たえちゃん「家族が増えるよ!」クロちゃん「バカばっかりだけどな」(16)

─伯父さんの家─


伯父さん「よく来たな、まぁ上がれや」

たえちゃん「あの…他の家族の方は?」

伯父さん「ん、とっくの昔に出てったワ。今、ココにいるのは俺だけだ」

たえちゃん(なんだかこわそうな人だねぇ……)ヒソヒソ


サイボーグクロちゃん「いや、怖いとかどうとか以前に
          色々と怪しすぎるだろこのオッサン…」

伯父さん「えっ!?な…なんだぁそいつはッ!?」ガタッ

たえちゃん「あ…クロちゃんです」

クロちゃん「まぁ何と言うか…こいつの飼い猫ってところだ」

伯父さん「いやそんなこと聞いてる訳じゃねぇよ!
     …って言うか何でネコが日本語喋ってんだよ!?」

たえちゃん「ああ、クロちゃんは悪の科学者に改造されたサイボーグ猫なんですよ。
      だからネコの身でありながら、人間の言葉を喋ることができるんです!」

伯父さん「訳分かんねぇよッ!」

クロちゃん「そんなことよりオッサンよぉ…

      こちとら引っ越しの作業やら何やらやってたお陰でクタクタなんだよ。
      早速部屋に上がって休ませてもらうぜ」ダダッ

たえちゃん「ちょっと待ってよクロちゃん!」

伯父さん(な…何なんだよあの化け猫は!
     あんなのが付いて来るなんて聞いてねぇぞ!クソッ!)

たえちゃん「TV観ようよクロちゃん!」ポチッ

クロちゃん「この時間帯に面白い番組なんて何もやってないだろ。
     ……やっぱり。ワイドショーか水戸黄門の再放送くらいしかやってねーぞ」ピッ ピッ

たえちゃん「いいじゃん!水戸黄門面白いじゃん!」

クロちゃん「お前って女の癖に変わった趣味してるよな…」

伯父さん(これじゃあ“施設から連れて来たガキを犯す”
     っていう俺の計画が台無しじゃねーか!クソがッ!
     あんな化け猫、とっととこの家から摘まみ出してやるッ!)

伯父さん「オラッ!」ヒョイ

クロちゃん「うおッ!?」

たえちゃん「クロちゃん!?」

伯父さん(何だよこいつ…以外と簡単に捕まえられるじゃねぇか。
     このネコ野郎、実は喋ることしか能のない木偶の坊なんじゃ…?)

伯父さん「おいガキッ!俺はこの家に飼い猫まで連れて来て良いなんて言った覚えはねぇぞ!
     しかもこんな得体の知れない黒猫を連れて来やがって…
     ちょっくらコイツ、外に捨ててくるわ」
たえちゃん「ヤダァ!この子も家族なんです!!」
伯父さん「うるせーッ!!ガキは黙って大人の言うことを聞いてれば良い──」

クロちゃん「回し蹴りッ」ドゴァッ

伯父さん「ぐふぅッ!」ドサッ

クロちゃん「いい加減離せっての…ヌイグルミの生地が伸びちまうだろうが」

伯父さん「い…痛ぇッ!!」

伯父さん(こ、こいつ…何て馬鹿力だ…
     は、鼻血が止まんねぇッ!)ドバドバ

たえちゃん「お…伯父さん、大丈夫?」

伯父さん「痛ぇ……」

たえちゃん「謝りなさいクロちゃんッ!
     クロちゃんのせいで伯父さん怪我しちゃったじゃない!」

クロちゃん「あのなぁ…そいつはこの家から俺の事を追い出そうとしたんだぞ?」

たえちゃん「いいから謝りなさいッ!!」

クロちゃん「へいへい…オッサン、どもスンズレーしました」ペコッ

たえちゃん「ごめんなさい伯父さん、クロちゃんのこと許してあげて」ペコッ

伯父さん「え?あ、あぁ…」

たえちゃん「ありがとう伯父さん!
      クロちゃん早く水戸黄門の続き観よ♪」

クロちゃん「どうせ今日も印籠出してめでたしだろ?」

たえちゃん「その王道パターンが良いんじゃん!」

伯父さん「お…おいッ!俺の話はまだ終わって……」

クロちゃん「あ゛っ?」ギロッ

伯父さん「あ…いや、何でも無い」

伯父さん(クソッ!クソッ!この俺をコケにしやがって!ネコの癖にッ!
     あのガキを犯すまで、俺は絶対に諦めねぇからな!!)

─その日の深夜─

伯父さん「おーい、もう寝たかー?」

クロちゃん「……zzz」

叔父さん(化け猫野郎は完璧に眠っているな?
     よぉ~し、チャンスだ!今からあのガキに夜這いを仕掛けて…)スタスタ

クロちゃん「どこに行くんだオッサン?」ヌッ…

伯父さん「ひっ!?…テ、テメェまだ起きてたのかッ!?」

クロちゃん「なかなか寝付けなくてな。
      それで、アンタ今どこに行くつもりだったんだ?」

叔父さん「ち…ちょっとションベンしにトイレに行くだけだッ!」

クロちゃん「ふーん。……そんな事よりオッサンよぉ、
      アンタにひとつ聞きたい事があるんだが」

伯父さん「な…何だよ!?」

クロちゃん「あんた、どういう了見で“たえのこと引き取ろう”だなんて思ったわけ?」

伯父さん「えっ!?…ど、どうってお前…」

クロちゃん「………」

叔父さん「お…俺はただ単に、あのガキが独り寂しく施設で暮らしているって聞いて
     親戚としてそれを見過ごせなかったんだ…文句あっかッ!?」

クロちゃん「へーそうなの?

      偉いなぁ…親戚とはいえ見ず知らずのガキを引き取って
      男手ひとつで育てようだなんて」

叔父さん「お…おうよ」

クロちゃん「そんな慈悲深いオッサンなら
      たえに手を上げて傷物にするなんてこと、絶対にしないよな?」

叔父さん「─ッ!な…何言ってんだよお前!
     俺がそんな事する訳ねぇだろッ!」

クロちゃん「………」ジー
叔父さん「………」ダラダラ

クロちゃん「……やっぱりオイラ、あんたのこと信用出来ないわ」

叔父さん「はっ?」

クロちゃん「オイラたえの部屋で寝るわ。
      あいつにベタベタくっつかれるのは嫌だけど、
      こんな酒臭い部屋で寝るよりはマシだし」スタスタ

伯父さん(ク……クソがぁ~ッ!!コケにしやがってッ!
     何様だァあのネコ野郎ッ!?)

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