中川「いきなりどうしたんですか先輩」
両津「うむ・・・昨日こういう悲劇があってな・・・」
~~~~
両津「むふふ、やっぱりヌードはたまらねぇぜ」
麗子「ちょっと両ちゃん仕事中にそんなの見ないでよ!」
両津「だまれ麗子、これも仕事だ!世の中の性風俗を管理するという・・・」
部長「勤務中にポルノ雑誌を見るとは・・・ お前は警官の仕事を何だと思ってるんだ?」
両津「げっ!部長!そ、その、これはですね、ヤクザの事務所から押収した証拠品で・・・イタタタ!すみません部長~!」
部長「お前はいつになったらそういう低俗な本から卒業できるんだ!?」
両津「て、低俗・・・」
両津「失礼ですが部長、一部のインテリだけが楽しめるお堅い小説よりエロ本の方が何十倍も立派ですよ!」
部長「批判するだけなら簡単だ!どうせお前はポルノや漫画のような絵があるものしか読めんのだろ!」
両津「絵の方がはるかに難しいですよ!文字なんてだれでも書けらぁ!」
部長「そういうことは書いてから言うんだな!ミミズののたくったような字しか書けないくせに!」
両津「あっー!書いてやるとも!小説で一発当ててやらぁ!わしはどちらかというとこういうクリエイティブな仕事のほうが向いているんだ!」
寺井「両さんはどちらかというと工事現場で働いてる人のほうが似合ってるけど」
両津「だまれ寺井!わしは今日かぎりでこの派出所をやめるからな!止めるなよ!いいな麗子!止めるなら今のうちだが・・・止めるなよ」
麗子「待って両ちゃん!」
両津「止めるな麗子!男の旅立ちに女は不要だ!・・・だがどうしても行かないで欲しいというなら派出所にいても」
麗子「ポルノ本持っていくの忘れてるわよ!」
ズルッ
両津「お前らそれでも人間か!見てろよ!わしが有名小説家になってもお前らにはサインしてやらないからな!」
寺井「出て行っちゃいましたね」
部長「構わん 3日後にはあきらめて戻ってくるだろ」
寺井「両さんの書いた小説が大ヒットして社会現象にまでなったことは忘れたほうがいいんでしょうね、やっぱり」
麗子「そんなの寺井さんが言わなければ誰も覚えてないわよ」
書店
両津「うーむ啖呵を切って飛び出したはいいが小説のことなんて全然わからんぞ」
両津「とりあえず手ごろな小説を参考にするか」
両津「なになに・・・ 国境の、長い、トンネルを抜け・・・ると・・・」バタッ
店長「うわっ!両さん!どうしたんだい!」
両津「うぅ・・・・・・文字を久しぶりに見たせいで身体が拒否反応を起こしたようだ・・・」
両津「これじゃとても小説なんて書けんぞ・・・」
店長「なに?両さん今度は小説を書き始めたのかい?」
両津「あぁそうだ・・・部長のやつを見返したくてな・・・」
店長「それだったらラノベなんかどうだい」
両津「なに、ラノベ・・・?新しい戦車か・・・?」
店長「ライトノベルス、中高生をターゲットにした軽めの小説だよ ほら、これなんか」
のうたりん!
両津「うーむいかにも頭がパーな若者が喜びそうな表紙だな」パラパラ
http://blog-imgs-44.fc2.com/n/e/w/news020/109201204.jpg
両津「な、なんだこれは・・・ 漫画じゃないか・・・」ピクピク
店長「魅力的な挿絵、それがラノベの特徴だからね」
両津「ほとんど会話文しかないぞ・・・」
店長「ストーリーなんてあってないようなものさ 女の子さえ可愛ければ中高生はホイホイ金を出すからね」
両津「お前いつか若者に殴られるぞ」
両津「とにかくこれはダメだ こんな漫画とも小説ともどっちつかずなものでは部長に笑われる」
店長「そうか・・・ ラノベは儲かるのになぁ」
両津「なに?」ピク
両津「ほとんど会話文しかないぞ・・・」
店長「ストーリーなんてあってないようなものさ 可愛い挿絵を付ければ中高生はホイホイ金を出すからね」
両津「お前いつか若者に殴られるぞ」
両津「とにかくこれはダメだ こんな漫画とも小説ともどっちつかずなものでは部長に笑われる」
店長「そうか・・・ ラノベは儲かるのになぁ」
両津「なに?」ピク
店長「ラノベはメディアミックスが早いからね 売れればすぐにコミック化アニメ化ゲーム化が決まるよ」
両津「ほ、ほう・・アニメ化・・・」
両津「まぁ・・・いつだって文学は権力との戦いだったからな ラノベもいずれは日本を背負って立つ文化になるかもしれん 今からその波に乗るのもいいかもしれん」
店長「書きあがったら書店に置いてあげるよ」
両津「すまないな わしが売れっ子作家になったらこの書店でサイン会を開いてやるからな!」
両津「というわけだ」
中川「うーんあまりにも先輩らしい・・・」
中川「それで?なんで警官やめたのに派出所に来てるんですか?」
両津「お前にわしのラノベのアドバイスをもらおうと思ってな・・・」
中川「ぼくはラノベのことなんて分かりませんよ!」
両津「なに中川 お前普段あんなに本を読んでるじゃないか!」
中川「ラノベなんて読んだことありませんよ!」
両津「まったく使えないやつだ 誰かラノベに詳しいやつはいないのか」
中川「本田さんなんかどうです」
両津「あいつは乙姫が編集長に寝取られてから廃人同然になってしまったよ 悲しいやつだ・・・」
中川「そういえばこの近所に2次元に詳しいニートがいるとか・・・」
両津「なに!?そいつの住所はどこだ!?」
すまん丸井ヤング館だなんて知らなかったよ・・・
~~~
両津「ここか・・・ ニートのくせに立派な一軒家に住んでるじゃねえな」
ピンポーン
巣礼矢頭「だ、誰ですかwフヒィw」
両津「あ、私(わたくし)はですね、両津という者なんですがちょいと先生にラノベの書き方を教わろうと・・・」
巣礼矢頭「ラ、ラノベですかwいいですよw拙者に任せるでござるwコポォwwwwwww」
巣礼矢頭「ちなみに拙者、名前は 星 巣礼矢頭(すれいやーず)ですwwwwwヨロシクノキワミ、アーwwwwwwwww」
両津「は、はぁ・・・ 私(わたくし)、ちょっと英語は苦手なので、できれば日本語を・・・」
巣礼矢頭「なんと失敬なwwwwwwwなんと失敬なwwwwwwwwww」
巣礼矢頭「とりあえず入ってくださいwwwwWelcome to the undergroundwwwwwwなんちゃってwwwwww」
両津「あ、あぁ・・・ うっ凄いにおいだ それに壁のあちこちに2次元の女のポスターが張ってある」
両津「昔、リカちゃんマニアの家に行ったがそれとはまた違うタイプの変態だな・・・」
巣礼矢頭「それで?wwwww両津どのはどれくらいラノベについて知ってるでござるか?wwwwwwwwwwww」
両津「いや、ほとんど何も知らん 昨日数ページ見たくらいだ」
巣礼矢頭「それでラノベを書こうなどとwwwwww笑止wwwwwwwww笑止極まりないwwwwwww」
両津「じゃあどうすればいいんですかねぇ先生」ピクピク
巣礼矢頭「敵を倒すにはまず敵を知ることですwwwwwwwwwラノベ業界は非常に戦争が激しいwwwwww」
巣礼矢頭「例えばwwwwlSというアニメ化した作品を書いた豚弦イズレ先生の続編wwwww放課後バトルフィヨルドは全く売れずwwwwwwイズレ先生は姿を消してしまいましたwwwwwww」
両津「悲惨な話だ・・・」
巣礼矢頭「まず最近アニメ化したラノベを全て読んでもらいますwwwwwwwじ、地獄の特訓開始ですぞwwwwww」
両津「今どき地獄の特訓だなんてスポ根物でも言わないぞ・・・」
3週間後
両津「ぜ、全部読んだぞ・・・」
巣礼矢頭「おや、意外と早かったですねぇ両津どのwwwwwwそれで?wwwwww感想はどうですかwwwwwwwww」
両津「やたら主人公がモテていたのは覚えてるが・・・なぜ荷物を運んでやったくらいでヒロインは主人公に惚れるんだ・・・?出てくる女は全員障害持ちなのか?」
巣礼矢頭「wwwwwこれはお厳しいお言葉wwwwwwwwwww」
両津「だいぶ2ch用語にも詳しくなったぞ なぜ作中に度々挟まれるのかが謎だがな・・・」
巣礼矢頭「ではそろそろラノベを書いていきましょうwwwwwwwww何かアイデアはありますか?wwwwwwwww」
両津「そうだな・・・ 美人婦警4人が派出所で勤務しているんだがそこに一人のイケメン警察官が転勤でやってくるんだ」
巣礼矢頭「おほぉwwwwwwこれはwwwwwwwwww良作の予感wwwwwwwww」
両津「そうだろうそうだろう 男が美少女に囲まれる作品ばかりで全員同じ作者が書いてるのかと思ったよ」
巣礼矢頭「だが異議ありwwwwww拙者は異議ありですぞwwwwww女の子達の平均年齢が高すぎますwwwwwwww」
両津「平均年齢って20前後だぞ じゅうぶん若いだろうに・・・」
巣礼矢頭「でもそんなんじゃだーめwwwwwwだめですぞ両津どのwwwwwwそうですね、登場人物は全員14歳にしましょうwwwww」
両津「14だと!?まだガキじゃねえか!警官になれるわけないだろ!」
巣礼矢頭「そんなのは日本が法令を変えたとかでごまかしましょうwwwwwww誰も18歳越えのクソババァなんかに興味はありません故wwwwww」
両津「うーむこの男、今この場で撃ち殺したほうが社会の為になるのではないだろうか・・・」
巣礼矢頭「それで?wwwwストーリーはどうするでござるか?www」
両津「おうストーリーか それは自信があるぞ」
両津「4人は全員主人公にベタ惚れなんだが素直になれない」
両津「時々サービスシーンを見せながら脳にウジが沸いたようなくだらない会話を続け、最後だけ凶悪事件を5人で解決して山場を作る」
両津「どうだ?あまりにくだらない会話を見続けて途中頭がおかしくなりかけたがその成果がこれよ ワハハ」
巣礼矢頭「す、素晴らしいぃ~~!14歳の美少女婦警、萌えですぞ~~~!さっそく書きましょう!」
巣礼矢頭「絵師はどうするでござるかwwww拙者wwwww絵なんか描けませんぞwwwwwww」
両津「うむ・・・ わしが描いてもいいがロボ刑事番長のような男の作品はガキには受けないだろう」
両津「そうだ、あいつがいたな」
北映アニメ会社
両津「やあ、きみたち」
社長「げっ!?またしてもあの時のおまわりさん!」
両津「アニメーターの彼はいるか?」
社長「彼は今作画監督ですが・・・」
両津「うむ・・・こんな会話を91巻でもした気がするぞ」
作画監督「ゲッ!おまわりさん!」
両津「いやぁ久しぶりだねえ 元気でやってるか」
作画監督「ま、まぁ一応・・・ 何の用ですか?また偽のセル画を描けとか言うんじゃあ・・・」
両津「いやいや何を言う!本官そんな卑怯な真似はしないぞ!」
作画監督「ホッ・・・」
両津「ただわしのラノベの挿絵を描いてほしいんだよ」
作画監督「」
作画監督「ラ、ラノベですか・・・ しかしぼくも今抱えているアニメの仕事が忙しくて・・・」
両津「わしのお前の仲じゃないか!頼むよ・・・」カチャ
作画監督「わ、わかりました・・・(ラノベの挿絵なら数枚描けば・・・)」
両津「ページは200ページくらいあるから100枚は描いてくれよ 10枚に1枚は下着か裸を出せよ」
作画監督「ラノベでその挿絵数は多すぎじゃありませんか!?」
両津「どうせやつら文章など見やせんよ イラストが多ければ満足するだろ」
作画監督「うぅ・・・それじゃほとんどぼくの本じゃないか・・・」
両津「そう落ち込むな、印税が入ったら一割やるから」
両津「これメインキャラクターの設定な ほれ」
ヒロイン1 ツンデレ
ヒロイン2 メガネ 無口
ヒロイン3 幼馴染
ヒロイン4 年上
主人公 イケメン
作画監督「な、名前すら無い・・・」
両津「いいか!可愛く描けよ!ブサイクに描いたらやり直させるからな!」
こうして両津と作画監督のラノベ作りが始まった
作画監督は抱えているアニメを落とし、そのアニメを楽しみにしていた巣礼矢頭は自殺した
一ヵ月後
『転勤した派出所は、美少女婦警のすくつ(ryだった!?』 著者 両津・パトリシア・勘子
中川「なんというか・・・すごく痛々しいタイトルですね」
両津「中もすごいぞ 読んでみろ」
~~~
「おっ沙耶 今日はポニーテールか?似合ってるな ハハハ」
「も、もう!何言うの!君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!」
沙耶が俺に馬乗りになってきた!いてぇ!
「お、おい!やめろ!ジョジョかよ!」
「沙耶・・・健くんに手、出さないで・・・」
バンッ
そこにやってきたのは俺の嫁、桜ちゃんだった!
「何すんのよ、あんたなんて公務執行妨害で逮捕してやるんだから!」
「・・・やれるものなら・・・やってみるといい・・・」
ちょ!お前ら!そんな体勢で戦うと・・・下着が・・・!
~~~
中川「・・・これは・・・」
両津「どうだ中川 面白いだろう」
中川「これが本当に売れると思ってるんですか・・・?」
両津「なにを言うんだ パロディと2ch用語と主人公にベタ惚れのヒロインと鉄板要素を詰め込んだ わしが読んだラノベも全部こんな感じだぞ」
中川「うぅむ・・・これが売れるとは思えない・・・」
両津「いいから中川コーポレーションから出版してくれ!大ヒット間違いなしだぞ!」
中川「えっ!?うちの会社からですか!?いや、しかし・・・うちの会社はこういうものは・・・」
両津「なぁ頼むぜ・・・親戚だろ」ゴリゴリ
中川「わ・・・わかりました・・・ でも期待しない方がいいですよ・・・」
中川の期待とは裏腹に、『転勤した派出所は、美少女婦警のすくつ(ryだった!?』は大ヒットした!
初版は瞬く間に売り切れ、てんすく(略称)はオタク文化の象徴となった!!
麗子「すごいじゃない両ちゃん!」
両津「来年にはアニメ化も決定したぞ 売れ残りの玩具にシールを貼り付けただけのグッズも飛ぶように売れるよ ワハハ」
両津「おや、部長じゃないですか?」
部長「り、両津!すごいじゃないか、お前の小説の人気は」
両津「あれ?でも・・・誰かが お前には小説など書けん!漫画でも読んで死ね!クズ! とか言っていた気がするなぁ・・・」
部長「そ、そこまでは・・・」
部長「い、いや、とにかくお前はすごい!天才だ!」
両津「やけに素直ですね・・・ 長年部長といますがその顔は何かを隠している顔ですよ」ジロッ
部長「うっ!」ギクッ
部長「実はな、孫の大介がな、お前の作品の大ファンでサインをたのまれてしまったんだよ」
両津「ふ~ん わしのサインがほしいと・・・」
部長「たのむよ両津、わしの顔に免じて」ペコペコ
両津「そうですねぇ・・・ まぁ部長とは長年の付き合いだからな」
部長「やってくれるか両津!」
両津「三遍回ってワンと鳴いたらやってあげますよ」
部長「なに!?ほ・・・本当だな?」
両津「男に二言はありません」
部長「く・・・!」グルグルグル!ワン!
両津「そこでオシッコも」
部長「なんだと!」
両津「ほらほら、こういう風にシャーって」
部長「く・・・屈辱だ・・・」シャー
両津「プ・・・プププ・・・」
両津「しょ・・・小説家になって良かった・・・!」ジーン
てんすくの勢いは留まることなく、関連商品は飛ぶように売れた!
両津「ワハハハ まるで金を刷っているかのようだ」
中川「先輩、インタビューの依頼が・・・」
両津「なに?インタビュー?金は出るのか?」
中川「はい、報酬は出すと・・・」
両津「ふむ、ならインタビューくらい受けてやるか」
インタビュアー「パトリシアさん、遅いですね・・・」
ガラッ
両津「いやあ すまんすまん クソのやつの切れが悪くてな 遅れてしまったよ・・・」
インタビュアー「は、はぁ・・・」
両津「それで?あんたたち今日はどんなことが聞きたいの・・・」
インタビュアー(は、鼻毛を抜き始めたぞ・・・)
インタビュアー「今日は、パトリシア先生にてんすくについての裏話などを・・・」
両津「裏話?あぁ、原稿はチラシの裏に鉛筆で書いてるな・・・」
インタビュアー「な、なるほど ユニークな執筆風景ですね」ピク
インタビュアー「作品を考えたついたきっかけなどは・・・?」
両津「うむ、手っ取り早く金を稼ぎたくてな・・・」
両津「それでアホどもに向けてラノベを書いたら売れたってわけだ ワハハ」
両津「あ、きみたちこの部分はカットしておいてね」
インタビュアー「あのこれ・・・生放送なんですが・・・」
両津「え?」
インタビュアー「今の会話の内容・・・全部ネットを通じて配信されちゃってます・・・」
両津「な・・・な・・・」
両津「何だとおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
こうして両津の本音が全世界に暴露され、てんすく人気は地に落ちた
書店では返本が相次ぎ、関連商品を大量に倉庫に抱えていた両津はまたしても借金を大量に抱える羽目になった
派出所
部長「おや、きみは誰かね?警官志望か?今、不況で公務員人気が高いからむずかしいと思うよ・・・」
両津「はは、部長きついですね・・・ 本当は私の制服、取っておいてあるんでしょう?はは・・・」
ヒュウ~
完
読んでくれた人ありがと
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません