【咲安価】莉子「私と十五の『勝負』」【ほのぼのスレ】 (183)


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                 从l \    }   {   イ )ノ
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・咲安価スレ、コンマよりも>>1のダイス判定(TRPGとかにあるアレ)が中心

・このスレにおける「1D6」みたいな「xDy」の意味:y面ダイスをx回投げる

>>1はシノハユと有珠山のことをほぼ何も知らない



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387970810




――それが、私の終わりの始まりだった。


「(……いけるよね?)」


――一筒を握った時に思った、その思いも。


「……ッ……ロォン! 6400!!」

「あ、ああ……」


――放銃した時の、あの驚きともつかない感情も。


『試合終了! 三位阿知賀女子、高鴨 穏乃が二位劔谷、安福に6400を直撃! オーラスで逆転、阿知賀女子二位ですッ――』

「よッッ……しゃァァァーッ!!!」

「…………ぁ」


――そして、全てが終わった時のあの足元が崩れそうになる感覚も。

――私は今でも、忘れることはできなかった――。




幼い頃から、私は皆の人気者だった。

兵庫県の芦屋という場所に住む、お金に不自由しないお嬢様。

小学校の頃から皆からそんな風に羨望の目を向けれらてたけど、でも決して私は調子に乗ったりしなかった。

私はちゃんと分かっていたのだ。その財力は、自分の力ではないと。だからもっと、別のことで強くなりたかった。強くなって、私自身を皆に認めさせてあげたかった――例えば、麻雀みたいな。

麻雀。そう、それだった。子供っぽい理由で何となく始めた麻雀だったけど、私は不思議とそれが強くなった。昔から『無難に物事をやる』っていうのが、得意だったからかな。

そうして私は、家から近くて麻雀の実力も結構ある劔谷高校に入学してなんと一年生でレギュラーにもなれた。

私はその時思った。ああ、私はようやく皆に実力を認めさせられるものが一つは作れたんだって。『お金持ちのお嬢様の莉子ちゃん』じゃなくて『麻雀で全国大会に行けた莉子ちゃん』になれたんだって。


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でも――現実はそう易しくはなかった。全国の二回戦で、私はギリギリの所で競り負けてしまった。

皆は私に「私でもあそこは一筒を打ってた」とか「阿知賀はあの後決勝にまで行ったんだから、別格だったんだ」とか励ましてくれたけど、でもそうじゃないんだよ。

私、考えちゃったんだ。もし私から、『麻雀で全国大会に行けた莉子ちゃん』から、麻雀を取ったらどうなっちゃうんだろうって。

運動は全然駄目。

勉強も別にできるわけじゃない。

手先は器用でもない。

性格は若干内気で、人見知りする。

そんな私が出来る、他のことって何かあるのかな――?




神「……ないなぁ」

莉子「えっ」

神「ぜっんぜん、ないのだよ。君には才能というやつが」


――八月はもうとうに過ぎ去り、三年生が引退したその後。

もうそろそろ冬本番というその日、自宅で日課である『痛い自分語りが激しいポエム製作』をしていた莉子の目の前に、一人の神様が現れた。


莉子「えっ、ちょ、誰、誰ですかアナタ!? 不審者!? て、ていうかここに二階……」

神「まぁまぁ、ちょっと落ち着いてくれたまえ。早速で申し訳ないが、私は神様だ」

莉子「……え?」


困惑している莉子(と多分これを読んでいる方)を気にせず、神様は言葉を続ける。


神「嘘だと思うかもしれないし、色々ツッコミたいところがあるかもしれない……がまぁ、私の出番など非常に少ないのでここは我慢して、少し話を聞いてくれると嬉しいのだ」

莉子「は、はぁ……(こ、これって夢かな……)」


『小説家になろう』や『ハーメルン』ばりの超展開に直面した莉子は、とりあえず今の状況を夢じゃないかと思った。しかし今の状況での彼女の気持ちなんて、このスレにおいてさしたる意味を持たないので会話を続けることとする。


神「君は、未だに夏の大会で自分の責任で劔谷高校を負かしてしてしまったのに責任を感じているようだな」

莉子「うっ……って、ていうか、ポエムの内容を見たんですかっ!? は、恥ずかしい……」カァァァ

神「いや、ていうか君いっつもそのポエムをぶつぶつ音読しながら書いているじゃないか」

莉子「きゃ、きゃー! き、聞いてたんですか!? どうやって!?」

神「そりゃまぁ神だもの、何でも出来る。さて、そして君はさらに『自分から麻雀を取ったら何が残るのか?』とも思ったわけだ……そこで、最初の答えに戻る」

莉子「最初……? え、えっと、何て言ってましたっけ。ちょっと驚きすぎて聞いてなかったというか……」

神「ない」

莉子「えっ」

神「全然ない。皆無だ。安福 莉子よ、君から麻雀を取ったら何も残らない。あえて言うなら、その月刊りぼんとかの付録でついてきそうな花のカチューシャだけが残る」

莉子「……えっ」



突然現れた神様が突然自分の存在を全否定しだして、莉子は再び呆気に取られた。

莉子はしかし、今度はすぐに正気を取り戻して言う。


莉子「な、何もないっていうのはないんじゃないですか? まだ隠された力とか、眠っている能力とかが……」

神「いや、私もそう思って探したが全然ない。ゼロだった。君の隠れた才能が発揮される機会は、もう一生訪れない」

莉子「……本当に?」

神「神に誓って本当だ……勿論、これから君が何らかの趣味に精を出せばその趣味はそこそこ上達するだろう……しかしそれはあくまでも『そこそこ』であって、いわばその業界にいる宮永 照のような存在には一生なれない」

莉子「そ、そんなぁ……」

神「ちなみに、君が今書いているポエムの腕も現役麻雀プロの瑞原はやりの方が数十倍上手い。私は神だったが読んでてちょっとウルっとなった。内容がちょっとババア臭かったけど。なんかバブル期を思い出すんだよな、あの文体」

莉子「うっ……」ジワッ


伝えられた事実に莉子は書き途中のポエムもおかまいなしに机の上に倒れ付し、そして思った。

――このポエムの続きは『でも、きっといつか何か見つかると思って頑張ろう☆ミ』みたいな内容にしようと思ってたのに……でも、神様も酷いや。そんなことを言うためにわざわざここに来るなんて……。


神「……勿論、こんなことを言うためにわざわざ来たのではないぞ。安福 莉子よ」

莉子「……どういう、意味ですか?」グスッ

神「私としては、あそこまで可哀想な6400放銃にあった人間を救いたい訳だ。私神だが凄い麻雀好きだしね。天国のベネディクト16世とかと凄い強いんだけど、知ってた?」

莉子「い、いえ……で、でもそれならあの時勝たしてくれればよかったじゃないですか! 神様なんだからそのぐらいできるでしょう!?」

神「いやお前、別にやってもいいけどよかったの? こんなこと言うのも何だけど、お前正直麻雀の才能もあんまり無いから準決勝でもっと酷い負け方してたよ?」

莉子「(ま、麻雀の才能も微妙……!?)」


そう言われると二回戦で私達のチーム、友香ちゃんしかプラス収支がいない……!? と衝撃の事実におののく莉子にもおかまいなく、話し方がさっきからブレている神は言葉を続ける。


神「しかし私は考えた。君のような凡人がある日突然強くなったら、有頂天になって調子に乗り出すかもしれない、と」

莉子「ぼ、凡人て……」

神「何の能力もない人間が何かを手にするためには、当然その分の努力が必要とされる筈だ……私はやがて、ついに思いついた……その方法を」

莉子「な、なんですか……そんなもったいぶって」


神「聞いて驚くな……その方法は……『 レ ベ ル ア ッ プ 方 式 』だッ!!」


莉子「……」

神「……」

莉子「…………?」

神「…………あっ、アレだ。ドラクエみたいにレベルアップで、能力が上がることをそう言うんだ」

莉子「……へぇー。アレってそういうんですか」

神「いや、私が今考えた造語」

莉子「……」



……

…………


神「まずはこれを見ていただこう」


【ステータス】

りこ:おんな 高1

レベル:1
たいりょく:□□□□□

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:1


莉子「……」

神「見ての通りこれは安福 莉子、君の今の能力だ」

莉子「……」

神「皆が大好きなドラクエっぽいステータス表示にしたお陰で、中々シンプルに纏まった……なんださっきから黙りこくって」

莉子「いえ、何か……こう……色々ツッコミたい所が多くて……まず私、体力以外全部1なんですか?」

神「当然だ」キッパリ

莉子「と、当然って……」

神「なら聞くが、君は筋力はあるか? 足は速いか? 頭はいいか? 幸運か? 器用か?」

莉子「う、うう……確かに、全然違います……」

神「そうだろう、勿論知っていた……さて、君は今から『麻雀の実力』が自分よりも強い人間と『勝負』をするんだ。それで勝てば、問答無用でそのとき使ったステータスを上げてあげよう」

莉子「なんで『麻雀の実力』で負けてる相手限定なのか分かんないけど……『勝負』? ということは麻雀ですか?」

神「いやいや、内容自体はなんでもいい。例えば君がパンクラチオンで激闘の末勝利したとしよう……すると」


▼レベルアップ
  りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 2 になった

▼りこ は ちから が 1 あがった


神「……となる訳だ。レベルが1上がれば、その時主に使用したステータスが1だけ上がる。努力は積み重ねるものだからな」

莉子「パ、パンクラチオンって……そこまでしないといけないんですか!?」

神「いや別に。そこは神なので寛大だ。好きに平和的な方法で相手と『勝負』をしろ」





莉子「よかった……って、そうじゃないですよ! 2つ目の質問なんですけど、どうしてこの中に『麻雀の実力』っていう欄がないんですか!!」

神「……」

莉子「……な、なんですか」

神「……本当に欲しいか? 君はその実力を過信して、一度大敗しているんだぞ? だから私も今回、麻雀の実力を強くしようという方向にはしなかったんだが」

莉子「そ、そりゃあそうかもしれないですけど……ないよりマシというか……」

神「……因みに今の君の『麻雀の実力』は15だ」

莉子「そ、それなら欲しいですよ!」

神「宮永 照は6億5000万だ」

莉子「えっ」

神「高鴨 穏乃は君に勝った直後から急激な成長を見せ、今では3億だ」

莉子「ええっ」

神「君の同級生で同じく一年レギュラーの森垣 友香は、君がいつも毎晩痛いポエムを書いている間にも必死に麻雀の練習を続け今では18だ」

莉子「……じゃあ、やっぱりいいです」




神「……因みに晩成高校の小走 やえは14だ」

莉子「? 誰ですかその人?」

神「いや、何となく言いたくなっただけだ」




莉子「説明は分かりましたけど……それで、強くなってどうすればいいんですか?」

神「それは君で考えろ」

莉子「そ、そんな! それはいくらなんでもテキトーすぎじゃあ……それに力とか強くなってもあんまり嬉しくないし……」

神「そうか? 考えてもみろ、このまま鍛えていけば君は宮永 照に麻雀では一生敵わないが、パンクラチオンでは勝てる可能性が出て来るんだぞ?」

莉子「そりゃあそうですけど……一回誰かに勝って上がるのは1ずつでしょう? それってあんまり……」

神「いや、数値では1だが実は大きな開きがある。具体的には……」カキカキ


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⌒ヽ_ィ三三三ミュx 、\
○ _)===== ミミ、、 ヽ
_,、__)      ヘ,,  ` ミ》∧
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弍芸弍 、     --l 、    ',  せんぱい、がんばってくださぁーい
ら:::刈 `      レ! ヽ   l
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        lハ{ i j j;;',  ィてテン.;,   ``゙゙  ̄`   !;;;;レイ !;:;;;;;;;!

          `ヾ从;;;;;',  "゙ ´ ,′:        ノl/リ ) ,!;;;;;;;;! 友香、紅茶を頼む
           `ヾ从;;;',    ノ ,::.        ′ノソ/;;;;;;;;j!
                `゙゙j!   (  `::.:.        、_ノ;;;;;;;;;;j!
                 ノハ    `゙゙"´        /, j;;;;;;;;;;;j!
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神「ぐらい違う」

莉子「もう別人じゃないですか!!」

神「因みにすばやさを上げていくと、ミッターマイヤー元帥に近づいていく……まぁこれはオーバーな例えだが、とにかく1でも数値が違うとそれはもう凄まじい違いになる」

莉子「へぇ、そうなんですか……って今気づいたんですけど、ということは私もう二度と高鴨さんには勝てないんですよね……」

神「うん」

莉子「そうですか……」ハァ





神「とはいえ君が際限なく強くなっては困る。とりあえずの目標を決めさせてもらおう……」

莉子「目標?」

神「そうだ。君が強くなって、『高鴨 穏乃に勝てる』ようになれば一旦打ち切りとしよう」

莉子「た、高鴨さんと勝負!? そ、そんなの、私あの人とそもそも試合の時にしか会った事ないし、学校の住所知らないし……」

神「……勝ちたくないのか」

莉子「えっ」


神様はそこで、顔をずいっと莉子の方へ近づけた。


神「いいか。このまま何もせずいれば、君も含めた周りの人間は全員君が一生高鴨 穏乃に負け続けた記憶を持ち続ける。その記憶が残り続けるということはつまり、君は一生彼女より格下なのだ」

莉子「格下なのは、事実じゃないですか……」

神「違う。君が負けたのは、あくまでも麻雀の腕でだけだ。他なら勝てる可能性があったかもしれない」

莉子「で、でも、私他に才能がないんでしょう?」

神「だからくれてやると言ったのだ……いや、厳密には君が何を伸ばしたいかを決めるんだ」

莉子「私が……」

神「……とはいえまぁ、私はこの力を与えるだけ与えたのだ。後は君が自由にするのが一番いいだろう。じゃあ」スゥ

莉子「えっ!? じゃ、じゃあって……」


それだけ言い残すと、神様っぽい人はどこかへすーっと消えた。

まさに夢のような、数分間の出来事であった。


莉子「……」ムニッ

莉子「夢じゃない……」ムニーッ


自分の頬をつねりそれが夢ではないと確認した莉子は、自分がどうすべきかを考えた。

目の前には、まだ赤点取った成績表の如く1が並んだ自分のステータスが書かれた紙が残っていた。


莉子「高鴨さんに、勝ちたい……何でもいいから勝ちたい……でも、どうせ何でも勝てないし……そもそも会えないし……」


あの時の敗北の記憶を思い出し、ネガティブオーラが彼女の体を支配しかけたその時――。




莉子「……あ、ケータイに電話……はい、もしもし」ピロロロr

友香『ヤッホー、莉子ちゃーん!』

莉子「あ、友香ちゃん……」


電話の主は同級生で同じ部活で、しかし麻雀の実力は3ぐらい開いている森垣友香だった。


莉子「麻雀の練習どう? 捗ってる?」

友香『な、なんでそれを知っているのでー!? ……ま、まぁいいや。それよりも、年末の麻雀大会莉子ちゃんは団体戦も出るのでー?』

莉子「年末……?」

友香『? 今日プリントを配ってたのでー?』

莉子「あっ」


莉子はそこで思い出して、鞄の中を漁った。それは今日の部活の時、全員に渡されたプリントであった。

老若男女入り混じり、年末に開催される巨大な麻雀大会。その場所は兵庫からも程近い大阪である。


莉子「『全国麻雀フェスティバル in大阪』……そうだった。これがあったんだ……」


大会の日は年末直前――今から16日後!!


友香『それにしても先生が随分ギリギリにプリントを渡してくれるから、結構焦ったd』

莉子「ねぇ、友香ちゃん!」カブセッ

友香『な、何でー?』

莉子「この大会って……阿知賀も来るかな!?」


友香『アチガ……そりゃあ、今年のインターハイベスト4の学校なら、これぐらい大規模な大会には出てもおかしくないでー』


……

…………


莉子「ふっふっふっ……」


電話を切った莉子は先程の陰気オーラがどこへやら、復讐の炎で燃え上がっていた。

今度は今までとは違い、他人に良く見られたいが為の勝負ではない。ただ純粋に、彼女は高鴨 穏乃に勝たなければならないと感じていた。

そこに理屈はない。『自分の強さが可視化できる』という事実と『穏乃と16日後に出会うチャンスがある』という事実が、彼女に行動を促していた。


莉子「(確かに、私はこうやって夏が過ぎ去った今でもあの人に負けた記憶に捕らわれ続けている……ここで払拭しなければ、一生その思い出は残り続けるッ!!)」

莉子「(それはよくないッ! これから夜中に悪夢で飛び起きない為にも、高鴨 穏乃には一回勝っておくべきなんだ! 何でもいいから!!)」

莉子「やってやる……やってやるぞー!」ウオーッ


――そうして、彼女は窓から月に向かって吠えた。

大会開催、いやいや彼女が穏乃に出会えるまで後16日。それまでの間に彼女はどれだけ強くなれるのだろうか――!!




神「……」

神「……あっ」

神「……今のまんまじゃ、他の能力でも全然高鴨 穏乃に敵わないって言うのを忘れてた! この娘麻雀以外も結構なんでもできるんだもんなぁ、ハイスペックだよなぁ」シミジミ


【ステータス(一応もう一度貼ります)】

りこ:おんな 高1

レベル:1
たいりょく:□□□□□

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:1


【このスレの説明】


▼目的:16日(話は次の日からなので15日)後に迫る高鴨 穏乃を、いかなる方法でもいいから倒す!


▼一日の過ごし方

 まずその日出会う対戦相手を、皆様からの安価で選択させていただきます。先程は「実力がなんたらー」とか言ってましたがそんなのは気にせず出したいキャラを指名して下さい

 その相手と出会い、とりあえず何でもいいから勝負します。で勝ちます。終わり。

 勝負内容はとりあえずは>>1が決めさせていただきます……が、十五個も中々思いつかないので「こんな勝負で莉子ちゃんが並居る強敵を倒すのが見たい!」というのがありましたらお気軽にどうぞ


▼勝負!

 勝負は……とりあえず最初に行う際にチュートリアルも兼ねて説明を行うことにします。つまり後回しってことですね


▼勝った!

 やったぜ。レベルと共に、その際使用した(?)ステータスが上がります

 単純に『人をキックして倒した』なら『ちから』が1上がるのみですが、『知能をフル活用し相手の気孔を狙ってキックして倒した』ならレベルが2上がって『ちから』と『かしこさ』が1ずつ上がります

 「え? これはあれとあれが上がるやろ」みたいな指摘はあるかもしれませんが、ソレは>>1に決めさせてね……流石にソレを認めるとインフレしちゃうから……


▼負けた!

 体力を1(□)消費してリトライすることができます。体力に上限値はなく、一日経過する毎に1(□)増加していきます

 「じゃあ負けない限り体力って捨てステータスじゃね?」……と言われるとちょっと違います、まぁこれは後々の話に


では質問が何かありましたらどうぞどうぞ


(ひ、人おるよな、大丈夫よな……)

それでは安価……ではなく、一日目は最初なので相手はこちらで決定させていただいています

という訳で一日目スタートです






【一日目:でー、あふたー、でー】






―放課後―


莉子「(昨日のことを考えている内に、気づけば放課後になっちゃった……)」

莉子「(一晩寝たら逆に冷静になったんだけど……やっぱり思えば滅茶苦茶だったよね、神様とかあっさり登場するし)」

莉子「(でも、あれが現実の出来事なら凄いなぁ。オール1の私の才能を引き伸ばすチャンスが来るってことだし……)」


教師が退室してから騒がしくなった教室で荷物を整理しながら、莉子はそんなことを思った。

何だか昨日にしても今日にしても信じているのか信じていないのかはっきりしないが、彼女は大体いっつもこんな感じである。神様なんて頭から信じるのは流石にちょっと……という時期なのである。多感なのである。ポエムとか好きだし。


莉子「(……とか何とか考えながらも、一応『勝負』の内容は考えてきちゃった。それぞれの能力にちゃんと対応してた方がいいんだよね……)」


このどっちつかずな曖昧さが魅力なのかどうかは知らないが、とにかく彼女はちゃんと用意だけはしてきていた。

後は勝負相手を探すだけだが……。


莉子「(とはいっても私、この高校では一応麻雀強い設定だし……ていうか正直事実だと思いたいんだけど……かといって先輩を巻き込むのもなんだし、相手は一人しかいないんだよね……)」


莉子がそう思ったその瞬間、彼女の肩をとんとんと叩く者がいた。


友香「莉子ちゃん莉子ちゃん、一緒に部室行くでー」

莉子「(一人しか、いないんだよねー……)」ギラリンッ


莉子の何を考えているかよー分からん瞳が、怪しくぎらりと輝いた。

そう。友香とは『麻雀の実力』では劣っている事が昨日激白されてしまったが、しかし数ヶ月の付き合いで他の能力は然程変わらないことを莉子は知っていたのだ。


莉子「(ふふふふ……チャンスだよね、これって。折角『勝負』も数分で終わるものを考えてきたわけだしー……)」ニヤリ

友香「?? どうしたのでー?」

莉子「ううん、何でもないよ。それよりもさ、友香ちゃん。ちょっと部室行く前に……」

友香「行く前にー?」


莉子はそこでちょっとどきどきしながら――流石に口に出すのは恥ずかしいし緊張した――こう言った。


莉子「――ちょっと、『勝負』していかない?」



【チュートリアル……以下、このカッコ内の文章で説明をしていきます。宜しくお願いいたします】


▼りこ は ゆうか に しょうぶ を いどんだ!


【どうやら莉子ちゃんがインチキくせぇ神様の言う事を信用して友香ちゃんに『勝負』を挑んでいるようです】


友香「突然のことでちょっと驚いたけど……痛いこととかじゃなければ別にいいでー! それで、『勝負』って何するのでー? 」

莉子「(よかった……友香ちゃんがいい子で……)え、ええっとね。色々考えてきたんだけど……」


【怪しさ爆発ですがどうやら友香ちゃんのいい子っぷりに救われたようです……さて】


▼しょうぶ を せんたく せよ!


【1:腕相撲】
【2:50m走】
【3:数学の小テスト】
【4:じゃんけん】
【5:縫い物】


【どのような勝負になるかは話によって変わるようですが、大体はこんな風にいくつかのものから選択することになります】

【それぞれの選択肢で別のステータスを『主に』使用します 被ってたり「ちからあげてねーと詰むじゃん死ね」とかはないです】

【しかしどれを『主に』使用するかはこの時点では開示しません 「一つにとんがって育てたい!」という場合は選択肢から予想する必要があります】

【……とはいえ今は莉子ちゃんのステは全部1。あまり気になさらず選びましょう】


▼↓2 が せんたく するのだ!

1

5




【了解いたしました……それでは勝負の時間です】


▼しょうぶ の じかん だ!!


りこ:おんな 高1

レベル:1
たいりょく:□□□□□

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:1



VS!!!



ゆうか:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:1


【このように、相手のステータスは積極的に公開していくこととします】

【公開のタイミングはこの時と、『安価でキャラを選択した時』。その時点で本当にこのキャラでいいかをもう一度聞きますので、莉子ちゃんとの実力差で決めてください よくない場合は再安価です】

【但し、キャラを再安価できる回数は二回とします】

【……勿論、出したいキャラを出すのが一番ですがね!】



友香「……どうして、縫い物をしてるのでー?」チクチク

莉子「た、楽しいでしょ!?」チクチク

友香「こういう細かい作業は、正直あんまり得意じゃないでー……」チクチクチク

莉子「私も……」チクチク

友香「……」チクチク

莉子「……」チクチク

友香「…………」チクチクチク

莉子「…………って! 駄目駄目! これは勝負なんだから! こんなふつーにやったらただの家庭科の授業でしょ!!」

友香「そうは言っても莉子ちゃん、『端から端まで糸を縫って綿を詰めてクッション作る』って『勝負』というにはあまりにも地味すぎ……」

莉子「お、思いつかなかったんだもんしょうがないでしょ! こ、こうなったらぁ……!」


▼りこ は どうする?


【1:……でもこういうのは、地道にやるのが大事】
【2:何があっても解けないぐらいの思いで……:+ちから、体力-1】
【3:何だか内容といいこの雰囲気といい色々間違った気がする……とにかく速く終わらせよう!:+すばやさ、体力-1】


【『勝負』の計算方法:6面ダイスを「今使用する能力レベル分」転がしその大小で判定し、高い方が勝利します 相手も自分も、その『勝負』で使用する能力は同じです】

【しかしどうしても勝てない! となった時の為に2や3のような『体力を消費することで別の能力のダイス判定値を加算する』ことができます】

【例えば相手が「ちから」値の判定で

ゆうか:1d6=6

のような数値を出しても、2や3の選択肢を選んでいれば体力を1消費し

りこ:1d6+1d6=10

のような数値を出して逆転することは十分可能です。なお、ファンブルやクリティカルは(>>1が忘却するので)ありません】

【……という訳でたったこれだけのスレなので、ゲーム性は非常に薄いかもですがその分難易度は易しくもあります 皆様ごゆっくりとお楽しみ下さい】


▼↓2 が せんたく するのだ!

1



莉子「……でもこういうのは、地道にやるのが大事だよね。やっぱり」チクチク

友香「確かにいっつも授業では急いでやっちゃうでー」チクチク

莉子「昔の女学校とかでは、毎回授業の最初に縫い物をして精神統一をしてたみたいな話もあるしね」チクチク

友香「へー」チクチク


チクチク……

チクチク……

チクチク……

チクチク……

チクチク……


莉子「……なんだこの勝負!!!」

友香「わ、私に言われても……」

莉子「ていうか最早勝負ですらないよ! なんだよ縫い物って!! 糸を布に通す作業の繰り返しでどうやって優劣を競うんだよ!!」

友香「り、莉子ちゃんが考えたんじゃ……」

莉子「そうだよ!! でも今気づいたけど、縫い物の優劣は出来上がりの良さによって決まるんだったよ!!」

友香「で、でも素人同士だったらあんまり差はないような……それに、どっちの方がいいとか見分ける方にも才能がいると思うでー……」

莉子「……確かに」

友香「うん……」

莉子「……」

友香「……」

莉子「……ねぇ」

友香「ん?」

莉子「やっぱり縫い物は、ミシンで十分だね」

友香「同意でー……」


あ、因みに先に莉子ちゃんが終わりました。

二人で作ったおそろいのミニクッションは、学生鞄に付けておくことになったそうです。以上。


莉子:1d6=6

友香:1d6=1


▼りこ は ゆうか にしょうりした



莉子「はぁー……お、終わった……勝利と言えないあの縫い物終わった後の独特な疲労感だけがなんかk」


▼レベルアップ
  りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 2 になった

▼りこ は きようさ が 1 あがった


莉子「!?」


――友香に勝利した瞬間、莉子の頭でそんな声が流れてきた。


友香「うーん……流石莉子ちゃん、やるのでー!(何でこんなことしたかったのかは最期までよく分かんなかったけど……)」

莉子「す、すごい……今の声、本当だったんだ……」ブルブルッ


思わず電波キャラみたいな発言をしてしまったが、そんなことも気にならないほど莉子は興奮していた。

やはり昨日の出来事は嘘ではなく、そして自分はこの瞬間確かに強くなったのだという感動が、彼女を震わせていた。


友香「……ってヤバッ! もう部活始まってるでー! 莉子ちゃん早く部室へ……」

莉子「(麻雀で強くなったわけじゃないのが正直ちょっと、いやいや大分残念だけど……でも凄い! この調子で行けば、高鴨さんにだって負けないんじゃあ……)」

友香「あのー、莉子ちゃーん?」

莉子「ようし、頑張るぞ……! なんたって後、二週間もあるもんね……!」ズゴゴゴ……

友香「???」


器用さ1アップとかいうので何が変わったかは莉子にも実感がない。私も知らない。

しかし、確かに自信にはなっていた――それが、麻雀によるものでないにせよ。

とにかくこうして彼女の数日間に渡る戦い(ほのぼの)の日々が始まった――のだが、この時まだ莉子は知る由もなかった。

これから十五日後に、どのような出来事が起こるかなど……。




【一日目:でー、あふたー、でー】:終了


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:2 ←up
たいりょく:□□□□□□ ←up

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:2 ←up



【……次に戦う相手を選択します】

【↓2の方 宜しくお願い致します】


【※なお、高鴨穏乃と後一人(諸事情により伏せます、多分誰も選ばないと思いますが)が選ばれた場合安価下になります】

美幸

新子



あこ:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:3
かしこさ:5
うんのよさ:3
きようさ:4


【解説:某あの娘の大親友。女子高校生らしく非力だが他は大概なんでもできる、そんな凄い子】


【本当にこの方で宜しいですか?】


1:yes

2:no


【↓2の方 宜しくお願い致します ※残り二回変更可能です】

1



【それでは決定いたしました……】


……

…………


アニメの全国編も決まって

漫画では北海道と東京が牙を向いて

シノハユという番外編も出たけど

記憶から薄れてるかもしれない兵庫県の可愛い皆を覚えていてもらいたい

そんな思いからできたスレなんだなぁ

みつを


またお暇な時でいいので 是非この何をやってんだか分からないスレを覗いて参加してやってください

という訳で今日はとりあえずこの辺で失礼します 後『勝負』内容募集中です 基本こんな感じでいくのでいい案があれば宜しくお願いいたします

乙牌

シズは賢さに極振りすればミンチにできると思うんですよ(名推理)

乙ー
莉子ちゃんが穏乃にリベンジしようとするSSはもっと増えるべき

シズの能力ねぇ……

すばやさは言うまでもなし
木登りできるし力もありそう
運もあって器用っぽい

……よし、賢さを上げよう(提案

莉子ちゃん誇れ
奈良個人一位より上だぞ

どうもこんばんは
二日目開始します 早めにやって三日目できたらいいな、というぐらいの気持ちです






【二日目:かぷこんげー は にめんから ほんばん】





(アカン)



―放課後―


やたらチクチクチクチクやった……その次の日。

今日も平日なので、相変わらず莉子は学校である。


莉子「(結局あの後同じ部の人に腕相撲とかジャンケンとかで勝負を挑んだけど、あの声的なのは何もなかった……やっぱり一応私の方が強い扱いなんだ……困ったな……)」

莉子「…………」

莉子「(いや、ちょっと嬉しいかな……)」フフフ


ふふふと喜んだのも束の間、しかし一日も無駄にしてはならないこの時期に相手がいないのはある意味ピンチでもあった。

友香にもう一度『勝負』を挑んだりしたのだが、どうやら同じ相手に二回『勝負』を挑んでも何も変わらないらしく、一日に二度も変な要求をされた友香におもいっきり不思議そうな顔をされてしまった。


莉子「(そもそも麻雀大会が近いから練習を……いやでも私の麻雀の実力15ぐらいなんだっけ、じゃあいいや……いや良くないでしょ、私強い扱いなんだから……)」

莉子「(学校の期末テストもあるし……でも赤点とかにはならないと思うんだよね。かといって遊んでていい訳でもないし……)」

莉子「……」ボーッ

莉子「…………」ボーーッ

莉子「んあー……」ボーーーッ

友香「どうしたのでー?」

莉子「!!!」ビクッ


考えが纏まらず完全に気が緩んだところを友香に見られてしまって、莉子は思わず痙攣を起こした。


友香「んふふふ、莉子ちゃんの気が緩んだ顔もゲットでー!」ニヤニヤ

莉子「も、もー!! ホラ、そんなのどうでもいいから部活行こ!」カァァァッ

友香「はいはい」ニコニコ


思わず先輩の口癖を使いながら、莉子は勢いよく席から立った。

そうして未だニヤニヤ笑っている友香と共に部室に向かいながら、莉子も思わずつられて微笑を浮かべてしまうのであった。

……その笑みが、数分後には掻き消えるものとも知らずに。




―部室―


                   '" ̄ ̄ ̄: : : . 、
               /: : : : : : : /: : : : : : : : : :..
             _/: :/:./: : :. :./: : : : : i: : : : : : :\
          //′ :/:./: : : :.:/: : : : : : |: : : : : : : : :
        / :/ / : //:./: .′:./∧: : : : :.ハ: : :. : :|: :|: :.:.

.       / :/ / : //:./」.A--x:′ト、.:.:.:.′ : : : : |: :|: :〔iミx 、
..      / :/ レv: : :′|! V__ `  ヽ l___!__: : : |: :|: : :| ヽ:ヽ

        / :/    i!: |:.|   __     j/- j人`ヽ|: :| |:.:|   . : .
.       / :/    |:.:.|:.| ´ ̄`ヾ     _  ヽ:|: :| !:.:!   . : .   どーもー
     .′′   |:.:.|:.|  ; ; ;    ,    ¨¨ヾ、. ハ:.:.|:|:.:|    l : l
           i!: :! |             ; ; ;  / .′:.|: :!     | : |
    .′:.|     .:|: :|:.ト     {    丶     / /: :.′:.:|    | : |
   ′.:: !    ′..:|:.|: i 、      /     /イ : /: :|: :|    | : |
    |:.′:|   .:.:.:|:.:|:.|:.:|  >、 `¨ ´   . イ:. :.|: /.:.:.:| : |     | : |
    |:|: :.:|  ./: : :|: |:.l: :l/ヘ}  ー‐ .iヽ. /: :. :.j/:.:. .:.|.:.:.|     ! : !
    li!: : |  ′.:.:.|: |:.|: :レ′ \  ∧ |:. :.: : : |: :. :.:.|: :.:|
    lハ : | く`ー‐r.|: |:.|: :ト、   /^V! ∧.l\: : :. | : : : |: : :|   ′:.|
     l: :l/  ヽ | |: |:.|: :| \∧ ol  ∧  `ヽ !:. : : | : : |  l:.l : |
     |:.:|     ___ハ^i^i ト,〔 ̄`Y¨Y¨¨¨¨i   |: : . :ト: .:.:|   l/!.:.|
     | :|     /  ̄レ_// ノ7: : : :l__.ト、: : : l   |.:.:. :.| !: : |    : :|
     |:/     l      ヽ〉─‐'l |: :\/ <  |: :. :.| !.:.:.:|    : :
     i}    /!      /\: :./  \_/′   |: : : | !:. :.:|   |: |
     ′   /        /l  \  、   ′   |: : :.′:. :.:l   |: l
   /     /        /. l\  ‘, | .//     : : / |: : : |   V
.  /     /        /  |  \ ‘, |//    レ  |: :. :.|


莉子「 」

憧「えーっと……私のこと知ってる? 直接面識はないよね。インターハイ二回戦で戦った、奈良県の阿知賀女子の中堅、新子憧です。宜しくねー」ヒラヒラ

莉子「 」

友香「よろしくでー! 私、森垣友香でー! それでこっちが……」

莉子「 」

友香「……えーっと、安福 莉子でー」


何故か突然現れた新子 憧に、莉子は完全に固まってしまっていた。

無理も無い。他のメンバーはいざ知らず、彼女は阿知賀女子に自分の麻雀人生の永遠の汚点をつけられたようなものなのである。

憧がそこまで気をつけているかは分からないが、この場合どちらかといえばいつまでもくよくよくよくよ悩んでいる莉子の方が明らかに悪いような気はしなくもない。ノーマーク爆牌党の鉄壁だって、もうちょっと早めにくよくよが終わっていたと思われる。


友香「でも、どうしてその奈良県の中堅さんが、ここに来てるのでー?」

憧「うん、実は――」


かくかくしかじかまるまるうまうま。

結構話が長かったので、ここからは話を要約し友香の相槌と莉子の石化状態の描写を省くことにする。





憧「……つまり、年末にある『全国麻雀フェスティバル in大阪』のついでに近畿のインターハイ出場校だけで親交会をするって話になって――」

莉子「し、侵攻界……」ゴクリ

憧「それで、今日は学校が早めのテスト休みだからその話をしにきた監督のハル……いやいや、赤土先生の付き添いでここに来たってわけ。といっても、偶々私だけ暇だったからなんだけど」

莉子「(ということは今日は高鴨さんはいないんだ……よかった……)」ホッ

友香「へぇー……でもそれならメールとか、電話で連絡してもよかったんじゃ?」

憧「あははは、本当はそうなんだけどね。ウチの監督の趣味ってやつ?」


明るく笑いながら――それにつられて友香や周りにいた他の部員達も笑っていたが、莉子は一切笑えなかった――憧は部室をぐるりと見渡した。


憧「それにしても、こんな広い和室で着物着て麻雀って凄いわね。まるで茶道部みたいだし」

友香「いやいや。実際冬本番になると寒いし、夏は夏で着物が暑いしで大変でー」

憧「ふふ、でも冬の寒さはこっちには勝てないだろうなー。こっちは山間部だから、酷いときなんか雪が膝の上まで積もっちゃって……」

友香「うわぁー、それは嫌でー!」ギャー

莉子「……」


先程の「穏乃がいない」発言によりやや回復した莉子だったが、しかし友香と憧の仲良さそうな会話には中々ついていけなかった。

それは先程の通り彼女達が莉子にとっては恐怖の存在であるという理由もあったが、また別にはそもそもこのカチューシャ娘が若干の人見知りであるという原因もあった。


莉子「(下手に会話に入ろうとして失敗すると、インターハイと同レベルの苦痛を味わってまた夜も寝るに寝れない日々が続いちゃうし……あれ?)」


莉子はそこで自分の同類を一人、憧の回りを囲む劔谷高校の人間達から見つけた。



                _____

              ..: : :´: : : : : : : : : : : : `丶
.           / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
            /: : : : :/: : : : : : : : : : i: : : : : : : : \
        /: : : : :/: : /: : : : : : : : : |: : ヽ : : : : \ヽ

          /: : : : :/: : /: : : : : : : : : : ト、: : : : : : ヽ: : : :',
        ′: : : /: : /: : : : : !: : : : : :| i: : : | : : : : |: :|: :i
       i: : : : : |: : :|: : |: : :.:| : : : : i:| |: |: :| : : : : |: :|: :|
       |: : : : : |: : :l: 斗─┼一':.:从.|: | ┼─-、|: :|: :|
       |: : : : : |: : :L: 」.─┘─‐'  ノノ └─‐从/ : |
       |: : : :.:ィl: : : : 抖テ夫卞       r尓夫ミ/|: : :|
       l : : : {: |: : : : | V辷ソ      V辷ソ .::|: : :|
       l : : : ヽ|: : : : |:::::::::::::     ,  ::::::::::: .:::|: : :|
       |: : : : : |: : : : |                   /::|: : :|
       |: : : : : |: : : : |               /::: |: : :|
       |: : : : : |: : : : |::ヽ      ⌒    /:::::::|: : :|
       |: : : : : |: : : : |:::::::::|`    __  イ:::::::::::: |: : :|
       |: : i : : |: : : : |::::r=}       |ュ :::::l:::/::::::〃: :.:|
       |: : l : : | : i: : |/  \     l/ \|/:::::://: :.:/
         \|\八/\八    >┬く   ヽ/厶ィリ
         rく::.::.::.::.::.\    ∧. p \   |::.::.::.\
.       /  丶::.::.::.::.::.::ヽ/\\___/.へ_/::.::.::.::.:|ヘ
       / \  \::.::.::.::.::.:\\\::.::.///::.::.::.::.::.::|/}


?「……」

莉子「ぶちょー、ぶちょー」ボソボソ

?「……」

莉子「……依藤せんぱーい」コソッ

?「!! ……あ、莉子ちゃん……」ボソボソ


そう。緑色の髪で幸薄そうな顔していて影の薄い彼女こそ、哀れにも三年引退後劔谷高校の部長として祀り上げられた可哀想な依藤澄子だった。


澄子「ごめんね莉子ちゃん……私あんまりまだ『部長』って呼ばれるの馴れてなくて……」ボソボソ

莉子「いえいえ……それよりも、こういう時にこそ依藤先輩が積極的に会話に加わるべきでは……」コソコソ


澄子はそれを聞くと、ただでさえ困ったように見える眉毛をさらに困らせて「そんなこと私ができると思う?」と小声で言った。

実際彼女は一年生の莉子からみても覇気が無く、人と何かを合わせるのが苦手で、そして何より他人を纏めることに関して日曜朝日枠の特撮の敵幹部ぐらいヘタクソだった。

しかしそれは澄子に責任があるのではなく、むしろそういった彼女の気質などをきちんと捉えられず部長に指名してしまった顧問教師の方に責任があるように莉子には思われた。


莉子「(昨日この人と『勝負』して勝っても何も起こらなかったし……そういうことなんだろうな……可哀想に)」

澄子「はぁー……」


頼りにならない部長がため息をつくのを哀れんでいた莉子は、ふとそこで思いついたことがあった。




莉子「(そうだ……阿知賀女子でそれもスタメンってことは、間違いなく私よりも格上だよね……)」


もう劔谷高校の麻雀部で自分よりも実力があるのは――引退した三年生を除けば――いないという事実を昨日知った彼女は、これはチャンスなのではないかと思ったのだ。

しかも相手はトラウマの原因でもある阿知賀女子である。負けたせいで10チャンネルの「かんさい情報ネット」で奈良の特集をやってるのを見ただけで、「うっ」となるぐらいトラウマの学校である。

その学校の人が来たということは、これはここらでかつての暗い記憶を払拭するべきという神のお告げ的なアレではないのか。


莉子「(うんうん、多分そうだ……神様なにも考えてないかもしれないけど……)」

憧「……それにしてもハルエ、というか赤土先生遅いわねー。もう結構時間経ってるような気がするんだけど……」

友香「こっちの顧問も遅いでー……あっ、そうだ! 折角だから麻雀打っていくでー! インターハイベスト4の阿知賀の実力、是非見せてほしいでー!」

憧「え、ええ? 正直そこまで持ち上げられると割りと恥ずかしいけど……でも、麻雀なら負けないわよ?」ニヤリ


「麻雀なら自身アリ」の笑みを浮かべる憧に対して、劔谷高校の面々も「そんなこと言ってると足元掬われるぜ?」の笑みを浮かべた――勿論、二人を除いて。


澄子「(もしかしてこれ、私が部長代表で面子に加わらないといけないパターンかな……嫌だな……そんなことやって負けたら恥の上塗りなのに……)」ハァ…


澄子はもう見てるこっちが悲しくなってくるぐらいネガティブな考えに囚われており、そして莉子は――。


莉子「……あっ、あのっ! 新子さん!」

憧「?」


――がっつり勝負を挑もうとしていた。


莉子「そ、そのー……もし良ければ麻雀する前にまた、その、『勝負』しませんか……?」

憧「??? 麻雀で勝負ってこと?」

莉子「い、いやそうじゃなくて……えーと」


なんとなく覗いてみたら意外と真面目なスレだなおいw



勢いよく話しかけたものの、莉子は途中でどう憧に伝えたいいかを迷っていた。

昨日は友香が普通にいい娘だったから会話が成り立ったものの、今日はそうはいかない。直接面識のない相手にこの風変わりな要求を何と言っていいものか――。


友香「……実は莉子ちゃんは最近、人に色んなことで『勝負』を挑むのが趣味になってるみたいなんでー」

憧「色んなこと?」

友香「えーと、縫い物とか腕相撲とか数学の小テストとか50m走とかパンクラチオンとかで」

憧「へぇー。都会の流行ってやつ?」

莉子「い、いえ……その……実に個人的なもので……」カァァァ


友香に声に出されて昨日の自分の奇行を読みあげられ、なんか恥ずかしくなって死にたくなった莉子をよそに憧は興味深々であった。

彼女は見た目こそナウでヤングな女子高生だったが、中身はあの吉野の大自然で転がりまわり穏乃と共にわいわいやりあう、そんなアクティブな少女であったのだ。


憧「なんかそれ聞くと、小学校の頃思い出しちゃうなぁ。箱にこう色々命令が書かれた紙を入れてさ、皆で引くの。で引いた命令を絶対実行しないといけないー、みたいなやつ」

友香「それって絶対無理なやつばっかり入ってるやつでー!」アハハハ

莉子「(私の今の行動は小学生レベルだったのか……)」ズーン


相変わらず落ち込んだり盛り上がったりが激しい莉子だったが、しかしテンションが下がったからと言って『勝負』をしない訳にもいかなかった。何せもう言ってしまったのである。




▼りこ は あこ に しょうぶ を いどんだ!


憧「さぁ、どういうので来るのかなー? 私こう見えても、結構器用だからね!」

友香「憧ちゃんも莉子ちゃんも二人ともファイトでー!」

澄子「(私はあんなに皆と仲良くできないし……羨ましいなぁ……)」


莉子「(み、皆見てる前でこんなことやるなんて……し、死にたい……)」


▼しょうぶ を せんたく せよ!


【1:いやだから勝負じゃないってこれ! 茶道!】
【2:ただ片付けてるだけにしか見えない! 荷物整理!】
【3:ただの荷物運びにしか見えない! 雀卓運び!】
【4:一対一じゃただの運ゲー! 雀牌インディアンポーカー!】
【5:お前これで憧ちゃんに勝てると思ってんのか!? 牌暗記!】


▼↓2 が せんたく するのだ!


4




▼しょうぶ の じかん だ!!


りこ:おんな 高1

レベル:1
たいりょく:□□□□□

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:1



VS!!!



あこ:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:3
かしこさ:5
うんのよさ:3
きようさ:4



前回器用さ上がってるぞ

失礼しました





▼しょうぶ の じかん だ!!


りこ:おんな 高1

レベル:2
たいりょく:□□□□□□
ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:1
きようさ:2



VS!!!



あこ:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:3
かしこさ:5
うんのよさ:3
きようさ:4



こうですね

圧倒的じゃないか敵軍は



▼しょうぶ かいし!!


莉子「……」パッ

憧「……」パッ


――そうして、二人は向かい合った。額に麻雀牌を一つずつセットするという、何やら珍妙な状況で。


澄子「それで、アレはなんなのかな?」

友香「『雀牌インディアンポーカー』だそうでー。ルールはインディアンポーカーと同じく額に一つの牌を当て、その数字の大小で競う……牌交換は一回のみ……」

澄子「……字牌が出たら?」

友香「字牌はあらかじめ抜いてあるでー」

澄子「……それ、雀牌でやる意味ある?」

友香「ないでー!」キリッ

澄子「そうだよね……」


中々に救いようがないルール設定の中でも、憧と莉子は延々とにらみ合っていた。本人達は一応真剣である。


莉子「(新子さんの牌は六筒、つまり6……私としては、牌を変えるかどうか結構微妙な数字……)」ジーッ

憧「…………あの、えーっとさぁ、莉子……って呼び捨てしちゃうけど」

莉子「? は、はい」


真剣な表情で相手の牌を見て戦略を決めようとしている莉子に、憧が申し訳なさそうに言った。


憧「こんなことを対戦相手の私がいうのも何だけど、その牌は変えたほうがいいと思う……」モウシワケナサゲッ

莉子「!? そ、そんなこと言ってだまそーったって、そ、そーは行きませんよー!! 私の煽られ耐性はもう、すごいんですから!」ドキドキ


突然の言葉に、煽られ耐性ほぼ皆無の莉子は驚きながらもそう言った。相手の言うことを真に受けたら負けのゲームでちゃんと反応してやるとは、アホの子バリバリである。


憧「いや、その……だって……」

莉子「な、なんですか……」ドギマギ


それに対し憧は――知能戦を挑んでいるのか分からなかったが――相変わらず言いにくそうに言葉を続けた。


憧「あの……やっぱり負け方、ってあるじゃない? そういうのを考えるのも大事っていうか……」

莉子「なんで負けること前提なんですか……」

憧「いや、だって、その……」

莉子「……」

憧「…………」チラッチラッ

莉子「は、早く言ってくださいよぉー!!」

憧「そ、そう? それなら言うんだけど、アナタの牌……」


力を使う種目ならイーブンだったけど、多分これ違うよな……

ステータスが1違うだけで別物の強さらしいからこれは厳しいか



言いながら憧は牌を持っていない方の指を操り――円と、1を空気中に描いた。

まるいち。

おーいち。

初代ガンダムの型番。

意味するところは様々であったが、しかしこの状況ではたった一つしかない……一筒。彼女は、莉子のおでこにある牌を一筒だと言っているのである。


憧「……ね? 意味、分かったでしょ?」チラッ

莉子「……」サァーッ…


それの意図するところに気づいた莉子の頬から一筋の汗が流れ、そして顔から血の気が引いていく。

そう、あってはならないのだ……この部室内で、劔谷高校の部員が勢ぞろいしている中で、よりにもよって阿知賀女子の部員にその牌で――あのトラウマを生み出した牌で敗北することなど。


莉子「イーピン、イーピン……イーピンだって……そんな、まさか……」ガタガタ

憧「だ、だからその……あんまり、ね? ここは是非変えることをお勧め――」

莉子「――」


莉子は未だ混乱が収まらないまま、その瞬間一つの決断を下した。

トラウマのどん底に叩き落された中で選んだその選択肢は――。


▼りこ は どうする?


【1:か、変えない……私は、変えない……!】
【2:次で一番上のやつを引ければ……:+きようさ、体力-1】
【3:――次に何か言われる前に変えちゃえ!!:+すばやさ、体力-1】


【前回も申しましたが、体力を1消費することで『自分だけ』その能力分のダイス判定を加算できます。大事なことなので二回言いました】

【なおもう選択されたので言いますが今回は運ゲーでした。このように選択肢にフツーに答えが書いてある時もあります。イミフな時もあります】


▼↓2 が せんたく するのだ!


まあ体力消費すればなんとかなるなきっと、うん

2



>>59
   その通りでございます。普通にすれば負けることなど大体ありません。まぁ、相手の得意分野(今回の場合は『かしこさ』ですね)に挑まない限りはですが】


莉子「(イ、イーピン……イーピン、はちょっと、マズい……)」カタカタ

莉子「(……それで負けるのは絶対嫌だ。もし負けるにしても、次で、次で引いたのがイーピンでさえなければ……)チェ、チェンジ……」スッ…

憧「じゃあ私はチェンジせずでー」ニッコリ


混乱の末、彼女は見事憧の言葉に従ってしまった。催眠とか洗脳とかに弱そうなメンタルである。

そうして静かに裏返っている牌の内の一つに触れ、それを額に戻し……


憧「え゛っ……」

澄子「あっ」

友香「……9でー」

莉子「……え?」


……そして、普通に9索を引いて勝った。


莉子「え、あれ? 本当に勝ったの?」キョロキョロ

憧「あーあ……さっきも9筒だったから、変えられたら勝ちかと思ったのに……」ガッカリ

莉子「……ということは、もしかしてさっきのはイーピンじゃなかった……」

莉子「……うっ」ジワッ

憧「ご、ごめんね! ほら、やっぱりこういう運か口勝負かみたいなので手を抜いたら面白くなくなると思って……」

莉子「い゛え゛、ぜんぜんだい゛じょう゛ぶでず」グスグス


緊張から開放されたことで、思わず鼻水と涙を出しながら反応する莉子。

……まぁ結局、インディアンポーカーなんて一対一でやると運ゲーってことです。皆さんも友達とやる時はお気をつけて。ていうか麻雀牌持ってるなら麻雀やれよ。


莉子:1d6+2d6=4+4+4=12

憧:3d6=6


▼りこ は あこ にしょうりした




―二時間後―


赤土「それじゃあ、また年末で……」ペコリ

顧問「はーい。よろしくお願いします」ペコペコ


やがて解散の時間となり、大人達がぺこぺこと挨拶をする隣で憧と劔谷高校麻雀部一同は言葉を交わした。


澄子「それでは今度は大会で……」ペコリ

友香「それじゃあ、またでー!」

憧「またねー」ヒラヒラ


この二時間で可哀想な澄子先輩以外は皆憧と打ち解けることができ、別れの挨拶も酷くフレンドリーなものとなった。


莉子「……あっ、ちょっと憧ちゃん待って!」

憧「んー?」


それは莉子も同じで、あの糞ゲー……ではなく雀牌インディアンポーカーの後の麻雀勝負を通してすっかり名前呼びができるようになっていた。


莉子「あの、高鴨さんに伝えて欲しいことがあるんだけど……」

憧「おっ、挑戦状かな?」ニヤニヤ

莉子「あ、あんまり茶化さないでよー……え、えっとね」

憧「うん」


空には夜が近づいているような、橙色と黒色が混ざった独特の色をしていた。

その夜の黒色が発生している場所に立っていた憧――まるで莉子には到達できない場所であるかのように、彼女は赤土監督と共に二人で立っていた――に向かって、莉子は大きな声で言う。

夜に近づくために。今の莉子では届きようが無いその暗闇の中に立ち並ぶ巨大な山々、そこに棲む一人の少女にも聞こえるように。


莉子「――『大会で覚悟しといてね』って!!」


澄子「……」

友香「莉子ちゃん……」

憧「……」


憧「……確かに、伝えておくわ」ニッ

莉子「――う、うんっ!!」ニコッ


そうして彼女達は笑顔を浮かべながら、その場をそれぞれが立ち去った。

夕暮れに溶けゆくその光景は、何故か酷く穏やかなものにも見えたという――。




……あ、因みに麻雀勝負では莉子は憧に一回も勝てませんでした。やっぱ全然駄目ですね。



あ、レベルアップのあれ忘れてました



▼レベルアップ
 りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 3 になった

▼りこ は うんのよさ が 1 あがった


▼レベルアップ
 りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 4 になった

▼りこ は きようさ が 1 あがった




【二日目:かぷこんげー は にめんから ほんばん】:終了


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:4 ←up
たいりょく:□□□□□□ ←維持

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:2 ←up
きようさ:3 ←up



【……次に戦う相手を選択します】

【↓2の方 宜しくお願い致します】


【※なお、高鴨穏乃と後一人が選ばれた場合安価下になります】

文堂

荒川憩

ワハハ




いこい:おんな 高2


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:5
うんのよさ:15
きようさ:12


【解説:ナースの名は伊達ではなくやたら手先が器用であり、また麻雀大会で好成績であるため運も強い】


【本当にこの方で宜しいですか?】


1:yes

2:no


【↓2の方 宜しくお願い致します ※残り二回変更可能です】

1

ちょ、よく見たら読みが間違ってるwwwwww



【それでは決定いたしました……】


……

…………


魔物達の追撃の手は休むことを知らない。
危機の連続の中、莉子と可愛いナースの小さな心のふれあいが悲劇をうむ。「莉子よ安らかなれ」と、誰が言えよう。


機動戦士リコダム
次回 「戦犯、血に染めて」
君は生き延びることができるか?


遅筆すぎてまたこんな時間になってしまった……今日もここで終了です 憩ちゃんはマジの強敵なのでどうにか「ちから」か「すばやさ」勝負に持ち込むことをおすすめします それでは

あとなんか「いこい」って書いてますね 焼き土下座ですね けいですよ皆さん お間違えなく


やっぱ放置しておくとまた間違えそうなので一応訂正 毎回咲スレを立てるたびに誰かの名前を必ず間違えてしまうのは何故なんだろう


けい:おんな 高2


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:5
うんのよさ:15
きようさ:12


【解説:なーすは伊達じゃない! 謎が多すぎて>>1もどう勝負させたら莉子ちゃんが勝てるのか今頭を抱えている最中です助けて】


それでは皆様おやすみなさい

乙ー

乙ー

しかし、なぜこのキャラを選んだのか…

どうもこんばんわ
スレを立てて三日目、どんどん遅筆化が進行しています
というわけでやります




【三日目:アト○エかぐや の なーすものの きあいの はいりかた は いじょう】





次の日……莉子は学校を休んだ。

といっても病欠とか事故だとかanotherなら死んでたとかではない。ただ親族の法事があり、仕方なく休まざるを負えなかったのだ。


莉子「(私の家は親戚とかたくさんいてお年玉も期待できるけど、こういう時は困るよね……)」トコトコ


そう思いながら莉子は学校の部室へと歩を進めていた。時刻はもう午後の三時を少し過ぎたぐらいになっていて、法事から帰ってきた彼女が授業は受けれる状態には無い。

しかしそれでも根は真面目な彼女である。折角時間もあるのだし、麻雀部に行って練習をしに行こうと思ったのである。

私なら絶対しないが、部活好きな人とかは予定で授業を休んでも部活は行くとかはするかもしれない。というか実際今彼女がしている。


莉子「(やっぱり才能があんまりないと言われたとはいえ、友香ちゃんが猛練習して私よりも3上がったし……何より私自身麻雀が好きだしね)」トコトコ


彼女がもし麻雀をしていなければあの地獄のようなトラウマも発生しなかったが、しかしその代わり劔谷高校の素敵な奴らとの出会いもなかった。

そう考えると莉子にとって麻雀とは、ただ才能の有無で決まるもの以上の価値があるものなのかもしれない。


莉子「(まぁ、本当は長く麻雀に接しすぎた所為で『もうこれしかないっ!』って状態になってるだけかもしれないけど……)」スタスタ


まぁ理由はなんにせよ、彼女は今日も麻雀をやる為に麻雀部の部室の前に立つのである。

莉子は部室のドアをがらりと明け――そしてそこに、懐かしい顔を見た。


?「莉子ちゃーん!」フリフリ

?「ご無沙汰しております」ニコッ

莉子「あっ……美幸先輩!! 梢先輩!!」


黄色くて丸い卵みたいな髪型をしたかつての部長と眼鏡をかけた先輩の姿を見て、莉子は思わず喜びの声をあげた。

椿野 美幸と、古塚梢。劔谷高校の三年生にして、かつてのインターハイで莉子と共に戦った仲間でもある。




友香「……でも大丈夫なんですか? センター近いのに、忙しいでしょう?」

美幸「うーん、センターまであとちょっとで一ヶ月ってなると、何だか何をやっても無駄なような気がするっていうかー」

梢「本当はそんなことないのですけど……しかし、焦ってストレスを溜め込むのもよくないですからね」

莉子「梢先輩は普段からちゃんと勉強してるし、大丈夫ですよ!」

梢「ふふふ、ありがとうございます」ニコリ

美幸「ちょっと莉子ちゃん。私もちゃんと勉強してるよー、もー」


掃除で遅くなる澄子を除いたスタメン四人は、朗らかな会話を交わしていた。

本来この時期に三年生に登校義務はなかったので、莉子は二人の先輩が部室にやって来て会話が出来ているという事実が嬉しかった。


莉子「二人ともK大を狙ってるんでしたっけ」

美幸「うん。模試の結果は一応A判定だったから、後はセンターで失敗しなければ十分いけるはずだよ」ピース

梢「もう、美幸さんはそうやってすぐ調子に乗る……模試というのはあくまでも規準でしかないのですからね」

美幸「分かってるってば、もー」ブー

友香「あはは……ところで、今日は先生はいないのでー?」

莉子「えーっと、昨日の近畿での集まりの話があるでしょ? それで三箇牧まで行って、参加の意思を聞いてきてるみたい。部活やってる間に帰ってこれるかは微妙だって」

友香「確かに三箇牧の荒川 憩は団体戦には出てないけど個人戦二位だから是非来て欲しいでー……にしても、澄子先輩遅いでー。さっきからずっと待ってるのに……」キョロキョロ

莉子「そう言われると、掃除にしても遅いかも……」


友香の言葉を聞いた他の三人は、そこで部室の戸をじっと見た。

確かに掃除にしては随分遅い。かといって「委員で遅れる~」といった内容の連絡も彼女達の携帯には届いていなかった。

それが特別おかしいことかと言われればそうではないのだが、莉子としては是非インターハイの五人で集合したかったのである。


莉子「(というか澄子先輩も、他の皆もそう思ってる人多いだろうし……)」


そう莉子が思うのと、部室の横開きの戸ががらりと開かれるのはほぼ同時だった。

中から入ってくる少女の髪の色は緑色で、莉子は「来た来た」と最後のインターハイメンバーの登場に心躍らせたのだが――しかしすぐに異常に気づいた。


莉子「……」

美幸「……」

友香「……」

梢「……どうされたのですか、澄子さん」


澄子「……」


何故か首を曲げてずっと天井を見続けている現部長・澄子は、梢の質問に一言だけ返した。



澄子「……鼻血が、止まりません……」ポツリ




美幸「えーと、『鼻血』って『じ』? 『ぢ』?」

莉子「多分『ぢ』じゃないかと……」

美幸「……あっ、『ぢの治し方』になっちゃった!」

友香「うわぁ、脱肛ってあるんだ……怖いでー!」ガクガク

梢「でも痔から発展してそういう状況になるのは、ある意味興味深いですね」


澄子「あの……早く調べてください……」ウエムキー


部室についても感動の再開とは行かず、四人は澄子の鼻血の治し方をスマホで必死に調べていた。

……え? 必死じゃない? そうかもしれませんね。


美幸「というか澄子ちゃん、こういう時は私達よりも保健室に行って適切な処置を受けたほうがいいと思うよ、もー」

澄子「……それが……今日……頭上向けてると喋りにくい……先生が不在で……仕方なく自力で……」

美幸「ああ……」


美幸は相変わらずの澄子ちゃん可哀想列伝に、失望とも哀れみともつかない声を漏らしながら、スマホを操作しつづける。


美幸「『鼻血の治し方』っと……よし、出たよー。とりあえず一番上のページを押して……」

莉子「えーっと、『上を向いて鼻血を止めるのは間違いです』」

澄子「え……そうなんですか……じゃあ鼻にティッシュを詰めて……」

友香「『鼻にティッシュ詰めるのも間違いです』」

澄子「……じゃあどうすればいいんですか……」

梢「ええっと、『小鼻の部分を圧迫し、うつむきながら三分間静止する』……のがよいそうです」

澄子「小鼻の部分を圧迫……」ギュッ


呟きながら鼻を摘まみ、澄子はうつむいた。


莉子「あっ、部長。立ったまま静止は辛いだろうし椅子どうぞ」ササッ

澄子「どうも……」ウツムキー

美幸「そっかぁ。澄子ちゃんが部長って呼ばれてるんだよね、今は」

梢「ふふふ、何だか数ヶ月部室に来ていないだけで年をとった気分になれますね」


あはは、とその場に朗らかな笑みがこぼれる。

うつむきながら鼻を摘んでいた澄子も笑顔を浮かべたが、それは(澄子の鼻血以外は)かつての彼女達にとっては日常であった――。




――と、いい感じで締めた筈のその一時間後。


莉子「……」

美幸「……」

梢「……」

友香「……」


澄子「……あの、皆さん私のことはお気になさらず……」


澄子は何故か、まだ鼻血をだくだくと零し続けていた。


美幸「お気になさらずって……さっきからずっと鼻血収まってないよね? 大丈夫なの?」

澄子「いやいや、もう余裕ですよ……ほらもう多分今止まったから手を離しても」パッ


ドバーッ…


澄子「……」ツマミッ

美幸「……」

澄子「すみません……雑巾取ってきます……」

美幸「そんなのこっちがするよ、もー!!」


床に零れた鼻血を目の前にしながら、澄子はしゅんとして謝った。

そんなお前が謝ることじゃねーよ、と思わないでもないが、しかし鼻血が一時間も続くのは明らかに異常である。


梢「これは……病院に行った方がいいんじゃないでしょうか……」フキフキ

澄子「そ、そんな大げさな……あ、どうもすいません拭いてもらって……」

友香「いや……そうでもないでー……」ポツリ

澄子「えっ?」


「大げさ」と言った澄子の発言に、友香が真剣な口調で言う。

その片手には、先程からずっと調べものをしていたであろうスマホが握られていた。


友香「鼻血が止まらない時には……白血病血友病高血圧特発性血小板減少性紫斑病肝機能障害副鼻腔がん動脈硬化などが考えられ……」

友香「色々あって澄子先輩は死んでまうのでー!!」ギャーッ

澄子「ちょ、ちょっと待って待って待って……やめてそういうの本当に……普通の鼻血でも不安になるから……」


畳み掛けるような友香の言葉に、不安そうに澄子はそう言った。

確かにどうでもいい症状を見逃した挙句重症に、というパターンは様々な病気のなり方というものの中でも最も恐ろしいものである。

そういえば>>1も割とトイレ近くて喉もよく乾くから、一時期自分が糖尿病だと思ってた時期がありました。でも良く考えたら「喉かわく」→「水飲む」→「トイレ行く」って当たり前ですよねってどうでもええわこんな話。


莉子「で、でも友香ちゃんの言う事はオーバーだったとしても、やっぱり一時間鼻血出っぱなしというのは変なのでは……」

澄子「だ、だから大丈夫だってば……あと三十分もしたら止まるよ、絶対……」

美幸「(三十分しないと止まらないんだ……)」


地味に長い時間を設定してきた澄子を、四人は何とも言えない視線で見た。




そしてその、さらに一時間後。


澄子「…………」ウツムキ


莉子「……三十分前ぐらいからずっと俯いてますけど」

友香「も、もしかして死んでたりして……」

美幸「そ、そんなこと言わないでよ、もー!」

梢「本当に大丈夫なのでしょうか……?」


澄子「……血が、止まらねーさ……」ボソッ


莉子「ああっ、何か死亡フラグ立ったみたいになってる!」

友香「封神演義でこんなキャラいたでー!」

梢「やめましょうそんな縁起でもないこと……」

美幸「て、ていうか本当に大丈夫なの? 流石に二時間出っ放しはただ事じゃないよ、もー」

澄子「……確かに、私も段々何かの病気のような気がしてきました」

美幸「だったら!」

澄子「でも医者は無理です。絶対駄目です……」

美幸「ど、どうして……」

莉子「まさか保険証を持ってないとか……」

澄子「だったらこんな学校に通ってないよ! 失礼な……医者は苦手なんです。昔盲腸の手術で、ヘタクソな外科医にお腹を弄繰り回されて以来……」ボソボソ


彼女の言った理由に一同は納得こそしたが、しかしならばどうすればいいのか。

このまま放っておくのは流石に何が何でもマズイだろう……となったその瞬間――再び部室の戸が、がらがらと開かれた。



顧問「よぉ、ちゃんとやっとるかー? ……ってなんや三年まで勢ぞろいして」ニョキ

莉子「あ、監督! 大変なんです、澄子先輩が……鼻血で!!」

美幸「鼻血で!」

梢「鼻血です!」

友香「鼻血でー!」

澄子「死にたい」


鼻血を大異変みたいに言う一同に、なんやコイツラみたいな顔で顧問は言った。

わかるわー
献血の時ヘッタクソな看護婦に当たった時があって滅茶苦茶痛いわ注射痕が半年消えないわで散々だった



顧問「鼻血ィ? 何やそんなこと重要そうに言って……」

莉子「いやいや大変なんですよ、本当に!」

友香「……そうなんでー! 鼻血は白血病血友病高血圧特発性血小板減少性紫斑病肝機能障害副鼻腔がん動脈硬化などが考えられ……色々あって澄子先輩は死ぬんでー!」ギャーッ

澄子「や、やめてよ……勘弁してよ……」

顧問「はぁ……なんかもう、意味分からん。私はこれから職員会議あるから、そういう話は保健室か……あっ、そうや。コイツに任せとけ」ズイッ


言いながら顧問は――背後にいた一人の少女を前に押した。


顧問「昨日と同じでな、こっちの高校にわざわざ客が一人来てくれとるんや」

?「…………

                 /:/:: : : : : : : : : :/: : : : : : : : /: : : : : : : :\: : : : :\
              / : /: : : : : : /: ://: : :/: : : : :./:| : : : : : : |: : :゚: : : : : : :.
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             ′/: : : : : //:_/__,/:_: :/: : : : :./: :.:| ゚: : : : :.:.|: : : : :゚: : : : : ::.
.             |: /.|: : : :.:/7´/ _」: : / : : : :.:/┼:┼ ゚: : : : :.l: : : : : :|: : : : : :|
.             |//:l: : : /| |:./   : :∧: : : : : ,」:.:.:|  ゚:.\:.リ: : : : : :|: : : : : :|    どうもーぅ
.             |/: :|: :./:.:| l/   l/ ‘: : : :.| 八: |  |: : /: :l: : : : :|: : : : : :|
          /: : :|::/: : | | ___--、  ‘: : :.|  ‘ |  |: /}: /: : : リリ: : : : :.:.|

         /: : : :从{: : ::|ァ´ ̄ ̄`ヾ   \{ __-‘__, |//:/: : : /::/ : : : ::| :|
        / : : : : : : : : : : |            ´ ̄ ̄`ヾ/イ: : : / / : : : : ::| :|
     __彡: : : : : : : : :/ : : : :| 〃〃   ′           |: :/Χ : : : : : :| :|
    `ー------=彡ク: : : : : |     _      〃〃   |/´ ̄`∨: : : : :∨
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          /: : : : : :/ / \          /       、__彡イ: : : : : :ト、: : :.\
         /_:_:_:_::彡   //l: : :\   `ー‐        _. .:≦: :|: : :.从 : : : 八  --- `
               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \      」

莉子「天使! 天使だ!」

友香「天使でー!」

美幸「天使きた! これでかつる!」

梢「よろしくお願い申し上げます」

憩「はい、よろしくおねがいしますー」


――大天使荒川 憩が、そこに光臨した。


澄子「あ、どうもどうも」ドバドバ…

顧問「(凄い鼻血やな……)」





憩「確かに私は看護学科やけどーぅ、流石にそういう治療は病院に行ったほうがええと思うよー?」

澄子「そ、そういわず何とかしていただけるとありがたいです……」ボドボド

憩「まぁ、とりあえずやれるだけのことをやってみるけどー……」


憩の登場によって、始まってから二時間が経過した「澄子鼻血クッソドボドボ事件」は新たなる局面を迎えようとしていた。

まぁ二時間も流れ続ける鼻血を突然現れた新キャラが止めれるとは限らないが、しかしそれでも素人よりかはよっぽどマシな対策方法を知っているだろう。

一同は少なくともそう思っていた――莉子を除いて。


莉子「(皆はこの鼻血の話で盛り上がっている……でも、私は言っちゃあなんだけど『どうでもいい』!!)」

莉子「(この人は昨日の新子さんと同じく、明らかに私より格上……個人戦二位!)」

莉子「(つまり、この人とも『勝負』が出来る……けど、問題は「どうやって、何の」『勝負』をするかということ……あっ!)」


一人だけ全く別のことを考えていた莉子は、そこでぴったりなとある方法を思いついた。

しかしその為には一芝居打つ必要があるが――ややあって、莉子は緊張しながら言った。


莉子「……あ、あのー……荒川先輩、澄子先輩……」

憩「んー?」

澄子「……はい?」ドボドボ

莉子「じ、実は、その、今まで……隠してたんですが……」

美幸「なになに?」

莉子「……私……


.  /{/::::::::\:::. . . :.:.::;:.: . !|::.:.:.:.:.: . ./. : .::.:.`:./    ト.  / /
 (::::::::::::::::::::::.\ . . :V . . .l . . : . . /. :.:.::.:::/.:.:.:ー‐-一':::)/ / ,//

  >.::::::::::=‐-ミヽ::::}:::::::::::::::::::::::.:.:. . . / . . . :.:.::::::::::://  ''" /
<::::::::::::::;   .:::::::::/ハ::::::::::::/::::::::/::::.:.:.: . .  .:::;=-‐  '" -‐ァ /  /〉 /〉 /'
 }::>.<   ;::::::::/ ノ:::::::ノ{::::::::/::::://:::::..:.:.:::::/, -=7 ∧ / /  // // / /

 .:::::::::=≧ <::::://イ≦、人:::::{::::::'::{::::::::://V::::.   / /.:::/ /   // // / /
ノ.:::::::::==ニ:::::>  辷≠=ミx{八::::{八:::::// |::::.  / /::::/ ∧  / /'  / /
::::::;::-‐==.::f⌒ヽ ー'( r。,`ヾ≧xヽV ヘ{ {  |:::: /....::::::/イ::::}      /
Y:::::, -=彡.:::|  } )  _`ニ≡≠彡くノノ≧=ミx|::::i/.:::::::ト:::::::ハ:/    /

ノ.:.::{ ん厶::::| -‐ ' "´    `¨¨⌒ヽ くr。`Y彡:::ノ::ノ}ノ j/ ノ′   
. :-‐≠ ''(ハ::|                 マニ^/ノ(::(       |    |
(...:::::::\__ハj /          ,.. ‐ __''∨/   `ヽ        |人人|人人
三≧x::::几/     /     ⌒ く:::://     \  人人ノ
 三`ヽ./⌒ヽー- ..//     __  v' /    、_)
  ≧/::..  ::.ハ≧.'/`: . .<-‐::::::::::Y / \ \ }   伝説の医者の
 ,/i{:::.:. .:.:::;:;}:i /√三ニ=-:`≧=< /   、 \ )'
x'三弍::.:. .:.:;:;:リ 仁三二ニ==‐- : .> 、   )    子孫なんです!!

三三ニヽ::.:.:.;:;彡'/~``丶、: : : : : : : : : : : : : :ー<
三二ニニ≧''"//二ニ=- 丶、: : : : : : :\: : : : : : >」





――『Kの一族』と呼ばれる存在が、この世界にはいる。

人を救うために活躍し続けるその一族は、誰もが皆医学の世界に関わる。

優秀なる医学の力を持った、しかし忌まわしき血筋。その血は脈々と受け継がれているという……。

……あ、因みに月刊イブニングでK2が連載されています。イブニングの中では割と面白いですよ。


莉子「……ということなんです! だから私はもう、鼻血の処理とか余裕ですよ!!」ジャーン!

澄子「う、嘘つけ……」ドボドボ

友香「嘘でー」

美幸「嘘だよね……」

梢「適当なことは言わないほうがよろしいと思いますが……」


莉子「(デスヨネー)」


渾身の即興演技があっさりバレてしまった莉子だったが、しかし優しい読者の皆様は彼女の狙いを察してくれたことであろう。

そう、彼女は実の先輩っていうか部長の鼻血をがっつり利用して憩に『勝負』を挑むつもりなのだ。

後輩に『勝負』のダシにされてしまう澄子先輩の可哀想さは、ただの哀れみを通り越してなんかもう凄まじいものとなっている気がしないでもない。


莉子「……と、とにかく澄子先輩! 私に任せてください! そして荒川先輩!」

憩「はーい」ピース

莉子「私と先輩、どっちが澄子先輩の鼻血を先に治せるか『勝負』しましょう」

憩「え、ええー……流石にそれはどうかと思いますーぅ。人の体を玩具にして遊ぶのは……」

澄子「そ、そうだよ! 莉子ちゃんったら私の体を何だと……」

莉子「いいえ、『遊ぶ』のではありませんッ! これはれっきとした『勝負』ですッ!」キリッ

澄子「!?」

憩「じゃあ大丈夫なんかなー?」

澄子「!!!???」


澄子の人権をボッロボロにしながら、莉子は憩に勝負を挑んだ。

……澄子ちゃん、可哀想に。




▼りこ は けい に しょうぶ を いどんだ!


【今回は勝負の選択の余地がありません。こういうことがこれからも多々(>>1のネタ不足により)起こります、許してね】

【それでは『澄子の鼻血治療』という、人間の体を弄ぶ恐ろしく残酷勝負をどうぞ。莉子ちゃん、お前後で澄子ちゃんに殺されるぞ】


▼しょうぶ の じかん だ!!


りこ:おんな 高1

レベル:4
たいりょく:□□□□□□

ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3



VS!!!



けい:おんな 高2


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:5
うんのよさ:15
きようさ:12




【ルール説明】


▼言わば、ダイス判定を使い目標の数字を共有した「ブラックジャック」である。

▼憩を先攻、莉子を後攻として澄子の「HP:30」をどんどんと減らしていく。マイナスになった時点で勝負は終了、「0」により近かった方を勝利とする。

▼選択肢は以下の五つ

【1:首の後ろを叩く!】:ちから
【2:血を止めることに集中!】:すばやさ
【3:知識を持って、冷静に処理を……】:かしこさ
【4:なんかもー色々やってみる!】:うんのよさ
【5:患部を的確に止血!】:きようさ

▼どの選択肢でどの能力を使うかは開示している。
  なお、6面ダイス一つの期待値は「3.5」である。これ豆知識。

▼憩が次どう動いてくるかは文章で読みきれるので、是非それも判断材料に……加えなくてもまぁなんとかなる!





▼しょうぶ かいし!!


【澄子:残りHP30】


莉子「さぁ、憩さん!! 『勝負』ですよ!!」フンスッ

澄子「り、莉子ちゃん……こんな風に人を玩具にして、本当に楽しいの!? 私泣くからね、絶対後で泣くからね!!」

莉子「人聞きの悪いことを言わないで下さい!! これは治療なんだから!! 澄子先輩だってこのさっきから血塗れになってるのを治したいでしょう!?」

澄子「……でも、治らなかったら?」

莉子「……病院、行きましょう!!」キリッ

澄子「~~~~!! 憩さーん!! 早く、早くこのトーシロに任す前に私を治してー!!」ドボドボ

憩「うーん……医者でもないのに頼られるとちょっと困るんやけど……了解でーすぅ」パタパタ

憩「先ずは普通に、患部を冷やすところから始めましょーぅ」コオリー

澄子「あ、なんか治まってきたかも……この部屋暖房ガンガン付いてるからかな……」


【澄子:残りHP30】

↓(憩:かしこさ判定5d6→2+4+3+5+6=20)

【澄子:残りHP10】


莉子「へー、患部を冷やすんですね」

憩「そうですよー、鼻は血管がたくさん通っているから、基本はまず冷やすことから始めないとあかんよねー……でウチやったら次は【強く止血】しますけどーぉ」

莉子「(やっぱり詳しいんだ……そういうのも『知識』の成せる技なのかな……)」

澄子「そ、そんなことも知らない人に治療してほしくないなー、私はー」

莉子「さぁ、次は私の番ですね!!」フンス

澄子「ちくしょー!!」ギャーッ


若干キャラが崩壊しだした澄子を目の前に、莉子は――。



▼りこ は どうする?


【澄子:残りHP10】


【1:首の後ろを叩く!】:ちから
【2:血を止めることに集中!】:すばやさ
【3:知識を持って、冷静に処理を……】:かしこさ
【4:なんかもー色々やってみる!】:うんのよさ
【5:患部を的確に止血!】:きようさ


【ヒント:大事なことなのでまたもや言いますが、6面ダイスの期待値は「3.5」ですよ!】


▼↓2 が せんたく するのだ!




莉子「では私は……」

澄子「……へ、下手なことはしないでね! ホラ、やっぱこういうのは素人考えでやるのが一番……」

莉子「首の後ろをとんとんします!」キラーン

澄子「だからそういうのが一番危ないんだって!! やめて、やめてやめえええええ」


ゴスッ!

ゴスッ!

イヤーッ! 莉子のカラテ・クビトントンにより澄子は爆発四散! サツバツ!


莉子「はぁはぁ……久しぶりに誰かを全力で叩いた……どうですか!! 治りましたか!?」

澄子「治るわけ……治るわけねーだろオラーッ!! もうやめてくれーっ!!」ボドボド


澄子は血を鼻から滴らせながらそう吠えた。∀ガンダムの登場人物もビックリな程の吠え具合である。


【澄子:残りHP10】

↓(莉子:ちから判定1d6=1)

【澄子:残りHP9】


憩「……うーん。力強くっていうのは間違ってないやけどー、こういうのは力強く鼻を摘んであげるのが一番ええと思いますよーぅ」キュッ

澄子「因みに首の後ろをトントンするのは?」ツママレッ

憩「間違いやねー」

澄子「畜生この野郎!」


【澄子:残りHP9】

↓(憩:ちから判定1d6=6)

【澄子:残りHP3】


……

…………


莉子「……どうですか澄子先輩! もうそろそろで治りかけてきたんじゃないですか!?」ズイッ

澄子「莉子ちゃん以外の力のお陰でね!」

莉子「そうですか! でも大丈夫、この勝負は『どちらが先に鼻血を止めれるか』という勝負……途中の貢献率ではなく最後がモノを言うんです! という訳で、私がここで見事止めてみせましょう!」

澄子「後で終わったら絶対殴ろう……いや蹴ろう……」ブツブツ


何だか澄子ちゃんから莉子ちゃんへの評価がとんでもないことになっているようか気もするが、何だかこれで最後のような気もする。

莉子は気合を入れて、そして静かに行動に移った。


▼りこ は どうする?


【澄子:残りHP3】


【1:首の後ろを叩く!】:ちから
【2:血を止めることに集中!】:すばやさ
【3:知識を持って、冷静に処理を……】:かしこさ
【4:なんかもー色々やってみる!】:うんのよさ
【5:患部を的確に止血!】:きようさ


【ヒント:大事なことなので三度言いますが、6面ダイスの期待値は「3.5」ですよ!】


▼↓2 が せんたく するのだ!


しまった4番が6を引かん限りは一番勝つ確率があったか

2



莉子「えっと、それではですね……」

澄子「もうどうにでもしてください……」

莉子「次は、次は……」

澄子「……」

莉子「……」

澄子「……思いつかないんでしょ」

莉子「い、いやいやまさかそんな……このスーパードクターKの血筋に生まれた私が……」

澄子「それまだ引っ張ってたの!?」

憩「……あのーぅ、後は安静にするぐらいだし、あんまり下手なことは……」

莉子「いえいえ……さらにここに手を加えることよりですね、さらに早く完治が可能で……」ツマミッ

澄子「『手を加える』ってさっきより強く摘んだだけだよね!? ていうかまだ止まってないし……」

莉子「もっとこうかな」ギュム

澄子「痛ッ! ……もう堪忍袋の尾が切れた……けが人を勝手に弄繰り回しやがって……許さん!!」ダッ


おかんむりの様子の澄子がそう吠えながら掴みかかり、今度は逆に莉子の鼻を思いっきり摘み上げる。


莉子「痛い痛い痛い! せんぱい、私こんなに強くやってないですよぉー!」

澄子「やかましいわー!! さっきの頚椎への突きの恨みも込みだぁー!」ギュム

莉子「ほ、ほほまふぇふぁれふとふぁふぇふぇまふぇん!!」ムギュー


完全に澄子に組み伏せられた形となった莉子は、頬を強く伸ばしたり圧縮されたりしていた。


澄子「おらおらおらー!」ギュムギュム

莉子「ふふぇー」

澄子「そういえば昨日も莉子ちゃん、心の中でこっそり私のことをバカにしてたでしょー!!」ギューッ

莉子「な、なふぇそれを!?」

澄子「顔に出てるからバレバレなんだよオラーッッッ!!!」ムニューッ

莉子「いふぁいいふぁいふぁいーッ!!」


そんな影薄い緑髪の逆襲劇を他の四人は呆れたように見ていたが、やがて梢がふと呟いた。


梢「あれ……鼻血、止まってますね……」

三人「……」

三人「…………あっ」


澄子「おらぁーっ! 謝罪しろ、しゃーざーいー!!」ギュムギュム

莉子「ごめんなふぁいごふぇんなさいー!! あーっ!!」


【澄子:残りHP3】

↓(莉子:ちから判定1d6=3)

【澄子:残りHP0】


▼りこ は けい にしょうりした



▼レベルアップ
 りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 5 になった

▼りこ は ちから が 1 あがった


▼レベルアップ
 りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 6 になった

▼りこ は すばやさ が 1 あがった


……

…………


顧問「それじゃあ荒川さん、行くか」

憩「はーい。ほんなら皆さん、お世話になりましたー」ペコリ


数分後。

昨日の憧の例に漏れず、憩は皆の前でぺこりと頭を下げて別れの挨拶をしていた。


美幸「これからどこ行くのー?」

憩「はい、これからポートアイランドの方の医療大学の方に行って、一泊二日の研修があるんですー」

梢「やっぱり専門学科ともなると全然違うものなのですね」

憩「そうですねー、まぁその代わり普通学校でするカリキュラムは減ってまうねんけど」


言いながら憩は彼女達の方に向き直り、そして再びぺこりと頭を下げた。


憩「それでは皆さん、また年末によろしくですーぅ」ペッコリン

美幸「ウチの部員と当たった時には、全力でお願いするよ!」

友香「で、出来ればお手柔らかにお願いしたいでー! ……ところで、莉子ちゃん達は?」

梢「……」

美幸「……あの後頬が腫れてるからって、一応二人で病院へ行ったみたいだよ……」

友香「……」

梢「……」

憩「……澄子ちゃんの病院嫌いが治るといいですねー」

美幸「……うん、まぁ、そうだね。もー」




【三日目:アト○エかぐや の なーすものの きあいの はいりかた は いじょう】:終了


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:6 ←up
たいりょく:□□□□□□□ ←up

ちから:2 ←up
すばやさ:2 ←up
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3 





【……次に戦う相手を選択する……ところですが諸事情により次の相手は確定しています】

【次の次に戦う相手を選択します】

【↓2の方 宜しくお願い致します】


【※なお、高鴨穏乃と後一人が選ばれた場合安価下になります】


kskst

とーか



いずみ:おんな 高1


ちから:4
すばやさ:5
かしこさ:5
うんのよさ:1
きようさ:4


【解説:莉子ちゃんの親戚ぐらいかもしれない。偶に出る自信家発言は嘘ではなく、中々全体的に高スペック。ただし運はお察しである】


【本当にこの方で宜しいですか?】


1:yes

2:no


【↓2の方 宜しくお願い致します ※残り二回変更可能です】


1



【それでは決定いたしました……】


……

…………


というわけで次回はこのスレにおける莉子ちゃんの相棒というか仲間というかみたいなポジションの方が来ます 激闘必死()です

こういう強制回は後最終日含めて多分二回……ぐらいだと思います

今日も皆さんお付き合いいただきありがとうございました それでは


乙乙

おつー

こんばんわ
今日は>>1が『勝負』を思いついていない関係で四日目(安価なし)、五日目と連続でさせて頂きます
どうせこのスレはヌルゲーなのでなんとかなるでしょう それでは始めます




――教室内に、赤ペンの音だけが響いていた。

他の音は一切無い。手持ち無沙汰そうな少女達が何人かいたが、全員静かに何かを待っていた。

彼女達のその視線の先にあるのは、この教室内唯一の音源でもある――すなわち、赤ペンを操る二人の人物。


「……」サラサラ

「…………」サラサラ


二人の大人は言葉を発さず、ただひたすら紙に向かって赤ペンを動かす。

やがて時間が少し経った後――その二人がほぼ同時に顔をあげ何事か言葉を交わし、そして目の前にいた二人の少女に紙を手渡した。


「――やるじゃん。二問差で勝ったよ、シズ」

「……ッ!! やったぁー!!」


手渡された内の片方の少女はそうやって飛び跳ねて喜び、


「……」

「……そ、そんな……」クラクラッ


もう一人の少女は、静かに呻き声を洩らした。

ここは奈良県、阿知賀女子学院。

飛び跳ねた少女の名は、皆さんご存知の高鴨 穏乃であった。


穏乃「やったー! 勝った、勝ったー! ありがとう憧ー!」ピョンピョン

憧「フッ……最初はあんたが模試の過去問で勝負なんて無理、って思ってたけど……やればできるんじゃない」

穏乃「憧の的確なアドバイスのお陰だよー!」



きゃっきゃ、きゃっきゃと喜び合う穏乃と憧――テストの採点と返却を行ったのは彼女である――を敗北した少女はじっと見ていた。

そして思った。


?「(……私は、勘違いしていたんだな……勉強なら、あの娘に勝てると……)」


最初『勝負』を挑んだとき、少女と穏乃と学力の開きは圧倒的であると思われていた。少女も、そう思っていた。

しかし結果はどうだろうか。準備期間としてわずか数日を置いただけで、穏乃は――憧の力添えもあるが――少女に勝利するほどの学力を有してきていたのだ。


?「(……ここまで来ると、もうこう考えるしかない……才能とか能力以前に、『私は高鴨 穏乃に勝てない』と……)」ギリッ


悔しかった。

数日前突然現れた神に渡された、能力を簡単に向上できる一種のドーピング。

自分よりも麻雀の出来る人間と何人も『勝負』し能力を上げ、そして――今敗北している。

何故?


?「(この娘が才能の塊だから? ……いや、違う。ただの私の能力不足だ。得意分野なら勝てる、と驕っていた私の……次は、次はもっと強くなって……)」


なって?

なって、また穏乃に勝負を挑んで――それでまた負けたらどうするのか。


憧「……でも、ちょっと意外だったな。まさか――が、こんな風に『勝負』みたいなことしてくるなんて」

?「……そう? ごめん、変なこと言っちゃって……」




憧の言葉に、まるでうわ言を言うように少女は返答する。

勝利できると思っていた勝負で逆転敗北をかませられ、少女は完全に打ちのめされていた。


憧「ううん、ちょっと前にもこういうことあったし全然大丈夫ー」

?「……何ソレ? 私意外にもこんなことしてくる人がいたの?」フッ

憧「実はそうなの! やたら『勝負』に拘る人で、でも麻雀でってなると途端にまごつきだしたりしてさ! もー面白いのなんのって……」

?「!?」ガタッ


憧の言葉を聞き、少女は思わず椅子から立ち上がった。

『勝負』に拘り、しかし麻雀での勝負は拒みだす……それは……。


?「まさか……」ダッ

憧「ちょ、ちょっと!?」


少女は憧の言葉も聞かず、部室の外へと走り出した。まずは場所を変えなければならなかったからだ。


?「(とりあえずあの糞怪しい神に会い、真偽を確かめないと……それでもし真実なら……)」

?「(真実、なら……)」ニヤリ




穏乃「ど、どっか行っちゃった……やっぱ調子乗ったのが不味かったのかな……」

憧「そんなビクビクしなくても大丈夫よ、勝負を挑んだのはあっちなんだから……まぁ、後で私がフォローいれとくわ」

穏乃「うん! ありがとうね、憧!」

憧「その代わり、後でコンビニのパフェ奢ってねー」ヒラヒラ

穏乃「ええっ!? ……わ、和菓子なら……」

憧「それはアンタの実家のでしょ、もう!」


言いながら憧は、先程走り去った少女に思いを馳せた。


憧「もう、何考えてんのよ……初瀬ったら」





【四日目:ふたりめ の はいぼくしゃ】






―莉子宅―


神「グッドモーニング、ベトナム」ニョッキリ

莉子「うわぁビックリしたっ!」ビクッ


夜。

自宅で痛いポエム……ではなく今日は普通に勉強していた莉子は、突然現れた神様に驚き、壁に後頭部をしたたかぶつけた。

苦痛による奇声を上げ、机の上で頭を抱える莉子に向かって神は言う。


神「今日は割と大事な話があるから、心して聞くように」

莉子「は、はぁ……なんでしょう……(頭痛い……)」ガンガン

神「まず一つ目だが……ルールを若干厳しくする。一日に『勝負』を挑める人数は『一人』までだ」

莉子「そう、ですかー……」ヒリヒリ


そんなこと言われたって、この三日間一人にしか挑めなかった莉子にとってそのルール変更はなんの意味もなかった。

ある意味、いつも通りにしていろと言われたのである。


莉子「……で、他は……」

神「ああ、さっきのはともかく、こっちは中々重要だぞ……一日に上がる能力の上限、つまりレベルアップの回数を『三回』までとする」

莉子「はぁ」


能力の値が『1』違うだけで凄い違うらしいので、まぁある意味常識的な判断である。


【という訳で今回より、『三回目までに使った能力』が上がります。お気をつけて】


莉子「……」ヒリヒリ

神「と言うわけだ。分かったかな? まぁ、ただのルール厳格化だ」

莉子「分かりましたけど……」


何か変だ。

莉子はそのルール変更に、何やらきな臭いものを感じていた。




莉子「(初日から考えても、その厳しくなったルールを私は破っていない……じゃあなんで今、このタイミングでルールを変えたんだろう?)」

莉子「(予防策ってことはあるかもだけど……でもそれなら私がそんなことしだした日の夜に言えばいいだけだし……)」

莉子「……あの」

神「なんだ?」


考えられる理由は一つだけだった――自分以外に誰かこのドーピングに参加している者がいて、しかもその人が過剰な能力向上を行っている!


莉子「……私以外に、これで強くなっている人がいたりして……」ボソッ

神「どきっ!」

莉子「やっぱり……でも、随分凄いことするんですね。一日何人にも格上に『勝負』挑みまくるなんて……」

神「それだけ皆必死だということだ。というか君だけだぞ、そんな風に悠長にしているのは」

莉子「そ、そうなんですか……?」


何だか高校受験時に「周りはもっと勉強してるのよ!」と母親に怒られて妙な焦りを覚えた時とよく似ているな、と彼女は思った。


莉子「……って、『皆』? 私『だけ』? ってことはまさか……複数人いるんですか?」

神「どどきいっ! ……そうなのだ。実は私がこの方式を採用したのは君で三人目、最後だったのだ。全員君と同じ年の高校生だ」

莉子「三人も……」


三人『しか』、じゃね? と思う読者の方もおられるかもしれないが、この世界に『三人も』何が何でも誰かに勝ちたいと強く願っている高校一年生がいるというのは結構凄いことではある。

……しかも、(神が同じ条件を設定しているなら)全員麻雀はさほど強くない。


莉子「へぇ、どんな人なんだろう……会ってみたいな……」ボソッ

神「え!?」

莉子「え?」

神「本当にか!? 本当に会ってくれるか!?」

莉子「ま、まぁ……」

神「仲良くしてくれるか!?」

莉子「え、何ですかホント……」


園児連れの過保護な母親みたいなことを言い出した神様に、莉子はちょっと気圧された。ていうか気持ち悪かった。



神「い、いや実はな……一人、君とどうしても会いたいという人間がいたんだ。まぁ二番目なんだけど……」

莉子「はぁ」

神「それで、ここからが重要なんだが……そいつの目的は、君と全く同じなんだ」

莉子「!!!」


目的――高鴨 穏乃に、なんとしても勝つこと。

その目的が同じ、ということは……。


莉子「す、凄い気が合いそう……!」ドキドキ

神「私が君の話をした時彼女は随分興味を持ってな、是非会いたいと言っているので今日はなんとここに連れて来ています!」バッ

莉子「え、ちょっと待ってそんないきなり……」


部屋とかまだあんまり片付けてない莉子の言葉を無視し、神様は両手をかざす。

そこで何だか光がぺかーっとその場を満たし、そして――


初瀬「……」

莉子「……」

初瀬「……え!? もしかしてもう来ちゃったの!?」

莉子「来てますよ!?」


――莉子の目の前に、自分よりも頭一つ分背が高い少女が現れた。

……因みに14センチ差である。初瀬ちゃん背たっか。



初瀬「岡橋 初瀬。奈良県晩成高校の一年生よ、宜しく」

莉子「安福 莉子です。兵庫県劔谷高校の一年生です」

初瀬「……」

莉子「……」

初瀬「…………」

莉子「…………」


話は、そこで止まった。

共通の話題があるにはあったが、それをどう言葉にしていいものか分からなかったのだ。

莉子はそれでも少し頑張って考え……そして、言葉をなんとか口にする。


莉子「あ、あの……あなたもあの、高鴨さんに負けちゃった的な……」

初瀬「……フッ。考え方によっては、そうとれるのかもなぁ……」

莉子「(意味が分からん)」


頑張って考えた質問を抽象的な言葉で返され、莉子は失礼にもそう思ってしまった。


初瀬「実際麻雀とかでは戦ってないんだけどね、何と言うか、その……あれかな。大事な人があのお猿さんに取られちゃったから、それが悔しくってね……」

莉子「はぁ……(恋愛感情だったりしたらツッコミにくいから、あまり聞かないようにしよう)」

初瀬「別に、取られたから穏乃さんのことが憎いって訳じゃないの。ただ、さ。やっぱり……何でもいいから一つぐらい『私の方にも凄いことがある!』って思わないと、踏ん切りがつかなくってさ……」

莉子「(あーやっぱりこれ恋愛関係だ話聞くと長くなるぞもう触れないでおこう)」


まさかその『大事な人』が二日前に雀牌インディアンポーカーとかいう激寒勝負をした憧だとは露とも知らず、莉子は話を進めることにした。


莉子「それで、今日は、どうしてわざわざその……会いたいだなんて思ってくれたの?」

初瀬「ああ、それは……莉子の学校って、偏差値どれぐらい?」

莉子「えっ?(い、いきなり呼び捨て?)」


突然そんなことを聞かれて、莉子はまごついた。

私立の高校の偏差値なんて適当だったから、あまり真剣に覚えてはいなかったのだが――


莉子「……確か、65ぐらいだったかなぁ……(私はそこに推薦で入ったんだけど……実質倍率二倍ぐらいで……)」

初瀬「そっか……インターハイの兵庫県代表だったよね、莉子って」

莉子「ま、まぁ……はい」エヘヘ

初瀬「他は?」

莉子「へ?」

初瀬「他に何か、陸上凄いとか腕相撲凄いとか……そういうの」

莉子「……あぁ」


そこでようやく莉子も得心がいった。彼女は要するに、何か特筆すべき能力があるかと聞いてきているのだ。

ならば話は早くしたほうがいい。莉子はそう思うと、近くにあった紙に自分の能力をさらさらと書き出した。




ちから:2
すばやさ:2
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3 


莉子「えっと、こんな感じだけど」

初瀬「……マズい……」

莉子「えっ……(初対面の人にマズイとか言われた……)」

初瀬「私の方はこんな感じなんだけど……」


ちから:2
すばやさ:3
かしこさ:7
うんのよさ:3
きようさ:4 


莉子「な、中々凄いね……とくに『かしこさ』……」

初瀬「一応偏差値70だからね……でも、それでもテストで穏乃さんには勝てなかったんだ」

莉子「穏乃さんが偏差値70に……(ということは高鴨さんって、灘高校クラスなのかな……)」


そう思う莉子の脳内で、たまに見かける二宮金次郎みたいに馬鹿太い本を読みながら通学する男子高校生の群れと穏乃の姿が重なった。


莉子「(いやいや、イメージ全然合わないし!)」


……嘘である。全然重ならなかった。


莉子「で、でもということは阿知賀女子って頭いいんだ。知らなかった……」

初瀬「……普通よ。偏差値50ぐらいだし、それにあの子は話では運動の方が出来るってタイプらしいし……」

莉子「……そ、そんな……」


莉子は何だか嫌な予感を感じ、今まで全く考えてもいなかった未来に思いを馳せた。

未来の名は敗北。十数日後に腕相撲であれ徒競争であれテストであれコイントスであれ縫い物(笑)であれ、もしそういった『勝負』を挑んで敗北したら?

それはつまり――麻雀を含めた全てにおいて、莉子が穏乃に勝てないということになるのではないか?





初瀬「とにかく、少なくとも私はこのままでは勝てない。そして多分あなたも……」

莉子「そ、そんな……」

初瀬「……だから!」ガシッ

莉子「!!」


そこで突然、初瀬は莉子の手をぎゅっと握った。


初瀬「――協力しよう。年末の麻雀大会に阿知賀も出るから、その時一緒に穏乃さんを倒すんだ!」

莉子「きょう、りょく……」


莉子に選択の余地はなかった。彼女は『どんなことでもいいから』穏乃を倒すと決めていたのだから。

それが二対一になったとしても――言い方は悪いが、勝てればいいのだ。


莉子「……こちらこそ、宜しくお願いします!」ギュッ

初瀬「うん!」


そう思いながら、彼女は強く手を握った。

握りながら――二人はふと、全く別のことを思った。


莉子「(そういえば……初瀬さんが二番目、私が三番目なら……一番目の人って誰なんだろう?)」

初瀬「(そういえば……私はちゃんと家に帰れるんだろうか……)」


ともあれ何だか色々プロセスを飛び越えた絆が、今日ここに完成したのである。




神「ふぅー、何とか仲良くなったみたいだな……」


やれやれ、という感じで神様はこっそりその様子を見ていた。


神「後一時間ぐらいしたら初瀬を連れて行けばいいか……さて」


神様はそこで、もう一人の人物の様子を見に行くことにした。

先程莉子に執拗に「仲良くなってくれるか!?」みたいなバカ臭い発言をしていた理由は、実はもう一人の人物が関係していたのだ。


神「アイツは最初可哀想と思ったんだが……何だか最近は暴走してきてるな。しかしこっちが力を与えた手前、ルールを厳しくしてインフレを止めるしかない……」


ぶつぶつと呟きながら、神様は別の世界を覗き込んだ。


……

…………


――仮に、その人物をXとしよう。

神様から数週間前から例のドーピング力を授かったXは、その力を使って二つの能力に振りまくっていた。

『かしこさ』と『きようさ』。

その二つの内特に『きようさ』に振りまくったXは、今や部品さえあれば実在する大体の機械製品を製作できるようになっていた。

しかし、それでもXは止まらない。Xは莉子は初瀬と同じように、ある大きな目的があったのだ。


――これでは駄目だ。

Xはそう思いながら、つい先程製作した機器を放り投げた。

折角自分で作ったオリジナルの遠隔操作機だったが、これでは余りにも巨大すぎる。もう少し小型にしなければならない。

とは言っても、動かしたいものにセンサーさえ付ければ操作可能になるというのは中々よく出来たのではないかとXは思った。

家にあった家電では一応動作テストをしたのだが、しかしもう少し別のものでもしてみたかった。

……そうだ。折角やるならもっと巨大なもので動かしてみたいな……そう思い、Xはスマホを操作する。

もっと構造が複雑な物か、もしくはもっと巨大なもの……何か、何かないだろうか……。

しばらく調べていった時、Xはとあるものに行き着いた。

――これだ。場所は――神戸の、長田……。

知らない土地だったが、むしろそちらの方が自分のことを知らなくていいだろう。Xはそう思い、もう一度遠隔操作機に手を伸ばした。

それが自分の目的を叶えてくれるものだと信じて……いやぁ、Xとか言ってかっこつけてたけど「神戸市の長田」って所でなんかもう凄い庶民感溢れてますね!! 駄目だこりゃ!!





【四日目:ふたりめ の はいぼくしゃ】:終了


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:6 
たいりょく:□□□□□□□□ ←up

ちから:2
すばやさ:2
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3






【五日目:ろーすこあ せんぱん】





劔谷高校は芦屋市にある。

芦屋市という市について「高級住宅街がある」以外のことがよく分からない方のために軽く触れておくと、神戸と大阪に挟まれた地理的に中々おいしい場所に存在している。

まぁ若干神戸よりではあるが、とにかく二つの繁華街に挟まれているのは結構おいしい。

大阪との間にある西宮市はお洒落な店が多いし――尼崎市のことは触れないで置こう、神戸市民の内四割ぐらいの人間があそこと長田区のことを恐れている可能性がある――とにかく、芦屋市はおいしい場所である。


そんな芦屋市の学校に通う莉子は、偶に電車に乗って繁華街に遊びに行くことがある。

神戸か大阪、どちらにするかはその日の気分によって決まっていたが――今日は大阪にすることにした。テストが近い? そんな設定、刹那で忘れちゃったよ。

何故なら……それは勿論、『勝負』のためである。大阪ならば自分よりも麻雀が出来る人間が数多く存在しているのではないか、と彼女は見込んだのである。


莉子「(……まぁ、別に『勝負』の内容とかは考えてないんだけど……それに会えるとも限らないし……)」

友香「りーこちゃん! 何考えてるんでー?」

莉子「えっ、ううん……何でもないよ」


そうなればその時には、一緒に付いてきている聖人こと友香と一緒に普通に遊べばいいだけの話である……あ、そういえば言い忘れていたが今日は休日である。


莉子「(とにかく初瀬さんは私よりもよっぽど高い能力持ってる訳だし、協力するならそれに負けないぐらいにしないと……)」

友香「莉子ちゃん、早く行こうでー!」

莉子「う、うんっ」


……まぁ実際、そんなに上手くいくわけがないよね。

そう思いながら彼女は、友香と一緒にすたすたと繁華街へ歩を進めることにしたのだった。




――が。


莉子「あっ」

泉「あっ」


友香のトイレを待っている間に、彼女達は出会ってしまった。


莉子「あなたは……」

泉「あんたは……」


奇跡的な出会いをした二人はほぼ同時に口を開き、そして言う。


莉子「――千里山の戦犯!」

泉「――劔谷の戦犯やないか!」


……

…………


友香「……それで、どちらがよりチームへの『敗北』貢献率が高かったかで言い争いになったんでー?」

莉子「そう! 聞いて友香ちゃん! 泉さんったら酷いんだよ! 私のこと戦犯って……あっちは準決勝で三万点も取られてるのに!」

泉「確かに点だけやったら私の方が多い。やけどなぁ、決定的な黒星の要因はあんたやと思うで!」

莉子「なにをー!」ムキャー

泉「やんのかー!」ムキョー


運命的な出会いの後全く運命的ではない罵り合いに発展した二人から事情を聞いた友香は、そこではぁと珍しくため息をついた。

彼女の十五年の人生史上、最も醜く意味の無い争いがそこにはあった。


友香「……まぁ、そういう風に一度失敗した人間のことを『戦犯』って言う、っていうのがネットであるのは知ってるでー」

莉子「勿論私も知ってるよ!」ビシッ

泉「散々言われたで!」ビシッ

友香「でも、そういう風に延々と引っ張るのは正直よくないと思うでー。また来年があるんだから、その時に挽回したらいいでー」

莉子「……」

泉「……」

友香「(ようやく静かになってもらえたでー……)」

莉子「……甘い」

泉「……甘いな」

二人「「甘ぁぁぁぁいぃぃぃ!!!」」

友香「!?」


莉子と泉はそこで同時に友香ちゃんに、この場唯一の聖人に向かって吠えた。

因みにここ、繁華街のど真ん中である。非常に迷惑である。




莉子「そんな風にいってもし挽回することになっても、そういう不名誉な称号は一生取れないんだよ!! 阿知賀の先鋒のドラゴンロード(笑)なんて、チャンピオン相手にあれだけ善戦したのにあの有様!!」

泉「大体メタ的な話をすると最近は四校が点数を並列にして、大将勝負に持ち込もうという流れの所為で私みたいなのが割を食って新道寺のレズップルみたいなのが得をしてまうんやんかー! 不公平やー!」

莉子「白糸台だってチャンピオンが取りすぎた所為で、『虎姫は攻撃特化のチーム』とか訳分からん言い訳をした挙句あの釣り人が酷い目にあうんじゃんかー!!」

泉「話の流れの都合上絶対必要なのにも関わらず笑われ者になる私達の気持ちが分かるんかー!! いや、分からへんわー!!(反語)」

莉子「つまり!!」

泉「つまり!!」


二人「「話の都合上作られた私達の称号は、二度と拭えない!!」」


友香「……は、はぁ」


この二人実は凄い仲いいんじゃないの? と友香は思わずにはいられなかった。

そんな彼女の思いとは別に二人はまだまだ口論を交わしていく。


泉「とにかく……この際やからどちらがより上で下であるかを、はっきりさせんといかんな!!」

莉子「まったくもってそのとーり!! その為に……あっ!! そうだ、『勝負』しよう『勝負』!!」


遊戯王の登場人物がデュエル脳なら、莉子はまさに『勝負脳』だった。

すぐさま物事を『勝負』に持ち込むその思考回路はまさに圧巻……でもこの場合疑問なのだが、果たして莉子の雀力は泉に劣っているのだろうか……。

神「まぁどうでもいいんじゃない? どっちもチームの敗北に大きく貢献したという点では同じだし」

……そうですか。サンキューカッミ。


泉「『勝負』……それは何でもいいんか?」

莉子「勿論! 自分のこと一つもやれない人間が、チームの勝利に貢献できるわけありませんから!!」


謎理論を振りかざしながら、莉子は辺りに視線を向ける。

繁華街には様々な店があり、しょーもない『勝負』なら困らなさそうだった……と、そこで莉子が一軒の店の前まで足を動かす。




莉子「……あ! ここ、ゲームセンターなんだ……」

泉「ほぉ、成程……ゲームで勝負か!! 何で勝負するかは任せるわ、まぁ私は割と何でもできるけど」ドヤァ

莉子「くっ……そ、その偶にちょくちょく出る妙にムカつくドヤ顔を引っぺがしてやるんですから!! えーっと……」

友香「(折角の二人でのお出かけだったのに……)」


莉子はそこでゲームセンターにある筐体達をざっと見て、そして決めた。


▼りこ は いずみ に しょうぶ を いどんだ!


莉子「(といっても私、あんまりゲームとか詳しくないし……なるべく勝てそうなものにしよう……)」

友香「(莉子ちゃんのこの『勝負』にかける情熱は、いつになったら治まるのかなぁ……ちょっと寂しいなぁ……)」


▼しょうぶ を せんたく せよ!


【1:音ゲー】
【2:パンチングゲーム】
【3:データカードダス】
【4:クイズゲーム】
【5:シューティングゲーム】


▼↓2 が せんたく するのだ!


3




▼しょうぶ の じかん だ!!



りこ:おんな 高1

レベル:6 
たいりょく:□□□□□□□□ ←up

ちから:2
すばやさ:2
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3



VS!!!



いずみ:おんな 高1


ちから:4
すばやさ:5
かしこさ:5
うんのよさ:1
きようさ:4





▼しょうぶ かいし!!


莉子「ではこの……太鼓の達人で勝負だー!」ビシッ

泉「フッ……そんなんで私に挑むん……? あまりにも低レベルすぎてホラ、小学生がたかるようなゲームやで?」

莉子「そ、そうなの、友香ちゃん?」コゴエッ

友香「いや、普通に割りと幅広い世代の人に評判を得てると思うけど……もしかして莉子ちゃん、やったことないのでー?」

莉子「う、うん……」

友香「……」

莉子「……」

泉「さぁ、早速二人プレイで白黒つけようやないか……こんなこともあろうかと、持ってきたんや……MYバチをッ!!」ドヤァァァン

莉子「(どんなことがあろうかとなんだ……)」

友香「(ていうかMYバチ持ってる程やりこんでるのは何故なんでー……)」


初っ端から泉節をかましてくる彼女の隣に、莉子はおずおずと立った。



泉「じゃあ早速百円入れて……と」チャリコーン

泉「難易度は勿論鬼やんな?」カンカンカンカン

泉「紅もええけど、ここはドドンガの……あっ、裏にしよか。やっぱり難易度は高い方が面白いし」

泉「えーと、ここをカンカンカン、っと……」カンカンカンカン

莉子「ふぇぇ……」ガクガク

友香「落ち着くでー莉子ちゃん! 大丈夫、枠に来たとき叩くだけでー!」


何やら上級者オーラを醸し出した泉に圧倒されながら、莉子もバチを構える。

緊張の一瞬――具体的には「さぁ、始まるドン!」からのちょっとのアレ――の後、あの赤いやつと青いやつがダーって流れてくる地獄が始まり、莉子は……。


莉子「――ッ!! こ、こうなればぁー!!」


▼りこ は どうする?


【1:人間の反応速度を超えるんだ!】
【2:パターンだ!! ドンとカッのパターンを見抜くんだ!!:+かしこさ、体力-1】
【3:バチだけでなく、他の部分でも叩けるじゃないかぁー!:+きようさ、体力-1】


▼↓2 が せんたく するのだ!


2



莉子「パターンを、パターンさえ見抜けば……!!」カッ


そう、つまり音ゲーとはパターンである。

何か知らぬが音程だったりリズムだったりで、あのドンのやつとカッのやつとが登場する順番は決まっている。

さらにはこの「ドドンガドーン」……だったかはちょっと忘れた。私全然これやったことないから……は、速いが単純なリズムが何度も繰り返される曲である。

つまり、その「どどんがどーん」みたいなところのパターンを見抜けば……攻略は余裕!!


莉子「……」

莉子「…………」

莉子「(……あれ、でも今気づいたけど……パターンを見極める為には最初がどうなってるか見極めなきゃ駄目だよね)」

莉子「(でも肝心のドンとカッはこんなに速い訳で……)」

莉子「あっ、無理だこれ」

泉「~♪」ドンドンドン…


莉子:2d6+1d6=3+4+1=8

泉:5d6=3+3+2+6+3=17


▼りこ は いずみ にはいぼくした

▼りべんじ のため たいりょく を 1 しょうひした


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:6 
たいりょく:□□□□□□ ←down

ちから:2
すばやさ:2
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3





莉子「うっ……ま、負けた……これで見事名誉戦犯確定……」クラクラッ

友香「り、莉子ちゃん! そんな最上級の言葉を使ってまで自分のことを責めなくても!」

泉「……えっ、ちょっと待って? もしかしてこの結果……ガチの初心者なん?」

莉子「え、ええまぁ……」

友香「実はそうなんでー……」

泉「ええっ!?」


敗北のショック(負けるのは当たり前だが)に打ちひしがれる莉子に対し、泉は真面目に驚いた。


泉「そ、それならはよ言うてや! なんか私一人で勝手に盛り上がってアホみたいやんかー!」テレテレ

莉子「そうですかね……?」ヨロヨロ

泉「そりゃあそうやろ……流石に今のはナシナシ。こんな有利な条件で勝っても(真の戦犯の座は)争えへんし、流石にもう一回別ので勝負や」

莉子「え……本当に?」

泉「うんうん!」

莉子「……今の勝負を私の勝ちにしてくれるとかは?」

泉「それはアカン」

莉子「ですよねー……」ムックリ


言いながら莉子は立ち上がり、再びゲームを選択することにした。


莉子「(さっきの様子から見て、音ゲーは『すばやさ』が割と重要だったみたいだ……)」

莉子「(泉さんは『うんのよさ』以外は高いから、どうにかして『うんのよさ』で決まるような『勝負』にもちこみたいけど……そんなゲームここにあるのかな?)」


思いながら莉子は――


▼しょうぶ を せんたく せよ!


【1:音ゲー】
【2:パンチングゲーム】
【3:データカードダス】
【4:クイズゲーム】
【5:シューティングゲーム】


▼↓2 が せんたく するのだ!


3




▼しょうぶ の じかん だ!!



りこ:おんな 高1

レベル:6 
たいりょく:□□□□□□

ちから:2
すばやさ:2
かしこさ:1
うんのよさ:2
きようさ:3



VS!!!



いずみ:おんな 高1


ちから:4
すばやさ:5
かしこさ:5
うんのよさ:1
きようさ:4






▼しょうぶ かいし!!


莉子「さぁ、次はこれで勝負だよ!!」

莉子「(――これなら、多分勝てる!!)」

泉「えーと……『遊戯王 デュエルターミナル』……えー? 私こんなんやったことないし、そもそも遊戯王なんかやったことないんやけど……」

莉子「私もないよ」

泉「ないんかい!」

莉子「だから……ここから出てくるカードで勝負するの!」ビシッ

泉「???」


莉子は言いながら、筐体の下の方を指差す。

そこには百円入れるとカードが出てくるという、あのお馴染みの貯金箱方式の悪しき原因の部分があった。


莉子「見たところこのゲームで出てくるカードは、結構なお値段がするものもあるらしいの……そこで!」

泉「そこで?」

莉子「どちらが高いカードを引けるか、これはその勝負にしまーす!!」

泉「ええー……それもうくじ引きしてるのとほぼ変わらへんやん……」

友香「まぁ、データカードダスなんてコレクター欲求を満たすためのくじ引きにしか過ぎないでー。そんなもんでー」

泉「そ、そうなんか……」


よし、どうやら泉さんもこの運勝負では自信がないみたい。

そう思いながら、莉子は鼻息荒く――


▼りこ は どうする?


【1:祈った】
【2:……でも、これってキラキラしたやつがレア度が高いってわけじゃないんだよね?】+すばやさ、体力-1
【3:……でも、カードの出方にはパターンがあったりして】+きようさ、体力-1


▼↓2 が せんたく するのだ!


2



――莉子も泉も双方とも特に何も考えず、しばらくした後。


泉「……どっちもキラキラしてへんやん」

莉子「……」

泉「しゃーないな、もう一回やるか?」

莉子「…………」

泉「……あのー」

莉子「さっきから思ってたんだけど、これって別にキラキラしたやつがレア度が高いってわけじゃないんだよね」

泉「……え、それはまぁ、そうだけど……」


そこで莉子と泉は、互いに自分の持っているカードを見た。

特に光ったところもない、引いた瞬間「あ、なんで私こんな紙くずの為に百円払ったんだろう」となってしまう類のただの紙である。

しかしレア度だけは同じノーマルのカードが、片やゴミ箱の中で片やショーケースに並べられているなんてことは、まぁ多々ある話である。


泉「……理屈は分かったけど……でもどうしたらええん?」

莉子「この近辺にあるカードショップに行って、聞けばいいんじゃないのかな」

泉「いやいやそこまでしなくても――」

莉子「という訳でちょっと行って来ます!」ダッ

泉「ちょ、ちょっとー!?」


……

…………

………………


莉子「た、ただいま……」ゼェゼェ

友香「おかえりでー」

泉「(何やコイツは……どんだけ『勝負』に本気やねん……)お、おかえりー……それで、どうやったん?」

莉子「はい! 私の――勝ちでした! 五十円ぐらい!」

泉「……」

莉子「……」

泉「走り損やな……」

莉子「私も正直思います……」ゼェゼェ


莉子:2d6+2d6=5+5+6+1=17

泉:1d6=4


▼りこ は いずみ にしょうりした




▼レベルアップ
りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 7 になった

▼りこ は うんのよさ が 1 あがった


▼レベルアップ
りこ は レベル があがった

▼りこ は レベル 8 になった

▼りこ は すばやさ が 1 あがった



泉「……まぁ、こんなんでも負けは負けやしな。しゃーない」

莉子「……」

友香「……」


数分後。

三人は繁華街にあるファーストフード店で、ゆっくり休憩をとっていた。


泉「……なぁ、莉子……ちゃん」

莉子「……うん」

泉「自分の所為でチームが負けてまう時の気持ちって、どんなんやった?」

莉子「……辛かったよ。自分の実力が足らなかったのも、あそこであの牌を引いてしまった運の無さも。そして何より……誰も私のことを責めなかった」

泉「……そうやな。私もや」


言いながら泉は、手でジュースの入った容器を軽く揉む。


泉「本当にいいチームやった。皆仲いいし、私みたいなのが出張っても優しくしてくれるし……私の所為で負けても、何も言わんし」

泉「驚きやんな、負けた日の夜に『来年はエースやから頑張って』なんて言うなんて。そんなん、私が悪いんやし、責められて当然やし、先輩達決勝に連れて行きたかったし、そんなん、そんなん……」



泉はそこで感極まって、うつむいてしまった。

思い出すのは数ヶ月前。決して消えない、呪いのような記憶。


莉子「泉さん……」

泉「……悔しいよなぁ。私なんかには勿体無い先輩達が、皆夢を叶えられずに去ってまう。勿体無さ過ぎるで……」


そこまで言うと、泉はすっくと立ち上がり――そして笑顔を見せた。


泉「勿体無いから――せめて私が、その思いを引き継いでいかんのやろうけどな」ニッ

莉子「……」


莉子は言いながら明るい表情を見せる泉を、眩しそうに見た。

同じ先輩の夢を果たせられなかった者ではあったが――どうやら相手の方が、自分よりも先に進んでいるのかもしれない。

そう思った。


泉「今日はありがとうな。なんか結構楽しかったわ」ヒラヒラ

莉子「はい……年末、よろしくお願いします」ペコリ


だからこそ。

自分よりも先にいる彼女に、莉子は頭を下げた。


泉「――」

泉「――勿論!」


言いながら意気揚々と店を出る泉に、最後にもう一度莉子は声を掛けた。


莉子「……ありがとうございました……終身名誉戦犯さん!」

泉「……」

友香「……」

泉「……いやそれは、この心が通じ合った感動のタイミングで言うたらアカンやつちゃうの?」




【五日目:ろーすこあ せんぱん】:終了


【只今のステータス】


りこ:おんな 高1

レベル:8 
たいりょく:□□□□□□ ←down

ちから:2
すばやさ:3 ←up
かしこさ:1
うんのよさ:3 ←up
きようさ:3


賢さが低いなあww



【……次に戦う相手を選択します】

【↓2の方 宜しくお願い致します】


【※なお、高鴨穏乃と岡橋初瀬が選ばれた場合安価下になります】


本内成香

亦野



あわい:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:15
きようさ:1


【解説:アホの子かわいい】


【本当にこの方で宜しいですか?】


1:yes

2:no


【↓2の方 宜しくお願い致します ※残り二回変更可能です】


kskst



【それでは決定いたしました……】


……

…………


最後にスレを立ててから一年ぐらい経ってたのでリハビリ代わりに立てたこのスレですが、気づけばわずか数日で三分の一が終了したようです

このままのペースで終わればおそらく咲スレ史上初の、安価システムを採用してる癖に一ヶ月も満たず消滅するスレになるでしょう

一ヶ月も存在できない安価スレって最早vipのノリのような気もしますが、まぁあまりお気になさらず

お付き合いいただきありがとうございました


乙ー
穏乃が滅茶苦茶TUEEEEE


>>156
穏乃「お前は今まで食べてきたパンの枚数を覚えているのか?」って感じなんだろ



こんばんは
今日の『勝負』の内容はまさかの今立っている咲とは何も関係ないssからパク……影響を受けました。とってもタイムリーですね(白目)
それでは開始します






【六日目:ごくらくとんぼ よ どこにいる】





今日は休日の二日目。日曜日である。

テスト設定を無かったことにしたい>>1としては、今日は部活の日なのである。そういうことにしておくのである。


莉子「……美幸先輩、梢先輩。今日も来てらっしゃるんですか?」

美幸「うん、ちょっと自習室が閉まってて。やっぱり普段行きなれてる場所で勉強してもいいかなーって」

梢「皆と話しすぎて、集中できなくなるかもしれないですけどね」


もうそんなこと言わずに毎日来てくれてもいいのに、と莉子は思ったが流石にそこは受験生である。

二人は話をするだけすると部室内にあった机――流石に茶室と雀卓だけがあるではない――に向かい、ノートと筆記用具を広げた。


友香「邪魔しちゃ流石にまずいでー」

澄子「私達も大会近いし、練習しようか……」

莉子「ですねー」


言いながら彼女達は、もう一人の面子と共に雀卓に座した。

そうしてしばらくの後、雀卓の中でがちゃんこがちゃんこと賽が振られていった。


友香「……それにしても、何だか最近客人が多いでー」

澄子「確かに、三日前といい二日前といい私達より麻雀強い人たちがよく来て練習になるね」

莉子「(それってもしかして神様効果なのかな……)」


このスレの都合上まぁそれは仕方ないのだが、それはともかくとして彼女達は言葉を続ける。



莉子「大会前にこれは嬉しいですよね(こっちも『勝負』ができて嬉しいし……)」

澄子「うん。強い相手とやればそれだけこっちの力になるからね」

友香「後大会まで十日ぐらいしかないけど、もっと色んな相手とやれるといいでー」

莉子「(あと十日……そっかぁ、あとちょっとで高鴨さんと……)」


それまでになるべく強敵と『勝負』をしないといけないなぁ、と思っていると――ガラガラガラッ! と強い音を立てて部室の戸が勢いよく開かれた。

何やらフラグを立てまくったのでもしや回収されるのではないか、と思ってそちらの方を見た三人は驚愕する。後勉強をせっせかしてた二人も驚愕した。


なんとそこには、


     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j    ぐっどもーにんぐ、しょくん!
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


押しも押されもせぬ白糸台のスッゴイ大将、大星 淡がいたのである。





顧問「す、すまんな……大会の下見やそうやから立候補して一緒に随伴しとったんやけど、この娘が話も聞かずに先に行きようから……」

淡「えー何この部室!? 和室!? すごーい!!」ピョンピョン

莉子「は、はぁ」


随分下見で来る人が多いなぁ、まぁそこそこ大きい規模の大会だもんな……。

そう思いながらも莉子は、こんなテンションの人間を下見に送り込んだ白糸台サイドの狙いが分からないでいた。


淡「やっぱすごいね! 一味違うや、大阪は!!」キラキラ

友香「ここは兵庫でー……」

淡「あ、そっか……まぁ、大阪でも大差ないでしょ!!」

澄子「失礼な……でも、どうしてこっちに来てるんですか? 東京からだったら大阪の方が近いのに……」

顧問「ああ、泊まる場所を紹介するついでにお前らの麻雀の相手してもらおうと思ってな。引っ張ってきた」

莉子「す、凄いことするんですね……」

顧問「お前らが強くなるためやからな。そりゃ割と何でもするやろ……ほな、大星さん。また帰りの時間になったら職員室来て言うてくれ」

淡「りょうかーい!」


それだけ言い残すと、顧問の先生はがらがらと戸をあけたてして出て行った。

後に残るはアホの子の淡ちゃんと――それの遊び相手であった。


淡「にしてもこの部室はすごいなー! ウチの学校の部室も、こんな風にしてくれたらいいのになー!」

淡「ていうかこれ茶道具!? 茶室!? へぇ、ここって茶道できるんだー!! 私やったことなーい!」ワクワク

淡「へぇー、漆塗りっていうのコレ? 結構高級品っぽい! これアレ? 京都的なもの?」

淡「あっ、着物があるー! しかもこんなにサイズがあるなんて、着たい着たーい!」


大はしゃぎする淡を、五人はなんとも言えない表情で見ていた。

「麻雀の相手になる」とかなんとか顧問の先生は言っていたが、この様子を見る限り全くそんなことはなさそうだった。



澄子「あ、あのー……せっかくだから、麻雀をやったり……」

淡「えー? まぁ、ちょっと待ってよ。折角こんな面白いところに来たんだし、楽しまないと!」

澄子「……」

友香「……」


そうは言っているものの、目を輝かせ茶室やら茶道具やらに興味を示している今の淡の状態では埒が明かなかった。

友香はそう思い――ふと、莉子の方を見て言った。


友香「……こういう時こそ、莉子ちゃんの出番でー」

莉子「……えっ? 私? 何で?」

友香「ホラいつもの、『勝負』をしたらいいでー。莉子ちゃんが勝ったら麻雀を一緒にやる、ということで……」

莉子「そ、そっか」


やっぱり友香ちゃんは私のことを分かってくれてる、と思いながら莉子は淡の方に向かった。

といっても相手が興味を抱いてくれそうな『勝負』なんていうものは思いついていないのだが――。


淡「あっ、テレビもあるんだー。兵庫県って何映るんだろー……なんだ、ここでもフジは映るんじゃん」ピッ

莉子「……!!」


その画面に映るのは――とあるバラエティ番組の再放送。

それを見た莉子は、ふと丁度いい『勝負』を思いついた。


莉子「大星さん……『勝負』しない?」

淡「??? え、何? いきなり。麻雀で勝負ってこと?」

莉子「ううん……この『勝負』で勝ったら麻雀、一緒にしてくれないかってこと」

淡「えー……まぁ、その『勝負』の内容によるかなぁ。何するの?」


淡の言葉を聞いた勢いよく息を吸って髪を二回、三回撫で付けると――莉子は言った。


莉子「――『単位上等! 爆走数取団!』」




――あの頃の俺達は、戦犯呼ばわりにもめげず数を取り続けていた……。

俺達の伝説! カリスマ爆走族!

今夜、とうとう美少女麻雀界にも数取現象が!

兵庫県と東京からきた星の子が超絶コラボ!

何だか微妙に接点があるんだかないんだか分かんないけど、でもそんなの関係ねェ!

「え!? これ2002年から2006年のやつとか時代経ちすぎだろ! 軽く10年前じゃねーか!!」

そんなことを言いつつ俺達と行こうぜ! 無限大の彼方へ!


……でも、全国編では多分淡も劔谷高校の皆も出番ないよね……。



『単位上等! 爆走数取団!』




コツ、コツ、コツ…


莉子「え、えー……数取団初代ツッコミ総長やらせてもらってる莉子だけどぉー、この花のカチューシャは別にりぼんとかの付録じゃないよ!! 本当だよ!!」

莉子「よ、よろしくぅー!」

―(元)終身名誉戦犯 莉子―


全員「「ヨロシクゥー!!」」



美幸「数取団乱闘生の美幸だけど、家のスマホで『氣志團』が一発で出てきません! 最低限文化的ですらないよ、もー!」

美幸「よろしくぅー!!」

―新井ソフィアに負けたのは今でも屈辱 美幸―


全員「「ヨロシクゥー!」」




梢「数取団乱闘生の梢です。私を含めた全員の人が、多分単輪車免許持っていないと思うのですが……ブ、ブっこんで行かせて頂きます!!」

梢「よろしくお願い申し上げます……いえ、よろしくぅー!!」

―センター一ヶ月前なら勉強しろ 梢―


全員「「ヨロシクゥー!」」



友香「数取団乱闘生の友香でー! この番組がやってる頃は、まだ外国にいたから全然ノリ分かんないでー!」

友香「よろしくぅー!」

―結局どこからの帰国子女なんだお前 友香―


全員「「ヨロシクゥー!」」




澄子「か、数取団乱闘生の澄子だけどぉー、メタな話をすると正直ss速報に帰ってきたとき劔谷スレがエタってて本当に死にたくなったよ! あれとテニヌスレが私の希望だったのに!!」

澄子「この思いを胸に秘めてブッこんでいくんでよろしくぅー!」

―特に言う事がないので代弁していただきました 澄子―


全員「「ヨロシクゥー!」」



淡「私! 数取団乱闘生、淡!! 皆中々ノリいいじゃん、関心しちゃった!! 流石は大阪人……じゃなくて、関西人!!」

淡「がんがんブッこんでいくんでよろしくぅー!!」

―来年は高校101年生 淡―


全員「「ヨロシクゥー!」」




――という訳で、彼女達は舞台を部室から外の駐車場へと移した。

何故駐車場へ場所を移したか? そんなもの、バイクがないとこのゲームは盛り上がらないからじゃないですか!!

……なお、持ち主である教師の皆さんにはきちんと許可を取っています。「跨るだけですから!」とか言って思いっきり怪訝そうな顔をされましたが。


莉子「……えーと、ルールは分かってるよね。前の人が言った単語の単位を言う……」

美幸「単位を間違えたり噛んだりすると失敗だよ、もー」

梢「了解いたしました!」

友香「あいあいさー!!」

淡「どるるん、どるるん……俺は高速の走り屋、ライダー淡。金さえ積まれりゃどこまでも行く……」

澄子「(一人で何か言ってる……)」


それぞれがそれぞれに別々の行動をしながら、やがて彼女達はバイクに跨った。

しかし行動こそバラバラだったが、淡を除いた少女達の思考は統一されていた。


美幸「(後輩のためにも、なるべく色んな学校の強敵と麻雀をさせてあげたい……)」

梢「(その為に、ここは何としても莉子さんに勝ってもらわないといけません)」

澄子「(私達はなるべく影に徹する。だから――)」

友香「(――任せるでー、莉子ちゃん!!)」


莉子「……」

莉子「…………うん!」




▼しょうぶ の じかん だ!!


りこ:おんな 高1

レベル:8 
たいりょく:□□□□□□

ちから:2
すばやさ:3
かしこさ:1
うんのよさ:3
きようさ:3





【劔谷高校数取団乱闘生の皆さん】

みゆき
すみこ
こずえ
ゆうか



VS!!!



あわい:おんな 高1


ちから:1
すばやさ:1
かしこさ:1
うんのよさ:15
きようさ:1





【ルール概要説明】


▼勝利条件は「淡を間違えさせること」、敗北条件は「スタート地点であるである美幸に三回順番が回ってくること」

▼数を取る順番は【美幸→澄子→梢→友香→莉子→淡→……】つまり劔谷高校は試合の順番と同じ、莉子ちゃんが決める

▼莉子ちゃんは

【1:一文字だけの言葉で分かりにくくしてみよう:ちから】
【2:早口言葉で紛らわしくしてやる!:すばやさ】
【3:難しい言葉を言ってみよう:かしこさ】
【4:私もあんまり知らない言葉なら……:うんのよさ】
【5:単位が分かりにくい言葉がやっぱりいいよね:きようさ】

 ……の中から選択でき、そしていつも通りダイス判定で勝てば勝利である。しかし、それに対して淡ちゃんは必ず『うんのよさ』のダイス判定で対抗してくる

▼淡ちゃんの『うんのよさ』の数値は15、つまり期待値は「52.5」。それに対し莉子ちゃんは最大の能力の数値が3、つまり期待値「10.5」

▼勝てる確率はほぼ無いに等しいが、それならどうすればいいか……そういう時に、「B(ブッこみ)S(システム)」が存在する


【BS説明】


▼一言で簡単に言えば「連鎖」である。数取のスタート地点で

【1:軽いブッこみ:倍率0.5ずつ増加】【必要コンマ:20】

【2:そこそこブッこみ:倍率0.7ずつ増加】【必要コンマ:30】

【3:強いブッこみ:倍率1ずつ増加】【必要コンマ:40】

【4:凄まじいブッこみ:倍率2ずつ増加】【必要コンマ:50】

 のいずれかを指定する。

▼指定した選択肢で安価でコンマ判定(二人目から莉子まで最大四回)を行い、それが成功する度に倍率が書かれた数字分「1から」増加していく。「0から」じゃないよ

▼コンマ判定に失敗した場合、その人物から再び選択肢を選びなおす。なお、倍率はリセットする


▼最終的に出た倍率を莉子の出したダイス判定の数値に掛ける……分かりやすい例を出せば、

 【3:強いブッこみ】を美幸のスタート時に使い、その後見事全員がコンマ判定で成功し、莉子が【5:単位が分かりにくい言葉がやっぱりいいよね】を使用した場合

 3d6×(1+1+1+1+1)=……という数値で淡の『うんのよさ』ダイス判定と勝負することができる。つまり美幸から莉子まで全員成功させれば見事5倍に膨れ上がるのである


▼なおこの「BSシステム」は「最初にスタートした人間」から発動する。つまり途中でコンマ判定に失敗すれば、その失敗した人物から改めてスタートするのである

▼また、数取りはミスった人からスタートというルールなので、BSシステムの一人目のみコンマ判定を行わない

▼その為、例えば友香からのスタートとなった場合【4:凄まじいブッこみ】を使って結局(1+2)の3倍、ということも勿論可能である(この時)


▼……という感じでブッっこんでいくんでヨロシクゥ!!



▼しょうぶ かいし!!


莉子「それじゃあ美幸先輩、よろしくお願いします!」

美幸「うん、行くよ……いやいや、ブッこんでいくんでよろしくー!!」


全員「「ヨロシクゥー!」」


全員で学校の駐車場で馬鹿みたいにそう叫んだ後、そして続けて彼女達は言う。


全員「「ブン、ブン、ブブン!!」」


▼みゆき は どうする?


【1:軽いブッこみ:倍率0.5ずつ増加】【必要コンマ:20】

【2:そこそこブッこみ:倍率0.7ずつ増加】【必要コンマ:30】

【3:強いブッこみ:倍率1ずつ増加】【必要コンマ:40】

【4:凄まじいブッこみ:倍率2ずつ増加】【必要コンマ:50】


【数取りはミスった人からスタートというルールなので、BSシステムの一人目のみコンマ判定を行わない】


▼↓2 が せんたく するのだ!


風呂から帰ってきてみるとなんだこれは……たまげたなぁ
三十分で一件って、もしかしてこのスレ全然人来てないパターンですかね
流石に安価スレでこれはマズイですなぁ やっぱ京太郎スレにしたほうが伸びるってやつですかね

とりあえずちょっと話進めるのストップさせていただきます 年末っていうのもあるんでしょうかねこれって

おっと失礼 ちょっと下げますね

基本ROMだけど見てるよー
年末だからってのもあるかと
個人的には展開とか台詞回しとかだいぶ面白い

出遅れちまったぜ
一応3

>>175
成程、やっぱり年末のためなのかもしれないですね
しかしいくら時期が時期とはいえ、このレス数の少なさはちょっと安価スレの進行に差しさわりがでると考えます……つーわけで一回このスレをhtmlにかけてもう少し人の多くなる夏にまた復活させようかな、と思います
まぁ実際あと十日分ぐらいなんで書いても構わないのですが、それはこっちのエゴで「折角だから全国編終わるぐらいのタイミングでやったらもっと人増えるかなぁ」なんて考えておる訳です
その間にまた別の京太郎スレを立てて、ちょっとどのくらい人が集まるかを実験してみたいですしね

という訳でわずか数日でしたが、一旦休ませていただきます 乙でした

マジか……
俺は京太郎スレは覗かない方だから夏まで楽しみに待ってるよ、乙ー

あらら。京太郎スレ見ないからそっちに移るならちょい残念
ひとまず乙

全国編が終わっても莉子ちゃん全く関係ないから集客効果は望めない気がしないでもない
最近のSS速報での楽しみなスレだっただけに30分レスがつかないだけで即HTML依頼行きなのは残念

なんと……諦めんの速過ぎだろこれww

京太郎スレはさほど見ないのと面白いのに残念

残念やけどまた戻ってきてな

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