コナン「警察まで敵に回してしまった」 (124)

本庁

目暮「本日、政府からの命令で正式に決まった」

高木「そうですか……」

佐藤「となると、あの件は」

目暮「これ以上、殺人事件の増加を食い止めるには」

目暮「命令どおり毛利君たちを暗殺するしかないようだ」

千葉「そ、そんな……」

白鳥「それに標的は探偵事務所の人間たちだけではありません」

白鳥「毛利小五郎、毛利蘭、江戸川コナンの他に」

白鳥「阿笠博士、灰原哀、小嶋元太、円谷光彦、吉田歩美」

白鳥「以上、八名全員の抹殺を命じられました」

高木「コナン君の関係者を皆殺しっていうわけですね」

目暮「ああ」

佐藤「服部君と和葉ちゃんはどうなんですか」

目暮「その二人の暗殺もすでに大阪府警に命じられている」

目暮「とにかく今までの毛利君たちへの情は全部捨てるんだ」

目暮「奴ら死神を皆殺しだ」

目暮「いいな?」

高木・佐藤・千葉・白鳥「はっ!」

探偵事務所

蘭「それじゃ、お父さん。学校に行ってくるね」

小五郎「おう」

蘭「戸締りには気を付けてね」

小五郎「わあってるって」

蘭「ほら、行こ。コナン君」

コナン「はーい」

高木『こちら、高木』

高木『事務所の前に張り込み中』

高木『たった今コナン君と蘭さんが出てきました』

高木『学校へ向かう模様です』

目暮『よし、二人を人気のない場所へ誘導して殺害しろ』

高木『はい!』

高木「やあ、ちょっといいかい」

蘭「あれ、高木刑事」

コナン「こんな朝にどうしたの?」

高木「いや、この前の事件についてちょっと二人に聞きたいことがあって」

蘭「この前の事件って何ですか」

高木「詳しくはあっちで話すよ」

蘭「あ、すみません。私たちこれから学校なので」

高木「大丈夫、そんなに時間を取らせたりしませんから」

蘭「はあ」

コナン(おかしいぞ、今日の高木刑事)

コナン(いつもと違って強引というか高木刑事らしくない)

コナン(それに目も若干血走っている……)

コナン(まさか)

高木「さあ、こちらへ」

蘭「はい」

蘭「事件のことなら仕方ないよ。行こ、コナン君」

コナン「蘭姉ちゃん、逃げて!」

蘭「えっ?」

高木「チッ」

高木「動くな! 止まれ!」

バン!! バン!!

蘭「きゃあああっ」

コナン「らああああん!」

蘭「いたた」

コナン「平気? 蘭姉ちゃん」

蘭「うん、何とか。でも、どうして高木刑事が……」

コナン「今はいいから、とにかく早く走って! 急いで!」

蘭「う、うん」

高木「しまった。逃げられたか」

高木『こちら、高木。目標に逃げられた』

高木『千葉の張り込んでいるルートに逃走した』

千葉『了解。こちらで仕留める』

千葉(さあ、来い。死神め)

チラ

コナン(あの車に乗ってる人物)

コナン(千葉刑事! 待ち伏せか!)

コナン「蘭姉ちゃん。逃げる方向変えて! こっち」

蘭「え?」

千葉「気づかれた! コナン君め、逃がすか!」

ブロロ キイイイィィー

蘭「きゃああ! 歩道に車が突っ込んでくるわ!」

コナン「逃げろ! らあああああん!」

キキィィィ 

コナン「蘭姉ちゃん、早くこっち!」

蘭「はあはあ」

タッタッタッタ

千葉「くそっ!」

千葉「路地裏に逃げられた。仕方ない」

千葉「車から降りてそのまま追跡だ」

その頃
帝丹小学校

小林先生「あら、白鳥警部」

白鳥「どうもご無沙汰してます」

小林「今日は学校へ一体どのようなご用件で」

白鳥「もちろん、あなたに会いに来たんですよ」

小林「そ、そんな。ご冗談を///」

白鳥「ははっ、あながち冗談でもないんですがね」

小林「ほ、本当ですか?」

白鳥「まあ、厳密に言えばあなたが受け持っておられる」

白鳥「生徒たちに用があって参りました」

小林「私のクラスの生徒?」

白鳥「はい。元太君、光彦君、歩美ちゃん、哀ちゃんを今すぐこちらへ渡してくれませんか」

小林「あの子たち四人をですか?」

白鳥「はい。もう学校へ登校しているはずですよ」

小林「なぜ、突然そんなお願いを」

白鳥「あの四人を我々警察の手で始末します」

小林「えぇ! 始末!?」

白鳥「わかってください。これはもう上で決定したことなんです」

白鳥「あの探偵団たちのせいで一体、幾人の人たちが事件の犠牲になったか」

白鳥「子供とはいえ死神は死神。これ以上、生きたまま野放しにする訳にはいきません」

小林「わかりました」

小林「あの子たちのためにも、できるだけ楽に死なせてあげてください」

白鳥「約束しましょう」

小林「では、今から事情を話してその四人を呼んできます」

白鳥「ありがとうございます」

元太「おい、白鳥。何だよ、俺たちに用事って」

白鳥「実はいつも活躍してる君たちに表彰状を送りたくてね」

光彦「本当ですか!?」

歩美「やったー」

白鳥「できるだけ早く喜ぶ君たちの顔が見たくて、学校まで来てしまったんだ」

元太「白鳥、おめえいいとこあるなー!」

白鳥「さあ、署まで送るから。僕の車に乗ってくれたまえ」

灰原「……」

車内

光彦「表彰状、楽しみですねー」

歩美「コナン君も学校休まなければ一緒にもらえたのにね」

元太「きっと悔しがるぞ、あいつ」

白鳥「車が署に着くまで退屈だろ。丁度人数分の飲み物を買っておいたから」

白鳥「みんなで飲むといいよ」

元太・光彦・歩美「はーい」

灰原(どう見ても不自然だわ)

灰原(今日の白鳥警部の行動)

灰原(一体何を企んでいるの?)

ゴツ

灰原「えっ」

灰原(床に小瓶? これって、まさか!)

灰原「みんな、待って! 飲んじゃダメよ!」

歩美「え?」

白鳥「ど、どうしたんだい?」

灰原「その飲み物全部に毒が入っているわ」

光彦「えっ! 本当ですかー!?」

白鳥「おいおい、そういうことは冗談でも言ってはいけないよ」

白鳥(そういえば、コナン君の他にもこの子も頭がキレる方だった)

白鳥(しくじったな……)

灰原「小嶋君、運転席に割り込んでブレーキペダルを踏みなさい!」

元太「な、なんだよ。それ」

灰原「大きい方のペダルよ! 急いで!」

白鳥「お、おい、何を言ってるんだい……」

元太「なんだかしらねえけど、わかった!」

灰原「みんな、どこにつかまって!」

ガシッ

白鳥「悪ふざけはよしなさ、う、うわああぁ!」

キイイイィィィ

歩美「車停まっちゃったみたい」

光彦「急ブレーキがかかったようですね」

灰原「白鳥警部に殺されたくなければ」

灰原「すぐに車から降りて逃げるのよ」

歩美「えー! 歩美そんなの嫌だ!」

光彦「逃げましょう!」

元太「お、おう!」

ガチャ タッタッタッタッタ


白鳥「く、くそ、僕としたことが……」

阿笠邸

ピンポーン

阿笠「はーい」

阿笠「誰じゃろう。お客さんかのう」

ガチャ

佐藤「お忙しいところすみません」

阿笠「おお、佐藤刑事か。一体、ワシに何か用かね」

佐藤「はい。実は阿笠さん、今日はあなたに死んでもらおうと思いまして」

阿笠「何じゃと!」

佐藤「てやっ」

ドスッ

阿笠「うぐぉ」

阿笠「こほこほっ、い、いきなり何をするんじゃ」

阿笠「年寄りに向かって」

佐藤「言ったはずよ。あなたには死んでもらうって」

阿笠「正気か!」

佐藤「当然でしょ。はあぁ!」

ガスッ

阿笠「ぐわあぁっ!」

阿笠「うぐぐ」

佐藤「次の一撃で確実に仕留めてあげる」

佐藤「悪く思わないでくださいね、阿笠さん」

阿笠「ええい……」

佐藤「てやああぁ!」

阿笠「今じゃ!」

プシュ チク

佐藤「あっ」

佐藤「……」ドサッ

阿笠「ふぅ、もし予備の時計型麻酔銃がなかったら危ないところじゃったわい」

一方、目暮警部

目暮「なにっ? コナン君と蘭君に逃げられただと!」

高木『申し訳ありません』

高木『千葉と協力して殺るつもりでしたが、まんまとまかれてしまいました』

高木『今、千葉が二人を追ってるようなので自分も加勢しに』

目暮「いや、二人のことは千葉に任せて高木君は事務所の張り込みに戻ってくれ」

高木「ということは警部」

目暮「ああ、今から私が毛利君に引導を渡す」

目暮「もし、逃げられた場合、君が毛利君を殺害するんだ。いいな」

高木『了解しました』

目暮「くそっ」

目暮「白鳥君の方も皆逃げられたと言うし、佐藤は一向に連絡がつかん」

目暮「ええい、敵に回すとなんて厄介な連中なんだ」

目暮「せめて毛利君だけでも始末しなければな」

探偵事務所

コンコン

目暮「おい、毛利君。いるかね」

目暮「目暮だ」

目暮「ちょっと話があるんだが、入れてくれんか」

目暮「……」

目暮「留守か。いや、そんなはずは」

小五郎「おや、警部殿じゃないですか」

目暮「お、おお、毛利君。事務所にいたのではないんだな」

小五郎「ええ。さっきまで一階の喫茶ポアロにいたんですよー」

目暮「そうだったのか。遅めの朝食といったところかね」

小五郎「いえいえ。ちょっくら妻に電話を」

目暮「英理君にか? 珍しいな。何の用事だったんだね」

小五郎「いやなに。警察に殺されたくなければ、急いで遠くに逃げろってね、ナハハ」

目暮「も、毛利君……」

小五郎「万一、事務所に盗聴器が仕掛けられてたりしたら困りますんでね」

目暮「おいおい、君は何を言っているんだね」

小五郎「警部殿、下手な芝居はやめにしましょうや」

目暮「……」

目暮「いつから気づいてたんだね……」

小五郎「なぁに。薄々感づいてはいたんですが」

小五郎「警部殿がアポなしで事務所にやって来たところを見て確信しました」

小五郎「職業柄、殺意には敏感なんでね」

目暮「そうか」

目暮「なら、話は早い!」

バン!! バン!! バン!!

小五郎「はっ、よっ、はっ!」

バン!! バン!! バン!!

小五郎「なんのっ」

目暮「ええいっ、全弾よけるとは。往生際が悪いぞ、毛利君」

目暮「もはや君は全警察を敵に回しているんだ」

目暮「もう逃げ場なんてない。大人しくここで死ぬんだ」

小五郎「いくら警部殿の頼みでもそれだけは聞けませんな」

目暮「頼む、わかってくれ」

目暮「これは政府が出した決定なんだ」

目暮「君は探偵なんかじゃない、単なる死神に過ぎん」

目暮「君自身もいい加減わかっているだろう」

目暮「君が存在するだけで一人また一人、殺人事件の犠牲になるんだ」

目暮「いわば君たちの存在そのものがみんなの迷惑だ」

目暮「だから警察官の一員としてこれ以上、君を生かしておく訳にいかんのだよ」

小五郎「やれやれ、警部殿も落ちぶれたもんですな」

目暮「なに?」

小五郎「政府だの警察だの、そんなのが行動原理で」

小五郎「一つの組織に縛られてるだけのしょうもない人間になりさがってしまったとは」

目暮「黙れ!」

目暮「これまで君のせいで死んでいった被害者たちの苦しみを」

目暮「君自身が今ここで味わうんだ」

パン!! パン!!

小五郎「くっ!」

目暮「逃げたぞ、殺せ高木!」

高木「はい!」

小五郎「高木、お前もか」

高木「毛利さん、死んでください!」

バン!! バン!! バン!!

小五郎「どこ、撃ってるだ、高木。こっちだ、おらあああ!」

高木「え、う、うわああぁぁ!!」

ドシンッ

小五郎「簡単に距離を詰められて相手に一本背負いを食らわされるなんて」

小五郎「お前もまだまだだな」

目暮「ええい、くそ。弾切れか」

小五郎「では警部殿。失礼します」

目暮「何をやっとるんだ、高木!」

目暮「逃げられてしまったぞ」

高木「す、すみません」

目暮「発動されてから標的をまだ一人も始末できんとは!」

一方、逃走中のコナンと蘭

コナン「もしもし、服部か」

服部『おう、工藤。安心したで、まだ生きておったか』

コナン「あたり前だ。お前の方は大丈夫なのか?」

コナン「電話の向こうで銃声みたいな音が鳴ってるみたいだが」

服部『ああ、たった今和葉連れて、親父と大滝ハンら相手に』

服部『警察から何とかパクったハジキつこうて銃撃戦の最中や』

『バン!! バン!! バン!!』

平蔵『平次、ええかげん観念せえや!』

大滝『平ちゃん、なぶり殺されとうなかったらはよ出てきー』

服部『じゃかましい!』

服部『警察なんぞの肩書きを優先して息子に手をあげるような』

服部『ボケナス親父の言うことなんぞ誰がきくか、アホ!』

和葉『平次、大丈夫なん……』

服部『安心せい。俺が絶対なんとかしてやるさかい』

服部『せやから離れたらあかんぞ』

和葉『う、うん』

服部『そうゆう訳や、工藤。交戦が厳しゅうなってきおったから』

服部『一旦、電話きるわ』

コナン「ああ、死ぬなよ」

服部『あったりまえやろ。お前も気ぃつけるんやで、工藤』

ブツ

コナン「服部たちも警察の標的になってたとはな」

コナン「思ったより事態は大きくなってるみてえだ」

蘭「コナン君」

コナン「あ、蘭姉ちゃん。変わったことは?」

蘭「まだ誰にも見つかってないみないみたい」

コナン「そっか」

蘭「今の電話、服部君?」

コナン「う、うん」

蘭「服部君たち何だって?」

コナン「べ、別になんともないってさ」

コナン「和葉姉ちゃんも元気だって言ってたよ」

蘭「そう、よかった」

千葉「見つけたぞ、二人とも」

コナン「千葉刑事!」

バン!! バン!!

蘭「やめてください、千葉刑事!」

蘭「なぜこんなことをするんですか」

千葉「聞かない方が身のためだよ」

千葉「僕だって本当はこんなことしたくない」

バン!! バン!!

蘭「きゃっ!」

コナン「今まで色々協力してあげてきたのに随分じゃない?」

千葉「こんなときにも減らず口なんて相変わらず生意気だね、コナン君!」

バン!! バン!!

コナン「くそっ」

コナン「言ってわからないなら」

コナン「このキック力増強シューズで千葉刑事の脳天ぶっとばしてやる!」

キュイイン

コナン「ふっとべー!」

ガス ゴオオォォォ 

千葉「うぐああぁ! しまった、拳銃が」

蘭「銃さえなければ、はああぁぁ!」

千葉「うわっ?」

ドス ドス ガス ボカ

千葉「うぐ、あが、がはっ!」

千葉「や、やられた……」

千葉「……」

蘭「ハァハァ、ごめんなさい、千葉刑事」

蘭「何とか間一髪だったね」

コナン「千葉刑事に見つかったとなると」

コナン「ここも安全じゃないみたいだよ」

コナン「急いで別の場所に移ろう」

蘭「ええ」

目暮「そうはいかんよ」

コナン「くそっ、今度は目暮警部か!」

目暮「先ほど、毛利君にも逃げられてしまったんでな」

目暮「少しやり方を変えることにしたよ」

パン!! ピュル…

蘭「いたっ」

コナン「蘭!」

目暮「娘の蘭君を人質に取ればさすがの毛利君もじっとしてはいられんだろう」

コナン「やめるんだ、目暮警部!」

目暮「なぁに、すばっしっこいコナン君の相手はあとでゆっくりしてあげるよ」

目暮「さあ、蘭君。パトカーに乗ってもらおうか」

目暮「さもなくば……」

ジャキ

蘭「た、助けて……」

蘭「しんいちいいいいいいいいぃぃ!!」

コナン「らあああああああああああああぁぁん!!」

バン!!

おわり

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