妖狐「なんか!好きになっちゃいました!!」男「え!?」 (93)

神社

男「もーいーかーい」

男「」クルッ

男「よし!!今からさがしにいくよー!」

夕方

神社

オツカレー

マタアシタナー

男(僕もそろそろ帰ろ!)

妖狐「……」

妖狐「もーいーかーい」

男「!?」クルッ

妖狐「」ビクッ

妖狐「……もぅいいかぁい」

男「??」

妖狐「……」

男「君、だれ?」

妖狐「……」

男「えっと……僕は帰るね!」

妖狐「もーいーかーい」

男「?」

男「かくれんぼがしたいの?」

妖狐「……」コクリ

男「う~ん……でも、もう夕方だよ?おうちの人が心配するよ?」

妖狐「うぅ……」

男「じゃぁさ!明日、あそぼうよ!」

妖狐「えっ」

男「だって、夏休みじゃん!君んとこもでしょ?だから、明日の朝にくるよ!」

妖狐「」キラキラ

男「それでいいかな?」

妖狐「!!」ウンウン

男「それじゃ!またあしたね!!」

次の日



神社

妖狐「」ワクワク

男「おはよう!」

妖狐「!!」

男「今日も暑いね!!」

妖狐「あついね!」

男「何してあそぼっか!」

妖狐「何して遊ぶ!?」

男「僕はなんでもいいよ!」

妖狐「もーいーかーいのやつ!」

男「かくれんぼかぁ!」

妖狐「」ウンウン

男「でも、二人だとちょっとおもしろくないかなぁ」ウーン

妖狐「そうなの?」

男「まぁいいや!とりあえず、かくれんぼしよう!」

男「どっちが鬼かじゃんけんだよ!」

――


妖狐「もーいーかーい!」

男「もーいいよー!」

妖狐「よし!」ワクワク

テクテク

妖狐「ここなぁ!」チラッ

妖狐「……いない!」


タッタッタッタ

妖狐「ここだぁ!」チラッ


妖狐「いない!」

男(まさか神社の下にいるなんて思わないだろうなぁ)ドキドキ

妖狐「どこですかー!」

男(きた!)ドキドキ

妖狐「いない!」

妖狐「……」

妖狐「……帰ったのかな」

男(え!?)

妖狐「……かくれんぼおしまいですかー?」

男(帰ってないしおしまいじゃないよ!)

妖狐「……」

妖狐「はぁ……」テクテク

男「ちょ、ちょっと!!」タッタッタ

妖狐「あれ?」

男「見つけられないなら降参って言わないとぉ!」

妖狐「そうなの?」

男「うん!じゃないと、僕はずっと隠れたままだよ?」

妖狐「そっか」エヘヘ

妖狐「みーつけたっ!」ニコッ

数日後

母「あら、今日も早起きなのね」

男「遊びに行ってくるー!」

母「また、神社で遊ぶの?」

男「うん!新しい友だちができたんだぁ!」

母「ふふっ、そう♪いってらっしゃい」

男「いってきまーす!」

母「危ないことはしちゃだめよー!」

男「わかってるー!」

神社

妖狐「」ワクワク

男「おはよー!」タッタッタ

妖狐「!!」

妖狐「おはようございます」ペコッ

男「今日はなにしよっかー」

妖狐「せみとりする?」

男「昨日したじゃん」

妖狐「じゃぁ、なにするー?」

男「えーと、おにごっこ」

妖狐「おにごっこ!」

男「困ったらおにごっこだよ!」エヘヘ

男「たっち!」タッタッタ

妖狐「ひゃぁ!」

男「次は君が鬼だよ!僕が逃げるばんだ!」タッタッタ

妖狐「よし」

妖狐「まてー」ピョンピョン

男「はやっ!!」

数日後

駄菓子屋

男「へへーん!」ドーン

妖狐「ぶたさん?」

男「これはね!僕の大切な貯金箱だよ」

妖狐「へー」

男「今日は特別に君にラムネを奢ってあげよう!」

妖狐「ラムネ?」

男「え?シュワシュワのやつ、知らないの?」

妖狐「」コクリッ

駄菓子屋

妖狐「」ゴクゴク

妖狐「!!」

妖狐「喉が……うっ」

男「あははっ、一気に飲んじゃうときついよ」

妖狐「」ケプー

男「もうすぐ夏休み終わっちゃうねー」

妖狐「え、えっと…うん」

男「今日からもっと遊ばなくちゃね!」

妖狐「!!」ウンウン

次の日

男「おはよー!」

妖狐「おはよー!」

男「今日はボールを持ってきたよ!」

男「キャッチボールだ!」

妖狐「キャッチボールだ!」

男「僕の球ははやいよー!」

妖狐「はやいのー!」

「あれ、みろよー」

「男のやつ、女子と仲良くしてるー!」

「だっせー」

「最近、一緒に遊ばないと思ったら」


男「……」

妖狐「?」

「女子と遊んでないで広場でドッジボールしようぜ!」

男「……え」

「おまえー、女子とあそぶのかー」

男「……えっと」

妖狐「…キャッチボール?」

「さきいくぞー」

男「え、えっと……」

男「ごめん、またね!」タッタッタ

妖狐「またね」

次の日

神社



妖狐「」ワクワク

妖狐「」ワクワク

――

夕方

妖狐「……」

妖狐「きょうはこないのかな」

妖狐「あしたはくるよね」

数日後

神社



妖狐「……」

妖狐「もーいーかーい」

シーン

妖狐「ふぅ……」

妖狐「もう、こない」

妖狐「……よね」

高校1年 春

帰り道

男「ふぁあ……」

友「明日から、午後からも授業あるんだぞ?」

男「しってる」

友「夜更かしは控えめにしろよ」

男「昼寝すりゃいいだろ」ハハハ

友「入学してすぐからなんてやつだ」ハッハッハ

友「そうだ!駄菓子屋よってこうぜ」

男「いいねぇ」

駄菓子屋

男「高校生になっても変わらんなぁ。こういうことするの」

友「放課後の買い食いは最高だからなぁ」

友「せっかくだし、そこの神社で座って食うか」

男「いいぜ」

神社

――


友「それでよー!あいつがさぁ」

男「またそいつかよ」

ハッハッッハハ

妖狐「あ」

男「えっと、なんすか?」

友「この神社、巫女さんとかいたっけ?」

男「しらん、祭りくらいしか行ってなかったし」

友「去年のお祭りで巫女さん見たかなぁ……いや、見たような気もする」

妖狐「お久しぶりです!!」ペコリッ

友「え?知り合い?」

男「お前の知り合いじゃないのか?」

友「俺じゃない!俺じゃない」

妖狐(覚えてない……)

妖狐「よく、遊んだじゃないですか!」

男「え?俺?」

妖狐「はい!よく二人で!」

男「そうだっけ?」

妖狐「……そうですよ」

友「人違いとかじゃないんすかね?」

妖狐「違います!」

男「……すいません。ほんとに覚えてないんすけど」

妖狐「!!」

妖狐「むぅ!!」

友「と、とりあえず今日は帰ろうか!」

男「そうだな」

妖狐「あっ!ちょっと!!」

神主「妖狐ちゃん、掃除おわったかい?」

妖狐「えっと!すみません!まだでーす!」





母「知らない人に声をかけられた?」

男「なんか神社の巫女さんに昔よく遊んだでしょって」

父「お前ほんとに覚えてないのか?」

男「うん」

母「そういえば、確か小学生の頃に」

男「え?何か思い出したの?」

母「あんた、夏休みにずっと神社に通ってたじゃない」

男「夏休み……神社」

父「あれか、朝から父さんと同じくらいに起きて」

男「あっ!!!!」



自室

男(確かに……あったな)

男(二人で何か色々と遊んでたような)

男(なんで、忘れてたんだろ)

数日後



神社

妖狐「」サッサ

妖狐「桜の花が……履いても履いても降ってくる」

妖狐「つかれたー」

男「おはよう」

妖狐「!!」

妖狐「おはようございます!!」ワクワク

男「この間はごめんね。思い出したよ。君のこと」

妖狐「よかったー!」

妖狐「それで、今日は何して遊びますか?」

男「いや、遊びとかじゃなくて」

男「……久し振りだね」

妖狐「お久しぶりです」ペコリッ

男「俺、君に謝らなくちゃならないんだ」

妖狐「?」

男「えっと、君との約束やぶったでしょ?」

妖狐「約束ですか?」

男「夏休みにおもいっきり遊ぼうって」

妖狐「そう……そうですよ!なんで来てくれなかったんですか!」

男「……なんていうか、小学生の男って女の子と遊ぶのが恥ずかしいっていう」

妖狐「?」

男「とにかく!!ごめん!!」

妖狐「いいですよ♪」

妖狐「だってこうして遊びに来てくれたんじゃないですか」

男「えっと……」

妖狐「夏休みじゃないですけどね」

男「すいませんした!!」

高校1年 夏休み

神社

男「暑いなぁ」

妖狐「ですね~」

男「ここももうすぐまつりだなぁ」

妖狐「はい!楽しみですね~」ワクワク

男「でも、お前は大変なんじゃないか?準備とかさ」

妖狐「男さんがてつだってくれますから♪」

男「おい」

男「まぁ、手伝うけどさ」

妖狐「」エヘヘ

妖狐「来年も再来年もよろしくおねがいしますね」

男「再来年はどうかなぁ」

妖狐「え?どういうことですかー?」

男「受験だよ。一応、俺も進学志望だし」

妖狐「あ……」

男「お前はどうすんだ?」

妖狐「えっと……ここにいます」エヘヘ

男「そっか」

妖狐(だって狐だもん……)



妖狐「……」

妖狐「はぁ……」

神主「悩み事かい?」

妖狐「い、いえ!」

神主「顔にかいてる」

神主「言ってみなさい」

妖狐「……」

神主「そうですか……」

妖狐「先祖代々から人の世に深く浸るべきではないと言われております……」

妖狐「ですが……」

妖狐「私はもっと人に近づきたいんです!」

神主「狐は人に化けても狐なんだよ」

妖狐「……」

神主「辛い言葉かも知れないが……人との相違は埋められん」

神主「いつか、息苦しくなってしまう」

妖狐「それでも!」

神主「恋をしてるんだろ?」

妖狐「/////」

神主「人の世に深く浸りたいのではなく」

神主「あの青年にもっと近づきたい……そうじゃないかい?」

妖狐「はい……」

神主「今のままの関係では駄目なのかい?」

妖狐「……」

神主「じっくり考え、悩みなさい」

神主「そして、自分で選んだ道を歩みなさい」

妖狐「……神主さん」

神主「狐も人も恋はするからね」ニコッ

高校二年



妖狐「今日から夏休み~♪」

男「俺がな」

妖狐「ねぇ!今年の夏は一杯あそぼう!」

男「来年は受験だからなぁ」

妖狐「とりあえず、今日はアイスを食べに行こう」

男「すぐそこじゃないか」

妖狐「男さんがいればすぐそこでもデートになるんだよ!」

男「むず痒いセリフだなぁ」

妖狐「さ!行こう!いざ、駄菓子屋へ!」ギュッ

駄菓子屋

友「あっち~」

男「よう暇人」

友「よう、暇人カップル」

妖狐「こんにちわ!友さん!」

友「こんちわ」

男「ひとりで、駄菓子屋か?」

友「買い物ついでに遊べる最後の夏休みを満喫してるのさ」

男「最後の夏休みかぁ」

妖狐「……あぁ!アイス美味しいなぁ」ガツガツ

男「頭きーんとするぞ」

妖狐「うぅ……」キーン

妖狐(いまの関係で私は十分に満足しています。)

妖狐(だけど、彼は……私が狐であることを知らない。)

妖狐(それが、とても辛くて嫌だったんです。)

妖狐(ずっと彼に嘘をついているようで……)

妖狐(彼は私が狐であると承知でも)

妖狐(今の関係でいてくれるのか)

妖狐(私は知りたくて……怖くて……たまりませんでした。)

数年後



神社

妖狐「もーいーかーい!」

妖狐「よし!」ワクワク

スタスタ

妖狐「ここなぁ!」チラッ

妖狐「……いない!」


スタスタ

妖狐「ここだぁ!」チラッ


妖狐「いない!」

妖狐「こうさーん!」

妖狐(私は最も臆病な選択肢を選びました。)

妖狐「私の負けだからもう出てきていいんだよ~」

妖狐(彼の中の私はずっと彼の見てきた私のままなのです。)

妖狐「な~んてね!」

妖狐(人としての私。狐としての私を知らない。)

妖狐「元気にしてるかな~、男さん」

妖狐(確かに少しさびしいです。だけど、素敵な思い出は汚れなく胸にしまうことができました。)

妖狐(私はそれで、十分なのです。)

――


神社

男「ねぇ、なんで毎日、僕と二人で遊ぶの?」

妖狐「いや?」

男「いやじゃないけど、ちょっと不思議だなって。女の子同士で遊ぶほうが楽しいかなとか」

妖狐「なんか!好きになっちゃいました!!」

男「え!?」

妖狐「なんか!!好きになっちゃったから!」ニコッ

男「そ、そう///なんだ///」

妖狐「うん!」エヘヘ



おわり

One more time, One more chance聞きながら
ノリで書いたのですんません

あったかもしれない話

妖狐「」ポンッ ポンッ

妖狐「これで信じてくれましたか?私は狐です。……人じゃありません」

男「……」

妖狐「だ、騙すつもりはなくて!」

妖狐「でも、嫌われるのが怖くて……」

男「いいじゃん」

妖狐「え?」

男「可愛いよ。ふかふかしてて」

妖狐「か、可愛いって!狐ですよ!?変化狐です!神通力も使います!!」

男「でも、前のお前と何も変わらないじゃないか」

男「それとも、狐だと性格まで変わっちゃうのか?」ハハハ

妖狐「笑い事じゃなーい!」

男「笑い事だよ。俺からすればね」ニコッ

妖狐「/////」ドキッ

男「だけど……隠し続けるお前からすれば笑い事なんかじゃないよな」

男「ずっと辛い思いをさせてしまったな……」

妖狐「男さん……」

男「関係無かったんだ。あの時、ここで初めて好きだって言われた時からずっと」

男「狐でも人でも俺には関係なかったんだよ」

男「嬉しかったし恥ずかしかった。恋ってこういうのなんだって思った」エヘヘ

男「だからさ」

妖狐「はいぃ」ウルウル

男「泣くなよ~」ポンポン

妖狐「だってぇ」ヒックヒック

それは神社が桃色に染まる春の出来事でした。

桜の花びらを頭に載せた彼は泣きじゃくる私にずっと微笑みかけてくれました。

春の陽気と彼の温もりはとても心地よくこんな時間がずっと続けばいいのにと思いました。

ずっと続くんです。これからもずっと

男「さて、今日はこれをしようか」

妖狐「ボール?」

男「あの時、できなかったキャッチボールだ!」ビシッ

妖狐「スーツ姿で?」クスクス

男「大学の入学式だったんだからしかたないだろう!」

男「俺の球は速いぞ~!」

妖狐「えへへ、懐かしい」

男「いくぞ!それ!」


おわり

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