健夜「え?わたしが食わず嫌い王決定戦に出るの?!」 (82)

   テレビ局食堂にて

健夜「フフ~ン♪」トコトコ

食おば「小鍛冶さん出来たわよ」カラン

健夜「うわぁ~ありがとうおばさん!ここの温玉カレーは港区一だよ!」

食おば「そう言ってもらえるとわたしも嬉しいわ」

健夜「さぁてと……」ジュルリ…

 トコトコ・・・・・・

健夜「温玉カレーにはコーラが一番合うよねっと」

健夜「フフ~ン♪」

健夜「こうぐじゅぐじゅにかき混ぜて……」

   グジュグジュ

健夜「出来た!じゃっいっただきま~す!」

  パクッ!

健夜「ンマーイ!やっぱりここのカレーは港区一だよ!」

健夜「ハム!ハフハフ!」ヤムヤム

健夜「フィー!たまらん!」

健夜「ハム!ハフハフ!」ヤムヤム

恒子「お!すこやんじゃん!アラフォンにちは!」

健夜「挨拶の中に悪意を込めるのやめてくれないかな……」

恒子「どうしたのすこやんお昼?!わたしはまだこれから仕事なのに良い御身分だね!」

健夜「いきなり来て厭味!?ちょっと酷過ぎないこーこちゃん!」

恒子「冗談だって!いやぁすこやんをからかうのは楽しいなぁ!」

健夜「もう!いま一日で二番目に幸せな時間なんだから!邪魔しないでよ!」

恒子「二番目?なら一番幸せなのはいつなの?やっぱりわたしと一緒にいるとき……」

健夜「夕ご飯のときに決まってるじゃん……まったくもう……」ヤムヤム

恒子「食べてるときが一番幸せってなんかさびしいね小鍛冶さん……」

健夜「哀しくなるからいきなり素に戻らないでよ……」ヤムヤム

健夜「ハム!ハフハフ!」ヤムヤム

恒子「すごいすこやん、体中で食べてる」

健夜「ん!ん!ん!」ゴキュゴキュ!

恒子「コーラ一気飲みとかリーダーみたい……」

健夜「プハァー!やっぱコーラは罐に限るね!」

恒子「凄い食べっぷりだねこーこちゃん、食べてるときが一番幸福と言うだけはあるね……」

健夜「うるさいよ!っとおかわりしてこよ~」トコトコ

恒子「まだ食べるんだ……」

健夜「フフ~ン♪次はチーズカレーだよ~♪」

恒子「そうだった!そんな食い意地の凄いすこやんに良い知らせがあるんだった!」

健夜「食い意地が凄いって言い方やめてよ恥ずかしいじゃん……」

恒子「(あんな食べ方して恥ずかしいもなにもないんじゃ……)実はね……」

健夜「うん」

恒子「今度とんねんるずのみなさんのおかげでしたに出演が決まったよ!」

健夜「え……」

恒子「ふふふ……」

健夜「こ、こ、恒子ちゃんいまなんて……」

恒子「だから、とんねるずの番組に、すこやんが出るの」

健夜「あわわわわ……わ、わたしがとんねるずの番組に……」カタカタ

小鍛冶プロの世代にとってはとんねるずは憧れの存在なのである……!

健夜「仮面ノリダーに保毛田保毛男にねるとんに生ダラに野猿に近未来警察072ビュイ!に……」

恒子「おっと松嶋菜々子の黒歴史はそれまでだ」

健夜「ほ、ほ、ほんとにわたしがとんねるずの番組に出るんだっぺか!」

恒子「すこやん興奮しすぎて茨城弁が出てるよ……本当だよ、来週収録だよ」

健夜「わ、わたしがとんねるずと共演……」

恒子「そういうわけで来週はお腹空かせといてね!じゃあね!」トコトコ

健夜「来週か……」ドキドキ

健夜「……」

健夜「……」

健夜「……」

健夜「……」

健夜「わたしがとんねるずと共演……」

健夜(やった!これでプロ雀士になった目標をひとつクリアした!あとはいいとものテレフォンショッキングだけ!)

健夜「……」

恒子≪てなわけで来週はお腹空かせといてね!じゃあね~!≫

健夜(お腹を空かせといてと言うくらいだから企画は食わず嫌い王……もちろんわたしも大好き……)

健夜「でも……」

番組に出られるのは嬉しい……しかし小鍛冶健夜には食わず嫌い王に出ることにあたってある不安が生じたのだ……!

健夜「どうしよう……どうしよう……」カタカタ

  焼き鳥屋にて

健夜「というわけで靖子ちゃんに折り入って相談があるんだよ」

藤田「なんでわたしなんですか……」

健夜「こんなこと相談出来るの靖子ちゃんしかいないしさ」

藤田「は、はぁ……」

健夜「あ、取りあえず生とレバーで」

藤田「わ、わたしはかつ丼で……」

健夜「今度わたしみなさんのおかげでしたに出るんだよ!凄いと思わない?!」

藤田「はぁ、凄いんじゃないですか」

健夜「反応悪いなぁ……ある意味成功者になるために大切なことだよこれって」

藤田「そんなわけないでしょう小さすぎるますよそんな成功って……」

健夜「あ、このお通しの切干大根美味しい」モグモグ

藤田「……」

健夜「レバー美味しい~」ウシウシ

藤田「……」モグモグ

健夜「ん!ん!」グビグビ

健夜「プハァー!やっぱ仕事のあとの一杯は最高だね!」

藤田「そ、そうですね……」チビチビ

健夜「どうしたの靖子ちゃん!全然盛り上がってないじゃん!」

藤田「す、すみません……」

健夜「そんなにわたしと一緒に飲むのが嫌?」ウルウル

藤田「そ、そんなことないですよ!ただ小鍛冶プロを前にしてちょっと緊張してるだけです!」

健夜「な~んだ、そんな緊張することないって!リラックスリラックス~」グビグビ

藤田「は、はぁ……」

健夜「ああ靖子ちゃんと飲むビールは格別!」グビグビ

藤田「(もう酔ってる……)で、わたしに相談って何なんですか……」

健夜「相談?そうそう靖子に相談したいことがあったんだったね」グビグビ

藤田「やっぱあれですか、恋愛関係とかですか……結婚したいのに出来ないみたいな……」

健夜「違うよ!そんなこと靖子ちゃんに相談しなくなって出来るから!結婚出来るから!」

藤田「そうですか……」

健夜「そんなことよりもっと深刻なことだよ……わたしが食わず嫌い王に出るって言ったよねたしか?」

藤田「さっきからその話しかしてないと思いますが……」

健夜「わたしずっと夢だったんだ食わず嫌い王に出ることが、小さいことからずっと……」グビグビ

藤田「小さい夢ですね……」

健夜「でもわたしは出る資格が無いんだよ……」グビグビ

藤田「なんでですか、別に出場資格とか無いでしょ番組……」

健夜「だってわたし!嫌いな食べ物とか無いんだもん!」

藤田「はぁ……」

藤田「だからどうしたんですか……」

健夜「だって食わず嫌い王だよ!嫌いな食べ物が無いと企画が成り立たないよ……」

藤田「……」

健夜「どうしよう……」オロオロ

藤田「あの……そんなことのためにわたしを呼んだんですか……」

健夜「そうだよ、嫌いな人に嫌いな食べ物のことを相談できると思う?」

藤田「いやまぁそうですけど……」

健夜「あ、ビールおかわりで、それと鳥皮とぼんじりを下さい」

藤田「わ、わたしはかしらで」

健夜「だからなんとかしてよ靖子ちゃん」

藤田「なんとかしてと言われましても……」

健夜「鳥皮美味しい~」ウシウシ

藤田「本当に美味しそうに食べますね……」チビチビ

健夜「欲望に忠実だからね~食べたいときに食べる!寝たいときに寝る!ヤりたいときにヤる!」グビグビ

藤田(もう完全に酔ってる……)

健夜「だからさぁ靖子~、わたしの嫌いな食べ物探してよ~」ニヤニヤ

藤田「知りませんよそんなの……レバーとかどうです、嫌いな人多いですよ」

健夜「レバーは一番好きだよ~さっきもモリモリ食べてたじゃ~ん」グビグビ

藤田「じゃあガツとかコブクロとかの変わり種とかどうですか……」

健夜「なにそれ美味しいそう!店員さ~んガツとコブクロくださ~いあと日本酒!」

藤田「……」

健夜「ゴクゴク!プハァー!ンマーイ!」

藤田(こんなにはなりたくないな……)

健夜「美味しいな~」バリボリバリ

藤田「ガツもコブクロも美味しそうですね……」

健夜「凄く美味しいよ~」

健夜「ん!ん!ん!」グビグビ

健夜「プハァー!やっぱ日本人は日本酒は一番だよね~靖子~」

藤田「そ、そうですね……」

健夜「で、嫌いなものは見つかったのぉ」ジロリ

藤田「し、知りませんよ!わたしは小鍛冶プロじゃないんですから!」

健夜「おれがおまえでおまえがおれで?あれ?わたし誰だっけ?ねぇ靖子!わたし誰だっけ!」

藤田「小鍛冶健夜プロじゃないですか……なに言ってるんですか……」

健夜「そうだわたしは小鍛冶健夜だった~」キャッキャッ!

藤田(面倒くせぇー……)

健夜「砂肝も美味しい~」ガリガリ

藤田「……」チビチビ

健夜「ところで靖子が嫌いな食べ物ってなんなの~」グビグビ

藤田「ソースカツ丼ですかね、あんなのは邪道ですよ」モグモグ

健夜「福井県の皆さんに謝れ!ソースカツ丼は福井県のアイデンティティだよ!」

藤田「むしろ小鍛冶プロが叩かれますよその発言だと……」

健夜「健夜は普通のカツ丼もソースカツ丼も好きだけどな~
   あ!そうだ!カツ丼にカレーをかけたら美味しくなると思わない!凄い発明だよ!」

藤田「それはもはやただのカツカレーですよ……」

健夜「それじゃ他に無いの?うぃ~」

藤田「他にはそうですね……ホヤが嫌いですね」

健夜「ホヤ?ホヤってなに?西武鉄道池袋線の……」

藤田「保谷駅でしょそりゃ……なんでこの流れで保谷の話をするんですか……」

健夜「ホヤホヤ藤田しゃ~ん、今日は保谷駅で降りるんですかぁ~」

藤田「……」

健夜「プハァー!ンマイ!」

藤田「だから小鍛冶プロとは飲みたくないんだ……」

健夜「ん?なんか言った?」

藤田「いえ……」

健夜「そんでそのホヤっていうのが嫌いなの?why?」

藤田「なんか臭みが強くて……見た目もなんか苦手で……」

健夜「靖子は見た目も良いから美味しいと思うよ」グビグビ

藤田「やめてくださいよ恥ずかしい……」

健夜「じゃあそのホヤを試してみよう!店員さん!ホヤ持ってきて!」

店員「お客様申し訳ございません……当店はホヤはちょっと扱っていないんですよ……」

健夜「ああ!?なんで無いの!そんなのっておかしくない?」

店員「でも焼き鳥屋ですし……」

健夜「デモもパレードも無いよ!無いんだったら買ってくるなんなりしてよ!お客様は神様だよ!」

店員「す、すみません!た、ただいま買って参ります!」スタタタタタッ!

健夜「まったくもう態度がなってないよね、サービス業なんだからちゃんと躾なきゃダメだよね靖子」

藤田「お酒控えないと確実に好感度下がりますよ小鍛冶プロ……」

  20分後

健夜「ほらだって赤木しげるだって板前を叩き起してフグ食べてたんじゃん」グビグビ

藤田「あれは漫画ですからね……」

店員「ホ、ホヤお持ちしました!」

健夜「これがホヤ……」 藤田「どうです、いかにもって感じでしょう」

健夜「と、とにかく食べてみるよ……そのまえに、ねぇ靖子」

藤田「なんですか急に改まって……」

健夜「わたしになんかあったらお母さんのことよろしくね……」

藤田「死にませんから別に!さすがにホヤにビビりすぎですよ……」

健夜「行って参ります!んぐ!」パクッ!

藤田「どうです?マズイでしょ?」

健夜「ン……!」

藤田「ん?」

健夜「ンマ~イ!なにこれ凄く美味しいじゃん!マズイとか言ってたけど全然じゃ~ん!」

藤田「ダメだったか……」 健夜「お酒が進む進む!」グビグビグビ!

  路上にて

健夜「うぃ~!」ヨロヨロ

藤田「小鍛冶プロ酔っぱらいすぎですよ!」

健夜「わらしは酔っぱらってなーい!わらしのどこが酔っぱらってるって言うのかね!」

藤田「酔っぱらいの常套句やめてくださいよ……」

健夜「もう1軒行こ~う!」ヨロヨロ

藤田「もう帰りましょう!もうへべれけじゃないですか……」

健夜「まだまだ夜はこれからだしぃ!すこやんまだ帰らないしぃぃぃぃ!」フラフラ

藤田「ンモー!完全に当初の目的忘れてるでしょ……」

健夜「もう1軒!もう1軒!」

藤田「分かりましたよあと1軒だけですよ……」

健夜「うわ~い!うぃ~」

こうして二人は夜の街に消えていったのであった……

・・・・・・

・・・

藤田「グーグー……」

健夜「すぴーすぴー」

藤田「グーグー……」

健夜「ぐごーぐごー」

藤田「ん……」

健夜「スースー」

藤田「ん……ん……どこだここ……」ゴシゴシ

眠りから覚めるとそこはどこかの部屋のようだった

藤田「いてててて……頭が痛い……」ズキズキ 健夜「あびーあびー」

藤田(そうか結局昨日は小鍛冶プロと夜通し飲み明かしたんだったな……)

健夜「ぐらーすごー」 藤田「しかしここはどこだっけ……」

そこは小汚く狭い部屋だった

藤田「……そう言えば」

 昨日の夜

健夜≪うぃー!わたしはアラサーじゃなーい!!!≫

藤田≪小鍛冶プロ落ち着いてください……≫フラフラー

健夜≪健夜は怒ってるんだよぉ!この理不尽な世の中に!アラサーを差別するこの狂った世界に!≫

 クスクス ナニアレ イヒヒヒヒヒ アワレナフタリダナ

藤田≪ジロジロ見られてますから黙ってくださいって……≫

健夜≪哀れって言うな!いま一番哀れなのはどっかの知事だよ!≫

藤田≪急に時事ネタやめてくださいよ……≫

健夜≪うぃ~!のんじゃおっかなぁ!≫

藤田≪もうやめましょ!ね!≫

健夜≪白いワインなんてサイダーだろー!うぃー!≫

藤田≪もう家に帰って寝ましょ小鍛冶プロ……≫

健夜≪!!そうだ!男気じゃんけんだよ!≫

藤田≪男気じゃんけん……?≫

健夜≪男気じゃんけんじゃんけん!≫

藤田≪ちょ、ちょっと待ってくださいって!≫

健夜≪ほい!≫←チョキ

藤田≪ほ、ほい≫←パー

健夜≪ぐふふ!健夜の勝ちらね~≫

藤田≪はぁ、だからなんです……≫

健夜≪こっちだよ靖子~≫ガシィ!

藤田≪ちょ!なんですかいきなり!離して……≫

健夜≪男気注入しま~す!≫スタタタタッ!

藤田≪どこに連れてく気ですか!あ!そっちは!≫

健夜≪注入!注入!≫

・・・

・・・・・・

・・・・・・

・・・

藤田「……そうだ急にじゃんけんに負けてホテルに連れ込まれたんだ」

健夜「スピースピー」

藤田「……」

藤田靖子は周りを見渡す、やはりそこは記憶通りホテルの小部屋だった

藤田(シャワーに安テレビに……場末のビジネスホテルって感じだな……)

健夜「ぐごーぐごー」

藤田「はぁ頭痛い…………は!」

そこで藤田靖子気づく!

藤田「ってことは!」バササチラッ!

健夜「うぴーうぴー」

隣には小鍛冶健夜が寝ている、そして二人とも生まれままの姿……
それが意味することは一つ……!

藤田「くっ……!食べられた……!」

健夜「ふふふ靖子ちゃん激しいよぉ……」ムニャムニャ

 三日後  テレビ局食堂にて

食おば「小鍛冶さん出来たわよ」カラン

健夜「うわぁ~ありがとうおばさん!やっぱりここの温玉カレーは港区一だよ!」

食おば「あなたにそう言ってもらえると作った甲斐があるわ」

健夜「さぁてと!」ジュルリ…

 トコトコ・・・・・・

健夜「温玉カレーには……今日はスプライトにしよう!」

健夜「フフ~ン♪」

健夜「こう思いっきりぐじゅぐじゅにかき混ぜて……」

   グジュグジュ !

健夜「出来た!じゃっいっただきま~す!」

  パクッ!

健夜「ンマーイ!やっぱりここのカレーは港区一だよね!」

藤田「痛たたたたた……」

健夜「あ!靖子ちゃん!」

藤田「肛門が痛いんですけど……小鍛冶プロいったいどういうプレイをしたんですか……」

健夜「ん?なんのこと?」

藤田「(覚えてないのか……)いえなんでもないです、どうですか?嫌いなもの見つかりましたか?」

健夜「それが全然なんだよね、生まれてこのかた好き嫌いが無いのが自慢だったのになぁ」

藤田「好き嫌いが無いのも考えモノですね、野菜で嫌いなのとか無いんですか?」

健夜「無いよ」

藤田「ピーマンも人参もパセリも大根もいんげんもスイカも?」

健夜「全部好きだよ、野菜も食べなきゃ栄養バランスが偏って体に悪いからね、あとスイカは果物でしょ?」

藤田「スイカも一応分類は野菜みたいですよ」

健夜「へぇそうなんだ、よく知ってるねそーゆー事」

藤田「そういう豆知識を聞かせてくる奴が長野にいますからね……」

健夜「?」

???「お二人さんお困りのようですね~!イヒヒヒヒ!」

健夜「あ!あなたは!」

赤阪「赤阪いくのんやで~!」

藤田「もの凄く面倒臭いのが来ましたね……」

赤阪「もうやすこんいけずやな~そんなにいくのんと交流持つのが嫌なん?」

藤田「嫌です」

赤阪「星野伸之ばりのストレートな発言やな~ど真ん中に来たで~」

藤田「めちゃくちゃ打ちごろじゃないですかそれじゃ……」

赤阪「イヒヒヒヒヒ!」

健夜「それでなんか用なの赤阪さん?」

赤阪「御両人がお困りのようやから大阪から吹っ飛んできたで~」

藤田「わたしたちが悩んでるってよくわかりましたね……」

赤阪「いくのんは千里眼の持ち主やからな~、二人がくんずほぐれつ乳繰り合ってたのも知ってるで~」

藤田「な、なぜそれを……!」 赤阪「あ、やっぱそうやったんや!ガチレズやん!ヒューヒュー!」

藤田「あ!」 赤阪「語るに落ちるとはこのことやな~」

藤田「べ、別にそんなことしてませんから!乳繰り合うなんてそんな……」

赤阪「まぁたしかに乳繰り合うというより穴をほじり合うと言ったほうがええやろな~」

藤田「小鍛冶プロ!あのときわたしになにをしたんですか!」

健夜「さ、さっきから二人の言ってる意味が分からないよぉ……」オロオロ

赤阪「あんだけベロンベロンに酔ってたんやもん記憶が無いのもしょうがないで~」

藤田「くぅ……ボラギノール買わねば……」

赤阪「そんな猥談よりお助けいくのんがすこっちの悩みを華麗に解決してあげるで!」

健夜「わたしの悩み……」

赤阪「嫌いな食べ物が無くて困ってるんやろ~?大丈夫やで!いくのんならその悩み!二発で解決や!」

藤田「い、一発では無いんですね……」

健夜「ほ、本当に!わたしに嫌いなものができるの!?」

赤阪「出来るで~それじゃすこっちが必ず不味い!って思う料理を持ってくるで~」フラフラー

藤田「だ、大丈夫でしょうかね本当に……」

藤田「あの人を信用していいんですかね本当に……」

健夜「信用するしかないよ、藁にもすがりたい思いだよ私は……」

藤田「あの人って何者なんですか……いつもニヤニヤしてますけど……」

健夜「赤阪さんはふざけてるようにみせてもの凄い実力の持ち主なんだよ
   たしか関西では負けなしと聞いたけど……」

藤田「そんな凄い力の持ち主はなんで高校の監督なんかやってるんでしょうか……」

健夜「う~んなんかプロで活動するより若い子たちと戯れてるほうが良いって言ってたけど……」

藤田「あの人が言うと凄く邪に聞こえますね……」

赤阪「タ~ムレタムレ東京タムレ~♪」

藤田「うわっ!いつの間に!」

赤阪「おまたやで~持ってきたで~」

赤阪「いくのんは女子高生でも未亡人マダムでもなんでもOKでっせ!」

藤田「さいですか……」

健夜「そ、それで例のモノは……」

赤阪「例のモノはこれやで~」

赤阪郁乃は大きいな鍋を抱えていた

赤阪「この鍋の中にいくのんが三日三晩コトコトじっくり煮込んだ料理が入ってるんや~」

健夜「は、はやく!はやく中身を見せて!」

赤阪「健夜ちゃんは欲しがり屋さんやな~、ほ~れオープンやで~」シャッ

藤田「な!」

健夜「こ、これは!」

赤阪「イヒヒ!美味しいそうやろ~」

そこで二人が見たモノは……

藤田「紫色のシチューですか……てかブクブク言ってますよこれ……」

毒々しいパープルでなんだからわけのわからないものが入ってるシチューだった……!

赤阪「名付けて郁乃スペシャルやで~」

藤田「郁乃スペシャル!?」

赤阪「そうやで~」

健夜「凄い色だよ……紫色の料理なんて初めてみたよ……」

藤田「う……!なんだこの匂い……刺激臭がするんですけど……」

赤阪「とっておきの調味料を入れといたで~もちろん隠し味やから秘密やで!」

藤田「し、知りたくもないですけどね」

健夜「ブクブク泡が出てる……なんか薬品の匂いがプンプンするよ……」

赤阪「嫌いな食べ物が無いなら嫌いな食べ物を作ればええんや!まさに逆転の発想やで!」

藤田「どこが逆転の要素があるのかさっぱりわかりませんけど……」

健夜「タコの足とか入ってる……って溶けてるよこれ!」

赤阪「三日三晩コトコトじっくり煮込んだんやし当然や~ん!ほら食べて食べて!」

健夜「うん……」

藤田「無理しなくてもいいんですよ小鍛冶プロ!」

赤阪「大丈夫大丈夫、試しにうちの末原ちゃんに食べさせてみたけど一命は取りとめたから安心や」

藤田「全然安心できないんですけどそれだと……」

健夜「靖子ちゃん……わたし行くよ……」 藤田「で、でも小鍛冶プロ……」

健夜「わたしは大丈夫だから、これを食べないと一歩先に進めない気がするんだよね……」

赤阪「そうやで!それを食べて人間として成長するんや!」

健夜「わたしになにかあったら……再来年のテイルズの新作……わたしの代わりにやっといてね……」

藤田「わたしゲームやりませんし……テイルズなんかやってたんですか小鍛冶プロ……」

健夜「あむ!」パクッ!

藤田「小鍛冶プロ!」

赤阪「イヒヒヒヒヒヒ!」

健夜「ン……」

藤田「ん?」

健夜「ンマーイ!!なにこれ凄く美味しいよ!イケるイケる!」

赤阪「え、マジなん」

健夜「美味しいよこれ!病みつきになるよ!」パクパク

藤田「ほ、本当に大丈夫なんですか!」

健夜「全然大丈夫だよぉ!靖子ちゃんも少し食べる?」

藤田「いえ、わたしは遠慮しときます……」

健夜「こんなに美味しいのにンモー」モグモグ

藤田「ううう匂いが凄い……」

赤阪「……」

健夜「ハム!ハフハフ!」モグモグ

赤阪「あれ~、こんなハズでは無かったんやけどな~」アセアセ

健夜「イケるイケる!」モグモグ

藤田「凄い食べっぷり……」

赤阪「う~んホンマかいな……ん?」

野依「……!!」=3=3 プンスコ

赤阪「あれは……」

野依「……!!」プンスコ!

赤阪「の~よ~りちゃ~ん!」フラフラー

野依「!!あ、あくま!!」

赤阪「そうやで~くまちゃんのように可愛いいくのんやで~」

野依「なに!!」=3=3

赤阪「そんなカッカしないでや~、のよりんにプレゼントがあるんや~」

野依「プレゼント?」=3=3

赤阪「そうやで~いくのんの手料理やで~」

野依「りょうり!!」プンスコ!

赤阪「いくのん特製の紅イモシチューやで~健夜ちゃんもほらあんなに美味しそうに食べてるで~」

健夜「最高だよこれ!」モグモグ

野依「食べる!!」=3=3=3=3=3=3

赤阪「好きなだけ食べて良いで~」

野依「いただきます!」=3=3=3=3=3=3=3  赤阪「どうぞやで~」

野依「えい!!」モグモグ

赤阪「イヒヒヒ……!」

野依「うん……」モグモグ

赤阪「どうやのよりん?」

野依「……」モグモグ

野依「!!」カッ!

郁乃スペシャルを二口三口食べて数秒後、野依理沙は目を見開いた……

野依「あが……あががががが!」 藤田「だ、大丈夫ですか野依プロ!」

野依「いぎぎぎぎぎぎぎ!!」バタバタ

目を剥き喉をかきむしる野依理沙……その様子は尋常では無かった……!

赤阪「イヒヒヒヒ!!」

野依「かはっ!!」バタン

そして白目を剥いてその場に倒れたのであった……

野依「」ブクブクブクブクブク

藤田「野依プロォォォォォ!!!」

赤阪「イヒヒヒヒヒヒ!!やっぱこうなるやろな普通!!イヒヒヒヒヒ!!」ゲラゲラ

藤田「あ、あんた!いったいなにを作ったんだ!」

赤阪「せやから郁乃スペシャルや言うたやろ~」

<た、大変だ!         救急車!救急車を呼べ!>

野依「」ブクブクブクブクブク

藤田「泡吹いてる……」

赤阪「まるでカニやな、チョキンチョキーン!まぁいくのんは宵越しの銭は持たないタイプやけどな!ナーンチャッテ!」

藤田「あんた……!」ギリッ!

赤阪「逃げるが勝ちやで!」スタタタタタタッ!

藤田「あ!待て!」

赤阪「また会おう明智くん!イヒヒヒヒヒ!」スタタタタタッ!

野依「」ブクブクブクブクブク

野依「」ブクブクブクブクブク

藤田「いったいあの郁乃スペシャルとは何なんだ……」

健夜「ハム!ハフハフ!」モグモグ

藤田「試しにこれを……」ヒョイ

藤田靖子は郁乃スペシャルを小皿に少し入れる

藤田「こうして……!」バシャ!

それを近くに置いてあった観葉植物にかけたのだ……!
すると……

 プシュー!プシュー!

藤田「な……!」

なんと観葉植物が音を立てて溶けだしたのだ……!

藤田「なんだこれ……ただの劇薬だろこんなもん……」

 プシュー!プシュー!

藤田「くさっ!もしこれを食べてたらわたしも……」ゾゾゾゾゾッ!

野依「」ブクブクブクブクブク 藤田「まぁあんなの食べたらこうなるよな……それに引き換え……」チラッ

健夜「ハム!ハフハフ!」モグモグ 藤田(あんなの美味そうに食べるなんて……どんな舌してるんだ……)

健夜「イケるイケる!」モグモグ

藤田「……」

健夜「だぁ~も~たまらん!」モグモグ!

藤田「……」

健夜「止まらないよぉ!」モグモグ

藤田「……」

健夜「ハム!ハフハフ!」モグモグ

藤田「……う!」

健夜「ハムハムハムハム!!ハフハフッ!」モグモグ!

藤田「オエエエエエエエ!!!!」オロロロロロ!

健夜「ハフハフハフ!!ハフハフハフハフハフ!!!」モグモグ!

藤田「オエエエエエエエ!!!オロロロロロロ!!」ボタボタボタボタ

   数日後 回転ずしにて

咏「アハハハハ!それでなにかい!そんなグロテスクなもんを食べてる小鍛冶ちゃん見てたら気持ち悪くなって吐いちまったってか!」

藤田「は、はぁ……」

咏「アハハハハ!!情けないねぃまったくぅ!」

藤田「すみません……」

あの事件から数日後、健夜と靖子は三尋木咏を連れて回転ずしに来たのだった

健夜「でもあれけっこう美味しかったよ、本当だよ!」

藤田「野依プロは全治半年って言ってましたよ……そんなのが美味しいわけ無いじゃないですか……」

咏「で結局嫌いなモノが見つからず本番収録の前日になっちまったってわけかい?靖子も役に立たないねぃ」

藤田「ふん……ってかあんたわたしより年下だろ、なんでわたしが敬語であんたがタメ口なんだ!」

咏「おいおい年功序列とはあんたも古い人間だね、こういうのは実力主義だろ?そうだろ~?」

藤田「くっ……悔しいけどなにも言えない……」

健夜「二人とも仲良く!今日はお寿司だよ!仲良く食べようよ!」

咏「ほ~これが回転ずしって奴かい!回ってる寿司屋なんてお初だよ!」

藤田「なんか若干自慢に聞こえるような気もするんですけど……」

咏「なんで回る必要あるんだろうねぃ、わっかんねー!」

健夜「うんイカ美味しい……」モッキュモッキュ

咏「いちいち自分でとらにゃいけないのか面倒臭いねぃ」

藤田「ぐだぐだ言ってないで食べろよ早く……」

咏「はむ!うん庶民レベルならなかなかの味じゃないかねぃ」モグモグ

藤田「いちいち腹立つなあんたの発言は……」

咏「ごちそうさん」カチャン!

藤田「皿は元に戻しちゃダメだって!ここは戻さないで自分のテーブルに重ねてくスタイルだから!」

咏「そうなのかい?なんちゅーローカルルールなんだいまったく」

健夜「甘エビ美味しい~」ブリュッ!ブリュッ!

健夜「それでどうしよう靖子ちゃん……」

藤田「うーんそうですね……」

健夜「もう収録は明日だよ……このままだと間に合わないよ……」

咏「わっかんねー、そこまでしてあの番組に出たい意味がわかんねー」モグモグ

健夜「三尋木さんの世代だとわからないんだよ!とんねるずの偉大さが!」

藤田「この人と4つぐらいしか歳違わないですよね小鍛冶プロ……」

健夜「ああもうどうしよう!このままだと好きな食べ物を嘘吐いて嫌いなモノにしなきゃいけなくなるよ!」

藤田「!!それですよ!別に嫌いなモノを探さなくて好きなモノを嫌いと誤魔化させばいいんですよ!」

健夜「で、でも嘘を吐くのは……」

藤田「この際デモもパレードも言ってる場合じゃないですって!背に腹は代えられませんよ!」

健夜「わ、わかったよ……」

健夜「う~んどうすればいいのかな、なにかある靖子ちゃん?」

藤田「そうですね、ウニなんかどうですか?あれも嫌いな人はけっこう多いですよ」

健夜「ええそんな!わたしウニ大好きだよ!30本の指に入るほどの好物だよ!」

藤田「指多すぎませんか……そこをグッと我慢してウニが嫌いだと演技するんですよ」

健夜「わ、わかった……」

咏「安物のウニは私も嫌いだねぃ」モグモグ

健夜「じゃ、じゃあ食べるよウニ!」 藤田「はい、どんなに美味くても不味いと言ってくださいね」

健夜「う、うん……!

藤田「では実食!」

健夜「えい!」パクッ!

藤田「ど、どうですか……」

健夜「ん……」モッキュモッキュ

藤田「ゴクリ」

健夜「う!まずーい!凄く不味いよこれ!アハハ!なにこれ!食べたくないよ~!」ニコニコニコニコ!

藤田「そんな笑顔で不味いと言われても……」

健夜「不味ーい!なにこれ!アハハ!酷い味だよ!」モッキュモッキュ!

藤田「不味い不味い言いながらウニを食べ続けちゃダメでしょ……」

健夜「美味しくない!全然美味しくないよ!こんなの食べても嬉しくないよ!」ニコニコ

咏「ドラえもんが帰ってきたときののび太みたいだぜこれじゃ」

健夜「美味しくない!ウニは全然美味しくないよ!ここいらでひとつお茶が美味しくない!」ニコニコ

藤田「なんですかそのまんじゅう怖いみたいなあれは……」

健夜「は!こんなんじゃダメだよ!やっぱ顔に出ちゃうよ……」ショボーン

藤田「演技作戦もダメみたいですね……」

咏「嘘が吐けないトコがすこやんの良いトコだと思うんだけどねぃ」カラン!

藤田「だから皿は戻すなって!」

健夜「ハァ……どうしよう……」

咏「もういっそ出演を辞退すればいいんじゃね?別に麻雀が本業なんだし出る必要無いって」

健夜「出たいよ!食わず嫌いに出ることはわたしの夢なんだよ!高校の卒業文集にも書いたのに……」

藤田「そんな下らないことを卒業文集に書いたんですか……」

咏「それならあれはどうだい、よくアフリカの原住民族が虫とか食べてるだろう?
  だからそれみたいに嫌いな食べ物としてカブトムシの幼虫とかカミキリムシとかセミの蛹とかにしたらいいんじゃかい?」

藤田「確実に放送できないと思うけどなそのラインナップじゃ」

健夜「ウルルン滞在記だよそれじゃ……」

咏「でも知らないうちに私らも虫を食べてるかもしれないんだぜ?アニサキスって言う……」

藤田「やめろ!寿司が食えなくなるだろ!」

健夜「ああもう自棄だよ!お寿司いっぱい食べるよ!大将!カンパチ頂戴!」

咏「わたしは玉子でお願いするぜ」

健夜「ハム!ハフハフ!」モッキュモッキュ!

藤田「相変わらず体中で食べますね……」

咏「見てるだけでお腹いっぱいになるねぃ」

健夜「食べなきゃやってられないよ」モッキュモッキュ

藤田「ガリなんかどうですか小鍛冶プロ……」

健夜「ガリも普通に食べれるよ」ガリガリ

藤田「ハァ……」

咏「打つ手なしだねぃ」

健夜「しめサバ美味しい~」モッキュモッキュ

咏「こうなるとお酒もキューっとやりたくなるねぃ」

藤田「酒は絶対にダメだ!」

健夜「イクラも美味しい~」モッキュモッキュ

藤田「もうどうでも良いです……疲れました……ハァ……」ヘトヘト

健夜「あ、その靖子ちゃんが取ったお寿司美味しそうだね!」

藤田「あ、ああはい、一番好きなんですよこれ」

健夜「ねぇ食べていいかな?」

藤田「良いですよ、好きなだけ食べてください」

健夜「やった!」パクッ!

健夜「ンマーイ!なにこれ!食べたらすぐ溶けちゃったよ!こんなの初めて食べるよ!」

咏「食べてるときはいつもと違って子供のように無邪気だねぃこの人は」モグモグ

藤田「たしかにそうだけど…」

健夜「ねぇ靖子ちゃん!このお寿司なんて言う名前なの!」ニコニコ

藤田「ああそれはエンガワです」

健夜「そうなんだ美味しいねエンガワ!……エンガワ?」

藤田「そうエンガワです、ヒラメですよエンガワは」

健夜「エンガワ……エンガワ……」ブツブツ

藤田「小鍛冶プロ……?」

健夜「ううう!!!」スタタタタッ!

藤田「小鍛冶プロ!?」

突然健夜は苦しそうに口を押さえ走りだしたのだ……!

健夜「ううううううう!!!!」スタタタタタッ!

藤田「な、なぜ急に……」

咏「トイレに走って行ったねぃ、急にお腹の下したのかね、知らんけど」

藤田「どう見たって腹痛とかじゃないだろ……ちょっと行ってくる……!」スタタタタッ!

咏「行ってら~、やっぱりアニサキスの仕業かねぃ」モグモグ

  トイレにて

藤田「小鍛冶プロどこですか小鍛冶プロー」

健夜「オロオロロロロロロロ!」ゲボゲボ

そこには便器に吐瀉する健夜が居た……

藤田「大丈夫ですか小鍛冶プロ……」

健夜「オロロロロロ!オロロロロロ!」バシャバシャ!

藤田「うう凄い量……まぁあれだけ食べればね……」

健夜「かは!かは!」

藤田「ああもうどうしたんですか急に……」サスサスッ

健夜「ごべんべじゃすこぢゃん……」ポロポロ

藤田「無理に喋らなくても大丈夫ですから、スッキリしてください先に……」サスサス

健夜「うん……おええええ……」ボタボタ

藤田「……」サスサス

健夜「はぁ……はぁ……」ポロポロ

藤田「落ち着きましたか?」

健夜「す、少しね……」

藤田「どうしたんですか急に吐くなんて……食べ過ぎたんじゃないですか」

健夜「ち、違うよ……あれぐらいまだまだ序の口だよ……」

藤田「じゃあさっきの虫の話がダメだったんですか?たしかに食事中に虫の話は勘弁してほしいですよね……」

健夜「そんなことでもないよ!わたしイナゴ好きだし!」

藤田「じゃあ何故……」

健夜「……さっきのヒラメだよ」

藤田「え?エンガワのことですか?」

健夜「う!!」

藤田「だ、大丈夫ですか!」

健夜「ぞ、ぞのなまえば言わないで……」ポロポロ

藤田「エ……さっきのヒラメがダメだったんですか……」

健夜「ヒラメは好きだよ……でもその名前がダメダメなんだよ……」

藤田「エンガワが?」

健夜「う!」

藤田「す、すみません……」

健夜「そ、その名前を聞くだけで吐き気する……はぁはぁ……」

藤田「な、なぜこの名前の響きがダメなんですか……別に不快な感じでは……」

健夜「だってエンガワだよ!エンガワって聞けば縁側を想像しちゃうじゃん!」

藤田「まぁたしかにそうかもしれませんけどそれがなにか……」

健夜「……想像しちゃったんだよ」

藤田「なにをですか……」

健夜「私が縁側でお茶すすってる姿を!膝の上に猫を抱えてさ!」

藤田「のほほんとした光景じゃないですか、それのなにが受け付けないんですか……」

健夜「だってその私はお婆さんなんだよ!将来の私の姿!」

藤田「はぁ」

健夜「ろ、老後の私の姿……け、結婚もしないで縁側に佇んでる私の姿……」ポロポロ

藤田「う……」

健夜「ひ、一人で寂しく縁側で……むなしく一人ぼっちで孤独で……誰も相手にしてくれず……相手にしてくれるのは猫だけ……」ポロポロ

藤田「なんだこの負のオーラは!み、見てられない……!」

健夜「身寄りもいない……なんて寂しい……寂しすぎる老後……看取ってくれる人も誰もいない……一人……一人ぼっち……」ポロポロ

藤田「く、苦しい……こっちまで苦しく……」

健夜「そんな自分の将来が頭に浮かんで……そ、そしたら胸が……胸が張り裂けそう……嫌だ……こんなの嫌だ……」ボロボロ

藤田「小鍛治プロ……」

健夜「怖いよぉ……靖子ちゃん怖いよぉ……」ポロポロ

藤田「だ、大丈夫ですって!小鍛冶プロもいつかは結婚出来ますって!」

健夜「気休めはよしてよ……私はどうせ孤独な最期を迎えるんだよ……」

藤田「そんなことないですって!小鍛冶プロは美人なんですから必ず結婚したいって言う人が出てきますって!」

健夜「それはわかるけど美人は三日で飽きるって言うし……」

藤田「(イラッ!)……まぁたしかにそうは言いますけど私は別に三日で飽きるとは思いませんけど小鍛冶プロのこと」

健夜「じゃじゃじゃじゃじゃじゃあ!わたしのこと一生面倒見てくれる!」サササッ!

藤田「そ、そんな食いついてこないでくださいよ……まぁ考えておきますよ……」

健夜「絶対だよ!!はぁでもこれじゃ一生エンガワは食べられそうにないなぁ……」

藤田「!!これですよ!小鍛冶プロ!嫌いなモノができたじゃないですか!」

健夜「え……」

藤田「エンガワが食べられないんでしょ!だったらこれを明日嫌いなモノとして実食すればいいんですよ!」

健夜「そんな……無理だよ食べられないよ……」

藤田「そういうもんなんですよ嫌いな食べ物って!これを無理して美味しそうに食べるから番組で盛り上がるんです!」

健夜「でも顔に出ちゃうよ……おえーってテレビでやっちゃうよ……」

藤田「勝俣だってバナナでえづきまくってましたし全然大丈夫ですよ!むしろそのほうが小鍛冶プロ的にも美味しいんじゃないですか」

健夜「そうかなぁ……」

藤田「そうですよ!これで行きましょう!」

健夜「ううう靖子ちゃん……わたしは嬉しいよ……こんな私のために親身になってくれる人がいるなんて……」

藤田「小鍛冶プロのためならわたしはいくらだって力になりますよ」

健夜「ううう!靖子ちゃんありがとう!」ダキィ!

藤田「小鍛冶プロ///」テレテレ

こうして小鍛冶健夜はついに嫌いな食べ物を見つけることができたのだった……

健夜「おえええええ!!!」ボトボト

藤田「うわっ!汚っ!!」

  翌日  テレビ局にて

健夜「フフ~ン♪」

食おば「おやおや健夜ちゃんご機嫌だね~」

健夜「あ、おばさんこんにちは!」

食おば「なにか良いことでもあったのかい?あ!ひょっとして男だね!」

健夜「違うよ~男ではないよ~♪」

食おば「なにがあったんだろうね……ところで今日はカレーはいいのかい?」

健夜「今日はこのあと収録があるから食べないようにしてるんだよ、これから食わず嫌い王に出るの!」

食おば「あーあれね、IZAMが昔ズルした奴だろ?」

健夜「詳しいねおばさん、食べてて好きになったとかそりゃないよね全く」

恒子「すこやんもうすぐ時間だよー」

健夜ノシ「あ、ごめんもう行くね!じゃまた明日ね」

食おば「ぜったい勝つのよ!頑張ってね!」

健夜「ルンルンルーン♪」

恒子「ルンルン気分だねすこやん!」

健夜「当たり前じゃんこのあととんねるずに会えるんだよ」

恒子「わたしと一緒のときはそういう表情を見せてくれないのにね……」

健夜「ん?なにか言った?」

恒子「いやなんでもないよ、ところですこやん!ちゃんとお腹の中は空っぽにしてきた!」

健夜「もちろんだよ!生まれて初めて朝食を抜いてきたからね!」

恒子「これからいっぱい食べるからね!胃の中は空っぽにしとかなきゃ!」

健夜「バッチコイだよ!いくらでも食べられるから安心して!」

スタッフ「本番始まりますのでスタンバイお願いしまーす」

健夜「は、始まるってこーこちゃん!き、緊張するよ……」ドキンドキン

恒子「大丈夫だってわたしがついてるから!」

健夜「うん……(もうすぐ食わず嫌い王の収録が……)」

恒子「じゃ、これ着てスタジオに来てね、ほいじゃ」トコトコ

健夜「え?衣装があるの?ちょっと待ってよこーこちゃん!ってこの衣装もしかして!」

   スタジオにて

ティリリリリリリティリ~♪ティリリリリリリティリ~♪

健夜「……」

石橋「僕の名前はモジ男!」ピョーン!

健夜「……」

木梨「僕の名前はモジ三!」ピョーン!

健夜「……」

石橋「おいアラフォーなんか言えよっ!!」バキィ!

健夜「ギニヤ!!アラフォーじゃなくてアラサーだよ!!」

木梨「……」ブシャーー!

健夜「うわ!ちょ!ケムリやめて苦しいよ!」

石橋「ほら早く言えよアラフォー!番組が進まないだろぉ!!」

そう小鍛治健夜が出るのは食わず嫌い王決定戦ではなくモジモジくんだったのだ……!

健夜「わ、わたしの名前はモジすこ!ってなんなんのこれ!聞いてたのと違うよこれ!」

石橋「なにごちゃごちゃ言ってるんだよぉ、ってかなんでアラフォーが出てくるんだよぉ」

健夜「だからアラフォーじゃなくてアラサーだから!まだ28歳だから!」

恒子「最初は”わ”!」  石橋「わ!?」

恒子「わたしだけのとんねるず!」

石橋「おほほほ……」 木梨「良いねやっぱり若い子は!」

健夜「こんにゃろ!!」パチコン! 恒子「ギボ!!」

健夜「食わず嫌い王じゃないじゃん!モジモジくんだなんて聞いてないよ!」

恒子「食わず嫌いなんて一言も言った記憶が無いんだけど……」

健夜「お腹空かして来いって言ってたじゃん!」

恒子「このあとお寿司食べるから……」 健夜「ワサビがいっぱい入ってるやつでしょ!嫌だよ!こんな汚れ仕事やりたくないよ!」

石橋「恒子ちゃんになにやってるんだよぉアラフィフ!」 健夜「アラフィフじゃないよ!まだ20代!!」

木梨「……」バシャーン!  健夜「うわっぷ!水掛けないでよ!もう!!」

こうして小鍛治健夜と藤田靖子の苦労は報われなかったのである……

恒子「でも共演出来るからいいじゃん!おめでとう!」  健夜「よく無いよ!痛いのは嫌だよ!」

   健夜「え?わたしが食わず嫌い王決定戦に出るの?!」   カン

以上です
読んでくれた人てんきゅー

寝るお

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