貴音「新装開店 麺や貴音」(122)

律子「営業先からただいま戻りましたー」ガチャ

律子「……」

律子「はあ、このセットいつになったら撤去するのかしら。事務所で応対もできないし、テレビも見れないなんて本末転倒じゃない……」

律子「なんだか企画も動いてないみたいだし、一度ガツンと言ってやろうかしら」

P「ガツンと言ってもらおうじゃないか」

律子「わわっ!?」

律子「ぷ、プロデューサー……いつからそこに?」

P「事務所内って意味なら最初からいたぞ。悪かったなあ、企画も動かせないダメプロデューサーで」

律子「いえ、さすがにそこまでは言ってな……」

P「話は中で聞こうじゃないか。さあ。さあさあさあ」

律子「ちょっ、プロデューサー!? 押さないで……きゃっ!?」バサッ


貴音「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」

律子「えっ」

P「というわけで新装開店、麺や貴音へようこそ。最初のお客さんは秋月律子さんです。わーぱちぱちぱちー」

律子「いやいやいや! これってアイドルを招待する企画でしょ、私はプロデューサーで」

貴音「いえ、わたくしはそのように申した覚えはありませんよ」

貴音「ここはあくまで、765プロの皆を表したらあめんをお出しするお店です」

貴音「律子嬢は立派な765プロの一員だとわたくしは思っているのですが……違うのですか?」

律子「また……そういう言い方されると困るし、私が悪者みたいじゃない」

P「ま、そうじゃなくても元アイドルだ。セーフな粋というか、コアなファンには感涙ものだろ」

律子「私にそんなファンなんて……」

P「いないか?」

律子「……あんまり苛めないでくださいよ、もう」

P「というわけで、律子ラーメン一丁!」

貴音「はい、律子らあめん一丁承りました」

雪歩「あ、あいよっ」ヒョコッ

律子「え……雪歩!? あなたまで何してるのよ、しかもエプロンに三角巾……完全に店員の格好じゃない」

P「今回からはアルバイトの店員という設定で入ってもらいました」

雪歩「お店、二回も壊しちゃいましたから……」

律子「その分働いて返せってこと?」

P「まあ、先方に謝りに行った時に要望として出されちゃったんでな」

貴音「優秀な助手ができ、わたくしとしても願ったりです」

雪歩「え!? そそ、そんな! 私なんてダメダメで……」

貴音「雪歩。わたくしたちはお客様にらあめんを提供する立場……期待を持っていただけるよう、堂々とするものですよ」

雪歩「は、はいっ!」シャキッ

律子「それにしても、雪歩が店員って……大丈夫なんですか?」

P「俺も最初は不安だったんだが、どうも貴音と相性がいいのか意外と動きがよくてな」

貴音「それだけではありませんよ」

律子「あら? 貴音がこっちにいるってことは……雪歩が麺をゆでてるの!?」

貴音「ええ……どうぞご覧ください」


雪歩「……」ジー

雪歩「……ここ!」ザバッ! ジャッジャッ!!


律子「あれが雪歩……!?」

貴音「お茶へのこだわりがなせる業でしょうか、雪歩のお湯の温度や状態を見る力は素晴らしいものです」

貴音「ゆで具合の目安を教えるだけで、麺ゆでに関してはわたくし以上の腕になってくれましたよ」

雪歩「うん、上出来……次はこれを」

ジャバッ ザーッ 

律子「え? せっかくゆでた麺を水で洗って……何してるのよ!?」

貴音「それは仕上げの状態を見ていただければ。さて、そろそろ仕上げですね」

P「ん? スープもいつもみたいに大きい寸胴からじゃないのか……?」

貴音「仕上げにこちらを……よし」

雪歩「お、お待たせしましたぁ!」

貴音「律子らあめん、ご賞味あれ」ドンッ

律子「ラーメンって……ああ、そういうことね」

P「つけ麺か! それで麺を冷やしてたってわけだ」

律子「でも普通のお店だと皿に盛ってあるだけですけど、こっちは氷まで乗せてキンキンに冷えてますね」

P「で、こっちがスープ」

律子「え、緑色……?」

貴音「律子嬢のイメージカラーで仕上げてみました」

律子「全然ラーメンって感じがしないんだけど……うーん、とにかく食べてみますか」

ズッ ズズーッ

律子「んっ……わ……!」

P「これは……ベジポタってやつか!」

雪歩「えっと、べじぽたって何ですか?」

貴音「ベジタルポタージュ……最近つけ麺で増えている、野菜を使ったスープのことです」

貴音「通常のスープでは丸のまま野菜を煮込んでダシを取りますが、こちらはペースト状にした野菜をそのまま魚介系スープと合わせています」

律子「緑色だったのはほうれん草のペーストだったのね……」

貴音「ええ。スープを注いだ後、蓋をするようにほうれん草のペーストを浮かべてみました」

律子「味はそんなに強いわけじゃないのに……細めの麺によく絡んで……」

律子「それに……ううん、ちょっとしゃべってるのがもったいない……!」ズズッ ズズーッ

P「つけ麺っていうと太麺が多いイメージだったんだが……細めでもいけるんだな」

貴音「つけ麺のスープはどうしても濃くなりますから、細麺だとスープが絡みすぎて味がが強くなりすぎるのです」

貴音「ですが、律子らあめんはその逆……細麺に存分に絡めてもちょうど良い味を目指しました」

P「確かに野菜中心の甘めの味だからか、濃厚なのに辛いとかしょっぱすぎるってことはないな」

P「それにこの麺……細麺なのにコシが強いし」

貴音「それはつけ麺ならではの特徴ですね」

雪歩「氷も使ってしっかり冷やしてますから、その分コシも強くなるんですよ!」

律子「ふう……ごちそうさま」カチャ

貴音「綺麗に食していただきありがとうございます」

雪歩「あ、本当……スープまで空っぽに」

律子「え? これは……違うのよ、よく麺に絡むから自然と」

P「本当か?」

律子「う……わかりましたよ、美味しくてついスープまで飲んじゃいました! これで満足ですか!?」

P「うむ、よろしい」

律子「もう……でも本当に美味しかった。熱いスープに冷たい麺って、こんなに合うと感じてのは初めてだわ」

貴音「ふふ、温度差も味の一つですから……そう言っていただけると光栄ですね」

律子「でも……」

雪歩「え……どうしたんですか?」

律子「これが『律子ラーメン』だって言われても、ちょっとわからないかな」

律子「私、こんなに味のある人間じゃない……もうアイドルってわけでもないし」

貴音「本気で言っているのなら、律子嬢には人を見る目がありませんね」

律子「……それ、プロデューサーやってる私にとってはちょっとカチンとくる言葉なんだけど?」

貴音「その言葉、そのままお返しします……なぜなら、律子らあめんを作ったのはわたくしではないのですから」

律子「……え?」

P「おーい、もう出てきて大丈夫だぞー」


伊織「やっと出番なわけ? もうちょっと早めに呼びなさいよ、暑いったらありゃしない!」

亜美「んっふっふ→、ドッキリ大成功? ぶいぶいっ」

あずさ「さすがにカウンターの裏は狭くって……汗かいちゃいました~」

律子「伊織、亜美、あずささんまで……?」

貴音「番組再開まで期間もありましたので、律子らあめんを作るにあたり竜宮小町の皆にも助力を」

亜美「っていっても、ほとんど味見してただけだけどね→」

雪歩「特に伊織ちゃんのチェックが厳しくって……」

伊織「し、仕方ないでしょ? ラーメンにはそんなに詳しくないけど、伊織ちゃんの舌は上等なんだから」

伊織「私がやったのはあくまでも味のチェックで、イメージとかは亜美とあずさが」

亜美「『全っ然違う、こんなので律子を表したつもり!? 竜宮小町の代表を表そうっていうんだから、こんなのじゃ許さないわよ!』」

亜美「ってなもんで、だいぶ熱が入ってたようですな→」

伊織「ちょ、ちょっと亜美!?」

貴音「このらあめんで表した『律子』は竜宮小町の総意」

貴音「別々に尋ねたというのに、皆同じことを答えてくれましたよ」

貴音「『誰よりも優しく、誰よりも芯の通った人』とのことです」

律子「そんな……」

あずさ「私たちにとってはもう一人のリーダーで、お母さんみたいな存在でもありますから」

律子「あずささん……」

伊織「まったく……味がない? つまんないこと言ってんじゃないわよ!」

伊織「あんたが味のない人間だったらこの伊織ちゃんが……私たちがついていってるわけないでしょうが!」

律子「みんな……」

律子「……そうね。もともとプロデューサー志望だったのに、アイドル引退して……いつの間にかみんなに引け目感じちゃってたのかも」

律子「うん! みんなの気持ち、受け取ったわ! これからも竜宮小町のプロデューサーとしてバリバリ頑張っていくから!」

亜美「おおっ、それでこそ律っちゃんですな→!」

律子「それじゃ、こうしちゃいられないわね……みんな、これから特別レッスンするから着替えて集まるように!」

亜美・伊織「「えええー!?」」

あずさ「あの……午後までオフのはずでは~?」

律子「大丈夫、みんなの体調管理は万全です。休養は十分!」

亜美「うあうあ~! 律っちゃん鬼だ→!」

律子「……貴音、ありがとう。また食べさせてね」

貴音「ええ。またのご来店、お待ちしております」

律子「ほら、三人とも行くわよ! 駆け足!」

伊織「まったく、張り切っちゃって……いいわよ、やってやろうじゃないの!」

亜美「律っちゃんの鬼→! 悪魔→! パイナップル→!」

ドタドタドタ…

P「まったく、騒がしい奴らだなー」

雪歩「……でも、なんだかいいな。うん、すごくいいです」

貴音「雪歩……練習通り、素晴らしい手際でしたよ」

P「そうだな。湯切り、相当練習してたんだって?」

雪歩「え、はい……」

雪歩「でも、作ったものを綺麗に食べてもらって、あんなに笑顔になってもらえて……なんだか幸せで」

雪歩「私もちょっと自信持てそうな気がします……!」

貴音「ふふ、その意気です」

P「さて……来週の準備は進んでるか?」

貴音「ええ。期間がありましたので、平行して準備は進めております」

雪歩「春香ちゃん、やよいちゃん、私、響ちゃん、千早ちゃん、真ちゃん」ペラ

雪歩「それに今回が律子さん。お品書きも充実してきましたね」

貴音「ええ、来週は>>35。また良きらあめんを作りましょう」

雪歩「はい!」

小鳥さん

P「さーて、今日も収録収録っと……」バサッ

小鳥「いらっしゃいませー」

P「うおっ!? 小鳥さん、なんで店の中にいるんですか!?」

貴音「鍋に火を入れる前からカウンターに陣取っていました……」

P「仕事してください」

小鳥「ひ、ひどい……プロデューサーさんにわかりますか!?
毎回事務所で美味しそうな匂いかがされて、でも絶対に自分は呼ばれないであろう私の気持ちが!」

P「それとこれとは話が別ですから」グイ

小鳥「諦めません、食うまでは!」ガッシ

雪歩「カウンターにへばりついてますぅ」

貴音「樹液を前にしたかぶとむしのようですね」

雪歩「プロデューサー、意地悪はそのくらいにしてあげましょうよ」

貴音「そうですね……話も進みませんし」

P「むう……仕方ないですね。では二人に免じて」

小鳥「ありがとう……! ありがとう二人とも……!」

小鳥「それで、今日のゲストは誰なの? 先週が律子さんだから、竜宮小町特集に? 伊織ちゃん……いえ、あずささんかしら!?」

P「相当チェックしてますね」

小鳥「765プロのみんなの出演番組は全部録画してますからっ!」

P「小鳥さんです」

小鳥「そう、小鳥ちゃんなのね!? さあ、どんなラーメンが出てくるのかしら? 小鳥ちゃんって言ったらやっぱり妄想……」

小鳥「……はい?」

貴音「改めまして、ようこそおいでくださいました小鳥嬢」

雪歩「ご注文は小鳥ラーメンでよろしいですか?」

小鳥「……」

小鳥「……ミー?」

P「ウィ。ユー」

小鳥「……えええっ!? 確かに先週765プロのみんなって言ってましたけど、私ただの事務員ですよ!?」

P「この世界、上の人の判断が全てです」

小鳥「……と、言いますと?」

P「企画が通れば何をやったっていい……! キャリアなしの事務員がゲストでもいい……!」

小鳥「なるほど、勉強になります……!」

小鳥「だったら嬉しいけどしまったあ!」ガタンッ

P「驚いたり喜んだり忙しいですね」

貴音「何か不都合でもあったのでしょうか?」

小鳥「私ゲストがあると知っていれば……! 焦らず他の子の週に乱入してもう一回食べられたのに……!」

P「はい、もう作っちゃっていいぞー。小鳥ラーメン一丁」

貴音「承りました」

雪歩「あいよっ……ですぅ」

貴音「では、手はず通りに麺はお願いしますね」

雪歩「任されましたぁ!」バサッ

小鳥「はっ……調理開始! 落ち込んではいられないわ小鳥!
貴音ちゃんと雪歩ちゃんの生調理、この目に焼き付けなければ……!」

P「本っ当に落ち着かないですね……今まで来たゲストの中で一番ですよ」

小鳥「一番ですか!? えへへへ」

P「どうやったらそれで照れられるのか……」

雪歩「麺が上がりましたあっ!」ザッ!!

小鳥「……あら? 私とプロデューサーさんの分なのに、網が四つ……?」

貴音「小鳥らあめん、お待ちどう様です」トンッ

小鳥「ピヨ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! 本当に来た! 私ラーメン来た! これで勝つる!」

P「いい加減に自重してください」

小鳥「うわあ、スープが透き通ってて……この色って塩ラーメンですかね?」

小鳥「具が焼きネギだなんて……香ばしいっ! 生中……いえ、ここは熱燗でクイッと!」

P「昼間で仕事中ですよ!?」

小鳥「ちぇっ……では! 心していただきまーす!」

ズズー ズズッ ……!?

小鳥「この麺……肉? いえ、でも麺……えええ!?」

貴音「ふふ、そこまで驚いていただけると仕掛けた甲斐があったというものですね」

雪歩「ドッキリの仕掛け人の気持ちがわかった気がしますぅ」

P「ん……麺が二種類入ってるな。片方は普通の麺だけど、もう片方は」

貴音「はい。お察しの通り、鶏肉で麺を作ったのです」

雪歩「鶏ひき肉に小麦粉を加えて作った特製麺です! ゆで加減が難しくって……でも頑張ったかいがありました!」

小鳥「すっごく美味しいです! スープの塩気と具のネギがまた……!」

P「見た目じゃ鶏なんてどこにも入ってないんだけどな……焼き鳥並に鶏食ってる感があるな」

貴音「スープはたっぷりの鶏ガラ、さらに鶏油も浮かべてありますので……鶏を丸々使ったらあめんと言えましょう」

小鳥「本当に……ここにビールか熱燗があれば……!」

P「まだ言いますか」

貴音「まあ、その……もともとお酒に合うように作っていますので」

小鳥「生殺しじゃないですか! やだー!」

P「はあ……本当に仕方のない人ですね。終業の後、お酒と一緒にもう一度食べていいって社長から許可とってありますよ」

小鳥「えっ、いいんですか?」

雪歩「えへへ……ここまで美味しそうに食べてくれるの見たら、嫌って言えないです」

小鳥「じゃあ、お酒も飲めるんですか!? やったー!」

小鳥「それにしても、鶏肉を麺にしちゃうなんて…・・・よくそんなの思いついたわね?」

小鳥「こんなこと言うとあれだけど……本当に焼き鳥乗せちゃった方が楽そうではあるかなーとも思っちゃったり」

雪歩「あ、それにはちゃんと理由があるんです!」

貴音「そう、一見鶏が入っていないように見せることが必要でした」

小鳥「……?」

貴音「表立って姿は見えませんが全てに関わり、それなくしては成り立たない……」

貴音「まさに、765プロにとっての小鳥嬢はそうした存在だと思いませんか?」

小鳥「……!」

小鳥「お……音無小鳥! 765プロに入って今日ほど嬉しかった日はありませんん……!」グッシュン


P「……カメラ、ここまででお願いします。ええ、しばらく泣き止まないと思いますんで」

小鳥「らからねえ、あたしは幸せなんれしゅよ~」ヒック

小鳥「聞いれます? ぷろりゅ~さ~しゃん!」

P「はいはい、聞いてます聞いてます。その話もう4回目です」

小鳥「うぇ? そうれしたっけ……まあ細けえことはいいんれすよ!」

小鳥「765ぷろの子はほんろ~にいい子たちばっかりで……もうね、あたしはもうねえ」グシュッ

P「はいはい、よかった! うん、俺も小鳥さんも765プロに入れて本当によかった!」

小鳥「れしゅよね~! ぷろりゅ~さ~しゃん! カンパイれすよカンパイ!」

P「まだ飲む気ですか……」


雪歩「なんていうか……色々とすごいことになってますね」

貴音「全身から幸せが溢れ出ていますから……これはこれでよろしいかと。さ、わたくしたちは来週に向けて動かねば」

雪歩「来週は>>75の番ですよね! 頑張らないと……!」

P「むう……おかしい」

雪歩「あずささん、見つからないんですか?」

P「うん……くそ、ここまできてアポなし招待が裏目に出るとは……!」

貴音「事務所からは出ていないのでしょう? そう遠くへ行けるはずは……」

P「携帯も置いてってるみたいだし、早く見つからないとマジで収録が……」

あずさ「あら? みんなどうしたの、深刻な顔で」ヒョコッ

P「あ、あずささん!? なんで厨房から出てくるんですか!?」

あずさ「ええっと、それが給湯室に行くつもりが迷ってしまって……」

P「事務所の中ですよ? ここ……」

貴音「ともあれ、麺や貴音へようこそいらっしゃいました」

あずさ「あら、ここがそうだったのね」

P「先々週入ったじゃないですか……」

あずさ「見慣れない所なので……ごめんなさいね?」

P「はあ……まあ、なんとか間に合ったので大丈夫です。じゃあ、あずさラーメン一丁!」

貴音「承りました」

雪歩「あいよっ」バサッ

P「そういえば、あずささんって普段はラーメン食べるんですか?」

あずさ「はい、こう見えてなかなかラーメン好きなんですよ~」

P「そうなんですか? じゃあ貴音と一緒に行ったりとか?」

あずさ「うーん……貴音ちゃんとは一緒に行けないのよね」

P「行けない……? どんなのを食べてるんですか?」

あずさ「醤油味ですね~。昔ながらの中華そばという感じのもので……塩気が利いてて、さっぱりするんですよ~」

P「完全に飲み屋の締めのラーメンじゃないですか……」

貴音「はい、おまちどう様です」コトッ

あずさ「あら~、噂をすれば醤油ラーメンだわ」

P「上に乗ってる肉はチャーシューじゃなくて……何だろこれ? それにメンマの代わりにタケノコの千切りか」

あずさ「透き通ってて、醤油だけどいつも食べてるのとは違う感じの匂いがします……なんだか甘くって、香ばしくって」

P「とにかく食べてみましょうか……いただきます」

あずさ「いただきます~」

ズズーッ ゴクッ サクッ

P「ふおお……!? 鶏でも豚でも魚でもない、これは……!?」

あずさ「スープの色は薄いのに濃厚で、でも上品な味だわ~」

雪歩「えっと……今回は牛ですぅ」

貴音「鳥取のご当地らあめんに牛骨らあめんというのがありまして……」

貴音「それに韓国料理として有名な牛テールスープを合わせたものが今回のベースです」

P「ああ、このでかい肉は牛テールか!」

あずさ「プルプルして……お肌によさそうだわ~」

バサッ

小鳥「お肌に良いと聞いて!」ババーン!

P「帰ってください」

小鳥「そんなあ……あずささん探すの手伝ったじゃないですかー! 
見つかったの知らなかったから、私今までずっと探してたんですよー!?」

P「先週のゲストだったうえに翌日二日酔いで仕事になんなかったでしょうが! マジで自重してくださいよ!」

小鳥「明日から自重します! なので今日のところはひとつ!」

あずさ「まあまあ、いいじゃないですか。みんなで食べた方が美味しいですよ~?」

P「う……仕方ないですね。あずさラーメンもう一丁!」

小鳥「やったー! あずささんは神様です!」

あずさ「うふふ……音無さん、こっちこっち。隣に座ってください~」

雪歩「麺上がります!」ザッ

P「……貴音、小鳥さんの分は」

貴音「……よろしいので?」

P「ああ、加減は任せる」

貴音「わかりました……はい、おまちどう様です」コトッ

小鳥「これがあずさラーメンですね!? 美味しそう……では、いただきまー」ズズーッ

小鳥「んんー、上品で美味しい! 美味しくって体が熱く……熱く?」

小鳥「口の中が……からっ!? 辛っ! 辛いですよ、何コレ!?」

雪歩「見た目は変わりませんけど……何か入れたんですか?」

貴音「ええ、実は特製の香味油……ラー油を少々」

あずさ「ラー油? 全然赤くもないようだけど……」

貴音「はい。青唐辛子と牛テール用のスパイスで作ったラー油で……青唐辛子を使うと透明なラー油ができるんですよ」

雪歩「ちょっと私にも味見を……ん……ピギャーッ!?」

P「雪歩ぉーっ!?」

貴音「色がつきませんので……こうした辛さの強いものを作ることも可能というわけですね」

小鳥「ああ……舌が、唇がピリピリしまふ……!」

P「貴音……少し入れすぎたんじゃないか?」

貴音「いえ、あずさらあめん自体は甘めですので、ちょうどよい塩梅かと」

あずさ「じゃあ私も……」ズズ

P「あずささん、やめといた方が……」

あずさ「あら、美味しい……! 体もあったまって、私こっちの方が好きかもしれません」ズズーッ

小鳥「嘘ぉ……」

貴音「あずさは精神的にも765プロで一番の大人……そのため、大人向けのらあめんを用意したつもりでしたが」

P「小鳥さんは予想以上に子供だったと……うん」

雪歩「」


≪おしまい≫

オチもなく店も無事だけど、ちょっとお腹が痛くて長期離脱しそうなので……
ありがとうございました、良いラーメンライフを

やよいラーメンのやつ読んでから本気で食いたくて仕方ないんだけど

誰かレシピ

貴音「創作らあめん 麺や貴音」
貴音「765らあめん 麺や貴音」

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