モバP「文学少女の思い方」 (46)



この話は、前にこちらで書かせて頂いた

モバP「のあさんと、一緒に」

の設定をほんの少しだけ引き継いでいます。
ですが前作を読まずとも、本編には欠片ほどしか関わらないのでご安心下さい。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386926495




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事務所



文香「……」ペラッ

文香「……」ペラリ

文香「……」





文香(アイドルになって…………もう半年以上過ぎます)

文香(あの時にアイドルの誘いを受けてから……私の環境は、目まぐるしいほど変化していきました)

文香(レッスンであったり……撮影であったり……私には、何もかもが初めてで……)

文香(それでも、仕事をしているという実感、達成感…………それら全てが、私を動かす原動力になってくれました)




文香(この半年で会話した人の数は……アイドルになる前の2倍、3倍の数にもなって……)

文香(それと共に……多くの友達も出来ました)

文香(これも、今までの何倍も多くて…………アイドルになって良かったと、心から言えることです)

文香(事務所に居らっしゃる方々は皆優しくて……引っ込み思案な私にも話しかけて下さって……)

文香(この事務所のPさんに誘われて、この事務所を選んで…………良かったと思いました)





ガチャッ



P「……おっ、文香おはよう。今日も来るの早いなー」

文香「……あ、おはよう、ございます。……今日は、午前中にレッスンが入っていますから」パタン

P「それでも仕事の2時間前に事務所入りって、かなり早いからなぁ。文香は真面目で感心だ、本当に」

文香「…………ありがとう、ございます……」

P「あ、早く来るのは全然いいんだが、無理して早く事務所に来る必要はないからな?」

文香「……はい、大丈夫です。…………家にいても、本を読むくらいしか、することは無かったので……」





P「ん、そっか? なら安心かな。仕事だからって、時間を無理に捧げる必要は無いんだ。出来る時間で、出来る事をして貰いたいし」

文香「……ここに来ると、本を読む以外にも出来る事が……たくさんあります。……先程、高峯さんとそのプロデューサーさんともお話が出来ました」

P「ああ、あの2人と話してたのか。高峯さんと、どんな話したんだ?」

文香「星の話を少々……高峯さん、とても真摯に話して下さって……星が、本当にお好きなんだと感じました」

P「ほー、プロフィールにあった気がするな。あの人、天体観測が趣味なんだっけか」

文香「……今度、2人で星を観るそうです。高峯さんの家はマンションの最上階らしく……天井がガラス張りで星が観やすいそうで……」

P「それって…………それで?」

文香「? ……いえ、そこまででした。急に高峯さんのプロデューサーさんが、『そ、それは言っちゃダメですのあさん』と慌てだして…………どうしたのでしょうか?」

P「あー……それ以上は考えないでおこう、2人のためだ」

文香「? ……はい、分かりました」




文香(……今、こうして私と話している人こそが……私の人生を変えて下さった方です)

文香(アイドルのプロデューサーで……私の、専属プロデューサーだそうです)

文香(この人が私をアイドルの世界へ誘って下さったからこそ……今の私がここにあります)

文香(この人……いえ、Pさんには感謝しても足りないくらいで……足りないくらい感謝していたら…………気付くと目で追っていて…………)





P「ま、プライベートでも仲が良いってのは、普通に良いことだよなー」

文香「……そうなのですか?」

P「ん、そうそう。仕事だけの間柄ってのは、結構サバサバしててさ。居心地が良い、とは言えないものだよ」

文香「サバサバ……」

P「俺としては、折角一緒に苦楽を共にするんだから、ちょっとくらいは関わりが欲しいかなぁ。……あの2人は、ちょっと仲良すぎたっぽいけども」

文香「……プロデューサーさんと私は、どうなのでしょうか?」




P「俺たちか? んー、仕事関係なく話していたりするし、俺としては仲良く出来てるつもりなんだが……もしかして違ったか?」

文香「そうですか……いえ、良かったです。私は……っ」

P「……私は?」

文香「……な、なんでも、ないです。お、お気になさらず…………というより、気にしないでください……」

P「お、おお? そっか、分かった。気にしない、気にしないぞ?」

文香「……すみません、ありがとうございます……」




文香(Pさんと話していると……頻繁に口が滑りそうになります)

文香(今も……『Pさんと話すために、事務所に早く来ていますから』と、カミングアウトしそうになりました。……本当に危なかったです)

文香(もしも言ってしまったら、恥ずかしすぎて…………事務所にいられなくなってしまいます)

文香(……口が滑ってしまうのは、本当の事を言ってしまいそうになるのは……Pさんに、心を許しているという証拠……なのでしょうか?)

文香(私は……それほど、Pさんの事を……)

文香(……そう考えると……あ、駄目、です。だんだん、顔が熱く……)




P「……文香? おーい、文香さん?」

文香「あっ……はい、なんでしょうか?」

P「いや、何かぼーっとしてたみたいだからさ。大丈夫か? もしかして、体調悪いのか?」

文香「……いえ、そういうわけでは。少し考え事をしてしまって…………話し途中にすみません」

P「ん、なんだ、それなら全然気にしなくていいぞ。文香に何もなくて良かったと思ったくらいだし」

文香「……プロデューサーさんは、優しい人、ですね」




P「俺……優しい、のか? 今したのって、体調聞いたくらいなんだけど」

文香「いえ、それだけではなくて……普段の生活でも、です」

P「?」

文香「プロデューサーさん、よくちひろさんのお手伝いを……自ら率先してされてますよね?」

P「手伝いというか……雑務は俺とちひろさんの仕事だし、女性に重たい物を持たせるわけにはいかないからなぁ」

文香「あと…………他のプロデューサーさんが持つ学生アイドルさんたちの、勉強をよく見て下さってます」

P「アイドルは文武両道してこそだからな。教えられるのなら、知っている人が教えてやらないと。それに、あれ結構楽しくてなー」




文香「……プロデューサーさんは、そういう方です。その行いに優しさがあると思っていないだけで……」

P「他のみんなは、そう思ってるってことか? そうなのか……そんな気は無かったんだが……」

文香「いえ、他の方も……その気が無い事は承知しています。だから……頼っているんだと思います」

P「そうか? そうだったら嬉しいなぁ。頼って貰えるくらいは、みんなと打ち解けられているってことだし」

文香「私もその内の、んっ……こほん」

P「文香?」

文香「……いえ、お気になさらず」




文香(……また、口が滑りかけてしまいました)

文香(本人の前でカミングアウトは……心臓が保ってくれそうにありません。……命拾いしました)

文香(誰にでも優しくて……誰にでも平等で。そんな、私のプロデューサー……)

文香(その人がなぜこんな私を選んでくれたのか……不思議でなりません)

文香(……なにか、大きな理由でもあるのでしょうか? でも、私には……Pさんの考えを理解するなんて出来なくて……)





文香「……プロデューサーさんは……読み切れない……深い人です」

P「深いって……買いかぶり過ぎだって。俺、特に何も考えていないだけだから」

文香「いえ……考えていないのなら、考えていないということがある程度窺えます。ですが、プロデューサーさんは……全く分からなくて」

P「分からなくて当然だよ。半年ちょっとの付き合いで、相手の全部が分かったら苦労しない」

文香「……そうなのでしょうか」

P「そういうものだって。俺も、まだ文香のことを全然知らないからな」

文香「……私を知って……どうしようというのですか? 知る事など何も」





P「ん、ただ俺は、文香を知ってもっとプロデュースしていきたいんだ。なんせ、文香に一目惚れしたプロデューサーだからなぁ」

文香「……………………え?」

P「どうした?」

文香「あ、あの、聞き間違いでしょうか……? も、もう一度、言って頂けると……」

P「一目惚れのことか? はは、専属のプロデューサーはそういうものなんだよ。好きと思える子じゃないと、スカウトなんてしない」

文香「す、好き……」

P「えーと、文香をスカウトした時の事、覚えてるか?」

文香「? はい……叔父の本屋のレジに座っていた私に『アイドルをお願いします!』と……」




P「そうそう。つまりはアレ、文香に惚れたからなんだよ」

文香「えっ……」

P「ちょっと資料探しに寄っただけだったんだけど……レジで佇んでいる文香を見て、心鷲づかみにされてな」

文香「……あぅ」

P「で、その瞬間『彼女なら、トップアイドルになれる!』ってティンと来て」

文香「……あ、そのっ」

P「居ても立っても居られなくなって、テンパってああ言った訳だ。……あの時は、分かりづらいこと言ってごめんな?」

文香「あ、いえ……最終的には意味を理解出来たので、大丈夫です……」





P「とにかくそういう訳で、俺は文香のことを知りたい。分かって貰えたか?」

文香「……はい。す、凄く……分かりました。ですが、私がプロデューサーさんに伝えられる事なんて……何も無くて」

P「ああ、別に文香から何か教えて貰いたいとか、そういうことじゃないんだ」

文香「では、どういう……?」

P「ただこうして話したり、一緒に居るだけでいいんだよ。自分よりも相手の方がずっと分かるもんなんだ。その人の癖とか、表情とか、特徴とかな」

文香「……確かに、癖などは無意識ですから……他の人に見て貰えないと気づけませんね」

P「さっき文香も言ってたろ? 俺が、ちひろさんとかの手伝いしてたーとかさ。それ、文香が相手である俺を見て、理解してくれたってことだろ?」

文香「あ……そう、ですね。……そうでした」

P「だから俺は、こうして一緒に居て、文香をもっと知って、もっとアイドルとして輝かせたいーってわけ」

P「そういう意味では、文香が早く事務所に来てくれて嬉しいよ。今、こうやって文香を知れてるし……うん、良かった」

文香「……うぅ」





P「……文香、やっぱり体調悪いのか? さっきから俯いたり……大丈夫か?」

文香「あっ、いえ、その……違うんです……少し、待って頂けると……」

P「おお、分かったぞ。文香が早く来てくれたおかげで、時間はたっぷりあるからな」

文香「ん……すみません……」




文香(どうしてこの人は……こうも好意を全面に出す事が出来るのでしょうか?)

文香(私としては……好意を寄せている人から好きだと言って貰えて……とても、本当にとても嬉しくて)

文香(嬉しいからこそ、いてもたってもいられなくて……)

文香(ダメです……これ以上、好きになってしまうと……危険です)

文香(Pさんが…………頭から離れなくなって……あ、だめです。心臓が、その、だめ、で、す)



文香「はぅ…………」プシュー

P「ん? ……文香ぁ!? ちょ、なんか煙出てる!? ち、ちひろさん、ちひろさーん!?」



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文香「……ふぅ」

ちひろ「あ、もう大丈夫ですか、文香ちゃん?」

文香「あ……はい、もう大丈夫です……」

P「文香、やっぱり体調悪かったんだな……熱があることに気づけなくて、本当にすまない……」

文香「あっ……いえ、違うんです。あれは知恵熱というか……その……なんでもないんです……」

ちひろ「プロデューサーさん、文香ちゃんに何話してたんですか? 知恵熱とか、そうそうなるものじゃないですよ?」

P「いや、それが自分では全く分からなくて……すまん文香、俺、何か変な事言っちゃったか?」




文香「変なこと……いえ、変な事は話されていません。ただ……少し、真っ直ぐだっただけで……その……」

ちひろ「プロデューサーさん、本当に何話したんですか……前から言いたいことはスパッと言う人でしたけど……」

P「ぬぬ……すみません、ちょっと思い返してみます。えーと、事務所で文香に挨拶して、高峯Pさんたちの話になって……」

文香「……あっ」

P「仕事だけの関係ってのは悲しいとか話して、なんか俺が優しいとかになって、それで……」

文香「あ、あっ……あの……ま、ま、待って……ください!」

ちひろ「ひゃっ!? ふ、文香ちゃん?」

P「ふ、文香? 珍しく大声出して……やっぱり、今の話に何かあったのか?」





文香「あ……す、すみません。その……Pさんの話のせいでは……ありませんでした」

P「……ん?」

ちひろ「……そうなんですか?」

文香「あの、Pさん。先程、話していたとき……途中で私が、考え事をしてしまった事がありましたよね……?」

P「ああ……確かにあったな。あのこと、俺は全然気にしてないぞ?」

文香「いえ、そうではなくて…………それ、です。それのことを考えすぎて……」

ちひろ「知恵熱が出ちゃった、と?」

文香「……は、はい。なので、Pさんはもう……何を話したかは、思い出さなくて大丈夫です……」





P「そっか、原因はそれだったのか。考えすぎて熱が出るくらい難しいことかぁ……相談ならいつでも乗るぞ?」

文香「い、いえ……もう、大丈夫ですから。さしてご相談するようなことでも……ないので……」

ちひろ「……それなら、もう平気そうですね。文香ちゃん、考えるのは良いですが、あまり深く考えないよう気を付けて下さいね?」

文香「はい……気を付けます」

ちひろ「あ、それと文香ちゃん……」

文香「?」

ちひろ「もしかして、プロデューサーさんの事でした?」コソッ

文香「っ!? あ、ちひっ……ちひろさん、それは……」

ちひろ「ふふ、だいじょーぶです。秘密、ですよね?」

文香「うぅ……お願い、します……」





P「ちひろさん、今、文香と何の話を……?」

ちひろ「乙女の秘密、ですよプロデューサーさん。知りたいんですか?」

P「気にならないと言ったら嘘になりますが……そう言うってことは、踏み入れちゃいけない領域なんですね」

ちひろ「そこらは察しが良くて助かります、さすが優しいプロデューサーさんです。ねー、文香ちゃん?」

文香「は、はい……そ、そうですね……」





文香(……一目惚れのお話を知られなくて、良かったです)

文香(ですが、結局あの時に考えていたのはPさんの事で……先程の嘘は、嘘だけれど嘘じゃないような……)

文香(それに……ちひろさんには、どうやらお見通しだったようです。嘘を吐いた意味は……あったのでしょうか……?)

文香(それほど私は、分かりやすくPさんを見ているという事でしょうか……そう思うと、とても恥ずかしくて……)

文香(……これ以上は、また先程の二の舞に……考えないように……考えないようにしないと……)





P「……文香、今日はレッスン休んでおこうか? トレーナーさんも、事情伝えれば分かってくれると思うし」

文香「……あ、いえ、大丈夫です。ただの知恵熱ですから……もう、支障はないかと」

P「文香が言うならいいけども……無理だったら直ぐに俺に言うようにな? 絶対だぞ?」

文香「はい、何かあったら……必ず、必ずPさんにお伝えしますので……」

ちひろ(……やけに強調しましたね今)




P「……それじゃあ、もう少しで時間だし、早めにレッスン場に行くとしようか。ちひろさん、行ってきますね」スタスタ

ちひろ「あ、はーい、いってらっしゃいませー」

文香「あ、Pさん……ちひろさん、私も……行ってきます」ペコッ テテテテテテテ

ちひろ(……文香ちゃん、プロデューサーさんを凄い勢いで追っていきましたね。……あ、プロデューサーさんの裾掴んだ)


P「んお、どうした文香。そんなに急がなくても大丈夫だぞ? 俺は車を出しにいくだけだし」

文香「……はい、大丈夫です。ただ、個人的に……こうしたかっただけなので……」

P「ん、良く分からんが……文香の好きなようにしていいからな。じゃ、行こうか」

文香「……分かりました。ではこうして…………貴方についていきます」


ちひろ「……なんか文香ちゃん、かなりプロデューサーさんとの距離が近くなったような」

ちひろ「というか、もはやあれって……可愛い依存のような……?」

ちひろ「本当に、プロデューサーさんの事考えてたんですねぇ……」




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スタスタ テクテク


P「……そういや、ちょっと嬉しいかな」

文香「……? なにか、ありましたか……?」

P「文香の俺の呼び方だよ。ほら、事務所で急に『Pさん』って呼んでくれるようになったからさ。なんか、仲良くなれたのかなって」

文香「………………あっ。い、いつの間に私……考えと言動が混ざって……」

P「……無意識だったの?」

文香「…………は、はい」

P「そっか、なおのこと嬉しいなそれ。これから、そう呼んでくれると俺が喜ぶぞー」

文香「わ、分かりました……」




文香(……私が子供の頃は、話すことが苦手な女の子でした。……今も変わりませんね)

文香(子供の頃から本とずっと一緒で……将来は本屋さんで本に囲まれていたい、などと思っていました)

文香(……ガッカリするでしょうか……子供の頃の私。残念ながら私は……本屋さんにはなれませんでした)

文香(イメージしていた人生からは、方向性がぐるりと変わってしまいましたが……代わりに、色んな事を学んでいます)




P「じゃあ、ちょっと待っててな文香。今、車庫から車だしてくるよ」

文香「……分かりました」

P「ああ、危ないから、車庫の横じゃなくて離れた歩道に居てくれな」

文香「はい、お気を付けて……」




文香(芸能界のマナー、カメラへの写り方……沢山学びました。表情や仕草の仕方、会話などは……まだ上手く出来ていませんが……)

文香(ですが、本屋にいた頃の私とは、見違えるほど変わることが出来た……と、私は感じています)

文香(私は……本と違って、己を知り、成長をすることが出来ます。それは、とても大きな違いで……)

文香(筋書きの無いアイドルという世界で、Pさんと頂点を目指して進んでいくストーリー……)

文香(……Pさんと会い……自分史が新章に入ったようです)





ブロロロ… キキッ



文香「あ……」テテテテ

P「ほい、お待たせっと。トランク開けるから、荷物受け取るぞー」

文香「……ありがとうございます、Pさん」スッ

P「いやいや、これくらい」スッ

文香「…………いえ、色々と……本当に、ありがとうございます」

P「おお、急に大袈裟な…………そうまじまじと言われると、流石に照れるなぁ」





文香「……Pさんに教わりました。こうしてアイドルを続けて……自分の知らない……自分。見つけられた、気がします」 ニコ

P「……あれ、文香……笑った?」

文香「いえ、そのつもりは……ですが、もしPさんがそう見えたのなら…………多分、笑ったんだと思います」

文香「正直、自分でも表情を出せているか良く分からないので…………Pさんの見る私が……おそらく正しいです」

P「そっか、じゃあそう思うことにしよう。笑った顔、綺麗だったぞ。人前でも意識して出していけるように頑張ろうな」

文香「……あ、ありがとう、ございます。……私……頑張ります」

P「おう、良い返事だ。それじゃ、乗るとしようか」

文香「……そうですね」




文香(……Pさん。私の、プロデューサー)

文香(貴方の幸せは……どんな風になっているのでしょうか?)

文香(トップアイドルを育てる夢を……私が叶えられているでしょうか?)

文香(私の考える幸せには…………貴方の姿がはっきりと映っています。もう、好きになってしまってから……その、大変です)





P「よいしょっと……シートベルト付けたか?」

文香「……大丈夫です」

P「うし、そんじゃあレッスン場に行きますかー」

文香「……Pさん」

P「ん、どうかしたか?」





文香「私は……まだ前を向き始めたばかりです。それも、Pさんの力を借りて……ようやく」

文香「そんな私ですが……一緒に、同じ道を歩んで頂けますか?」

P「ああ、もちろんだ。というか、俺がそうさせてもらっちゃうからな?」

文香「そうですか…………ふふ、Pさんとなら……安心ですね」

P「俺も、文香とだから出来ると思ってるよ。ホントだぞ?」

文香「……はい、Pさんを信じていますので……大丈夫ですよ?」

P「そうか…………はは、なんかちょっと恥ずかしいな。よ、よし、向こうの信号が青になったら出るとするか!」





文香「…………」



文香(……私は、今でも十分に幸せを感じてしまっています)

文香(この一時が、愛おしくて。Pさんと過ごせる瞬間が、大好きで……)

文香(この溢れてしまうほどの幸福を……貴方にお渡し出来ればと思います。一緒に……苦楽を共にしたいと思える方だから)

文香(私の幸せは……Pさんが作りあげてくれました。書との、人との出会いは人生を変える…………それなら今度は、私の番です)

文香(だから、Pさんの求める幸せを、夢を……私が叶えられるように。貴方の幸せが……いつまでも、消えないように)



文香「……Pさん」

P「おっと、まだ何か聞きたいことあったか?」

文香「いえ……ただ、貴方の名前を、口にしたくて……今後とも、よろしくお願いします。……私の、プロデューサー」

P「……おう。よろしくな、文香」

文香「……はいっ」






文香(いつか貴方と……なにかを、未来へと残せますように)






お わ り






鷺沢さんが女神だったので、つい。
文香の台詞は、今までに出た文香のレアリティの台詞と、とある2曲の歌詞を参考にさせて頂いております。

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。
また機会がありましたら、その時はよろしくお願いします。



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