入須「折木君、居るか?」(131)
『入須「すまない、失礼する」』の続きです。
前スレこれか?
入須「すまない、失礼する」 - SSまとめ速報
(http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1344786506/)
あ1は代行な。
>>1
代行ありがとうございました。
次から投稿します。
>>2
それです。貼り忘れてました。
ありがとうございます。
それではよろしくお願いします。
・古典部部室
奉太郎(二日続けて部室に誰も居ないと言う類稀な奇跡が起きたと思ったんだが…)
奉太郎「…またですか、先輩」
入須「随分不服そうだな」ガタッ
奉太郎(またしれっと座ったな、この人)
奉太郎(そういえば昨日も、この人のおかげで奇跡が泡と消えたんだったな)
奉太郎「不服そうに見えますか?」
入須「見えるな」
奉太郎「…それなら、次からは気をつける様にしますよ」
入須「そうしてくれ」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」パラッ
入須「……目の前に先輩が居るのに本を読むとは良い度胸だ」
奉太郎「…用事があるなら言って下さい」
入須「君から聞くと言う発想は無いのか?」
奉太郎「俺は進んで面倒事に首を突っ込みませんので」
入須「…その考え方は好きよ。だが、私の前ではやめて貰おう」
奉太郎「できません」
入須「やれ」
奉太郎「嫌です」
入須「…お願いしても、駄目か?」
奉太郎「……考えておきます」
入須「…頼む」
奉太郎(…随分変わったな、この人も)
奉太郎「それで、なんなんですか?」
入須「実は、特に大した用事があった訳ではないんだが」
奉太郎「………」パラッ
入須「………」バッ
奉太郎「…取らないで下さい」
入須「読むな」
奉太郎「…用事が無いって、一体何をしに来たんですか」
入須「…まず、一つ話をしよう」
奉太郎「…はぁ」
入須「学校生活とは、この場合高等学校を指すが、どの様なものだ?」
奉太郎「…なぞなぞですか?」
入須「違う。君の思う事を教えて欲しい」
奉太郎「そうですね…入学、単位を取得し、進級、卒業。枝分かれはありますが、流れていく一本の川の様ですね」
入須「ふむ、大まかに言えばそうだな」
奉太郎「…何かあるんですか?」
入須「今のは三年と言う単位での話だ。では、一日と言う単位で見るとどうだ?」
奉太郎「一日…ですか。 …川の例えを出しましたから、その一部を切り取ったもの…」
入須「………」
奉太郎「そう、一つの点から撮影した写真です。見た目は対して変わり無いですが、それでも微妙に変化している」
入須「………」
奉太郎「そして進級する毎にその点が変わっていく、枝分かれも含めて。 …大まかには変化が無い過ぎていく現在、ですね」
入須「……長いな」
奉太郎「…先輩が話せと言ったんでしょう」
入須「似てはいるが、私はもう少しシンプルに考えていた」
奉太郎「…なら、聞かせていただけますか?」
入須「トラブルが起きる繰り返し、だ」
奉太郎「あまり変わらない様に聞こえますけど」
入須「少し違う。君は変化を常としているが、私は変化が異常だと言っている」
奉太郎「…なるほど」
入須「学校生活に於いて一日とは、登校、授業を受ける、昼食、授業を受ける、部活、下校。こうではないか?」
奉太郎「…先輩はいいんですか? 部活にいかなくて」
入須「うるさい」
奉太郎「………」
入須「では次に、今私が上げた中で、集団に於いて必ず共有する部分はどこだ?」
奉太郎「……授業…と、部活ですか?」
入須「そうだ。登校、昼食、下校は一人でも可能だ」
奉太郎「集団でも出来ますが、必ずではないですね」
入須「二人でもできるよ」
奉太郎「…それがどうしたんですか?」
入須「…次に行こう。その三つの行動、君自身が一番自然だと思う人数はなんだ?」
奉太郎「俺自身でいいんですか?」
入須「あぁ」
奉太郎「…そうですね、朝は一人、昼は一人又は二人、放課後は一人、ですね」
入須「…君は友達が少ないんだな」
奉太郎「…自慢じゃありませんが」
入須「自慢されても困るよ」
奉太郎「…でしたら、先輩はどうなんですか?」
入須「私か? そうだな、朝二人、昼二人、放課後二人…だな」
奉太郎「そうですか」
入須「……今日の昼は、君と二人だったな」
奉太郎「そうですね」
入須「弁当の時は教室だったな?」
奉太郎「…はい」
入須「私は中庭だが」
奉太郎「昨日聞きましたね」
④
④
入須「……朝の登校はいつも一人か?」
奉太郎「そうですね、基本的には」
入須「普段家を出る時間は何時ぐらいだ?」
奉太郎「……七時半、ですかね。七時に起きるので」
入須「五十分位に、あの商店街か」
奉太郎「そうですね、それぐらいじゃないですか」
入須「私より十分遅いようだ」
奉太郎「…早起きですね、先輩」
入須「朝に弱そうだな、君は」
奉太郎「…頭を見ながら言わないで下さい」
入須「…あと五分早く出れば、目覚めが良いと思うよ」
奉太郎「…はぁ」
入須「……放課後も、一人だったか」
奉太郎「そうですね、部活がなければ」
入須「あると、どうなんだ?」
奉太郎「…? 誰かと帰りますが」
入須「千反田えるか?」
奉太郎「里志ですよ、福部里志。千反田とも、たまにはありますけど」
かなり書き溜めてるのかな?
支援する側も気合を入れて支援せねばならぬかも。
入須「…一人と言ったろ」
奉太郎「…いや、例外はありますよ」
入須「…君は、皆より五分早く出たほうが良いんじゃないか?」
奉太郎「…はぁ」
入須「寝付きが良いと思うよ」
奉太郎(…初めて聞くな)
てな訳でもっぺん支援
入須「…ところで、君は生徒手帳を読んだ事があるかな?」
奉太郎「…一応は、渡された日の夜に一度だけ」
入須「良い心掛けだ。渡されたはいいが、一度も目を通したことの無い者の方が多いからな」
奉太郎「詳しい内容まで覚えている訳ではありませんが」
入須「大まかには覚えているだろ」
奉太郎「そうですね。良識を持って生活せよ、と言う所でしょうか」
入須「…大変大雑把だが、まぁ、そう言う事だ」
奉太郎「締め付けの強い校風ではないですから」
入須「そうだな。 …君はそう言った所に惹かれて、ここに入ったのか?」
奉太郎「…いえ、家が近いんです」
入須「……まぁ、そうか」
奉太郎「…そこで微妙な顔をしないで下さい」
入須「ふふっ、悪かったな」
奉太郎「…それで、その内容が何か?」
入須「うむ、登下校に関しては何が書かれていた?」
奉太郎「……時間に留意せよ、ぐらいでした」
入須「そうだな。始業五分前までに登校、終業前一時間以内に下校と書いてあった」
奉太郎「俺は問題無いと思いますが」
入須「…ここには、人間に関しては何も書かれていない」
奉太郎「………?」
入須「…つまり、部外者は除き誰が誰と登校し下校しても自由だと言う事だ」
奉太郎「…部外者は所定の手続きを取れば校内に入れますが」
入須「それは例外だろ?」
奉太郎「まぁ、はい」
入須「揚げ足を取るな」
奉太郎(…対等と言う言葉はこの人から消えたようだ)
入須「…つまり、例え男女二人でいても、それはこの学園では自然だと言う事になる」
奉太郎「今の時代それを規制する所の方が少ないと思いますけど」
入須「あまり無いだろうな。それはこの学園でも同じだと言う事はわかったか?」
奉太郎「長々とお話し頂いたおかげで」
入須「イヤミを言うなよ」
奉太郎(…この人は俺と話した事を全て忘れているようだな)
入須「…君は先ほど千反田えるとよく下校すると言っていたが」
奉太郎「たまにですよ」
入須「校則に於いては問題は無い」
奉太郎「そうですね」
入須「……例えば、私と帰ったとしても問題は無い。そうだな?」
奉太郎「伊原と帰っても、問題はありません」
入須「……私と帰っても問題は無いな?」
奉太郎「…まぁ、そうですね」
入須「昨日の様に下校後の茶についても問題は無いだろう?」
奉太郎「学外での問題行動には当たらないと思います」
入須「そうか」
奉太郎「…俺は先輩に誘われただけですので」
入須「責任逃れか?」
奉太郎「そう聞こえますか?」
入須「質問で返すな、バカ」
奉太郎「…冗談ですよ」
入須「まったく…君は私が嫌いなのか?」
奉太郎「……嫌いではないですよ」
入須「含みがありそうだな」
奉太郎「本心を言わないのは先輩と同じです」
入須「……バカだな、君も」
奉太郎「………?」
入須「…朝は七時に起きるんだったな」
奉太郎「そうですね」
入須「六時五十五分に目覚ましをセットすれば、その時間に起きるか?」
奉太郎「…起きるんじゃないでしょうか」
入須「寝ぼけていても理性は働くようだな」
奉太郎「…まぁ、それなりに」
入須「その時間に起きれば、七時四十五分には商店街に着くな」
奉太郎「何も無ければ、着きますね」
入須「…登校に関しても、校則には特別な記載は無かった」
奉太郎「はい」
入須「つまり、君が千反田えると登校しても問題無いと言う事だ」
奉太郎「あいつは自転車ですよ」
入須「なら、朝は誰とも会わないんだな」
奉太郎「そうですね。…里志ぐらいです」
入須「会うじゃないか」
奉太郎「会わないとは言ってませんよ」
入須「……例えば、私と会っても問題は無いな?」
奉太郎「…そうですね」
④
入須「私は四十分には商店街に居る」
奉太郎「聞きましたね、先ほど」
入須「だが、それは想定外の事柄を考慮しての時間だ」
奉太郎「…はぁ」
入須「五分程度の時間の余裕を持って登校している」
奉太郎「十分早いですが」
入須「君が考えているよりは、私も忙しい」
奉太郎「…放課後は忙しくないんですか?」
入須「うるさい」
奉太郎「………」
入須「…つまり、五分程商店街に居ても問題は無いと言う事だ」
奉太郎「少し休まれてから登校されても問題ないと」
入須「そうだ」
奉太郎「そうですか」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……君は、ここぞと言う時にしか頭が働かない様だな」
奉太郎「…そんなことはありません」
入須「いや、そうだ」
奉太郎「何故断言できるんですか?」
入須「…それこそ、考えてみろ」
奉太郎「…はぁ」
奉太郎(…考える? 何をだ?)
奉太郎(先輩が今まで話してきた事、そこに何か意味があると、そういう事なのか?)
奉太郎(……まずは、情報を整理しよう)
・10分後
奉太郎「…ふぅ」
入須「……何か、気づいたか?」
奉太郎「……先輩は俺に会いに来た、そうでしたね」
入須「あぁ」
奉太郎「しかしその直後、大した用事は無いと言っていた」
入須「そうだな」
奉太郎「だがそれはおかしい。先ほど先輩は自ら忙しいと言った。昨日の様な相談事でも無い限りここに来る筈が無い」
入須「………」
奉太郎「となれば、先ほどから話していた内容は全て何らかの問題を孕んでいる。違いますか?」
入須「……続けて」
奉太郎「注目するべき点の一つは朝と放課後です。とりわけて先輩は重視していた」
入須「…あぁ」
奉太郎「次に時間。始業の五分前、終業前の一時間以内…でしたか? 正直俺はそこまで詳しい時間は知りませんでした」
入須「………」
奉太郎「最後に、俺の朝と放課後の行動です。こんなに自分の行動を俯瞰で見たのは初めてですよ」
入須「………」
奉太郎「忙しい先輩が時間を割いてまで俺の朝と放課後の予定を聞きに来た。用事が無い訳は無い、だとしたらまた相談事だ」
入須「…結論は?」
奉太郎「適材適所。つまり、朝と放課後に先輩の手が回らなくなった事が有り、それが大変俺に適した事だった」
入須「あぁ」
奉太郎「俺にそれを手伝う様、言いに来たんでしょう。いや、俺自ら手伝うと言わせる為に。違いますか?」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……昨日話したな、私に好きな人がいたと」
奉太郎「…はい」
入須「私の考えを気にも留めない、やり方が通用しない人だと」
奉太郎「そうですね」
入須「…君は気にも留めない所か、最初から無かったかの様に扱うな」
奉太郎「それは、どういう…」
入須「この期に及んで君を責めないよ。私も悪かったと今気づいた」
奉太郎「………」
入須「君はとてもよく理解してくれると思っていたし、それが特別だとも思う。 …だが適材適所、こう言った部分に於いて、その力は発揮されないようだな」
奉太郎「…よく意味が分かりません」
入須「…君の結論は違う」
奉太郎「! そんなことは…」
入須「違うんだ。 …今から正直に真意を話すよ。聞いてくれるか?」
奉太郎「…それは、勿論」
入須「……今日の昼食は君と共に居たな。私は大変満足していたよ」
奉太郎「…中庭は人が少なくて良かったです」
入須「そうだろ? 続けるが、人間と言うものは欲に塗れている。すべからく、私も含めてな」
奉太郎「先輩も、ですか?」
④
入須「そうだ。 ……朝も、昼も、放課後も…君と…共に、居たいと」
奉太郎「!」
入須「支配欲…いや、独占欲だ。一緒に居たいんだ、君と」
奉太郎「……俺に朝や放課後の予定を聞いてきたのは」
入須「君が五分前に起きてくれれば共に登校できる。放課後も予定を合わせれば、共に下校できるだろ?」
奉太郎「…あの、自然だと思う人数とは、つまり」
入須「そう。私と君だ。注目するべき点が一つ抜けていたな」
奉太郎「……なるほど」
入須「…君は昨日の言葉…私の告白、忘れてしまったのか?」
奉太郎「…いえ、そういう訳では」
入須「放課後に、用事も無く好いた者に会いに来てはいけないのか?」
奉太郎「………」
入須「君に隣を歩いて欲しいと、伝えたはずよ」
奉太郎「……そう、でしたね」
入須「…その返事はまだ望まない。だが、今日の願いは聞いてもらえるか?」
奉太郎「……朝は努力しましょう。放課後は、確かに予定が合えば」
入須「…今は、それで良い」
奉太郎「…すいません」
入須「謝るな。君は、よく考えて結論を出さないといけない」
奉太郎「…そうですね」
入須「ふふっ、また間違ってしまうと大変だからな」
奉太郎「…もうやめて下さい、その話」
入須「対等な関係だろ?」
奉太郎「一方的になじられてるだけですが」
入須「そんなことはないよ。君だってイヤミを言うじゃないか」
奉太郎「…覚えていたんですね」
入須「あぁ、文句は言ってしまうが」
奉太郎「構いませんよ、別に」
入須「…長々と話してしまったな。今日はもう帰ろう」
奉太郎「わかりました」
入須「茶は…また今度だな」
奉太郎「そうですね」
入須「今度は君の知っている店に行こう」
奉太郎「俺のですか?」
入須「あぁ、静かに本が読めるような、素敵な店を教えてくれ」
奉太郎「…そうですね。是非、行きましょう」
入須「楽しみだ」
奉太郎(…といっても、木出珈琲しか知らんが)
・下校
入須「…明日は四十五分だ。忘れるなよ」
奉太郎「わかってますよ」
入須「その次の日も、四十五分だ」
奉太郎「……たまに五十分でも」
入須「駄目だ、心配するだろ。そうなるなら事前に連絡しろ」
奉太郎「…連絡先知りませんし」
入須「私は携帯を持ってる。番号は090…
奉太郎「ちょ、待って下さい! 今メモしますから…」
入須「早くしろ」
奉太郎「まったく…」
入須「……休みの日でも、電話をしてくれていいよ」
奉太郎「…まぁ、気が向いたら」
入須「しろ」
奉太郎「…俺の生活に受話器を取るという習慣が無いもので」
入須「取るんだ」
奉太郎「……いやです」
入須「私の声が聞きたくないか?」
奉太郎「…別に」
入須「…省エネはやめろと言ったろ」
奉太郎「…すぐに生活改善はできませんよ」
入須「なら、次の休みは生活指導をする」
奉太郎「結構です」
入須「十時に君の家に行くから」
奉太郎「……本当に来ます?」
入須「本当に行くよ」
奉太郎(…この話は忘れておこう)
入須「……君に、もう一つ聞こう」
奉太郎「はい」
入須「…今度の結論には期待しているよ」
奉太郎「…善処しますよ」
入須「頼む。 …今、君の両手はどうなっている?」
奉太郎「両方ともポケットに」
入須「そうだな。では私の両手はどうなっている?」
奉太郎「…左手は肩の鞄を抑えて、右手はブラブラしてますね」
入須「そうだ。右手が手持ち無沙汰だな」
奉太郎「そうですね」
入須「……君はよくポケットに手を入れているな。歩く時は大体そうだ」
奉太郎「…よく見ていただけている様ですね」
入須「左手も右手も、今は私に見えない所にある」
奉太郎「はい」
入須「…左手をポケットから出すと、どうなる?」
奉太郎「………」スッ
入須「………」
奉太郎「……ブラブラ、します」
入須「そうだな。手持ち無沙汰だ」
奉太郎「……結論、は」
入須「あぁ」
奉太郎「……出しても、いいんですか?」
入須「勿論だ」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」ギュッ
入須「! ……ふふっ、正解」ギュッ
奉太郎「……恥ずかしいです」
入須「…私も、恥ずかしいよ」
奉太郎「…離していいですか?」
入須「駄目だ」
奉太郎「殺生です、先輩」
入須「…恥ずかしいけど、嬉しいよ」
奉太郎「………」
入須「…正解してくれて、勇気を出してくれて、嬉しい」
奉太郎「………」
入須「君は特別で、とても素敵よ」
奉太郎「…イヤミっぽいですね」
入須「ふふっ、対等だろう?」
奉太郎「…そうですね」
奉太郎(…冷たいな、先輩の手)
奉太郎(…迷信かもしれないが、信じてみるのも悪くないかもな)
おまけ
ピンポーン
奉太郎「……………はい」
入須「来たよ」
奉太郎「……………どうしたんですか?」
入須「言ったじゃないか。入るよ」
奉太郎「……………」
入須「……まずその頭をセットする」
奉太郎「……じぶんでできます」
入須「いいから来い」
奉太郎(……地獄が玄関からやってきたぞ…)
おわり
以上です。ありがとうございました。
自家発電その2でした。入須先輩可愛いです。
支援してくださった方、ありがとうございました。
最後の行が読めない
>>97
読んで欲しいんですが
入須「…今日は私の家に来るか?」
奉太郎「…いえ、結構です」
入須「何故だ?」
奉太郎「方向違いますし」
入須「来い」
奉太郎「嫌です」
入須「…君に遊びに来て欲しいんだ」
奉太郎(…その目はやめてくれ)
おまけの続きは次回があった時に書けるようとっておきますね
入須「すまんな、何もない部屋で」
奉太郎「…綺麗に片付いてますね」
入須「掃除はしっかりしてるよ」
奉太郎「…座っていいですか?」
入須「あぁ、好きな所に構わない。今飲み物を取ってくるよ」
奉太郎「………!」
奉太郎(……可愛いぬいぐるみがある…)
奉太郎(…かえる、うし、いぬ、ねこ)
奉太郎(四つ可愛く並んでいるな…)
入須「…どうした? それが気になるか?」
奉太郎「! …いえ、そういうわけでは」
入須「…似合わないと、思ったか?」
奉太郎「…まぁ、意外だな、とは」
入須「…捨ててくるよ」
奉太郎「いや! 待って下さい!」
入須「…なんだ」
奉太郎「似合わないとは言ってませんよ」
入須「目がそう言っているぞ」
奉太郎「……言ってません」
入須「……捨ててくる」
奉太郎「だから待って下さい!」
入須「…しつこいな」
奉太郎「…いいじゃないですか、ぬいぐるみ」
入須「思ってないだろ」
奉太郎「…俺にその趣味はありませんが」
入須「…捨てて
奉太郎「でも! その…先輩がぬいぐるみを持っている姿は、その…」
入須「………」
奉太郎「……可愛いと思いますよ」
入須「! ……そうか」
奉太郎「……はい」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……目をつぶれ」
奉太郎「……え?」
入須「早くしろ」
奉太郎「…いや、何故ですか?」
入須「…女性の部屋、男女二人きり、だ」
奉太郎「…はぁ」
入須「…目をつぶれ」
奉太郎「…いやです」
入須「何故だ」
奉太郎「なんとなく想像ですが…」
入須「あぁ」
奉太郎「……キス、しようとしてますか」
入須「そうだ」
奉太郎「いやです」
入須「ふざけるな」
奉太郎「先輩でしょそれは…」
入須「…まだ、早いか?」
奉太郎「そうですね、そう思います」
入須「…そうか」
奉太郎「……そんな顔しないで下さい」
入須「…すまない」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」ギュッ
入須「!」
奉太郎「………」
入須「………」ギュッ
奉太郎「……今は、これが…限界です」
入須「…いいよ。 …君の温もりが全身に伝わっていくようだ」
奉太郎「…ハグぐらいで、大げさですね」
入須「…嬉しいな、とても」
奉太郎「…そう言って貰えると、したかいがありますよ」
入須「……ふふっ」ギュッ
奉太郎「……強いです、先輩」
入須「良いじゃないか。 …しばらくこのままでいよう」
奉太郎「……わかりました」
奉太郎(…あまりない俺の勇気、出して良かった…のかな)
以上です。ありがとうございました。
夏の休暇が終わるのでしばらく書かないとは思いますが、
次の機会があれば、またよろしくお願いします。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
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