まどか「からあげにレモンかけといたよほむらちゃん!」 (225)

まどか「ほむらちゃんの役に立ちたかったの…」

まどか「ごめんなさい…私バカな子で…」

さやか「マジかよまどか…ちょっと…ごめん、擁護しきれない…ほんとにごめん…」

マミ「鹿目さん、一体どうしちゃったの?こんな取り返しの付かない間違いを…!」

杏子「食い物を粗末にしやがって…!クソ!消えちまえ、顔も見たくねえ…!」

まどか「居酒屋に行くんですか!?」

マミ「ええ」

マミ「といってもなんちゃって居酒屋だけどね」

まどか「ご、ごめん………ダメだったかな」

ほむら「大丈夫よまどか、ちょっとくらい変な汁がかかったくらいで
 食べられないわけが、

モグモグ

ほむら「………うッ! エエエエエエッ  エ  」  ビチャビチャ ビチャビチャ

まどか「ほむらちゃん!」

マミ「居酒屋のメニューを食べられるレストランと言ったほうがいいかしら?」

さやか「居酒屋……、かっこいい」キラキラ

杏子「うまいもんが食えるならあたしも行くよ」

まどか「楽しみだね! ほむらちゃん!」

ほむら「そうね、まどか」

マミ「じゃあ、決まりね!」

>>11
わくわく

――居酒屋

さやか「……」ドキドキ

さやか「なんか大人っぽいですね」

さやか「照明も暖色系だし……」

杏子「なんだか、眠くなりそうだな」

マミ「雰囲気を大事にするお店なのよ」

まどか「……」キョロキョロ

ほむら「どうしたの? まどか」

まどか「え……?」

まどか「あははっ。なんか珍しくて……」////

ほむら「確かにいつも行くお店とは雰囲気が違うわね」

さやか「まどかはお子様だなー」カチャカチャ

ほむら「調味料を弄り回しながら言っても、説得力はないわよ、美樹さやか」

さやか「う、うるさいなあ!」////

さやか「だって、いろんなのが置いてあるんだもん!」

杏子「どれどれ……」

杏子「醤油、ソース、七味……」

まどか「お塩に、胡椒に……、カレー塩?」

ほむら「確かに、カレー塩なんて置いてあるのは珍しいわね」

さやか「でしょ!?」

さやか「でも、ほむら! あんたは使っちゃダメ!」

ほむら「なぜ?」

さやか「さっき私を馬鹿にしたから!」

さやか「このカレー塩は全部さやかちゃんのものだー!」ワッハッハ

ほむら「……馬鹿じゃないかしら」ファッサア

さやか「なんだとー!?」

マミ「まあまあ、二人とも……、仲良くしなきゃダメよ?」

マミ「まず、飲み物を注文ね」

杏子「あたし、りんごジュース」

まどか「オレンジジュース……、がいいかな」ニコッ

ほむら「まどかと同じものを」

さやか「コーラ! ダブルで!」

マミ「私はアイスティーにしましょう」

さやか「あ! ボタン、私が押します!」


ティロリロ…♪

店員「しゃーせいッ!」

まどか「……」ビクッ

さやか(声デカッ!)

ほむら(品がないわね……)

杏子「……」ペラッ

店員「チューモン、オカカシャッス!」

マミ「ええと……」

マミ「アイスティーとりんごジュースと――」

マミ「――以上でお願いします」

店員「アーイッ! アジャッス!」

店員「それでは――」

杏子「あんかけチャーハンと焼きそば」

店員「アーイッ! アラアッス!」

杏子「あと、枝豆とキャベツ」

店員「アラーッス!」

杏子「以上で」

店員「アーッイ!」


オキャクサマファーストドリンクハイリヤーッス!!

さやか「ちょ、ちょっと杏子!?」

杏子「あ?」

さやか「自分ばっか頼んでずるくない?」

さやか「私、まだメニューすら見てないよ」

杏子「いいんだよ、どうせシェアするんだから」

まどか「そうなの?」

杏子「こういう店は単品ものばっかだからな」

杏子「とりあえず頼んでおくんだよ」

まどか「へえ……」

まどか「杏子ちゃん詳しいね!」

杏子「そうか? 別に普通だろ?」

マミ「……」

マミ「か、鹿目さん!?」

まどか「……? なんですか? マミさん」

マミ「キャベツはおかわり自由なのよ!」

まどか「そうなんですか」

マミ「ええ! そうなの!」ニコニコ

ほむら(なにを張り合ってるのよ……)

死演

――――
――――――

店員「オマタシャース!」ガタッ

店員「ご注文の――」

店員「りんごジュースからー」

杏子「あ、あたしだ」スッ

店員「コーラっすねー」

さやか「はーい!」

店員「それと、アイスティーとオレンジジュース二つでーす」

店員「あと枝豆とキャベツ、あとお通しでーす!」

さやか(……?)

さやか(お通しってなんだろう?)

さやか(店員さんは行っちゃったし……)

さやか(サービス?)

さやか(なんか三つに知られたお椀にちょっとずつ料理が入ってるけど……)

さやか「……」チラッ

杏子「……」ムシャムシャ

杏子「お通しカットすりゃ良かったな」

さやか(カット?)

マミ「そうね。まあ、いいんじゃないかしら?」

マミ「私たち以外はみんな初めてなんだし」

マミ「経験だと思えば」

さやかのセリフ
知られた→仕切られた
だったわ

マミさーん!

まどか「マミさん」

マミ「……? なにかしら、鹿目さん?」

まどか「お通しってなんですか?」

さやか(まどかナイス!)

マミ「そうねえ……、言ってみれば席料かしらね?」

まどか「席料?」

ほむら「サービスではないのかしら?」

マミ「いいえ、お金がかかってるわ」

マミ「400円くらいかしら?」

まどか「400円!?」

ほむら「結構、するのね……」

さやか(高いなあ……)

さやか(これでアイスが4つも食べられるのかあ……)

さやか(しかも……)モグモグ

さやか(もそもそしててあんまり美味しくない……)

マミ「まあ、今日は私がご馳走するから」

マミ「みんな気にせず食べて!」ニコッ

まどか(……こんなにするとは思ってなかったなあ)

まどか「やっぱり、私、少し出します……」

マミ「いいのよ、鹿目さん! 私が誘ったんだから!」

マミ「年上の私にどーんっと乗っかっちゃいなさい!」フフ

まどか「……」

まどか「ありがとうございます、マミさん!」

マミ「いいのいいの! 遠慮しないでね?」ニコニコ

さやか「……ん?」

杏子「あ?」

さやか「枝豆が一個もない!」

杏子「食ったからな」

さやか「なんで!?」

杏子「お前らがちんたらしてんのが悪いのさ」ケケケ

さやか「シェアするんじゃなかったの!?」

杏子「テーブルの真ん中に置いてあっただろ?」

杏子「そんなに食いたいならまた頼めばいいじゃないか」

さやか「ううう……」

さやか「メニュー貸して!」

杏子「ほらよ」サッ

さやか「……」バッ

さやか(お刺身、焼き鳥、揚げ物、サラダ……)

さやか(さっき杏子が頼んでたご飯物に――)

さやか(デザートメニューか)

さやか(どれも美味しそうだなあ……)ジュルリ

地震きた!


さやか「よし! 決めた!」

ティロリロ…♪

ほむら「美樹さやか、私にもメニューを」

さやか「ああ、はい」サッ

ほむら「ありがとう……」

ほむら「……」バッ

ほむら(意外にメニューは豊富なのね……)

まどか「私にも見せてー」ヒョコ

ほむら(ま、まどか……)

まどか「美味しそうだねー」ニコニコ

ほむら「そ、そうね」

まどか「さやかちゃんはなに頼むの?」チラッ

さやか「えーっと、焼き鳥の盛り合わせとおにぎり」

ほむら「おにぎり?」

さやか「なんかやけに美味しそうでさー」

まどか「へえ……」

まどか(おにぎりかあ……)

――――
――――――

店員「注文、お伺いします!」

さやか「おにぎりと焼き鳥盛り合わせを!」

さやか「おにぎりの具は鮭で!」

まどか「ポテトをお願いします」

ほむら「唐揚げをお願いします」

さやか「マミさんはいいんですか?」チラッ

マミ「ええっと……」

マミ「牛ステーキとナンコツの唐揚げと――」

マミ「シーザーサラダと牛肉コロッケと――」

マミ「お刺身盛り合わせ――」

マミ「あとご飯大盛をお願いします」ニコッ

店員「アリアーッス!」

キャベツオカワリ アラーッス

ほむら(太るわよ……、とは言えないわね)

さやか(相変わらず、よく食べるなあ……)

さやか(その脂肪分が胸にいってるんだから大丈夫なんだろうけど)

マミ(楽しみね)ニコニコ

――――
――――――

店員「焼きそばと、チャーハンでーす」

杏子「お! きたきた!」

さやか「ちゃんとわけてよね!」

杏子「わーってるよ」

あぶねえ!

――――
――――――

店員「焼き鳥の盛り合わせと唐揚げ、ポテトでーす」

店員「あと、牛ステーキと――」

まどか「わあ! おいしそう!」

ほむら「いただきましょう」

さやか「このチャーハンうめえ!」

杏子「もう1コいこうぜ」

まどか「さやかちゃん、焼き鳥きたよー」

さやか「お! 待ってました!」

さやか「ふふふ。さやかちゃんはこの時を待っていたのですよ!」

まどか「……?」

さやか「ねえ、まどか。まどかは焼き鳥には何をつけて食べる?」

まどか「え? えーっと……」

まどか「とくになにもつけないかな?」

まどか「タレがついてるから、そのままで十分美味しいし……」

さやか「ちっちっち! まどかはお子様だなー」ドヤア

マミ「……」ハムッ!ハフハフッ!

まどか「……?」

まどか「あれ? この焼き鳥、タレがついてないよ?」

まどか「店員さん、忘れちゃったのかな?」

さやか「ふふんっ。タレはついてなくて当然なの。これは『塩』なんだよ」

まどか「塩?」

さやか「そう! 焼き鳥には塩とタレの二種類あるわけさ!」

さやか「塩を食べるのが通なんだよ!」

杏子(専門店でもないのに通も何もないと思うが……)

杏子(まあ、黙っておくか……)ムシャムシャ

まどか「へえ……、私、タレがついたのしか食べたことないよ」

さやか「そうでしょうそうでしょう」

さやか「塩は大人の味だからね!」

さやか「タレなんて邪道だよん!」

さやか「ま、そこで、この私の調味料の出番なわけですよ!」

ほむら「いつから調味料があなたのものになったのよ、美樹さやか」

さやか「うるさいなー」カチャカチャ

さやか「通はまず塩からだね!」

さやか「塩は素材の味を引き出すんだよ!」

まどか「……?」

さやか「……? どうしたの? まどか?」

まどか「塩味なのに、またお塩をつけるの?」

incoming!!!

さやか「え……?」

ほむら「そうね、塩味に塩をかけるのは正しいのかしら?」

さやか「え、えーっと……」

さやか(考えてみれば、なんかおかしいかな……)

さやか(通は塩なんて安直に考えちゃったけど……)

さやか(でも、ここで引き下がったら知ったかぶりしてたのがばれちゃうし……)

さやか「……」

杏子「……」

杏子「そんなもん、人の好みだろ」

杏子「居酒屋のメニューは酒にあうようにしょっぱくするのが普通だし」

杏子「ちょうど、さやかのコーラにもあうだろ」

さやか「……そ、そうそう! それそれ!」

さやか「私、その為にコーラ頼んだみたいなところあるし!」

さやか「炭酸最高!」

まどか「へー、さやかちゃん、大人だね」キラキラ

さやか「まあねー」

さやか(ふう、なんとか乗り切ったか……)ドキドキ

まどか「そっかー、焼き鳥は塩で食べるのが大人なんだね」

まどか「私、知らなかったよ」

まどか「ほむらちゃん知ってた?」

ほむら「ほむ?」

ほむら(え? ど、どうしましょう……。ここで私が答えられる最良の答えは……)

ほむら「……」

ほむら「もちろん、知っていたわ」

まどか「……そうなんだ」

ほむら(美樹さやかに遅れをとるわけにはいかないわ)

まどか「知らなかったの私だけだったんだね……」

ほむら(え……)

まどか「私ってダメだなあ……」

まどか「焼き鳥の食べ方もしらないなんて……」

ほむら「……」

ほむら「……」カチッ

――――――
――――

――――
――――――

まどか「ほむらちゃん知ってた?」

ほむら「全く、知らなかったわ」

ほむら「でも、私たちはまだ中学生なのだから、知らなくても当然よ」

ほむら「こういうのは社会に出てから少しずつ学べばいいのよ」

まどか「そっか……。うん、そうだね!」ニコッ

ほむら「……」

ほむら(ふう、なんとか乗り切ったわね……)

マミ「……」ガツガツッ! ムシャムシャ

さやか(しょっぱい……、かけすぎちゃったよ)ゴクゴク

さやか(飲み物頼もう……)

さやか(何にしようかな)ペラッ

さやか(カルピスにしようかな……って、ああ!?)

さやか(さっき炭酸がどうこう言っちゃたから炭酸しか頼めないじゃん!)

さやか(まさか、こんなところでさっきのツケをはらうことになるとは……ッ!)

さやか(さやかちゃん予想外ですよ……)ズーンッ

店員「注文! オカリャッス!」

さやか「ジンジャエールを……」

マミ「それとご飯おかわりお願いします」

マミ「あと、頼んだコロッケがまだきてないので、確認お願いします」

杏子「あと、あんかけチャーハン」

まどか「お刺身おいしーね、ほむらちゃん」モクモク

ほむら「ええ、入れ物も立派だわ」

まどか「うん! 船みたい!」ニコニコ

さやか「今度は、なにで食べようかなあ……っと」

さやか(カレー塩かな、いや、まだ早いかなー)

さやか(七味は辛くなるからいいや)

マミ「美樹さんもご飯どうぞ?」

さやか「え?」

マミ「やっぱりお肉にはご飯よ?」

マミ「頼んでおいたの」

さやか「ありがとう、ございます……」

さやか(大盛じゃん、これ……)

さやか(食べきれるかな……)

さやか(でも、ご飯があるならカレー塩かな?)

さやか(味も濃くなって、ご飯にあいそうだし……)

杏子「さやかはレモン使わねーのか?」

さやか「え?」

杏子「レモンだよ、さっきからそのままだからさ」

杏子「まあ、別にいいんだけどさ」

杏子「忘れてんのかと思って」

さやか(れ、レモン……?)

さやか(これって焼き鳥に使うもんなわけ!?)

さやか(レモンってアイスティーとかにもついてたりするけど……)

さやか(正直、なんの意味があるか分からないんだけど!)

さやか(いや、でも、杏子が使うって言ってるんだから)

さやか(間違いなく、使うんでしょうね……)

さやか(でも、どう使うの?)

さやか(搾ってかけるの?)

さやか(それとも、焼き鳥を食べた後に齧るの?)

さやか(それとも、お皿にレモン汁を出すわけ?)

さやか(わ、わかんない……)

さやか(ここで知ったかぶりをして……)

さやか(恥をさらすわけには……)

さやか(杏子、いまはあんたの気遣いが恨めしいよ……)チラッ

さやか(杏子……?)

さやか(そうだ!)ピコーン!

さやか「杏子! あんたも焼き鳥食べなよ!」サッ

さやか「レモンでも使ってさ!」

さやか「美味しいよ! レモン!」

杏子「メインは焼き鳥だろ……、まあいいけどさ」ヒョイ

杏子「じゃあ、いただくとするかね」

杏子「レモンは全部にかけるかい?」

さやか「へ?」

杏子「いや、レモンはこれ一個きりだからさ」

杏子「かけるなら今しかないぜ?」

さやか(レモンはかけるのか……、ま、まあ、わかってたけどね!)

腹減ってきた

さやか「じゃあ、半分半分で!」

杏子「オーケイ、まかせな」ブシャア

杏子「んじゃ、いただきます、と」

さやか「いただきまーす」パクッ

さやか「……んまい!」

さやか「レモンの酸味が口の中をさっぱりさせてくれるよ!」

さやか「初めて食べたけど、これおいしいね!」

杏子「食ったことなかったのかい? ま、それぞれ好みがあるだろうけどさ」

さやか「あ……」////

杏子「半分ずつってのは冴えたやり方かもな」

さやか(思わず、初めてだって言っちゃたよ……)

さやか(せっかく完璧に通になりきってたのに……)

ほむら「そうだったの、そんなことが」ニコニコ

まどか「うんうん! それでね――」

ンマーイ!

まどか「……? さやかちゃん?」

さやか「あ! ほら、まどかも食べてみなよ! おいしいよ!」

まどか「うん。ありがとう」

まどか「……」パクッ

まどか「あれ? この焼き鳥、すっぱい?」

さやか「レモンをかけたんだよ!」

さやか「これが通の食べ方なんだよね!」ドヤア

まどか「そうなんだー」

まどか「さやかちゃん、物知りだね!」

さやか「ま、まあそれほどでもないけどさ」////

杏子(やれやれ……)

まどか(そっかあ……)

まどか(レモンをかけるのが通なのかあ……)

まどか(『通』……、なんかかっこいいな)

まどか(私もレモン、かけてみたいなあ……)

まどか(あ!)

まどか(ほむらちゃんの唐揚げ、レモン使ってない!)

まどか(さっき、ほむらちゃん……、焼き鳥の食べ方聞いた時……)

ほむら『全く、知らなかったわ』

まどか(――って言ってたし、ほむらちゃんもレモンのこと知らないんだ!)

まどか(そんなのもったいないよ! こんなに美味しいのに!)

まどか(よおし! ほむらちゃんを驚かせてあげよう!)

まどか(ほむらちゃん、きっと喜んでくれるよ!)

ほむら「……」モグモグ

ほむら(唐揚げ、なんて美味しいのかしら)

ほむら(やっぱり、家で食べるのとは一味違うわね)

ほむら(鶏肉を楽しむには、至高の食べ物ね……)

ほむら(この間、巴マミが唐揚げにマヨネーズをかけていたのを見た時は――)

ほむら(思わず、時を止めて、頭を引っぱたいてしまったわ……)

まどか「ほむらちゃん……」ヒソッ

ほむら「……? どうしたの?」

まどか「ちょっとおトイレ行きたくなっちゃった……」////

ほむら「あら、そう。ちょうど良かったわ」

ほむら「私も、行こうと思ってたの」

ほむら「一緒に行きましょう」

まどか「うん!」

まどか「ああ! いっけなあい!(棒読み)」

ほむら「……?」

まどか「わたし、ポーチ持ってくるの忘れちゃったあ(棒読み)」

まどか「取ってくるから、ほむらちゃん、先に行ってて?(棒読み)」

ほむら「そう? 良かったら、一緒に――」

まどか「へ、平気平気! すぐだから!」タタタッ

ほむら「……?」

――テーブル

まどか「……」タタタッ

杏子「あん? やけに早かったじゃねえか」

まどか「へへへ」ニコニコ

まどか「……」スッ

さやか「……?」

マミ(コロッケ、美味しいわあ……)ウットリ…

杏子(レモン……?)

まどか「……」スウッ

杏子「おい! お前なにを!?」




ブシャアアアアアアア!!!

まどか(これでよし……、と!)ニコニコ

まどか(ほむらちゃん、きっと喜ぶよ!)

杏子「おい、あんた……ッ!」

まどか「え?」

杏子「まさかとは思うが……」

杏子「それって勝手にやったんじゃないよな?」

まどか「え……?」

さやか「なに、杏子? なに怒ってるさ」

杏子「別に怒ってやしないさ……」

杏子「ただな……、それはまずいんだよ……」

さやか「不味い? ご飯を食べるところで、そういうこと言うのは……」

杏子「そのまずいじゃねえ! よくないことって意味だ!」

まどか「よくないって……」

杏子「わかってるさ。あんたが良かれと思ってやったってことはな……」

杏子「ただそれは受け取る側の気持ち一つだ……」

杏子「あいつがレモンをあえてかけなかった可能性もあるってことだ……」

まどか「で、でも、ほむらちゃん、焼き鳥の食べ方知らなかったし……」

杏子「唐揚げは食いなれてるだろう……。一概には言えないさ……」

まどか「そ、そんな……」

杏子「非常にまずい展開だな……」

さやか「そんな大げさな……」

杏子「あんたらはわかってない……」

杏子「唐揚げのレモンの有無はいわば戦争なんだよ……」

まどか「ど、どうしよう……」

まどか「私、ただ、ほむらちゃんに喜んで欲しくて……」

さやか「よ、よくわからないけど、何か手はないわけ!?」

マミ(あら? いつのまにかご飯がなくなってるわ?)

杏子「レモンをかけたら最後、それを取り除く方法なんてありはしないさ」

マミ(メニューメニューと……)

まどか「ふ、ふき取れないかな……」

マミ(あ! 私としたことがまだピザを頼んでなかったじゃない!)

杏子「無理だろうな。レモン汁はしみこんじまってるし……」

マミ(店員さーん♪、と)ポチッ

さやか「なに、杏子? なに怒ってるさ」

どこの人だよ我那覇かよ

>>134「怒ってるのさ」だったわ


杏子「……手がないわけじゃない」

さやか「ど、どうするのさ……」

杏子「食っちまうんだよ」

まどか「え?」

杏子「この唐揚げをなかったことにする」

さやか「これ、まだ結構、量あるよ……?」

杏子「関係ねえ! もともとシェアすることは言ってたはずだ!」

杏子「食いきって、また新しく頼みなおすんだ!」

さやか「それしかなさそうだね……」

さやか「でも、わたし、結構、お腹いっぱいで……」

杏子「……しょうがねえ! 私が食う!」

まどか「杏子ちゃん!」

杏子「やるしかねえだろ!」

杏子「ほら! 貸せ!」パシッ

杏子「……さやか! 店員を呼べ!」

さやか「わ、わかった!」ポチッ

マミ(さっき私が押したんだけどね……、まあ、いいんだけど)

杏子「……」モグモグ

杏子「……」モグモグ

まどか「わ、私も手伝――」

ほむら「なにをしてるのかしら?」

杏子「お前――」

ほむら「なにをしているのかと聞いているのよ、佐倉杏子」ギラッ

杏子「ぐ……」

杏子(間に合わなかったか……!)

ほむら「それは私の唐揚げよ」

まどか「ほむらちゃん、これは――」

杏子「いいじゃねえか、シェアするもんだろ? こういうのは」

まどか(杏子ちゃん!?)

杏子「ほら、あたしの焼きそばやるからさ」

ほむら「……」

さやか「そ、そんなムキにならないでよ、もー。新しく頼めばいいじゃん」

さやか「店員さん呼んだからさ」

ほむら「でも、非常識よ。私のいない間にお皿ごともって行くなんて」

杏子「そいつは悪かったね」

まどか(ど、どうしよう……)オロオロ

ほむら「仕方ないわね……」

まどか(あ……)

杏子(乗り切ったか……)

ほむら「じゃあ、半分、こっちのお皿に移してもらえるかしら」サッ

杏子「……え?」

ほむら「そんなにあるんだから構わないでしょう?」

ほむら「元々頼んだのは私なのよ」

さやか「だから、新しく頼めば――」

ほむら「その間、私が唐揚げを食べられないじゃない」

さやか「う……」

さやか(言い返せない……)

杏子(し、しかたねえ……)

杏子(なるべく下の方のを……)ヒョイヒョイ

杏子「あと、焼きそばもやるよ」ドサッ

さやか(あ、唐揚げの上に……)

杏子(これで少しでも味が混ざってくれればいいんだが……)

杏子「ほらよ」サッ

ほむら「ありがとう」

杏子(もう、私にできることはねえ……)

さやか(後は祈るのみ……)

まどか(うう……、神様……)

店員「お待たせしましたー」

店員「以上でよろしいですか?」

店員「少々、お待ちください」ペコリ

ほむら「さて……」スッ

杏子(い、いきなりか……!)

さやか(カレー塩、勧めればよかったかな……)

まどか(うう……)

ほむら「そういえば……」クルッ

まどか「ひゃっ!」

ほむら「……? お手洗いには行かなくていいのかしら?」

まどか「え? あ、う、うん!」

ほむら「我慢は良くないわよ、行ったほうがいいわ」

まどか「う、うん……」

まどか(い、行くしかないのかな……)

まどか「じゃ、じゃあ、行ってくる、ね?」

ほむら「ええ」

さやか(ここで、まどかが離脱とは……)

さやか(いざという時のストッパーがいなくなっちゃうじゃん!)

杏子(しかたねえ。腹くくるか……)

ほむら「……」パクリ

さやか「……」ゴクリ

杏子「……」

マミ(ピーザ♪ ピーザ♪)

マミ(おいしいピーザはまーだっかなー♪)ルンルン

ほむら「……」モグモグ

さやか「……」

ほむら「……」コトッ

杏子「……」

ほむら「どういうことかしら?」

杏子「……何の話だよ」

ほむら「レモンよ、この唐揚げ、レモンがかかってるわ」

杏子「うまいだろ?」

ほむら「私はどういうことかと聞いているのよ……ッ!」ガタンッ

マミ「ふえ!?」ビクッ

マミ「え? ど、どうしたの? みんな?」キョロキョロ

ほむら「……」ゴゴゴ…

杏子「なんだよ、レモンぐらいで……」

ほむら「レモンぐらい?」

ほむら「何を言っているの?」

さやか「わ、私はおいしいって思うけどなー」アハハッ

ほむら「……」キッ!

さやか「な、なーんて……」アハハ…

ほむら「あなたの仕業ね……!」

ほむら「佐倉杏子……!」

マミ「ねえ? どうしたの? ねえ?」

杏子「……」

さやか「あ、あのさあ、ほむら……」

杏子「だったらなんだって言うんだい?」

さやか「……ッ!」

杏子「レモンがあったほうが絶対にうまいとは言わないけどさ……」

杏子「絶対ダメってこともないはずだ」

杏子「違うかい?」

ほむら「……私はそういうことを言っているんじゃないの」

ほむら「これは私の頼んだ唐揚げなの」

ほむら「そして、レモンは搾られていなかった……」

ほむら「あなたは!」

ほむら「私のいない間に!」

ほむら「勝手にお皿ごと持ち出して!」

ほむら「レモンを全ての唐揚げに搾ったの!」

ほむら「どれだけデリカシーがないの!?」

ほむら「欲しかったなら直接言えばいいじゃない!」

ほむら「あなたのやってることは泥棒と一緒よ!」

杏子「ど、泥棒、だと……」ギリッ

杏子「お前、もう一度言ってみな……」ゴゴゴ…

さやか「きょ、杏子……!?」

さやか(あんたがキレてどうすんのさ!?)

杏子「私がしたことは間違ってた、それは謝るよ」

杏子「でも、あたしはもう泥棒じゃない」

杏子「全うに生きてるつもりだ」

杏子「そのことについては謝ってもらおうか……」ギロッ

ほむら「……」キッ

ほむら「今日はこれで失礼するわ」

さやか「お、おい、ほむら!」

マミ「誰か説明を……」ボソボソ

ほむら「勝手に人の唐揚げにレモンを搾る人間とはいたくないの」

ほむら「非常識だわ」

まどか「……」

ほむら「まどか?」

まどか「……」

ほむら「まどか? どうしたの?」

まどか「……なさい」フルフル

ほむら「え?」

まどか「ごめんなさい、ごめんなさい」フルフル

ほむら「ど、どうしたの? まどか?」

まどか「ほむらちゃんの唐揚げにレモンを搾ったの私なの!」ジワッ

ほむら「……!?」

まどか「さやかちゃんがレモン汁かけた焼き鳥を美味しいって言ってて……」

まどか「ほむらちゃんに喜んで貰おうって思って……」グスッ

まどか「全部私が悪かったの!」

まどか「杏子ちゃんとさやかちゃんは私を庇ってくれただけなの!」

まどか「だから……、だから……」

まどか「ごめんなさい……」グスッ

まどか「だから、帰らなくちゃいけないなのは私なの……」

まどか「みんなごめんなさい」

ほむら「え……」

さやか「いや……」

杏子「……」

マミ「???」

まどか「お金、置いていきます」

まどか「足りないかもしれないけど……」エヘヘ…

まどか「みんな、本当にごめんね……」ペコリ

まどか「私、帰ります……」

さやか「な……ッ!」ガタッ!

ほむら「……?」

杏子「は?」

マミ「……?」

さやか「なあんちゃって!!」

ほむら「???」

杏子「な、なんだよ、急に」

マミ「……」モグモグ

まどか「……?」

さやか「二人ともー!? そろそろネタ明かししちゃっていいんじゃないかな!?」

ほむら「……?」

杏子「……?」

さやか「まどかも十分びっくりしてるみたいだしさ!」

ほむら(ど、どういうこと……?)

まどか「え? え?」キョロキョロ

さやか神

さやか「「いやあ! まどか! 本当はほむらはレモン好きなんだよ!」

まどか「え?」

ほむら「ほむう!?」

さやか「まどかが気にしまくってたからさ! 杏子とほむらとでドッキリしかけたってわけ!」

まどか「そ、そうなの?」

杏子「……」

杏子「ちょっと、マジになりすぎちまったかな……」ポリポリ

杏子「なあ? ほむら?」

ほむら「……」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「そうね、十分、成功といえるわね」

まどか「ええ!?」ガーンッ

さやか「まどかってば泣きそうな顔しちゃってさー」ケラケラ

まどか「み、みんなひどいよー!」ウルッ

杏子「悪かったよ、まあ、とりあえず、座んなよ」

さやか「第一、レモンをかけるかけないであんな大騒ぎになるわけないよねー」アハハッ

杏子「ああ、全くだ」

ほむら「……」

マミ(ドッキリだったのね! びっくりしちゃったわ♪)

ほむら「佐倉杏子……」

杏子「あ?」

ほむら「言いすぎたわ、ごめんなさい」ペコリ

杏子「……さっきのは演技だろ? マジになるなよ」

杏子「チャーハン……、食うかい?」

ほむら「……」

ほむら「ありがとう……」

ガタッ

店員「オリョーリ! オマタシャッス!」

さやか「けっこう頼んだんだねー」

さやか「さやかちゃん、もう入りませんよー」

店員「こちらー、おにぎりのー、シャケッスね!」

さやか「」

店員「あと、ピザとー、唐揚げッス!」

ほむら「今回は早かったのね……」

マミ「待ってたわー!」ウキャー!

ほむら(さて、仕切り直しね……)

ほむら(揚げたてを食べれると思えば、まあ、良かったのかしら)

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「……?」

まどか「レモン! かけてあげるね!」ニコッ

ほむら(……え!?)

ほむら「……」チラッ

さやか「……」スッ

ほむら「……」チラッ

杏子「……」スッ

ほむら「じゃ……」

ほむら「じゃ、じゃあ、半分ずつで……」

まどか「うん!」


ブシャアアアアアアアアアアア

                     おわり

乙感動した

マミ「ふふ、そろそろ私の中にティロ・フィナーレしたい?」

も読んでみて下さい。どちらも乗っ取りですが

保守してくれた方、読んでくれた方、支援してくれた方

ありがとうございました

からあげフォンデュからあげと来らあ

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