P「とうとうクリスマスが来てしまった!」美希「うっさいの」 (60)




P「春は律子への引継ぎや新ユニットの売り出しで彼女が出来なかった」カリカリ

P「夏はシャイニーフェスタや夏の祭典で彼女が出来なかった」カリカリ

P「秋はオールスターライブや大感謝祭スペシャルで彼女が出来なかった」カリカリ

P「そして今日は十二月の二十日」スクッ


P「今年もとうとうこの季節が来てしまった!」



美希「うっさいの」ペタペタ

P「あっ、はい」カリカリ

小鳥(クリスマスなんて無い……、クリスマスなんて無い……)カタカタ



――― 12月20日 芸能事務所『765プロダクション』 PM06:00




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この前のとは関係ない話です。



美希「さっきからゼンゼン進んでないの。このペースだと今日中に終わんないよ?」ヌリヌリ

P「それがさー、何度計算してもここの答えが変な数字になるんだよ」カリカリ

美希「どこ?」

P「これの(3)、内接する三角錐の体積を求めよ、ってやつ」

美希「ノート貸して」



P「何度計算しても、全体の体積より大きくなっちゃうんだ」

美希「ふんふん」

P「(2)の答えも使ってるし、やり方も間違ってないと思うんだけどなあ……」



美希「うん、考え方は間違ってない、って思うな」

P「だろー?なのに(1)で求めた外側の図形の体積より大きくなるんだよ」

美希「おかしいのは(2)だね。途中の計算が間違ってるの」


P「あっ!」




P「あーっ!あーっ!」

美希「ね? これを直せば、ほら、ここの長さが4になるの」


P「あーっ! それなら綺麗な答えになるわ!」

美希「自分で書いた式を見てるだけだとミスに気付きにくいからね。
    変だな、って思ったら答案を見ないでもう一回解きなおしてみるといいの」



P「いやー、スッキリした! いやー、スッキリした! ありがとう、美希! ありがとう!」

美希「いいってことなの。あと少しだから、頑張ろうね?」

P「おう!」カリカリカリカリ




P「いやいやいやいや」





P「そうじゃなくてさ」

美希「?」ヌリヌリ


P「どう考えてもおかしいだろうがよ?」

美希「プロデューサーの頭が?」ペタペタ


P「違う!」

美希「うっさいの」



P「美希、気がつけばもう十二月も二十日だ」

美希「年々、時間の過ぎるのが早くなるね」フー


P「そうだよなあ……。美希が765プロに来てもう二年近く経つんだよなあ……」カリカリ

小鳥(はあ……、子どもの頃は一日があんなに長かったのになあ……)カタカタ




P「それも違う!!」

美希「うっさいの」



P「2013年もあと少し、次に備えるべき一大イベントと言えば何だ?」

美希「雪――」

P「雪歩の誕生日も年越し蕎麦もゆく年くる年も無しだ」



美希「世間はクリスマスシーズンだね」ヌリヌリ




P「そう、クリスマス。プレゼントが幸せムードでサンタのカップルが世界中を飛び回り、
  チキンがケーキと子ども達を食べながらマッチ売りの少女が裕福な家に放火する聖なる祝祭」


美希「まあ、言いたいことはわかるの」ペタペタ

小鳥(トナカイ×ソリ……いや、ソリ×トナカイ?)カタカタ



P「クリスマスが近いってのに、なーんで俺が美希の宿題をやんなきゃいけないんだよ?」

美希「クリスマスはカンケーない、って思うな」フー





美希「あとね、それ宿題じゃないよ。えーと、進学ナントカクラスのプリント」

P「同じだろ」

美希「大違いなの。ミキ、二学期はゼンゼン授業出られなかったからその代わりだって」



P「期末は受けさせただろ?赤でも出したのか?」

美希「ううん、テストは良かったの。でもこの分だと三学期も忙しいだろうから、
    そのクラスに出たことにして今の内に日数を稼いどきたいんだって」

P「そう言われると弱いな……。仕事ガシガシ入れたのはこっちだし」



美希「いいから手を動かすの」

P「あっ、はい」カリカリ

小鳥(年が明ける前に、もう一度中学校に挨拶に行った方がいいわね)カタカタ





P「でもさー、やっぱり俺がやっちゃマズいんじゃないか?」カリカリ

美希「何で?」ヌリヌリ


P「授業の代わりになるわけだし、勉強なんて自分でやらないと意味ないだろ?」カリカリ

美希「だってそれ、学校の問題集とあんまり変わんないの。
    ミキ、全部解けちゃうんだもん。意味ないし、つまんないよ」ペタペタ


P「反復練習だって大事だぞ。数学はそんな嫌いじゃなかったろ?
  問題解くの楽しい、って言ってなかったか?」カリカリ

美希「わかんない問題ならね。ミキはネイルで忙しいの。
    写すのはミキがやるんだし、パパーってやっちゃってよ」ヌリヌリ



美希「あっ、これは相似を使うとラクだよ。ほら、これとこの三角形がそうなの」

P「あー、なるほどねー」カリカリ

小鳥(ていうか美希ちゃんが自分でやった方がよっぽど早いんじゃ……)カタカタ





美希「で、クリスマスがどうかしたの?」フー

小鳥(ビクッ!)

P「いやー、今年もフラグ立たなかったなーって」カリカリ


美希「ふらぐ?」

P「あー、要するに彼女が出来る一歩手前っていうかさ」

P「好感度が上がるイベントをこなすと、フラグが立つ特殊なイベントが発生してだな。
  それが成功すると告白されて二人は恋人になるってわけだ」



美希「ふーん」ヒラヒラ

P「まあ美希にはちょっと早かったな。大人の話だよ」カリカリ

小鳥(ないわー。中学生相手にギャルゲーの知識で大人ぶるとか、マジないわー)カタカタ





美希「よくわかんないけど、そんなこと言ってるから彼女が出来ないの」フー

P「かはっ!」

小鳥「ぐふっ!」



美希「?小鳥、どうかしたの?」

小鳥「な、何でもないのよ!ホントに何でもないから!」カタカタカタカタ

美希「?」ヒラヒラ




P「あのなあ、美希。世の中には言っていいことと、そうでな――」

美希「イベントが『発生する』とか、告白『される』とか。
    プロデューサーの言う恋愛って、女のコ側が動くこと前提なんだもん」ペタペタ


P「だってお前、このご時勢に男が変にガツガツしたりしたら――」

美希「そんなの言い訳だよ。アプローチもしないで告白待ちなんてカッコ悪いの。
    女のコだってそんなのつまんないよ」ヌリヌリ



P「美希は子どもだからわからないだろうけどな、物事にはタイミングってものが――」

美希「何か行動したの?」フー

P「何もしてません……」カリカリ

小鳥(私は女の子だからセーフ……、私は女の子だからセーフ……)カタカタカタカタ





P「はあぁーーーー……」カリカリ

美希「ミキの前でそんなワザとらしいため息つかないで欲しいの」ヌリヌリ


P「美希や、いつからお前さんはそんなイジワルな子になっちまったんだい、え?」

美希「ホントーのことを言ってるだけなの」ペタペタ


P「去年の美希はあんなに素直ないい子だったのになあ……」カリカリ

美希「人は成長するの」フー



P「どこに行くにも『プロデューサーさん、プロデューサーさん』ってさあ……」カリカリ

美希「べつに、そう呼んであげてもいいよ?時間は戻らないけど」ヒラヒラ

小鳥(なんか、いちいちこっちに刺さってくる)カタカタ




P「去年は良かったなあ……。あずささんも担当させてもらってたしさあ」カリカリ

美希「プロデューサー、竜宮小町には賛成してたよね?」


P「うん。あの三人を組ませるなんて、俺には思いつかなかったからな。
  これは売れると思ったし、実際、爆発的に売れたわけだし」カリカリ

小鳥「あずささん、今じゃCM女王ですもんね」カタカタ

美希「アイドルとしてもタレントとしても充実してるの。喜んであげなよ」



P「そりゃあ喜んでるよ。担当じゃなくても、力のある子が相応に評価されるのは嬉しいもんさ」

美希「じゃあこの話は終わりなの」ヌリヌリ





P「でもさー」

美希「しつこいの」



P「まあ、厳しいよな。俺が一年かけてやった以上のことを律子は数カ月でやったわけだし」カリカリ

美希「あずさはそんなヤな女じゃないの」

小鳥「律子さんにしても竜宮の皆さんにしても、ソロで下地を作ったのは
    プロデューサーさんじゃないですか。感謝してると思いますよ」



P「ええ。皆そう言ってくれますし、俺もそう思ってますけどね」カリカリ

美希「自信があるのかないのかわかんないの」ペタペタ

P「でも接点が無いのは寂しいっていうか、今は仕事が一番楽しいだろうし」カリカリ

美希「今のあずさはプロデューサーのずーっと先を行ってるの」フー



美希「ミキ、まずはプロデューサーがあずさに釣り合うような男になるのが先、って思うな」ヒラヒラ

P「ははっ、それもそうだな」カリカリ





小鳥「プロデューサーさん」

P「はい?」


小鳥「あずささんのことはひとまず置いとくとして、それ以外の女性だと誰が気になりますか?」

P「いやあ、担当の子の前ではちょっと……」

美希「今さらすぎるの」フー



小鳥「別にアイドルじゃなくて構いませんよ。私たちの知ってる人なら誰でも」

P「いや、でも」

美希「小鳥は優しいから義理で聞いてくれてるだけなの。
    誰も興味なんてないから、好きにしたらいいの」ヒラヒラ



P「それなら、貴音だな」

美希「節操がなさすぎるの」

小鳥(プロデューサーさんはおっ○い星人っと)メモメモ





美希「一応聞くけど、どうして貴音なの?」


P「そりゃあお前、おっ」

美希「おっ?」ジトー

小鳥「おっ?」ニヤニヤ



P「……大人っぽいとことか、そう見えて意外と子どもっぽいとことか、可愛らしいとこかな」

美希「ふ~ん」ペタペタ


P「あと俺、背の高い女の人ってカッコよくて好きなんだよ」カリカリ

美希「べつに聞いてないの」ヌリヌリ

小鳥「そこは一貫してるんですね」カタカタ




P「本格的に見るようになってまだ数カ月だけど、仕事終わりに飯食い行ったり、結構仲いいぞー」カリカリ

美希「へー、良かったね。どーゆーお店に行ってるの?」


P「ん?社長の知り合いの店とか、俺のテリトリーだと個人の定食屋とかかな。
  ミキも連れてったことあるぞ」カリカリ

美希「ふ~ん」ヌリヌリ


P「あの子は食べることが好きだし、大食いキャラも定着したからな。
  ムードのない店なら撮られても記事にならんし、気が楽なんだよ」カリカリ

美希「ふ~ん」ペタペタ



P「後はそうだな……、オフの日に頼まれて遠くのラーメン屋に連れてくこともあるな」カリカリ

美希「ふ~ん」ヌリヌリ

小鳥(それってデートなんじゃ?)カタカタ


P「油少なめでいい店見つけたからさ、美希も今度連れてってやるよ」カリカリ

美希「べつに、ミキはいいの」フー





美希「プロデューサーには悪いけど、ミキ、貴音もキビシイって思うな」ヒラヒラ

P「何でよ」


美希「もう付き合ってるならともかく、そうなる前にラーメン屋さんとか、定食屋さんとか、
    そんなムードの無いところにばかり行って何も言わないなんて脈がない証拠なの」

P「ラーメン屋は貴音のリクエストだぞ」


美希「それがもうダメなの。ぶっちゃけ、異性として意識されてないんだ、って思うな」フー

P「そんなの人それぞれだろ」



美希「じゃあプロデューサーはさ、ギョーザとレバニラ炒めを囲んで
    もやしラーメンで乾杯するクリスマスデートとかしたいんだ?」

P「ぐっ」


美希「べつにいいと思うよ?人それぞれ、だもんね。ミキ的にはありえない、ってカンジだけど」ヒラヒラ

小鳥(なんか美希ちゃん、いつもより言ってることが強引なような)カタカタ





P「美希ちゃん、なんでや……。ワシが何したっていうんや……」カリカリ

美希「何もしなかったから今があるの」ヌリヌリ


P「殺生やでえ……」カリカリ

美希「そのエセ関西弁、サムイだけだからやめてほしいの」ペタペタ


P「トホホホホ……」カリカリ

美希「フン、だ」ヌリヌリ


小鳥(あーあー、情けないなー)カタカタ




小鳥(プロデューサーさんには悪いけど、女の子がこの人を
    好きになる理由なんてちょーっと見つかんないわねー)カタカタ


小鳥(でも悪い人ってわけじゃないし、少しだけかわいそうになってきたかも)カタカタ



小鳥(うん!ここは一発、できるオンナのステキフォローで女子力アップといきましょう!)カタカタ

小鳥(ウム、いいねえ!どんどん、やってくれたまえ!)カタカタ

小鳥(なんちゃって!なんちゃって!///)カタカタカタカタカタカタカタカタ


小鳥(よーし!)





小鳥「でも、嫌いな相手ならそもそも誘ったりしないですよね」カタカタ

P「!」

美希「!」



小鳥「貴音ちゃんって車は持ってませんけど、行動力ある方ですし。
    遠いって言っても近県なら電車で簡単に行けますし」カタカタ

P「うんうん」

美希「…………」ペタペタペタ



小鳥「何だったら事務所の子を誘ってもいいのにそうしないのは、
    信頼というか、一緒にいて楽しいってのもあるんじゃないですかね」カタカタ

P「ですよね!ですよね!」キラキラ

小鳥(やだ、この人子犬みたい)トクンッ...

美希「…………」ペタペタペタペタペタペタ





美希「まっ、こんなとこかな」



美希「ねえ」

小鳥(?)カタカタ



P「なんだ、持ってないのか?」

美希「家に置いてきちゃったみたいなの」

P「ちょっと待ってろよ」スタスタ

小鳥(??)カタカタ




P「えーっと、このバッグに買い置きが……ああ、あった」


P「めずらしいな。ここ最近は全然はみ出さないのに」

美希「ちょっとミスっちゃった」


P「リムーバーは要るか?」

美希「ううん、それはあるから」



P「ほら、綿棒。ケースごと持ってけ」

美希「ありがとなの」

小鳥(ああ、マニキュアの……)カタカタ




P「リムーバーつけすぎるなよ。なんだったらメイクで隠すから」

美希「わかってるよ。指だって大事な商品だからね」キュッキュッ


P「何だよ、その言い方……」

美希「『手は顔の次に見られる』でしょ?もう耳にタコなの」チョイチョイ


P「ほら、ティッシュ」

美希「うん」トントン



P「うん。綺麗に出来たな」

美希「あはっ」




美希「ねえ」

P「断る」カリカリ

小鳥(今度は何だろう?)カタカタ


美希「プロデューサー、イジワルなの」

P「そこらになんかあるだろ」カリカリ


美希「あったかいのがいいの」

P「俺は空間図形で忙しいの。前にやり方教えたろ」カリカリ


美希「だってミキ、これだもん」ヒラヒラ

P「洗い物はそのままでいいから」カリカリ



美希「ミキがやっても上手に出来ないの」

P「しょうがねえなあ……。ちょっと待ってろよ」スタスタ

美希「うん」




美希「ねえ、小鳥」

小鳥(う~ん……。プロデューサーさんに出来て美希ちゃんに出来ないことなんてあったかなー……)カタカタ


美希「ねえ、小鳥ってば」

小鳥「……へっ?ええ、何?」


美希「今日の局入りって七時半だよね?」

小鳥「ええ。さっき聞いたと思うけど、その前に春香ちゃんと響ちゃんと
    合流するから念の為に七時前には出ないと」

美希「そっか、七時ならまだ少し時間があるね」



小鳥「美希ちゃん、プロデューサーさんに何頼んだの?」

美希「え?ミキ、言わなかった?」キョトン

小鳥(なんといふ綺麗なまなこ……)





小鳥(でもこの子の場合、あんまり油断できないのよね)カタカタ

美希「あれ?戻ってきたの」


P「すみません。音無さん」

小鳥「はい?」カタカタ




P「音無さんっていくつでしたっけ」

小鳥「ピヨォッ!?」




小鳥「な、ななななな、なんでそんなこと言わなきゃいけないんですか!?」

P「なんでって……必要だからですよ」


小鳥「必要って、あの、そんな、どうして」

P「すみません。ちょっとド忘れしちゃって」


小鳥「あの、その、どうしても言わなきゃダメですか?」

P「ええ、急ぎますので」




小鳥「にじゅうは、……24です!!!!!!!!!」

P「はぁ!?」

小鳥「はぁ!?って言われた!!!!!!」

美希「お砂糖の数なの」クスクス




P「すみません……。ミルクの有無は覚えてたんですけど、砂糖はどうだったか定かじゃなくて」

小鳥「いえ、私こそとんだ勘違いを……」

小鳥(恥ずかしい!恥ずかしい!時々淹れてくれてたのに何故気付かない!私!)



P「あの、良かったらこの群馬の干し芋もどうぞ。ちょっとべとつきますので、フォークも」

美希「四つは多すぎなの」クスクス

小鳥「ありがとうございます……」

小鳥(一言コーヒーって言ってくれれば!っていうかコーヒーに干し芋って!食べるけど!)



小鳥「あ、意外と合いますね」モグモグ

P「でしょー?試しにやってみたら結構おいしかったんですよ」




P「ほら、美希の。砂糖一個減らしといたぞ」

美希「えー」


P「昨日ババロア食べたからな。念の為だ」

美希「プロデューサーも食べたの」


P「俺はもともとミルクだけだし」

美希「む―」


P「ほら、シュガーレス干し芋食って機嫌直せ」

美希「干し芋はもともとお砂糖入ってないの」



P「これ飲んだら支度して出るぞ。途中で春香達を拾っていくからな」カリカリ

美希「はーい」

美希「…………」


美希「ねえ」




小鳥(もう聞かない!聞かない!)カタカタカタカタ

P「忙しいんだよ」カリカリ

美希「ミキ、これだもん」ヒラヒラ


P「フォーク持ってきたし、食べやすいように切ってあるだろ。っていうか、もう乾いてるだろ」カリカリ

美希「メイクさんにも断ってるんだもん。ネイルには念を入れたいの」



P「すまん、もうちょっとだけ待っててくれ。もう少しで最後の問題が解けそうなんだ」カリカリ

美希「うん」




小鳥(そう、小鳥のKはKIKAIのK。あなたは計算機、事務処理マシーンになるの!)カタカタカタカタ

P「えーっと、この角度がわかってるわけだろー……。それとこっちの辺の長さが……」カリカリ

美希「ヒントあげる?」



P「待ってくれ。もう少しだから」カリカリ

美希「うん」




P「えー、あー、ここから垂線を引いて……この長さをxとして……」カリカリ

美希「…………」



P「あー、ここでこっちをyとして式を作って……クソ、めんどくさいな……」カリカリ

美希「…………」



P「あ?ちょっと待てよ。この和が180度だから、このちっこい四角形は円に内接するわけだろ?」

美希「…………」



P「てことは、円周角ちゃんが等しいから、こっちの大きい三角形ちゃんも相似になって」カリカリカリカリ

美希「」ニコッ



P「うおおおおおおお!出来たああああああああ!」

美希「よかったね、プロデューサー」




小鳥(あ、ここ間違ってた……。ってことはここも……、ここも…………)カタカタ

美希「面白かった?」

P「いやー、学生の頃は面白いなんて少しも思わなかったんだけどなー」



美希「よかったね。これもみーんな、ミキのおかげなの」

P「釈然としないけど、まあ楽しかったからいいや」


P「理科と英語と国語と社会は自分でやれよ。俺はわからんし、調べるのも勉強だからな」

美希「うん」




美希「じゃあ、いいかな?」




P「あ?ああ、そうだったな」


美希「待ちくたびれたの」

P「別に待ってなくてよかったんだぞ」


美希「待てって言ったのはプロデューサーなの」

P「そんなこと言ったかな……。まあいいや、ホラ」






P「あーん」

美希「あーん」



 ぱくっ




ーーーー


P「美味いか?」

美希「なかなかいけるの」モグモグ


美希「ね?もう一回ちょうだい」


P「ほい、あーん」

美希「あーん」パクッ



P「後は自分で食べろよ」

美希「うん」


P「あっ、そろそろだな。美希?」

美希「はい、リモコン」

小鳥(やり直し……、やだ、くやしい……でも、干し芋おいしい)カタカタ




P「美味いか?」

美希「なかなかいけるの」モグモグ


美希「ね?もう一回ちょうだい」


P「ほい、あーん」

美希「あーん」パクッ



P「後は自分で食べろよ」

美希「うん」


P「あっ、そろそろだな。美希?」

美希「はい、リモコン」

小鳥(やり直し……、やだ、くやしい……でも、干し芋おいしい)カタカタ





ピッ

『……今月八日に結婚生活三年目を迎えたベテラン実力派女優のNさんが
 今日二十日付で離婚届を提出していたことが明らかに……』


P「やれやれ、クリスマスシーズンだってのに目新しい芸能ニュースは何も無し、か」

美希「クリスマス関係あるの?」



P「だってクリスマスってさ、特別なことが起こりそうな感じがしないか?」

美希「さっき言ってたイベントとか?相手もいないのに?」



P「いや、そんなんじゃなくてこう、なんていうかこう、彼女とか関係なしにさ。
  街を歩いてるだけで、こう、幸せな感じがワキワキしてくるっていうかさ」

美希「あふぅ。幸せな人だね」


美希「ミキは去年も今年もずーっとお仕事なの、クリスマスなんて関係ないの」





P「安心しろ、俺だってそうだよ」

美希「プロデューサーはミキのプロデューサーなの。あたりまえなの」



美希「あーあ」ドサッ

P「何だよ、わざとらしい」

美希「ミキも、一度でいいから誰かと特別なクリスマスを過ごしてみたいなーって」



P「中学生が何言ってんだ。ミキはアイドルなんだぞ。勉強しろ、勉強」

美希「もうつっこむ気も起きないの」


『一旦、CMです』




\ Na Na Na why so why? 想像してみてヨ Just you like スキなコト/


P「おっ、美希!見てみろ!また流れてるぞ!」

美希「これは響バージョンだね。シークヮーサー味なの」



\ ひとつだけじゃない 君が開くトビラ /


P「HALCALIさんのカバーだけど、“ Tip Taps Tip ”は大当たりだな。三枚とも予約が殺到してるぞ」

美希「誰のが一番多いとか、わかるかな?」



P「知りたいか?」

美希「リリース前だし、今はいいの。でもミキ、やっぱり一番がいいな」


美希「それで、いつかきっと、あずさに追いついてみせるの」




P「そうなってくれたらプロデューサーとしては嬉しいけど、
  美希につりあう男もいなくなるから特別なクリスマスはどんどん遠くなるな」


美希「べつに、特別なクリスマスなんてミキはいらないの」

P「さっきと言ってることが違うじゃん」


美希「女のコはわがままなの。それとね、プロデューサー」

P「うん?」



美希「恋愛はつりあいでするものじゃないの」

P「もうつっこむ気もおきないな」


――――

――



――

――――


P「それじゃあ俺達はそろそろ出ます」

小鳥「はーい」パタパタ


P「収録の後、Aスタに入ってクリスマスライブ向けの調整をやります。
  三人を送っていくので今日は戻りません」

小鳥「はい」



P「社長も律子も戻らないので、終業時刻が来たら適当に閉めちゃってください。
  よろしくお願いします」

小鳥「わかりました。美希ちゃん、頑張ってね」

美希「はいなのー。行ってきまーす」

P「行ってきます」

小鳥「行ってらっしゃーい」




『――――ねえねえ、今日は久しぶりにラーメンとかどうかな?』

『春香達のリクエストも聞いてからだな――――』





小鳥「――――ふうっ」



小鳥「そうは言っても、今日できる仕事はもう片付けちゃったのよねー」


小鳥「プロデューサーさん、コーヒー多めに淹れてくれたみたいだし、
    それを飲んで時間まで電話番でもしてようかな」

小鳥「そうだ。もう開けちゃったんだし、残った干し芋も食べちゃおう」


小鳥「古人曰く、膳は急げ!」



小鳥「私、独り言多くなったな―」パタパタ





小鳥「“ Tip Taps Tip ”かー」モグモグ



小鳥「765の持ち歌じゃないけど、良い曲よね」モグモグ


小鳥「アレンジも三人のイメージにピッタリだし、何より歌詞が良いわ」モグモグ



小鳥「だって解いてくのが楽しいんダ♪ 解けたら100倍かもしんない♪」



小鳥「若い子の特権よねー。まっすぐで、失敗してもまた立ち上がって」モグモグ


小鳥「私もまだ若いけど」ズズー


小鳥「ふうっ」








小鳥「ミスマッチもいいとこなのに、どうしてこんなに合うんだろう」








          P「とうとうクリスマスが来てしまった!」美希「うっさいの」 おしまい



この話はこれでおしまいです。
ここまで読んでくれた人ありがとう。HTML化依頼してきます。

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