P「オーバーブッキング」(73)

prrrr prrrr

ピッ

P「もしもし」

美希『………』

P「……美希か?」

美希『……春香がね、今度の日曜、ハニーとお菓子作りするんだって』

美希『すっごく、喜んでたの』

P「」

美希『………』

P「い、いや、それはだな……」

美希『いい。聞きたくない』

P「ぐっ……」

美希『……嘘つき』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「み、美希……」

prrrr prrrr

ピッ

P「もしもし……」

春香『プロデューサーさん、ですか?』

春香『……あの、今度の日曜の件なんですけど』

P「………」

春香『昨日、千早ちゃんに何となく聞いてみたんです。日曜の予定』

P「あ、あぁ」

春香『プロデューサーさんと一緒に、オーケストラのコンサート行くんだって……』

春香『千早ちゃん、とても嬉しそうに言ってました』

P「……そうか」

春香『そ、それでですね!私の事なんですけど、その日急用が入っちゃって!……あ、あはは』

P「………」

春香『だ、だからっ!……プロデューサーさんとは……また、今度……!』

P「……わ、分かった」

春香『っ……!』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「」

prrrr prrrr

ピッ

P「はい、もしも……」

千早『今度の日曜、萩原さんと書店巡りをするそうですね』

P「」



千早『よりによって同じ事務所のアイドルと二股だなんて……』

千早『一体どういうつもりなんですか?』

P「あ、いや、あの……」

千早『“いや”も“あの”も聞きたくないです!』

千早『明日から私は、萩原さんとどう顔を会わせたらっ……!』

P「………」

千早『……もういいです。しばらく、あなたと口をきくつもりはありませんから』

P「あっ……おい、千h」


ブツッ

ツー ツー ツー


P「………」

prrrr prrrr

ピッ

P「も、もしもし」

雪歩『あっ……ぷ、プロデューサー』

P「雪歩?」

雪歩『は、はいっ……あの、今度の日曜……ですけど』

P「あ、あぁ」

雪歩『探してる詩集は……わ、私一人でも……大丈夫ですからっ』

雪歩『……プロデューサーは、一緒に来なくてもっ……大丈夫、ですからっ……!』

P「……お、おい、雪歩?」

雪歩『……私のことなんかより、真ちゃんの……ぬいぐるみ探し……』

雪歩『ちゃんと……ヒック……手伝って、あげてっ……ください……』

P「………」

雪歩『それじゃ……グスッ』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「……雪歩……」

prrrr prrrr

ピッ

P「……もしもし」

真『……プロデューサー』

P「真か?」

真『昨日、伊織が自慢してたんですけど……今度の日曜、ショッピングだそうで』

真『プロデューサーと二人で行くんだって、鼻息荒くしてましたよ』

P「……そ、そうか」

真『……どういう事ですか?ボクと約束してましたよね?』

P「あ、あー……それは」

真『騙されてるのは、ボクと伊織、一体どっちなんですか?』

真『……ねぇ、答えてくださいよ!プロデューサー!』

P「………」

真『はぁ……一発、ぶん殴る気でいましたけど。その気も失せました』

真『どこへでも行ったらいいじゃないですか、伊織と……!』

P「い、いや、ちょっと待っ……」

真『プロデューサーの事なんか、ボクはもう知りませんっ!』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「」

prrrr prrrr

ピッ

P「はい」

伊織『どうしてこのあたしが電話をかけたか、もう分かってるわよね』

P「……ハイ」

伊織『あんたと二人で服を買うって、誰とでも約束しないって事も、分かってるわよね』

P「……ハイ」

伊織『それでいて、同じ日にやよいと遊園地に行くですって?』

P「えー……それは……」

伊織『……あたしが今どういう気持ちなのか、あんたに分かる?』

P「え、えぇっと……」

伊織『あんたには分かんないでしょうね。きっと』

P「い、伊織……あのな」

伊織『うるさいっ!』

P「」

伊織『……あんたなんかに……分かる訳、ないっ……!』



ブツッ

ツー ツー ツー

prrrr prrrr

ピッ

P「……へい」

やよい『あ、プロデューサーですか?』

P「やよい……」

やよい『あのっ!今度の日曜、響さん家にお呼ばれしてるってホントですか!?』

P「……あ、あぁ」

やよい『うー、ホントだったんですね……ごめんなさいー、プロデューサー』

P「えっ?」

やよい『プロデューサーと響さんの予定を、私邪魔しちゃったみたいで……』

P「い、いや!そんな事ないぞ!元々は俺が言い出した事だし」

P「また今度、連れてってやるから……こ、今回は、本当にすまん」

やよい『あ、全然大丈夫ですよー、気にしてませんから』

『……姉ちゃん、遊園地……』

やよい『黙ってて!……そ、それじゃ、また』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「くっ……!」

>伊織『……あたしが今どういう気持ちなのか、あんたに分かる?』


P「……『あたしも連れていきなさいよ!』?」

伊織「正解!」

prrrr prrrr

ピッ

響『はいさーい、プロデューサー』

P「……響か」

響『え、えっと……自分、ちょっと聞いちゃったんだけど』

響『貴音がなー、今度の日曜にあの方と一日、らぁめん巡りをするのですって』

響『自分、約束の日を間違って覚えちゃったかもしれなくてさー』

響『それで確認しておきたいんだけど、プロデューサーが家に来るのは、いつ……』

P「すまん」



響『えっ?』

P「……すまん」

響んちでカップ麺の食べ比べでいいじゃない!

響『……あ、あのさ、プロデューサー?自分が、約束した日を間違えて』

P「……違うんだ、響」

響『………』

響『……そっか……』

P「………」

響『……わ、分かってたさー、そんな事……だって自分、完璧だからなー!』

響『ベ、別に、プロデューサーが……い、家に来なくたって、平気さー』

P「………」

響『だから、その……貴音となっ?……グスッ……ゆ゙っ゙ぐり゙、ラ゙ー゙メ゙ン゙……』

響『っ……ぅ……!』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「」

prrrr prrrr

ピッ

貴音『あなた様には失望致しました』

P「えっ!?」

貴音『それでは』

P「ち、ちょっと待っ……!」

貴音『これ以上、何か言葉が必要なのでしょうか?』

P「うっ……」

貴音『双海亜美との約束があるにも関わらず、わたくしをらぁめんで弄ぶなどと……』

貴音『このような辱めをあなた様から受けるとは、思いもよりませんでした』

P「いや、あの……」

貴音『いいえ、何も仰らずとも結構です』

貴音『あなた様の口から申し開きを聞きに、電話をかけた訳ではありませんので』

貴音『……ただ、失望した。それだけを、伝えに』

P「た、貴音……!」

貴音『……では』


ブツッ

ツー ツー ツー

prrrr prrrr

ピッ

P「もしもし」

亜美『……ちょっと兄ちゃん、どういう事?』

P「い、いやぁ……」

亜美『真美から聞いたんだけどさ、今度の日曜に花やしきで一日デートするらしいじゃん』

亜美『亜美とヤキニクマンの映画、見に行くんじゃなかったの?』

P「あー……」

もう事務所かPのアパートで鍋でもすればいいじゃない!
ハンディカラオケ持ち込んでさ!

亜美『あー、じゃないよ、もー……こーゆー事したらどうなるかって、分かんなかった?』

P「す、すまん真美」

亜美『亜美だよっ!』

P「あぁっ!わ、悪い……」

亜美『……今回は真美に譲ってあげるけどさ。次やらかしたら、兄ちゃんでもショーチしないかんね』

P「ほ、本当に悪かった……許してくr」

亜美『ふーんだ!』


ブツッ

ツー ツー ツー

prrrr prrrr

ピッ

P「……はい、もしもし」

真美『……あ、兄ちゃん?』

P「……ま、真美か?」

真美『うん……あのね、日曜の事なんだけど』

真美『また、今度にしてもいいよね?』

P「あ、あぁ……」

真美『……律っちゃんがね、日曜日に兄ちゃんと二人でゲーセン巡りするんだって、言ってたよ!』

真美『んっふっふ~、兄ちゃんも隅に置けませんなぁ、このこの~』

P「真美?……あ、あのな」

真美『律っちゃん、すっごく嬉しそうだったよ……うん』

真美『……あっ、大丈夫だよ!律っちゃんには真美との約束、ヒミツだから』

真美『だ、だから……真美の分まで、楽しんできてね!兄ちゃん!』

P「………」

真美『……兄ちゃん……』

P「ど、どうした?」

真美『……律っちゃんには、さっ……グスッ……』

真美『こーゆー思いは……させないで、あげてね!……絶対、だかんね!』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「」

prrrr prrrr

P「………」

prrrr prrrr



ピッ

律子『死ね!』

P「死ね!?」

律子『……ホンット信じらんない!プロデューサーのバカ!アホ!……ヒック』

P「ま、待て!落ち着け律k」

律子『私は120%冷静れす!むしろあなたの方がろうかしてるんれすっ!!』

P「お、お前、呂律が回って……酒飲んでるな!?」

律子『プロデューサーでありながらー、平然とダブルブッキングするなんてー……ヒック』

律子『仕事じゃなければーいいだろー、とでも思ってましたぁ!?』

P「……わ、悪かった!本当にすまなかった、律子!!」

律子『今私がぁっ!どんな気持ちでっ……!』

律子『どんなっ……気持ちでっ……!』

P「………」

律子『グスッ……あずささんと温泉でも何処へでも行っちまえ、バカヤローッ!!』


ブツッ

ツー ツー ツー


P「………」

P「………」





P「で、電話が来なくなった……」

P「……それはそれで、静かすぎる」



ピンポーン

P「!?」

ガチャッ

あずさ「こんばんわ~」

P「あ、あずささん!?」

あずさ「プロデューサーさんの家って、ここだったんですね~」

P「あ、はい……そうですけど。よくここが分かりましたね」

あずさ「えっと~……来ちゃいました♪」

P「来ちゃいましたって……」





あずさ「……美希ちゃん達の事で、お話があります」

P「」

あずさ「プロデューサーさんは今、事務所がどうなってるか、分かりますか?」

P「……ハイ」

あずさ「美希ちゃん、春香ちゃん、伊織ちゃん、雪歩ちゃん、響ちゃん、真美ちゃん……」

あずさ「みぃんな、泣いてましたよ?」

P「……ハイ」

あずさ「……どうしてこうなったか、分かりますよね」

P「……ハイ」

あずさ「プロデューサーさんには、責任を取っていただかないといけません」

P「……責任、ですか」



あずさ「はい♪」シャキン

P「えっ」

あずさ「このままじゃ、とてもじゃないけれど、みんなアイドル活動なんてできません……」

あずさ「ですから、元凶は消さないといけないんですよ~」

P「あ、あの、あずささん?……と、とりあえず、その包丁は降ろしましょう?」

あずさ「……女の子一人笑顔に出来ない人が、運命の人である訳ないですし……」

あずさ「あっ、逃げないでくださいね」

P「ひっ……!」ガタガタ



あずさ「そうそう……楽には、終わらせませんからね♪」





ウワアアアアアアアア





高木「―――みたいな、ドッキリをだね」





P「できるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」バンッ

P「もはやドッキリでも何でもないじゃないですかこれ!最後ホラーじゃないですかこれ!!」

P「一体誰が得するんですか、誰がっ!!」

高木「サイコホラーで最後ホラー……ウマいこと言うね、君ィ」

P「全然ウマくありませんっ!」バンッ

高木「安心したまえ。驚異の13連鎖だよ、13連鎖」

P「一体何を安心しろと?俺の心臓はぷよぷよじゃないんですよ!?」

高木「……だが、ハーレムよりはこちらの方が、現実には実現できる可能性は高い。そう思わんかね?」

高木「バカな男のバカな死が、三面記事を飾り立て、世間の物笑いの種になれるんだぞ!確実に」

P「社長は俺に死ねと?……つーかなりたくありませんから!」

P「大体こんなアホなブッキングしませんよ、俺は」

高木「ム……まぁ確かに、こんな間違いを犯すようでは、プロデューサーは務まらんな」

P「ったく……」



小鳥「ふっふふ~ん、今度のっ、日曜~っと♪」キュッキュッ

P「……何してるんですか?」

小鳥「カレンダーに印を付けてるんですよ~、プロデューサーさんとデートする日に♪」

P「知りません」



小鳥「そんなっ!?……あの日交わした約束は、ウソだったんですか!?」ウルウル

P「知りません」





おわり

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