私は唯先輩の手を引き廊下へと連れ出した
律「今日は寒いからすぐ戻ってこいよー」
律先輩の声が遠く聞こえた
梓「話があるんです」
唯「話?何だろう?」
きょとんとする唯先輩
突然廊下に連れ出され、二人きりになってする話なのだから戸惑うのも無理はない
梓「その……好きです!」
唯「えへへ、ありがとう。私もあずにゃんの事大好きだよ~」
ダメだ、何も理解してくれてない
梓「そうじゃないんです」
唯「はえ?どゆこと?」
梓「その……恋愛方面での好き……って意味です……///」
唯「えぇぇっ!?そ、それ、本気で言ってるの、あずにゃん!?」
梓「はい!ですから、唯先輩も同じ気持ちなら、お付き合いしてくれませんか?」
唯「はわわ……。あ、あずにゃんに告白されちゃった……///」
唯先輩の顔も赤くなってる
この反応なら……
唯「えっと、>>999だよ」
唯「えっと、私もだよ」
梓「それって……!?」
唯「うん。私もおんなじ気持ち。えへへ、じゃあこれからは恋人同士ってことでいいのかな……///」
梓「は、はい……///」
唯「よろしくね、あずにゃん///」
梓「こ、こちらこそです」
ついに念願が叶い、唯先輩と恋人という関係に……
えへへ……
唯「あずにゃん?おーい」ヒョイッ
梓「ふぇっ、な、何ですか唯先輩!」ビクッ
唯「わわっ、びっくりするあずにゃんにこっちもびっくりだよ」
梓「い、いきなり顔を覗き込んでくるからです。てっきり、その……キスされちゃうのかと……///」
唯「キ、キス!?その、ま、まだ私達には早いっていうか……。その……///」
梓「で、ですよね……。まだ付き合って数分すら経ってないのに早いですよね……///」
唯「うん……。それに、私、キスなんて初めてだから、もっと雰囲気のある場所での方が……、なんて」
梓「は、はい!わかりました!」
梓「……そうじゃなくて、いきなり顔を覗きこんだ理由はなんだったんですか?」
唯「えっ?あずにゃんがぼんやりしてたから、どうしたのかなーって」
梓「そ、そんなにぼんやりしてましたか私?」
唯「うん。あ、でも、今は何か顔が緩んでるかも」
梓「そ、そんなことないですって」
告白が受け入れられたのが嬉しいのは隠し切れないみたいだった
頬も熱くなってきてる
唯「あ、また下向いて。おーい」
梓「な、何でもないですからっ」
唯「寒い寒い。早く部室戻ろっ」ギュッ
梓「そ、そうですね」ギュッ
何だろう
唯先輩と繋ぐ手は、いつもより暖かくて……
唯「えへへ、あったかいね」
梓「……はい///」
そして、どうしようもなく優しかった
律「遅いっての。何してたんだよ唯ー」
唯「えへへ、あずにゃんと二人きりの時間を。ね、あずにゃん♪」
梓「えっ?何で私に振るんですか唯先輩」
澪「何でも何も、唯を連れ出したのは梓じゃないか。何か用事でもあったのか?」
梓「あっ、はい、そんなところです」
律「ふーん」
唯「な、何、りっちゃん……、その目は?」
律「いや、だって、二人がずっと手を握ってるからさ」
唯・梓「「あっ」」
紬「うふふ、仲がいいって素晴らしいわ~」
梓「もうっ、さっきは唯先輩のせいで……。恥ずかしかったじゃないですか」
唯「えへへ、ごめんね、あずにゃん」
梓「その、今度からは手を繋ぐときは二人きりのときだけにしましょう」
唯「じゃあ今繋いじゃう?」
梓「下校中ですからダメですって」
唯「ちぇー」
そんな事を話しながら、雪が降る帰り道を二人で歩いた
唯「でもあれだね。恋人同士になったんだから、何か特別な事がしたいよね」
梓「えっ……///」
唯先輩と特別な事……
唯「あっ、あずにゃんの顔、真っ赤だよ?ふふ、何を想像してたのかな~♪」
梓「も、もう、唯先輩!」
唯「あはは、あずにゃんが怒った~♪」
子供っぽく無邪気に笑う唯先輩
でも、真面目な顔になると大人っぽい……
そんな唯先輩が、今は私だけの恋人……
唯「特別な……、そう、デートなんていかがかね、あずにゃん!」
梓「は、はい、いいと思います!」
ぼんやりしてたせいか変な受け答えになってしまった
唯「うん。デート。そう、デートだよね。恋人といったらデート。デートといったら恋人」
唯先輩は瞳を輝かせ、一人頷いている
梓「でも、いつデートするんですか?」
唯「クリスマスなんてどう?」
梓「でも、その日はけいおん部のみんなとも……」
唯「うん。だから、クリスマス会の前にするの。せっかくのクリスマスなんだもん。デートしなきゃ損というものだよ」
梓「ですよね」
確かにクリスマスにデートというのは恋人だったら鉄板中の鉄板行事だ
デートの中でも最も特別な場所に位置する
唯「それじゃ、あとで待ち合わせ時間と場所のメールするね、あずにゃん」
梓「は、はい!楽しみに待ってますから!」
唯「あ、そんなに楽しみにされてたらなんだか待たせるのが申し訳ないなあ……。今考えてあずにゃんに伝えよう」
梓「何言ってるんですか。ゆっくり考えてからでいいですから!それじゃ、また明日」
唯「そだね。またねー、あずにゃーん」
クリスマスに唯先輩とデート……
梓「えへへ……///」
帰りの電車の中でも、緩む頬は抑えられなかった
憂「純ちゃん純ちゃん、梓ちゃんどうしたんだろう?」
純「私も思ってた。今朝からニヤニヤして目がうつろだし、何かヤバい薬でもやってたりして」
憂「あはは、ないない。でも、何かいいことあったのかな?」
純「聞いてみるのが一番早いって。梓ー」
梓「……何?」
純「ちょっ、何で話しかけた途端に不機嫌そうな顔になるというの」
梓「宿題なら見せないよ」
純「ノーッ、私ってそんな目で見られてたのね。ショック……」
憂「あのね、梓ちゃんが今日は朝から上機嫌だから何かいいことあったのかなって」
梓「えっ?そ、そんな顔してた?そ、そう見えたのかな……///」
純「あー、こりゃ完全に男だ。お幸せそうで何より」
梓「ち、違うから!」
純「じゃあ何があったのさー」
梓「そ、それは……」
言えるわけがない
唯先輩に告白して恋人同士になれたことが嬉しくて浮かれてただなんて
梓「……朝、道で100円拾った」
純「な、なんだと~!?よし、じゃあそのお金で豪遊しようか」
梓「どこのデフレ国家!?」
憂「あはは、もう、二人とも」
うん、平常運転だ
これからは顔に出ないように気をつけよう
純「そういえばもうすぐクリスマスだけど、二人は何か予定あんの?」
憂「私はお姉ちゃんたちとクリスマス会の予定があるよ」
純「ってことは梓もか。……って、じゃあ私だけ何も予定がないことに!?」
梓「ジャズ研の子らと過ごしたら?」
純「冷たい……。憂、今の梓の顔見た?あれは道端に捨て猫がいたら目もくれず通り過ぎる感じの非常な目だった!」
憂「よしよし」ナデナデ
純「あー、憂といると癒される~……。梓も見習うように」
梓「はいはい」
そんな事より、放課後の部活の事で頭がいっぱいだった
部室でどんな顔して唯先輩と会えばいいんだろう?
友達に遊びに誘われてしまった
申し訳ないが行ってきます
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