春香「あははは!ね、雪歩と真もそう思うよね!」 (108)

雪歩「う、うん」

真「確かに春香のいう通りだね……」

春香「でしょー?あっ千早ちゃんはどう思う?」

千早「ええ、私もそれがいいと思うわ」

美希「えーっ、千早さん本気で言ってるの?春香の案は正直ダメダメなの!美希的にはもっとキラキラーってしたのが良いと思うの!」

千早「ふふっ、美希ったら」

春香「………」

春香「……美希、前々から言おうと思ってたんだけど私の方が年上だよね?」

春香「なんで私のこと「さん」付けしないの?」

春香「年下なのに目上を呼び捨てってどういうことなの?」

美希「えっ……美希的には誰にでも区別なくって言うか……」

春香「千早ちゃんのことは「千早さん」って呼んでるのに?私と千早ちゃんは同い年だよ?」

春香「だったら私のことも「春香さん」って呼ばないとおかしくない?」

春香「あっ、それとも美希の中ではランク付けみたいなことでもしてるのかな」

春香「美希、私たち仲間なんだからさ。そんなことするべきじゃないと思うな」

美希「ミキ、そんな風に考えてないよ」

美希「千早さんは今でも歌がすっごい上手いのにそれでも満足しないで努力をし続けてる姿がかっこいいから尊敬してて…」

美希「だから自然に「千早さん」って呼び方になってたの」

春香「へぇー、じゃあ私のことは尊敬してないんだ」

春香「年上で美希の先輩でもあるのに」

美希「そんなことないの」

美希「春香のことも尊敬してるの」

春香「『春香?』」

美希「……春香……さんのことも尊敬してるの」

春香「ふぅん、どんなところ?」

美希「……自分よりも他人のことを考えて動いてたトコロ…とか」

春香「あちゃー、美希良く見てるなー!気付かれてたかー!いやーそういうとこはみんなにバレないようにしてたのになー!気付かれてたかー!」

春香「うんうん、まあでも美希も芸能人なんだからさ」

春香「そういう言葉使いとか敬語とかはしっかりと身に付けといた方がいいよ」

春香「今までは私だから良かったものの、他の事務所の先輩アイドルとか大御所の方とかにも同じようにしちゃってたらこの業界に居場所なくなっちゃってたよ」

春香「律子さんも美希が中々自然に「さん」付けで呼ばないからいつかやらかすんじゃないかってハラハラしてたよ?」

春香「だからこういう芸能界の決まりっていうかさ、暗黙の了解みたいなのはしっかりしといた方がいいよ。美希の為にも、ね」

春香「あ、なんか私だけ長々と喋っちゃったね」アハハ

春香「真とか雪歩は美希に何か言いたいことないの?」

真「………ボクは別に」

雪歩「……」

雪歩「……私も別にないよ」

春香「えー、ほら真は「真くん」だからともかくさ」

春香「雪歩は私みたいに呼び捨てにされてたんだから何かあるんじゃないのー?」

春香「この際言っちゃいなよ!」ネ?

雪歩「………それじゃあ、はる「雪歩」」

真「雪歩それ以上は」フルフル

雪歩「……うん、ごめんね真ちゃん」

春香「えー、何々?言いかけたんだから言っちゃいなよー」

春香「雪歩は美希に思うところ絶対あったでしょー?」

春香「ほらほら」

雪歩「う、ううん、本当に何でもないの」

春香「えー、本当かなぁ」

ガチャ

伊織「たっだいまー!伊織ちゃんが帰ってきたわよ!」

春香「あっ伊織!おかえり!」

伊織「あら春香、今日も元気そうね」

伊織「というより春香が元気ない時の方が珍しいわよね」ニヒヒッ

春香「えー、そんなことないよう。私にだって元気なかったり沈んだりする時もあるんだから!」

「………」

「………」

伊織「あら、逆にみんなはそんなに元気ないわね。大丈夫なの?」

「うん…」

「全然問題ないよ…」

「元気100倍なの……」

伊織「そう?ならいいんだけど……」

伊織「あ、そうそう春香丁度良かったわ」

伊織「この前あんたが頼んできた水瀬のプライベートビーチ、今週末なら使えるわよ」

春香「えー、本当!?伊織ありがとう!」

春香「一回だーれも居ない海を堪能してみたかったんだよね」

伊織「ニヒヒッ、まあ春香のその気持ちもわかるわね。むしろ人がいる海っていう方が不自然よ」

伊織「解放感があって海も透明でずーっと底まで見渡せて」

伊織「春香もきっと気に入ると思うわ」

春香「うんうん、伊織ありがとう!大好き!」ギュッ

伊織「な、何よ!別に減るもんじゃないし全然構わないわよ」テレテレ

伊織「もうっ髪が乱れちゃったじゃない」

春香「えへへごめんごめん」

伊織「まあ良いけど………というか今日は事務所に今度の番組でやるアンケート出しに来ただけなのよね」

伊織「これ出したし次の仕事も迫ってるしそろそろ行くわ」パサッ

春香「いやあ伊織は本当に忙しいね」

伊織「なーに言ってんのよ、この事務所じゃ間違いなく春香が一番忙しいじゃない」

伊織「CMに女優業はもちろん、一番得意なバラエティなんて毎日のように引っ張りだこ」

伊織「春香のバーターじゃなきゃ無かったはずの仕事だってこの事務所には沢山あるし」

伊織「ニヒヒッ、プライベートビーチはそのお礼ってところね。お互い様だし感謝しなくても別に構わないわよ。」

伊織「っとそろそろ本当にまずいわね。それじゃあね春香。みんなもまた」バイバイ

バタン

春香「いやー、やっぱり伊織はいい子だよねー。765プロいい子アイドル部門1位はやよいか伊織か迷っちゃうね」

雪歩「…うん」

真「…はは、確かに迷っちゃうね」

千早「そこは高槻さんだと思うけど」

美希「………」

美希「…ねえ春香……さん、デコちゃんも私と同い年なんだけど」

春香「え?うん、それがどうしたの?」

美希「……!…ううん、なんでもないの」

春香「ふーん、、変な美希」

春香「あーでもプライベートビーチかぁ。すっごい楽しみ!静かで綺麗なんだろうなぁ…」

真「そうだね、プライベートビーチなんてボク行ったことないから想像つかないや」

千早「確かにそうね」

春香「あっそうだ、ならみんなも良かったら来る?」

「………」

千早「ごめんなさい春香、週末は歌の収録があって」

春香「えー、千早ちゃん来れないのー?残念…」

雪歩「ご、ごめんなさい私も特番の撮影があって…」

春香「あー、週末のって言うと…あれかな?私がメインMCの奴の別撮りロケの?」

雪歩「う、うん」グッ

春香「あー、なら仕方ないかぁ。完璧に仕上げて欲しいしねぇ」

春香「真は?」

真「…ボクも無理。すっごい大きな仕事があって」

春香「えー、真もかー…ちなみにどんな仕事?」

真「東京でマラソン大会があってそれのタレント枠としての参加の仕事」

春香「えっあれ真に回ったんだ」

真「え…?」

春香「あの国際マラソンの奴でしょ?最初は天海春香さんに是非盛り上げて欲しい!ってことでオファーがあった仕事なんだけどねー」

春香「さすがに長時間拘束されすぎて他の仕事と並行してってのが出来なかったし、マラソンの疲労が今後の仕事に響くだろうしってことで私以外に譲って下さいって言っといたんだー」

春香「何より大会の日は私のオフ予定日だったしね。わざわざオフ潰してまで受ける仕事でもないかなって」

春香「でも真ならこの仕事ピッタリだね!良かった~回した甲斐があったよー」

真「……はは、ありがとう」ギリッ

美希「ミキは「あー、誰も来れないならプロデューサーさん誘っちゃおっかな」

美希「……」

春香「でもさすがにプライベートビーチに2人っきりなんて大胆過ぎるかな?」

春香「あ、そうだった美希。美希は週末空いてるの?」

美希「いえ……空いてな…ません、なの」

美希「雑誌の撮影があって…」

春香「あー、あの美希自身にオファーが来た雑誌社の?」

美希「そ、そうなの!」

美希「ミキが今より全然売れて無かった頃にミキに是非やってもらいたいって名指しで来た雑誌社さんで」

美希「それからずっと付き合いのある大切な雑誌社さんの仕事なの!」

春香「あー、あそこね。あと半年で潰れるって」

なんでこのハルカスと伊織とは仲良くやれてるのはなんでなんだぜ?

美希「え…?」

春香「あそこさ元々大きな会社じゃなかったじゃない?」

春香「この雑誌不況で更にまずい状況になってたみたいでさ」

春香「それでも再起をかけて新雑誌を刊行したらしいんだけど」

春香「ほら、美希とか使ってたみたいにさ、新人アイドルを新起用してまだ雑誌を買い始めてないようなフレッシュな層を囲い込もうってことだったみたい」

春香「でもやっぱり知名度がないと売り上げが伸びなかったみたいでね。今年いっぱいで廃刊&それに伴う借金で潰れちゃうんだって」

春香「ま、正確には本社を売り払って規模をぐっと縮小してやり続けるみたいだけど」

春香「でも借金はあるしもう新しい雑誌作る資本もないだろうしね」

春香「けど美希が気にすることないよ?美希は美希なりに精一杯やったんだし。いくら雑誌社さん側が美希にすごい期待してたとは言え、ね?」

美希「そ、そんな……」ガクガク

春香「あははは!ね、雪歩と真もそう思うよね!」[0]
春香「あははは!ね、雪歩と真もそう思うよね!」 - SSまとめ速報
(http://hamachi-buri.sakura.ne.jp/test/read.cgi/aidea/1387627160/)

春香「ま、でもまだ半年あるし美希も今回のその撮影頑張りなよ!その号がすっごく売れたらまだまだ潰れないかもしれないしさ」

美希「う、うん…………ミキ、全力で頑張るの。これ以上ないってくらい本気で取り組むの…!」

春香「あーでも、美希の魅力は自然体なところなんだからさ」

春香「あんまり力入れすぎちゃうと返って上手くいかないかも。うーんこういうのって難しいね!」

美希「え……うん、ミキ…ミキどうしよう」グスッ

春香「ほーら何泣いてるの!美希がどうにかなっちゃうわけじゃないんだしかーるく行こうかーるく!ね?

春香「ほら、顔拭いてあげるから」フキフキ

美希「あ、ありがとうなの春香……さん」

春香「うーうん、こんなの別に全然いいんだよ?」ニコッ




>>54
水瀬家

>>64
これ何?
夜食食ってくる

ガチャ

P「おーい春香いるか?そろそろ次の仕事だから送りたいんだが」

春香「はーい、居ますよー!キャッ!」ツルッ

P「お、おい大丈夫か」ダキッ

春香「えへへ、すみません。転んじゃいました」ギュッ

P「全く、気を付けてくれよ?大事な体なんだから」

春香「わかってますよーだ」エヘヘ

P「……ん、おい美希、大丈夫か?なんか目が赤いぞ?」

美希「ハ、ハニー…!」

春香「(ハ・ニ・イ?)」パクパク

美希「…!う、ううん、何でもないの大丈夫なの」

P「……そうか、ならいいんだが。そろそろ行くぞ春香」

春香「はーい」

P「それじゃ行ってくる。みんなもアイドルは体が資本なんだから気を付けてな」

春香「行って来まーす!」フリフリ

バタン

雪歩「………美希ちゃん大丈夫だった?」

美希「…うん、うん」ズビー

美希「雪歩、ありがと……あっ雪歩、さんありがとう」

雪歩「ううん、いいよ私はいつも通り雪歩で」ニコッ

美希「…!ゆきほー!」ダキッ

雪歩「きゃっ、もう美希ちゃんったら」フフッ

真「……でも春香には困ったもんだね」

真「…あんまり言いたくないけど最近ちょっと」

真「それに美希の春香呼びが年で駄目って言うなら春香のボクと雪歩への呼び方だって…」

雪歩「…私は全然気にしてないから大丈夫だよ真ちゃん」

真「でもさあ…」

千早「…あまり人のことを悪く言うものじゃないわ。私あっちで音楽聞いてるわね」カタッ

真「う、うん確かにそうだね…ごめん千早」

雪歩「…それに、私達の仕事の半分以上は春香ちゃんのおかげって言うのも事実だし」

雪歩「だから今は春香ちゃんに頼らなくても大丈夫なくらい努力して」

雪歩「私達1人1人が人気になっていくことが必要なんだと思う」

雪歩「……な、なんて」

真「うん、うん!……雪歩の言う通りだね!」

真「僕が間違ってた、…なんからしくなく妬みみたいのを感じてたみたい」

真「くぅー、頑張ろうっ」

美希「うん!ミキもまずはあの雑誌社さんの仕事頑張って、次の仕事も頑張って起きて…ひとつずつ丁寧に大切に頑張るの!」

雪歩「うん!」

雪歩「あ、そうだ!あれやろうよ」

雪歩「765プロー!」

美希真「「ファイトー!!」」オー!

~3ヶ月後~

真「それにしても美希凄いよね。例の雑誌社立て直したんだもん。正直もう無理だと思ってたよ」

真「あっ、ほらまたそのニュースやってる」

美希「えへんなの!」

美希「でも美希だけの力じゃないよ、スタッフさんとかカメラマンさんとか雑誌社の人とかみーんなで頑張ったの!」

美希「残り少ないかもだけど良いものにしよう良いものを作ることだけを考えようって!」

美希「そしたらちゃーんとわかるお客さんが見ててくれたの!みーんなのおかげなの!」

雪歩「廃刊寸前倒産寸前の雑誌社を救った救世の天使って、美希ちゃん今やどこのテレビ局でも引っ張りだこだもんね」

千早「マスコミ関係者もいつ明日が我が身になるかわからないからって美希達の方法を積極的に取り上げてくれたのが大きいわね」

千早「本当凄いわ、美希」

美希「えへへ~、エヘンエヘンなの!」

美希「でもミキだけじゃなく雪歩も真くんも千早さんも765プロのみんなもすごいの!」

真「うんうん。雪歩なんか春香がMCだった特番での新鮮なリアクションでお茶の間のハートを鷲掴み!」グッ

雪歩「わ、鷲掴みって…」

真「それで世間に一気に注目されちゃって、そしたらおっとり場を回せることとか演技の上手さとかも知れ渡ってさ」

真「雪歩の冠番組もいくつか出来たじゃない。アイドルで冠番組持つって快挙だよ快挙!しかも複数!またどれも視聴率いいんだってね~このこの~」

雪歩「そ、そんなの一緒に手伝ってくれてるみんなのおかげだよ。私1人じゃ絶対無理だったよ」フリフリ

雪歩「それに真ちゃんだってあの時のマラソン大会で女子部門でプロを除いて1位、プロを入れても3位のすっごい結果で」

雪歩「みんなあのかっこい……可愛い子は誰だって、あの日から5日間Yahooニュースは真ちゃんの記事で持ちきりだったじゃない」

雪歩「専門家の人達も可愛いだけじゃなく、結果もありえないすご過ぎるって絶賛してたよ?」

美希「うんうん、ミキもあの日の真くんの走りはカンドーしてキュンキュンしたの」ウンウン

美希「テレビの前のみんなもミキと同じ気持ちだったみたいだしね」エヘヘ

真「そうかな…」テレ

美希「そうなの!その証拠に最近のアスリート系番組では必ずと言っていいほど美少女アスリートとして真くん出てるし」

美希「スタイルもいいからモデル系の仕事もバンバン入ってきてるの!」

美希「でも真くんの女の子からの人気が高まってるのはちょっとだけ不満なの。ミキが一番に目を付けてたのに」プー

真「でもあの結果はあの日のみんなのおかげだよ」

真「正直走ってる最中にもう無理、諦めようかなって何度も考えちゃったんだけどさ。それでも」

真「それでも、皆でしたあの約束思い出して。全力で頑張れ!大チャンスだ!こなくそーって」テヘヘ

真「あの日がなく臨んでたら絶対に無理だった」

真「だからみんなありがと」テレッ

真「でもそこらへんからだよね、765のみんな1人1人を見てくれる仕事がぐっと増えてさ」

雪歩「確かにそうだね。みんな前も一生懸命だったけど、あの日を境にもっと頑張るようになったから」

千早「ええ、きっと見ててくれる人は見ててくれたのね」

美希「うんうん、みんな最近キラキラしてるの。ステージの上でもないのにこれってすごいことだと思うの!」

美希「………1人を除いてだけど」

……あれから、春香ちゃんはあの態度を少しずつ増長させていってしまい、テレビ局のスタッフさんやアシスタントさんにもそのような態度を取るようになってしまいました。

流石芸能界の仕事と言った感じで、あっという間にそれが業界の方達に知れ渡り、春香ちゃんのほとんどのレギュラーはその期限りだったり打ち切られたり、特番や個人でのCMにもお呼びがかからなくなってしまいました。

一時期は間違いなく日本で一番と言って良いほどのトップアイドルで
天海春香の765プロと言っても過言ではないという状況でしたが
今は、少なくなったそのほぼ全ての仕事も
私達のバーターでなんとか、という形になっています。

この業界で不祥事、と言うより嫌悪されて干されたら、その「周りの人間」も含めて二度と日の目は見れなくなる、というのが普通です。

もちろん私達も例外ではなく多少の結果程度ではほぼ絶望的といった状態になってしまいました。

でも真ちゃんや美希ちゃん、それに765プロの他のアイドルのみんながそんな状況でも、
諦めずに一生懸命目に見える結果を、「多少」でも「少し」でも結果を、周りに届くように精一杯頑張って、出し続けてくれました。

その結果と評判のおかげであの頃の全盛期よりも遥かに上の、765プロの隆盛と言ったものを築けていると思います。

……私も二度とこういうことがないように
地に足つけて、気を引き締めて毎日の仕事に取り組んでいます。

…おかげで、まだまだ765プロの隆盛記録は更新出来そうです。

真「ほら見てよ雪歩。この服この前の撮影で貰っちゃったんだー、可愛いでしょ!」

雪歩「うん、真ちゃんその服すっごい可愛いね。でも真ちゃんはもう少しかっこいい服の方が…」

真「もー、雪歩はすぐそういうー」プクー

雪歩「ごめんね真ちゃん」クスクス

真「……別にいーよ」クスクス

ガチャ

真「…あっ、おはよう!今日は一緒の仕事だね!」

雪歩「おはよう!今日もみんなで頑張ろう!」ニコッ


「はい今日もよろしくお願いします。雪歩さん真さん」





おわり

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