岡部「ふっ……まさかこの俺が病に掛かるとはな」

フェイリス「！！」

紅莉栖「」

ダル「や、やっぱそれって……」

岡部「だが、何の病気なのか……全く思いつかんな」

ダル「えっ？」

岡部「特定の人物を見てると動悸が高鳴り、体が火照る……風邪ではないと思うが」

フェイリス「えっ……」

ダル「オカリン、それマジで言ってんの？」

岡部「なに？　ではダル。貴様のはこの俺の病が分かるというのか？」

ダル「いや、どう考えてもこ……」
紅莉栖「た、大変だわ！岡部！！」

岡部「助手？　どうしたのだ。急に大声を上げよって」

紅莉栖「わ、私、その病について知ってるわ！」

岡部「なに！？　本当か！！」

紅莉栖「ええ……いま流行の新型の風邪よ」

岡部「なっ……」

ダル「ちょ……」

フェイリス「せっかく凶真と結ばれるチャンスだったのに……」

紅莉栖「岡部、あんたフェイリスさんを見て症状が出るって言ったわね？」

岡部「あ、ああ……フェイリスを見ていると胸が締め付けられるというか、こう……キュンとくる」

フェイリス「ふにゃ……」

紅莉栖「危険だわ……」

岡部「なに！？」

紅莉栖「これ以上、症状が出ないように、しばらくはフェイリスさんと会う事を控えたほうがいいわ」

フェイリス「そ、そんニャ……」

ダル「これはひどい」

岡部「症状が出る相手とは距離をとったほうがいいのか？」

紅莉栖「ええ、当分はね……」

岡部「なるほど……」ｻｯ

紅莉栖「……えっ？」

岡部「えっ？」

紅莉栖「あ、あんた何してるの？」

岡部「距離を取れと言ったのはお前だろ」

紅莉栖「だ、だからそれはフェイリスさんとの距離であって私とじゃ……」

岡部「いや、お前ともフェイリスを見てる時と同じ症状が出るんだ」

紅莉栖「えっ」

ダル「なん……だと……？」

フェイリス「ニャニャ！？」

紅莉栖「えっ、そ、それってつまり……その……」

岡部「ああ。当分はお前と距離を取る必要があるな」

紅莉栖「ちょ！？」

岡部「しかし紅莉栖とフェイリスに会ってはならんと聞くと余計、胸が苦しくなるな……本当にこれで症状が回復するのか？」

紅莉栖「ち、違うの！　その症状とか、全部うｓ」

ｶﾞﾁｬ

まゆり「トゥットゥルー☆あれれ？今日はフェリスちゃんも来てるんだね」

フェイリス「お、お邪魔してるニャ」

岡部「……」ｻｯ

まゆり「……？　オカリン？」

ダル「ま、まさか……」

まゆり「んー？」ｿｿ

岡部「……」ｻｻ

まゆり「う～ん」ｿｿｿ

岡部「……」ｻｻｻ

まゆり「ねえねえ、オカリン」

岡部「ど、どうした？　まゆり」

まゆり「なんでまゆしぃが近づくとオカリンは逃げちゃうの……？」ｼｮﾝﾎﾞﾘ

岡部「そ、そんな顔をするでない！　少し事情があるのだ」

まゆり「どんな事情なの？」

岡部「俺は今、謎の病にかかってしまていてな。厄介な事にフェイリスや紅莉栖……そしてお前を見てると発作が出るのだ」

フェイリス「！？」

紅莉栖「な……に……？」

ブラウン「おう岡部」ｿｿ

岡部「……」ｻｻ

ブラウン「あぁん？」ｿｿｿ

岡部「……」ｻｻｻ

まゆり「え……お、オカリン病気なの？」

岡部「新型の風邪らしいが……心配するな、風邪程度で俺はくたばらん」

まゆり「でも、今日はおうちに帰って休んだほうがいいよ」

岡部「まあ、確かに……ここでは発作が出てしまうからな」

まゆり「発作って……辛い？」

岡部「辛い、と言えば辛いがな。今も、お前の顔を見て、お前と話してるだけで、俺の胸は高鳴り体が火照っていく」

まゆり「……」

まゆり「ふぇ？　そ、それって……はぅ」

ダル「まゆ氏でも気づいたのに、オカリンェ……」

岡部「まゆり？　どうかしたか？」

まゆり「ふぇ！？　ううん！な、なんでもないよ」

岡部「む、ならいいが……」

まゆり「オカリンにやっと意識してもらった……えへへ」

紅莉栖・フェイリス「「……」」

岡部「まゆりの言うとおり、実家に戻ったほうがいいか。下のブラウン管工房にはバイト戦士もいるし……」

紅莉栖「こ、これは……」

フェイリス「まさか、スズニャンにも……」

岡部「バイト戦士に見つからないうちに今日は帰るか」

鈴羽「ええ～なにそれ、あたしに見つかると困ることでもあるの？」

岡部「なっ！？　お前。いつの間に！？」

鈴羽「扉開けっ放しだったからつい……」

岡部「ついって……」

鈴羽「それでそれで？」

岡部「……なんだ？」

鈴羽「あたしに見つかると何が困るの？」

岡部「お前を見てると胸が締め付けられて、言葉を聞くだけで体が熱くなるんだ」

鈴羽「へえ～」

鈴羽「……」

鈴羽「えっ！？」

ダル「うわぁ……」

紅莉栖「やっぱり……」

フェイリス「凶真は浮気しずぎニャ」

まゆり「オカリンはみんな大好きってこと？」

鈴羽「な、何言ってんのさ！？」

岡部「お前が理由を聞いてきたんだろうが……」

鈴羽「そりゃ、そうだけど……」

岡部「そういう事だ。俺はもう帰る。またな、バイト戦士よ」

鈴羽「待って！」

岡部「まだ何か用か？」

鈴羽「あ、あたしも……」

岡部「……？」

鈴羽「あたしも！君と同じ気持ちだよ！」

ダル「オカリイイイイイイイイイイイイイイン！！！」

紅莉栖「ぬ、抜け駆けなんて反則よ！」

フェイリス「クーニャンがヘンなこと言ってなければ凶真はフェイリスのものだったのに……」

まゆり「スズさん……」

岡部「俺と……同じ？」

鈴羽「う、うん……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

岡部「……」

岡部「なんて事だ……お前も俺と同じ病気だったのか」

鈴羽「えっ」

鈴羽「びょ、病気……？」

岡部「ああ……」

鈴羽（確かに恋の病っていうし……）

鈴羽「うん、あたしは君と同じ」

岡部「そう、か……なら、しばらく距離を取る必要があるな」

鈴羽「ええ！？なんで！？」

ダル「なんだかしらんがよし！」

紅莉栖「なんとか、セーフみたいね」

フェイリス「スズニャン多分なにがんだか分からないと思うニャ」

まゆり「スズさんもオカリンが好きなんだねえ」

あきぽ

岡部「これ以上、悪化してはお互い不味いからな」

鈴羽（こ、恋煩いって悪化したら大変なの？）

鈴羽「でも……」

岡部「当分会えないのは俺も心苦しい……だが、俺は、お前が心配なんだ鈴羽」

鈴羽「！？　き、君がそこまで言うなら……わかったよ」

岡部「そうか……ではな、バイト戦士、そしてラボメンたちよ！　病に打ち勝った時、俺は再びここに舞い戻るであろう！　フゥーハハハ！」

ﾊﾞﾀﾝ

鈴羽「岡部倫太郎があたしと……えへへ、２６歳差はまだセーフだよね」

紅莉栖「……え？」

フェイリス「スズニャン？」

まゆり「ど、どういうこと？」

鈴羽「あ、いや！　な、なんでもないよ！　たはは……」

ダル「オカリンェ……」

外

岡部「さて……」

岡部「…………」

岡部「どうしてこうなった……」

岡部「新型の風邪？　馬鹿め、そんな嘘でこの俺を欺けると思ったのか、あのセレセブは……」

岡部「恋煩い、か……」

岡部「こういうのは普通、特定の一人に対して起きる現象だと思っていたが……」

岡部「まさかラボメンガールズ全員に対してとはな」

岡部「フェイリス相手に一度、この想いが本物かどうか確かめるために切り出したはいいが、まさかあそこで助手の妨害が入るとは……」

岡部「まあ、そのお陰で俺が紅莉栖、留未穂、鈴羽、まゆりに対してどんな感情を抱いてるか自覚ができたがな」

岡部「……」

岡部（いやいやいやいや……待て、４人とも好きは不味いだろ！）

岡部「一度、今日のことを整理して、それかｒ」

萌郁「岡部……くん……」

岡部「のわ！？　し、指圧師！？」

岡部「な、なんで……」

萌郁「……」ｶﾁｶﾁ

岡部「ちゃんと口で話せ」

萌郁「たまたま、岡部くん……見かけたから……後、付けた」

岡部「す、ストーカーか！　ったく、後を付けるなんて回りくどい事をせず普通に話しかければよかったものを」

萌郁「……っ」

岡部「なんだ？」

萌郁「恥ずかしかった、から……岡部くんに、自分から……話し、かけるの」

岡部「そ、そうか……」

岡部（い、いかん……前までどうとも思ってなかった萌郁のリアクションですらときめいてしまう）

萌郁「岡部、くん……」

岡部「な、なんだ？」

岡部（まずいな……一度意識してしまうと、緊張していまう）

萌郁「今日は……ラボ、行かない、の？」

岡部「ああ、少し体調が悪くてな。これから実家に帰る予定だ。まだまゆりたちはラボにいる筈だから、ラボに行きたいなら俺に気にせず」

ﾋﾟﾀ

岡部「なっ……」

萌郁「んっ……少しだけ、熱い」

岡部「お、お、お前！　な、な、何を！？」

萌郁「……？」

岡部「く、首を傾げるでない

萌郁「岡部、くん……」

岡部「な、なんだ？」

岡部（まずいな……一度意識してしまうと、緊張していまう）

萌郁「今日は……ラボ、行かない、の？」

岡部「ああ、少し体調が悪くてな。これから実家に帰る予定だ。まだまゆりたちはラボにいる筈だから、ラボに行きたいなら俺に気にせず」

ﾋﾟﾀ

岡部「なっ……」

萌郁「んっ……少しだけ、熱い」

岡部「お、お、お前！　な、な、何を！？」

萌郁「……？」

岡部「く、首を傾げるでない！」

萌郁「熱を、測ろうと……」

岡部「だ、だからってこんな往来で額をくっ付けるなど！！」

萌郁「……」ｼｭﾝ

岡部（し、しまった……言いすぎたか？）

岡部「その……気持ちは嬉しい。あいがとう、萌郁」

萌郁「！？」

岡部「ただ、その……恥ずかしいから、そういうのはやる前に一言声をかけてくれ」

萌郁「……ん」

岡部（くっ……やはり萌郁に対する想いも、紅莉栖やまゆりたちに対して向ける想いと同じだ）

萌郁「一人で、……帰れる？」

岡部「ひ、人を子供扱いするでない！」

萌郁「……ごめん、なさい」

岡部「気遣いには感謝する。じゃあな、萌郁」

萌郁「……」ｺｸ

岡部（これで５人か……５人の女性、しかもラボメン相手に対してこんな感情を抱くとはな）

岡部（５人……本当に５人か？）

岡部「どうせだ。全部はっきりさせておいた方がいいか」

――柳林神社――

ルカ子「あっ、おか、凶真さん！」

岡部「ルカ子よ、久しいな。ちゃんと日々の素振りはしているか？」

ルカ子「は、はい！」

岡部「うむ」

岡部「……」ｼﾞｰ

ルカ子「あの、岡部さん？」

岡部」「な、なんだ？」

ルカ子「どうか、されましたか？」

岡部「いや……」

岡部（……いかんな６人だ。どうやらルカ子も好きだ）

岡部（ルカ子は確かにかわいい）

ルカ子「……？」

岡部（優しく、素直で、少し自分に自信がないのがたまにきずだが……とてもいい子だ）

岡部（だが、男だ）

岡部「今日は久しぶりに修行に付き合ってやろうと思ってな」

ルカ子「ほ、本当ですか！？」

岡部「やる気は充分のようだな。よし！ルカ子よ、五月雨を持て！」

ルカ子「は、はい！い、いま持ってきます！」ﾀｯﾀﾀﾀﾀ

岡部（ルカ子は確かに男だ……だが、それがどうした？）

ねむりん