亜美「そりゃ律っちゃんが寝てたらヤるっしょ」真美「だよね」(153)

律子「………」コックリ コックリ


ガンッ


律子「むにゃっ……!?」



律子「ヤバッ……気づかない内にヘビみたいな字書いてる」

律子「ふあぁ~……んんっ」


コキコキ


律子「……目もシパシパしてるし、こりゃちょっとアブないか……?」

律子「このままじゃ仕事に支障が出そうだし……かと言って、クーラー止める訳にも……」



律子「………」ウツラ ウツラ

律子「……今は誰もいないし……」

律子「……ちょっとだけ、仮眠取る位なら」

律子「そうよ、ちょっとだけ……ちょっと、横になるだけ……」


ゴロン


律子「ん~……ソファー、ヒンヤリして気持ちいい……」





律子「Zzz」スヤスヤ

亜美「さてさて、今週のザ・ベストな光景は……こちらです!ヅァン!」

真美「……まずは亜美を落ち着かせることが第一だと、真美は考えました」

亜美「でも、これはちょっと許せないんじゃないかなあ」

真美「こんのクソ暑い中、レッスンから帰ってきたらこれだもんね」





律子「Zzzz……」

亜美「まずは、このメガネを外して~っと……」チャッ

律子「……ん……」

真美「!」





律子「Zzzz……」

亜美「んっふっふ~……完っ全に爆睡してますな~」ニヤニヤ

真美「その様ですな~」ニヤニヤ

亜美「さて、分からなかった方の為に、もう一度この光景を見ていただきたい」

真美「汗だくで事務所に帰ってきた真美達の眼前に広がった光景、それは!」

亜美「クーラーを効かせ、ソファーで仰向けに惰眠を貪る、ターゲットのあられもない姿であったのだ……!」

律子「Zzzz……」

真美「それにしてもこのターゲット、キリギリスである」

亜美「アリのように勤勉実直な亜美達に対して、この仕打ち……あなたは許せる?許せない?」





真美「……許せな~い」キュポッ

亜美「ですよね~」キュポッ

真美「キリギリスな律っちゃんには、猫のおヒゲを書いちゃうんだかんね~」キュッキュッ

亜美「ウェンディーズの看板娘みたくあばたも付け足して~」チョンチョン

真美「……亜美~、赤はない?」キュッキュッ

亜美「ほいきた!」



真美「口元に赤い血をタラ~リっと……」キュッキュッ

亜美「ちょ、ちょっと真美」

真美「どしたの亜美?」

亜美「この律っちゃんを、遠くからよーくご覧いただきたい」

真美「うわぁ……」

亜美「調子に乗ってたら律っちゃん、顔殴られたみたいになっちゃったよ……」

真美「……右目に青タンはちょっとやりすぎじゃないかな、亜美」

亜美「ってか、これで起きない律っちゃんの方がおかしいっしょ……」

律子「Zzzz……」





亜美「なんか一気に冷めたね……」

真美「……どうする?」

亜美「どうするって……これ、消さないとヤバいっしょ」

真美「そ、そうだよね……じゃあ亜美、濡らした布巾持ってきて」

亜美「あいあいさー!」

真美「……ひ、人肌の温度で……」フキフキ

亜美「……お、起こさないように、優しく……」フキフキ

律子「……んにゃっ……」

亜美「!」





律子「Zzzz……」

真美「ヒューッ!大丈夫、イケるイケる……!」

亜美「真美……全然大丈夫じゃない、かも」

真美「えっ?」

真美「
お、落ちてない、だと……!?」

亜美「だってこれ、油性ペンだし……」

真美「…」

亜美「…」



亜美「と、ここで律っちゃんにネタばらし」

亜美「消えない油性ペンでのいたずら。律っちゃんなら許せる?許せない?」

真美「死ぬ」

亜美「えっ?」

真美「いや、二人とも死ぬよ」

亜美「………」

ブロロロロ……

P「いやぁ、今日も暑かったなー」

美希「こんな暑い中で水着の撮影会とかやりたくなかったの」

P「仕事なんだから仕方ないだろ。そう思ってジュースもちゃんと奢ってやったじゃないか」

春香「……そう言えば、プロデューサーさんは欲しがったりしないんですか?ああいう写真」

P「んー?んー……写真は無くても、大体覚えてるからなぁ」

貴音「……覚えてはいるのですね」

P「そりゃ何度も拝めるようなもんじゃねーし……」

美希「ハニーのエッチ~」ガシッ

P「おい美希、後ろから抱きつくんじゃない」

P「でも、結構忘れるもんなんだよなぁ……」

P「そういう時に写真があれば『あー』ってなって思いだせるんだが」

春香「写真は思い出の付箋……ですね?」





美希「………」

貴音「………」

P「………」

春香「あれ?聞こえませんでした?今私、良い事言いましたよ?」

春香「写真は思い出の」

P「聞こえたから。二回言わなくていいから」

春香「」

美希「……春香はほんとうにばかなの」

春香「なっ!?」

P「……あー」

春香「私はバカじゃありません!美希なんかよりずっと賢いんですから!」

美希「ミキの方が春香なんかよりチョー賢いと思うな」

春香「なっ、なにをぉ~!」


ギャーギャー ワーワー


prrrr prrrr

P「……今運転中だ、誰か出てくれないか」

貴音「わたくしが出ましょう」

貴音「もしもし、こちら765プロ……」

亜美『あ、あれ?お姫ちん?』

貴音「おや、その声は……?」

亜美『あ、亜美だYO!お姫ちんでもいいや、ちょっと聞きたい事が……』





春香「油性ペンで書いたものを消す方法?」

貴音「ええ」

P「修正液かなんかを使えばいいんじゃないのか」

貴音「修正液を使えばよろしいかと」

亜美『そ、そんな事したらもっとひどいことになっちゃうYO!』

美希「肌に書いたものを落とす……?」

亜美『そ、そうだよ、間違えて書いちゃってさ……』

春香「ちょっと待って。落とし方は私、聞いたことあるかも」

貴音「春香が、落とし方を聞いたことがある、と」

亜美『ほ、ホントに!?』

春香「えっと……なんか、白い、クリームっぽいので落とせるんだけど……」

P「肌に塗る系の奴か」

貴音「白い、くりぃむのようなものを肌に塗ればいいそうです」

亜美『そっか、ありがとお姫ちん!はるるん!』ガチャッ



美希「………」

亜美「白いクリームだって、真美!」

真美「そんなのうちの事務所にあったかな~」

亜美「んー……冷蔵庫とか漁ってみる?」

真美「やらないよりマシだと思う。真美は別の方探してみるね」





真美「亜美~、あった~?」ゴソゴソ

亜美「……あっ!何か似たようなのならあったよ!」ゴソゴソ

真美「……何それ?ヨーグルト?」

亜美「いいえケフィアです」

真美「ケフィア?」

亜美「ピヨちゃんが自前で作った奴らしいんだけどさ……」

亜美「何かクリームっぽいし、多分これの事かなーって」

真美「でもそれ食べる奴っしょ?塗ったくって、落とせるのかな」

亜美「男は度胸!何でも試してみるもんさ~」

真美「真美達は女だけどね」



律子「Zzzzz」

真美「………」ヌリヌリ

亜美「………」ビチャベチャ

真美「あ、亜美?もうちょっと静かにやろうよ……」ヌリヌリ

亜美「大丈夫大丈夫、これ位じゃ起きないって~、律っちゃんは」ベチャブチャ






亜美「……あんまり、落ちないね」

真美「ってか、さっきより酷くなってない……?」

律子「……んん……」

「「!!」」

律子「んっ……あれ……?」ムクリ

律子「なんか、視界がボヤけて……眼鏡は……?」



ガチャッ

貴音「ただ今戻りました」

美希「クーラーが良い感じに効いてるの~」

春香「ふゃあぁ……暑かったぁ~……」

P「まさに梅雨明けって感じだよなぁ」

律子「……あっ、プロデューサー。お疲れ様です」

P「おう、律……」

P「」

春香「」

貴音「」

美希「………」

律子「?……どうしました?」





P「……り、律子ォォォォォッ!!」ガバッ

律子「ひっ!?」

P「だ、誰にっ!誰にこんなっ……こんなっ!!」ガクガク

春香「ぷ、プロデューサーさん!そんな事より病院ですよ、病院っ!!」

律子「え?……えっ?」

P「律子っ……俺が、俺がいれば……お前をこんな目にはっ……!!」ギュッ

律子「ちょっ……ぷ、プロデューサー……?」

貴音「あなた様、うろたえてはなりませんっ!」

P「し、しかし貴音……これはっ!」

貴音「律子嬢におヒゲがありますか?ありません!」

P「!?」

貴音「つまりこの方が律子嬢ではない可能性が、微粒子れべるで存在……」

美希「貴音はちょっと落ち着いた方がいいと思うな」

律子「ちょ、ちょっと……みんなして一体どうしたの?」

美希「律子、さんの顔が酷いことになってるの」

律子「私の顔……?」ピト


ヌルリ


律子「な、何これ……!?」

P「ま、まさか律子、お前……気絶させられて……!?」

律子「い、いえ、その……急に眠気が、ですね……」

P「ぐぅぅぅっ……な、なんて姑息なぁぁぁ!」ギリッ

春香「プロデューサーさん……?」

律子「ちょ、ちょっと、顔洗ってきますね……」

P「あ、ああ……その白いのは、落としてきた方がいい……」

スタスタスタ……






……ドタドタドタ

律子「何じゃこりゃああああああああああああっ!!?」

美希「……春香、クレンジングクリームか何か、持ってない?」

春香「えっ?メイク落とし用のならあるけど……あぁっ!」

ガチャッ

亜美「たっだいま~……ってう、うわあー!」

真美「り、律っちゃん、その顔どうしたのー!?」

律子「どうしたもこうしたも、起きたらこうなってたのよ!!」

P「クソッ……何て奴なんだ。起きないのを良い事に、こんな乱暴を……!」

貴音「あなた様……この染み、どうやら怪我によるものではないようです」



P「……えっ?マジで?」

律子「え、えぇ……最初見た時はギョッとしましたけど、全然痛くないですし」

P「……チッ」

春香「えっ?」

美希「律子、さん。春香のクリーム使えばその落書き、落とせるよ」

律子「えっ?」

美希「多分、それじゃないと落とせないと思う」

律子「って事は……油性!?誰よ、こんな真似したのは……!」

亜美「あ、亜美達じゃないよ?今さっき来たばかりだしね」

真美「そうそう、真美達にケフィアぶっかけるなんて真似出来る訳ないし」



P「……ケフィア?あれ、ケフィアだったのか?」

貴音「あなた様……?」

P「そうか……何だ、そういう事だったのか。あぁ、良かった……」

春香「プロデューサーさん……」

P「……睡眠顔射レイプされた律子はいなかったんだな。本当に良かった……」ホッ

春香「………プロデューサーさん………」

貴音「しかし、律子嬢にこのような真似をした犯人とは、一体……」

美希「そのオマヌケさんは、もう見つかったようなの」

亜美「な、なんだってー!?」

真美「ちょっとミキミキ~、犯人なんて……」

美希「何で真美はぶっかけられてたのがケフィアだって知ってたの?」





真美「え……っと、それは、その……」

亜美「そ、そっか~、真美が犯人だったのか~……流石の亜美も、これには苦笑い」

真美「あ、亜美!?」

律子「……そうなの、亜美?」ヌリヌリ

亜美「うん、亜美は知らなかったんだけどね……」

真美「ちょっ……な、何で真美だけ!?亜美もやったよねっ!?」

亜美「でもね、亜美、思うんだ……止められなかった亜美もさ、きっと悪いんだYO、って……」

亜美「だからね、亜美も謝る!それでこの不肖の姉も許してやってよ!律っちゃん!」

真美「あ、亜美ェ……!」





貴音「なんと美しい姉妹愛なのでしょう……」

春香「えっ」

美希「……だってさ。どうするの、律子?」

律子「律子さん、でしょ?ったく……っと、誰か、眼鏡を」フキフキ

P「あいよ」スッ





律子「よっし……完っ全っふっかぁーつ!」テカテカ

春香「良かったぁ、跡も残ってないみたいですね」

真美「う……り、律っちゃん……」ビクビク

律子「………」

律子「……まぁ、私が一辺倒にガミガミ言えるような立場じゃあない、のかなぁ。これは」

真美「……えっ?」

律子「だって、ソファーで居眠りした私も悪いんだし?」

律子「あんた達に落書きされても、文句言えないんじゃないかなーって」



亜美「だけどこっのっそーらがー、いつもわったっしーのこと見守ってるー」



律子「最近忙しかったものね……あんた達もストレス、溜まってたんでしょう?」ニコッ



亜美「もっともーっとー、強くー、励ましてるー」








真美「……り、律っちゃあん……!」グスッ

亜美「だからこっわっくーないー、どこでもー行っきーたいところに行けるー」



真美「……ごめんね、ごめんね律っちゃあああああんっ!」ブワッ



亜美「輝いた未来ー、まーっすーぐーにー」

律子「なるかボケェェェェェェェェッ!!!」スパパパーン





亜美「ぐはっ……は、ハリセン、だと……」

真美「……これ、絶対……亜美のせい、だかんね……」ガクッ

亜美「……サビまで、歌った……のに……」ガクッ

P「こんなやる気のねぇまっすぐは初めて聞いた、ウン」

春香「でも美希、よく気が付いたね。亜美達が犯人だって」

美希「……前に一度やられたから、手口は分かってたの」

貴音「そうだったのですか……」

美希「寝てる間に落書きされるんじゃ、オチオチ寝てもいられないの……あふぅ」

P「……あのな美希、事務所は寝る所じゃないんだぞ?」

美希「えぇー?仮眠取る位いいでしょ、ハニー……ねっ、律子さん」

律子「クスッ……そうね、仮眠位ならいいんじゃないですか?」

P「律子、お前なぁ……」

律子「ところで……プロデューサー?」

P「ん?」

律子「私がレイプされてた~、とか何とか騒いでましたよね?」

P「あ、あぁ。結局、俺の勘違いだったけどな」

律子「……私のこと、心配してくれてたんですね」

P「そりゃそうだろ、当たり前じゃないか」

律子「ふふっ……そうですか」



春香「え?……何これ?えっ?何で?」

春香「プロデューサーさんはそのシチュエーションでただ興奮してただけですよ?」

春香「……ねぇ、ちょっと律子さん?聞いてます?律子さぁーん?」

貴音「……そう言えば、誰か忘れている気がするのですが」

美希「?……誰かって?」

P「つーか何で律子一人だったんだ?小鳥さんは?」

律子「そう言えば……いつの間にか、いなくなってましたね」

P「まーたフラッといなくなるんだから、あの人は……」





ギュルルルルル……

小鳥「うぅぅぅぅ……か、紙ィィィ……」ガクガク

小鳥「……紙ィィィっ!だ、誰かっ紙をっ!!誰かァァァァァっ!!!」



おわり

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