アセム「父さんの部屋からピンクのリボンが出てきた」(71)

エミリー「アセムー、お父さんがもうすぐ帰ってくるから部屋を掃除しといてー」

アセム「はーい、すぐやるよ母さん」



アセム「よいしょっと…とりあえずはこんなところだなー」

アセム「ん?父さんの引き出しから何かはみ出してる?」

アセム「リボン?なんでこんなものが父さんの部屋に?」

アセム「名前が縫われてる…なになに『ユリン・ルシェル』…」

アセム「これは…!」

ユノア「お兄ちゃーん、お掃除終わったー?」

アセム「!」ビクッ

アセム「あ、ああ終わったよ!今行くからー」

アセム「ユノア!驚かせるなよー」

ユノア「えへへーゴメンゴメン…」

ユノア「ん?」

アセム「?」

ユノア「お兄ちゃん、そのリボン…?」

アセム「あ!」

アセム(やばい、持ってきてしまった…!)

アセム「お、俺、ちょっとゼハートのところ行ってくるから!」ダッ

ユノア「え、ちょっとお兄ちゃん!?」

アセム「―というわけだ」

ゼハート「ふむ、このリボンか…」

ゼハート「確か、デシル兄さんから聞いた話だと…」ボソッ

アセム「ん?何か言ったか?ゼハート」

ゼハート「いや、なんでもない。それよりこのリボン、かなり色褪せてるようだが。お前の父さんが昔付き合ってた彼女のモノとか考えられないのか?」

アセム「なるほど、言われてみれば確かに…」

ゼハート「まぁそういう事だ。恋愛は男は名前をつけて保存って言うだろう。よくある昔の思い出さ」

アセム「あぁ…」

シャーウィー「やっと完成したぞ!今度の大会のモビルスーツ!」

マシル「早速動かしてみようよ!」

シャーウィー「うわあああ!!」

ゼハート「アセム!危ない!」ガバッ

アセム「!?」

ドンガラガッシャーン

アセム「いててて…」

ゼハート「シャーウィー、完成したMSを動かすには、まず駆動系の計算が間違ってないか確認しておけといっただろう!」

シャーウィー「ごめん!アセム、怪我はないか!?」

アセム「ああ、俺の方は大丈夫…」

ゼハート「アセム、リボン…」

アセム「あれ…、無い…?」

ゼハート「ここにもないか…」

アセム「ゼハート見つかったか?」

ゼハート「いや…。そっちはどうだ?」

アセム「ここにもなかった。長いリボンだからすぐに見つかると思うんだけどなー」ボリボリ

シャーウィー「アセム、本当にゴメン!」

アセム「いいって。もう夜遅いから暗くてわからないし、明日の明るい時間帯で改めて探そう。父さんが帰ってくるのは5日後…。それまでに探さなくっちゃな」

深夜

ロマリー「アセム、ゼハート、いるのー?」

ロマリー「…いないか」

ロマリー「夜も更けてるし、もう帰ったのかなー」

ロマリー「ん?なにこの隅っこに引っかかってるの」

ロマリー「リボン…?」

ロマリー「どうしてこんなものがモビルスーツクラブの部室に…?」

ロマリー「!まさかアセムかゼハート、あるいは二人がこの倉庫に私以外の女の子連れ込んであんなことやこんなことを…?」

ロマリー「許せない…!とりあえずこのリボンはどっかに隠しとこう…!」

アセム「ただいま」

ユノア「おっかえりー、お兄ちゃん。ご飯にする、お風呂にする、それとも―?」

アセム「はいはい、ご飯ご飯」

ユノア「もうー、早くテーブルについて、帰ってくるの遅かったから晩御飯冷めちゃうよ?」

アセム「今いくよ」

ロマリー「夜中に迫ったら如何な男でもイチコロ余裕逆ハーレムやで」

食卓

アセム「ごちそうさま」

ユノア「お兄ちゃん、そう言えば夕方に持ってたリボン、どうしたの?」

エミリー「…!」ピクッ

アセム「えぇ!?あ、あれはー?そのー!」

アセム(まだユノアにこの世界を教えるのは早いか…)

アセム「か、彼女だよ!俺、彼女が出来たんだ!あのリボンは彼女へのプレゼントさ!」

ユノア「わぁー!凄い!お兄ちゃんにも彼女が出来たんだ!言われてみれば妹から見ても美形だもん」

アセム「ま、まぁとにかくそういうわけだから…」

ユノア「うんうん!今度私や母さんやお祖父ちゃんにも紹介してね!」

アセム「わかったから、はしゃぐなよ…」

アセム(いよいよ面倒なことになってきたぞ…)ハァー

エミリー(あんなものまだ持ってたなんて…)

バルガス「エミリー、おかわりじゃ」

ユノア「お祖父ちゃん、もう6杯目…」

翌日…

チュンチュン

アセム「無いっ!無いよー」

ゼハート「アセム、見つかったのか…?」

アセム「いや、無いな。どこにもない。と言ってもこの倉庫は無駄に広いからなー、意外な場所に潜んでるかもな」

ゼハート「まだまだ探す場所はあるってことか。俺ももう少し探してみることにしよう」

ゼハート(なんでヴェイガンのスパイである私が、こんな作業を…)

ロマリー「おはよう、アセム、ゼハート」

アセム「あ、ロマリーか。おはよう」ガサゴソ

ロマリー「なにか探してるの?」

アセム「うん、ピンクの長いリボンだけど、ロマリーは知らないのかい?」

ロマリー「…知らない」

アセム「そっかー。どこにあるんだろ。アレがないと困るんだけどなー」ガサゴソ

ロマリー(何よ…。そんなに無我夢中になって探して…。そんなに入れ込んでるって言うの…)

学生時代、素のゼハートは一人称俺じゃなかったっけ

ゼハート「アセム…どうしても見つからないと言うなら、似たやつを買ってみてはどうだ?」

アセム「…そうか!その手があったか!似たやつを買って『ユリン・ルシェル』って縫い付ければ誤魔化せるかもな」

ゼハート「似たものが見つかる保証はないがな」

アセム「それでも見つからないよりかはマシだよ。よし、そう決まれば行動開始だ」

雑貨店

ゼハート「アセム、あったぞ!」

アセム「…値段がかなり高いな。どう見ても普通のピンクのリボンなのに」

ゼハート「どうやら地球圏でも珍しい希少な素材を使ってるらしい。他の店も探し回ったが、やっぱりこれが一番似ているな。と言うより同じだ」

アセム「ぬぅー。これを買ったら電気バイクのCMに出演した給料が全部吹っ飛ぶ…。まぁ止むおえないか…」

アセム「あの、これ下さい」

フリット「子供は人のデリケートな部分に土足で踏み込んでくる!子供は人間ではない!殲滅だこの俗物!」

アセム「…改めて見ると色が濃くないか?」

ゼハート「水につけて干せば、色褪せて無くしたやつと同じになるだろう」

アセム「それで後は縫い付けるだけだな。ああ、よかったー」

アスノ家

アセム「風が強いなぁ。まぁ乾きも早くなるしこれでよ―」

ピュウウウウウウウウ
バサァァァァァ

アセム「あ…」

ゼハート「アセム、ぬかりすぎだ…」

アセム「ゴメン…」

ゼハート「俺に謝ってどうする…。まぁともかくどうするのだ、アレ」

ロマリー「…」

アセム「どうしようもないだろう。買うにしても、あのリボン一つで給料使い果たしたし、リボンは見つからないしで、正直に父さんに謝るしか…」

ロマリー(父さんに謝る?)

ゼハート「やれやれ…」

アセム「しかし父さんの元カノのモノだもんなー。部屋を掃除してて勝手に机から取り出して、おまけに無くしただなんて口が裂けても―」

ロマリー「え?」

ゼハート・アセム「…?」

ロマリー「あの…ごめんなさい」



アセム「驚かせるなよロマリー」プンスカ

ロマリー「ごめんなさい本当に」

ゼハート「すっかり俺たちが道化にさせられたな」

アセム「まぁいいか。こうしてリボンは手に戻ったことだし」

ロマリー「アセム…お詫びに何かして欲しいこととかある?」

アセム「そうだな…あ!」

数日後…

アセム「そしてこの子が俺が今付き合ってるロマリー・ストーン」

ユノア「へぇー!よろしくね、ロマリーさん」

エミリー「綺麗ねぇ」

アセム「ロマリーは学園のアイドルで、俺のMSクラブのマネージャーなんだ」

フリット「ふむ、なるほど」

エミリー「じゃあ紹介も終わったことだし乾杯しましょうか」

アセム「うん」

5分後…

フリット「ちょっとトイレだ…」ガタッ

エミリー「…!」

ユノア「それにしてもロマリーさんって本当に綺麗だよね。アイドルってのも納得!」

アセム「こら、ユノア、あんまりはしゃぐなよ」

バルガス「そんなことよりおかわりじゃ!」

ユノア「お祖父ちゃんもう12杯目…」

フリット「帰宅したからにはあれを見ないと落ち着かないな…」ブツブツ

フリット「この引き出しを開けて…」

フリット「ユリンエミリー「やっぱり忘れてなかったのね…」

フリット「」

………

アセム「ユノアももうちょっと大きくなったら、結婚するのかなー」シミジミ

ユノア「いつかお兄ちゃんみたいな人のところにお嫁さんに行きたいなー、なんて」

ロマリー「うん、ユノアちゃんなら出来る出来る!」

バルガス「チェイ!若いっていいのう…。ユノア、おかわりじゃ!」

ユノア「お祖父ちゃんは食べ過ぎ!」

一同「あっはっはははははは」


END

初めてSS書き終わったかも
下手だけど最後まで見てくれた人はありがとう
フリットさんがどうなったかは想像にお任せする
では

フリット「ユリンエミリー「やっぱり忘れてなかったのね…」

↑どういう状況?

>>65
なんかフリットが引き出し開けて、エミリーが奥のドアから影付きで目だけ光らせてジッと見てる感じかな

先回りしてドアの裏に隠れてたとか

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