岡部「たまには名前で呼ばれたい」(112)
岡部(思えば、周りに俺を名前で呼ぶ奴がいない……)
岡部(まゆりとは付き合いが一番長いのに、呼び名はずっとオカリン。それに影響してダルも同じく)
岡部(紅莉栖とルカ子、萌郁は名字で呼び、フェイリスは唯一、常に真名で呼ぶが、名前で呼ばれた事はない)
岡部(鈴羽は……一応、呼んでくれるが、フルネーム呼びだしな)
岡部「はあ……たまには名前で呼ばれたい」
紅莉栖「……」
( ^) だから♪
( ) ̄
( | | )
_(^o^) 今♪
( )|
( | | )
( ^o) 1秒ー♪
 ̄( )
( // )
(^ ) ごと♪
(/ ) ̄
( // )
(o^ ) に~♪
( )ヽ
| |
..三 \ \ V / (o^ ) 三 世界ー♪
三 \ \ V / ( )ヽ 三
三 \ \ | / / / 三
三 ( ^o) \ V // / / 三 線をー♪
三/( ) \ V / (o^/ 三
三 ヽヽ \ | /( / 三
..三/( ) \ V / (o^ ) 三 越ーえてー♪
三 ヽヽ^o) \ V / ( )ヽ 三
三 \ )\ | (o^/ / / 三
岡部(しかし、いまさら呼び名を変えてもらうのも違和感があるしな……)
岡部「ふむ……どうすれば」
紅莉栖「ね、ねえ」
岡部(いや待て、常にフルネーム呼びの鈴羽なら、頼めば名前で呼んでくれるのでは……)
紅莉栖「ねえ!」
岡部「」ビクッ
岡部「じょ、助手!? い、いたのか?」
紅莉栖「いたわよずっと!」
岡部「そ、そうか、ずっといたのか! ふんっ、この俺に感知させないとは、中々やるようになったな! クリスティーナ!」
紅莉栖「ティーナって、言うな!」
岡部「フゥーハハハ! クリスティーナをクリスティーナと呼んで何が悪い!?」
紅莉栖「だからティーナって、言うな……倫太郎」
岡部「……」
岡部「えっ?」
紅莉栖「な、なに?」
岡部「えっ、あっ……」
岡部(まずい……聞かれたか!?)
岡部「お、俺の名前は鳳凰院凶真と言った筈だ。へ、変な呼び方をするな」
紅莉栖「り、倫太郎を倫太郎と呼んで何が悪いのよ……」
岡部「なっ!?」
紅莉栖「ふふっ、名前で呼ばれたくらいで狼狽えるなんて、かわいいところあるじゃない。ねっ? 倫太郎」
岡部「くっ、だ、黙れセレセブ!」
紅莉栖「いつにも増して必死ね、倫太郎?」
岡部「ぐぬぬっ」
岡部(くそ、こいつ絶対に楽しんでる!)
紅莉栖(ああ、夢にまで見た倫太郎呼び……まさかこんなにも早く実現するなんて、ふふ、ふひ)
岡部「い、いい加減、その呼び方は止めろ」
紅莉栖「あら? 名前で呼ばれたかったんじゃなかった?」
岡部「ふん! 誰も貴様に呼ばれたいなどと思ってないわ!」
紅莉栖「その割には随分と反応してるけど?」
岡部「おのれ……! 助手の分際でぇ!」
紅莉栖(名前を呼んだだけで慌てる倫太郎かわいい。倫太郎、かわいいよ倫太郎)
マグマうぜえ
ガチャ
まゆり「オカリン、トゥットゥルー☆ あっ、紅莉栖ちゃんも、今日は早いね♪」
岡部「まゆり! いいタイミングだ!」
まゆり「ほえ?」
岡部(ふん、さすがにまゆりの前では紅莉栖も名前呼びしてこないだろう)
紅莉栖「ねえ、まゆり。ちょっといい?」
まゆり「んー? なあに、紅莉栖ちゃん」
紅莉栖「実はね……」ゴニュゴニョ
まゆり「ほ、ほんと!?」
紅莉栖「ええ、試してみて」ボソッ
まゆり「う、うん……」
岡部「おい、助手! 貴様、何を企んでいるのだ!?」
岡部(助手め……まゆりに何か吹き込んだな?)
まゆり「あ、あの……」
岡部「どうした、まゆり」
まゆり「えっと、その……はぅぅ、紅莉栖ちゃん。やっぱり恥ずかしいよ~」
紅莉栖「大丈夫よ! 相手はそれを望んでいるんだから!」
まゆり「う、うん……」
岡部「まゆり? 助手に何を吹き込まれたか知らんが、別に従う必死などないぞ」
まゆり「そ、そうじゃないの、えっと、ね……」
岡部(こんなに狼狽えるまゆりなんて初めて見たな。全く、何を吹き込んだのだか……)
まゆり「り、倫太郎……さん」
岡部「……」
岡部「」
岡部「な、なあ……まゆり?」
まゆり「な、なあに?」
岡部「その、だな……い、いまなんと言った? どうやら一瞬だけ記憶が飛んでしまったようだ」
まゆり「ふ、ふぇ!? ま、また言わなきゃダメなの?」
岡部「い、いや! 無理に言う必要はない! だから今のは聞かなかった事に……」
紅莉栖「まゆり、今よ! 畳み掛けて!」
まゆり「り、倫太郎、さん……!」
岡部「はぅ……」
岡部「なっ、なっ……」
まゆり「く、紅莉栖ちゃん、オカリ……倫太郎さんの顔が真っ赤だよ? だ、大丈夫かな」オロオロ
紅莉栖「問題ないわ。ほら、倫太郎の顔を見て。まゆりの顔を直視できなくなる程、喜んでる」
岡部「ち、違う! 喜んでなんか……!」
まゆり「や、やっぱり嫌だった、かな」
岡部「そ、それは違うぞ!」
まゆり「ほえ?」
紅莉栖「どっちなのよ……」
岡部(い、いかん! 思考が纏まらない! これがギャップ萌か!?)
岡部「ま、まさかこれ程の威力とは……」フラッ
まゆり「だ、大丈夫?」ギュッ
岡部「あ、ああ」
まゆり「良かった。えへへ、実はまゆしぃ、一度は名前で呼んでみたかったんだよ? 倫太郎さん♪」
岡部「ほわっ!?」
紅莉栖「ふふっ、無様ね、倫太郎」
岡部「……まゆり、恐ろしい子」
紅莉栖(あれ……私が倫太郎呼びしても反応してくれない)
岡部(だ、ダメだ、この精神攻撃はあまりに危険すぎる!)
岡部「い、一度、離脱せねば……」ヨロヨロ
岡部「ふ、フゥーハハハ! さらばだあ!」モヤットスネーク、オン!
ぶしゅー
紅莉栖「なっ!」
まゆり「はわわ~! 何も見えないよ~」
岡部(い、今のうちに離脱を……)
紅莉栖「り、倫太郎! どこ!?」
岡部「はぅっ」
まゆり「倫太郎さん!」
岡部「ぐはっ」
岡部(い、いかん……理性が、跳ぶ……! こ、これ以上ここに居れば、二人に何をしてしまうか分からない、早く、離脱を……)
岡部(よし、扉まで来た。モヤッド・スネークの目くらましはそれほど長くない。早く、出なければ……)ヨロヨロ
ガチャ
岡部「えっ?」
鈴羽「うぃーす! バイトが暇だから遊びにきたよ!」
萌郁「……こんにち、わ」
岡部「鈴羽……萌郁……」
紅莉栖「あっ、やっとミストが消えた……倫太郎はどこに……って、あれ? 阿万音さんに桐生さん?」
鈴羽「ちっす」
萌郁「遊びに、きた……」
鈴羽「それよりさ、なんでこんなにラボ内がびしょ濡れなワケ?」
紅莉栖「倫太郎がモヤッド・スネークを使ったのよ」
萌郁「……なに?」
まゆり「未来ガジェットのことだよ」
鈴羽「ふ~ん。あと、さっきから気になってたんだけど……」
岡部(逃げ損ねたかと思ったが、このまま鈴羽たちが会話をしている内に逃げれば!)
紅莉栖「なに?」
鈴羽「なんで岡部倫太郎の事、名前で呼んでるの?」ガシッ
岡部「ぬわっ!」
紅莉栖「それが岡部の望みだからよ」
萌郁「……?」
岡部「は、離せ! バイト戦士!」ジタバタ
鈴羽「岡部倫太郎の望みって、どういう意味?」
岡部「無視するでない!」
紅莉栖「そのままの意味よ。倫太郎は名前で呼ばれる事を望んでいるのよ」
鈴羽「えっ? でも鳳凰院なんたらで呼べって、いつも……」
岡部「鳳凰院凶真だ! だから離せ!」ジタバタ
紅莉栖「忘れたの? 倫太郎はツンデレよ」
鈴羽「!?」
萌郁「つん、でれ……?」
まゆり「えっと、簡単に言うと素直じゃない人のことだよ」
萌郁「……なるほど」
鈴羽「じゃあ岡部倫太郎は本当は……」
紅莉栖「ええ、あんな厨二ネームではなく、ちゃんと私たちに名前を呼んでほしかったのよ」
鈴羽「そう、だったんだ……」バッ
萌郁「……名前、で」
岡部「や、やっと解放された……」
岡部(くっ、助手め! まゆりに続いて鈴羽と萌郁にもいらぬ事を吹き込みよって!)
萌郁「岡部くんの、望み……」
岡部(まゆりの時のようになっては今後こそまずい! 早く外へ!)
萌郁「……倫太郎、くん」
岡部「!?」ビクン
鈴羽「あっ! いま体がビクンってなった!」
紅莉栖「それほど名前を呼ばれる事を望んでいるのよ」
まゆり「えへへ、まゆしぃの時の反応はもっと凄かったのです」
岡部(ぐっ……だ、だが! 名前呼びは紅莉栖とまゆりでもう慣れ)
萌郁「倫太郎、くん……倫、くん」
岡部「はわぅ!?」ビクンビクン
鈴羽「こ、これは……!」
紅莉栖「名前呼びの後ににあだなで追撃!?」
まゆり「倫くん、かあ……いいなあ、まゆしぃも今後呼んでみようかなあ」
岡部(り、倫くん、だと……!?)
岡部「ふ、ふざけるな! お、俺は鳳凰院……」
萌郁「倫くん……」ナデナデ
岡部「なっ」
鈴羽「あ、頭を撫でた!? えっ、ありなの!? あれ、ありなの!?」
紅莉栖「無しに決まってるじゃない! ふざけんなし!」
まゆり「倫太郎さんの頭をなでなで……えへへ」
萌郁「倫くん……」ナデナデ
岡部(なんだよこれ……なんだよこれ! あ、頭を撫でられてる? 俺が? 何故だ!? なんで俺が……萌郁に……これではまるで姉ではないか……姉?)
岡部「萌郁……お姉ちゃん?」
萌郁「!?」
>>68
おいダル忘れてるだろ
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鈴羽「い、いま、なんて……」
紅莉栖「お姉ちゃん……だと?」
まゆり「萌郁さんが倫太郎さんのお姉さん……?」
まゆり「……」
まゆり「それじゃあ、まゆしぃにとっても萌郁お義姉さんだね、えへへ」
紅莉栖「いや、そのりくつはおかしいわよ。まゆり」
まゆり「ほえ?」
岡部(お、お姉ちゃん!? な、何を馬鹿な、俺は何を言って……)
萌郁「倫くん、は私の……弟?」
岡部「ち、違う! 今のはつい……」
萌郁「倫くん、は私の……弟」ナデナデ
岡部「だ、だから違うと!」
萌郁「弟……ふふっ」ナデナデ
岡部「……くっ、もう好きにしろっ」
やっぱ年上に限るな
年下とか特に胸無しなんてマジ論外
>>75
あ?
萌郁「私の、弟……」ナデナデ
岡部(どうしてこうなった……)
鈴羽「……」ジー
岡部「な、なんだ、バイト戦士」
鈴羽「倫太郎!」
岡部「……なんだ」
鈴羽「う~ん、やっぱ普通の呼び方じゃ反応しないか~」
岡部「ひ、人の反応を見て遊ぶでない!」
鈴羽「遊んでないよ。君に喜んで貰うと思って……あっ、そうだ! リンリンとかどう?」
岡部「……なんだ、そのパンダに付けるような名前は」
紅莉栖(さすがに桐生さんの『倫くん』を超える呼び方はないわね)
鈴羽「う~ん、じゃあ……倫太郎おじさんとか」
岡部「誰がおじさんだ!?」
鈴羽「それじゃあ……」
岡部「無理して考えなくていい。普通に呼べ、普通に」
鈴羽「倫太郎パパ!」
紅莉栖「……」
まゆり「……」
萌郁「……」
岡部「……」
岡部「はっ?」
俺はどうやら別の世界線を辿っていたらしい
すまなかった
>>81
いいからROMってろよ
紅莉栖「い、いやいやいやいや!! 阿万音さん! それはないでしょ!?」
鈴羽「えっ? なんで?」
紅莉栖「パパって……あなた達、同い年じゃない!」
鈴羽「あ~それは、まあ……」
岡部「お、おい、鈴羽!」グイ
鈴羽「ちょ、引っ張んないでよ! なに?」
岡部「……い、一応聞くが、実は俺がお前の父親とか言い出さないだろうな?」ヒソヒソ
鈴羽「あはは、それはないから安心して」ヒソヒソ
岡部「ならいいが……」ヒソヒソ
鈴羽「まあ、小さい時から遊んで貰ってたから、あたしにとっては二人目の父さんみたいなもんだよ」ヒソヒソ
鈴羽「ね? パパ呼びでも問題ないでしょ?」
岡部「い、いや待て! それとこれとは話が……」
鈴羽「倫太郎パパー!」ムギュ
岡部「はわぉ!?」
紅莉栖「なっ!?」
まゆり「スズさん大胆なのです……」
萌郁「私の倫くん、が……」
まゆり「……」
萌郁「……」
まゆり「倫太郎さんがスズさんのパパならまゆしぃはスズさんのママ? えへへ」
萌郁「私は阿万音さんの……叔母?」
紅莉栖「おい」
鈴羽「あはは、こうやって抱き付くのは久しぶりだな~」ヒソヒソ
岡部「それは未来の俺だろ!?」ヒソヒソ
鈴羽「倫太郎パパは倫太郎パパだよ」
岡部「だ、だからパパ呼びは……」
鈴羽「じゃあ、父さん?」
岡部「だから、そうでない!」
鈴羽「えへへ、倫太郎父さん……」
岡部「……もう、どうにでもなれ」
次の日
岡部「はあ……」
岡部(昨日は散々な目にあった……)
岡部(確かに名前で呼ばれたいと思ったが、俺は断じてパパや倫くんなどと呼ばれたい訳ではない!)
岡部(奴らはそれを分かっていない……)
岡部「………」
岡部(ま、まあ、悪くはなかった、がな……)
岡部「しかし、このままラボにいては、昨日のようにまた紅莉栖たちに精神攻撃を受ける事になるな……」
岡部(今日は、外に出た方がいいな……そうだ、久しぶりにルカ子の修行に付き合うか)
柳林神社
ルカ子「あっ……」
岡部「ルカ子、ちゃんと毎日の素振りは続けているか?」
ルカ子「は、はい……」モジモジ
岡部「どうかしたか?」
ルカ子「ふえ?」
岡部「いや、何か落ち着きのないように見えたのだが……」
ルカ子「あっ、その、えっと……」アセアセ
岡部「……?」
ルカ子「り、倫太郎……さま」
岡部「……」
岡部「」
岡部「なん……だと……?」
ルカ子「あ、えっと……」
岡部「る、ルカ子?」
ルカ子「は、はい!」
岡部「な、なぜ、名前を……」
ルカ子「あ、あの、えっと、まゆりちゃんが、その……倫太郎さまがな、名前で呼ぶと喜ぶって言ってて、それで……」
岡部(まゆりいいいいいいいいいい!!!)
岡部「な、名前呼びの件はわかった。だ、だがな? なぜ『さま』を付けるのだ!?」
ルカ子「そ、それは、呼び方を工夫した方が喜ぶって、牧瀬さんが……」
岡部(紅莉栖ぅうううううううう!!!)
ルカ子「あ、あの!」
岡部「……なんだ」
ルカ子「や、やっぱり僕なんかが名前で呼んじゃダメ、ですよね」
岡部「は、はあ?」
ルカ子「だって、うぅ、……余り喜んでもらってないですし」グスッ
岡部「そ、そんな事で泣くな!」
ルカ子「でも……」グスッ
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