僕は特に…」
える「ですよね」
里志「あれだ、千反田さんはホータローにあれこれ聞いたりして頼ってるから、好意を持たれてると思ってるんだよ」
える「はあ、そうなんですか。でもたかがそれくらいで?」
里志「千反田さんは童貞の気持ちがわかってないね…」
える「福部さんは童貞じゃないんですか?」
里志「いや、まあ僕もホータローと同じだけどさ」
える「でも確かに、わたしに告白してくる男の子は、なんというか、地味というかイマイチあか抜けない方が多いですね」
里志「千反田さんは童貞のストライクゾーンのど真ん中なんだよ」
里志「千反田さんはモテモテだね~」
える「そんな地味男にばっかりモテてもうれしくありません!」
里志「じゃあ千反田さんはどんな男が好きなの?」
える「そうですね/// 活発で、物知りで、笑顔が絶えない人がいいです!」
里志「ははは、それじゃホータローは千反田さんの好みじゃないってわけだ」
える「ええ、むしろ、福部さんのほうが気になります!」
里志「…え?」
える「単刀直入にいいます!わたし、福部さんの事を好きになってしまいました!」
里志「ちょ、ちょっと待って!」
える「いつも場を明るく盛り上げてくれるその快活さに惚れました!わたしとお付き合いしてくれませんか?」
里志「……!」
里志「…僕は今、恋人を作るつもりはないんだ。ごめん」
える「折木さんに悪いからですか?」
里志「そうじゃないよ」
える「確かに、今わたしと付き合ってしまったら、福部さんと折木さんの友情は、壊れてしまうかもしれません」
える「でも、折木さんのせいでわたしを拒んでるのだとしたら、わたし、悔しいです!」
里志「そうじゃないんだって。僕は誰であろうと付き合う気はないんだよ」
える「……そうですか」
える「どうしてでしょう。興味のない男にはいくらでも好かれるのに…」
える「愛した男性からは、好意を持ってもらえない」
里志「別に、千反田さんのこと嫌いなわけじゃないからね?」
える「わかっています。でも、やっぱり悔しいです」
える「福部さんなら、イチコロだと思ったのですが…」
里志「千反田さんならきっとステキな人が見つかるよ」
える「はい…ありがとうございます」
里志「今日は帰るよ。用事を思い出した」
える「そうですか」
里志「また明日!」
数分後
摩耶花「あれ?今日はちーちゃんだけ?」
える「摩耶花さん、今日は漫研じゃなかったんですか」
摩耶花「うん、早く終わったからこっちに顔出しにきたの」
える「そうなんですか」
摩耶花「折木のやつがいないなんて珍しいじゃない」
える「折木さんなら、わたしに振られたショックで当分来ないと思います」
摩耶花「えっ!?折木ついにちーちゃんに告白したの!?で、振ったってどういうこと!?」
える「『ついに』ってことは、摩耶花さんも折木さんがわたしに好意を持っていたことを知ってたってことですか?」
摩耶花「そりゃ、見てればねえ…。でも、ちーちゃん、どうして振っちゃったの?」
える「そりゃ、あんな男好きでも何でもないからですよ!」
摩耶花「うそ、ちーちゃん折木絶対のこと好きだと思ってた」
える「福部さんにもそれ、言われました…」
摩耶花「好きじゃなかったら、おかしいわよ。あんなにベタベタしてたのに」
える「そんなにベタベタしてたでしょうか…?」
摩耶花「『気になります!』連発してたじゃない。ちーちゃん、やたら折木に引っ付いてたし」
える「引っ付いて…そうですか。ああいうのは、思わせぶりな態度ってことになっちゃうんですね」
える「あれは、単に遠慮がなかっただけです。異性として見てませんでしたから」
摩耶花「そうなんだ…。でも、ふくちゃんには普通だったよ?」
える「そ、それはっ///」
える「好きな人に、いきなりくっついたり馴れ馴れしくしたりできません///恥ずかしいので」
摩耶花「」
摩耶花「えっ…なにそれ」
える「わたし、福部さんのこと好きになってしまいました」
摩耶花「なにそれ?聞いてないよ」
える「…焦らなくていいですよ。わたし、福部さんに振られてしまいましたから」
摩耶花「えっ?えっ?ちーちゃんも告白したの!?」
える「はい。返事はNOでした」
える「たぶん、福部さんは摩耶花さんのことを好きなんだと思います」
ほうたろーはいりす先輩がおるしな
える「すみません。摩耶花さんが福部さんの事、想ってるのを知りながら、告白してしまいました」
摩耶花「」
える「でも、やっぱりお二人にはかないません。わたしなんかでは、福部さんには釣りあいませんね」
摩耶花「…そっか」
える「折木さんなんかには好かれてしまうのに…」
摩耶花「どうして折木じゃダメなの?ちーちゃんと折木、いい仲だと思ってたけど」
える「逆に聞きますが、摩耶花さんは折木さんに告白されたら付き合いますか?」
摩耶花「いや、ないかな」
える「でしょう?」
える「あんな見るからに童貞なイモい省エネ男、誰だって嫌ですよ」
摩耶花「…ちーちゃんってそんな毒舌だったっけ?」
える「言いたくもなりますよ…。あんなのに勘違いされたら」
える「また古典部が4人ってのがキツいんですよね」
摩耶花「まあねえ」
える「合宿だとかになると、必然的に摩耶花さんと福部さんは仲良くしちゃうでしょう?」
える「そしたら、なんかダブルデートみたいな感じになるんですよ…」
摩耶花「否定はできないね」
える「折木さんは友達だと思って親しくしてましたが…」
える「だいたい、摩耶花さんと福部さんは兼部だからって抜ける日が多いでしょう?」
える「そしたら二人っきりですよ、アイツと」
摩耶花「ちーちゃん、落ち着いて!すごいこと口走ってるよ!」
える「とにかく、『折木さんといい感じ』みたいな空気がヤバいです。あれ、やめてください」
摩耶花「ご、ごめん!気を付けるよ…」
える「いえ、責めるつもりはありませんよ」
える「ところで、摩耶花さんは折木さんに好意もたれてないんですか?」
摩耶花「折木とは心底仲悪いと思うけどなあ…」
える「摩耶花さんはそう思っていてもですね。折木さんはそう思ってないかもしれませんよ」
摩耶花「げ」
える「摩耶花さんは、福部さんのことが好きだって公言してるから遠慮してますけど」
える「あわよくば、って思ってるかもしれませんよ」
摩耶花「ちょっと、冗談でもやめてよ!気持ち悪い!」
える「本当、気持ち悪いですよね」
える「折木さんのいやらしい視線に耐える方の身にもなってください」
摩耶花「いやらしい視線?」
える「気づきませんか?折木さんってことあるごとにわたしのほうをチラチラ見てくるんですよ」
摩耶花「げっ!」
える「胸元をチラチラみてくるんですよ~。本人は気付かれてないつもりなんでしょうが」
摩耶花「でもまあ、男の子ってそういうもんだと思うよ」
える「ええ、それだけならまだ許せるんですが」
える「こないだの文化祭のとき、わたしの生写真を机に置いていたら勝手に見てたんですよ!」
える「まあ見つけてしまったからちょっと見ただけ、とかならわかりますよ」
える「わたしの見えないところでマジマジとみてるのが気持ち悪いです!」
摩耶花「うわー」
える「それを夜のオカズに使われていると思うと…ゾッとします!!!!!」
摩耶花「キャー!!!!!!!」
える「折木さんの頭の中でわたしは何百回と犯されているのでしょうね…」
摩耶花「オエー!」
える「はあ……」
摩耶花「そういえば私も心当たりあるわ」
える「なんでしょう?」
摩耶花「折木と2人だったときに、部室に鞄を忘れて帰っちゃったことがあるのよね」
摩耶花「そのあと下校中に気付いて、取りに帰ったんだけど、鞄の中身の配置が微妙に変わってたの」
える「うわぁ」
摩耶花「その時は勘違いかと思って特に気にしなかったけど」
える「鞄漁ってますね。間違いないと思います。わたしも同じことありました」
える「変な汁刷り込まれてるかもしれませんねー」
摩耶花「ちょっと本当にやめてよ、そういうこと言うの。血の気が引く」
える「あーあ、わたしも気分悪くなってきました。今日はもう帰りましょう」
摩耶花「そうね」
里志(ほんとは全部僕がやってたんだけど、都合いいしそういう事にしとこう)
夜
える(はあ、今日は福部さんに振られるし、折木さんに好意もたれるしで散々な日でした)
プルルルルルル
える(こんな時間に誰でしょう?)
える「はい。千反田です」
?「・・・・・・・」
える「もしもし?」
プツン
える「いたずら電話でしょうか?」
プルルルルルル
える「ひっ!また…」
える「も、もしもし…?」
?「…チタンダ」
える「折木さんですね?折木さんでしょう?」
?「鞄…漁ったことなんかないぞ…」
える「え、きょ、今日の会話、きいてたんですか…?」
?「・・・・・・・・・・」
える「何か言ってください!」
ヒュウ…!
える「か、風が…」
える(窓は閉めたと思いますが)
える「えっ?」
える「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ」
える「いやあ!やめ、やめてください!きゃああ!」
?「はあっ、はあっ!」
える「やだっ!やだああああああああああ」
える「むぐっ!むっ!んーーーーーーーー!」
えー、被害者は背中を鋭利な刃物で数回に渡り刺されており
身内や知り合いからの怨恨による犯行とみて捜査当局は調べを進める方針です
後日
女子「きいた?こないだの強姦殺人事件…」
女子「クラスの子が自宅で襲われた事件だよね…」
女子「まだ犯人見つかってないらしいよ」
男子「こわーい。私も気を付けないと…」
end
解決編は任せた
折木「全ては貴方が仕組んだことだったんですね…」
???「よく気づいたね」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません